JP3606669B2 - 気体処理システム、及び、空調設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象気体と洗浄液とを接触させて、処理対象気体中のガス状汚染化学成分を除去する浄化装置を設けた気体処理システム、及び、ガス状汚染化学成分の発生がある浄化対象室の室内空気を洗浄液と接触させて、室内空気中のガス状汚染化学成分を除去する浄化装置を設けた空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
気体中に含まれる特定イオンなどのガス状汚染化学成分は、HEPAフィルタやULPAフィルタでは捕捉除去できないことから、従来、このようなガス状汚染化学成分を含む気体の浄化処理として、処理対象気体を洗浄液と接触させる湿式方式では、特開平3‐296416号公報に見られるように、処理対象気体をH2 O2 水溶液と接触させる方式や、特開平4‐235745号公報に見られるように、処理対象気体に対し希硝酸もしくは希塩酸をシャワーし、次いで純水をシャワーする方式が提案されており、また、単純には、処理対象気体に対し一般市水などの通常水をシャワーする方式もある。
【0003】
また、乾式では、特開平4‐126513号公報や特開平6‐198123号公報、あるいは、特開平6‐142439号公報に見られるように、活性炭の充填層やイオン交換繊維からなるフィルタ(いわゆるケミカルフィルタ)により、処理対象気体中のガス状汚染化学成分を除去する方式が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、H2O2 水溶液、希硝酸、希塩酸、純水などを用いる方式では、これら特殊な液体の消費のために運転経費が嵩み、また、これら特殊な液体の製造や取り扱いにおいて管理が難しい問題がある。
【0005】
これに対し、一般市水などの通常水を用いる方式では、運転経費が安価で管理も容易であるものの、ガス状汚染化学成分の除去効率が低く、この為、室内空気中のガス状汚染化学成分が製品品質に大きな影響を与える半導体集積回路の製造室など、高度な空気浄化が要求される分野では、この方式を適用できない問題がある。
【0006】
一方、ケミカルフィルタを用いる方式では、使用に伴いケミカルフィルタの性能が低下することに対し、ケミカルフィルタの交換や再生が必要で、この為、メンテナンスの負担が大きく、また、経費が嵩む問題がある。
【0007】
以上の実情に対し、本発明の主たる課題は、上記の如き問題を伴うこと無く、処理対象気体中に含まれるガス状汚染化学成分を効率良く除去できるようにする点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1記載の発明では、水調整装置において大気と水を接触させることにより、大気中に存在する種々の化学成分を含ませた調整水を生成し、この調整水を浄化装置に供給する。
【0009】
そして、浄化装置では、水調整装置から供給される上記の調整水を、処理対象気体に対する洗浄液として用い、この調整水と処理対象気体とを接触させることにより、処理対象気体中に含まれるガス状汚染化学成分を調整水に吸収させて除去する。
【0010】
ちなみに、積極的な気水接触により大気中の各種の化学成分を多量に含ませた水は、イオンなどのガス状化学成分を含む気体との接触において、その気体中のガス状化学成分(例えばNH4 + ,NO3 - ,Cl-,SO4 2- など)を極めて高い吸収率で吸収することができ、これらガス状化学成分の水への溶解度から単純に算出される吸収率に比べ、100倍から100万倍の吸収率を示すこともある。これは、この吸収が単なる溶解によるものではなく、気体中のガス状化学成分が、水中に多量に含まれた大気中の各種化学成分と反応することで、吸収が促進されるためと考えられる。
【0011】
したがって、洗浄液として上記の調整水を用いることにより、浄化装置においては、大気中の各種化学成分を含まない、あるいは、その含有量が小さい通常水を洗浄液に用いるに比べ、処理対象気体中のガス状汚染化学成分を、調整水中の各種の化学成分(すなわち、水調整装置での大気接触で水中に積極的に含ませた大気中の種々の化学成分)と反応させて、その吸収を促進させ、処理対象気体中のガス状汚染化学成分を高効率に吸収除去することが可能となる。
【0012】
