JP3603711B2 - 自動演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動伴奏パターンによる自動伴奏を再生しつつ、予め用意された複数の短フレーズからなる演奏データをユーザの選択指示に従って選択的に再生する電子楽器あるいは自動演奏装置その他演奏装置に関し、特に再生されている自動伴奏に馴染むメロディ演奏を簡単な操作によって行うことのできる自動演奏装置である。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及に伴い、コンピュータを用いて楽器を演奏したり、作曲したり、編曲したり、音色を合成したりするコンピュータミュージックを用いて、誰でも音楽を自由に楽しめるようになってきた。特に、コンピュータを用いた演奏の分野では、音楽的な専門知識がなくても簡単に演奏を楽しむことのできる自動演奏装置が既に広く知られている。このような自動演奏装置では自動的に伴奏を演奏させながら、ユーザ自身が独自にメロディ演奏を行うことができる。すなわち、自動演奏装置は自動伴奏パターンに従って自動的に伴奏を奏でると共に、ユーザの操作に従ってメロディを奏でる。このような自動演奏装置によれば、ユーザは独自のメロディを演奏することを自由に楽しむことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動演奏装置では、自動伴奏にあわせてユーザがメロディ演奏フレーズを選択入力することにより自動的なメロディ演奏を行うことができるものがある。このような自動演奏装置としては、短いフレーズからなる個々の演奏データをメモリに多数記憶しておき、この演奏データをユーザの適宜の選択指示に従って読出し、読み出した演奏データに基づいてメロディ演奏を行うものが知られている。すなわち、自然楽器をマニュアル演奏操作してメロディ演奏を行うことができないような演奏初心者であっても、この種の自動演奏装置では短フレーズデータを適宜に組み合わせて選択していくことによって、ユーザは独自のメロディ演奏を行うことができるようになっている。
しかし、メモリに多数記憶されている短フレーズデータの中から、再生されている自動伴奏に馴染んだメロディを演奏するのに適したものを適切に選択することは非常に難しい。そのため、特に初心者のユーザが短フレーズデータを選択してメロディ演奏を行う場合に、当該選択された短フレーズデータに基づいて演奏されるメロディが伴奏に馴染んだメロディとなっていないことが多くなる、という問題点があった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ユーザが自動伴奏に馴染んだメロディを演奏するのに適した演奏データを適切に選択することのできる自動演奏装置及び方法並びにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動演奏装置は、複数の演奏操作子のそれぞれにフレーズを割り当てて、該演奏操作子の操作に応じて該フレーズを読み出す自動演奏装置であって、複数の伴奏用演奏データの中からいずれかの伴奏用演奏データの選択がなされたこと検出する手段と、該選択された伴奏用演奏データの識別情報をバッファに記憶する手段と、複数のフレーズを含むフレーズセットを複数セット記憶する手段と、伴奏用演奏データと特定のフレーズセットとの対応関係を記憶する手段と、最適フレーズセットの選択に応じて、前記バッファに記憶された識別情報が示す特定の伴奏用演奏データに対応する特定のフレーズセットを前記対応関係から導き出し、該特定のフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段と、個別のフレーズセットの選択に応じて、該選択されたフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段とを具え、前記使用すべきフレーズセットとして決定されたフレーズセットに含まれる各フレーズが前記各演奏操作子に割り当てられることを特徴とする
【0006】
本発明によれば、最適フレーズセットの選択に応じて、前記バッファに記憶された識別情報が示す特定の伴奏用演奏データに対応する特定のフレーズセットを前記対応関係から導き出し、該特定のフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段と、個別のフレーズセットの選択に応じて、該選択されたフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段とを具備していることで、フレーズセットの選択に多様性を持たせることができる。すなわち、複数のフレーズセットを記憶する手段において記憶するフレーズセット数が少なかったとしても、個別のフレーズセットの選択により、伴奏用演奏データとは無関係に任意のフレーズセットを選択することができ、これにより、伴奏に拘束されることなく多様なバリエーションでのフレーズ演奏を楽しむことができる一方で、必要に応じて最適フレーズセットの選択を行うことにより、選択された伴奏用演奏データに最適のフレーズセットの選択を容易に行うこともできる。
【0007】
この発明における好ましい実施例は、前記個別のフレーズセットには固有の番号がそれぞれ割り当てられており、該各フレーズセットに割り当てられた該固有の番号以外の所定の番号が前記最適フレーズセット選択のために割り当てられており、該所定の番号を選択することで前記最適フレーズセットの選択がなされ、一方、各個別のフレーズセット毎の固有の番号を選択することで該個別のフレーズセットの選択がなされることを特徴とする。これにより、最適フレーズセットの選択法と、それとは無関係な個別フレーズセットの選択法とが、番号選択という同種の手法で行えることとなり、選択操作法が分かり易いものとなる。また、実施例として、前記対応関係には、1つの伴奏用演奏データに1つのフレーズセットが対応するものと、1つの伴奏用演奏データに複数のフレーズセットが対応するものとがあり、1つの伴奏用演奏データに複数のフレーズセットが対応する場合は、該1つの伴奏用演奏データに最適な前記特定のフレーズセットは、該対応する複数のフレーズセットの各々の一部のフレーズの組み合わせからなることを特徴とする
【0008】
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し、実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係る自動演奏装置を内蔵した電子楽器の全体概略構成を示すハードブロック図である。
