JP3604805B2 - 吸収式冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンモニア、リチウム・ブロマイドなどの水溶液を作動液として用いた吸収式冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニア、リチウム・ブロマイドなどの水溶液(作動液)を用いた吸収式冷凍装置は、水溶液を発生器で加熱してアンモニアなど冷媒の蒸気を発生させ、この冷媒の蒸気を凝縮器で液化させ、膨張弁を経て低圧の蒸発器に流し込み、冷凍作用を行わせる。蒸発器で再び蒸発した冷媒は、吸収器において、冷媒の蒸発により希薄になった作動液を発生器から吸収液として供給して吸収器内で吸収させる。この冷媒(アンモニアガス)の吸収により高濃度となった作動液をポンプで再び発生器に循環させる。
【0003】
この吸収式冷凍装置を小型、軽量化して家庭用の空調・給湯装置に適用することが望まれており、発生器の加熱源としてバーナを使用する。
ここで、従来の発生器の構造を図8および図9に示す。従来の発生器100は、円筒容器形状を呈した筒状壁101と、この筒状壁101の周囲を覆う外枠101Aと、筒状壁101の下端に設けられて下方のバーナBで発生した燃焼ガスで内部の作動液を加熱する加熱板102と、筒状壁101の上端に設けられた蓋(図示しない)とを備える。
【0004】
また、発生器100は、バーナで発生した燃焼ガスを加熱板102から筒状壁101内に導いて、内部の作動液を加熱する複数の煙筒104を備える。この複数の煙筒104は、筒状壁101に対して平行に延びるそれぞれの主煙筒104Aと、この主煙筒104Aに対して略直角方向に曲げて設けられて、燃焼ガスを筒状壁101の周囲の外枠101A内へ導くそれぞれの外導煙筒104Bとからなり、この外導煙筒104Bは筒状壁101に対して直角である法線方向に挿入されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の煙筒104は、バーナで発生した燃焼ガス、および高圧の作動液に晒されるため、耐圧、耐腐蝕性に優れた所定厚み以上(例えば、1mm)のステンレスなど、急激に曲げることの困難な材料よりなる管(例えば、厚さ1mm、外径10mm)を略直角に曲げて(例えば、曲げコーナーの半径が15mm)、主煙筒104Aと、外導煙筒104Bとを、コーナー部104Cを介して設けている。
【0006】
一方、コーナー部104Cは、曲げ加工の際に偏平な楕円形状になってしまうため、筒状壁101に挿入される部分が曲がコーナー部104Cであると、筒状壁101に穴明け加工で形成した挿入用の穴は真円であるため、真円の穴と楕円のコーナー部104Cとの間に隙間が生じ、溶接等で接合したとき、その接合箇所で漏れが発生し易くなる。従って、筒状壁101に挿入される部分の外導煙筒104Bは、必ず直管形状でなければならない。
【0007】
このため、煙筒104のコーナー部104Cが筒状壁101に到らないようにすると、主煙筒104Aを筒状壁101に近づけることができず、最も外側の主煙筒104Aと筒状壁101との距離を大きくする必要があるため(従来では12mm)、結果的に筒状壁101が大径化したり、あるいは筒状壁101内に配置される煙筒104の本数が減少して筒状壁101内における作動液の加熱面積が小さくなる不具合があった。
【0008】
なお、発生器100は、煙筒104から筒状壁101の周囲の外枠101A内に導かれた燃焼ガスによって筒状壁101内の作動液を加熱するように設けられるが、装置のコンパクト化のために筒状壁101の径を小さく設ける場合、上述のように筒状壁101内に配置される煙筒104の本数が少なくなり、煙筒104による作動液の加熱量が不十分となる。このため、筒状壁101の外周と外枠101Aとの間に銅製のコルゲートフィン105を多数設けて、筒状壁101の外側から作動液を加熱する割合を高めているが、銅製コルゲートフィンを筒状壁101の周囲に設けることにより、発生器100の重量が大変重くなってしまう。また、煙筒104の本数が少ないと、煙筒104の1本当たりの加熱量が大きくなり、作動液の加熱むらが大きくなって、作動液が突沸する不具合も発生する。
【0009】
【発明の目的】
