JP3605605B2 - ろう付装置及びろう付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はろう付装置に関し、特にろう付の品質に影響を与える温度要因を制御し得るろう付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の自動ろう付装置の概要を示すものであって、加熱、ろう差しステーションの平面図であり、図9は図8の自動ろう付装置の側面図である。これらの図を参照して、自動ろう付装置は、被接合部材をクランプして正確に位置決めするためのろう付治具ユニットAと、予熱バーナユニットBと、加熱ろう差しユニットCと、ろう材ワイヤ、燃焼ガスの供給ユニットDとからなる。
【0003】
ろう付治具ユニットAには、インデックステーブル32を間欠駆動する駆動モータ38と、駆動モータ38の駆動軸に接続されインデックステーブル32を正確に位置決めするインデックスギヤ28とが、ろう付装置固定テーブル51下部に固着されている。治具テーブルの中心のインデックステーブル32の上方には、軸外周をOリングシールして回転可能とするシールリング26を介して空気管73が接続され、治具クランプ等の駆動源に圧縮空気を供給する。
【0004】
インデックステーブル32上には接合部材71と被接合部材72とを同時に同軸心でクランプする治具75が配置されている。予熱バーナユニットBには、予熱用バーナ40がインデックステーブル32の中心方向に向かって前後に移動できるように配置されている。加熱ろう差しユニットCにおいては、ろう付装置固定テーブル51上に固定した駆動シリンダ48とろう付ユニットフレーム47とが連結され、ろう付ユニットフレーム47はインデックステーブル36の中心方向に向かって前後に移動できるようにガイドレール76上に配置されている。
【0005】
移動フレーム50のインデックステーブル32側の側壁部には、バーナ42として先端が2双のガスノズル30がガス管77に接続されている。ガスノズル30の先端には、複数対の加熱用トーチ69が各々対向して取付けられている。更に、ろう付ユニットフレーム47には、ノズル駆動シリンダ45が固定金具59に傾斜調整可能に連結され、ろう材供給ノズル44の先端方向は加熱用トーチ69による加熱片の中心点に照準を合わせて固定されている。被ろう付部材たる接合部材71及び被接合部材72の温度を測定するための温度センサ41が取付けられている。
【0006】
ろう材、燃焼ガスの供給ユニットDにおいては、ノズル駆動シリンダ(ろう材ワイヤシリンダ)45の駆動により、ろう材供給ノズル44が前進して接合部材71、被接合部材72のろう差し部分に接近し、ろう材ワイヤリール58a,58bの各々からワイヤ供給モータ52によってろう材ワイヤは所定量だけ繰り出される。燃焼ガスは、可燃性ガスと支燃性ガス(空気又は酸素)の各々を一定比率で混合させたものとして供給される。
【0007】
次に、図8及び図9を参照して、制御データの収集のためのテスト運転について説明する。
【0008】
図を参照して、まず予熱工程について説明する。
【0009】
投入された被ろう付部材71,72が治具75にクランプされると、インデックステーブル32が予熱バーナユニットBの位置まで回転して停止する。このテーブルの回転停止確認信号入力があると、予熱タイマが設定される。予熱タイマは後述するようにテスト運転時における同一形状及び同一材質の被ろう付部材の各々に対して複数の時間を設定することが可能となっている。
【0010】
次に予熱タイマが開始されるとともに予熱が開始される。予熱タイマが完了すると予熱が終了する。これによって予熱工程が完了する。この状態で被ろう付部材は温度が上昇するが、この温度上昇は予熱タイマの設定時間が異なることによって異なった温度上昇となっている。
【0011】
予熱されて温度が上昇した被ろう付部材たるワーク71,72は、インデックステーブル32が回転することによって加熱ろう差しユニットC側に移動する。このテーブル開転の停止を確認する信号が入力されると加熱工程に入り、まず予熱によって温度上昇したワークの温度が温度センサ41によって測定される。この測定された温度はワーク毎に記憶されることになる。
【0012】
次に加熱バーナに対して前進の指令が与えられ、且つバーナ42は「強炎」状態に設定される。加熱バーナ42の前進が終了すると、ろう材ワイヤ44の供給を行なうためのノズル駆動シリンダ45を待機させるためのタイマのカウントが開始される。
【0013】
次に、加熱バーナ42による加熱によって被ろう付部材71,72の表面が変化してきてろう付に適した温度になったと使用者に判断されると、ノズル駆動シリンダ45の供給の開始を指示するためのスイッチ操作が入力部(図示せず)を介して行なわれる。これによってノズル駆動シリンダ45の供給タイミングを規定するタイマがタイムアップする。すなわち、この時点でのタイマによるカウント時間が記憶部(図示せず)に記憶される。そしてノズル駆動シリンダ45が前進する。
【0014】
ノズル駆動シリンダ45の前進が終了すると、ろう材ワイヤ46が供給される。この時点でワイヤ46の供給時間を規定するタイマが開始する。次にワイヤ46の供給時間を規定するタイマがタイムアップすると、ノズル駆動シリンダ45が後退を開始する。そして加熱バーナ42に対しては「強炎」から「弱炎」にその火炎を変化させるとともに、加熱バーナ42に対して元の位置への復帰が指令される。
【0015】
