JP3607510B2 - 印刷用紙 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンターやカラーレーザープリンター等の印刷機により好適に使用され、印字画像や耐水性、耐湿性等に優れた印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近インクジェットプリンターやカラーレーザープリンター等が低コスト化し、各種の印刷用に広く使用されている。これらのプリンターによる印刷物に優れた鮮明度、光沢感及び耐水性、耐湿性等を付与するためには、一般的な普通紙でなく、専用紙が必要である。インクジェットプリンターの場合、専用紙は紙の表面に平滑なインク受容層を形成したもので、インクが滲まずに綺麗に発色するようになっている。このためインク受容層を支持する紙製基材は十分厚さを有する必要があった。またレーザープリンター、特にカラーレーザープリンターの場合でも、高温の定着工程による変形を防止するため、やはり紙を比較的厚手とする必要があった。このように印刷用紙を厚くすると用紙がかさばるのみならず、用紙コストが上昇する。その上、レーザープリンターの場合、紙を厚くすると定着性も低下するという不具合が生じる。
理想的には普通紙程度の厚さで、専用紙並の印字画像や耐水性特性があれば望ましい。このような特性を付与させるための方法として、紙に樹脂を含浸させる方法、すなわちエポキシ樹脂やポリビニルアルコール等の吸水ポリマーを含浸させるなどの方法が推奨されているが、現在のところよいものは見出されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、インクジェットプリンターやレーザープリンターのような印刷機器に使用する場合でも印字画像や耐水性、耐湿性等に優れ、かつ普通紙と同等で同様に使用することができる印刷用紙及びその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意検討を行ったところ、本発明者らは、驚くべきことに非常に分散安定性に優れた球状の疎水性オルガノシロキサン微粒子で紙基材を構成するセルロース繊維を少なくとも部分的に被覆するというシンプルな方法により、インクジェットプリンターやレーザープリンターのような印刷機器に使用した場合でも印字画像や耐水性、耐湿性等に優れることを発見し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明は、紙基材を構成するセルロース繊維が少なくとも部分的に疎水性オルガノシロキサン微粒子により被覆されてなる印刷用紙であって、前記疎水性オルガノシロキサン微粒子が、Si02単位からなる微粒子表面にR1Si03/2単位(ここで、R1は炭素原子数1〜20の1価炭化水素基を示す。)を導入することによって疎水化され、こうして得られた疎水性微粒子表面に、更にR2 3SiO1/2単位(ここで、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す)を導入することによってさらに疎水性が高められた平均粒子径が0.01〜O.5μmである球状の疎水性オルガノシロキサン微粒子である印刷用紙を提供する。
この印刷用紙は、本発明によれば、セルロース繊維を上記の疎水性微粒子を含有する分散液中に分散して抄紙する工程を有するか、又は紙基材に該分散液を塗布又は含浸する工程を有する製造方法により製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる疎水性オルガノシロキサン微粒子はSiO2単位からなる微粒子表面にR1SiO3/2単位(ここで、R1は炭素原子数1〜20の1価炭化水素基を示す。)を導入する工程によって得られた疎水性微粒子表面に、更にR2 3Si01/2単位(ここで、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す)を導入することによって得られた疎水性をさらに高めた平均粒子径がO.01〜0.5μmである球状の疎水性オルガノシロキサン微粒子である。
【0007】
上記式において、R1としては、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基が代表的であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基またパーフルオロアルキル基などが挙げられる。メチル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。
【0008】
また、R2としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アルル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基及びフェニル基が挙げられる。メチル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。
【0009】
上記疎水性オルガノシロキサン微粒子は、二段階の疎水化で製造される。
まず、下記一般式(1):
Si(OR)4 (1)
(ここで、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、これは上記R2に関して例示のものと同様のものを挙げることができるが、工業的製造面及び加水分解性からメチル基、エチル基が好ましい。)
