JP3604752B2 - 動きベクトル検出装置および方法 - Google Patents

動きベクトル検出装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、動きベクトル検出装置および方法に関するものであり、とくに、テレビジョン(TV)信号などの動画像信号の表す画像における絵柄の動きの大きさおよび方向を動きベクトルとして検出する動きベクトル検出装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動きベクトルは、画面において動く絵柄すなわち動体の動きの大きさおよび方向を示すものである。たとえば、デジタル化されたテレビジョン信号から動きベクトルを検出して、テレビジョン信号の高能率符号化方式としてのフレーム間符号化や、テレビジョン方式変換のフィールド内挿などに用いる。動きベクトルの検出方式として特開昭55−162683 および特開昭55−162684 に記載の方式があり、これらは、フレーム間の信号パターンの類似性により動きベクトルを検出するパターンマッチング法である。また、特開昭60−158786 には、フレーム内信号勾配およびフレーム間信号差分値の物理的対応等により動き量を推定する反復勾配法と一般に称するものが開示されている。さらに、特開昭62−206980 には、反復勾配法において動きベクトルの検出精度を向上させるために初期偏位ベクトルを用いた方式が記載されている。これらの動きベクトル検出方式はいずれも、1フレームのテレビジョン信号を例えば、横方向にM画素、縦方向にNライン(M、Nは自然数)の矩形ブロック、すなわちM×N画素のブロックに分割し、絵柄の動きをブロック単位で検出することを前提としている。
【0003】
例えば、動画像信号の1画面において座標(a,b) にある1つの被検出ブロックについて、それ以前の時刻に検出された動きベクトルの中から最適なものを選択してこれを初期偏位ベクトルV=(α,β)とする。次に、この初期偏位ベクトル分だけ偏位した座標 (a+α,b+β)のブロックを基準とした被検出ブロックの第1回の動きを表わす偏位ベクトルV=(α,β)を反復勾配法で求める。さらに、同様にして第2回の動きの偏位ベクトルV=(α,β)を求める。そこで、これらから真の動きベクトルV=V+V+Vを求める。このように、前フィールドを基準として現フィールドの真の動きベクトルを初期偏位ベクトルを用いて求めることができる。こうして求めた動きベクトルは、たとえばPAL 方式からNTSC方式へのテレビジョン信号の方式変換の例では、内挿フィールドに内挿比5:6 で割り付けている。なお、動き偏位ベクト検出方法は、反復勾配法の代わりにパターンマッチング法を用いてもよく、また反復勾配法を使った場合、反復回数を2回以上としもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の反復勾配法またはパターンマッチング法などでの動きベクトルの検出は、前フィールドを基準として現フィールドの画像の動きを検出する時間的に1方向の検出であった。そのため、たとえば、動画像信号の画面において動きのある絵柄と静止状態の絵柄との境界部分の輪郭などにおいて、とくにその形状が複雑なときは、輪郭の一方の側で動きベクトルを正常に検出しても他方の側で誤検出を生じることがあった。逆に、現フィールドを基準として前フィールドを検出する方式をとっても、1方向検出であるから、他方の輪郭の側で誤検出が生ずるに変わりはない。
【0005】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、内挿画面における動きベクトルの検出を従来に比べて誤りなく、より高い精度で検出することができる動きベクトル検出装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、デジタル化された動画像信号の画面が複数のブロックに分割され、1フィールド期間以上離れた第1および第2の画面の間で、複数のブロックのうちの1つが移動したブロックの位置を示す動きベクトルを検出する動きベクトルによる画面内挿装置は、第1および第2の画面の動画像信号より、第1の画面の各ブロックについて第1の画面を基準とした第1の動きベクトルを検出し、第2の画面の各ブロックについて第2の画面を基準とした第2の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、第1の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第1のベクトル相関値、および第2の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