バーナ42が初期の位置に戻るとバーナ42は点火状態に変化し、これによって加熱工程が終了する。
【0016】
以上のような予熱工程及び加熱工程に基づく処理をテスト運転時においては複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材に対して行なう。これによって被ろう付部材を加熱前の温度に基づいて所定温度まで上昇させるのに必要な加熱量を算出するための変換データを取得することができる。
【0017】
図10はこの変換データの一例を示したグラフである。
【0018】
図を参照して、横軸には時間軸がとられ、縦軸には温度がとられている。例えばテスト運転時において最初の被ろう付部材に対しては、実質的な予熱工程による予熱が行なわれず温度がt1の状態で加熱工程に入ったものとする。この場合、ろう付に適した温度がtとする。被ろう付部材の温度を観察してこの温度状態となったと判断すると、ノズル駆動シリンダ供給開始スイッチを操作する。そしてノズル駆動シリンダ待ちタイマのカウント開始からこのスイッチの操作までに要した時間をA1とすると、図に示すようにこの被ろう付部材はポイントP1の位置に該当することになる。
【0019】
次に、二番目の被ろう付部材に対して予熱が行なわれ加熱工程における加熱の開始の前の温度がt2であり、スイッチの操作までに要した時間をA2とするとこの被ろう付部材はポイントP2に該当することになる。同様にして三番目の被ろう付部材のポイントをP3、第四番目の被ろう付部材のポイントをP4、第五番目の被ろう付部材のポイントをP5とすると、これらの各点と最終的なろう付に適した温度を示す位置Zとを結ぶ曲線を変換データとして取得することができる。このようにして取得された曲線は、その被ろう付部材と同一形状及び同一材質のものすべてに対して適用可能な加熱量算出手段の変換データとなる。そして、取得した曲線から近似式を求めたり、あるいは変換テーブル等を求めてこれらを記憶部に記憶させる。
【0020】
同様の手順で他の形状や他の材質の被ろう付部材に対してもこのような変換データを各々求めて記憶させておけばよい。又、夏と冬等の季節の相違によって雰囲気温度が大きく変わり、同一加熱量による加熱バーナによって加熱してもその温度上昇が異なる場合には、それぞれの雰囲気温度の条件に応じて同様の変換データを取得するようにしておけば、より木目細かな加熱制御が可能となる。
【0021】
図11は図8及び図9に示す付け装置の予熱工程及びろう付加熱工程における各動作の1サイクルタイムにおけるタイムチャートを示した図である。
【0022】
図を参照して、ろう付加熱工程にノズル駆動シリンダの送出待ちの基点をT1とし、ろう材ワイヤシリンダの送出時点をT2とすると、使用者によってスイッチ操作されたタイミングはT2となる。又、ノズル駆動シリンダ待ちタイマの開始時点はT1となることから、記憶されたタイマのカウント時間は図11においてTの時間に対応したものとなる。尚、ノズル駆動シリンダの送出が開始されると、ろう材ワイヤの供給のタイミングT3までに要する時間Sは装置によって一定の時間が設定されている。従って時間Tを規定することによって、加熱バーナが強炎状態になってからろう材ワイヤが供給されるまでの時間が実質的に定まることになる。
【0023】
次に、テスト運転によって得られた変換データに基づいて制御される通常運転の流れについて説明する。
【0024】
予熱工程にあっては予熱が行なわれるが、この予熱工程においては特に制御は不要であり、装置の雰囲気温度等に係らず一定の加熱量の予熱用バーナ40で一定時間予熱しておけばよい。
【0025】
次に加熱工程に入ると、予熱工程によってある程度温度が上昇した被ろう付部材の温度が温度センサ41によって測定される。このときの温度をxとすると、図10に示すようにこの被ろう付部材のポイントは曲線20と温度xとの交点Pの位置となる。このポイントPが定まると、ろう付に適した温度tに達するまでに要する時間Xがこの温度曲線20から算出されることになる。これによってノズル駆動シリンダの送出待ち時間Tが設定される。
【0026】
次に、加熱バーナに対して前進の指令が与えられ火炎は「強炎」に設定される。そしてバーナが先端まで移動するとノズル駆動シリンダ供給の待ちタイマが開始される。設定された時間Tまでノズル駆動シリンダ待ちタイマがカウントしタイムアップすると、ノズル駆動シリンダが前進を開始する。
【0027】
ノズル駆動シリンダが前進まで移動するとワイヤが供給され、ワイヤ供給タイマがタイムアップするとノズル駆動シリンダが後退を開始し、加熱バーナには元の位置への復帰の指令が与えられ、且つその火炎が「弱炎」に設定される。そして加熱バーナの元の位置への復帰が完了すると、火炎は点火状態に変化し加熱工程が終了する。
【0028】
このように各被ろう付部材毎に加熱前の温度が測定され、図10の変換データによってノズル駆動シリンダの送出タイミングが自動的に設定されてこれによってろう付は制御される。従ってろう材ワイヤが供給されるタイミングにおいて常に被ろう付部材の温度が所定温度に達していることになり、ろう付品質を低下させる虞はない。しかもこの送出タイミングはろう付に適した温度に到達した時点に対応しているため、必要以上の加熱をすることはなく、ろう付に要する時間を適切に短縮することができる。このため、加熱バーナの不必要な加熱がないため、加熱バーナに供給される可燃性ガス等の無駄な消費を押えることにもなる。
【0029】