で示されるシラン化合物及び加水分解縮合物から選択される1種又は2種以上の化合物をメタノールやエタノールなどの親水性溶媒、水並びにアンモニア、有機アミンなどの塩基性化合物の混合溶液中で加水分解、縮合することによって得られた親水性加水分解縮合微粒子(即ち、基本的にSiO2単位で構成され、表面に多数のSi−OH基、Si−OR基(ここで、Rは前記の通り)等の加水分解基を有するシリカ粒子)を調製した後、下記一般式(2):
R1Si(OR)3 (2)
(ここで、R1及びRは上記と同様の意味を示す。)
で示されるオルガノトリアルコキシシラン等の3官能性シラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される1種又は2種以上の化合物を添加し、加水分解反応により上記の親水性加水分解微粒子表面上にR1Si03/2単位を導入することにより、疎水化し、第一段階の疎水化粒子を合成する。
【0010】
上記のおいて、一般式(2)の3官能性シラン化合物とともに、式(3):
(R1)2Si(OR)2 (3)
(ここで、R1及びRは上記と同様の意味を示す。)
で表されるような2官能性シラン化合物及び/又はその加水分解縮合物を併用し、同時に処理を行ってもよい。該2官能性シラン化合物は前記一般式(2)の3官能性シラン化合物の作用、効果に悪影響を与えない範囲で使用される。
【0011】
なお、一般式(1)の四官能性シラン化合物の代表的な具体例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。また、一般式(1)で示される四官能性シラン化合物の加水分解縮合物の具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。これらのシラン化合物またはその加水分解縮合物は、各々単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。該シラン化合物とその加水分解縮合物とを混合して使用してもよい。
【0012】
一般式(2)の三官能性シラン化合物の代表的な具体例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランが挙げられ、また、これらの加水分解縮合物を用いてもよい。これらの三官能性シラン化合物及びその加水分解縮合物は、一種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。また、上記三官能性シラン化合物とその加水分解縮合物とを混合して使用してもよい。
【0013】
次に、上で得られた第一次の疎水化粒子を溶剤置換法などによりメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒に分散し、下記一般式(4):
R2 3SiNHSiR2 3 (4)
(ここで、R2は上記と同様の意味を示す。)で示されるヘキサオルガノジシラザン等のシラザン化合物、及び/又は一般式(5):
R2 3SiX (5)
(ここで、R2は上記と同様の意味を示し、XはOH基又はOR基(Rは上記と同じ)を示す。)
で表されるトリメチルシラノール、トリエチルシラノール等のトリオルガノヒドロキシシラン化合物、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリオルガノアルコキシシラン等の1官能性シラン化合物を添加、反応させ、前記の第一次疎水化粒子上に残存するシラノール基をトリオルガノシリル化し(即ち、第一次疎水化微粒子表面にR2 3SiO1/2単位を導入する)、疎水性を更に高度に高めることにより目的とする疎水化オルガノシロキサン微粒子を得ることができる。
【0014】
この球状疎水性オルガノシロキサン微粒子を製造する際、例えば、一般式(2)のようなオルガノトリアルコキシシラン等の3官能性シラン化合物で親水性加水分解微粒子のコーティング処理(即ち、親水性加水分解微粒子表面への R 1 SiO 3/2 単位の導入)を行わないと、次の溶剤置換時に親水性微粒子が激しく凝集を起こし、固化してしまうので不可欠の工程である。またケトン系溶剤に置換した時の分散性安定性向上のためにも必要な工程である。
【0015】
また一般式(4)のシラザン化合物及び/又は一般式(5)の一官能性シラン化合物で更に疎水化することにより、微粒子自体の疎水性が格段に向上する。このとき残存シラノール基がほとんど消失するため、残存シラノール基による悪影響がなくなり、凝集することなく、高分散性で疎水性の高い球状オルガノシロキサン微粒子を得ることが可能となるため、最後のこの工程も不可欠な工程である。
【0016】
このような本発明に用いられる球状疎水性オルガノシロキサン微粒子は、高度に疎水化されているため、種々の有機溶媒に分散し易く、また粒子表面に印字画像の耐水性に対し悪影響を与えるシラノール基が殆ど存在しないため、本発明の目的、効果に良好な結果を与えるものである。この粒子の平均粒子径は紙上での印字画像特性及び処理液中での沈降の問題から0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.2μmであることが必要である。平均粒子径がO.O1μmより小さいと印字画像の鮮明度が良くならない。また0.5μmを超えると粒子が沈降し易くなるなどの不利が生じる。
【0017】
製造方法
本発明の印刷用紙は、セルロース繊維を上記の疎水性オルガノシロキサン微粒子を含有する分散液中に分散して抄紙する工程において、又は紙基材に該分散液を塗布又は含浸する工程において紙基材を構成するセルロース繊維を少なくとも部分的に被覆することにより製造される。
