JP3606471B2 - ジャンクションボックス - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気配線装置、特に自動車等の電気的配線部に使用されるジャンクションボックス及びその基板組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス(電子技術)は各種機器及びシステムに益々広範囲に使用されている。その典型例は自動車である。半導体技術の著しい進歩の結果、マイクロプロセッサが自動車に応用され、エンジン、サイドミラー、窓、安全装置及びオーディオ機器等の制御を行っている。この為に、自動車には電源や信号用の多くの配線がなされ、組立、保守サービス及び安全性の便宜又は改善の為に種々のコネクタやヒューズ等の各種電気及び機構部品を必要とする。
【0003】
従来のジャンクションボックスでは、10A以上の大電流容量を必要とする配線もあるので、十分な電流容量を得る為に絶縁板上に十分な厚さを有する所望形状の銅板を直接被着したものが一般的であった。
【0004】
或は、1枚以上の基板(プリント基板,即ちPCB)をジャンクションボックスの主要部品として使用することも提案されている。斯る別のジャンクションボックスの典型例は特公昭60−7448 号公報に開示されている。例えば2枚のPCBが平行関係でハウジング内に収められ、その1端縁を受けるフォーク状コンタクトを有する一連の端子により相互接続されると共に、ハウジング外へ突出する接触又は接続部を具えている。このフォーク状コンタクトはPCBの端縁に形成されているトレースと接触して電気的な相互接続を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者の従来例にあっては、それを流れる電流の大きさに最適の銅(又は導電性金属)板の厚さ及び幅(即ち断面積)が選定できるので、発生するジュール熱(I2R)が過度となり異常温度上昇を避けることができる。しかし、電流の大きさに応じて異なる厚さや幅の銅板を所望形状(パターン)に形成した多数の導体路を絶縁板上に被着するのは複雑且つ高価であるという欠点があった。
【0006】
他方、上述した後者の従来例にあっては、十分に確立したプリント回路基板技術を使用するので、比較的安価であり、しかも必要に応じて導体パターンの変更も容易である。しかし、PCBの銅箔は極めて薄く、十分大きな電流容量を得ることは困難であり、或いは大電流の為に大きな表面積を必要とするので、多数の導電路の形成と発熱の抑制が困難であるという問題があった。その為に複数のPCBを重ねて使用するが、それを電気的且つ機械的に一体化するのは困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、一定間隔で平行関係に電気的且つ機械的に一体化した複数のPCBを使用し、安価且つ製造が容易であるジャンクションボックスを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、絶縁セパレータを介して電気的且つ機械的に一体化した複数のPCBより成る基板組立体を提供することである。
【0009】
【課題解決するための手段】
従来のジャンクションボックスの上述した問題を解決すると共に、上述の目的を達成する為に、本発明のジャンクションボックスは、相互に略平行関係で電気的且つ機械的に一体化された少なくとも2枚の基板を含む基板組立体と、該基板組立体を収容する絶縁ハウジングとを具備し、前記基板組立体は、前記少なくとも2枚の基板を絶縁セパレータを介して相互に重ね合わせ、前記基板の少なくとも1縁に沿って形成された多数のスルーホールに多数の接続ピンを挿入して形成されるジャンクションボックスにおいて、前記少なくとも2枚の基板は相互に同一寸法形状であり、前記絶縁セパレータは、前記基板より僅かに狭く、中央部が薄い平板状であり、両側縁に沿って延びる一定高さのリブが形成され、前記基板組立体は、前記少なくとも2枚の基板を前記絶縁セパレータの前記リブの高さで決まる間隔に保持して前記接続ピンにより電気的且つ機械的に一体化されていることを特徴とする
【0010】
【実施例】