この発明の目的は、発生器の筒状壁内に配置できる煙筒の数を増やして筒状壁内における作動液の加熱割合を増やし、発生器を小型、軽量化することのできる吸収式冷凍装置の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の吸収式冷凍装置は、上記の目的を達成するために、次の技術的手段を採用する。
〔請求項1の手段〕
吸収式冷凍装置は、冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備える。
【0011】
そして、前記発生器は、略円筒容器形状を呈した筒状壁、この筒状壁の一端に設けられ、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板、および前記筒状壁の他端に設けられた蓋を備えるとともに、前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導くとともに、前記筒状壁内に導かれた燃焼ガスを、前記筒状壁の周囲へ排出する複数の煙筒を備える。
【0012】
さらに、前記複数の煙筒は、前記筒状壁に対して平行に延びるそれぞれの主煙筒と、この主煙筒に対して曲げて設けられ、前記主煙筒内に導かれた燃焼ガスを前記筒状壁の周囲へ導くそれぞれの外導煙筒とからなり、
この外導煙筒は、その先端に形成した直管状部が前記筒状壁への法線方向に対して周方向に角度を設けることによって斜めに挿入されてなる。
【0013】
〔請求項2の手段〕
吸収式冷凍装置は、冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備える。
【0014】
そして、前記発生器は、略円筒容器形状を呈した筒状壁、この筒状壁の一端に設けられ、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板、および前記筒状壁の他端に設けられた蓋を備えるとともに、前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導くとともに、前記筒状壁内に導かれた燃焼ガスを、前記筒状壁の周囲へ排出する複数の煙筒を備える。
【0015】
さらに、この複数の煙筒は、前記筒状壁に対して平行に延びるそれぞれの主煙筒と、この主煙筒に対して曲げて設けられ、前記主煙筒内に導かれた燃焼ガスを前記筒状壁の周囲へ導くそれぞれの外導煙筒とからなり、この外導煙筒は、その先端に形成した直管状部が前記筒状壁への法線方向に対して筒方向に角度を設けることによって斜めに挿入されてなる。
【0016】
〔請求項3の手段〕
請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
それぞれの前記主煙筒は、前記筒状壁に近づいて配置された複数の外側主煙筒と、前記筒状壁の中心側に配置された内側主煙筒とを少なくとも備え、
少なくとも、前記外側主煙筒に繋がるそれぞれの前記外導煙筒が、前記筒状壁に対して斜めに挿入されたことを特徴とする。
【0017】
〔請求項4の手段〕
請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
それぞれの前記主煙筒は、前記筒状壁に対して複数の略同心円上に配置され、
少なくとも、外周側の外側主煙筒に繋がるそれぞれの前記外導煙筒が、前記筒状壁に対して斜めに挿入されたことを特徴とする。
【0018】
〔請求項5の手段〕
請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
前記筒状壁の周囲は、外枠によって覆われるとともに、前記筒状壁と前記外枠との間に複数の邪魔板が配置され、
前記外導煙筒から前記筒状壁の周囲に排出された燃焼ガスは、前記筒状壁と前記外枠との間を蛇行して流れた後に、前記外枠の外部に排出されることを特徴とする。
【0019】
【作用および発明の効果】
吸収式冷凍装置の発生器は、筒状壁内に導かれた燃焼ガスを筒状壁外に導く外導煙筒が、筒状壁への法線方向に対して斜めに挿入されている。このため、煙筒の先端の直管状部を筒状壁に設けた真円の穴に挿入するという必須の条件を満たしながら、従来に比較して主煙筒を筒状壁に近づけて、筒状壁と主煙筒との距離を小さくしても、外導煙筒を長くでき、煙筒のコーナー部が筒状壁に到らずに、先端の直管状部を筒状壁内に挿入させることができる。
つまり、従来に比較して主煙筒を筒状壁に近づけることができ、煙筒の本数が従来と同じであれば、筒状壁を小径化できて、コンパクト化を図ることができる。
