JP3604103B2 - アルミローラの交流プラズマ溶接方法および装置 - Google Patents

アルミローラの交流プラズマ溶接方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミローラの製造に関し、特に、アルミローラを構成する中空筒体とフランジ付軸部材との間の、交流プラズマア−ク溶接に関する。アルミロ−ラは、これに限定する意図ではないが、例えば、複写機,プリンタ等において記録紙の繰出しや搬送に用いられる紙送り用のローラとして、あるいはそれらの心金として用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、上記紙送り用のローラを製造する場合には、図8に示すように、ローラRnを製造するにあたり、円筒形のアルミパイプ(中空筒体)Pnの両端にアルミ製であるフランジ継手(フランジ付軸部材)Pnfを装着する。その際、圧入による固着,圧接による固着、あるいは溶接による溶着、などの方法がとられている。しかし、圧入によりフランジ継手を固着した場合には、フランジ継手を固着したあとの、周面のコーティングの際に、コーティングの熱によりアルミパイプPnとフランジ継手Pnfとの間に熱膨張率の差が生じ、アルミパイプよりフランジ継手Pnfが外れるという不具合があり、歩留りが悪い。さらに製品寿命も短い。
【0003】
一方、圧接による方法においては、アルミパイプPnとフランジ継手Pnfの一方を固定し他方を高速回転駆動してアルミパイプPnとフランジ継手Pnfを圧入する。両者の間の摩擦熱でアルミパイプPnが高温となり、フランジ継手Pnfに密着するが、フランジ継手Pnfを受入れる開口縁が外広がりに膨らむので、この膨らみをとるための削り加工を施すか、予めその膨らみ又は変形分削り加工を施したアルミパイプを用意する必要があり、加工費および材料費がかかる。
【0004】
そこで、耐久性が高く、しかも安価にローラを製作する為には、ア−ク溶接によりフランジ継手を溶着することが望ましい。ところが、溶融アルミは水素をとり込み易い上に熱伝導性が高く、凝固速度が早いので、溶接を行うと溶融したアルミの内に水素ガス気泡(ブローホール)が生じ、該気泡が外気中に逃げる前に冷めて固ってしまい、溶接部にブローホールBFを生じやすい。また、アルミの融点が700度程度であるのに対し、アルミの酸化物であるアルミナの融点は3000度程度と高温であるので、溶接時にアルミの表面が酸化してアルミナ酸化膜の層を形成していると、アルミの溶融が順調に行われずに割れや溶接不良の原因となる。また、溶接中は溶接の熱により溶接部は予め予熱されているが、溶接の開始点は周辺空気の温度と変わらないのでこの温度差により溶接の開始点の溶け込み深さが異ったり、ビード幅が変化する等の不具合が生じる。
【0005】
これ等の問題を解決する為に、特開昭52−26334号公報においては、アルミ板溶接時溶接線始端部前方で溶接電流よりも低い電流でアークスタートし、始端部に移動して予熱を行ない、始端部より溶接電流にて溶接を行なうTIG溶接法で、始端部での溶接欠陥防止方法が提案されている。これによれば、予め溶接の始端部近傍を予熱することにより溶接始端部におけるビード幅や溶け込み深さが均一化される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭52−26334号公報に示される方法においては、溶接面が平面である場合を想定しており、パイプ等の円周方向の溶接に応用するのは困難である。すなわち、パイプ等の円周方向の溶接においては、溶接の開始点と終点が同一であるので、溶接の始端部のみを予熱すると溶接の終点(始端部に接する)において溶け落ちを生じる可能性があり、溶け込み深さを全周に渡って均一にすることがむつかしい。また、交流TIG溶接の場合には、ア−クの指向性(特に逆極性時の指向性)が弱く、溶接対象物に対するト−チの移動速度が速いとア−クが相対移動に対して静止しようとしてア−クが引っぱられ易く、飛び飛びのア−クになったり、ア−ク切れになったりし易い。