又、被ろう付部材の形状、材質等が変わった場合には、その被ろう付部材に対する変換データを記憶部から読み出すことによって適切なろう付タイミングが制御されることになる。
【0030】
【特許文献1】
特開2002−45990号公報(第4−6頁、図2、図3、図5、図6)
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなろう付装置にあっては、投入される被ろう付部材の条件等にろう付品質が影響されないろう付を可能とする優れた効果を奏する。
【0031】
しかしながら、このろう付を制御する基となる変換データは、上述のように人間が設定するものである。このため、実際にはこの変換データに基づいたろう付の結果から、変換データを見直す必要があり、場合によってはその都度これを変更したり、修正したりしなければならない。すなわち、これはこの変換データが最も適した設定となっているかの判定が容易にできないことを意味する。
【0032】
更に、全く同一材質、同一形状のろう付部材であっても、雰囲気温度の変化やその表面状態の変化があると、別の変換データを用いる必要があるが、この判断は人為的にせざるを得ず、必ずしも使い勝手が良いとはいえなかった。
【0033】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、人為的な判断に影響されずに適切なろう付を常に可能とするろう付装置及びろう付方法を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被ろう付部材の温度を検出する検出手段と、被ろう付部材を加熱する加熱手段と、検出された温度に基づいて、被ろう付部材を所定温度となるように加熱手段の加熱量を算出する算出手段と、所定温度となった被ろう付部材によって定まる、必要量のろう材の供給時間を設定する設定手段と、算出された加熱量で加熱するように加熱手段を制御する制御手段と、加熱手段によって加熱された被ろう付部材を、ろう材を供給してろう付するろう付手段と、ろう付手段によって実際に必要量のろう材が供給された時間を測定する測定手段と、測定された時間と設定された時間との相違に基づいて、これらの時間が一致するように算出手段を修正する修正手段とを備えたものである。
【0035】
このように構成すると、修正手段は、実際のろう材の供給時間と設定された供給時間との差に基づいて算出手段を修正する。
【0036】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、算出手段は、被ろう付部材をその温度に基づいて所定温度まで上昇させるのに必要な加熱量を、異なった形状又は異なった材質の被ろう付部材毎に保有し、修正手段は、ろう付された被ろう付部材に対して保有された加熱量を修正するものである。
【0037】
このように構成すると、修正手段は、異なった被ろう付部材毎に保有されている加熱量を修正する。
【0038】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、修正手段は、1つの被ろう付部材のろう付が終了する毎に算出手段を修正するものである。
【0039】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、修正手段は、複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材のろう付が終了する毎に算出手段を修正するものである。
【0040】
請求項5記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、算出手段は、テスト運転時において複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材を準備し、予熱手段によって各々異なった温度に予熱してこれを検出手段にて検出し、予熱された温度から加熱手段による加熱によって所定温度となるまでに要する加熱時間を各々測定し、検出された各々の温度と、これに対応する加熱時間の各々とによって規定される変換データを取得し、変換データに基づいて通常運転時に検出された被ろう付部材の温度から加熱量を算出し、修正手段は取得された変換データを修正するものである。
【0041】
このように構成すると、実際の被ろう付部材と同一のものによって変換データが規定されるとともに、修正手段はこれを修正する。
【0042】
請求項6記載の発明は、所定温度となった被ろう付部材によって定まる必要量のろう材の供給時間を設定する設定工程と、被ろう付部材を所定温度になるように加熱する加熱工程と、加熱された被ろう付部材をろう付するろう付工程と、ろう付工程における、実際のろう材の供給時間を測定する測定工程とを備え、
設定された供給時間と測定された供給時間との差に基づいて、これらの供給時間が一致するように次の同一形状、同一材質のろう付部材に対する加熱工程における加熱を制御するものである。
【0043】
このように構成すると、設定された供給時間と測定された供給時間との差に基づいて、次のろう付の加熱が制御される。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、実際のろう材の供給時間と設定された供給時間との差に基づいて、これらの時間が一致するように算出手段を修正するため、実際のろう付部材の状況に応じて修正された適切な加熱が可能となり、ろう付の品質を向上する。
【0045】
