JP3603518B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙を搬送しつつインクジェットヘッド(以下単にヘッドともいう)からインクを吐出して印字を行なうインクジェットプリンタに関する。特に、その廃インクタンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェットプリンタにおいては、インクジェットヘッドの目詰まりを解消する目的で、必要に応じインクポンプによるヘッド内インクの吸引動作がなされる。インクポンプにより吸引されたインクは、プリンタ内に設けられている廃インクタンクに、廃インクとして回収される。
【0003】
そして、従来のインクジェットプリンタにおいては、廃インクタンクは、用紙搬送経路の側方に設けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のインクジェットプリンタでは、廃インクタンクが、用紙搬送経路の側方に設けられていたので、その分プリンタの幅サイズが大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決し、幅サイズの低減を図ることのできるインクジェットプリンタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載のインクジェットプリンタは、交換可能な廃インクタンクが用紙搬送経路の下方に配置されており、この廃インクタンクのケース上面が用紙の滑走面を形成しているとともに、ケース下面がプリンタの下面を形成し、かつ、前記廃インクタンクは、プリンタ本体に対して、下方から着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
【作用効果】
請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンクが用紙搬送経路の下方に配置されているので、幅サイズの低減を図ることができる。特に、ヘッドが複数色のインク滴を吐出することによってフルカラー画像を形成することのできるヘッドであると、廃インク量も多くなり、必然的に廃インクタンクの容量も大きくならざるを得ないが、この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンクの容量を増大させつつ、プリンタ全体の幅サイズを低減させることが可能となる。
【0010】
しかも、その廃インクタンクのケース上面が用紙の滑走面を形成しているので、部品点数の削減を図ることができるとともに、高さサイズの低減も図ることができる。
【0011】
詳しく説明すると、従来のインクジェットプリンタでは、廃インクタンクが用紙搬送経路の側方に設けられていたので、搬送される用紙を下方から支持し案内するための用紙ガイドが別途必要であった。また、仮に、廃インクタンクを用紙搬送経路の下方に配置したとしても、そのケース上面が用紙の滑走面を形成しないとしたならば、やはり別途用紙ガイドが必要となるし、この用紙ガイドを設けた分だけ高さサイズが嵩ばることとなる。
【0012】
これに対し、この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンクのケース上面が用紙の滑走面を形成しているので、別途用紙ガイドを設ける必要がなくなり、部品点数の削減を図ることができるとともに、高さサイズの低減も図ることができる。
【0013】
すなわち、この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、幅サイズおよび高さサイズの低減を図ることができるとともに、部品点数の削減をも図ることができる。
【0014】
さらに、前記廃インクタンクのケース下面がプリンタの下面を形成しているので、高さサイズが一層低減される。
【0015】
さらに、前記廃インクタンクが交換可能であるので、次のような作用効果が得られる。
【0016】
一般に、用紙搬送経路を形成している用紙ガイドの用紙滑走面は、これに用紙が摺接するので徐々に摩耗する。そして、この摩耗が大きくなると用紙滑走面の平滑度が低下し用紙先端が引っかかるようになるので用紙の円滑な搬送状態が損なわれ、用紙の搬送ピッチに狂いが生じて結果として印字品質が損なわれるおそれがある。
【0017】
一方、廃インクタンクは、これに廃インクが回収されるから、廃インクが溢れ出す前に交換する必要がある。
【0018】
この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンクが交換可能であり、かつ、この廃インクタンクのケース上面が用紙の滑走面を形成しているので、廃インクタンクが交換されると、用紙の滑走面も新品となる。
【0019】
したがって、この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、廃インクの溢れ出しを防止することができるとともに、用紙の円滑な搬送状態が損なわれるのを未然に防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明に係るインクジェットプリンタの一実施の形態を示す概略的な断面図、図2は内部構造を示す斜視図、図3は分解斜視図、図4は廃インクタンクの分解斜視図である。