第2のベクトル相関値を算出する相関演算手段と、第1および第2の画面の間に挿入する内挿画面の内挿比、および第1および第2の動きベクトルより、第1の画面を基準とした前記内挿画面でのブロックの移動を示す第1の内挿ベクトルを求め、同様に第2の画面を基準とした内挿画面でのブロックの移動を示す第2の内挿ベクトルを求める内挿ベクトル生成手段と、内挿画面の各ブロックに対応する記憶領域を有し、記憶領域にブロック毎の第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値を記憶し、この記憶した第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値をブロック毎に出力する内挿割付手段と、内挿割付手段から出力される第1および第2のベクトル相関値を前記ブロック毎に比較し、第1または第2の内挿ベクトルのうちベクトル相関値が大きい方向のものを選択するベクトル選択手段とを含む。
【0007】
本発明によれば、このような装置で実行される動きベクトル検出方法も提供される。
【0008】
【作用】
本発明によれば、第1の画面と第2の画面との間に内挿画面を挿入する場合に、画面のブロックについて、第1の画面より第2の画面への動きを示す第1の動きベクトルと第2の画面より第1の画面への動きを示す第2の動きベクトルとを内挿比に応じてそれぞれ第1の画面より内挿画面への動き示す第1の内挿ベクトルと第2の画面より内挿画面への動きを示す第2の内挿ベクトルに変換する。次に、第1の動きベクトルのブロックの移動前後の画像信号の相関と第2の動きベクトルの画像信号の同様な相関とを比較し、この相関が大きい方の第1または第2の内挿ベクトルを選択する。これにより、動きベクトルの検出精度が向上する。このような動作を画面内の各ブロックについて順次行ない、こうして選択された内挿ベクトルを使用して内挿画面の各ブロックの画像信号を構成する。
【0009】
【実施例】
次に添付図面を参照して本発明による動きベクトル検出装置を適用した動きベクトル選択装置の一実施例を詳細に説明する。図2は実施例の画面内挿方式の原理を概念的に示す図である。例えば、テレビジョン方式変換でPAL 方式からNTSC方式への変換では、PAL の映像信号の1フレームを構成する前フィールド10と、これに続く現在のフィールドすなわち後フィールド11との間に内挿フィールド12を挿入してNTSC方式の映像信号を形成する。内挿フィールド12の時間軸上の位置は、1フィールド期間を内挿比X:Y で内挿した位置に等しい。図2では、このように時系列的に生起する3つのフィールド10、12および11が3次元的に示されている。本実施例では、前後フィールド10および11は、1フィールド期間離れた相続くフィールドであるが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、1フィールド期間以上離れた飛びとびのフィールドまたはフレームについて効果的に適用される。また、これらのフィールドは飛越し走査されたものであっても、順次走査されたものであってもよい。
【0010】
デジタル化された映像信号の個々のフィールドは、図3に示すように、水平方向および垂直方向にp×q画素の矩形ブロックB1〜Bnに分割され、フィールド間の絵柄の動きをブロックBiの動きベクトルで示す。p、qおよびnはともに自然数であり、iは1〜nまでの自然数である。本実施例では、ブロックB1〜Bnの大きさは、水平方向に8画素、垂直方向に8ラインである。もちろん、これを異なる大きさでもよい。
【0011】
前ベクトル13は、前フィールド10を基準とした動きベクトルであり、ブロック14の絵柄が後フィールド11ではブロック15の位置に移動した、すなわちブロック14がブロック15に移動したことを示す。実際に表示画面には、前フィールド10に続いて後フィールド11が表示されるので、動きベクトル13は実際には、図5に示すように画面上の位置14から15への平面的移動を示す2次元ベクトルであるが、図2では説明の便宜上、3次元的に示す。図5に示すように、前ベクトル13は、前フィールド10におけるブロック14を表わす座標(a,b) から後フィールド11におけるブロック15を表す座標 (a+α, b+β) へ向かう。本実施例では、ブロックの座標は、画面におけるそのブロックの左上の角の座標で示す。ここで注意すべきは、前フィールド10におけるブロック14と後フィールド11におけるブロック15との間の絵柄の相関は、両フィールド間で各ブロックを比較することによって推定された相対的なものであることである。
【0012】