【0020】
また、筒状壁の径を変更しない場合には、外導煙筒の延長化により、外導煙筒による作動液の加熱面積を増やすことができるか、あるいは、筒状壁内に配置される煙筒の本数を増やすことができ、筒状壁内における作動液の加熱面積を大きくすることができる。そして、筒状壁内に配置される煙筒の本数を増やすことによって、煙筒による作動液の加熱割合が向上し、従来、筒状壁の周囲に設けていた加熱量向上手段(銅製コルゲートフィン等)を簡素化、あるいは廃止することが可能になり、発生器の重量を軽量化できる。また、煙筒の本数が増えることにより、煙筒1本当たりの作動液の加熱割合が少なくなって、作動液を均一的に加熱できるようになり、作動液が突沸する不具合も抑えることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6は、本発明を適用した実施例を示すもので、図5および図6は、アンモニア水溶液を作動液(アンモニアが冷媒、水が吸収液)とする吸収式冷凍装置1を用いた冷暖房給湯装置を示す。なお、図5は冷房運転作動を示し、図6は暖房運転作動を示す。
【0022】
この発明の吸収式冷凍装置1は、アンモニアガスを発生させる発生器2、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する熱源側熱交換器3、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する利用側熱交換器4、および吸収器5を備える。
また、熱源側熱交換器3と利用側熱交換器4との間には、液冷媒とガス冷媒とを熱交換させる冷媒間熱交換器6が配設されている。さらに、発生器2の上方には順に精留器7および凝縮作動を行う分縮器8が重ねて設けられている。
【0023】
これら機器は作動液流通路で連結され、分縮器8、熱源側熱交換器3、冷媒間熱交換器6、利用側熱交換器4を連結する作動液流通路には、流路切換のための第1四路切換弁11および第2四路切換弁12が設けられている。
冷媒間熱交換器6は、内管6Aと外管6Bとからなる二重管式熱交換器であり、内管6A内は液冷媒専用流通路とされ、外管6B内はガス冷媒専用流通路となっている。
【0024】
第1四路切換弁11は、冷房運転時(図5参照)には発生器2からのガス冷媒を熱源側熱交換器3へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからのガス冷媒を吸収器5へ流入させる。暖房運転時(図6参照)には、切り換えられて、発生器2からのガス冷媒を利用側熱交換器4へ流入させ、且つ熱源側熱交換器3からのガス冷媒を吸収器5側へ流入させる。
【0025】
第2四路切換弁12は、冷房運転時(図5参照)には利用側熱交換器4からのガス冷媒を冷媒間熱交換器6の外管6B側へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからガス冷媒を吸収器5へ流入させる。暖房運転時(図6参照)には、切り換えられて、発生器2からのガス冷媒を利用側熱交換器4へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからのガス冷媒を吸収器5へ流入させる。
【0026】
発生器2は、図1ないし図3に示すもので、その下部にはガスバーナ13(図5および図6参照)が設けられる。なお、ガスバーナ13は、強制送風式の全予混合燃焼板式ガスバーナ13で、ガスの燃焼によって発生する燃焼ガスを発生器2の作動液に与えるものである。
【0027】
発生器2は、希溶液となっているアンモニア水溶液(アンモニア希溶液)を10〜20気圧、200℃程度に加熱して沸騰させ、アンモニアと水の混合蒸気を発生させる。
この発生器2は、縦型円筒形状を呈した筒状壁14と、該筒状壁14の下部に溶接されてガスバーナ13で発生した燃焼ガスによって直接加熱される加熱板15と、筒状壁14の上部を塞ぐ蓋16とを備える。
【0028】
発生器2の中心には、アンモニア希溶液を流出させ、吸収器5に供給するための希溶液流出管17が上方から底部付近まで差し込まれている(図5および図6参照)。
また、発生器2は、ガスバーナ13で発生した燃焼ガスを、筒状壁14内に導いた後に、筒状壁14の周囲へ排出する40本の煙筒20を備える。
【0029】
