JP2005111551A - ホットワイヤtig溶接方法、この方法により溶接された部品及びホットワイヤtig溶接装置 - Google Patents

ホットワイヤtig溶接方法、この方法により溶接された部品及びホットワイヤtig溶接装置 Download PDF

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明良 高野
Tadashi Higuchi
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Shuhei Yamaguchi
修平 山口
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尚 轟
Masahiro Tsunoda
雅弘 角田
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Abstract

【課題】 ホットワイヤTIG溶接方法において、スパッタを生じることなく溶接可能な範囲を広げる。
【解決手段】 互いに溶接される2つの部材Wa,Wbの接合縁に沿って電極32を有するTIGトーチ30を移動するとともにTIG電源42からの電圧を電極に印加して接合縁との間にアーク33を形成し、またTIGトーチと関連して支持された溶接ワイヤ38を接合縁付近に送り込むとともに溶接ワイヤにワイヤ加熱電源41からの電圧を印加することにより通電加熱して接合縁を溶接する。ワイヤ加熱電源は、溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御する。このホットワイヤTIG溶接方法はトルクコンバータのハウジングWの溶接などに適しているが、それ以外のスパッタを嫌う各種部品にも適している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ホットワイヤTIG溶接方法、特にスパッタの発生を少なくすることができるホットワイヤTIG溶接方法、この方法により溶接された部品及びホットワイヤTIG溶接装置に関する。
流体伝動装置などの部品、例えばトルクコンバータのハウジングは、プレス加工されたフロントカバーとインペラシェルを接合させ、その接合縁をMAG溶接法(消耗電極である溶接ワイヤの周囲からアルゴンガスと炭酸ガスを混合したシールドガスを供給しながら行うアーク溶接方法)により液密に溶接するのが普通である。プレス加工されたフロントカバーとインペラシェルはそのままでは加工精度が充分ではないので両者の接合部に隙間を生じ、一方溶接ワイヤを消耗電極とするMAG溶接法では溶接の際にスパッタを生じるので、生じたスパッタが接合部の隙間からコンバータハウジング内に浸入して付着してしまう。コンバータハウジング内に付着したこのスパッタはトルクコンバータの完成後に作動油の流れを妨げて性能に悪影響を与え、またこのスパッタが離脱して作動油内に混入するとシール部あるいは軸受部に悪影響を与えるという問題がある。このような問題はコンバータハウジングに限らず、流体継ぎ手のハウジング、オイルリザーバ、配管部品などの作動油が収容されまたは流通される流体伝動装置の部品においても存在する。さらにこのような溶接される部品でスパッタの発生が問題となる部品は、流体伝動装置の部品にかぎらず、自動車等のドアフレーム(スパッタにより外観が損なわれる)、や車両用ドアのヒンジ等の取付面(スパッタにより平面度が損なわれ、ヒンジ等の取付精度に悪影響を及ぼす)、車両用シートのシートレールやサンルーフ等の摺動部品(部材に付着したスパッタが部品間に噛み込むと機能が損なわれる)、エンジンのインテークマニホールドやエキゾーストマニホールド等の気体流路の構成部品(内面に付着したスパッタが気体の流れに悪影響を及ぼし、脱落すればエンジンの各部に悪影響を与える)などがある。なおこのような問題は、プレス加工された部材に限られるものではない。
上述したトルクコンバータのハウジングにおいてはこのような問題を解決するために、従来は例えば図7に示すように、フロントカバーWaとインペラシェルWbの各接合部を段状に切削加工し、フロントカバーWaの切削加工された先端面Wa1とインペラシェルWbの切削加工された段部Wb1を隙間なく当接させ、MAG溶接法により溶接する際に生じるスパッタが接合部の隙間からコンバータハウジングW内に浸入しないようにしている。あるいはまた、フロントカバーとインペラシェルの接合部に雌ねじ部及び雄ねじ部を形成し、この両ねじ部を互いに螺合させてフロントカバーとインペラシェルを互いに固定したものもあり(特許文献1)、これによれば組立精度の向上及びスパッタの浸入による特性の悪化を防止を図ることができる。前述したその他の部品においても、スパッタによる問題を解決するために種々の構造上の工夫がなされている。
特許第2693074号公報(段落〔0005〕、段落〔0006〕、段落〔0008〕、図1)。
しかしながら、図7及び特許文献1に示す従来技術は、何れもプレス加工されたフロントカバーとインペラシェルの各接合部に段状部またはねじ部を加工する必要があるので、製造コストが増大するという問題がある。前述したその他の部品においても、スパッタによる問題を解決するための構造上の工夫には製造コストの増大が伴うという問題がある。