ところで、前フィールド10のブロック14が内挿フィールド12の上に移動したと推定されるブロック16の位置は、前ベクトル13を内挿比X:Y で内挿フィールド12に割り付けることで求まる。次に、後フィールド11を基準とした後ベクトル17は、後フィールド11におけるブロック18が前フィールド10におけるブロック19の移動したものであると推定する動きベクトルである。この後ベクトル17を同じ内挿比で内挿フィールド12上に割り付けた位置が先のブロック16と同一であれば、前ベクトル13の移動前後のブロック14および15の画像信号の相関と、後ベクトル17の移動前後のブロック18および19の画像信号の相関とを後述のフィールド間差分値(DFD) により比較して、相関度の強い方の動きベクトルを内挿フィールド12におけるブロック16の推定に適用する。
【0013】
このような推定操作を実現する本発明の実施例が図1に示されている。同実施例において、前フィールド10および後フィールド11の画像をそれぞれ示すデジタル画像信号100 および101 が2組の動きベクトル検出回路20、21およびDFD 演算回路22、23に入力される。この画像信号 100および 101は、たとえばPAL またはNTSCなどのラスタ走査された映像信号から形成されたものである。以下の説明において、信号の参照符号は、その現れる信号線の参照符号で示す。
【0014】
一方の動きベクトル検出回路20は、本実施例では、たとえば従来の反復勾配法またはパターンマッチング法などを用いて、入力信号100 および101 より前フィールド10の各ブロックBiについて前ベクトル13を求め、これを前後フィールド10および11におけるブロック14および15などの座標データの形で出力13に出力する演算回路である。同様に、他方の動きベクトル検出回路21は、後フィールド11を基準とした後ベクトル17を求め、これをブロック18および19の座標データの形で出力17に出力する演算回路である。
【0015】
一方のDFD 演算回路22は前DFD 演算回路と称し、これは、入力信号100 および101 と動きベクトル検出回路20よりの前ベクトルデータ13とが入力され、前ベクトル13について前後フィールド10および11のブロック、たとえば14および15の絵柄の相関度を、本実施例では前フィールド間差分値(前DFD )として求め、これを出力26に出力する演算回路である。前フィールド間差分値とは、前ベクトル13についてそのブロック14および15を構成するp×q画素のうちの対応する画素の画素信号の差分の絶対値の総和を表す値である。なお、DFD の値が小さいときは、2つのフィールドのブロック間の相関度が大きいことを意味する。同様に、他方のDFD 演算回路23は後DFD 演算回路と称し、これは、後ベクトル17についてブロック18と19との間の相関度である後DFD を算出し、これを出力27に出力する演算回路である。
【0016】
一方の動きベクトル検出回路20の出力13は前割付回路30にも入力され、これにはまた、前DFD 演算回路22の出力26も入力される。前割付回路30は、前ベクトルデータ13、前DFD の値26、および内挿比L[=X/(X+Y)]から前ベクトル13を内挿比Lで内挿フィールド12に割り付ける前ベクトルを求め、これと前DFD の値をブロック16に対応させて割り付ける演算回路である。この求めた前ベクトルをここでは内挿前ベクトルと称する。この割付けのため、前割付回路30は図4に示すメモリ40の記憶領域を有し、この記憶領域は、同図に示すように、内挿フィールド12における分割ブロックB1〜Bn(図3)に対応してデータ部41〜4nが設けられている。求めた内挿フィールド12に割り付ける内挿前ベクトルは、前DFD の値とともに、ブロック16に対応するデータ部4iに記録される。内挿前ベクトルはまた、前割付回路30から出力32に出力され、前DFD の値は出力34に出力される。
【0017】
同様に、他方の動きベクトル検出回路21の出力17は後割付回路31にも入力され、これにはまた、後DFD 演算回路23の出力27も入力される。後割付回路31は、メモリ40に内挿フィールド12のブロックB1〜Bnに対応する記憶領域としてデータ部51〜5nを有し、後ベクトルデータ17、後DFD の値27および内挿比Lが入力されて、後ベクトル17を内挿比Lで内挿フィールド12に割り付ける後ベクトルを内挿後ベクトルとして算出し、これをその出力33に出力するとともに、内挿後ベクトルおよび後DFD の値27をブロック16に対応するデータ部5iに記録する演算回路である。後DFD の値27はまた、出力35にも出力される。内挿フィールド12のブロック16について前および後ベクトル13および17が複数存在するときは、データ部4iおよび5iに複数組の内挿ベクトルおよびDFD が記録される。
【0018】