又、理想のろう材の供給時間を設定するだけで、ろう材の加熱が適切に制御されるため使い勝手が良い。更に、温度の検出環境が変化した場合にあっても、常に適切な加熱量が制御されるため、装置の信頼性が向上する。
【0046】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、修正手段は異なった被ろう付部材毎に保有されている加熱量を修正するため、どの被ろう付部材に対しても適切なろう付が可能となる。
【0047】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、修正手段は、1つの被ろう付部材のろう付が終了する毎に算出手段を修正するため、実際のろう付が進む毎に、その結果が直ちに算出手段に反映されることになり、効果の発揮が迅速となる。
【0048】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、修正手段は、複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材のろう付が終了する毎に算出手段を修正するため、全体的なろう付の結果の傾向が算出手段に反映されることになり、安定した効果が発揮される。
【0049】
請求項5記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、加熱前の被ろう付部材の温度にばらつきがあっても、実際のろう付の結果に基づいて適切に加熱されるため、ろう付の品質が確実に向上する。
【0050】
請求項6記載の発明は、設定された供給時間と測定された供給時間との差に基づいて、これらの供給時間が一致するように次のろう付の加熱が制御されるため、実際のろう付部材の状況に応じて修正された適切な加熱が可能となり、ろう付の品質を向上する。又、温度の検出環境が変化した場合にあっても、常に適切な加熱量が制御されるためろう付の信頼性が向上する。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるろう付装置の概略構成を示したブロック図である。
【0052】
図を参照して、ろう付装置11は制御部13を中心として構成され、この制御部13に接続する、被ろう付部品12に対してワイヤ18を供給するろう材供給部15と、ろう材供給部15に対してワイヤ18を送り出すためのワイヤ送出部31と、被ろう付部品12のろう付箇所を所定温度に加熱するためのバーナ39と、バーナ39によって加熱された箇所の温度を測定するための温度センサ41と、ろう材供給部15からの被ろう付部品12に対するワイヤ18の供給量及び供給時間を設定するための入力部43とから構成されている。他の構成については、図8及び図9で示した従来例と同一であるので、ここでの説明は繰り返さない。
【0053】
ろう材供給部15は具体的には、筒形状を有し、その軸方向にワイヤ18を挿通自在に保持してワイヤ18を被ろう付部品12のろう付箇所に案内するためのノズル17を中心として構成されている。ノズル17は一対のスライドベアリング19a,スライドベアリング19bによって、その軸方向に移動自在に保持されている。
【0054】
スライドベアリング19a,スライドベアリング19bはフレーム21に固定され、フレーム21はエアシリンダ22によってノズル17の軸方向と同一方向に移動可能なように構成されている。すなわち、ろう材供給部15の移動機構となるエアシリンダ22は、制御部13からの制御信号に基づいて、フレーム21の位置、すなわちノズル17を被ろう付部品12に対して近づけたり遠ざけたりするように移動させる。
【0055】
ノズル17の胴部には円盤状の被付勢部材24が固定されており、この被付勢部材24とスライドベアリング19bとの間には、付勢手段となるコイルバネ25が取り付けられている。すなわち、コイルバネ25によって被付勢部材24が固定されたノズル17は、その軸方向において被ろう付部品12に近づく方向に常時付勢されている。
【0056】
この実施の形態にあっては、ノズル17は被ろう付部品12に対してその先端が下方となるように傾斜した状態で取付けられているため、常時ノズル17は被ろう付部品12に向かって重力的に付勢されていることになる。しかし、ろう付装置によっては、ノズル17を水平方向やあるいはその先端が上方となるような姿勢で設置せざるを得ない場合がある。このようなときであっても、コイルバネ25が取付けられているため、ノズル17の先端方向への付勢状態を維持できる。したがって、このコイルバネ25の設置によって、ノズル17の設置水平度の制約が緩和され、ろう付装置の設計が容易となる。
【0057】
またスライドベアリング19bの後方のノズル17の部分には、位置センサ27によってその位置が検出される円盤状の被検出体23が固定されている。この被検出体23はスライドベアリング19bのノズル17のための開口より大きく形成されているため、コイルバネ25の付勢力があっても被検出体23がスライドベアリング19bに当接すると、ノズル17の被ろう付部品12に向かう方向への移動は停止される。位置センサ27はノズル17の後方部に固定されている被検出体23の位置を検出し、この検出結果を制御部13に送信する。
【0058】
ワイヤ送出部31は、ワイヤリール36から引出されたワイヤ18にその両側から接して回転する一対の送りローラ34a,送りローラ34bと、送りローラ34aに接続され、制御部13の制御信号に基づいてその駆動が制御されるモータ33と、送りローラ34bに接続され、送りローラ34bの回転に基づいてワイヤ18の送り出し量をカウントするためのエンコーダ35とから構成されている。
