JP3617724B2 - 吸収式冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンモニア、リチウム・ブロマイドなどの水溶液を作動液として用いた吸収式冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニア、リチウム・ブロマイドなどの水溶液(作動液)を用いた吸収式冷凍装置は、水溶液を発生器で加熱してアンモニアなど冷媒の蒸気を発生させ、この冷媒の蒸気を凝縮器で液化させ、膨張弁を経て低圧の蒸発器に流し込み、冷凍作用を行わせる。蒸発器で再び蒸発した冷媒は、吸収器において、冷媒の蒸発により希薄になった作動液を発生器から吸収液として供給して吸収器内で吸収させる。この冷媒(アンモニアガス)の吸収により高濃度となった作動液をポンプで再び発生器に循環させる。
【0003】
この吸収式冷凍装置を小型、軽量化して家庭用の空調・給湯装置に適用することが望まれており、発生器の加熱源としてバーナを使用する。
ここで、従来の発生器の構造を図9および図10に示す。従来の発生器100は、円筒容器形状を呈した筒状壁101を備えるとともに、この筒状壁101の一端に設けられて下方のバーナBで発生した燃焼ガスで内部の作動液を加熱する加熱板102を備える。
【0004】
また、発生器100は、バーナで発生した燃焼ガスを加熱板102から筒状壁101内に導いて、内部の作動液を加熱する複数の煙筒104を備える。この複数の煙筒104は、バーナで発生した燃焼ガス、および高圧の作動液に晒されるため、耐圧、耐腐蝕性に優れた所定厚み以上のステンレスなど硬質な材料の直管によって形成されるとともに、発生器100の小型化且つ高効率化の目的から煙筒104の径も小さく設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
煙筒104による作動液の加熱面積を大きくするため、筒状壁101内に配置される煙筒104の本数を増やしたり、煙筒104を通過した燃焼ガスを筒状壁101の周囲に導くとともに、筒状壁101の外周に銅製のコルゲートフィン105を多数設けて作動液の加熱効率を向上させているが、煙筒104の本数を増やすと、発生器100の重量が増加するとともに、筒状壁101が大径化して発生器100が大型化したり、コルゲートフィン105を多数設けた場合では発生器100の重量が重くなる不具合が発生する。
【0006】
【発明の目的】
この発明の目的は、煙筒1本当たりの作動液の加熱割合を増やし、発生器を小型、軽量化した吸収式冷凍装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
吸収式冷凍装置は、冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備える。
【0010】
そして、前記発生器は、略円筒容器形状を呈して上下方向に延びる筒状壁を備えるとともに、この筒状壁の下部に、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板を備える。さらに、前記筒状壁内には、前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導く複数の煙筒を備え、各煙筒は、元々1本の直管の略上半部が蛇腹加工部とされ、その下半部が直管形状の未加工部とされて、外周および内周にフィンを備えないものであり、煙筒内における燃焼ガスと、煙筒周囲の作動液との熱交換を煙筒全体で均一化させて作動液の突沸を防止するものである。
【0011】
〔請求項2の手段〕
請求項1の吸収式冷凍装置において、
前記煙筒は、直管の周囲に治具玉を配置し、この治具玉が前記直管を押圧しながら、前記直管あるいは前記治具玉を前記直管の周囲で回転させることによって、前記多数の凹凸が形成されたことを特徴とする。
【0012】
〔請求項3の手段〕
請求項2の吸収式冷凍装置において、