次に、本発明のジャンクションボックス及びその基板組立体の好適実施例を添付図を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明によるジャンクションボックスの好適実施例の簡略斜視図である。このジャンクションボックス10は絶縁ハウジング20と、この内部に収容される基板組立体30とより成る。絶縁ハウジング20は適当な耐熱性プラスチック材料をモールドすることにより形成される下側ハウジング部20a と上側ハウジング部20b とより成る。図示せずも、両ハウジング部20a 、20b は好ましくは周知の複数のラッチ部材(例えば凹凸ラッチ係合部)により相互に取外し可能に結合される。
【0012】
図1に示す特定実施例の基板組立体30は、1対の同一寸法形状のPCB31、32及びこれらPCB31、32を一定間隔に重ね合わせる絶縁セパレータ(又はスペーサ)50を含んでいる。各PCB31、32は少なくとも1主面に複数の所望パターンのトレース(図示せず)が形成され、且つ少なくとも1縁(この特定実施例では長手方向の1側縁)に沿って多数のスルーホール34、35が形成される。PCB31、32は、この特定実施例では略矩形である。
【0013】
絶縁セパレータ50は好ましくは耐熱性プラスチック材料をモールドして製造される。この絶縁セパレータ50はPCB31、32と実質的に同一寸法形状であるが、僅かに狭い。この絶縁セパレータ50は薄い平板状の中心部51と長手方向の両側縁に沿うリブ52とを有する。このリブ52は均一の高さを有し、重ね合わされるPCB31、32間の間隔を決定する。
【0014】
複数の接続ピン40が両PCB31、32のアライメント(位置合わせ)されたスルーホール34、35に挿入され、この特定実施例では従来方法、例えばフローソルダ技法によりスルーホール34、35の周囲のパッド(図示せず)に半田付けされPCB31、32を一定間隔で平行状態に維持して一体化する。このPCB31、32を絶縁セパレータ50を介して接続ピン40により半田付けして重ね合わせした基板組立体30は絶縁ハウジング20内に収容される。
【0015】
尚、図1には図示しないが、複数のタブ(雄型)コンタクト又はリセプタクル(雌型)コンタクトがPCB31、32の外面に植立され、PCB31、32の表面の回路トレースに半田付され、上側又は下側ハウジング20a 、20b の開口を介して電気コネクタ、ブレードヒューズ等と電気的接続される。絶縁ハウジング20a 、20b の開口のいくつかは、参照符号22で示す。電気コネクタは絶縁ハウジング20b の凹部23を介して接続可能である。
【0016】
図2は1対のPCB31、32、絶縁セパレータ50及び多数の接続ピン40より成る基板組立体30の一実施例の分解斜視図を示す。図3(A)及び(B)は夫々絶縁セパレータ50の斜視図及び正面図である。図2及び図3から明らかな如く、絶縁セパレータ50はPCB31、32と実質的に同じ寸法形状であるが僅かに幅が狭い。この絶縁セパレータ50は略平坦且つ薄い中央部51と、その長手方向両側縁に形成された均一な高さのリブ52を具え、中央平坦部51には所望形状の複数の開口53が形成されてもよい。このリブ52は重ね合わされるPCB31、32間の間隔を決定する作用をする。中央平坦部51はリブ52の中間に結合され、この中央平坦部51の両主面(表面)からリブ52が上下に等しく延びるように形成するのが好ましい。
【0017】
このように絶縁セパレータ50の寸法形状をPCB31、32の寸法形状と略同じであり僅かに狭くすることにより、両PCB31、32を一定間隔、即ち平行状態に積層すると共にリブ52の側縁に沿って接続ピン40を配置するスペースを得ることが可能である。また、絶縁セパレータ50の中央平坦部51は両PCB31、32の内面から離間すると共に、平坦部51の開口53により、両PCB31、32の発熱を効果的に放熱することが可能になる。
【0018】
接続ピン40は断面が略円形又は四角形である従来設計の棒状ピンであってもよい。斯る接続ピン40は従来の半田技術によりスルーホール34、35に半田付される。尚、この変形例として、接続ピンは特公平3−54435 号公報に開示する如く、その長手方向に分離する位置にコンプライアント(弾性)部分41、42を有する従来のコンプライアント型接続ピン40’ であってもよい。斯る変形接続ピン40’ はアライメントされたスルーホール34、35内に強制的に圧入して両PCB31、32を電気的及び機械的に一体化することによりPCB31、32と接続ピン41’ 間の半田付接続を排除し、作業性を改善することが可能である(図4参照)。コンプライアント型接続ピン40’ は圧入作業の便宜上リードイン(導入)部43及びノッチ(切り欠き)部44を有し、接続ピン40’ をスルーホール34、35に圧入後にノッチ部44で切断又は折り取るようにするのが好ましい。