つまり、請求項1記載の発明によれば、ガス状汚染化学成分の除去効率を高く確保しながらも、H2O2 水溶液、希硝酸、希塩酸、純水などの特殊な液体が不要であることにより、また、ケミカルフィルタの如き交換・再生も不要であることにより、運転経費を軽減でき、また、管理を容易にすることができ、さらにまた、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0013】
また、請求項1記載の発明では、水調整装置において、逐次供給される大気に対し水を繰り返し接触させて、前記の調整水を生成することにより、大気中の各種化学成分を高濃度に含む調整水を生成する。
【0014】
したがって、請求項1記載の発明によれば、浄化装置でのガス状汚染化学成分の吸収除去において、処理対象気体中のガス状汚染化学成分と、調整水中の各種化学成分との反応量を大きくして、ガス状汚染化学成分の除去効率を高めることができる。
【0015】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2記載の発明では、浄化装置において、水調整装置から供給された調整水を、逐次供給される処理対象気体の処理に繰り返して使用することにより、水調整装置からの調整水の供給量を節減する。
【0016】
したがって、請求項2記載の発明によれば、水調整装置での調整水の生成に時間的余裕を与えて、大気中の各種化学成分を高濃度に含む調整水(すなわち、ガス状汚染化学成分の除去効率を高く確保できる調整水)を生成させることができ、また、水調整装置の小型化も可能となる。
【0017】
〔請求項3記載の発明〕
請求項3記載の発明では、浄化装置での継続使用により調整水中における吸収汚染化学成分の濃度が飽和状態に近づくことや、浄化装置における調整水不足などで、浄化装置の処理能力が低下することに対し、あるいはまた、浄化装置への調整水供給が過剰で、処理負荷に比べ浄化装置の処理能力が過大となるといったことに対し、能力検出手段による浄化装置の処理能力の検出に基づき、水調整装置から浄化装置への調整水供給を能力制御手段により制御することで、上記の如き浄化装置の能力低下や能力過剰を防止する。
【0018】
したがって、請求項3記載の発明によれば、浄化装置を所要の処理能力で安定的に運転することができ、また、調整水の過剰供給を防止できることで水調整装置からの調整水の供給量を節減できる。
【0019】
〔請求項4記載の発明〕
請求項4記載の発明では、水調整装置において大気と水を接触させることにより、大気中に存在する種々の化学成分を含ませた調整水を生成し、この調整水を浄化装置に供給する。
そして、浄化装置では、水調整装置から供給される上記の調整水を、ガス状汚染化学成分の発生がある浄化対象室の室内空気に対する洗浄液として用い、この調整水と浄化対象室の室内空気とを接触させることにより、室内空気中に含まれるガス状汚染化学成分を調整水に吸収させて除去し、このことで、浄化対象室の室内におけるガス状汚染化学成分の濃度上昇を防止する。
【0020】
したがって、請求項4記載の発明によれば、半導体集積回路の製造室など、ガス状汚染化学成分の室内濃度上昇を嫌う用途の部屋において、その用途に適した室内状態を得ることができる。
【0021】
なお、浄化対象室が、室内から取り出した空気を循環風路を介して再び室内に戻す循環空調方式を採る場合には、この循環風路の流通過程にある空気を浄化装置により処理することで、ガス状汚染化学成分を含まない、もしくは、その含有量を低下させた浄化空気を循環風路から室内に戻すようにし、これにより、浄化対象室の室内におけるガス状汚染化学成分の濃度上昇を防止するようにしてもよい。
【0022】
つまり、そのようにすれば、循環空調方式において本来的に装備される循環風路に、他の空調用機器などと共に浄化装置を装備する形態となることから、換言すれば、循環風路本来の施設スペースを浄化装置の設置スペースに有効利用する形態となることから、浄化対象室と浄化装置とを専用風路で接続するなどに比べ、設備の全体構成をコンパクトにでき、また、浄化装置そのものを室内に内装するに比べ、室内空間を広く確保できる。
【0023】
また、循環風路の流通過程にある空気のうちの一部を浄化装置により処理することで、循環風路から室内に戻す空気(すなわち、浄化装置で処理した一部空気と、浄化装置を迂回させた他部空気との合流気)におけるガス状汚染化学成分の含有量を低下させ、これにより、浄化対象室の室内におけるガス状汚染化学成分の濃度上昇を防止するようにしてもよい。
【0024】
つまり、そのようにすれば、循環風路に流通させる空気のうちの一部のみを浄化装置で処理することから、浄化装置を小型なものにしながら、浄化対象室の室内におけるガス状汚染化学成分の濃度上昇を防止できる。