各煙筒20は、耐腐蝕性に優れた例えば、厚さ1mm、外径10mmのステンレスパイプを、例えば曲げコーナー半径15mmのコーナー部20Rを介して直角に曲折して設けたもので、図4に示すように、筒状壁14に対して平行で鉛直方向に延びる主煙筒21と、この主煙筒21に対して前記コーナー部20Rを介して直角方向の水平方向に曲げて設けられ、主煙筒21内に導かれた燃焼ガスを筒状壁14の周囲へ導く外導煙筒22とに区分される。なお、ステンレスパイプは硬質なために、煙筒20のコーナー部20Rは、比較的大きな曲部(例えば、半径15mm)となる。
なお、外導煙筒22の少なくとも筒状壁14内に挿入されて溶接される部分は、真円で直管形状を呈した直管状部22Aとなっている。
【0030】
この実施例の各煙筒20は、各主煙筒21がそれぞれ筒状壁14に対して3つの同心円上に配置されるもので、外周側に16本を等間隔に主煙筒21Aを配置した外側煙筒20Aと、内周側に8本を等間隔に主煙筒21Bを配置した内側煙筒20Bと、その間に16本を等間隔に主煙筒21Cを配置した中間煙筒20Cとからなる(図3参照)。各煙筒20の下端は、加熱板15に設けられた3重の同心円上に設けられた40個の各穴に挿入され、溶接技術によって漏れなく接合されている。なお、外周側の外側煙筒20Aは、図3にも示されるように、比較的、その主煙筒21Aが筒状壁14に接近して配置される。
【0031】
各主煙筒21に繋がる全ての外導煙筒22の各直管状部22Aは、図1に示すように、筒状壁14への法線方向に対して、周方向に角度(例えば45°)を設けることによって、上方から見て斜めに挿入され、溶接技術によって漏れなく接合されている。このように、外導煙筒22が、筒状壁14に対し、上記の形態で斜めに挿入されることにより、図3に示すように、外側主煙筒21Aを筒状壁14に近づけて、筒状壁14と外側主煙筒21Aとの距離を小さくしても、外導煙筒22を長くでき、煙筒20に設けたコーナー部20Rが筒状壁14に到らずに、先端の直管状部22Aを筒状壁14の真円の穴内に挿入させるという必須の条件を満たすことができる。このため、外側主煙筒21Aを筒状壁14に近づけても、筒状壁14と直管状部22Aとに隙間が生じず、溶接等による接合箇所で漏れが生じない。
なお、本実施例では、外導煙筒22の長さを従来と同じに確保して、上記のごとく45°の角度で斜めに挿入したため、筒状壁14と外側の主煙筒21Aとの距離を従来に比較して大幅に短くできた(従来の12mmを5mmに縮小できた)。
【0032】
一方、発生器2は、筒状壁14の周囲に、各主煙筒21から外導煙筒22を介して筒状壁14の周囲に導かれた燃焼ガスによって、筒状壁14を周囲から加熱する加熱量向上手段が設けられている。この加熱量向上手段は、筒状壁14の周囲を覆う外枠23と、筒状壁14と外枠23との間の環状空間に複数配置される邪魔板24とから構成されている。
【0033】
外枠23は、筒状壁14と同軸的に配置された円筒形状を呈するもので、筒状壁14と外枠23との間の環状空間内は、水平方向に延びて配置されるとともに、上下方向にずらされて複数段配置された複数の邪魔板24によって、燃焼ガスが蛇行して下方に導かれるように設けられている。なお、外枠23には、筒状壁14と外枠23との間の環状空間の下端に導かれた燃焼ガスを排出するための排気筒25が設けられている。
【0034】
この発生器2では、ガスバーナ13の全一次燃焼による燃焼ガスが、加熱板15を介して内部の作動液を加熱するとともに、40本の煙筒20を通過して筒状壁14内から作動液を加熱し、さらに、筒状壁14の周囲に導かれた燃焼ガスが複数の邪魔板24で蛇行しながら筒状壁14外から作動液を加熱し、排気筒25を経て外部に排出される。このように発生器2は、小さな体格で極めて大きい伝熱面積を有するとともに、燃焼ガスの流路長が長く、燃焼ガスによる作動液の加熱時間が長くとれるため、熱効率を最大80%程度にまで高めることができる。従って、小型の発生器2で高負荷運転でき、冷凍装置として高い冷凍能力を得ることができる。
【0035】
〔実施例の作動〕
つぎに、冷暖房給湯装置の作動を説明する。
ガスバーナ13がガスの燃焼を開始し、発生する燃焼ガスが発生器2の作動液を加熱すると、該作動液から冷媒であるアンモニアと吸収液である水との混合蒸気が発生し、この混合蒸気が精留器7を通って上昇する。この精留器7では、5段の貯液棚7A〜7Eが形成されており、吸収器5から発生器2に供給される作動液(アンモニア濃溶液)が上段の貯液棚7Aから下段の貯液棚7Eへ順次流下する。