これに対し、トルクコンバータのハウジングの例では、フロントカバーとインペラシェルはプレス加工されたままとし、MAG溶接法の代わりにTIG溶接法(タングステンなどの高融点の金属の電極の周囲からアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを供給して電極と工作物との間にアークを発生させ、このアーク内に溶接ワイヤを送り込んで行うアーク溶接方法)により溶接を行うことが考えられる。このTIG溶接法はスパッタを殆ど生じないので、フロントカバーとインペラシェルがプレス加工したままで両者の接合部に隙間がある場合でも、コンバータハウジング内にスパッタが浸入して付着することはなく、従って前述したようなスパッタの付着による問題は生じない。しかしながら、このTIG溶接法はMAG溶接法に比して溶接速度が1/3程度と遅いので、生産性が低下するという問題がある。
このTIG溶接方法の溶接速度をMAG溶接法と同程度にまで向上させる技術としては、溶接ワイヤの先端部分に通電してこれを加熱するようにしたホットワイヤTIG溶接方法がある。従って前述した最後の技術において、TIG溶接方法の代わりにホットワイヤTIG溶接方法を使用することが考えられ、そのようにすればフロントカバーとインペラシェルがプレス加工したままで両者の接合部に隙間がある場合でもコンバータハウジング内にスパッタが浸入して付着することなく、しかも溶接速度をMAG溶接法と同程度にまで向上させて生産性を向上させることが期待できる。
次に上述したようなコンバータハウジングWをホットワイヤTIG溶接方法により溶接するのに使用する溶接装置を図1〜図3により説明する。この溶接装置は、図1に示すように、フロントカバーWa及びインペラシェルWbを支持するポジショナ11と、この両部材Wa,Wbの接合縁を溶接するためのTIGトーチ30及び通電チップ35を備えたウイービングユニット20と、TIGトーチ30に電圧を印加するTIG電源42と、通電チップ35に電圧を印加するワイヤ加熱電源41と、通電チップ35に溶接ワイヤ38を供給するワイヤフィーダ40よりなるものである。
溶接装置の機枠10上に設けられたポジショナ11は、プレス加工されたままで互いに対向する接合面が切削加工されていないフロントカバーWaとインペラシェルWbを所定の位置関係に同軸的に保持して、所定の溶接送り速度が得られるように垂直軸線回りに回転駆動するものである。
ウイービングユニット20は、図1〜図3に示すように、機枠10上に立設された支柱26上に垂直な軸線回りに回動調整可能に固定された第1支持部材27と、この第1支持部材27に水平な軸線回りに回動調整可能に固定された第2支持部材28と、この第2支持部材28に固定された保持ブラケット29と、この保持ブラケット29に長手方向位置調整可能に保持された筒状のTIGトーチ30と、このTIGトーチ30に支持ブラケット34を介して位置決め支持された筒状の通電チップ35よりなるものである。フロントカバーWa及びインペラシェルWbに対するTIGトーチ30及び通電チップ35の位置関係は、各部材27,28,29,30の固定位置を調整することにより調節することができる。
TIGトーチ30の先端部には、ポジショナ11により位置決め支持されたフロントカバーWaとインペラシェルWbの接合縁に向かって突出する電極32と、この電極の周囲を覆う筒状のノズル31を備えており、ノズルからはアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが吹き出すようになっている。通電チップ35はその内部の先端部に、電極32の先端に最も近い接合縁付近に向けて溶接ワイヤ38を案内支持するセラミックノズル36と、先端の給電ポイント37aにおいて溶接ワイヤ38と接触してこれに給電する給電電極37を備えている。図1におけるTIGトーチ30と通電チップ35の関係は、見やすくするために互いに角度を持たせた状態で図示したが、実際は通電チップ35が手前側となるように重なっている。
TIG電源42は、TIGトーチ30の電極32に直流電圧を印加して同電極32の先端とこれに対向する接合縁付近の間にアーク33を形成するものである。ワイヤ加熱電源41は通電チップ35の給電電極37に直流のパルス電圧を印加して溶接ワイヤ38のエクステンションE(溶接ワイヤ38の給電ポイント37aと両部材Wa,Wbの接合縁の一部に形成される溶融プールWpとの間の部分。図3参照)に通電してこれを加熱するものであり、従来のホットワイヤTIG溶接方法では溶接ワイヤ38に通電されるワイヤ電流Iwが一定になるように電圧が制御されている。ワイヤフィーダ40は、巻回されて保持された溶接ワイヤ38を1対の給送ローラ40aにより送り出して、通電チップ35に供給するものである。