【0007】
本発明は、アルミローラの中空筒体の端部とフランジ付軸部材との溶接の、継手品質を向上することを目的とする。具体的には、ブロ−ホ−ルを少くし、溶け込み深さを全周に渡って均一にし、ビ−ド表面を滑らかにすることを目的とし、溶接する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、アルミ中空筒体の端部に軸部材を挿入したアルミローラの、軸部材とアルミ中空筒体の間のリング状境界部を、該ロ−ラとプラズマト−チの少くとも一方を他方に対して相対的に回転させつつ交流プラズマ溶接にて溶接する。しかもこの溶接において、該回転を少くとも2回転以上継続しその間プラズマト−チより前記境界部にア−ク電流によるプラズマを噴射し、該回転の少くとも後半の1回転の間交流プラズマ溶接する。すなわち、1回転以上プラズマト−チにより溶接予定の境界部を予熱してから溶接する。
【0009】
この予熱は、交流プラズマア−クによる予熱であるが、プラズマト−チにおいてパイロットア−クが維持されており、このパイロットア−クを通じてメインア−クが飛ぶので、高速回転においてもア−クのジャンピング(飛び飛び)やア−ク切れを生じにくく、メインア−クが安定し、したがって全周が均一に予熱される。この予熱により、次に続いて行なわれる交流プラズマ溶接において、溶接始端部に溶接不良を生じない。また、終端部の溶け落ちがなくなる。しかも、全周において溶け込み深さが均一化し、かつビ−ド表面が滑らかになる。また、溶接開始位置のビード幅も溶接開始点より後の溶接位置のビード幅と同じとなるので、ビード幅が均一となる。交流プラズマ溶接により融点の高い酸化膜を自動的に除去しつつ溶接を行うのでアルミが順調に溶融され、溶接不良をおこさない。
【0010】
交流プラズマ溶接は、逆極性区間で酸化物被膜が溶け正極性区間でアルミが溶けるので、アルミの溶接に適するが、アルミの表面の酸化物被膜には結晶水が含まれ、これが溶接時に水素発生の原因の1つとなる。アルミは熱伝導度が高いので、溶融部が水素を含んだまま凝固する可能性が高いが、本発明では、該1回転以上の予熱により、全周が予熱されており、これによりブロ−ホ−ルが少くなる。この理由が、予熱時の交流プラズマア−クの逆極性区間でのアルミ表面の酸化物被膜の部分的な破壊により結晶水が低減することによるものか、あるいは、全周の予熱(蓄熱)により、溶接中の溶融部の凝固が遅くなり水素が逃げる確率が高くなることによるものか、あるいは両者の相互作用によるものか定かではないが、本発明の溶接方法により確実にブロ−ホ−ルが低減する。
【0011】
【発明の実施の形態】
交流プラズマ溶接をする前の回転の間は、回転速度を溶接時のものより高速とする、および又は、プラズマア−ク電流を溶接時のものより低値とする。これにより、溶接前にアルミローラの外周面を過熱することが無く、均一に溶接予定位置の温度を上昇させることができる。
【0012】
リング状境界部の開先形状は、開先深さ0.1〜0.5mmの、開先角度70〜88°のレ形開先又は開先角度140〜176°のV形開先とする。これによれば、リング状境界部に設けた開先により、凸ビードが現われず、ロ−ラ円周面と滑らかに連続する美麗なビードが得られる。
【0013】
交流プラズマ溶接をする回転の直前までに、プラズマト−チとは別個の加熱手段でアルミローラを予熱する。これにより、プラズマト−チによる予熱時間(予熱回転量)を少くすることができる。
【0014】
シ−ルドカバーにて、アルミローラのリング状境界部にプラズマト−チが噴射するシールドガス気体を、リング状境界部の周方向に沿う流れに強制する。これにより、ト−チ直下のみならず、リング状境界部の大部分が不活性ガスで外気から遮断され、リング状境界部のシールド効果が高く、しかも外気中の水蒸気(水素)を取り込むことが無く、ブローホールが発生しにくい。