本実施例に示す電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御されるようになっている。CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してリードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3、LED検出回路4、押鍵検出回路5、操作子検出回路6、表示回路7、音源装置8、外部記憶装置9、通信インタフェース(I/F)10がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。すなわち、タイマ1Aは時間間隔を計数したり、自動演奏のテンポを設定したりするためのテンポクロックパルスを発生するものである。タイマ1AからのテンポクロックパルスはCPU1に対してインタラプト命令として与えられ、CPU1はタイマ割込み処理(インタラプト処理)により自動演奏時における各種処理を実行する。
【0011】
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種プログラムや各種データ等を格納するものである。例えば、セットテーブル、短フレーズセット(複数短フレーズデータの組み合わせ)、パターンデータなどが記憶される。RAM3は、自動演奏に関する各種演奏情報やCPU1がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。例えば、RUNフラグ、アサインメモリ、パターンバッファ、タイミングカウンタなどがRAM3に記憶される。なお、ROM2あるいはRAM3に記憶される前記内容の詳細については追って説明する。発光ダイオード(LED)4Aは所定範囲の各鍵に対応して配置され、後述するように短フレーズデータ選択の際に鍵盤5Aの操作に従って点灯・消灯する。LED検出回路4は、CPU1の制御のもと、各鍵に対応した発光ダイオード毎に、連続的またはパルス的に駆動信号を印加して所定の発光ダイオードを点灯させることができ、かつ、印加する駆動信号の大きさを調節してその発光ダイオードの輝度を任意に設定することが可能な回路である。
【0012】
鍵盤5Aは楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えており、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この鍵盤5Aは楽音演奏のために使用できるのは勿論のこと、後述する実施例に示すように短フレーズデータの選択指示を行うための操作子として使用することもできる。押鍵検出回路5は、鍵盤5Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出し、検出出力を生じる。操作子6Aは自動演奏曲に関する各種の音楽条件(パラメータ)を入力したり、自動演奏の開始・停止を指示する等の各種の操作子を含んで構成される。例えば、数値データ入力用のダイヤルやテンキー、文字データ入力用のキーボード、あるいは各種スイッチ等である。後述の実施例では、番号選択操作子100、短フレーズ選択操作子101、モードセレクト操作子102、プレイスタート操作子103、プレイストップ操作子104等(図3参照)を示した。これらの操作子6Aについての詳しい説明は後述する。勿論、この他にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための各種操作子を含んでいてもよい。操作子検出回路6は、操作子6Aの各操作子の操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。表示回路7はCPU1の制御状態、パターンデータあるいは演奏データの内容等の各種情報を、例えば液晶画面7A等のディスプレイ上に表示する。
【0013】
音源装置8は、複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた演奏情報を入力し、このデータに基づき楽音信号を発生する。音源装置8から発生された楽音信号は、サウンドシステム8Aを介して発音される。この音源装置8における楽音信号発生方式はいかなるものを用いてもよい。例えば、発生すべき楽音の音高に対応して変化するアドレスデータに応じて波形メモリに記憶した楽音波形サンプル値データを順次読み出す波形メモリ読み出し方式、又は上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の周波数変調演算を実行して楽音波形サンプル値データを求めるFM方式、あるいは上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の振幅変調演算を実行して楽音波形サンプル値データを求めるAM方式等の公知の方式を適宜採用してもよい。すなわち、音源装置の方式は、波形メモリ方式、FM方式、物理モデル方式、高調波合成方式、フォルマント合成方式、VCO+VCF+VCAのアナログシンセサイザ方式、アナログシミュレーション方式等、どのような方式であってもよい。また、専用のハードウェアを用いて音源回路を構成するものに限らず、DSPとマイクロプログラム、あるいはCPUとソフトウェアを用いて音源装置を構成するようにしてもよい。さらに、1つの回路を時分割で使用することによって複数の発音チャンネルを形成するようなものでもよいし、1つの発音チャンネルが1つの回路で形成されるようなものであってもよい。さらに、効果回路を前記音源回路7とは独立に設けて、前記音源回路7から発生された楽音信号に対して各種効果を与えることができるようにしてもよい。
【0014】
外部記憶装置9は、パターンデータや短フレーズセット(複数短フレーズデータの組み合わせ)などのような伴奏演奏あるいはメロディ演奏の曲に関するデータ、あるいはCPU1が実行する各種プログラム等の制御に関するデータ等を記憶するものである。前記ROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置9(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それを前記RAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置9はハードディスク(HD)に限られず、フロッピィーディスク(FD)、コンパクトディスク(CD−ROM・CD−RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Diskの略)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であってもよい。
【0015】