【0059】
エンコーダ35によってカウントされたワイヤ18の送り出し量は、常時制御部13に送信されている。尚、ワイヤ送出部31から送出されたワイヤ18はろう材供給部15のノズル17の後端に挿通されるが、この間のワイヤ18はチューブ29内部に挿通されている。
【0060】
チューブ29は可撓性を有しかつその軸方向に伸縮しない材料によって構成されており、その一端はノズル17の後端部に接続され、その他端はワイヤ送出部31のモータ33に固定されている固足片37に接続されている。このようにチューブ29が構成されているため、ワイヤ送出部31から送出されたワイヤ18はチューブ29と一体となって変形する。尚、この実施の形態では、チューブ29の他端はモータ33に固定された固定片37に取付けられているが、その取付け個所はこれに限らず送りローラ34a,送りローラ34bからの位置が常に一定である個所に固定しても良い。
【0061】
被ろう付部品の予熱が終了して、バーナ39は制御部13の制御の下でろう付動作が開始すると、被ろう付部品12のろう付箇所を所定温度に上昇させるために、被ろう付部品12に接近してその部分を加熱する。温度センサ41はバーナ39によって加熱される前の被ろう付部品12の部分の温度を検知し、その検知結果を制御部13に送信する。これによって制御部13は図10で示した変換データに基づいてその検知温度が例えばろう付に適した温度となるまでの所要時間を算出する。その所要時間の経過時点で、ろう材供給部15に前進の指示を出す。入力部43は被ろう付部品12のサイズ、構造等に応じて定まる供給すべきワイヤ18の量と、このワイヤの量を基にして適切なろう付温度において定まるワイヤの供給時間とを前もって設定するために用いられる。これによって後述するように過剰なワイヤ18の供給が阻止され、ろう付の品質を向上するとともに変換データの適切な修正が可能となる。
【0062】
図1にあっては、ろう材供給部15は被ろう付部品12に対して離れた位置となるように制御されているが、これは、被ろう付部品12のろう付箇所の温度が未だろう付に適していない温度となっている状態を示しているものである。この場合、ろう材供給部15は被ろう付部品12から離れさせることにより、バーナ39による加熱の影響をノズル17の先端から出ているワイヤ18に対して与えることを少なくしている。
【0063】
図2は図1で示したろう付装置において、被ろう付部品12のろう付箇所の温度がろう付に適した温度となった場合のろう材供給部15の位置を示した概略図である。
【0064】
図を参照して、所要時間のバーナ39の加熱によって被ろう付部品12のろう付箇所が所定温度となるタイミングに到達すると、制御部13はこの検出信号を受けてエアシリンダ22に対して指示を送るとともに、ワイヤの供給時間を測定するタイマのカウントを開始させる。これによってエアシリンダ22が作動し、フレーム21は矢印に示す方向に移動する。スライドベアリング19a,スライドベアリング19bはフレーム21に固定されており、又、ノズル17に固定されている被付勢部材24はコイルバネ25によって被ろう付部品12に向かう方向に付勢されているため、ノズル17は被ろう付部品12に対して最も近づく位置に移動することになる。この位置においてノズル17の先端から突出ているワイヤ18の被ろう付部品12までの長さが、ろう付に際して理想の長さとなるように、ノズル17の最先端位置が予め設定されている。
【0065】
この最先端位置にノズル17が移動すると、ノズル17の後方部に固定されている被検出体23も同様に前方に移動し、この位置を位置センサ27が検出することになる。位置センサ27の被検出体23に対する検出信号が制御部13に入力されると、制御部13はこれに応答してモータ33を駆動させる。これによってモータ33に接続している送りローラ34aが回転し、ワイヤリール36に巻回されているワイヤ18を送り出す。この時、送りローラ34aに対してワイヤ18を介して反対側に位置する送りローラ34bも、この送り出しに伴って回転する。この回転数をエンコーダ35はカウントし、そのカウント結果を制御部13に送信する。
【0066】
送りローラ34aによって送出されたワイヤ18はチューブ29内に向かうが、ワイヤ18の先端、すなわち被ろう付部品12に接した部分が溶け出していない段階では、送り出しの前に比べて固定片37の位置とワイヤ18の先端までの長さはモータ33の駆動によって送り出された分だけ長くなることになる。一方、チューブ29は可撓性は有しているが、その軸方向には伸縮しない材料によって構成されている。又、金属材料よりなるノズル17の軸方向の長さも一定である。すなわち、ノズル17とチューブ29とを加えた長さは常時一定となる。
【0067】
従って、ワイヤ18の送出された分の長さだけノズル17は矢印で示す方向に、ワイヤ18の先端に対して後退するように移動する。そしてノズル17はスライドベアリング19a,スライドベアリング19bによってその軸方向に移動自在なように保持されているので、ノズル17はコイルバネ25による前方への付勢力に抗して後方にスムーズに移動することになる。
【0068】
図3は図2の状態からノズル17が後方に移動した状態を示した概略図である。
【0069】