【0015】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0016】
【実施例】
図1に本発明の一実施例を示す。図1において、x矢印方向を右とし、y矢印方向を後とし、図1の裏から表に向う方向zを上とする。円筒形のアルミパイプPnには、図示しない圧入工程においてその両端にアルミ製のフランジ継手Pnfが圧入されてローラーRnとなる。このローラーRnの両端2ヶ所のフランジ継手PnfとローラーRnの合せ部(リング状境界部)を図1の装置を用いて交流プラズマ溶接にて円周溶接を行なう。溶接作業の工程としては、作業者がフランジ継手Pnfの圧入されたアルミローラーRnを図1の回転駆動軸25とローラー受け軸26の間にセットレバー28によりセットして起動スイッチ30をONするとトーチ1が溶接位置に移動して自動溶接を行なう。トーチ1は溶接終了後元の位置に戻る。作業者は、一旦、セットレバー28を操作してセットを解除し、ローラーRnの左右を反転して回転駆動軸25とローラー受け軸26の間に再度セットする。そして、起動スイッチ30をONすると、前記と同様の工程でトーチ1による溶接が行なわれ、アルミローラーRnが完成する。アルミローラーの材質,形状に応じて、溶接前に電気炉50により所定の温度に予熱しておいてから、溶接を行っても良い。
【0017】
次に、装置の構成を説明する。装置の作業台3の上面の右方には、左右方向に延び、ローラーRnの右側のフランジ継手Pnfをその左端部で回動自在に受ける受け軸26があり、支持部材27により左右方向に摺動自在に支持されている。受け軸26よりさらに右方の作業台3の右端には、前後方向に延びるセットレバー28がある。セットレバー28の基部(後方端部)は、z方向に延びる軸部28aに回転自在に支持されている。軸部28aは支持部材を介して作業台3に固定されており、セットレバー28は、軸部28aを中心として先端(前方向端部)を左右方向に旋回させる。しかし、軸部28aの先端は支持部材27との間に張り渡されたスプリング29により常に左方向に引張られている。セットレバー28の中間部には長穴が開孔し、受け軸26の上部に突出するピン26aとカン合する。セットレバー28の軸部28aを基点とした旋回動作により、受け軸26が左右に(矢印3x方向)摺動する。
【0018】
作業台3の上面の左方には、受け軸26とは先端を対向して配置される回転駆動軸25がある。回転駆動軸25は、支持部材24により回転自在に支持されている。レバー28をアンクランプ方向(右方)に旋回させると、受け軸26が右方向に退避する。作業者が、回転駆動軸25と受け軸26間にフランジ継手Pnfを圧入したローラーRnをセットして、レバー28を再びクランプ方向(左方)に戻すと、回転駆動軸25と受け軸26間にローラーRnがスプリング29の力によりクランプされる。支持部材24より後方側にローラーの回転駆動用のモータ2が搭載されている。モータ2の回転軸にはプーリー21が固着され、プーリー21と、支持部材24の左側面より突出した回転駆動軸25の尾端部に固着されたプーリー23との間には、タイミングベルト22がかけ渡されている。モータ2が正回転すると、その回転軸の回転はプーリー21とタイミングベルト22を介してプーリー23に伝えられ、プーリー23に一体の回転駆動軸25が図1の回転矢印rの方向に回転する。回転駆動軸25の尾端部には、1回転検出スイッチ12が備えられ、回転駆動軸25の1回転ごとに検出パルスを1パルス発生する。
【0019】
図7の(a)に、一本のローラーの右端部のフランジ継手Pnfを示す。左端部のフランジ継手も右端部のフランジ継手Pnfと同形である。フランジ継手Pnfのフランジの、パイプPnの端近くの円周面は、レ形開先を形成するように円錐状に削られており、その開先角度はθ1(70°〜88°)であり、開先深さL1は0.1〜0.5mmである。フランジ継手Pnfの回転軸部の端面中央には、受け軸26の先端を受ける丸穴pfがある。左端部のフランジ継手にも回転駆動軸25の先端を受ける丸穴がある。