通信インタフェース10は、例えばLANやインターネット、電話回線等の通信ネットワーク10Aに接続されており、概通信ネットワーク10Aを介して、サーバコンピュータ(図示せず)と接続され、当該サーバコンピュータから制御プログラムや各種データを電子楽器本体側に取り込むためのインタフェースである。すなわち、ROM2やハードディスクに制御プログラムや各種データが記憶されていない場合に、サーバコンピュータから制御プログラムや各種データをダウンロードするために用いられる。クライアントとなる電子楽器本体は、通信インターフェース10及び通信ネットワーク10Aを介してサーバコンピュータへと制御プログラムや各種データのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータは、このコマンドを受け、要求された制御プログラムやデータを、通信ネットワーク10Aを介して本電子楽器本体へと配信し、本電子楽器本体が通信インタフェース10を介して、これら制御プログラムや各種データを受信してハードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
なお、他のMIDI機器等からMIDI規格の演奏情報(MIDIデータ)を当該自動演奏装置へ入力したり、あるいは当該自動演奏装置からMIDI規格の演奏情報(MIDIデータ)を他のMIDI機器等へ出力するためのMIDIインタフェース(図示せず)を具えていてもよい。その場合、MIDIインタフェースは専用のMIDIインタフェースを用いるものに限らず、RS232−C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインタフェースを用いてMIDIインタフェースを構成するようにしてもよい。このような汎用のインタフェースを用いた場合には、MIDIメッセージ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。
【0016】
上述した電子楽器においては伴奏演奏用の演奏データ(パターンデータ)と共にメロディ演奏用の演奏データ(短フレーズデータ)が外部記憶装置9等に多数記憶され、各々のデータを適宜読み出すことにより伴奏演奏及びメロディ演奏を自動的に行うことができる。そこで、この電子楽器において採用する伴奏演奏データ(パターンデータ)及びメロディ演奏データ(短フレーズデータ)の各々について図2を用いて説明する。図2Aは伴奏用演奏データ構造の一実施例を概念的に示した図であり、図2Bはメロディ用演奏データ構造の一実施例を概念的に示した図である。
まず、図2Aに示した伴奏用演奏データ(パターンデータ)について説明する。上述の電子楽器における外部記憶装置9には、当該装置において自動演奏される伴奏に関する演奏情報(パターンデータ)が複数記憶される(パターン1、2、3、・・・)。このパターンデータ(パターン1、2、3、・・・)は自動伴奏する演奏のジャンル別(例えば、パターンデータ1はロック、パターンデータ2はジャズ、パターンデータ3はクラシックなど)に記憶されており、パターン確定スイッチ(後述する)の操作により複数記憶されたパターンデータ(パターン1、2、3、・・・)の中からいずれか1つのパターンデータ(パターン1、2、3、・・・)を選択することができる。これにより、自動演奏する伴奏のジャンルを選択することが可能となっている。1つのパターンデータは複数のパートデータ(パート1〜パートn)からなる。パートデータ1〜nはそれぞれ異なる演奏パート(例えば、リズムパート、ベースパート等)に対応しており、また、一般的には演奏パートごとに異なった音色が設定されることから、これにより、自動演奏する伴奏の演奏楽器の種類を選択することが可能となっている。個々のパートデータ1〜nは設定情報、タイミングデータ、イベントデータ、エンドイベントデータ等の演奏データで構成される。各パート1〜nの演奏データは、それぞれ基本単位の長さ(例えば、複数小節分の長さ)を持つ。設定情報は、音色や音量等の当該パートの演奏に関する情報である。タイミングデータは、イベントの発生タイミングを曲の先頭や各小節の先頭からの絶対時間、あるいは1つ前のイベントからの相対時間で示したデータである。イベントデータはその内容によって複数種類に分けられるが、ここでは主に演奏イベントデータである。演奏イベントデータは、ノートオン、ノートオフ、プログラムチェンジ、ボリューム、エフェクトなどのイベントを示すデータである。エンドイベントデータは、当該演奏データの終了を示すデータである。
【0017】
次に、図2Bに示したメロディ用演奏データ(短フレーズデータ)について説明する。
上述の電子楽器における外部記憶装置9には、当該装置において自動演奏されるメロディ演奏に関する演奏情報(短フレーズデータ)が同一ジャンル別に組み分けされて複数記憶されている(例えば、短フレーズセット1はロック、短フレーズセット2はジャズ、短フレーズセット3はクラシックなど)。この短フレーズセットは、短フレーズセット確定スイッチ(後述する)の操作により複数記憶された短フレーズセット1〜3の中からいずれか1つが選択されることから、これによって自動演奏するメロディのジャンルを選択することが可能となっている。1つの短フレーズセットは複数の短フレーズデータを組み合わたものから構成される。この短フレーズデータは、ショットフレーズデータとループフレーズデータとを含む。各フレーズデータは1パート構成であって、ショットフレーズデータは所定のオン操作により操作に対応するフレーズが1フレーズ分発音されるタイプのもの、ループフレーズデータは所定のオフ操作があるまで操作に対応するフレーズが繰り返し発音されるタイプのものである。個々の短フレーズデータは設定情報、タイミングデータ、イベントデータ、エンドイベントデータ等の演奏データで構成される。各フレーズ毎(すなわち、ショットフレーズあるいはループフレーズ)の演奏データはそれぞれ1小節分の長さを持ち、メロディ演奏のフレーズとして利用される。勿論、1フレーズの長さは1小節に限らず、複数小節であってもよい。設定情報、タイミングデータ、イベントデータ、エンドイベントデータについては上述のパターンデータと同様であることから、説明を省略する。
【0018】
ここで、上述した電子楽器におけるパネル構成の具体的な例をあげて各種スイッチについて説明する。図3は、図1に示した電子楽器上のパネル構成の一実施例を示した概念図である。ただし、この実施例では鍵盤5Aの所定の範囲の鍵を短フレーズ選択操作を行うことのできるスイッチとして利用しているものを示した。すなわち、鍵盤5Aの所定の鍵を押下することによってショットフレーズデータ(ショット1〜5)あるいはループフレーズデータ(ループ1〜7)を選択することができるようになっている。
【0019】