この溶接装置では、フロントカバーWaとインペラシェルWbは回転テーブル11により所定の位置関係に同軸的に保持されて垂直軸線回りに回転駆動され、TIGトーチ30と通電チップ35はフロントカバーWaとインペラシェルWbの接合縁に沿って移動される。この移動と同時に、TIGトーチ30の電極32にはTIG電源42からの電圧を印加して電極32とこれに対向する接合縁の間にアーク33を形成し、ワイヤフィーダ40から送り出された溶接ワイヤ38を通電チップ35を通して電極32と対向する接合縁付近に送り込み、またワイヤ加熱電源41からの電圧を通電チップ35の給電電極37に印加して溶接ワイヤ38のエクステンションEの範囲にワイヤ電流Iwを通電する。このワイヤフィーダ40と通電チップ35が、フロントカバーWaとインペラシェルWbの接合縁付近に溶接ワイヤ38を送り込むワイヤ送出手段を構成し、ワイヤ加熱電源41と給電電極37が、給電電極37と接触する一部分と溶接縁の間となる溶接ワイヤ38を加熱するワイヤ加熱手段を構成している。
これにより電極32の先端と対向する接合縁付近のフロントカバーWa及びインペラシェルWb及び送り込まれた溶接ワイヤ38の先端部は加熱され溶融されて溶融プールWpが形成される(図3参照)。そして電極32と溶接ワイヤ38が接合縁に対して移動するにつれて溶融プールWpも移動し、その後側にはフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接結合するビードWcが形成される。TIGトーチ30のノズル31と電極32の間からは溶融プールWp及び溶接ワイヤ38の先端付近に不活性ガスを供給して、溶融金属の酸化及び電極32の消耗を防いでいる。
このホットワイヤTIG溶接方法によれば、プレス加工された2つの部材Wa,Wbは互いに対向する接合面がプレス加工されたままであるので流体伝動装置の部品の製造コストを低下させることができ、また溶接ワイヤ38のエクステンションEの範囲はアーク33により加熱されるだけでなくワイヤ電流Iwによっても加熱されて速やかに温度が上昇するので、溶接速度はMAG溶接法と同程度まで増大され、従って生産性低下の問題は解決される。
この従来のホットワイヤTIG溶接方法は、スパッタが生じないとされているが、その範囲は比較的狭く、それを外れるとスパッタを生じるという問題がある。すなわち図4に示すように、TIGトーチ30の電極32の先端とインペラシェルWbとの距離XとフロントカバーWaとの距離Yは、フロントカバーWaとインペラシェルWbの精度や取付精度のばらつき等により、接合縁に沿って電極32が移動するにつれて変化し、装置及び各部品Wa,Wb側から与えられるこの距離Xと距離Yの変動範囲(溶接裕度必要範囲)は図5の実線で示す範囲Aとなる。これに対しウイービングユニット20の各部のディメンションの調整がなされていない初期トライの段階では、スパッタを生じることなく溶接可能な範囲は、例えば図5の一点差線で示す範囲Dであり、溶接裕度必要範囲Aのごく一部しかカバーしていない。従ってフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接している間に相当なスパッタを生じるという問題がある。
このスパッタは、発明者が実験により確認したところでは、溶接ワイヤ38のエクステンションEの溶融プールWp側となる先端部が過熱されて溶断された際に発生するスパークに伴って生じるものである。このエクステンションEの範囲では、溶接ワイヤ38の各部分は溶融プールWp側に進むにつれてアーク33及びワイヤ電流Iwによる加熱が蓄積されて次第に高温になる。前述のように距離Xと距離Yは接合縁に沿って電極32が移動するにつれ変化し、これと同時にエクステンションEの長さも変化する。この変化により溶接ワイヤ38のエクステンションEが長くなった場合には、エクステンションEの範囲となる溶接ワイヤ38の全体の抵抗としての抵抗rが増大し、前述のように従来のホットワイヤTIG溶接方法ではワイヤ電流Iwが一定となるようにワイヤ加熱電源41の電圧を制御しているので、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38の発熱量(=Iw2 ×r)は抵抗rに比例して増大する。また溶接ワイヤ38の素材である鉄の固有抵抗は図6(a) に示すように温度の上昇に応じて急激に増大(0〜800℃の間で約10倍に増大)し、一方鉄の平均見掛け比熱は図6(b) に示すように温度の上昇に応じて比較的緩やかに増大(0〜800℃の間で約2倍に増大)するので、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38の温度はエクステンションEの長さの増大以上に増大される。なおエクステンションEが長くなることによりアーク33による加熱時間も増大するので、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38は全体としてさらに一層加熱されて温度は上昇される。また前述のように溶接ワイヤ38の溶融プールWp側となる先端部は特に高温になり、従ってこの先端部の固有抵抗も増大するので先端部は局部的に一層加熱され、これにより溶接ワイヤ38の先端部は過熱の程度も増大するので、溶断されてスパッタを生じ易くなる。