割付回路30および31は、データ部41〜4nおよび51〜5nへの記録が終わると、データ部の記憶データを順番に出力する。本実施例ではさらに、割付回路30および31は、図6に示すようにブロックB1〜Bnのそれぞれをさらに細分割する細分割機能を有する。本実施例では、内挿ブロック16が水平方向に8画素、垂直方向に8ラインで構成されているが、これをさらに4画素2ラインの8個のサブブロック16a 〜16h に細分割し、これらのサブブロック16a 〜16h について内挿比LによってDFD 値を求め、ブロック16のベクトルとともに内挿フィールド16に投影する。このベクトルは、内挿ブロック16について検出されているので、8個のサブブロック16a 〜16h について同じ値をとる。つまり、内挿ブロック16について8個のDFD 値と1個のベクトルが投影される。この演算は、前ベクトル13および後ベクトル17の両方について行なわれる。前DFD 値および後DFD 値は、後に各サブブロック16a 〜16h ごとに比較され、各サブブロック16a 〜16h ごとにベクトルを選択して出力するのに使用される。このようにして、割付回路30および31は、動きベクトルの精度を向上することができる。この細分割機能は、設けなくてもよい。
【0019】
前、後割付回路30および31のそれぞれの出力34および35は比較回路50に入力される。比較回路50は、前、後割付回路30および31が出力する内挿ブロック16の前、後DFD の値26および27を相互に比較し、内挿前ベクトルのDFD 26が内挿後ベクトルのDFD 27より小さいときは「1」を、逆のときは「0」を選択情報51として出力する選択回路である。比較回路50はまた、前述の内挿フィールド12のブロック16について内挿ベクトルとDFD の組が複数存在するときは、DFD の値が最小、すなわち相関感度が最大なものを選択する選択情報51をベクトル選択回路60に出力する。
【0020】
前後割付回路30および31のそれぞれの出力32および33はベクトル選択回路60の入力に接続され、後者には、比較回路50の出力51も入力される。ベクトル選択回路60は、前、後割付回路30および31がそれぞれDFD の値34および35と同時に出力する前、後ベクトル32および33のうち、比較回路50よりの選択情報51に応じた方、すなわちDFD の値が小さい方のベクトルを選択して出力する回路である。
【0021】
図1の実施例の動作において、前フィールド10および後フィールド11の画像をそれぞれ示すデジタル画像信号100 および101 は動きベクトル検出回路20および21に入力される。一方の動きベクトル検出回路20は、前フィールド10の各ブロックBiの後フィールド11での移動位置を示す前ベクトル13を推定してその値を示すデータを出力13に出力し、同様に、他方の動きベクトル検出回路21は、後フィールド11の各ブロックの前フィールド10での位置を示す後ベクトル17の値を示すデータを出力17に出力する。
【0022】
前DFD 演算回路22は、入力信号100 および101 と動きベクトル検出回路20よりの前ベクトル13の値データが入力されると、その関連するブロック14および15の相関度を示す前DFD を出力26に出力する。同様に、後DFD 演算回路23は、後ベクトル17のブロック18および19の間の相関度を示す後DFD を出力27に出力する。
【0023】
前割付回路30は、前ベクトルデータ13および前DFD の値26を受けて、前ベクトル13を内挿比Lで換算した内挿フィールド12に割り付ける前ベクトル32を前DFD の値26とともにブロック16に対応するデータ部4iに記録する。後割付回路31は、同様にして後ベクトルデータ17および後DFD の値27を受けて、後ベクトル17を内挿比Lで内挿フィールド12に割りつけたベクトル33を後DFD の値27とともにブロック16に対応するデータ部5iに記録する。このブロック16について前、後ベクトルが複数存在するときは、データ部4iおよび5iに複数の内挿ベクトルとDFD 値を記録する。
【0024】
本実施例では割付回路30および31は、図6に示すように、ブロックB1〜Bnのそれぞれをさらに細分割して4画素2ラインの8個のサブブロック16a 〜16h を形成する。そこで、これらのサブブロック16a 〜16h について内挿比Lに応じてDFD 値を求め、ブロック16のベクトルとともに内挿フィールド16に投影する。この演算を前ベクトル13および後ベクトル17の両方について行なう。こうして、内挿ブロック16について8個のDFD 値およびベクトルが得られる。このように、サブブロック16a 〜16h のそれぞれについて、前割付回路30は前ベクトルデータ32と前DFD の値34を出力し、また後割付回路31は後ベクトルデータ33と後DFD の値35を出力する。この細分割により、単位ブロック16によるデータより動きベクトルの精度を上げることができる。
