JP2004344906A - 摩擦攪拌接合装置及び該装置により製造される摩擦攪拌接合継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合を行う装置において、回転工具の接合位置線前方の母材表面をアーク放電によって加熱イオン化されたプラズマアルゴンでエッチング処理するとともに、エッチング手段が、回転工具の周囲を周回する周回駆動手段に組み込まれていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦攪拌接合装置とその接合方法に係り、特に車両、航空機、船舶、建物等の構造体を製造する際のアルミやアルミ合金等の酸化しやすい材料の接合時における酸化膜除去の工夫を図った摩擦攪拌接合装置及び該装置により製造される摩擦攪拌接合継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特表平7−505090号公報(特許文献1)には、摩擦攪拌による固相接合方法として長尺材同士の新規な接合方法が開示されている。かかる接合方法は、加工物より実質的に硬い材質からなる回転ツ−ルを加工物の接合部に挿入し、回転ツ−ルを回転させながら移動することにより、回転ツ−ルと加工物との間に生じる摩擦熱による塑性流動によって加工物を接合する接合方法である。かかる摩擦接合法は、接合部材を固相状態で、回転ツ−ルを回転させながら移動させつつ軟化させた固相部分を一体化しながら接合できるために、熱歪みがなく接合方向に対して実質的に無限に長い長尺材でもその長手方向に連続的に固相接合できる利点がある。さらに、回転ツ−ルと接合部材との摩擦熱による金属の塑性流動を利用した固相接合のため、接合部を溶融させることなく接合できる。また、加熱温度が低いため、接合後の変形が少ない。さらには、接合部は溶融されないため、欠陥が少ないなどの多くの利点がある。
【0003】
さて車両、航空機、ロケット、船舶、建物等の構造体を製造する際にはアルミ若しくはアルミ合金製のスキンパネルや円筒体若しくはドーム状の鏡板を用いている。これらはいずれも表面に酸化皮膜が発生し、例えばアーク溶接では、母材と電極との間にアークを発生するために、電気的に絶縁されるアルマイト膜の存在は接合自体を困難にして接合品質を低下させる。また、溶接熱源として高エネルギー密度熱源を利用する場合は、酸化皮膜が除去されてアーク溶接のような絶縁による接合不良は起こらないが、除去した酸化膜を溶融部に巻き込んでブローホール等の発生原因となる。さらに、これらの溶融溶接では接合部が高温になるためにアルマイト膜が変色しやすく、非接合部分とのカラーアンマッチを生じて外観品質を損なう。
【0004】
一方、固相接合である摩擦攪拌接合では、摩擦入熱を行うショルダの表面摺動により、表面の酸化皮膜は破壊されて接合部から排出されるとされているが、実際には排出されない酸化皮膜が未接合部を形成することがあり、健全な接合性が損なわれることがあり、更にはバリの発生によって外観品質が損なわれることもある。また、摩擦攪拌接合ピン軸の攪拌により母材表面のアルミ酸化物を巻き込みながら接合を行うために、酸化被膜は接合部位の内部に閉じこめられたまま残留してしまい、接合品質の低下につながる。
【0005】
更に鉄道、航空機、ロケット等の輸送機器分野では強度向上等を目的としてMgやTi等の活性金属を含むアルミ合金が多く用いられているが、これらの金属は酸素との反応性に富むために、前記欠点が一層助長される。
このため、アルミやアルミ合金、チタンTi、更には銅等の酸化被膜が出来やすい材料を用いて摩擦攪拌接合を行う場合の工夫が種々なされている。
【0006】
例えば特開2000−301363号公報(特許文献2)においては、N2、He、Arといった不活性ガス雰囲気または真空等の非酸化性雰囲気中で、Alまたはその合金材若しくはMgまたはTiからなる接合部材の接合部に回転するプローブ(ピン軸)を挿入し、プローブ(のショルダ面で)の摩擦入熱接触部を軟化させるとともに攪拌することにより、これらの接合部材同士を接合することを基本要旨とする技術が開示されている。
【0007】
更に特開平10−230374号公報(特許文献3)において、金属材同士の接合線に沿って回転子のプローブを埋入状態で回転しつつ進行させて両金属材同士を接合一体化する摩擦攪拌接合において、プローブに先行して進行する研削部材により、金属材の接合部表面を研削する技術も開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特表平7−505090号公報
【特許文献2】
特開2000−301363号公報
【特許文献3】