図5に示すスパッタを生じることなく溶接可能な範囲は、電極32と溶接ワイヤ38の交差角度、電極32の先端と溶接ワイヤ38との間の距離、電極32の中心線に対する溶接ワイヤ38の上下方向のオフセット量、等のディメンションを調整することにより広げることが可能である。しかしその範囲の最大の限度は、溶接ワイヤ38に通電されるワイヤ電流Iwが一定になるようにワイヤ加熱電源41の電圧を制御している従来のホットワイヤTIG溶接方法では、例えば図5の二点鎖線で示す範囲Bまでであり、実線で示す溶接裕度必要範囲Aの全範囲をカバーすることは困難である。従ってフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接している間にスパッタが生じないようにすることはできず、スパッタがコンバータハウジングW内に浸入することによる前述した問題を解決することはできなかった。
以上はコンバータハウジングの場合について説明したが、このようなスパッタの発生による問題はこのような流体伝動装置の部品に限られるものではなく、前述した自動車等のドアフレームや車両用ドアのヒンジ等の取付面、車両用シートのシートレールやサンルーフ等の摺動部品、エンジンのインテークマニホールドやエキゾーストマニホールド等の気体流路の構成部品など、溶接により接合される各種の部品の場合にも存在する。またこのような問題は、コンバータハウジングのフロントカバー及びインペラシェルのようなプレス加工された部材に限られるものではない。
本発明は、ワイヤ加熱電源の制御方法を変更することにより、このようなスパッタが生じないようにして、このような問題を解決することを目的とする。
このために、請求項1に記載の発明によるホットワイヤTIG溶接方法は、互いに溶接される2つの部材の接合縁に向かって突出する電極を有するTIGトーチにTIG電源からの電圧を印加して同電極とこれに対向する接合縁の間にアークを形成し、接合縁付近に送り込まれる溶接ワイヤの一部分にワイヤ加熱電源からの電圧を印加することによりその一部分と溶接される部材の間となる溶接ワイヤにワイヤ電流を通電してその間の溶接ワイヤを加熱してなるホットワイヤTIG溶接方法において、ワイヤ加熱電源は溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したことを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明は、請求項2に示すように、ワイヤ加熱電源はワイヤ電流を検出してその値が急激に減少した場合には溶接ワイヤに対する電圧の印加を停止するように作動を制御することが好ましい。
請求項1または請求項2に記載の発明は、請求項3に示すように、2つの部材は互いに接合されて液体が流通または収容される流体伝動装置の部品を形成する部材とし、電極は接合縁との間にアークを形成しながら同接合縁に沿って相対移動させるようにすることが好ましい。
請求項3に記載の発明は、請求項4に示すように、流体伝動装置の部品はフロントカバーとインペラシェルよりなるトルクコンバータのハウジングとし、フロントカバーとインペラシェルはこの両者を所定の位置関係に同軸的に保持するポジショナによりそれらの軸線回りに回転させることによりTIGトーチ及び溶接ワイヤを接合縁に沿って相対的に移動させることが好ましい。
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の発明は、請求項5に示すように、TIGトーチに対する溶接ワイヤの位置は接合縁に対する同TIGトーチの移動方向の後側とし、部材に対するワイヤ加熱電源による溶接ワイヤへの通電の向きと部材に対するTIG電源によるアークの通電の向きとは互いに逆向きとすることが好ましい。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のホットワイヤTIG溶接方法により溶接された部品である。
また、請求項7に記載の発明によるホットワイヤTIG溶接装置は、互いに溶接される2つの部材の接合縁に向かって突出する電極を有するTIGトーチと、接合縁付近に溶接ワイヤを送り込むワイヤ送出手段と、電極と接合縁の間にアークを形成するための電圧をTIGトーチに印加するTIG電源と、接合縁付近に送り込まれる溶接ワイヤの一部分に電圧を印加してその一部分と溶接される部材の間となる溶接ワイヤを加熱するワイヤ加熱手段とを備えてなるホットワイヤTIG溶接装置において、ワイヤ加熱手段のワイヤ加熱電源は溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したことを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、ワイヤ加熱電源は溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したので、溶接ワイヤのエクステンションが長くなってこの部分の溶接ワイヤの抵抗が増大した場合にはワイヤ電流が減少し、従ってエクステンションの範囲における溶接ワイヤの発熱量も減少するので、最も高温となる接合縁側となる溶接ワイヤの先端部が溶断されるおそれは大幅に減少し、従ってスパッタを生じることなく溶接が行われる範囲も増大して溶接裕度必要範囲の全範囲をカバーすることが可能となり、溶接された部品にスパッタが付着することはなくなる。なお溶接ワイヤのエクステンションが短くなった場合には、ワイヤ電流が増大して溶接ワイヤの発熱量は増大するが、アークによる加熱が減少するので相殺されて溶接ワイヤの先端部の温度上昇は少なくなり、従ってこの先端部分が溶断されるおそれは少ない。また溶接速度がMAG溶接法と同程度のホットワイヤTIG溶接方法による溶接であるので従来に比して生産性が低下することはない。