ここで使用される分散液に用いられる溶媒は、球状疎水性オルガノシロキサン微粒子が分散する有機溶媒であるならばどんな溶媒でも限定はないが、好ましくは親水性有機溶媒である。親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチレングリコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。また場合により水含有の上記親水性溶媒を使用してもよい。
【0018】
この処理液中の球状疎水性オルガノシロキサン微粒子の濃度は、球状疎水性オルガノシロキサン微粒子100重量部に対して溶媒量が300〜100,000重量部とするのが好ましく、500〜10,000重量部とするのがより好ましい。溶媒量が少なすぎると球状疎水性オルガノシロキサン微粒子がうまく分散しなくなるため、紙への塗布または含浸が困難となり、また溶媒量が多すぎると紙に塗布又は含浸しても効果が不十分となる恐れがある。
【0019】
この処理液は有機溶剤と球状疎水性オルガノシロキサン微粒子を混合し分散させ、調製する。この時必要に応じて増粘剤を添加して粘度調製してもよい。また処理液の粘度、安定性等に影響を与えない範囲で、白土、サチンホワイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等を添加してもよい。更に紙に吸水性及び柔軟性を付与させるために、ポリビニルアルコール、酸化デンプン、エステル化デンプン、ガゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−アクリル樹脂、アクリルエマルジョン、アクリルニトリルブタジエンラテックス等の吸水性ポリマーを添加してもよい。その他、紙の特性を向上させる目的のため各種の添加剤を添加することもできる。このような添加剤としては、サイジング剤、保湿剤、紫外線吸収剤、消泡剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、蛍光増白剤、雛型剤等が挙げられる。
処理する紙基材としては通常のコピー紙といわれる普通紙を使用することができる。その坪量は48g/m2〜100g/m2程度でよい。紙に本発明の処理液を塗布又は含浸した後で、必要に応じて公知の表面処理を行っても良い。
【0020】
上記処理液を用いる抄紙、塗布又は含浸により紙基材の処理は次のように行われる。
1)抄紙:
通常の抄紙において処理液として前記の分散液を使用すればよい。
2)塗布法:
処理液の塗布は、抄紙工程の後、例えばサイジング工程で行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。塗布の場合は球状疎水性オルガノシロキサン微粒子の濃度を比較的高くするのが好ましく、例えば、10〜30重量%程度とするのが好ましい。処理液の塗布量は固形分基準1〜10g/m2とするのが好ましい。処理液の塗布は片面又は両面に対して各種の塗工機、例えばブラシコータ、エアーナイフコータ、ロール・コータ等を用いて行い、トンネルドライヤー等を通過させることにより乾燥させるのが好ましい。
3)含浸法:
含浸法の場合は処理液の球状疎水性オルガノシロキサン微粒子濃度を比較的低くするのが好ましく、例えば1〜10重量%程度とするのが好ましい。処理液の含浸は紙の抄紙工程で行うのが好ましいが、サイジング工程で行ってもよいし、乾燥後行ってもよい。含浸後に、各種の表面処理を行ってもよい。
【0021】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
合成例1
球状疎水性オルガノシロキサン微粒子
攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、メタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1163.7g及び5.4%アンモニア水418.1gを同時に添加し始め、前者は6時間、後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も更に0.5時間攪拌して加水分解、縮合を進めシリカ微粒子の懸濁液を得た。ガラス製反応容器にエステルアダプター、冷却管を備え、60〜70℃に加熱し、メタノール1,132gを溜去したところで、水1,200gを添加し、更に70〜90℃に加熱してメタノール273gを溜去し、シリカ微粒子の水溶液を得た。この溶液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6g(対テトラメトキシシラン比0.01)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間攪拌し、シリカ微粒子の表面をメチルトリメキシシランでコーティング処理した(即ち、 CH 3 SiO 3/2 単位を導入した)(一次疎水化)。この溶液にメチルイソブチルケトン1,440gを添加した後、80〜110℃に加熱し、メタノール水1,163gを7時間かけて溜去した。この溶液に室温でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し、120℃に加熱し、3時間反応させ、上記コーティング処理したシリカ微粒子上の残存シラノール基をトリメチルシリル化した(即ち、上記コーティング処理したシリカ微粒子の表面に更に(CH3)3Si01/2単位を導入した)後、溶媒を溜去して、平均粒子径0.10μmの球状疎水性オルガノシロキサン微粒子477gを得た。
【0022】
合成例2
球状シリカ微粒子
合成例1における、メチルトリメトキシシラン及び5.4%アンモニア水を用いたシリカ微粒子の処理工程を省略した以外は合成例1と同様に疎水性シリカの製造を試みたところ、水溜去時にシリカ微粒子の分散体は凝固した。