【0019】
図5は本発明による基板組立体の別の実施例であって、3枚のPCB31、32、33と、2枚の絶縁セパレータ50、55より成る。この実施例の基板組立体30’ はPCB31、32間に第3のPCB33を間挿することにより、別の導電路が形成でき、導電路数を増加すると共に必要に応じて特定導電路を大きくし或は複数の導電路を並列接続して電流容量を増加し、抵抗を減少することにより発熱量を低減することが可能になる。
【0020】
図6は更に別の基板組立体の例を示す。図6(A)はPCB31’ を、(B)は絶縁セパレータ50’ を示す平面図である。これらPCB31’ 及び絶縁セパレータ50’ は非矩形状であることを特徴とする。PCB31’ と絶縁セパレータ50’ は略同一寸法形状である。PCB31’ はその長手方向の1縁に沿って接続ピンが挿入される一連のスルーホールが例えば約5mm間隔で形成されている。この実施例においても、絶縁セパレータ50’ の長手方向両側縁にリブ52’ が形成されている。
【0021】
以上、本発明のジャンクションボックス及び基板組立体の好適実施例を図示し説明したが、本発明は斯る実施例のみに限定されるものではない。従って、本発明は用途に応じて種々の変形変更が可能である。例えば絶縁セパレータのリブは全周に形成してもよく、また必ずしも連続でなく、均一な高さである限り不連続に形成されてもよい。
【0022】
【発明の効果】
上述の説明から理解される如く、本発明のジャンクションボックスは絶縁ハウジング内に収容される一体化された基板組立体を使用するので、構造が簡単であり、組立製造が容易であるので安価となる。また基板組立体は同一寸法形状の複数のPCBをリブ付き絶縁セパレータを介して重ね合わせて多数の連続ピンにより平行関係で電気的且つ機械的に一体化するので取扱が簡単である。従って、周知のPCB技術を用いて特定用途に適合するジャンクションボックスが容易且つ安価に実現可能である。また、スルーホールに沿って絶縁セパレータのリブが配置されるので、半田付作業時に異物がPCB間に侵入するのを阻止することができる等の実用上の顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるジャンクションボックスの好適実施例の分解斜視図。
【図2】本発明の基板組立体の一実施例の分解斜視図。
【図3】図2の基板組立体に使用される絶縁セパレータを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図。
【図4】コンプライアント型接続ピンを使用する基板組立体の変形例の部分断面図。
【図5】基板組立体の更に別の実施例の斜視図。
【図6】他の実施例の基板組立体の図であり、(A)はPCBの平面図、(B)は絶縁セパレータの平面図。
【符号の説明】
10 ジャクションボックス
20 ハウジング
30、30’ 基板組立体
31、31’ 、32、33 基板(PCB)
40、40’ 接続ピン
50、50’ 絶縁セパレータ
52 リブ

Claims (2)

  1. 相互に略平行関係で電気的且つ機械的に一体化された少なくとも2枚の基板を含む基板組立体と、該基板組立体を収容する絶縁ハウジングとを具備し、前記基板組立体は、前記少なくとも2枚の基板を絶縁セパレータを介して相互に重ね合わせ、前記基板の少なくとも1縁に沿って形成された多数のスルーホールに多数の接続ピンを挿入して形成されるジャンクションボックスにおいて、
    前記少なくとも2枚の基板は相互に同一寸法形状であり、
    前記絶縁セパレータは、前記基板より僅かに狭く、中央部が薄い平板状であり、両側縁に沿って延びる一定高さのリブが形成され、
    前記基板組立体は、前記少なくとも2枚の基板を前記絶縁セパレータの前記リブの高さで決まる間隔に保持して前記接続ピンにより電気的且つ機械的に一体化されていることを特徴とするジャンクションボックス。
  2. 前記接続ピンはコンプライアント型接続ピンであることを特徴とする請求項1記載のジャンクションボックス。
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