【0036】
精留器7では、下方から上昇するアンモニアと水との混合蒸気が各貯液棚7A〜7Eを通過するたびに、温度降下と上方からのアンモニア濃溶液の接触とにより混合蒸気中のアンモニア濃度が上昇する。そして精留器7で濃縮された混合蒸気は、さらに上段の分縮器8で吸熱され、水が凝縮して分離されて約99.8%のアンモニアガスとなる。
【0037】
〔冷房運転〕
冷房運転時は、図5に示す如く、このガス冷媒は矢印Lで示すように第1四路切換弁11を経て凝縮器として作用する熱源側熱交換器3へ供給される。熱源側熱交換器3では、ファンFにより空冷されて凝縮熱を放出して液化しアンモニア液(液冷媒)となる。この液冷媒は、冷媒間熱交換器6の内管6Aを通った後、減圧機構として作用するキャピラリーチューブ31で減圧された後、二重管構造の利用側熱交換器(蒸発器として作用する)4へ流入する。
【0038】
液冷媒は、利用側熱交換器4で室内機からポンプP1 の駆動により利用側熱媒体流路32を介して供給される利用側熱媒体(本実施例では、水)と熱交換して蒸発し(水は冷却されて冷房用冷熱源となる)、再度ガス冷媒となる。このガス冷媒は、第2四路切換弁12を通って冷媒間熱交換器6の外管6Bに送られ、そこで熱源側熱交換器3からの液冷媒(内管6A内を通る)を冷却し、且つ自らは加熱される熱交換を行った後、第1四路切換弁11および第2四路切換弁12を経て、吸収器5へ送給される。
【0039】
このガス冷媒は、吸収器5において発生器2から吸収器5に供給された作動液中に再度吸収させる。すなわち、吸収器5の吸収器容器5A内の最上段部には作動液の散布器5Bが設けられており、散布器5Bに対して矢印L1 で示すように発生器2から減圧機構として作用するキャピラリーチューブ33を介して作動液(3%アンモニア希溶液)が供給される。
【0040】
このアンモニア希溶液は吸収器容器5A内で散布器5Bから散布され、利用側熱交換器4から吸収器容器5A内に供給されるガス冷媒を吸収して吸収器容器5Aの底部にある液溜まり5Cに落下する。液溜まり5Cの作動液(アンモニア濃溶液)は、ポンプP2 により図5中の矢印L2 、L3 で示すように圧送される。この間において、分縮器8の熱交換器8Aおよび吸収熱回収用の吸収器5内の熱交換器5Dで熱交換して加熱されたあと、精留器7内の最上段の貯液棚7Aへ供給される。
【0041】
〔暖房運転〕
暖房運転時は、図6に示す如く、第1四路切換弁11および第2四路切換弁12が切り換わり、冷凍回路を流通するガス冷媒(アンモニアガス)の流れ方向が切り換えられる。
分縮器8で生成されたガス冷媒(濃度99.8%)は矢印L4 で示すように第1四路切換弁11および第2四路切換弁12を通って凝縮器として作用する利用側熱交換器4に流入し、利用側熱媒体流路32を通って室内機から供給される利用側熱媒体(本実施例では、水)と熱交換して凝縮する。水はこれにより加熱され、室内機での暖房用熱源となる。
【0042】
利用側熱交換器4で液化した冷媒は、キャピラリーチューブ31で減圧されたあと、冷媒間熱交換器6の内管6Aを通って蒸発器として作用する熱源側熱交換器3に供給されて蒸発し、さらに第1四路切換弁11、冷媒間熱交換器6の外管6B、第2四路切換弁12を経て吸収器5に供給される。
なお、発生器2などでの水−アンモニア混合蒸気の発生・精留・分縮と、吸収器5におけるアンモニアガス冷媒の吸収とは、図5に示す冷房運転時と同様であり、その間の作動液(アンモニア濃溶液とアンモニア希溶液)の流れも図5と同様である。
【0043】
この実施例では、吸収器5内には吸収熱回収用の熱交換器5Dのほかに、給湯などの熱源用の熱交換器5Eおよび冷暖兼用熱交換器5Fが設けてある。
給湯など熱源用の熱交換器5Eは、給湯タンク34、浴槽35、浴室乾燥器36などにポンプP3 を介して接続されて湯を熱媒体とした給湯サイクルを構成している。
【0044】
冷暖兼用熱交換器5Fの入口側と出口側とには、利用側熱交換器4の出口における利用側熱媒体流路32から三方切換弁V1 を介して分岐された分岐往路41と、三方切換弁V1 の下流側に合流する分岐復路42側とがそれぞれ接続されている。また、放熱用熱交換器43およびポンプP4 を接続する冷却水流路44におけるポンプP4 の出口側は、分岐往路41に対して三方切換弁V2 を介して接続される一方、冷却水流路44における放熱用熱交換器43の入口側は、分岐復路42に対して三方切換弁V3 を介して接続されている。