【0025】
そこで前割付回路30および後割付回路31は、本実施例ではサブブロック単位で、前ベクトルデータ32、前DFD の値34、および後ベクトルデータ33、後DFD の値35をそれぞれ出力する。そこで比較回路50は、前後のDFD の値34および35を比較し、前ベクトルのDFD 値34が小さいときは選択情報51を「1」に、また後ベクトルのDFD 値35が小さいときは「0」にして出力する。ベクトル選択回路60は、この選択情報51に応じて前、後割付回路30または31よりの前または後ベクトル32または33を選択してその出力36に出力する。これからわかるように、本実施例では、ベクトル検出までは8x8 画素のブロック16を単位として演算を行ない、それ以降のDFD 演算、割付けおよび比較などの一連の動作は、細分割した4x2 画素のサブブロック16a 〜16h を単位として行なわれる。なお、このような細分割機能を有さない場合は、ブロック16を単位として前ベクトルデータ32、前DFD の値34、および後ベクトルデータ33、後DFD の値35の算出、比較および出力を行なう。
【0026】
このような動作を入力 100および 101に入力される映像信号の前後フィールド10および11のすべてのブロックB1〜Bnについて順次実行する。こうして、内挿フィールド12に含まれる全ブロックが前フィールド10または後フィールド11のいずれかのうち相関度の高い方のブロックを基準とする動きベクトルから内挿されて完成する。
【0027】
図7は1画面の画像領域70のうち絵柄に動きのある領域71と絵柄に動きのない静止領域71との間の輪郭の例を示している。従来技術による1方向の動きベクトル検出では、ラスタ走査方向における境界の一方の側71a または71b で誤検出を生じることがあった。これに対して本実施例では、時間軸上の両方向から前、後ベクトル13および17を検出し、両者の相関度をDFD 値で比較し、DFD 値が小さい方、すなわち相関度の大きい方のベクトル13または17を選ぶことで、誤検出ベクトルを捨て正常ベクトルのみを出力するようにしている。したがって、境界のいずれの側71a および71b で誤検出を生じることがなく、歪みの最小化された画像を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
このように本発明によれば、動きベクトルの検出精度が向上するから、歪みの最小化された画像を得ることができる。動きベクトルの検出方式には、反復勾配法やパターンマッチング法を適用できるので、本発明は、フレーム間符号化装置などの高能率符号化装置や、テレビジョン方式変換装置等に効果的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による動きベクトルによる画面内挿装置の実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施例における画面内挿方式の原理を概念的に示す図である。
【図3】同実施例における画面のブロック分割の例を示す図である。
【図4】図1に示す割付回路のメモリの例を示す展開図である。
【図5】同実施例における動きベクトルとブロックの座標の関係を例示する図である。
【図6】動きベクトルによるブロックが移動前後で重複した場合を説明する図である。
【図7】1画面の画像領域のうち絵柄に動きのある領域と絵柄に動きのない静止領域との間の輪郭の例を示す図である。
【符号の説明】
10 前フィールド
11 後フィールド
12 内挿フィールド
20,21 動きベクトル検出回路
22 前DFD 演算回路
23 後DFD 演算回路
30 前割付回路
31 後割付回路
40 メモリ
50 比較回路
60 ベクトル選択回路

Claims (5)

  1. デジタル化された動画像信号の画面が複数のブロックに分割され、1フィールド期間以上離れた第1および第2の画面の間に位置する内挿画面で、該複数のブロックのうちの1つが移動したブロックの位置を示す動きベクトルを検出する動きベクトル検出装置において、該装置は、
    第1および第2の画面の動画像信号より、第1の画面の各ブロックについて第1の画面を基準とした第1の動きベクトルを検出し、第2の画面の各ブロックについて第2の画面を基準とした第2の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