前記煙筒は、前記直管の内部に、この直管の内径より細い中心治具を挿入した状態で、前記直管の周囲に前記治具玉を配置して、この治具玉が前記直管を押圧しながら、前記直管あるいは前記治具玉を前記直管の周囲で回転させることによって、前記多数の凹凸が形成されたことを特徴とする。
【0013】
【作用および発明の効果】
吸収式冷凍装置の発生器は、筒状壁内に燃焼ガスを導く煙筒の略上半部に、多数の凹凸が設けられたことにより、煙筒の表面積が増えるとともに、煙筒内を流れる燃焼ガスの流れに乱流が生じ、煙筒による作動液の加熱効率が向上する。
この結果、従来に比較して筒状壁内に配置される煙筒の本数を減らして、発生器を軽量化できるとともに、筒状壁を小径化して発生器を小型化できる。
あるいは、煙筒による作動液の加熱割合が向上することによって、吸収式冷凍装置の冷凍能力が向上する。また、従来、筒状壁の周囲に設けていた加熱量向上手段(銅製コルゲートフィン等)を簡素化、あるいは廃止することが可能になり、発生器の重量を軽量化できる。
【0014】
また、煙筒の略上半部を蛇腹加工部とし、その下半部を未加工部としたことにより、煙筒内における燃焼ガスと、煙筒周囲の作動液との熱交換が、煙筒全体で均一化できる。すなわち、下半部も蛇腹加工部とすると、バーナで発生したばかりの高温の燃焼ガスが、蛇腹加工部による加熱面積の増大と、乱流の発生とにより、作動液を過熱し、突沸を生じさせ、煙筒に破損が生じるなど、煙筒の耐久性が悪くなるが、下半部を未加工部としたことにより、この不具合を回避することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1ないし図8は、本発明を適用した実施例を示すもので、図7および図8は、アンモニア水溶液を作動液(アンモニアが冷媒、水が吸収液)とする吸収式冷凍装置1を用いた冷暖房給湯装置を示す。なお、図7は冷房運転作動を示し、図8は暖房運転作動を示す。
【0016】
この発明の吸収式冷凍装置1は、アンモニアガスを発生させる発生器2、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する熱源側熱交換器3、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する利用側熱交換器4、および吸収器5を備える。
また、熱源側熱交換器3と利用側熱交換器4との間には、液冷媒とガス冷媒とを熱交換させる冷媒間熱交換器6が配設されている。さらに、発生器2の上方には順に精留器7および凝縮作動を行う分縮器8が重ねて設けられている。
【0017】
これら機器は作動液流通路で連結され、分縮器8、熱源側熱交換器3、冷媒間熱交換器6、利用側熱交換器4を連結する作動液流通路には、流路切換のための第1四路切換弁11および第2四路切換弁12が設けられている。
冷媒間熱交換器6は、内管6Aと外管6Bとからなる二重管式熱交換器であり、内管6A内は液冷媒専用流通路とされ、外管6B内はガス冷媒専用流通路となっている。
【0018】
第1四路切換弁11は、冷房運転時(図7参照)には発生器2からのガス冷媒を熱源側熱交換器3へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからのガス冷媒を吸収器5へ流入させる。暖房運転時(図8参照)には、切り換えられて、発生器2からのガス冷媒を利用側熱交換器4へ流入させ、且つ熱源側熱交換器3からのガス冷媒を吸収器5側へ流入させる。
【0019】
第2四路切換弁12は、冷房運転時(図7参照)には利用側熱交換器4からのガス冷媒を冷媒間熱交換器6の外管6B側へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからガス冷媒を吸収器5へ流入させる。暖房運転時(図8参照)には、切り換えられて、発生器2からのガス冷媒を利用側熱交換器4へ流入させ、かつ冷媒間熱交換器6の外管6Bからのガス冷媒を吸収器5へ流入させる。
【0020】
発生器2は、図1ないし図3に示すもので、その下部にはガスバーナ13(図7および図8参照)が設けられる。なお、ガスバーナ13は、強制送風式の全予混合燃焼板式ガスバーナで、ガスの燃焼によって発生する燃焼ガスを発生器2の作動液に与えるものである。