図を参照して、ワイヤ18の送り出しによってノズル17が被ろう付部品12に対して後方に移動すると、被検出体23もそれに伴って後方に移動する。従って被検出体23は位置センサ27によって検出されない状態となり、この信号が制御部13に送信される。制御部13はこの信号に応答して、モータ33の駆動を停止させる。これによってワイヤ18のそれ以上の送り出しは阻止される。
【0070】
この状態でノズル17の先端から突出ているワイヤ18が溶け出すことになる。ワイヤ18の先端が溶け出すと、ノズル17自身はコイルバネ25によって前方方向に対して常に付勢されているため、ノズル17はワイヤ18が溶けた分だけ前進することになる。
【0071】
そしてワイヤ18の先端が溶けてノズル17の先端からのワイヤ18の突出し長さが図2に示した長さと同一となると、図2に示した状態にろう材供給部15の位置は変化する。すると位置センサ27は被検出体23を検出し、この検出信号に応答して制御部13はモータ33を再度駆動させ、ワイヤリール36からワイヤ18を再度送り出すことになる。このモータ33のON,OFFの繰り返しによって、ノズル17からのワイヤ18の突出し長さはほぼ一定の好ましい状態でろう付が進行することになる。
【0072】
ここで、モータの駆動能力は、その回転によって送り出されるワイヤ18の送り出し量が、ろう付によってワイヤ18の先端の溶ける量以上となるように設定されている。ワイヤの送り出し量が溶ける量より少ないと、ワイヤ18は被ろう付部品12に常時接せずに間欠的に接することになり、良好なろう付が得られないからである。尚、被ろう付部品12の材質、寸法等によってろう材たるワイヤの溶ける量が一定でないことを考慮すると、モータ33の回転数を可変にできるように構成し、その回転数を被ろう付部品12にあわせて入力部43から設定できるようにすれば、より使い勝手が向上する。
【0073】
そしてエンコーダ35によってカウントされたワイヤ18の送り出し量が、入力部43によって設定されたワイヤ18の使用量に相当するものになると、まず制御部13はモータ33の駆動を停止させる。そして、図3から図2の状態となって位置センサ27による被検出体23の検出信号に応答して、制御部13はろう付作業が完了したものと判断する。又、この被検出体23の検出信号に応答して、ワイヤの供給時間を測定するタイマのカウントを停止させてワイヤの実際の供給時間を測定する。
【0074】
次に、制御部13はエアシリンダ22に信号を送り、図2の状態から図1に示した状態にろう材供給部15を移動させる。その後制御部13の制御の下でバーナ39による被ろう付部品12の後熱処理等が行なわれてろう付作業は完了する。
【0075】
尚、制御部13がエンコーダ35によってカウントされた送り出し量の確認のみをもってろう付作業を完了とせずに、それに続く位置センサ27の被検出体23に対する検出信号をもってろう付作業を完了とするのは以下の理由による。すなわち、最後に送り出されたワイヤ18の送出分はエンコーダ35によってカウントされても、図3の状態となっていれば、その送出分が実際のろう付として消費されていないからである。それに続く図2の状態となって初めて、エンコーダ35によってカウントされたワイヤ18の送出分がすべて被ろう付部品12のろう付に使用されたことになるからである。
【0076】
次に、この発明の第1の実施の形態によるろう付装置における温度制御について説明する。
【0077】
図4は被ろう付部材の温度とろう材供給時間との関係を示した図である。
【0078】
図を参照して、縦軸には、温度センサによって測定される被ろう付部材の温度が採られ、横軸には、ろう付個所に供給されるろう材の供給時間が採られている。図は、被ろう付部材の温度が上昇するにつれて、ろう材(ワイヤ)の供給時間が短くなる傾向を示している。ここで、ろう材の必要量は、被ろう付部材の形状、材質等によって一義的に定まるものである。従って、一定量のろう材は被ろう付部材の温度が高まるほど溶ける速度も速くなり、結果としてその供給時間が短くなる。
【0079】
ろう付の品質の保持の観点からは、被ろう付部材に応じてろう付に適切な温度が定まっている。これを設定温度として設定した、図においてポイントXの位置が、その被ろう付部材にとって理想的なろう付の温度条件となる。設定温度が定まると、ろう材の必要量は上述のように被ろう付部材の形状によって所定量に定まる。そして、設定温度における溶ける速度が一定であることから、ろう材の供給時間が設定時間として定まることになる。
【0080】
これは逆に言えば、必要量のろう材の実際の供給時間が設定時間に一致する時、被ろう付部材の温度は理想的な設定温度になっていることを意味する。被ろう付部材の温度の測定は正確に行うことが困難であっても、ろう材の溶ける速度は実際の被ろう付部材の温度によるものであるから、ろう材の供給時間を設定時間に合致するように加熱制御すれば結果的に理想的なろう付が可能となる。
【0081】
そこで、この実施の形態におけるろう付装置にあっては、ろう材(ワイヤ)の実際の供給時間を測定しているものである。
【0082】
図5はろう材の供給時間の測定結果を示した図である。
【0083】
図を参照して、縦軸には、バーナによる加熱前の被ろう付部材を温度センサで測定した温度であり、横軸には、図4で示した設定時間を中心としてこの設定時間に合致したものを(0)とし、設定時間より実際の供給時間が長いものを(+)とし、設定時間より実際の供給時間が短いものを(−)としている。
【0084】
図においては、同一形状、同一材質の4つの被ろう付部材についての測定結果が示されている。ポイントAで示す被ろう付部材にあっては、加熱前の温度がt1であり、ろう材の供給時間が設定時間よりL1だけ短いことを示している。同様にポイントB、C及びDで示す被ろう付部材の各々についても、加熱前の温度と設定時間との関係が示されている。