【0025】
また、請求項4記載の発明では、外気調整装置が、空調対象室に供給する外気を水と接触させて調整する際、外気中の各種化学成分(すわなち、大気中に存在する種々の化学成分)が水中に多量に吸収されることを利用して、この外気調整装置で外気の調整に用いた水を、前記の調整水として浄化装置に供給する。すなわち、空調対象室への供給外気を調整する外気調整装置を、前記の水調整装置に兼用する。
【0026】
したがって、請求項4記載の発明によれば、外気調整装置と水調整装置を夫々、専用機器として各別に設けるに比べ、設備全体をコンパクト化及び簡素化することができ、空調対象室への供給外気の調整と、前記の調整水を用いての浄化対象室からのガス状汚染化学成分の除去という二機能を備えながらも、設備コストが安価で、また、設備スペースも小さく、さらに、メンテナンスや管理も容易な空調設備とすることができる。
【0027】
〔請求項5記載の発明〕
請求項5記載の発明では、特定の対象室を、前記の空調対象室として扱うとともに、前記の浄化対象室としても扱う。すなわち、外気調整装置において気水接触により調整した外気を、この特定対象室に供給し、また、この外気調整装置において外気調整に使用した水(すなわち前記の調整水)を用いて、浄化装置で、この特定対象室の室内空気中におけるガス状汚染化学成分を効率良く吸収除去する。
【0028】
つまり、請求項5記載の発明によれば、特定対象室に対する調整外気の供給と室内空気中からのガス状汚染化学成分の除去とをもって、この特定対象室の室内環境を新鮮かつ清浄な好環境に効果的に調整することができる。
【0029】
〔請求項6記載の発明〕
請求項6記載の発明では、外気調整装置で外気調整に用いた水(すなわち前記の調整水)を複数の浄化装置に分配供給し、この水を用いて、これら複数の浄化装置により、複数の浄化対象室について各別に、それら浄化対象室の室内空気中におけるガス状汚染化学成分を除去する。
【0030】
したがって、請求項6記載の発明によれば、前記の水調整装置として兼用する外気調整装置は一機だけとして設備構成を極力簡素化しながら、また、複数の浄化対象室どうしの間での室内空気混合による室内汚染(いわゆるコンタミネーション)を防止しながら、前記の調整水使用により、各浄化対象室の室内空気中におけるガス状汚染化学成分を効果的に除去することができる。
【0031】
つまり、複数の浄化対象室に対するガス状汚染化学成分の除去処理を共通の浄化装置で行う場合、この浄化装置内で、これら浄化対象室の室内空気どうしが混合し、この為、これら浄化対象室どうしの間で相互汚染が生じるが、請求項6記載の発明によれば、このような相互汚染を防止しながら、各浄化対象室の室内空気中におけるガス状汚染化学成分を効果的に除去でき、複数の浄化対象室の夫々を極めて高い清浄状態に維持することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1において、1,2は、夫々、半導体集積回路の製造などを行う第1クリーンルーム、及び、第2クリーンルームであり、これらクリーンルーム1,2では、室内作業にとって支障となるガス状汚染化学成分x(例えばNH4 + )の室内発生がある。
【0033】
各クリーンルーム1,2では、室内から取り出した空気A1,A2を循環風路C1,C2を介して再び室内に戻す循環空調方式を採用し、床下の還気チャンバ3a,3b、天井裏の給気チャンバ4a,4b、及び、これらチャンバ間の連通風路5a,5bにより、循環風路C1,C2を形成してある。
【0034】
具体的には、室内から通気構造の床6a,6bを介して床下の還気チャンバ3a,3bに排出される空気A1,A2を、連通風路5a,5bを介して天井裏の給気チャンバ4a,4bに供給し、この供給空気を給気チャンバ4a,4bからHEPAフィルタやULPAフィルタなどの高性能フィルタ7a,7bを介して再び室内に供給する。
【0035】
すなわち、上記の空気循環において、循環空気A1,A2(循環風路C1,C2の流通過程にある空気)中の微細物質を高性能フィルタ7a,7bにより捕捉除去することで、室内を塵埃や菌類などの微細浮遊物質の存在が極めて少ない状態に保ち、また、連通風路5a,5bの途中部分に介装した温調器8a,8bにより循環空気A1,A2を温度調整することで、室内を所望の温度状態に維持する。9a,9bは循環用ファンである。
【0036】