特開平10−230374号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら摩擦攪拌接合は、鉄道車両や航空機等において、長尺の(例えば25m長さの)ダブルスキンパネル(二面中空パネル)を接合するものであるために、特許文献2に示すように、その部分を10−5Torr以下の真空チャンバー内で覆うことは実質的に不可能である。又、上記長尺ものの接合を不活性ガス雰囲気で行う場合は、接合部近傍に流量20l/分で吹き付ける多量の不活性ガスを必要とし、実用的でない。特に本従来技術では、表面に酸化皮膜が存在する母材を例え不活性雰囲気で摩擦攪拌接合しても前もって存在する酸化膜がなくなる訳ではなく、摩擦攪拌接合時にあわせて継手部内に混合されてしまう。
【0010】
又、特許文献3のプローブに先行して、接合線前方の金属材の接合部の被膜表面を研削技術においても母材の表面凹凸に追従して長尺ものを研削することは、研削部材をその凹凸に対応する倣い構造にしなければならない。
具体的には図4で示すように摩擦攪拌接合を行う回転子102Aの丸軸部121の周面上部に複数個のブラケット104が周方向に等配形成され、各ブラケット104には枢支ピン104aを介してロッド105が上端で垂直面内揺動自在に枢着され、各ロッド105は、下端には砥石等よりなる研削部材106を保持すると共に、その中間部と丸軸部121の周面に設けた係止突片122との間にコイルスプリング107が係着しており、回転子102Aの静止状態下で下端側が若干外側へ出るように傾斜し、且つ下端がプローブ11の上下端の間の高さになるように設定されている。
【0011】
しかしながらこのようなロッドとコイルスプリングを用いた倣い構造では接合線に沿って直線方向に移動させる場合に接合線前方側と後方側でロッドに加わる荷重が異なり、円滑な移動が困難になる。
又前記特許文献3は油やゴミ等の表面異物や塗装やメッキ、アルマイト加工層を除去するもので、除去後の母材表面は純アルミになるも、研削という機械的な」表面層の除去ではその後の機械的摺擦および、研削時の摺動による摩擦熱により酸化膜が復活し、酸化膜除去には寄与し得ない。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、不活性ガスや真空空間を形成することなく、又機械的な接触で酸化膜が復活するような状態を作ることなく、物理的な非接触の状態で酸化膜や不純物等を除去しながら高品質の接合を可能とする摩擦攪拌接合装置とその継手を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合により接合された継手において、前記継手が母材表面をドライエッチング処理により酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合された継手である、より具体的には前記継手が母材表面をプラズマイオンが加熱された活性イオンにより酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合された継手であることを特徴とする。
そして前記発明を効果的に実施する装置として、接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合を行う装置において、回転工具の接合位置線前方の母材表面をエッチング処理するドライエッチング手段を設けるとともに、該ドライエッチング手段が、前記ドライエッチング手段により酸化膜除去された状態で継手部が摩擦攪拌接合されるように回転工具と一体的に移動可能に構成し、好ましくは前記ドライエッチング手段が、低温ガスプラズマを用いたプラズマエッチング、若しくはイオンを母材表面に衝突させるスパッタエッチング手段であり、そして前記ドライエッチング手段が、アーク放電によって加熱イオン化された活性イオンであり、活性イオンにより酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合されることを特徴とする。
【0014】
前記したように摩擦攪拌接合の対象となるアルミニウムAlやチタンTi若しくはその合金は大気中に曝されることにより酸化膜が母材表面に形成される。また、長尺ものの広幅パネルを開先をもって接合する場合に、摩擦攪拌接合前にその表面に付着したゴミや不純物を除去しておかないと、それらのゴミや不純物、更には酸化被膜が摩擦攪拌時に内部に混入され、その部分が強度低下を引き起こす。
一方特許文献2で示すように、摩擦攪拌接合前に不活性ガスの吹きつけや真空空間を形成しても吹きつけ前に生成された酸化被膜や不純物の除去は出来ないのみならず、長尺ものの接合には実用的でない。
又特許文献3で示すように、機械的な研削で酸化膜や不純物の除去は可能であるが、かかる従来技術では、研削で逆に研削粉が発生し、又研削時の摺動による摩擦熱により酸化膜が復活し、酸化膜除去には寄与し得ないみならず、この研削粉や酸化膜が摩擦攪拌により内部に混入し、やはり強度低下は避けられない。
そこに本発明の有利性がある。
【0015】