【0021】
発生器2は、希溶液となっているアンモニア水溶液(アンモニア希溶液)を10〜20気圧、200℃程度に加熱して沸騰させ、アンモニアと水の混合蒸気を発生させる。
この発生器2は、縦型円筒形状を呈した筒状壁14と、該筒状壁14の下部に溶接されてガスバーナ13で発生した燃焼ガスによって直接加熱される加熱板15と、筒状壁14の上部を塞ぐ蓋16とを備える。
【0022】
発生器2の中心には、アンモニア希溶液を流出させ、吸収器5に供給するための希溶液流出管17が上方から底部付近まで差し込まれている(図7および図8参照)。
また、発生器2は、ガスバーナ13で発生した燃焼ガスを、筒状壁14内に導いた後に筒状壁14の周囲へ排出する32本の煙筒20を備える。
【0023】
各煙筒20は、耐腐蝕性に優れた所定厚(例えば、0.4〜2mm)で、小径(例えば、0.5〜2cm)のステンレスパイプを、所定の曲げコーナー半径(例えば1〜3cm)のコーナー部20Rを介して直角に曲折して設けたもので、図1、図4に示すように、筒状壁14に対して平行で鉛直方向に延びる上下管20Yと、コーナー部20Rを介して水平方向に延びる水平管20Zとに区別されている。上下管20Yの略上半部は、周囲に多数の波状の凹凸21が設けられた蛇腹加工部20Aとされ、その下の下半部が直管形状のままの未加工部20Bとされている。
【0024】
煙筒20に設けられた多数の波状の凹凸21(=蛇腹加工部20A)の加工方法を、図5および図6を用いて説明する。
先ず、図5に示すように、所定厚(例えば、1mm前後)で、小径(例えば外径寸法が1cm前後)の直管20αの内部に、凹凸21の内径寸法を決定するための細い中心治具22A(直管20αの内径寸法よりも、例えば2mm前後細い棒状治具)を挿入するとともに、直管20αの周囲に凹部を形成するための治具玉22Bを配置する。この治具玉22Bは、直管20αの周囲において、直管20αを押圧しながら回転可能に支持されるもので、治具玉22Bの形状が凹部の形状を決定するとともに、各治具玉22Bのピッチが凹凸21のピッチを決定するものである。
【0025】
そして、各治具玉22Bを直管20αに押圧しながら、直管20αあるいは治具玉22Bを直管20αの周囲で回転させる。すると、図6に示すように、各治具玉22Bの押圧力によって直管20αの周囲に多数の凹凸21が形成される。
【0026】
この実施例の煙筒20は、それぞれ筒状壁14に対して4つの同心円上に配置されるもので、各円上には、それぞれ8本の煙筒20が等間隔に設けられており、各煙筒20の下端は、加熱板15に設けられた4重の同心円上に設けられた32個の各穴に挿入され、溶接技術によって漏れなく接合されている。また、各煙筒20の上端は、筒状壁14に所定ピッチずつずらして設けられた穴に挿入され、溶接技術によって漏れなく接合されている。
【0027】
一方、発生器2は、筒状壁14の周囲に、煙筒20から筒状壁14の周囲に導かれた燃焼ガスによって筒状壁14を周囲から加熱する加熱量向上手段が設けられている。この加熱量向上手段は、筒状壁14の周囲を覆う外枠23と、筒状壁14と外枠23との間の環状空間に複数配置される邪魔板24とから構成されている。
【0028】
外枠23は、筒状壁14と同軸的に配置された円筒形状を呈するもので、筒状壁14と外枠23との間の環状空間内には、水平方向に延びて配置されるとともに、上下方向にずらされて複数段配置された複数の邪魔板24によって、燃焼ガスが蛇行して下方に導かれるように設けられている。なお、外枠23には、筒状壁14と外枠23との間の環状空間の下端に導かれた燃焼ガスを排出するための排気筒25が設けられている。
【0029】
この発生器2では、ガスバーナ13の全一次燃焼による燃焼ガスが、加熱板15を介して内部の作動液を加熱するとともに、32本の煙筒20を通過して筒状壁14内から作動液を加熱し、さらに、筒状壁14の周囲に導かれた燃焼ガスが複数の邪魔板24で蛇行しながら筒状壁14外から作動液を加熱し、排気筒25を経て外部に排出される。