パネル上段には、番号選択部100とモード選択部102が配置される。モード選択部102は、当該電子楽器をノーマルモード又はパターンモードに設定するための「ノーマル」モードスイッチと「パターン」モードスイッチとを有する。ノーマルモードとは、自動演奏による伴奏を行いつつユーザ自身の鍵盤5Aのマニュアル演奏操作に伴って、各鍵に対応した楽音を発生することによって自然楽器と同様にしてメロディ演奏を行うモードである。パターンモードとは、自動演奏による伴奏を行いつつユーザによる鍵盤5Aでの短フレーズ選択操作に応じて、選択操作された鍵に対応付けられた短フレーズデータに基づいて楽音を発生することによってメロディ演奏を行うモードである。すなわち、ユーザが所望の1つの鍵を押下すると、押下した鍵に対応する短フレーズ演奏が行われ、メロディのフレーズが演奏される。このように、パターンモードでは、ユーザが所望のフレーズ演奏データ(短フレーズデータ)を順次に選択していくことで、それらの組み合わせにより独自のメロディを作成して演奏することができる。この場合、鍵盤5Aの所望の鍵域(図示の例では、短フレーズ選択スイッチ101の配置に対応する13個の鍵からなる鍵域)が短フレーズデータの選択用の鍵として機能し、番号選択部100で選択した短フレーズセット中の各短フレーズデータが各鍵に対して割り当てられる。番号選択部100は、ダイヤルスイッチ100A、番号表示部100B、パターン確定スイッチ100C、短フレーズセット確定スイッチ100Dとを具える。ダイヤルスイッチ100Aは、パターンデータあるいは短フレーズセットを選択する際に、選択するデータ番号(パターン番号あるいは短フレーズセット番号)を入力するためのスイッチであり、例えば当該ダイヤルスイッチ100Aを右に回すとデータ番号が大きくなり、左に回すとデータ番号が小さくなる。番号表示部100Bは、パターンデータあるいは短フレーズセットのデータ番号を表示するためのものである。すなわち、ダイヤルスイッチ100Aの回転に従って、データ番号を変化しながら表示する。あるいは、番号表示部100Bにジャンル名を表示し、表示するジャンル名をダイヤルスイッチ100Aの回転に従い変化させるようにして、ダイヤルスイッチ100Aを用いてジャンル名を入力することでパターンデータあるいは短フレーズセットを選択できるようにしてもよい。
パターン確定スイッチ100Cはパターンデータの選択を確定するためのスイッチであり、当該スイッチを押下することによりパターンデータが1つ選択される。選択されるパターンデータは、当該スイッチ100C押下時に番号表示部100Bに表示されているデータ番号を付されているパターンデータである。短フレーズセット確定スイッチ100Dは短フレーズセットの選択を確定するためのスイッチであり、当該スイッチ100Dを押下することにより短フレーズセットが1つ選択される。選択される短フレーズセットは、当該スイッチ100D押下時に番号表示部100Bに表示されているデータ番号を付されている短フレーズセットである。
このように、パターンデータ及び短フレーズセットは、ダイヤルスイッチ100Aでデータ番号(パターン番号あるいは短フレーズセット番号)を選択し、それぞれパターン確定スイッチ100C、短フレーズセット確定スイッチ100Dを押下することにより決定される。
【0020】
パネル中段には、短フレーズ選択スイッチ101、プレイスタートスイッチ103、プレイストップスイッチ104が配置される。そして、パネル下段には鍵盤5Aが配置される。
パネル中段に配置された短フレーズ選択スイッチ101は、上記のようにして選択された1つの短フレーズセット内の各短フレーズデータを選択するために用いられるスイッチであり、短フレーズデータ毎にパネル下段に配置された鍵盤5Aの所定の鍵(白鍵及び黒鍵)に対応して配置される。すなわち、短フレーズ選択スイッチ101におけるショットフレーズデータ(ショット1〜5)あるいはループフレーズデータ(ループ1〜7)を選択する際のスイッチ操作は、鍵盤5Aの所定の鍵を押下することによって行われる。例えば、一番右側に位置する白鍵を押下すると「ループ7」フレーズデータが選択されるし、一番右側の黒鍵を押下すると「ループ6」フレーズデータが選択される。このように、1オクターブ分の鍵盤5Aのそれぞれに短フレーズデータがアサインされ、押鍵操作によりアサインされた短フレーズを読み出して発音させるようになっている。アサインされる各短フレーズデータ(すなわち、この短フレーズ選択スイッチ101で選択することのできる短フレーズデータ)は、短フレーズセット確定スイッチ100Cで選択された短フレーズセットにより決定される。例えば、上述の図2に示したように1つの短フレーズセット内に7つのショットフレーズデータと5つのループフレーズデータとが含まれる場合には、短フレーズ選択スイッチ101により選択することのできる短フレーズデータはショット1〜7あるいはループ1〜5のいずれかであり、これに対応する分だけの鍵がセクション選択スイッチ101として割付される。
プレイスタートスイッチ103は選択されたパターンデータの再生の開始を指示するためのスイッチであり、プレイストップスイッチ104は選択されたパターンデータの再生停止を指示するためのスイッチである。
【0021】
また、上述の短フレーズ選択スイッチ101として割付けされた各フレーズデータに対応する鍵の近傍には発光ダイオード4A(図では正方形で表示)が設けられる。この発光ダイオード4Aは対応する鍵の操作に従って点灯あるいは消灯するようになっており、これにより選択されている内容がユーザにわかるようになっている。さらに、この発光ダイオード4Aは対応する鍵の色(すなわち、白鍵と黒鍵)毎に色を変えて配置されており、どの鍵がどのスイッチに対応するのかが一見してユーザにわかるようになっている。例えば、「ループ7」に対応する鍵(図に示した鍵盤5Aの一番右端の白鍵)を押下すると、「ループ7」フレーズデータの再生を終了するまで当該鍵に対応するように配置された発光ダイオード(LED)4Aの表示を点灯する。それ以外の押下されていない鍵に対応するように配置された発光ダイオード(LED)4Aは消灯したままである。
【0022】
以上のように、ユーザのパターンデータと短フレーズセットの選択に伴い、短フレーズセットの内容に従って短フレーズデータが鍵盤5Aにアサインされ、このアサインされた各鍵を押下することによってユーザは短フレーズデータを選択することができるようになっている。すなわち、各短フレーズセットに対応するデータ番号(セット番号)が付された短フレーズセットが予め外部記憶装置9等に複数記憶されており、ユーザはセット番号を指定することにより所望の短フレーズセットを選択すれば、後は鍵盤を順次に押下するだけで独自に作成したメロディの演奏を行うことができるようになる。
【0023】
また、この実施例では、ユーザに十分な音楽的知識あるいは演奏技術がないような場合でも、伴奏パターンデータに対応した適切な短フレーズセットが自動的に選択されるために、ユーザは伴奏演奏に馴染んだ若しくは適したメロディをたやすく演奏することができるようになっている。すなわち、短フレーズセット確定スイッチ100Dから短フレーズセットのデータ番号として所定の番号(例えば「00」)を選択すると、現在選択されているパターンデータに最適な短フレーズセットの内容に従った各フレーズデータが鍵盤5Aにアサインされる。したがって、短フレーズ選択スイッチ101でどの短フレーズデータを選択しても、伴奏パターンにあったものを選択することができる。パターンデータ毎の最適な短フレーズセットがどれであるかは、予め用意されたセットテーブルに記憶される。図4A及び図4Bに、このようなセットテーブルの一実施例を示した。