【0020】
図7の(b)に示すように、左右のフランジ継手の開先は、開先角度がθ2(140°〜176°)であるV形開先としてもよい。この場合においても、開先深さL1は0.1〜0.5mmである。
【0021】
再び図1を参照されたい。受け軸26と回転駆動軸25の先端は対向しており、それぞれ円錐状であり、先端は前述の丸穴pfに整合する球面となっている。ローラーRnが作業者によりセットされると、受け軸26の先端が、ローラーRnの右側に圧入されたフランジ継手の丸穴Pnfに入ってその底に当たり、ローラーRnの軸中心を受け軸26および回転駆動軸25の軸中心と合わせながら、ローラーRnを左方向に押し付ける。こうしてローラーRnは、その軸中心を回転駆動軸25と受け軸26の軸中心と同一とした状態で、スプリング29の左方向への引張り力により、回転駆動軸25の先端と受け軸26間の先端間に固定される。この状態で回転駆動軸25が、モータ2により回転矢印r方向に回転駆動されると、ローラーRnおよび受け軸26が回転駆動軸25と一体で同方向に回転する。
【0022】
ローラーRnの固定位置の右後方には、溶接トーチ1を支持しy方向(矢印11y方向)に駆動するトーチ前後機構11がある。溶接トーチ1は、トーチ前後機構11により手前方向に駆動され、その駆動限界に達した時に、固定されたローラーRnのパイプPnとフランジ継手Pnfの間の境界部すなわち溶接部の真上に止まるように配置されている。トーチ前後機構11にはさらに上下機構14が備えられ、溶接トーチ1が手前方向の駆動限界に達すると、溶接トーチ1を下駆動する。トーチ前後機構11は、後述するソレノイドSOL1への通電により溶接トーチ1を手前方向に駆動し、通電が無くなると後方へ退避させる。トーチ上下機構14は、ソレノイドSOL2への通電により溶接トーチ1を下方に駆動し、通電が無くなると上方へ退避する。溶接を行う際には、トーチ前後機構11が溶接トーチ1を手前方向に駆動し、ローラーRn上の(図1に2点鎖線で示す)溶接位置に停止させ、トーチ上下機構14がさらに溶接トーチ1を下駆動して溶接を開始する。
【0023】
図2には、この時のローラRnの右端部を、図1に1点鎖線矢印2Aで示す方向より見た図を示す。溶接トーチ1の先端には、略筒型で下端にはローラーRnが横断するU型の側面開口を持つシールドカバー1cが装着されており、溶接トーチ1をトーチ前後機構11が下駆動することにより、シールドカバー1cのU型の側面開口内にローラーRnが入った形となる。したがってローラーRnの溶接部は、シールドカバー1cで覆われ、この内部にト−チからプラズマア−クを中心にシールドガスが噴射されて、カバ−1cの下開口から、ローラーRnの下方に出る。このシ−ルドガス流により、溶接部(リング状境界部)が全周に渡ってシ−ルドされ、溶接部に空気(特に問題となるのが水気)が接触するのを防止する。溶接トーチ1bにも同様なシ−ルドカバ−が装着されている。
【0024】
図3に示す交流プラズマ溶接機40および図4に示すモータコントローラーMcにより、この後の溶接工程が行われる。これまでの動作と交流プラズマ溶接機40およびモータコントローラーMcによる溶接工程は、図5に示すシーケンス制御回路CSにより動作タイミングを制御される。図6には、本実施例の装置の各要素の動作タイミング(動作シ−ケンス)を示す。
【0025】
作業を開始するにあたり作業者は、まずプラズマ電源40をONにし、パイロットアーク(タネ火)を点火させ、溶接アークのON−OFFの待機状態にしておく。次に、アルミローラRnを手で持ち、セットレバー28を右方向に押し、受け軸26を右方向に退避させる。アルミローラRnを回転駆動軸25と受け軸26の間の軸線上に配置し、セットレバー28を左に戻すと、アルミローラRnは、スプリング29の引張り力により回転駆動軸25と受け軸26の間にセットされ、搬入終了の溶接待機状態となる。ここで搬入終了とは、在席センサー15がローラーRnが受け軸26と回転駆動軸25間に搬入されたことを検知し、オンとなった時点をいう。