【0030】
特に、燃焼ガスが煙筒20を通過する際、ガスバーナ13で発生したばかりの高温の燃焼ガスが煙筒の未加工部20Bを通過するとき、未加工部20B周囲の作動液を加熱し、ここで熱を奪われて少し温度の低下した燃焼ガスが煙筒の蛇腹加工部20Aを通過するとき、多数の凹凸21によって作動液の加熱面積が増大しているとともに、蛇腹加工部20A内を流れる燃焼ガスの流れに乱流が生じ、熱伝達率が向上するため、1本の煙筒20による作動液の加熱割合が大きくなる。
【0031】
このように発生器2は、小さな体格で極めて大きい伝熱面積を有するとともに、燃焼ガスの流路長が長く、燃焼ガスによる作動液の加熱時間が長くとれるため、熱効率を最大80%程度にまで高めることができる。従って、小型の発生器2で高負荷運転でき、冷凍装置として高い冷凍能力を得ることができる。
【0032】
〔実施例の作動〕
つぎに、冷暖房給湯装置の作動を説明する。
ガスバーナ13がガスの燃焼を開始し、発生する燃焼ガスが発生器2の作動液を加熱すると、該作動液から冷媒であるアンモニアと吸収液である水との混合蒸気が発生し、この混合蒸気が精留器7を通って上昇する。この精留器7では、5段の貯液棚7A〜7Eが形成されており、吸収器5から発生器2に供給される作動液(アンモニア濃溶液)が上段の貯液棚7Aから下段の貯液棚7Eへ順次流下する。
【0033】
精留器7では、下方から上昇するアンモニアと水との混合蒸気が各貯液棚7A〜7Eを通過するたびに、温度降下と上方からのアンモニア濃溶液の接触とにより混合蒸気中のアンモニア濃度が上昇する。そして精留器7で濃縮された混合蒸気は、さらに上段の分縮器8で吸熱され、水が凝縮して分離されて約99.8%のアンモニアガスとなる。
【0034】
〔冷房運転〕
冷房運転時は、図7に示す如く、このガス冷媒は矢印Lで示すように第1四路切換弁11を経て凝縮器として作用する熱源側熱交換器3へ供給される。熱源側熱交換器3では、ファンFにより空冷されて凝縮熱を放出して液化しアンモニア液(液冷媒)となる。この液冷媒は、冷媒間熱交換器6の内管6Aを通った後、減圧機構として作用するキャピラリーチューブ31で減圧された後、二重管構造の利用側熱交換器(蒸発器として作用する)4へ流入する。
【0035】
液冷媒は、利用側熱交換器4で室内機からポンプP1 の駆動により利用側熱媒体流路32を介して供給される利用側熱媒体(本実施例では、水)と熱交換して蒸発し(水は冷却されて冷房用冷熱源となる)、再度ガス冷媒となる。このガス冷媒は、第2四路切換弁12を通って冷媒間熱交換器6の外管6Bに送られ、そこで熱源側熱交換器3からの液冷媒(内管6A内を通る)を冷却し、且つ自らは加熱される熱交換を行った後、第1四路切換弁11および第2四路切換弁12を経て、吸収器5へ送給される。
【0036】
このガス冷媒は、吸収器5において発生器2から吸収器5に供給された作動液中に再度吸収させる。すなわち、吸収器5の吸収器容器5A内の最上段部には作動液の散布器5Bが設けられており、散布器5Bに対して矢印L1 で示すように発生器2から減圧機構として作用するキャピラリーチューブ33を介して作動液(3%アンモニア希溶液)が供給される。
【0037】
このアンモニア希溶液は吸収器容器5A内で散布器5Bから散布され、利用側熱交換器4から吸収器容器5A内に供給されるガス冷媒を吸収して吸収器容器5Aの底部にある液溜まり5Cに落下する。液溜まり5Cの作動液(アンモニア濃溶液)は、ポンプP2 により図7中の矢印L2 、L3 で示すように圧送される。この間において、分縮器8の熱交換器8Aおよび吸収熱回収用の吸収器5内の熱交換器5Dで熱交換して加熱されたあと、精留器7内の最上段の貯液棚7Aへ供給される。
【0038】
〔暖房運転〕
暖房運転時は、図8に示す如く、第1四路切換弁11および第2四路切換弁12が切り換わり、冷凍回路を流通するガス冷媒(アンモニアガス)の流れ方向が切り換えられる。