図4Aに示すように、セットテーブルにはパターンデータ毎に当該パターンデータに最適な1つの短フレーズセットが対応してテーブル化されて記憶される。パターンデータが確定されると、当該セットテーブルが参照されて最適な短フレーズセットが番号表示部100Bに表示される。ユーザは当該短フレーズセットをそのまま使用するのであれば短フレーズ確定スイッチ100Dをそのまま押下すればよいし、当該短フレーズセット以外を使用したい場合には、新たにダイヤルスイッチ100Aを操作して他の短フレーズセットを選択すればよい。なお、セットテーブルは上述した構成のものに限られず、図4Bに示すようなテーブル構成であってもよい。すなわち、それぞれのパターンデータ別に予め用意された短フレーズセットの組み合わせとは関係なく、記憶されている複数の短フレーズセットのいずれかの短フレーズデータがパターンデータ毎に対応するようなものであってもよい。例えば、パターン1には短フレーズセット1のショットフレーズと短フレーズセット2のループフレーズ1〜5とが対応し、パターン2には短フレーズセット2のショットフレーズ1乃至2と短フレーズセット3のショットフレーズ3乃至5及びループフレーズ1〜5が対応するといったようなものであってもよい。
【0024】
図1に示した電子楽器では、例えばROM2あるいは外部記憶装置9等からユーザの選択に従ったパターンデータを読み出して自動伴奏を行うことは勿論のこと、短フレーズデータを読み出してメロディ演奏を行うことができる。図5は、当該電子楽器において伴奏と共にメロディが自動演奏される際の動作を説明するための機能ブロック図である。図5において、図中の矢印は各機能間におけるデータの流れを表すものである。
パターンメモリ113には、多数のパターンデータが記憶されている。例えば、図1に示したROM2や外部記憶装置9がパターンメモリ113に相当する。なお、他のMIDI機器やサーバコンピュータから受信したパターンデータをパターンメモリ113に記憶するようにしてもよい。パターン読出し部112は、前記パターンメモリ113に記憶されている多数のパターンデータの中からパターン選択操作子107の指示に従ってパターンデータを読み出す。読み出されたパターンデータは音源部114へと供給されることにより、伴奏として再生される。短フレーズ(セット)メモリ109には、所定の組み合わせ(セット)毎に短フレーズデータが多数記憶される。セット選択操作子105から所望の短フレーズ(セット)データを選択すると、短フレーズ(セット)メモリ109から該当する短フレーズ(セット)データを読出し、一旦短フレーズセット一時記憶部(アサインメモリ)110に記憶する。この短フレーズセット一時記憶部(アサインメモリ)110は、選択されたセットに含まれる短フレーズ群のそれぞれを、短フレーズ選択操作子106(各鍵)のそれぞれに対応させて記録しておくために使用するメモリである。セット選択操作子105による短フレーズ(セット)データ選択の際に「パターン最適セット」が選択された場合(例えば、短フレーズセット番号として「00」が指定されたような場合)には、セットテーブルメモリ108に多数記憶されたセットテーブルを参照して短フレーズ(セット)データを読み出す。短フレーズ読出し部111は、前記短フレーズセット一時記憶部110に記憶されている多数の短フレーズデータの中から短フレーズ選択操作子106の操作に従って短フレーズデータを読み出す。こうして、短フレーズ読出し部111によって読み出された短フレーズデータは、音源部114に供給される。音源部114では、短フレーズ読出し部111から供給される短フレーズデータとパターン読出し部112から供給されるパターンデータに応じて、伴奏及びメロディとなる楽音を再生する。
【0025】
上述したように、ユーザは当該電子楽器で伴奏を自動演奏しながら鍵盤5Aの所定範囲の鍵を押下することで短フレーズデータの組み合わせによって容易に好みのメロディを作成し、メロディ演奏を行うことができる。このような鍵盤5Aを使用してメロディ演奏を行う際には、当該電子楽器をパターンモードに設定し、当該モードに従った処理をCPU1で実行しなければならない。そこで、パターンモード時にCPU1で実行する「パターンモード処理」について説明する。図6は、上述の電子楽器におけるCPU1で実行される「パターンモード処理」の一実施例を示すフローチャートである。すなわち、モード選択スイッチ102のうちの「パターン」スイッチ(図3参照)が操作されてパターンモードとなっている場合に実行される処理を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートに従って、「パターンモード処理」の動作を説明する。
ステップS1では、初期設定が行われる。すなわち、当該処理で使用する各種バッファやフラグなどを初期状態(すなわち、クリア)する。本実施例においては、パターンバッファ、ループバッファ及び各タイミングカウンタの内容をクリアする。パターンバッファは、現在選択されているパターンデータのデータ番号を記憶するバッファである。同じように、ループバッファは現在選択されているループフレーズデータのデータ番号を記憶するバッファである。また、RUNフラグに「0」をセットする。ただし、この実施例では、RUNフラグ=「1」でパターンデータが再生状態(すなわち、伴奏演奏状態)であることを、RUNフラグ=[0]でパターンデータが非再生状態(すなわち、伴奏非演奏状態)であることを表わすものとしている。さらに初期設定では、パターンデータ番号として「1」を初期セットしたり、あるいは短フレーズセット1に対応する短フレーズデータ群をアサインメモリにセットするなどの各種設定を行う。
【0026】