【0085】
このろう材の実際の供給時間の測定結果から、図10で示した変換データ曲線が適切なものであるかを判定することができる。例えば、図5のポイントAで示す被ろう付部材にあっては、上述のように設定時間より短い時間でろう材の供給が終了していることを意味している。すなわち、加熱前の被ろう付部材の温度t1に基づく加熱時間(加熱量)が必要以上に長いため、ろう付開始時においてろう付個所の温度が設定温度を超えてしまっているものと思われる。従って、この結果から温度t1における変換データ曲線を設定温度に到達するまでに必要とする時間を短縮化するように修正する必要がある。
【0086】
ポイントBにおいても同様のことがいえ、ポイントC及びDにおいては、逆に変換データ曲線を設定温度に到達するまでに必要とする時間を延長化するように修正する必要があると言える。
【0087】
図6は図5において示されたろう材の測定結果から変換データを修正する場合の方法を示した図である。
【0088】
図を参照して、縦軸は加熱前の被ろう付部材の温度が採られ、横軸にはろう付に適した温度まで上昇するのに要する時間が採られ、修正前の変換データが破線で修正後の変換データが実線で示されている。
【0089】
例えば、図5でポイントDで示した被ろう付部材の測定結果に基づいて修正する方法について説明する。この被ろう付部材にあっては、加熱前の測定温度はt4であるため修正前の変換データにおいてはポイントD1の位置となる。従って、設定温度tに到達するまでに必要な加熱時間はYとなり、この加熱時間によってその被ろう付部材は加熱されることになる。その結果、設定温度に達しない状態でろう付が開始され、ろう材の供給時間がL4だけ長くなってしまったことになる。
【0090】
従って、ポイントD1の位置は、必要な加熱時間をより長くする必要からポイントD2の位置に変更されることになる。このポイントD1とポイントD2との差Mは、図5に示した設定時間とのずれ量L4に関連した値となるため、例えばこのL4に所定の係数等を掛けることによって算出すれば良い。
【0091】
同様にして、ポイントA、B及びCについても修正の位置A1、B1及びC1から修正後の位置A2、B2及びC2を得ることができる。そして、修正後の位置A2、B2、C2及びD2に基づいて記憶されている変換データ曲線を修正し、以後この修正後の変換データ曲線を用いて同一形状、同一材質の被ろう付部材のろう付を行なえば、より適切な温度条件でのろう付が可能となり、ろう付の品質を向上させる。
【0092】
尚、以後のろう付においてもその結果を順次図6の要領で変換データ曲線に反映させることができるため、仮に図5で示す設定時間とのずれ時間の図6への変換への係数が適切でなくても、最終的には本来あるべき変換データ曲線に近づくことになるため信頼性が損なわれない。
【0093】
尚、変換データ曲線の修正は上述のように複数の被ろう付部材のろう付が終了したタイミングでこれらの図5のデータを直線近似等し、これに所定の係数を掛けて変換データ曲線に反映させても良いが、1つの被ろう付部材のろう付が終了する毎に所定の係数を掛けて反映させるようにしても良い。
【0094】
又、上述のようにこの実施の形態によれば、実際のろう材の供給時間に基づいて適切な変換データ曲線を得ることができる。そのため、従来のように当初の変換データ曲線を得るためのテスト運転は不要となり、仮の変換データ曲線又は変換データ直線を設定しておき、テスト運転時においてこれを上述のように修正するようにすれば、人為的な判断は無くてもテスト運転終了時には適切な変換データ曲線(直線)を確実に取得することができる。
【0095】
図7は図1から図6に示したろう付装置の制御部の具体的な制御内容を示したフローチャートである。
【0096】
図を参照して、ろう付作業の開始が指示されると、まずステップS51において入力部43からろう材の供給時間が設定される。この時間は、上述のように、被ろう付部材の形状や材質等によって理想的なものとして予め決まるものである。ろう材の供給時間の設定がなされると、制御部13は図示しない記憶部からそのろう付部材に応じた温度曲線を読み出す(S52)。尚、この温度曲線は前もって記憶されているものを読み出しても良いが、代表的な温度曲線を複数用意しておき、これを適当に選択して仮の温度曲線として設定しても良い。
【0097】
次に温度センサ41は被ろう付部材のろう付部の温度を測定する。尚、このろう付装置において予熱工程を設けているものであれば、予熱後の被ろう付部材の温度を測定することになる(S53)。測定された温度から上述の温度曲線を用いてバーナ39による加熱時間を算出する(S54)。そしてバーナ39による加熱を算出された加熱時間だけ行った後(S55、S56)、ろう材(ワイヤ18)を被ろう付部材のろう付個所に向けて供給する(S57)。ろう材の供給が終了すると(S58でYES)、制御部13はろう材の実際に供給されていた時間を算出する(S59)。
【0098】
次に、設定された理想的なろう材の供給時間と実際に供給された時間とを比較する(S60)。これらの時間が一致していない時には、上述のようにこれらの時間が一致するように、設定された温度曲線を修正する(S62)。一方、これらの時間が一致している場合は温度曲線の修正は行われない。
【0099】