前記ドライエッチングではガス、プラズマ、イオン、又は光若しくはこれらの組み合わせにより母材表面の目的とする部位のみの表面被膜や不純物若しくはゴミを除去できる。この結果、摩擦攪拌接合時点では、化学的にも物理的にも母材表面や開先が完全にきれいな状態での攪拌接合が可能である。
【0016】
そして前記ドライエッチング手段は、低温ガスプラズマを用いたプラズマエッチング、若しくはイオンを母材表面に衝突させるスパッタエッチング手段であるのがよい。
その理由は、ガスと高温で反応させる気相エッチングではエッチング空間が真空でなければならず、長尺ものに向かないのみならず、600〜900℃の高温空間が必要なために、400〜600℃で軟化するアルミニウムAlやアルミ合金には向かない。
【0017】
一方、200〜400℃の低温ガスプラズマを用いたプラズマエッチング、若しくは気中放電によるプラズマからイオンを取り出してイオンを母材表面に衝突させるスパッタエッチング手段の場合は、真空容器が必要でなく、アルミニウムAlやアルミ合金の軟化温度以下の200〜400℃でエッチングが可能であるために、摩擦攪拌接合に有効である。
【0018】
又前記プラズマイオンは加熱された活性イオンであるのがよい。
その理由は、加熱された活性イオンで母材表面が前もって予熱される為に、これにより回転工具のショルダが摩擦攪拌により軟化温度に達するまでが迅速化するとともに、回転工具による軟化撹拌が容易になり得て、接合速度を速くすることができる。また、この迅速軟化により、回転工具が受ける抵抗力が軽減され、回転工具の寿命を長くすることができる。
又活性イオンであるために、酸化皮膜や不純物の除去が容易である。
【0019】
更に前記活性イオンがプラズマアーク放電によって加熱イオン化されたプラズマアルゴンであるのがよい。
かかる発明によれば、プラズマアーク放電であれば、回転工具の前方若しくは周囲に容易に配設でき、真空チャンバ等を必要とすることなく、開放空間に設置できるために、機械設備的にも簡単であるのみならず、接合線前方のみを加熱(予熱)でき、他の母材部分が焼き鈍しや焼き戻し等が強度低下が生じる余地がない。
従ってかかる効果を達成するには、前記ドライエッチング手段が、回転工具の前方の接合線上に沿って固定配置されているのが好ましい。
【0020】
又、前記ドライエッチング手段もしくは該エッチング手段により生成されるプラズマアークが、回転工具の前方の接合線上に沿って移動可能に構成するか、若しくは周回駆動手段により回転工具の周囲を周回しながら回転工具と一体的に移動可能に構成されているのもよい。
その理由は、回転工具の所定幅域を1つの固定ドライエッチング手段で皮膜除去しようとすると、大型のドライエッチング手段を必要とするが、前記ドライエッチング手段もしくは該エッチング手段により生成されるプラズマアークが、回転工具の周囲を周回するように構成すれば、ビーム状のエッチング手段でも特に問題とすることがない。
【0021】
又アーク放電によって加熱イオン化されたプラズマアルゴンである場合は、予備加熱されるのが前方のみではなくその周囲の加熱や、接合位置直前での加熱も可能であるために、広幅パネルを接合する場合においても、接合位置においてその周囲より熱が奪われることなく、その直前位置や周囲での予備加熱が可能であるために、予備加熱の効果が出やすい。従って予備加熱加熱温度を200〜400℃の軟化点近傍で行うことが出来る。
【0022】
なお、前記周回駆動手段が磁界発生コイルによるローレンツ力による周回駆動手段で構成すれば特別なモータ等が不要であり、構成が簡単化する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の摩擦撹拌装置の第1実施例を示し、(A)は正面図、(B)は斜視図である。図1において、母材1接合線2上の回転工具3の前方位置でアークによってイオン化した活性アルゴンAr+が母材1表面をエッチングして皮膜等を除去する予熱兼用のプラズマエッチング装置4と、その後方に配置したブローブ型の回転工具3と、該回転工具3とエッチング装置4とを一体的に連結し接合線2に沿って移動する連結装置5と、該連結装置5の先端に設けられた接合線検知センサ6と、該センサ6よりの信号に基づいて連結装置5を回転揺動させ、エッチング装置4を常に接合線2上に位置させる制御回路8よりなる。(図1(A)は連結装置5及び制御回路8の図示を省略している)
【0024】
プラズマエッチング装置4は、図1(A)に示すように、母材1と近接する側にガス穴21aを設けた円筒銅製のガスカップ21と、該ガスカップ21の中心軸上に、先端を鉛筆(テーパ)状にとがらせたタングステン電極22を挿設するとともに、図示していないArガス供給装置からガスカップ21上部よりArガスが供給され該電極22周囲にアルゴンガスを流しながら、前記タングステン電極22に+、母材側に−の電極を接続した直流電源23からなる。図中10は回転工具3のショルダ、11はプローブ、2Aは母材1の開先接合線2に沿って接合された接合後の接合部位である。