10a,10bは、散水による気水接触で循環空気A1,A2を浄化及び加湿する室内気用のエアワッシャであり、これら室内気用エアワッシャ10a,10bによる循環空気A1,A2の浄化及び加湿により、前記の高性能フィルタ7a,7bとの協働で各クリーンルーム1,2の室内を高清浄度に保ち、また、室内を所望の湿度状態に保つ。
【0037】
これら室内気用エアワッシャ10a,10bは、保有の水W1,W2を、逐次通過する循環空気A1,A2の処理に繰り返して使用する水循環式であり、具体的には、循環空気A1,A2に対する散水ノズル11a,11b、散水用の水W1,W2を貯留するとともに散水後の落下水W1,W2を受け止める水槽12a,12b、及び、この水槽12a,12bの貯留水W1,W2(すなわち、散水用の保有水)を循環水路13a,13bを介して散水ノズル11a,11bに供給する循環用ポンプ14a,14bを備え、また、散水部を通過した循環空気A1,A2中の水滴を捕捉(いわゆる水切り)して水槽12a,12bに戻すエリミネータ15a,15bを備えている。
【0038】
室内気用エアワッシャ10a,10bは、気水接触による循環空気A1,A2の浄化処理として、循環空気A1,A2中の微細物質を水W1,W2に捕捉させて除去する他、主目的としては、循環空気A1,A2中に含まれるガス状汚染化学成分x(すなわち、各クリーンルーム1,2の室内で発生したガス状汚染化学成分)を水W1,W2に吸収させて除去することを行い、これにより、各クリーンルーム1,2の室内空気A1,A2中におけるガス状汚染化学成分xの濃度上昇を防止して、その濃度d1,d2を所定の許容上限値以下に保つ。
【0039】
なお、上記の如くガス状汚染化学成分xの室内濃度上昇を防止するにあたり、第1クリーンルーム1については、室内気用エアワッシャ10aを、温調器8aと共通の機器ケーシング16aに内装して連通風路5aの途中部分に介装し、循環空気A1の全量をエアワッシャ10aに通過させて処理する形態を採り、一方、第2クリーンルーム2については、室内気用エアワッシャ10bを、温調器8bとは別の単独の機器ケーシング16bに内装して床下還気チャンバ3bの内部に配置し、循環空気A2の一部量をエアワッシャ10bに通過させて処理し、循環空気A2の他部についてはエアワッシャ10bを通過させずに連通風路5bへ導出する形態を採っている。
【0040】
17は、外気取入口18から室内換気用の新鮮空気として取り入れた外気Oを調整する外気調和機であり、この外気調和機17により調整した外気Oを、主給気風路19及び分岐給気風路19a,19bを介して、各クリーンルーム1,2の給気チャンバ4a,4bに供給し、これにより、この調整外気Oを循環空気A1,A2との混合状態で室内に供給するようにして、各クリーンルーム1,2の室内を新鮮雰囲気に保つ。
【0041】
20は外気供給用のファン、Dは夫々、風量調整用のダンパである。また、21a,21bは、各クリーンルーム1,2において調整外気Oの供給量に相当する量の空気E1,E2を室外へ排出する排気風路である。
【0042】
外気調和機17は、プレフィルタ22、エアワッシャ23、及び、温調器24を内装しており、プレフィルタ22で空気中の比較的大きな異物を除去した取り入れ外気Oを、エアワッシャ23での散水による気水接触で浄化及び加湿し、この浄化・加湿外気Oを、さらに温調器24で温度調整した上で、給気風路19へ送出する。
【0043】
外気調和機17における外気用のエアワッシャ23は、前記の室内気用エアワッシャ10a,10bと同様、保有の水Wを、逐次通過する外気Oの処理に繰り返して使用する水循環式であり、通過外気Oに対する散水ノズル26、散水用の水Wを貯留するとともに散水後の落下水W(すなわち、外気Oに対し洗浄作用した水)を受け止める水槽27、及び、この水槽27の貯留水W(散水用の保有水)を循環水路28を介して散水ノズル26に供給する循環用ポンプ29を備え、また、散水部を通過した外気O中の水滴を捕捉して水槽27に戻すエリミネータ30、及び、散水による外気Oの加湿で保有水量が減少することに対し、水槽27における水位検出に基づき水槽27に水W’を自動補給する自動給水装置31を備えている。
【0044】