【0045】
ここで三方切換弁V2 、V3 は、冷房運転時においては図5に示すように、冷却水流路44側が開、分岐往路41および分岐復路42側が閉となり、暖房運転時においては図6に示すように、冷却水流路44側が閉、分岐往路41および分岐復路42が開となるように制御されることとなっている。従って、冷房運転時においては、冷暖兼用熱交換器5Fへは利用側熱媒体は供給されず、放熱用熱交換器43からの冷却水が供給され、暖房運転時においては、冷暖兼用熱交換器5Fへは利用側熱媒体が供給され、放熱用熱交換器43から冷却水は供給されない。
【0046】
〔実施例の効果〕
本実施例の発生器2は、外導煙筒22が、筒状壁14への法線方向に対して、周方向に角度(例えば45°)を設け、上方から見て斜めに挿入されることによって長く設けられている。このため、外側主煙筒21Aを筒状壁14に近づけ、筒状壁14と外側主煙筒21Aとの距離を小さくしても、各煙筒20に設けられたコーナー部20Rが筒状壁14に到らず、直管状部22Aを筒状壁14に設けた真円の穴に挿入するという必須の条件を満たすことができ、外導煙筒22と筒状壁14との接合箇所における漏れをなくすことができる。
【0047】
また、筒状壁14の径が同じの場合、外導煙筒22の延長化により、外導煙筒22による作動液の加熱面積を増やし、筒状壁14内での作動液の加熱効率を向上させることができる。
さらに、従来では32本しか筒状壁14内に配置できなかった煙筒20を、40本に増やすことができ、筒状壁14内における作動液の加熱面積を大きくすることができる。そして、筒状壁14内に配置される煙筒20の本数が増えたことによって、煙筒20による作動液の加熱割合が大きく向上し、従来、筒状壁14の周囲に設けていた加熱量向上手段での加熱量を低減できる。具体的には、従来、加熱量向上手段として用いていた重い銅製コルゲートフィンを廃止して、軽量な邪魔板24にでき、発生器2の重量を軽量化できた。
【0048】
さらに、煙筒20の本数が従来に比較して増えるため、煙筒20の1本当たりの作動液の加熱割合が少なくなって、作動液を均一的に加熱できるため、作動液が突沸する不具合が抑えられる。
【0049】
〔変形例〕
上記の実施例では、外側煙筒20Aの他、内側主煙筒20Bおよび中間主煙筒20Cの外導煙筒22も筒状壁14に対して傾けた例を示したが、外側煙筒20Aのみを傾けても良い。
【0050】
上記の実施例では、外導煙筒22の直管状部22Aを、筒状壁14の法線方向に対して周方向に所定角度で斜めに挿入した例を示したが、図7に示すように、外導煙筒22を、筒状壁14の法線方向に対して筒方向に所定角度で斜めになるように主煙筒21から曲げて形成し、直管状部22Aを、筒状壁14の上下方向に斜めに挿入しても良い。また、外導煙筒22を、筒状壁14の周方向と上下方向の双方において斜めになるように主煙筒21から曲げて形成し、筒状壁14に挿入しても良い。この場合、外導煙筒22をさらに長くでき、上記で示した効果を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発生器を上方から見た断面図である(実施例)。
【図2】発生器の側面断面図である(実施例)。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である(実施例)。
【図4】煙筒の側面図である(実施例)。
【図5】吸収式冷凍装置を用いた冷暖房給湯装置の概略構成図である(実施例)。
【図6】吸収式冷凍装置を用いた冷暖房給湯装置の概略構成図である(実施例)。
【図7】発生器の側面断面図である(変形例)。
【図8】発生器の側面断面図である(従来技術)。
【図9】図8の発生器の上視図である(従来技術)。
【符号の説明】
1 吸収式冷凍装置
2 発生器
3 熱源側熱交換器(冷房運転時に凝縮器、暖房運転時に蒸発器として作用)
4 利用側熱交換器(冷房運転時に蒸発器、暖房運転時に凝縮器として作用)
5 吸収器
7 精留器
8 分縮器
13 ガスバーナ(バーナ)
14 筒状壁
15 加熱板
16 蓋
20 煙筒
21 主煙筒
21A 外側主煙筒
21B 内側主煙筒