【0022】
図1において、1は前フレーム、2は中間フレーム、3は後フレームである。これらフレーム1,2,3の両端にサイドフレーム4,5(図2参照)が固定されている。すなわち、サイドフレーム4,5の間に上記フレーム1,2,3が架設されており、これらフレーム1〜5によってプリンタのフレームが構成されている。
【0023】
図1において、10は給紙装置、20は用紙の搬送装置、30はインクジェットヘッド、40は廃インクタンクである。
【0024】
給紙装置10は、サイドフレーム4,5および後フレーム3に支持されるフレーム11と、このフレーム11に回転可能に支持された給紙ローラ12と、フレーム11に軸13で揺動可能に取り付けられホッパ14と、分離パッド15とを備えている。
【0025】
給紙ローラ12は、図示しない駆動手段によって、給紙動作時に回転駆動される。
【0026】
ホッパ14には、印字に供される用紙Pが複数枚積層状態で載置され、その用紙は、フレーム11とホッパ14との間に設けられたホッパバネ(圧縮バネ)14aによって、給紙ローラ12に向けて付勢されるようになっている。
【0027】
分離パッド15は発泡ウレタン等で構成されており、パッドホルダ16に固定されている。パッドホルダ16は、軸16aによってフレーム11に揺動可能に支持されており、フレーム11との間に設けられたパッドバネ(圧縮バネ)16bによって給紙ローラ12に向けて付勢されている。
【0028】
給紙動作時には、給紙ローラ12が回転するとともに、この給紙ローラ12に向けてホッパ14で用紙Pが押圧され、最上位の用紙が給紙ローラ12と接触して矢印a方向に給送される。給送される過程で、最上位の用紙とともに次位の用紙が送られようとしても、分離パッド15と給紙ローラ12との挟圧部を通過する際に次位の用紙は最上位の用紙と分離され、最上位の用紙のみが下ガイド51および上ガイド52に案内されて搬送装置20に向けて給送されることとなる。
【0029】
搬送装置20は、紙送りローラ21と、これに押圧されて従動するピンチローラ22と、排紙ローラ23と、これに押圧されて従動する薄板状のスターホイル24とを備えている。
【0030】
紙送りローラ21は、ゴムローラ、または、金属棒の表面にセラミック粉末等を付着させたローラで構成されており、図示しない駆動手段によって回転駆動される。なお、図2において、21aは軸端(ローラ端)に固定された歯車である。
【0031】
ピンチローラ22は、上ガイド52の先端に回転可能に支持されており、上ガイド52をアームとして図示しない付勢手段によって紙送りローラ21に向けて付勢されている。
【0032】
排紙ローラ23はゴムローラで構成されており、図示しない駆動手段によって回転駆動される。なお、上記給紙ローラ12、紙送りローラ21、排紙ローラ23、および後述するポンプユニットの駆動源は1つのモータで共用されている。
【0033】
スターホイル24は、前フレーム1に取り付けられたホルダ24aに対して細いコイルスプリング24bを軸として回転可能に支持されており、そのコイルスプリング24bによって排紙ローラ23に向けて付勢されている。
【0034】
給紙装置10によって給送された用紙は、その先端が紙送りローラ21とピンチローラ22との挟圧部に達すると、これらローラ21,22によって搬送され、ヘッド30によって印字された後、排紙ローラ23およびスターホイル24によって搬送され排出されることとなる。
【0035】
ヘッド30は、複数色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のインク滴を選択的に吐出して用紙上にフルカラー画像を形成することのできるヘッドであり、キャリッジ31に搭載されている。キャリッジ31には複数色分(例えば上記4色分)のインクカートリッジ(図示せず)が交換可能に搭載されている。
【0036】
キャリッジ31は、ガイド軸32と中間フレーム2の上縁部2aとで支持されており、これらに案内されて図1の紙面と直交する方向に往復動可能である。なお、図2において、33は中間フレーム2の一端に取り付けられたキャリッジモータであり、その出力軸に固定された駆動プーリ34と、中間フレーム2の他端に回転可能に取り付けられた図示しない従動プーリとの間に張られたタイミングベルト(図示せず)の一部にキャリッジ31が連結されていて、キャリッジ31が駆動(往復動)されるようになっている。
【0037】
キャリッジ31が移動しつつヘッド30からインク滴が吐出されて用紙上に用紙搬送方向における所定幅分印字がなされ、その後、用紙が紙送りローラ21等によって所定ピッチ分搬送され、という動作の繰り返しによって用紙上にフルカラー画像(文字等を含む)が形成される。なお、図1において、53は用紙の下面を案内するとともに用紙とヘッド30との間隔を規定する間隔規定部材である。
【0038】
ヘッド30によって印字され、排紙ローラ23等によって搬送され排出される用紙は、廃インクタンク40のケース上面40aを滑走する。なお、排出された用紙は、廃インクタンク40の手前側に必要に応じて取り付けられる排紙スタッカ70上に載置され保持される。
【0039】
図4に示すように、廃インクタンク40は、そのケースとして、下ケース41と蓋体42とを備えており、蓋体42の上面が上記用紙の滑走面40aを形成している。