請求項1の発明によれば、上述のように最も高温となる溶接ワイヤの先端部が溶断されるおそれは大幅に減少するが、希にはそのような溶断が生じるおそれが存在する。しかしそのような場合には溶断の直前に溶接ワイヤの先端部にくびれを生じるので溶接ワイヤの抵抗が急激に増大し、従ってワイヤ電流が急激に減少する。しかし、ワイヤ加熱電源はワイヤ電流を検出してその値が急激に減少した場合には通電チップに対する電圧の印加を停止するように制御した請求項2に記載の発明によれば、上述したような溶接ワイヤの溶断が生じる直前にそれを検出して通電チップに対する電圧の印加を停止することができる。従って溶接ワイヤが溶断してもスパークが発生することはないので、スパッタが生じることはなくなる。
2つの部材は互いに接合されて液体が流通または収容される流体伝動装置の部品を形成する部材とし、電極は接合縁との間にアークを形成しながら同接合縁に沿って相対移動させるようにした請求項3に記載の発明によれば、2つの部材が高精度に加工されておらず、従ってその間に隙間がある場合であっても、スパッタを生じることがないので溶接された流体伝動装置の部品の内部にスパッタが侵入して部品の機能に悪影響を及ぼすことなく、しかも2つの部材は高精度に加工する必要がないので製造コストを低下させることができる。
流体伝動装置の部品はフロントカバーとインペラシェルよりなるトルクコンバータのハウジングとし、フロントカバーとインペラシェルはこの両者を所定の位置関係に同軸的に保持するポジショナによりそれらの軸線回りに回転させることによりTIGトーチ及び溶接ワイヤを接合縁に沿って相対的に移動させるようにした請求項4に記載の発明によれば、TIGトーチと通電チップを接合縁に沿って相対的に移動させるための構造が簡略化される。これによりコンバータハウジングの溶接装置が簡略化されるので、設備費を減少させて製造コストを低下させることができる。
TIGトーチに対する溶接ワイヤの位置は接合縁に対する同TIGトーチの移動方向の後側とし、部材に対するワイヤ加熱電源による溶接ワイヤへの通電の向きと部材に対するTIG電源によるアークの通電の向きとは互いに逆向きにした請求項5に記載の発明によれば、アークを通電チップから離れる向き、すなわちTIGトーチの移動方向の前側に偏らせることができる。これにより溶接される2つの部材の接合縁はTIGトーチの移動方向の前側が加熱されるので予熱効果が得られ、これにより溶接速度を高めて生産性を向上させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、溶接された部品にスパッタが付着されることはないので、スパッタによる機能への影響や外観の低下のない部品が得られる。
請求項7に記載の発明によれば、ワイヤ加熱電源は溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したので、請求項1の発明と同様、溶接ワイヤのエクステンションが長くなった場合にはエクステンションの範囲における溶接ワイヤの発熱量が減少して溶接ワイヤの先端部が溶断されるおそれは大幅に減少し、またエクステンションが短くなった場合にもアークによる加熱の減少により溶接ワイヤの先端部の温度上昇は少なくなって溶接ワイヤの先端部分が溶断されるおそれは少ない。従ってスパッタを生じることなく溶接が行われる範囲も増大して溶接裕度必要範囲の全範囲をカバーすることが可能となり、溶接された部品にスパッタが付着することはなくなる。また溶接速度がMAG溶接法と同程度のホットワイヤTIG溶接方法による溶接であるので従来に比して生産性が低下することもない。
以下に図1〜図6により、本発明によるホットワイヤTIG溶接方法及びこの方法により溶接された部品、及びホットワイヤTIG溶接装置の最良の形態の説明をする。この実施形態は本発明をフロントカバーWaとインペラシェルWbよりなるコンバータハウジングWの溶接に適用したものである。この実施形態のホットワイヤTIG溶接装置は、ワイヤ加熱電源41の制御内容ならびにアーク電流Ia及びワイヤ電流Iwの向きを除き、先に図1〜図3により説明した従来技術と同じであるので、これらの相違点につき主として説明し、その他の部分は説明を省略する。
溶接ワイヤ38の給電ポイント37aの位置(請求項1でいう溶接ワイヤの一部分)と溶融プールWpとの間の部分であるエクステンションEの範囲を通電加熱するワイヤ加熱電源41は、前述した従来技術のホットワイヤTIG溶接方法では、溶接ワイヤ38に通電されるワイヤ電流Iwが一定になるように電圧が制御されているが、この実施形態では、溶接ワイヤ38に供給する電圧が一定となるように作動が制御されている。またこのワイヤ加熱電源41は、エクステンションEの範囲となる溶接ワイヤ38に通電するワイヤ電流Iwを検出して、その値が急激に減少した場合には溶接ワイヤ38に給電する通電チップ35に対する電圧の印加を停止し、所定の少時間後に電圧の印加を再開するように作動が制御されている。