ステップS2では、パターン選択が行われているか否かを判定する。パターン選択が行われている場合(ステップS2のYES)、すなわち、パターン確定スイッチ100Cの操作によりパターンデータが選択されている場合には、選択されたパターンデータ番号をパターンバッファに記録する(ステップS3)。例えば、「パターン1」が選択されていれば「1」、「パターン2」が選択されていれば「2」といったように選択されたパターンデータに従うデータ番号がパターンバッファに記憶される。パターン選択が行われていない場合には(ステップS2のNO)、ステップS4の処理へジャンプする。すなわち、パターンバッファへの記録は行われない。ステップS4では、セット選択されたか否かを判定する。セット選択が行われている場合(ステップS4のYES)、すなわち、短フレーズセット確定スイッチ100Dの操作により短フレーズセットが選択されている場合あるいは最適セットが選択されている場合には、「アサイン処理」を行う(ステップS5)。この「アサイン処理」では、選択された短フレーズセットに対応する短フレーズデータ群をアサインメモリにセットする処理が行われる(「アサイン処理」の詳しい処理内容については後述する)。ステップS6では、「その他の処理」を行う。「その他の処理」では、例えばプレイスタートスイッチ103の操作に基づき、パターンバッファに記録されたデータ番号に対応するパターンデータの読出し設定、RUNフラグへの「1」の設定、各タイミングカウンタ内容のリセットなどの処理を行う。あるいは、プレイストップスイッチ104の操作に基づき、RUNフラグへの「0」の設定、発音中の楽音の消音などの処理を行う。その他にも、パターンデータ再生停止中及び再生中におけるテンポ変更や音程変更などの各種処理を行う。ステップS7では、パターンモードが終了したか否かを判定する。パターンモードの終了指示がなされていない場合には(ステップS7のNO)、ステップS2の処理へ戻り、上記各処理を繰り返し実行する。一方、パターンモードの終了指示が行われている場合には(ステップS7のYES)、当該「パターンモード処理」を終了する。すなわち、当該電子楽器はノーマルモードに戻る。
【0027】
図7は、パターンモード時にセット選択が行われた際に実行される「アサイン処理」(図6に示した「パターンモード処理」におけるステップS5参照)の一実施例のフローチャートである。
ステップS11では、最適セット選択が行われたか否かを判定する。すなわち、短フレーズセットのデータ番号として所定の番号(例えば「00」)が短フレーズ確定スイッチ100Dから入力されたか否かを判定する。最適セット選択が行われている場合(ステップS11のYES)、選択したパターンデータ番号に基づきセットテーブルを参照してアサインメモリ110へのセット内容を決定する(ステップS12)。すなわち、パターンバッファ内のパターンデータ番号によって予めセットテーブルメモリ108に用意されているセットテーブルを参照して、現在選択されているパターンデータに最適な短フレーズセットを決定する。こうして決定された短フレーズセットに対応する短フレーズデータ群をアサインメモリ110に記録する(ステップS13)。一方、最適セット選択が行われていない場合には(ステップS11のNO)、短フレーズセット確定スイッチ100Dから入力されたセット番号に対応する短フレーズセットの短フレーズデータ群をアサインメモリ110に記録する。
このようにして、ユーザによる短フレーズセットの選択指示に従い鍵盤5Aの所定範囲の鍵に短フレーズデータを割付け設定する。
【0028】
次に、「割込み処理」について説明する。図8は、上述の電子楽器におけるCPU1で実行される「押離鍵割込処理」の一実施例を示すフローチャートである。この「押離鍵割込処理」は、新たな鍵盤操作がある毎に起動される割込み処理である。
ステップS21では、短フレーズ選択が行われたか否かを判定する。すなわち、短フレーズデータを割付けた鍵が操作されて短フレーズデータが選択されたか否かを判定する。短フレーズ選択が行われていない場合(ステップS21のNO)、すなわち、短フレーズデータを割付けた鍵が操作されていない場合には、当該鍵盤操作に基づく楽音の発音消音処理やパターン選択処理などの「その他処理」を行い(ステップS27)、当該「割込み処理」を終了する。この場合には、短フレーズデータ再生によるメロディの自動演奏は行われない。一方、短フレーズ選択が行われている場合(ステップS21のYES)、すなわち、短フレーズデータを割付けた鍵が操作されている場合には、当該操作が押鍵操作であるか否かを判定する(ステップS22)。押鍵操作でなければ(ステップS22のNO)、当該「割込み処理」を終了する。押鍵操作であれば(ステップS22のYES)、当該押鍵操作がループフレーズを選択する操作であるか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、ループフレーズデータを選択するスイッチに割付けられた鍵が押鍵操作されたか否かを判定する。ループフレーズデータに対応する鍵以外の鍵が押鍵操作されている場合(ステップS23のNO)にはショットフレーズデータに対応する鍵が操作されていることから、操作された鍵に割付けられたショットフレーズデータの読出開始設定を行う(ステップS26)。ループフレーズデータに対応する鍵が押鍵操作されている場合には(ステップS23のYES)、ループバッファの内容を変更し(ステップS24)、この変更後のループバッファ内容に従ってループフレーズデータの読出開始あるいは読出停止の処理を行う(ステップS25)。すなわち、ループバッファのフラグが「0」から「1」に変更されたループフレーズデータについては読出開始処理を実行する。この際に、ループフレーズデータの先頭位置を読出し位置として設定する。ループバッファのフラグが「1」から「0」に変更されたループフレーズデータについては読出停止処理を実行する。すなわち、当該ループフレーズデータの再生により発音される楽音が消音されて、かつ、データ読出設定を解除してデータ読出処理を実行できないようにする。
ここで、簡単にループバッファの一実施例を示すと、図9のようになる。この実施例では、ループバッファはループフレーズ毎にそのフラグが「1」あるいは「0」がセットされ、このループフレーズ毎のフラグ内容が「1」であれば再生中のループフレーズデータであることを示し、フラグ内容が「0」であれば再生停止中のループフレーズデータであることを示すようになっている。したがって、或る鍵を押して或るループフレーズを選択し、その発音を開始した後、同じ鍵を押せばフラグが「1」から「0」に変わり、ループ再生が停止される。
【0029】
図10は、上述の電子楽器におけるCPU1で実行される「再生割込処理」の一実施例を示すフローチャートである。すなわち、この「再生割込処理」はCPU1によりタイマ1Aからの動作クロックに同期して所定のタイミング毎に割込み的に実行される。ただし、RUNフラグが「1」にセットされている場合にのみ実行される。