【0026】
在席センサー15がオンとなると、それに連動してスイッチLS1が閉となる。これにより常閉のリレー接点R7aを介してソレノイド1およびリレーコイルR1がオンとなる。リレーコイルR1の接点R1a,R1bが閉となり、リレーコイルR1は接点R1aによりその通電を自己保持される。また、ソレノイドSOL1が通電されてオンとなる。ソレノイドSOL1は、トーチ前後機構11と連動しており、トーチ前後機構11が支持しているプラズマ溶接トーチ1を手前方向に突出し、それに連動してリミットスッチLS2が閉となる。リミットスッチLS2が閉となると、常閉のタイマ接点T1aを介してソレノイドSOL2がオンとなる。ソレノイドSOL2は、トーチ上下機構14と連動しており、トーチ1を下駆動する。プラズマ溶接トーチ1aが溶接位置に到達すると、それに連動してリミットスイッチLS4が閉となる。リミットスイッチLS4が閉となると、リレーコイルR2がオンとなる。リレーコイルR2のオンによりその接点R2a(図5),R2b(図3),R2c(図4)が閉となる。
【0027】
図3に示すリレーコイルR2の接点R2bは、交流プラズマ溶接機40の電源接点であり、接点R2bが閉となることにより交流プラズマ溶接機40が外部のガス供給装置に指示を出力してプラズマ溶接トーチ1に、シールドガスの供給を開始する。
【0028】
一方、図4に示すリレーコイルR2の接点R2cは、モータコントローラーMcの電源接点であり、これが閉となることによりコントローラーMcがモーター2に通電を開始する。ここで、図4の接点R5eが閉であるので、モーター2に供給される電圧は、図6に示すように高電圧V1である。これによりモーター2が高速回転し、これに伴いローラーRnが高速で回転する。図1に示す1回転検出センサー12,リミットスイッチLS10は、ローラーRnが1回転するごとにそれを表わす電気パルスを発生する。
【0029】
再度図5を参照されたい。ローラーRnが1回転すると、リミットスイッチLS10が一瞬閉となる。接点R2aがすでに閉であるのでこれによりリレーコイルR3がオンとなり、その接点R3a,R3b,R3cが閉となる。リレーコイルR3の通電は、その自己保持接点R3aにより維持される。接点R3bが閉となると、アーク検出回路Sa中の常閉の接点Sa1を介して、リレーコイルR4が通電される。一方で、接点R3cの閉により2段プリセットカウンタC1がリミットスイッチLS10が閉となる回数のカウントを開始する。
【0030】
さて、リレーコイルR4が通電されることにより、図3に示す交流プラズマ溶接機40のアークON/OFF端子に接続されたアーク接点R4aが閉となり、溶接機40がプラズマ溶接トーチ1とローラーRn間に交流電圧を印加する。これにより、プラズマ溶接トーチ1とローラーRn間にプラズマアークが発生し、交流のアーク電流が流れる。ここで、図3の接点R5a,R5cが閉であるのでプラズマ溶接トーチ1とローラーRn間を流れるアーク電流は、正極電流は図6に示すIp1であり、負極電流はIn1である。図5に示すアーク検出回路Saは、プラズマアークの発生をこのアーク電流の通流により検知して、その内部接点Sa1を開として接点Sa2を閉とする。これにより、リレーコイルR4の通電は遮断されて接点R4aはいったん開となるが、溶接機40はプラズマ溶接トーチ1とローラーRn間に流し続け、再度接点R4aが閉となるまでプラズマアークを維持する。この状態においては、アーク電流は低く、ローラーの回転速度は速いので、溶接部は温められても溶接には致らない。これが溶接ト−チによるローラーの予熱である。
【0031】