また図3に示すように、TIGトーチ30に対する通電チップ35の位置は接合縁に対するTIGトーチ30の移動方向の後側とし、ワイヤ加熱電源41による溶接ワイヤ38のワイヤ電流Iwの向きは通電チップ35側から溶融プールWp側に向かう向きとし、TIG電源42によるアーク33のアーク電流Iaの向きは溶融プールWp側からTIGトーチ30側に向かう向きとしている。このようにすればワイヤ電流Iwにより生じる磁力線により、アーク電流Iaには矢印Fで示す向きの力が生じ、これによりアーク33は通電チップ35から離れる向き、すなわちTIGトーチ30の移動方向の前側に偏ったものとなる。
次にこの実施形態の作動の説明をする。前述した従来技術と同様、フロントカバーWaとインペラシェルWbは所定の位置関係に同軸的に保持されて垂直な軸線回りに回転駆動され、TIGトーチ30と通電チップ35はフロントカバーWaとインペラシェルWbの接合縁に沿って移動される。この移動と同時に、TIGトーチ30の電極32にはTIG電源42からの電圧を印加してアーク33を形成し、ワイヤフィーダ40からの溶接ワイヤ38は通電チップ35を通して電極32と対向する接合縁付近に送り込み、またワイヤ加熱電源41からの電圧を通電チップ35の給電電極37に印加して溶接ワイヤ38のエクステンションEの範囲にワイヤ電流Iwを通電する。これにより電極32の先端と対向する接合縁付近のフロントカバーWa及びインペラシェルWbと送り込まれた溶接ワイヤ38の先端部は加熱され溶融されて溶融プールWpが形成される。そして電極32及び溶接ワイヤ38とともに移動する溶融プールWpの後側にはフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接結合するビードWcが形成される。
この実施形態によれば、前述した従来技術と同様、プレス加工されたフロントカバーWa及びインペラシェルWbは互いに対向する接合面がプレス加工されたままであるので流体伝動装置の部品の製造コストを低下させることができ、また溶接ワイヤ38のエクステンションEの範囲はアーク33により加熱されるだけでなくワイヤ電流Iwによっても加熱されて速やかに温度が上昇するので、溶接速度はMAG溶接法と同程度まで増大され、従って生産性低下の問題は解決される。
また前述のように、電極32の先端とインペラシェルWb及びフロントカバーWaとの間の距離Xと距離Y(図4参照)は、インペラシェルWbとフロントカバーWaの間の接合縁に沿って電極32が移動するにつれて変化し、これと同時にエクステンションEの長さも変化する。この変化により溶接ワイヤ38のエクステンションEが長くなった場合には、エクステンションEの範囲となる溶接ワイヤ38の抵抗rが増大するが、この実施形態ではワイヤ加熱電源41は通電チップ35に供給する電圧Vが一定となるように制御されているので、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38は、発熱量(=V2 /r)が抵抗rの増大に反比例して減少し、温度も低下する(ワイヤ電流Iwも減少する)。溶接ワイヤ38の素材である鉄の固有抵抗は前述の図6(a) に示すように温度の低下に応じて急激に減少(800〜0℃の間で約1/10に減少)し、一方鉄の平均見掛け比熱は前述の図6(b) に示すように温度の低下に応じて比較的緩やかに減少(800〜0℃の間で約半分に減少)するので、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38の温度はエクステンションEの長さの増大以上に反比例して低下される。なおエクステンションEが長くなることによりアーク33による加熱時間も増大し、エクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38の加熱量が増大するので、その分だけこの範囲の溶接ワイヤ38の温度の低下は相殺され、適温に保たれる。
なお、溶接ワイヤ38のエクステンションEが短くなった場合には、溶接ワイヤ38の発熱量は抵抗の減少に反比例して増大する(ワイヤ電流Iwは増大する)が、この場合は溶接ワイヤ38のエクステンションEが短くなった分だけアーク33による溶接ワイヤ38の加熱時間、従って加熱量が減少して、抵抗の減少による溶接ワイヤ38の発熱量の増大は相殺されるので、エクステンションEの範囲の温度の上昇がそれほど急激になることはない。従って最も高温となる溶融プールWp側となる溶接ワイヤ38の先端部が溶断されるおそれは少ない。
上述したように、ワイヤ加熱電源41を溶接ワイヤ38に供給する電圧が一定となるように作動を制御したこの実施形態によれば、インペラシェルWbとフロントカバーWaの間の接合縁に沿って電極32が移動する前述した距離X及び距離Yが変化した際のエクステンションEの範囲の溶接ワイヤ38の温度の上昇は、ワイヤ加熱電源41の電圧を通電チップ35に供給するワイヤ電流Iwが一定となるように作動を制御した従来技術に比して小さくなる。従ってこの実施形態によれば、電極32と溶接ワイヤ38の交差角度、電極32の先端と溶接ワイヤ38との間の距離、電極32の中心線に対する溶接ワイヤ38の上下方向のオフセット量、等のディメンションを適切に調整することにより、溶融プールWpに連通された溶接ワイヤ38の先端部が溶断することなく、従ってスパッタを生じることなく溶接可能な範囲を、図5の破線で示すように、溶接裕度必要範囲Aの全範囲をカバーする範囲Cまで広げることことができる。これにより溶接されたコンバータハウジングWにスパッタが付着することはなくなる。なお、距離X及び距離Yは電極32の消耗を防ぐために最少値が定められているので、各範囲A〜Cの左側及び下側の縁は一致したものとなっている。
このようにフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接している間にスパッタが生じることはなくなるので、フロントカバーWaとインペラシェルWbがプレス加工したままで両者の接合部に隙間がある場合でも、コンバータハウジングW内にスパッタが浸入して付着することはない、従って、前述したようなスパッタの付着により作動油の流れを妨げて性能に悪影響を与えたり、このスパッタが離脱して作動油内に混入してシール部あるいは軸受部に悪影響を与えたり、また外観が低下するなどの問題も生じない。
上述した実施形態によれば、フロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接している間にスパッタが生じることはなくなるはずであるが、希には何らかの原因により溶融プールWpの付近となる溶接ワイヤ38の先端部が溶断されてスパッタを生じるおそれがある。このような場合には溶断の直前にその部分の溶接ワイヤ38にくびれを生じるので溶接ワイヤ38の抵抗が急激に増大し、従ってワイヤ電流Iwが急激に減少する。上述した実施形態では、ワイヤ加熱電源41は、エクステンションEの範囲となる溶接ワイヤ38に通電するワイヤ電流Iwを検出して、その値が急激に減少した場合には通電チップ35に対する電圧の印加を停止するように制御されているので、溶接ワイヤ38の溶断の前触れである抵抗の急激な増大をワイヤ電流Iwの急激な減少により検出し、通電チップ35に対する電圧の印加を停止することができ、これによりその直後に溶接ワイヤ38が溶断してもスパークが発生することはなくなる。従ってたまたま偶然に溶接ワイヤ38の溶断が生じるような事態が発生した場合でも、スパッタが生じて前述したようなコンバータハウジングWの内面へのスパッタの付着による問題を回避することができる。なお、ワイヤ加熱電源41が電圧の印加を停止した場合でも、ワイヤフィーダ40及びTIG電源42は正常な作動を継続し、ワイヤ加熱電源41は所定の少時間後に電圧の印加を再開するので、溶接作業が停止されることはない。
本発明をフロントカバーWaとインペラシェルWbの溶接に適用した上述の実施形態では、フロントカバーWaとインペラシェルWbはこの両者を所定の位置関係に同軸的に保持するポジショナ11によりそれらの軸線回りに回転させることによりTIGトーチ30及び通電チップ35を接合縁に沿って相対的に移動させて接合縁を溶接しているので、TIGトーチ30及び通電チップ35を接合縁に沿って相対的に移動させるための構造が簡略化される。このようにすればコンバータハウジングWの溶接装置が簡略化されるので、設備費を減少させて製造コストを低下させることができる。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、例えば流体伝動装置の部品Wの第1部材Wa及び第2部材Wbを互いに位置決めして固定し、TIGトーチ30及び通電チップ35を産業用ロボットのリスト部に取り付けて両部材Wa,Wbの接合縁に沿って移動させるようにして実施することも可能である。
また、上述した実施形態では、TIGトーチ30に対する通電チップ35の位置は接合縁に対する同TIGトーチ30の移動方向の後側とし、溶接ワイヤ38のワイヤ電流Iwの向きは通電チップ35側から溶融プールWp側に向かう向きとし、アーク33のアーク電流Iaの向きは溶融プールWp側からTIGトーチ30側に向かう向きとしており、このようにすればアーク33はTIGトーチ30の移動方向の前側に偏ったものとなるので、溶接される2つの部材Wa,Wbの接合縁はTIGトーチ30の移動方向の前側が加熱されるので予熱効果が得られ、これにより溶接速度を高めて生産性を向上させることができる。なお2つの部材Wa,Wbの接合縁に対して同じ側から接近されるTIGトーチ30と通電チップ35のアーク電流Ia及びワイヤ電流Iwの向きは、互いに反対向きとすればアーク33はTIGトーチ30の移動方向の前側に偏ったものとなるので、予熱効果により溶接速度を高めて生産性を向上させることが可能である。しかしながら安定したアーク33を得るためには、上述した実施形態のようにアーク電流Iaの向きを溶融プールWp側から電極32側に向かう向きとすることが好ましい。
上述した実施形態では、本発明をフロントカバーWaとインペラシェルWbよりなるコンバータハウジングWの溶接に適用した例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、流体継ぎ手のハウジング、オイルリザーバ、配管部品などの作動油が収容されまたは流通される流体伝動装置の部品、さらには自動車等のドアフレームや車両用ドアのヒンジ等の取付面、車両用シートのシートレールやサンルーフ等の摺動部品、エンジンのインテークマニホールドやエキゾーストマニホールド等の気体流路の構成部品など、溶接により接合される各種の部品に適用することが可能である。