外気用エアワッシャ23は、気水接触による外気Oの浄化処理として、外気O中の微細物質を水Wに捕捉させて除去する他、外気O中に含まれる各種の化学成分を水Wに吸収させて除去するが、この外気用エアワッシャ23では、給水装置31から供給される新鮮水W’を直接に散水して、外気O中の各種化学成分を吸収除去する場合に比べ、100倍から100万倍の高効率で外気O中の各種化学成分を吸収除去することが可能(換言すれば、各化学成分の水への溶解度から単純に算出される吸収効果に比べ、100倍から100万倍の吸収効果をもって外気O中の各種化学成分を吸収除去することが可能)であり、これは、循環使用の水Wによる外気中各種化学成分の吸収が、単に溶解だけによるものではなく、外気O中の各種化学成分が、循環使用の水Wに既に吸収されている各種の化学成分(すなわち、もとは大気中に存在していた種々の化学成分)と反応することで、吸収が促進されるためと考えられる。
【0045】
このことに着目して、本空調設備では、前述の室内気用エアワッシャ10a,10bに対し、それら室内気用エアワッシャ10a,10bで使用する散水用水W1,W2として、上記の外気用エアワッシャ23における保有水Wを供給するようにしてあり、その具体的給水構成としては、外気用エアワッシャ23における水槽27の貯留水Wを、各室内気用エアワッシャ10a,10bの水槽12a,12bに導く主補給水路32及び分岐補給水路32a,32bを設け、また、各室内気用エアワッシャ10a,10bには、散水による循環空気A1,A2の加湿で保有水量が減少することに対し、水槽12a,12bにおける水位検出に基づいて、上記の分岐補給水路32a,32bからの水補給を自動的に実施する自動給水装置33a,33bを装備してある。
【0046】
つまり、各室内気用エアワッシャ10a,10bにおいて、上記の主補給水路32及び分岐補給水路32a,32bから供給される外気用エアワッシャ23の保有水Wを散水用水W1,W2に用いて、循環空気A1,A2中のガス状汚染化学成分xを吸収除去することにより、そのガス状汚染化学成分xを、水中に含まれる種々の化学成分(すなわち、外気Oの浄化処理で水中に吸収された大気中の種々の化学成分)と反応させる形態で吸収除去するようにし、これにより、各室内気用エアワッシャ10a,10bに対し、その補給水として新鮮水W’を供給する形式を採るに比べ、循環空気A1,A2中のガス状汚染化学成分xをより高い除去効率で吸収除去できるようにしてある。
【0047】
なお、本実施形態では、請求項に記載の構成との対応において、クリーンルーム1,2が、浄化対象室かつ空調対象室であり、室内気用エアワッシャ10a,10bが、処理対象気体としての室内空気A1,A2を洗浄液W1,W2と接触させて、室内空気A1,A2中におけるガス状汚染化学成分xを除去する浄化装置であり、外気用エアワッシャ23が、大気Oと水Wとを接触させて大気O中の化学成分を水Wに含有させる水調整装置と、空調対象室A1,A2に供給する外気Oを水Wと接触させて調整する外気調整装置とを兼ねる装置であり、そして、主補給水路32及び分岐補給水路32a,32bを介して室内気用エアワッシャ10a,10bに供給する外気用エアワッシャ23の保有水Wが、水調整装置による調整水である。
【0048】
〔別の実施形態〕
次に発明の別の実施形態を列記する。
水調整装置23は、図2に示す如く、貯留水W中に大気(外気)Oをバブリングして、大気中の各種化学成分を水Wに含有させる形式としてもよい。
【0049】
浄化装置10aは、図3に示す如く、水調整装置23から洗浄液W1として供給された調整水Wの水中に、処理対象気体A1をバブリングして、処理対象気体A1中のガス状汚染化学成分xを除去する形式としてもよい。
【0050】
図4や図5に示す如く、浄化装置10aの処理能力を検出する能力検出手段34を設け、この検出能力に基づき、水調整装置23から浄化装置10aへの調整水Wの供給を能力制御手段35により制御するようにしてもよい。
【0051】
具体的には、図4に示すものでは、浄化装置10aにおいて、水調整装置23から洗浄液W1として供給された調整水Wを、処理対象気体A1の処理に繰り返し使用することに対し、浄化装置10aの保有調整水W中における吸収汚染化学成分xの濃度を濃度センサ34により検出し、そして、この検出濃度に基づいて、浄化装置10aの保有調整水W中における吸収汚染化学成分xの濃度を所定値以下に保つように、給水制御装置35により、水調整装置23から浄化装置10aへの調整水供給を自動調整する構成としてある。
【0052】
また、図5に示すものでは、浄化装置10aで処理した気体A1’に残存するガス状汚染化学成分xの濃度を濃度センサ34により検出し、そして、この検出濃度に基づいて、処理後の気体A1’中に残存するガス状汚染化学成分xの濃度が所定値以下になるように、給水制御装置35により、水調整装置23から浄化装置10aへの調整水Wの供給量を自動調整する構成としてある。
【0053】