    第1の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第1のベクトル相関値、および第2の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第2のベクトル相関値を算出する相関演算手段と、
    第1および第2の画面の間に挿入する内挿画面の内挿比、および第1および第2の動きベクトルより、第1の画面を基準とした前記内挿画面でのブロックの移動を示す第1の内挿ベクトルを求め、同様に第2の画面を基準とした前記内挿画面でのブロックの移動を示す第2の内挿ベクトルを求める内挿ベクトル生成手段と、
    前記内挿画面の各ブロックに対応する記憶領域を有し、該記憶領域にブロック毎の第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値を記憶し、該記憶した第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値をブロック毎に出力する内挿割付手段と、
    該内挿割付手段から出力される第1および第2のベクトル相関値を前記ブロック毎に比較し、第1または第2の内挿ベクトルのうち該ベクトル相関値が大きい方向のものを選択するベクトル選択手段とを含むことを特徴とする動きベクトル検出装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、前記ベクトル相関値は、前記ブロックの移動前後における対応する画素の画素信号の差分の絶対値の総和であるフィールド間差分値であり、該フィールド間差分値の小さい方が前記ベクトル相関値が大きいとすることを特徴とする動きベクトル検出装置。
  3. 請求項1に記載の装置において、前記ベクトル選択手段は、前記内挿画面における1つのブロックへ至る第1の内挿ベクトルまたは第2の内挿ベクトルが複数あるときは、前記ベクトル相関値が最大な第1および第2の内挿ベクトルを比較し、該ベクトル相関値が大きい方の第1または第2の内挿ベクトルを選択することを特徴とする動きベクトル検出装置。
  4. デジタル化された動画像信号の画面を複数のブロックに分割し、1フィールド期間以上離れた第1および第2の画面の間に位置する内挿画面で、該複数のブロックのうちの1つが移動したブロックの位置を示す動きベクトルを検出する動きベクトル検出方法において、該方法は、
    前記動画像信号の第1および第2の画面を複数のブロックに分割する工程と、
    第1および第2の画面の動画像信号より、第1の画面の各ブロックについて第1の画面を基準とした第1の動きベクトルを検出する工程と、
    第1および第2の画面の動画像信号より、第2の画面の各ブロックについて第2の画面を基準とした第2の動きベクトルを検出する工程と、
    第1の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第1のベクトル相関値を算出する工程と、
    第2の動きベクトルに関するブロックの移動前後の画像信号の相関を表す第2のベクトル相関値を算出する工程と、
    第1および第2の画面の間に挿入する内挿画面の内挿比、および第1の動きベクトルより、第1の画面を基準とした前記内挿画面でのブロックの移動を示す第1の内挿ベクトルを求める工程と、
    前記内挿比および第2の動きベクトルより、第2の画面を基準とした前記内挿画面でのブロックの移動を示す第2の内挿ベクトルを求める工程と、
    前記内挿画面の各ブロックに対応する記憶領域にブロック毎の第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値を記憶する工程と、
    該記憶した第1および第2の内挿ベクトル、ならびに第1および第2のベクトル相関値をブロック毎に出力する工程と、
    該出力された第1および第2のベクトル相関値を前記ブロック毎に比較し、第1または第2の内挿ベクトルのうち該ベクトル相関値が大きい方向のものを選択する工程とを含むことを特徴とする動きベクトル検出方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、該方法はさらに、前記内挿画面における1つのブロックへ至る第1の内挿ベクトルまたは第2の内挿ベクトルが複数あるときは、前記ベクトル相関値が最大な第1および第2の内挿ベクトルを比較し、該ベクトル相関値が大きい方の第1または第2の内挿ベクトルを選択する工程を含むことを特徴とする動きベクトル検出方法。
JP131095A 1995-01-09 1995-01-09 動きベクトル検出装置および方法 Expired - Fee Related JP3604752B2 (ja)

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