合成例3
球状シリカ微粒子
合成例1における、ヘキサメチルジシラザンを用いたシリカ微粒子のトリメチルシリル化工程を省略した以外は合成例1と同様にしてシラン表面処理シリカを合成したところ平均粒子径0.67μmの球状疎水性オルガノシロキサン微粒子463gを得た。
【0023】
[実施例1]
坪量64.5g/m2の普通紙に、合成例1で製造した球状疎水性オルガノシロキサン微粒子10重量%となるようにエタノールで分散させた処理液をスプレーにより塗布し、一対の加熱ロール間を通すことにより乾燥させた。得られた球状疎水性オルガノシロキサン微粒子被覆印刷用紙の表面は平滑であり、球状疎水性オルガノシロキサン微粒子の被覆量は4.8g/m2であった。この印刷用紙をサンプルNo.1とする。
[実施例2]
坪量64.5g/m2の普通紙を、合成例1で製造した球状疎水性オルガノシロキサン微粒子5重量%となるようにエタノールで分散させた処理液中に浸漬して紙に含浸させたのち、一対の加熱ロール間を通すことにより乾燥させた。得られた球状疎水性オルガノシロキサン微粒子被覆印刷用紙の表面は平滑であり、球状疎水性オルガノシロキサン微粒子の被覆量は4.1g/m2であった。この印刷用紙をサンプルNo.2とする。
【0024】
[比較例1]
坪量64.5g/m2の普通紙に合成例3により製造した球状シリカ微粒子10重量%となるようにエタノールで分散させた処理液をスプレーにより塗布し、一対の加熱ロール間を通すことにより乾燥させた。得られた球状疎水性オルガノシロキサン微粒子被覆印刷用紙の表面は平滑でなく、指で触れると微粒子がぱらぱら脱落した。球状シリカ微粒子の被覆量5.3g/m2であった。この印刷用紙をサンプルNo.3とする。
[比較例2]
坪量64.5g/m2の普通紙を合成例3により製造した球状シリカ微粒子5重量%となるようにエタノールで分散させた処理液中に浸漬して紙に含浸させたのち、一対の加熱ロール間を通すことにより乾燥させた。得られた球状シリカ微粒子被覆印刷用紙の表面は平滑でなく、指で触れると微粒子がぱらぱら脱落した。球状シリカ微粒子の被覆量は4.7g/m2であった。この印刷用紙をサンプルNo.4とする。
【0025】
印刷用紙の評価
各処理された印刷用紙に対してセイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター(PM2000C)によりカラー印刷を行い、インクが乾燥した後の耐水性、耐湿性、印刷の鮮明度及びドット形状等を観察した。その評価基準は以下の通りである。結果を下記表1に示す。
(1)耐水性
立てかけた印刷画像にスポイトにより水を流し、染料の滲み、流れ出しを観察した。
○:全く染料の滲み、流れ出しがない
△:若干染料の滲み、流れ出しが認められた
×:著しい染料の滲み、流れ出しが認められた
(2)耐湿性
印刷画像を40℃−85RH%の雰囲気下に3日間放置した後の印刷画像の滲みを観察した。
○:全く染料の滲みがない
△:若干染料の滲みが認められた
×:著しい染料の滲みが認められた
(3)印刷の鮮明度
印刷画像の鮮明度を肉眼で観察した。
○:非常に鮮明で、滲みなどが全くなかった。
△:若干染料の滲みが認められた
×:著しい染料の滲みが認められた
(4)ドット形状
印刷画像を顕微鏡で測定及び観察し形状の真円に最も近いものを◎とし、最も遠いものを×とし、その中間を真円に近い方から○、△の二段に分け、四段階で評価を行った。
【0026】
【表1】
【0027】
また各処理された印刷用紙に対してセイコーエプソン(株)製のカラーレーザープリンター(LP−8000C)によりカラー印刷を行い、印刷の鮮明度、トナーの載りを観察した。その評価基準は以下の通りである。結果を下記表2に示す。
(1)印刷の鮮明度、トナーの載り
印刷画像の鮮明度を肉眼で観察した。
○:トナーの載りがよく、非常に鮮明。
△:若干トナー落ちが認められ、鮮明度少し劣る。
×:著しくトナーが落ち、鮮明度悪い。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明の印刷用紙はインクジェットプリンターやレーザープリンターのような印刷機器に使用する場合でも優れた印字画像や耐水性、耐湿性等を付与可能である。また本発明の印刷用紙は普通紙からでも製造することができるので、インクジェットプリンターやカラーレーザープリンター用の専用印刷用紙を不要にでき、低コスト化に寄与する。
Claims (2)
- 紙基材を構成するセルロース繊維が少なくとも部分的に疎水性オルガノシロキサン微粒子により被覆されてなる印刷用紙であって、前記疎水性オルガノシロキサン微粒子が、Si02単位からなる微粒子表面にR1Si03/2単位(ここで、R1は炭素原子数1〜20の1価炭化水素基を示す。)を導入することによって疎水化され、こうして得られた疎水性微粒子表面に、更にR2 3SiO1/2単位(ここで、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す)を導入することによってさらに疎水性が高められた平均粒子径が0.01〜O.5μmである球状の疎水性オルガノシロキサン微粒子である印刷用紙。
- 請求項1記載の印刷用紙を製造する方法であって、セルロース繊維を請求項1に記載の疎水性オルガノシロキサン微粒子を含有する分散液中に分散して抄紙する工程を有するか、又は紙基材に該分散液を塗布又は含浸する工程を有することを特徴とする、前記請求項1に記載の印刷用紙を製造する方法。
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