次のろう付がある場合には(ステップS61でYES)、新たに温度曲線を読み出して以下同様の動作を行なう。尚この新たに読み出された温度曲線は、前回のろう付で修正された場合にはその修正後のデータを意味するものである。一方、次のろう付がない場合にはろう付作業は終了するが、温度曲線が修正された場合には修正後のデータが修正前のデータに対して上書き保存された状態となる。
【0100】
尚、ろう付作業は終了しないが、被ろう付部材の形状等が変わった場合には、ステップS51のろう材の供給時間の設定から新たに始めるように制御部13は制御する。
【0101】
又、上記の実施の形態では、ろう材(ワイヤ)の供給時間の測定はノズルの移動に基づいて測定しているが、ワイヤリールからの供給側で測定したりする等の他の測定方法を用いても良い。
【0102】
更に、上記の実施の形態では、被ろう付部材に対して予熱しているが、この予熱工程は必ずしも必要なものではない。その場合、バーナによる加熱の開始前の被ろう付部材の温度を測定し、この温度に基づいて加熱時間を制御するように構成すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるろう付装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】図1で示したろう付装置のブロック図において、ろう材供給部が前進した状態を示した図である。
【図3】図2で示したろう付装置のブロック図において、ワイヤが送り出された状態を示した図である。
【図4】図1に示したろう付装置において、被ろう付部材の温度とろう材の供給時間との関係を示した図である。
【図5】図1で示したろう付装置において、ろう材の供給時間の測定結果の一例を示した図である。
【図6】図5において示されたろう材の供給時間の測定結果から変換データを修正する場合の方法を示した図である。
【図7】図1で示したろう付装置の制御部の具体的な制御内容を示したフローチャートである。
【図8】従来のろう付装置の平面部である。
【図9】図8で示したろう付装置の側面図である。
【図10】図8のろう付装置において、テスト運転時において得られた被ろう付部材を所定温度まで上昇させるのに必要な加熱量を算出するための変換データを示した図である。
【図11】図8で示したろう付装置において、予熱工程及びろう付加熱工程における各動作の一サイクルタイムにおけるタイムチャートを示した図である。
【符号の説明】
11…ろう付装置
12…被ろう付部品
13…制御部
15…ろう材供給部
18…ワイヤ
23…被検出体
27…位置センサ
33…モータ
39…バーナ
41…温度センサ
43…入力部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (6)
- 被ろう付部材の温度を検出する検出手段と、
前記被ろう付部材を加熱する加熱手段と、
前記検出された温度に基づいて、前記被ろう付部材を所定温度となるように前記加熱手段の加熱量を算出する算出手段と、
前記所定温度となった被ろう付部材によって定まる、必要量のろう材の供給時間を設定する設定手段と、
前記算出された加熱量で加熱するように前記加熱手段を制御する制御手段と、
前記加熱手段によって加熱された被ろう付部材を、ろう材を供給してろう付するろう付手段と、
前記ろう付手段によって実際に前記必要量のろう材が供給された時間を測定する測定手段と、
前記測定された時間と前記設定された時間との相違に基づいて、これらの時間が一致するように前記算出手段を修正する修正手段とを備えた、ろう付装置。 - 前記算出手段は、
被ろう付部材をその温度に基づいて前記所定温度まで上昇させるのに必要な加熱量を、異なった形状又は異なった材質の被ろう付部材毎に保有し、
前記修正手段は、
ろう付された被ろう付部材に対して前記保有された加熱量を修正する、請求項1記載のろう付装置。 - 前記修正手段は、1つの被ろう付部材のろう付が終了する毎に前記算出手段を修正する、請求項2記載のろう付装置。
- 前記修正手段は、複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材のろう付が終了する毎に前記算出手段を修正する、請求項2記載のろう付装置。
- 前記算出手段は、
テスト運転時において複数の同一形状、同一材質の被ろう付部材を準備し、予熱手段によって各々異なった温度に予熱してこれを前記検出手段にて検出し、前記予熱された温度から前記加熱手段による加熱によって前記所定温度となるまでに要する加熱時間を各々測定し、前記検出された各々の温度と、これに対応する前記加熱時間の各々とによって規定される変換データを取得し、前記変換データに基づいて通常運転時に検出された被ろう付部材の温度から前記加熱量を算出し、
前記修正手段は前記取得された変換データを修正する、請求項2から請求項4のいずれかに記載のろう付装置。 - 所定温度となった被ろう付部材によって定まる必要量のろう材の供給時間を設定する設定工程と、
前記被ろう付部材を前記所定温度となるように加熱する加熱工程と、
前記加熱された被ろう付部材をろう付するろう付工程と、
前記ろう付工程における、実際のろう材の供給時間を測定する測定工程とを備え、
前記設定された供給時間と前記測定された供給時間との差に基づいて、これらの供給時間が一致するように次の同一形状、同一材質のろう付部材に対する前記加熱工程における加熱を制御する、ろう付方法。
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