図5のプリセットカウンタC1は、検出スイッチLS10が閉となる回数をカウントし、カウントが3となると接点C1aを閉とする(SET1:予熱終了,本溶接開始)。これによりリレーコイルR5が通電される。リレーコイルR5のオンにより図3および図4に示すその接点R5a,R5b,R5cが開となり、接点R5d,R5e,R5fが閉となる。すると、図3に示す接点R5d,R5eの閉により、プラズマ溶接トーチ1とローラーRn間に通電されている交流電流の電流値が図6に示すように正極電流値はIp2となり、負極電流値はIn2となる。すなわち、電流レベルが大きくなり、これが本溶接電流である。また一方では、図4に示す接点R5fの閉によりモーター2に印加される電圧が図6に表すV2に低下し、ローラーRnの回転速度が遅くなる。このようにアーク電流を増加してローラーRnの回転速度を遅くした状態が本溶接状態である。
【0032】
その後、図5のプリセットカウンタC1は、カウントが4となる(本溶接を開始してからローラーRnが1回転する)とさらに接点C1bを閉とする(SET2:本溶接終了,クレータ処理開始)。これによりリレーコイルR6が通電されてその接点R6aが閉となるとともにタイマT1がカウントを開始する。接点R6aの閉により、再度リレーコイルR4が通電されて図3に示す接点R4aが閉となる。接点R4aの2度目の閉により溶接機40は、プラズマ溶接トーチ1とローラーRn間に流していたアーク電流値を次第に小さくして行く。この間、モーターコントローラーMcはモータ2への通電を継続しており、モータ2はローラーRnの回転を続行する。アーク電流の低減に伴いプラズマアークは減少してゆき、ローラーRnはその溶融プールを除々に小さくしながら回転を続ける。これがクレータ処理である。
【0033】
さて、タイマT1はカウントを終了するとその接点T1a,T1cを開とし、接点T1bを閉とする。接点T1cの開によりリレーコイルR6の通電が遮断され、その接点R6aが開となり、リレーコイルR4のオフに伴い図3に示す接点R4aが開となり、溶接機40が溶接待機の状態に戻る。また、接点T1aの開によりソレノイドSOL2の通電が遮断されて溶接トーチ1は、上昇し、これに連動してリミットスイッチLS5が閉となると、すでに閉のタイマT1bを通じて、リレーコイルR7が通電されて接点R7aが開となりリレーコイルR1及びソレノイドSOL1がオフされる。ソレノイドSOL1がオフされると、溶接トーチ1は後方へ戻される。また、同時にリレーコイルR1がオフされることで、その接点R1a,R1bが開となり、リレーコイルR1の自己保持が解除され、また、総てのリレーコイル,タイマ,ソレノイド及びカウンタが解除され、起動される前の状態に戻る。作業者は、セットレバー28を右に駆動し、受け軸26を右方へ移動させると、アルミローラーRnが拘束から解除され、取り出せる。このアルミローラーRnのもう一方の未溶接部を右側にして再度前記と同じワークセット動作を行ない、さらに起動スイッチ30を再度オンすれば、前記と同じ溶接動作により装置が溶接を行ないアルミローラーRnの溶接が完了する。
【0034】
アルミローラーRnの径が大きい場合など、予熱が必要な時は、溶接前に電気炉50で所定の温度迄予熱し、溶接の直前で電気炉50より取り出し、前記と同じ溶接動作により溶接を行なう。
【0035】
表1に、本実施例の装置を用いて条件を変更して溶接を行った結果を示す。また、図9には、予熱回転数を変更した場合のブローホールの発生個数を表すグラフを示す。表1および図9において、共通条件は以下の通りである。
【0036】
Figure 0003604103
【0037】
【表1】
Figure 0003604103

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を表す平面図である。
【図2】図1に示すローラーRnの右端部の斜視図である。
【図3】図1に示す交流プラズマ溶接機40の周辺回路との接続を示す電気回路図である。