気体処理システムとしては、処理対象気体A1,A2はクリーンルームなどの室内空気に限定されるものではなく、各種用途に用いる気体、あるいは、機器や部屋から系外に排出する気体など、種々の気体を処理対象気体とすることができる。
【0054】
浄化対象室は、ガス状汚染化学成分xを嫌う用途の部屋であれば、どのような用途の部屋であってもよい。
【0055】
除去対象のガス状汚染化学成分xは、水Wに含有させた大気中の各種化学成分と反応して,水Wへの吸収が促進されるものであれば、アンモニアイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、塩素イオンなどの気体中イオン成分を初め、気体中におけるガス状の分子成分や原子成分など、どのようなものであってもよい。
【0056】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするため符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調設備の構成図
【図2】別実施形態を示す水調整装置の構造図
【図3】他の別実施形態を示す浄化装置の構造図
【図4】他の別実施形態を示す浄化装置の制御構成図
【図5】他の別実施形態を示す浄化装置の制御構成図
【符号の説明】
A1,A2 処理対象気体,室内空気
W1,W2 洗浄液
x ガス状汚染化学成分
10a,10b 浄化装置
O 大気(外気)
W 水(調整水)
23 水調整装置,外気調整装置
34 能力検出手段
35 能力制御手段
1,2 浄化対象室,空調対象室
C1,C2 循環風路
Claims (6)
- 処理対象気体(A1),(A2)と洗浄液(W1),(W2)とを接触させて、洗浄液中への吸収により処理対象気体中のガス状汚染化学成分(x)を除去する浄化装置(10a),(10b)を設けた気体処理システムであって、
大気(O)と水(W)とを接触させて、大気中の化学成分を水に含有させる水調整装置(23)を設け、
この水調整装置(23)で大気中の化学成分を含有させた調整水(W)を、前記洗浄液(W1),(W2)として前記浄化装置(10a),(10b)に供給する構成とし、
前記水調整装置(23)は、逐次供給される大気(O)に対し水(W)を水循環式で繰り返し接触させて前記調整水を生成する構成としてある気体処理システム。 - 前記浄化装置(10a),(10b)は、前記水調整装置(23)から供給された調整水(W)を、逐次供給される処理対象気体(A1),(A2)の処理に水循環式で繰り返し使用する構成としてある請求項1記載の気体処理システム。
- 前記浄化装置(10a),(10b)の処理能力を検出する能力検出手段(34)と、この能力検出手段(34)の検出情報に基づいて、前記水調整装置(23)から前記浄化装置(10a),(10b)への調整水供給を制御する能力制御手段(35)を設けた請求項1又は2記載の気体処理システム。
- ガス状汚染化学成分(x)の発生がある浄化対象室(1),(2)の室内空気(A1),(A2)を洗浄液(W1),(W2)と接触させて、洗浄液中への吸収により室内空気中のガス状汚染化学成分(x)を除去する浄化装置(10a),(10b)を設ける空調設備において、
大気(O)と水(W)とを接触させて、大気中の化学成分を水に含有させる水調整装置(23)を設け、
この水調整装置(23)で大気中の化学成分を含有させた調整水(W)を、前記洗浄液(W1),(W2)として前記浄化装置(10a),(10b)に供給する構成とし、
さらに、その構成を得るのに、空調対象室(1),(2)に供給する外気(O)を水(W)と接触させて調整する外気調整装置(23)を前記水調整装置に兼用化して、この外気調整装置(23)で外気(O)と接触させた水(W)を、前記調整水として前記浄化装置(10a),(10b)に供給する構成としてある空調設備。 - 前記外気調整装置(23)から調整外気(O)の供給を受ける前記空調対象室(1),(2)を、前記浄化対象室として、この空調対象室(1),(2)の室内空気(A1),(A2)を前記浄化装置(10a),(10b)により処理する構成としてある請求項4記載の空調設備。
- 複数の前記浄化対象室(1),(2)に対し前記浄化装置(10a),(10b)を各別に装備し、これら複数の浄化装置(10a),(10b)に対して、前記外気調整装置(23)で外気(O)と接触させた水(W)を分配供給する構成としてある請求項4又は5記載の空調設備。
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