ステップS31では、現タイミングのイベント読出しが行われる。すなわち、パターンデータ、ショットフレーズデータ、ループフレーズデータ全てのデータに関して、現タイミングのイベントデータを読み出す。この読み出した各データ毎のイベントがエンドイベントデータでない場合には(ステップS32のNO)、イベントに従った各種イベント処理を行う(ステップS36)。読み出したイベントがエンドイベントデータである場合には(ステップS32のYES)、当該エンドイベントデータを含む演奏データがショットフレーズデータであるか否かを判定する(ステップS33)。ショットフレーズデータである場合(ステップS33のYES)、読出し処理を解除する(ステップS34)。すなわち、ショットフレーズデータの再生を終了し、また、選択されたショットフレーズに対応する鍵の近傍に配置された発光ダイオード(LED)4Aを消灯する。ショットフレーズデータでない場合(ステップS33のNO)、当該データはループフレーズデータであることから、読出し位置を当該ループフレーズデータの先頭位置に再セットして(ステップS35)、繰り返しループフレーズデータを再生することができるようにする。すなわち、ショットフレーズデータはエンドイベントデータまで再生されると再生終了されるが、ループフレーズデータ(あるいはパターンデータ)は再生停止指示があるまで繰り返し再生される。つまり、ショットフレーズデータは自動的に再生終了されるので再生終了するための操作は必要ないが、ループフレーズデータ(あるいはパターンデータ)は繰り返し再生されるのでループフレーズデータの再生を終了するための操作が必要である。したがって、ショットフレーズデータを割付けられた鍵は再生開始指示の機能しか持たないものとなるが、ループフレーズデータを割付けられた鍵は再生開始・終了指示両方の機能を持つものとなる。なお、ショットフレーズデータとループフレーズデータは同時に複数フレーズでの発音が可能である。ステップS37では、パートデータ、ショットフレーズデータ、ループフレーズデータの各データにおいて今回タイミングにおけるイベントデータの読出しが全て終了したか否かを判定する。イベントデータの読出しが全て終了していれば(ステップS37のYES)、当該「再生割込処理」を終了する。イベントデータの読出し処理が全て終了していなければ(ステップS37のNO)、ステップS31の処理へ戻り、上記各処理を繰り返し実行する。このようにすることで、再生設定されている、ショットフレーズデータ、ループフレーズデータ、パターンデータに対応した楽曲を再生することができる。
なお、当該「再生割込処理」では、再生設定されている、複数のショットフレーズデータ、複数のループフレーズデータ、複数のパターンデータ(つまり、複数パート分)のそれぞれについて、現タイミングにおけるイベントを処理する。すなわち、イベントの読出しタイミングは各フレーズデータ及びパターンデータ毎に起動しているタイミングカウンタにより制御される。
【0030】
なお、セットテーブルに対し、その設定内容をユーザが書き換えることができるようにしてもよい。そうすれば、ユーザの作成したパターンデータや短フレーズデータなどを含めたセットテーブルを作成することができる。また、ユーザが新規にセットテーブルを作成するようにしてもよい。
短フレーズデータ再生において、実施例では一度に複数の短フレーズデータを同時再生できるように構成したが、一度に1つの短フレーズデータしか再生できないような構成(つまり、再生中の短フレーズデータの再生が終了するまで次の短フレーズデータの再生を指示することができない、あるいは短フレーズデータ再生中に新たな短フレーズデータの再生が指示されると現在再生中の短フレーズデータを強制的に停止して新たに再生指示された短フレーズデータを優先して再生するなど)、あるいは、ショットフレーズデータとループフレーズデータのそれぞれについて1つずつのデータしか再生できないように構成してもよい。
【0031】
本実施例に係る自動演奏装置を電子楽器に適用した場合、電子楽器は鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、そのような場合に、音源装置、自動演奏装置等を1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものにも同様に適用できることはいうまでもない。また、パソコンとアプリケーションソフトウェアという構成であってもよく、この場合処理プログラムを磁気ディスク、光ディスクあるいは半導体メモリ等の記憶メディアから供給したり、ネットワークを介して供給するものであってもよい。さらに、カラオケ装置やゲーム装置、あるいは携帯電話等の携帯型通信端末、自動演奏ピアノ等に適用してもよい。
【0032】
なお、演奏データのフォーマットは、イベントの発生時刻を曲や小節内における絶対時間で表した『イベント+絶対時間』形式のもの、イベントの発生時刻を1つ前のイベントからの時間で表した『イベント+相対時間』形式のもの、音符の音高と符長あるいは休符と休符長で演奏データを表した『音高(休符)+符長』形式のもの、演奏の最小分解能毎にメモリの領域を確保し、演奏イベントの発生する時刻に対応するメモリ領域にイベントを記憶した『ベタ方式』形式のものなど、どのような形式のものでもよい。また、複数チャンネル分の演奏データが存在する場合は、複数のチャンネルのデータが混在した形式であってもよいし、各チャンネルのデータがトラック毎に別れているような形式であってもよい。さらに、演奏データの処理方法は、設定されたテンポに応じて処理周期を変更する方法、処理周期は一定で自動演奏中のタイミングデータの値を設定されたテンポに応じて変更する方法、処理周期は一定で1回の処理において演奏データ中のタイミングデータの計数の仕方をテンポに応じて変更する方法等、どのようなものであってもよい。
また、メモリ上において、時系列の演奏データが連続する領域に記憶されていてもよいし、飛び飛びの領域に散在して記憶されている演奏データを、連続するデータとして別途管理するようにしてもよい。すなわち、時系列的に連続する演奏データとして管理することができればよく、メモリ上で連続して記憶されているか否かは問題ではない。
また、選択された短フレーズセット内の短フレーズデータの選択は、その都度操作子で行う例に限らず、例えばランダム信号に従ってランダムに選択してもよい。例えば、ランダム選択スイッチを1回オンすれば、各小節の変わり目毎にランダムに該短フレーズセット内の短フレーズデータを選択するようにしてもよい。その場合、ランダムフレーズ選択と通常の短フレーズ選択とを組み合わせて行うようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、同じような楽音的な特徴をもつ短フレーズデータを常に鍵盤の鍵に割付けることによって、ユーザが再生されている自動伴奏に馴染んだ短フレーズデータのみを簡単に選択して再生することができるようにしたことから、初心者であっても簡単に再生中の自動伴奏に馴染むメロディ演奏を簡単に行えるようになる、という効果が得られる。
また、自動演奏に馴染む短フレーズデータを鍵盤の鍵に割付けることによって、短フレーズデータを自由に選択して再生することができるようにしたことから、自動伴奏に馴染む変化に富んだメロディ演奏を行うことができるようになる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動演奏装置を内蔵した電子楽器の全体概略構成を示すハードブロック図である。
【図2A】伴奏演奏データ構造の一実施例を概念的に示した図である。