分縮器8で生成されたガス冷媒(濃度99.8%)は矢印L4 で示すように第1四路切換弁11および第2四路切換弁12を通って凝縮器として作用する利用側熱交換器4に流入し、利用側熱媒体流路32を通って室内機から供給される利用側熱媒体(本実施例では、水)と熱交換して凝縮する。水はこれにより加熱され、室内機での暖房用熱源となる。
【0039】
利用側熱交換器4で液化した冷媒は、キャピラリーチューブ31で減圧されたあと、冷媒間熱交換器6の内管6Aを通って蒸発器として作用する熱源側熱交換器3に供給されて蒸発し、さらに第1四路切換弁11、冷媒間熱交換器6の外管6B、第2四路切換弁12を経て吸収器5に供給される。
なお、発生器2などでの水−アンモニア混合蒸気の発生・精留・分縮と、吸収器におけるアンモニアガス冷媒の吸収とは、図7に示す冷房運転時と同様であり、その間の作動液(アンモニア濃溶液とアンモニア希溶液)の流れも図7と同様である。
【0040】
この実施例では、吸収器5内には吸収熱回収用の熱交換器5Dのほかに、給湯などの熱源用の熱交換器5Eおよび冷暖兼用熱交換器5Fが設けてある。
給湯など熱源用の熱交換器5Eは、給湯タンク34、浴槽35、浴室乾燥器36などにポンプP3 を介して接続されて湯を熱媒体とした給湯サイクルを構成している。
【0041】
冷暖兼用熱交換器5Fの入口側と出口側とには、利用側熱交換器4の出口における利用側熱媒体流路32から三方切換弁V1 を介して分岐された分岐往路41と、三方切換弁V1 の下流側に合流する分岐復路42側とがそれぞれ接続されている。また、放熱用熱交換器43およびポンプP4 を接続する冷却水流路44におけるポンプP4 の出口側は、分岐往路41に対して三方切換弁V2 を介して接続される一方、冷却水流路44における放熱用熱交換器43の入口側は、分岐復路42に対して三方切換弁V3 を介して接続されている。
【0042】
ここで三方切換弁V2 、V3 は、冷房運転時においては図7に示すように、冷却水流路44側が開、分岐往路41および分岐復路42側が閉となり、暖房運転時においては図8に示すように、冷却水流路44側が閉、分岐往路41および分岐復路42が開となるように制御されることとなっている。従って、冷房運転時においては、冷暖兼用熱交換器5Fへは利用側熱媒体は供給されず、放熱用熱交換器43からの冷却水が供給され、暖房運転時においては、冷暖兼用熱交換器5Fへは利用側熱媒体が供給され、放熱用熱交換器43から冷却水は供給されない。
【0043】
〔実施例の効果〕
本実施例の発生器2は、多数の凹凸21によって煙筒20による作動液の加熱面積が増大化するとともに、蛇腹加工部20A内(多数の凹凸21内)を流れる燃焼ガスの流れに乱流が生じて熱伝達率が向上する伝熱促進効果により、結果的に1本の煙筒20による作動液の加熱割合が大きくなる。
【0044】
このように、1本当たりの煙筒20の加熱割合が大きく向上したことにより、冷暖房給湯装置における冷凍能力が向上する。また従来、筒状壁14の周囲に設けていた加熱量向上手段による作動液の加熱割合を低減できる。具体的には、従来、加熱量向上手段として用いていた重い銅製コルゲートフィンを廃止して、軽量な邪魔板24にでき、発生器2の重量を軽量化できる。
【0045】
特に、本実施例においては、上下管20Yのうち、略上半部を蛇腹加工部20Aとし、下半部を未加工部20Bとしたことにより、煙筒20内における燃焼ガスと、煙筒20の周囲の作動液との熱交換が、煙筒20の全体で均一化できる。すなわち、略下半部も蛇腹加工部20Aとすると、バーナで発生したばかりの高温の燃焼ガスが、蛇腹加工部20Aによる加熱面積の増大と、乱流の発生とにより、作動液を過剰加熱して突沸を生じさせ、煙筒20に破損が生じるなど、煙筒20の耐久性が悪くなるが、略下半部を未加工部20Bとしたことにより、この不具合を回避することができる。
【0046】
なお、コーナー部20Rや、その下流の水平管20Zをも蛇腹加工部20Aとしても良いが、この実施例では蛇腹加工部20Aの加工性を考慮するとともに、コーナー部20R、水平管20Zを流れる燃焼ガスの温度低下により作動液の加熱に大きく寄与しないことをも考慮し、上下管20Yの略上半部のみに蛇腹加工部20Aを設けた。