22 外導煙筒
22A 直管状部
23 外枠
24 邪魔板
Claims (5)
- 冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備えた吸収式冷凍装置において、
前記発生器は、略円筒容器形状を呈した筒状壁、この筒状壁の一端に設けられ、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板、および前記筒状壁の他端に設けられた蓋を備えるとともに、
前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導くとともに、前記筒状壁内に導かれた燃焼ガスを、前記筒状壁の周囲へ排出する複数の煙筒を備え、
この複数の煙筒は、前記筒状壁に対して平行に延びるそれぞれの主煙筒と、この主煙筒に対して曲げて設けられ、前記主煙筒内に導かれた燃焼ガスを前記筒状壁の周囲へ導くそれぞれの外導煙筒とからなり、
この外導煙筒は、その先端に形成した直管状部が前記筒状壁への法線方向に対して周方向に角度を設けることによって斜めに挿入されてなる
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備えた吸収式冷凍装置において、
前記発生器は、略円筒容器形状を呈した筒状壁、この筒状壁の一端に設けられ、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板、および前記筒状壁の他端に設けられた蓋を備えるとともに、
前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導くとともに、前記筒状壁内に導かれた燃焼ガスを、前記筒状壁の周囲へ排出する複数の煙筒を備え、
この複数の煙筒は、前記筒状壁に対して平行に延びるそれぞれの主煙筒と、この主煙筒に対して曲げて設けられ、前記主煙筒内に導かれた燃焼ガスを前記筒状壁の周囲へ導くそれぞれの外導煙筒とからなり、
この外導煙筒は、その先端に形成した直管状部が前記筒状壁への法線方向に対して筒方向に角度を設けることによって斜めに挿入されてなる
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
それぞれの前記主煙筒は、前記筒状壁に近づいて配置された複数の外側主煙筒と、前記筒状壁の中心側に配置された内側主煙筒とを少なくとも備え、
少なくとも、前記外側主煙筒に繋がるそれぞれの前記外導煙筒が、前記筒状壁に対して斜めに挿入された
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
それぞれの前記主煙筒は、前記筒状壁に対して複数の略同心円上に配置され、少なくとも、外周側の外側主煙筒に繋がるそれぞれの前記外導煙筒が、前記筒状壁に対して斜めに挿入された
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 請求項1または請求項2の吸収式冷凍装置において、
前記筒状壁の周囲は、外枠によって覆われるとともに、前記筒状壁と前記外枠との間に複数の邪魔板が配置され、
前記外導煙筒から前記筒状壁の周囲に排出された燃焼ガスは、前記筒状壁と前記外枠との間を蛇行して流れた後に、前記外枠の外部に排出される
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。
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JP12017596A JP3604805B2 (ja) | 1996-05-15 | 1996-05-15 | 吸収式冷凍装置 |
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JPH09303901A JPH09303901A (ja) | 1997-11-28 |
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- 1996-05-15 JP JP12017596A patent/JP3604805B2/ja not_active Expired - Fee Related
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