【0025】
かかる実施例によれば、前記タングステン電極22と母材1間に直流電源23により印加された低電流直流電圧に基づいてアーク放電がなされ母材1の接合線2の予熱を行うとともに、該アーク放電によりその周囲を流れるアルゴンガスが活性イオン化し、母材1の接合線2表面の酸化被膜や不純物の除去が容易になり、更にアーク流の流れによりゴミ等も吹き飛ばしてくれる。
【0026】
又前記アーク放電により母材1の接合線2の表面の直接加熱とともに、活性アルゴンが加熱され、接合位置前方の接合線2の加熱を行うことが出来る。この場合に母材1の加熱温度は軟化温度手前の200〜400℃になるように、直流電源23の電圧を設定するのがよい。
連結装置5は図1(B)に示すように、プラズマエッチング装置4とブローブ型回転工具3を一体的に、接合線2に沿って直線上に組み付けるとともに、連結装置5前方にCCDセンサ(接合線検知センサ6)を配置し、エッチング装置4とブローブ型回転工具3が常に接合線2上に位置するように連結装置5を揺動制御する。
【0027】
かかる装置によれば、接合線2に沿って連結装置5を移動させながらプラズマエッチング装置4によりアルゴンを流しながらアーク放電をさせることにより、前記した被膜除去とともに、活性アルゴンおよびアーク放電により、接合線前方位置が、軟化点温度以下200〜400℃、好ましくは300〜400℃の温度に制御でき、この状態で回転工具3のブローブ11とともにショルダ10を接合部位の表面に当接回転させる。これにより、接合部位とショルダ10とプローブ11との摺動による摩擦熱を生ぜしめて、プローブ11と接触及びその近傍の軟化を促進し、高精度な摩擦攪拌接合が可能となる。
【0028】
図2及び図3は本発明の他の実施例であり、前記回転工具3の該周囲に位置する円筒型プラズマエッチング装置4が、回転工具3の周囲に同心状に支持板28に支持されており、そしてその外周に前記エッチング装置4に組み込まれた円筒状のタングステン電極22先端(下端)より生成するアークを周回させる周回駆動装置12からなり、そして前記周回駆動装置12が磁界発生コイル25に高周波電源30を接続させている。図2(A)は正面断面図、(B)は(A)のA−A線断面図で、図3はその作用図を示し、(A)はタングステン電極とアークと母材の関係を示す斜視図、(B)は断面図、(C)はローレンツ力を示すタングステン電極の展開作用図である。
【0029】
本実施例の円筒型プラズマエッチング装置4は外周に磁界発生コイル25を有した断面門型状の下向き開口のリング円筒状の筒型ガスカップ21と、該該ガスカップ21内に、回転工具の同心円状に収納された筒状タングステン電極22と、該電極22周囲にアルゴンガスを供給する図示していないArガス供給装置と、前記タングステン電極22に+、母材1側に−の電極を配した直流電源23とからなる。
このガスカップ21は上部で支持板28に固定されているとともに、該ガスカップ21の外周にさらに、磁界発生用のコイル25を配置し、該コイル25に高周波電源30を接続して、アーク周回駆動手段5を構成する。
【0030】
かかる実施例によれば、Arガス供給装置によりガスカップ21内部にArガスを供給し、直流電源23より高圧の直流電圧出力を印加すると、図3に示すように母材1とタングステン電極22の間の一箇所にアーク29が発生する。
この状態で、高周波電源30を印加すると、図3(B)のように磁界発生コイル25の周りに磁界が発生する。
そしてタングステン電極22先端より母材に向けプラズマ電流が流れているプラズマアークには図3(A)(B)(C)に示すように、アーク噴出方向に流れるプラズマ電流Aと磁界発生によるガスカップ断面方向に付勢される磁力線Gが直交する状態が成り立つ。
このとき、プラズマアーク29自体にはフレミングの法則により、アーク噴出方向に流れるプラズマ電流Aと磁界発生によるガスカップ断面方向に付勢される磁力線Gが直交する状態が成り立つ為に図3(C)に示すガスカップ周回方向にローレンツ力Rが作用する。
このローレンツ力Rにより、プラズマアーク29はローレンツ力の作用するガスカップ周回方向に動き出す。
つまり、プラズマアーク29は円筒型タングステン電極22に沿って高速で周方向に回転するようになる。
また、磁力線Gは高周波電源30の印加電圧の極性によって反転するため、プラズマアーク29の回転方向も高周波電源の印加電圧の極性によって反転する。
【0031】
このように、回転工具3と同心状に配置した円筒型タングステン電極22と母材1の間には高速で回転するプラズマアーク29が存在し、このアーク29と、流されているアルゴンがプラズマアーク放電によって加熱イオン化されたプラズマアルゴンとして生成されこれによって母材1表面の酸化物はエッチングされることになる。