また上述した実施形態では、プレス加工されたフロントカバーWaとインペラシェルWbを溶接するのに本発明を適用した例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、プレス加工されたフロントカバーWaと鍛造などにより形成されたセットブロックの溶接や、プレス加工されたインペラシェルWbと鍛造などにより形成されたスリーブの溶接、さらには鍛造された部材同士の溶接に適用することも可能であり、そのような場合でも前述と同様、機能的な悪影響を与えたり外観を低下させるなどの問題を防止することができる。
また上述した実施形態では、本発明を連続溶接に適用した例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、アークスポット溶接に適用することも可能である。
ホットワイヤTIG溶接方法をコンバータハウジングの溶接に適用した場合に使用する溶接装置の全体構造を示す側面図である。 図1のTIGトーチ及び通電チップ付近を示す部分平面図である。 図1及び図2に示すTIGトーチ及び通電チップの構造及び作用を説明するための部分拡大断面図である。 溶接される2つの部材とTIGトーチの電極の先端部の関係を示す部分拡大断面図である。 ホットワイヤTIG溶接方法におけるスパッタを生じることなく溶接可能な範囲と溶接裕度必要範囲を示す図である。 溶接ワイヤの素材である鉄の温度に対する固有抵抗及び平均見掛け比熱の変化を示す図である。 従来技術におけるコンバータハウジングの溶接部の構造を示す図である。
符号の説明
11…回転テーブル、30…TIGトーチ、32…電極、33…アーク、38…溶接ワイヤ、40,35…ワイヤ送出手段、41,37…ワイヤ加熱手段、41…ワイヤ加熱電源、42…TIG電源、W…部品(コンバータハウジング)、Wa…部材(フロントカバー)、Wb…部材(インペラシェル)。

Claims (7)

  1. 互いに溶接される2つの部材の接合縁に向かって突出する電極を有するTIGトーチにTIG電源からの電圧を印加して同電極とこれに対向する前記接合縁の間にアークを形成し、前記接合縁付近に送り込まれる溶接ワイヤの一部分にワイヤ加熱電源からの電圧を印加することによりその一部分と前記部材の間となる前記溶接ワイヤにワイヤ電流を通電してその間の溶接ワイヤを加熱してなるホットワイヤTIG溶接方法において、前記ワイヤ加熱電源は前記溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したことを特徴とするホットワイヤTIG溶接方法。
  2. 請求項1に記載のホットワイヤTIG溶接方法において、前記ワイヤ加熱電源は前記ワイヤ電流を検出してその値が急激に減少した場合には前記溶接ワイヤに対する電圧の印加を停止するように作動を制御したことを特徴とするホットワイヤTIG溶接方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のホットワイヤTIG溶接方法において、前記2つの部材は、互いに接合されて液体が流通または収容される流体伝動装置の部品を形成する部材であり、前記電極は前記接合縁との間にアークを形成しながら同接合縁に沿って相対移動させることを特徴とするホットワイヤTIG溶接方法。
  4. 請求項3に記載のホットワイヤTIG溶接方法において、前記流体伝動装置の部品はフロントカバーとインペラシェルよりなるトルクコンバータのハウジングであり、前記フロントカバーとインペラシェルはこの両者を所定の位置関係に同軸的に保持するポジショナによりそれらの軸線回りに回転させることにより前記TIGトーチ及び溶接ワイヤを前記接合縁に沿って相対的に移動させたことを特徴とするホットワイヤTIG溶接方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のホットワイヤTIG溶接方法において、前記TIGトーチに対する前記溶接ワイヤの位置は前記接合縁に対する同TIGトーチの移動方向の後側とし、前記部材に対する前記ワイヤ加熱電源による前記溶接ワイヤへの通電の向きと前記部材に対する前記前記TIG電源による前記アークの通電の向きとは互いに逆向きとしたことを特徴とするホットワイヤTIG溶接方法。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のホットワイヤTIG溶接方法により溶接された部品。
  7. 互いに溶接される2つの部材の接合縁に向かって突出する電極を有するTIGトーチと、前記接合縁付近に溶接ワイヤを送り込むワイヤ送出手段と、前記電極と前記接合縁の間にアークを形成するための電圧を前記TIGトーチに印加するTIG電源と、前記接合縁付近に送り込まれる前記溶接ワイヤの一部分に電圧を印加してその一部分と前記部材の間となる前記溶接ワイヤを加熱するワイヤ加熱手段とを備えてなるホットワイヤTIG溶接装置において、前記ワイヤ加熱手段のワイヤ加熱電源は前記溶接ワイヤに供給する電圧が一定となるように作動を制御したことを特徴とするホットワイヤTIG溶接装置。
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