【図4】図1に示すモーター2を回転駆動するモーターコントローラMcの周辺回路との接続を示す電気回路図である。
【図5】図1に示す溶接トーチ1の移動機構11,14、交流プラズマ溶接機40、図4に示すモーターコントローラMcの動作制御を行うシーケンス回路CSを表す電気回路図である。
【図6】図5に示すシーケンス回路による各制御要素の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】(a)はレ形開先を持つフランジ継手Pnfの拡大平面図であり、(b)はV形開先を持つフランジ継手Pnfの拡大平面図である。
【図8】従来のローラー溶接における溶接部の縦断面図である。
【図9】本実施例を用いて、本溶接前のローラーRnの回転数を変化させて溶接を行った時のブローホールの発生個数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
21,23:プーリー 22:タイミングベルト
24:支持部材 25:回転駆動軸
26:受け軸 Pn:パイプ
Pnf:フランジ継手 pf:丸穴
Rn:ローラー C1:2段プリセットカウンタ
R1〜R7:リレーコイル Sa:アーク検出回路
SOL1〜SOL2:ソレノイド
T1:タイマ LS1:スイッチ
LS2:リミットスイッチ LS4:リミットスイッチ
LS5:リミットスイッチ LS10:リミットスイッチ

Claims (7)

  1. アルミ中空筒体の端部に軸部材を挿入したアルミローラの、軸部材とアルミ中空筒体の間のリング状境界部を、該ロ−ラとプラズマト−チの少くとも一方を他方に対して相対的に回転させつつ交流プラズマ溶接にて溶接するにおいて、
    該回転を少くとも2回転以上継続しその間プラズマト−チより前記境界部にア−ク電流によるプラズマを噴射し、該回転の少くとも後半の1回転の間交流プラズマ溶接することを特徴とする、アルミローラの交流プラズマ溶接方法。
  2. 前記交流プラズマ溶接をする回転の間、回転速度低およびア−ク電流高の少くとも一方であり、その前の回転の間、回転速度高およびア−ク電流低の少くとも一方である、請求項1記載の、アルミローラの交流プラズマ溶接方法。
  3. 前記リング状境界部の開先形状は、開先深さ0.1〜0.5mmの、開先角度70〜88°
    のレ形開先又は開先角度140〜176°のV形開先である、請求項1又は請求項2記載の、アルミローラの交流プラズマ溶接方法。
  4. 前記交流プラズマ溶接をする回転の直前までに、前記プラズマト−チとは別個の加熱手段でアルミローラを予熱する、請求項1,請求項2又は請求項3記載のアルミローラの交流プラズマ溶接方法。
  5. アルミ中空筒体の端部に軸部材を挿入したアルミローラを回転駆動する手段;
    前記アルミローラの、軸部材とアルミ中空筒体の間のリング状境界部を溶接するためのプラズマ溶接ト−チ;
    該プラズマ溶接トーチに交流ア−ク電流を供給する、電流レベルが可変の交流電源;
    アルミローラの回転量を検出する手段;および、
    前記回転駆動手段を介してアルミロ−ラを回転駆動し前記交流電源に低レベル電流の供給を指示し、前記回転量検出手段が設定回転量を検出すると前記交流電源に高レベル電流の供給を指示し、高レベル電流の供給から前記回転量検出手段が設定回転数を検出するまで高レベル電流の供給を継続する制御手段;
    を備えるアルミローラの交流プラズマ溶接装置。
  6. 制御手段は、アルミロ−ラを高速回転駆動し、前記回転量検出手段が設定回転量を検出すると低速回転に切換える、請求項5記載のアルミローラの交流プラズマ溶接装置。
  7. 装置はさらに、アルミローラのリング状境界部にプラズマト−チが噴射する気体を、リング状境界部の周方向に沿う流れに強制するシ−ルドカバー;を備える請求項5又は請求項6記載のアルミローラの交流プラズマ溶接装置。
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