そしてかかるアーク周回駆動装置12によれば、回転工具3の回転速度と無関係に高周波交番電源30電圧の周波数に基づいアークのて回転速度を設定でき、加熱若しくは被膜を除去するのに好適な回転速度で周回できる。
又円筒状のタングステン電極22を機械的に周回させるのではなく、プラズマアーク29のみを周回させるために、円筒型プラズマエッチング装置4は単に支持板28に固定されているのみで、回動させる軸受等が付与になり、アークを周回させる周回駆動装置12もプラズマアーク29のみの周回であるために、大型の電源が不要になる。
【0032】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、不活性ガスや真空空間を形成することなく、又機械的な接触で酸化膜を除去することなく、物理的な非接触の状態で酸化膜や母材表面に付着したゴミや不純物等を除去しながら高品質の接合を可能とする摩擦攪拌接合装置とその継手を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦撹拌装置の第1実施例を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図2】本発明の摩擦撹拌装置の第2実施例を示し、 (A)は正面断面図、(B)は(A)のA−A線断面図である。
【図3】図2の作用図を示し、(A)はタングステン電極とアークと母材の関係を示す斜視図、(B)は断面図、(C)はローレンツ力を示すタングステン電極の展開作用図である。
【図4】従来技術にかかる摩擦撹拌装置を示す。
【符号の説明】
1 母材
2 接合線
3 回転工具
4 プラズマエッチング装置
5 連結装置
6 接合線検知センサ
12 周回駆動装置
21 ガスカップ
22 タングステン電極
23 直流電源
Claims (8)
- 接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合により接合された継手において、
前記継手が母材表面をドライエッチング処理により酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合された継手であることを特徴とする摩擦攪拌接合継手。 - 接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合により接合された継手において、
前記継手が母材表面をプラズマイオンが加熱された活性イオンにより酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合された継手であることを特徴とする摩擦攪拌接合継手。 - 接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合を行う装置において、
回転工具の接合位置線前方の母材表面をエッチング処理するドライエッチング手段を設けるとともに、該ドライエッチング手段が、前記ドライエッチング手段により酸化膜除去された状態で継手部が摩擦攪拌接合されるように回転工具と一体的に移動可能に構成したことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。 - 前記ドライエッチング手段が、低温ガスプラズマを用いたプラズマエッチング、若しくはイオンを母材表面に衝突させるスパッタエッチング手段であることを特徴とする請求項3記載の摩擦攪拌接合装置。
- 接合部位内に侵入攪拌される攪拌軸と接合面に圧接摺動されるショルダ部を具えたブローブ型若しくはボビン型回転工具を用いて摩擦攪拌接合を行う装置において、
回転工具の接合位置線前方の母材表面を、アーク放電により加熱イオン化された活性イオンにより加熱しながらエッチング処理するドライエッチング手段を設けるとともに、該ドライエッチング手段が、活性イオンにより酸化膜除去された状態で摩擦攪拌接合されるように回転工具と一体的に移動可能に構成したことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。 - 前記ドライエッチング手段もしくは該エッチング手段により生成されるプラズマアークが、回転工具の前方の接合線上に沿って移動可能に構成したことを特徴とする請求項3若しくは5記載の摩擦攪拌接合装置。
- 前記ドライエッチング手段もしくは該エッチング手段により生成されるアークが、周回駆動手段により回転工具の周囲を周回しながら回転工具と一体的に移動可能に構成したことを特徴とする請求項3若しくは5記載の摩擦攪拌接合装置。
- 前記周回駆動手段が磁界発生コイルによるローレンツ力による周回駆動手段であることを特徴とする請求項7記載の摩擦攪拌接合装置。
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