【0047】
〔変形例〕
上記の実施例では、中心治具22Aを用いて多数の凹凸21を設けた例を示したが、中心治具22Aを使用せず、治具玉22Bの押圧ストロークによって凹凸21の内径寸法を決定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】発生器の側面断面図である(実施例)。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である(実施例)。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である(実施例)。
【図4】煙筒の側面図である(実施例)。
【図5】煙筒の周囲に凹凸を形成する製造方法を示す説明図である(実施例)。
【図6】煙筒の周囲に凹凸を形成する製造方法を示す説明図である(実施例)。
【図7】吸収式冷凍装置を用いた冷暖房給湯装置の概略構成図である(実施例)。
【図8】吸収式冷凍装置を用いた冷暖房給湯装置の概略構成図である(実施例)。
【図9】発生器の側面断面図である(従来技術)。
【図10】図9の上視図である(従来技術)。
【符号の説明】
1 吸収式冷凍装置
2 発生器
3 熱源側熱交換器(冷房運転時に凝縮器、暖房運転時に蒸発器として作用)
4 利用側熱交換器(冷房運転時に蒸発器、暖房運転時に凝縮器として作用)
5 吸収器
7 精留器
8 分縮器
13 ガスバーナ
14 筒状壁
15 加熱板
20 煙筒
20A 蛇腹加工部
20B 未加工部
20α 直管
21 凹凸
22A 中心治具
22B 治具玉
23 外枠
24 邪魔板
Claims (3)
- 冷媒と吸収液とを混合した作動液をバーナで加熱して冷媒と吸収液の混合作動液蒸気を発生させる発生器と、該混合作動液蒸気を精留して冷媒成分を濃縮する精留器と、該濃縮された混合作動液蒸気のガス冷媒成分を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮させた液冷媒を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を希作動液中に吸収させる吸収器とを備えた吸収式冷凍装置において、
前記発生器は、略円筒容器形状を呈して上下方向に延びる筒状壁を備えるとともに、この筒状壁の下部に、前記バーナで発生した燃焼ガスで加熱される加熱板を備え、
前記筒状壁内には、前記バーナで発生した燃焼ガスを、前記加熱板から前記筒状壁内に導く複数の煙筒を備え、
各煙筒は、元々1本の直管の略上半部が蛇腹加工部とされ、その下半部が直管形状の未加工部とされて、外周および内周にフィンを備えないものであり、煙筒内における燃焼ガスと、煙筒周囲の作動液との熱交換を煙筒全体で均一化させて作動液の突沸を防止することを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 請求項1の吸収式冷凍装置において、
前記煙筒は、直管の周囲に治具玉を配置し、この治具玉が前記直管を押圧しながら、前記直管あるいは前記治具玉を前記直管の周囲で回転させることによって、前記多数の凹凸が形成された
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。 - 請求項2の吸収式冷凍装置において、
前記煙筒は、前記直管の内部に、この直管の内径より細い中心治具を挿入した状態で、前記直管の周囲に前記治具玉を配置して、この治具玉が前記直管を押圧しながら、前記直管あるいは前記治具玉を前記直管の周囲で回転させることによって、前記多数の凹凸が形成された
ことを特徴とする吸収式冷凍装置。
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JP12017696A JP3617724B2 (ja) | 1996-05-15 | 1996-05-15 | 吸収式冷凍装置 |
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