【図2B】メロディ演奏データ構造の一実施例を概念的に示した図である。
【図3】図1に示した電子楽器上のパネル構成の一実施例を示した概念図である。
【図4A】パターンデータ毎に最適な1つの短フレーズセットが対応してテーブル化された、セットテーブルの一実施例を示す該念図である。
【図4B】パターンデータ毎に複数の短フレーズセット内のいずれかの短フレーズデータが対応してテーブル化された、セットテーブルの一実施例を示す該念図である。
【図5】当該電子楽器において自動伴奏と共にメロディ演奏が行われる際の動作を説明するための機能ブロック図である。
【図6】上述の電子楽器におけるCPU1で実行される「パターンモード処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】パターンモード時にセット選択が行われた際に実行される「アサイン処理」の一実施例のフローチャートである。
【図8】上述の電子楽器におけるCPU1で実行される「押離鍵割込処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】ループバッファの一実施例を示す該念図である。
【図10】上述の自動演奏装置におけるCPU1で実行される「割込み処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…CPU、1A…タイマ、2…ROM、3…RAM、4…LED検出回路、4A…発光ダイオード、5…押鍵検出回路、5A…鍵盤、6…操作子検出回路、6A…操作子、7…表示回路、7A…液晶画面、8…音源装置、8A…サウンドシステム、9…外部記憶装置、9A…外部記憶媒体、10…通信インタフェース、10A…通信ネットワーク、1D…データ及びアドレスバス

Claims (5)

  1. 複数の演奏操作子のそれぞれにフレーズを割り当てて、該演奏操作子の操作に応じて該フレーズを読み出す自動演奏装置であって、
    複数の伴奏用演奏データの中からいずれかの伴奏用演奏データの選択がなされたこと検出する手段と、
    該選択された伴奏用演奏データの識別情報をバッファに記憶する手段と、
    複数のフレーズを含むフレーズセットを複数セット記憶する手段と、
    伴奏用演奏データと特定のフレーズセットとの対応関係を記憶する手段と、
    最適フレーズセットの選択に応じて、前記バッファに記憶された識別情報が示す特定の伴奏用演奏データに対応する特定のフレーズセットを前記対応関係から導き出し、該特定のフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段と、
    個別のフレーズセットの選択に応じて、該選択されたフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定する手段と
    を具え、前記使用すべきフレーズセットとして決定されたフレーズセットに含まれる各フレーズが前記各演奏操作子に割り当てられることを特徴とする自動演奏装置。
  2. 前記個別のフレーズセットには固有の番号がそれぞれ割り当てられており、該各フレーズセットに割り当てられた該固有の番号以外の所定の番号が前記最適フレーズセット選択のために割り当てられており、該所定の番号を選択することで前記最適フレーズセットの選択がなされ、一方、各個別のフレーズセット毎の固有の番号を選択することで該個別のフレーズセットの選択がなされることを特徴とする請求項1に記載の自動演奏装置。
  3. 前記対応関係には、1つの伴奏用演奏データに1つのフレーズセットが対応するものと、1つの伴奏用演奏データに複数のフレーズセットが対応するものとがあり、1つの伴奏用演奏データに複数のフレーズセットが対応する場合は、該1つの伴奏用演奏データに最適な前記特定のフレーズセットは、該対応する複数のフレーズセットの各々の一部のフレーズの組み合わせからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動演奏装置。
  4. 複数の演奏操作子のそれぞれにフレーズを割り当てて、該演奏操作子の操作に応じて該フレーズを読み出す自動演奏装置におけるフレーズ割り当て方法であって、前記自動演奏装置は、複数のフレーズを含むフレーズセットを複数セット記憶する手段と、伴奏用演奏データと特定のフレーズセットとの対応関係を記憶する手段とを具備し、前記フレーズ割り当て方法は、
    複数の伴奏用演奏データの中からいずれかの伴奏用演奏データの選択がなされたこと検出するステップと、
    該選択された伴奏用演奏データの識別情報をバッファに記憶するステップと、
    最適フレーズセットの選択に応じて、前記バッファに記憶された識別情報が示す特定の伴奏用演奏データに対応する特定のフレーズセットを前記対応関係から導き出し、該特定のフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定するステップと、
    個別のフレーズセットの選択に応じて、該選択されたフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定するステップと
    を具え、前記使用すべきフレーズセットとして決定されたフレーズセットに含まれる各フレーズが前記各演奏操作子に割り当てられることを特徴とする方法
  5. 複数の演奏操作子のそれぞれにフレーズを割り当てて、該演奏操作子の操作に応じて該フレーズを読み出す自動演奏装置においてコンピュータに下記ステップからなるフレーズ割り当て方法を実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記自動演奏装置は、複数のフレーズを含むフレーズセットを複数セット記憶する手段と、伴奏用演奏データと特定のフレーズセットとの対応関係を記憶する手段とを具備し、前記フレーズ割り当て方法は、
    複数の伴奏用演奏データの中からいずれかの伴奏用演奏データの選択がなされたこと検出するステップと、
    該選択された伴奏用演奏データの識別情報をバッファに記憶するステップと、
    最適フレーズセットの選択に応じて、前記バッファに記憶された識別情報が示す特定の伴奏用演奏データに対応する特定のフレーズセットを前記対応関係から導き出し、該特定のフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定するステップと、
    個別のフレーズセットの選択に応じて、該選択されたフレーズセットを使用すべきフレーズセットとして決定するステップと
    を具え、前記使用すべきフレーズセットとして決定されたフレーズセットに含まれる各フレーズが前記各演奏操作子に割り当てられることを特徴とする
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