【0040】
下ケース41は、底板41aと、側板41bと、仕切り板41c,41dとを有しており、これら各部は合成樹脂によって一体成形されている。仕切り板41c,41d、底板41a、および側板41bによって区画されている凹所41eには、ポンプユニット60(図3参照)の下部61が入り込むようになっている。
【0041】
下ケース41には、その内形状に適合する形状の2枚のインク吸収材43,44と、このインク吸収材43,44よりも多少短い(蓋体42とほぼ同じ長さの)インク吸収材45が収納されている。底板41aには、円筒46が一体的に立設されているとともに、各インク吸収材43,44,45には、円筒46の貫通孔43a,44a,45aが設けられている。また、蓋体42には断面凹形状のネジ止め用の段付き穴42aがあり、この段付き穴42aの段部にネジ47の頭部47aを懸けて前記円筒46と結合することによって廃インクタンク40が組み立てられる。組み立てられた状態で、ネジ47の頭部47aは上記断面凹形状の穴42a内に完全に埋没され、蓋体42の上面すなわち用紙の滑走面40a上には突出しない。なお、インク吸収材43,44の穴43b,44bは後述する廃インクチューブ62が挿通される穴、また、穴43c,44cは後述するキャップユニットの下部の凸部(図示せず)を逃がすための穴である。
【0042】
下ケース41の左右外側面には、計4個の爪付き突片41fが一体的に形成されており、これら突片41fを、図3に示すように、サイドフレーム4,5に形成された角穴4f,4f,5f,5fと係合させることによって(図2参照)、廃インクタンク40は、プリンタ本体に対して着脱可能すなわち交換可能に取り付けられる。取り付けられた状態で、廃インクタンク40のケース下面40bは、図1に示すようにプリンタの下面を形成する。
【0043】
図3に示すように、ポンプユニット60はサイドフレーム5近くに設けられている。この部分Hは、非印字領域であり、キャリッジ31のホームポジション(待機位置)である。この領域には、図示しないキャップを有するキャップユニットが設けられており、キャリッジ31が待機位置にあるとき、ヘッド30がキャップによって下方から覆われ、ヘッド30のノズル内にあるインクの乾燥が防止されるようになっている。また、キャップとポンプユニット60とは図示しないチューブ等によって連結されており、ポンプの作動によってキャップを介してヘッド30内のインクが吸引され、そのインクがポンプユニット60から廃インクチューブ62(図4参照)を通って廃インクタンク40内に排出されるようになっている。排出されたインク(廃インク)はインク吸収材43,44,45に吸収される。
【0044】
ポンプユニットによる吸引動作は、次に説明する制御部によって必要に応じて自動的に、またはユーザーによるコントロールパネル6(図2参照)の操作によって行なわれる。通常、制御部は、プリンタの電源が投入されたときに自動的にポンプユニットを作動させて吸引動作を行なわせるようになっており、また、ユーザーによるコントロールパネルの操作による吸引動作は、ユーザーが印字画像のドット抜けに気付いた場合等に行なわれる。
【0045】
図1において、7はメインボードであり、このメインボード7上に制御部8が搭載されている。制御部8には前述したコントロールパネル6が接続されている。
【0046】
制御部8は、プリンタ全体の制御を行なう。
【0047】
前述したキャリッジ31には、これに交換可能に搭載されているインクカートリッジが交換されたことを検出する検出部が設けられており、この検出部による検出信号は制御部8に送出される。制御部8は、この検出信号が入力された場合すなわちインクカートリッジの交換と目詰まりを解消する吸引動作等により排出される廃インクが所定量(例えば700cm3)に達したときには、廃インクタンク40が廃インクで満たされたものと判断して、前記コントロールパネル6に設けられている図示しない表示部に、廃インクタンク40を交換すべきである旨のメッセージを表示するようになっている。これによって、廃インクタンク40が交換される。廃インクタンク40はプリンタの底面に露出しているから、その交換作業は容易である。なお、上記所定量は、実際に廃インクタンク40が廃インクで満たされる量よりも低く設定されている。
【0048】
以上のようなインクジェットプリンタによれば、次のような作用効果が得られる。
【0049】
(a)廃インクタンク40が用紙搬送経路の下方に配置されているので、プリンタの幅サイズの低減を図ることができる。特に、この実施の形態のように、ヘッド30が複数色のインク滴を吐出することによってフルカラー画像を形成することのできるヘッドであると、廃インク量も多くなり、必然的に廃インクタンク40の容量も大きくならざるを得ないが、このインクジェットプリンタによれば、廃インクタンク40の容量を増大させつつ、プリンタ全体の幅サイズを低減させることが可能となる。
【0050】
しかも、その廃インクタンク40のケース上面40aが用紙の滑走面を形成しているので、部品点数の削減を図ることができるとともに、高さサイズの低減も図ることができる。
【0051】
詳しく説明すると、従来のインクジェットプリンタでは、廃インクタンクが用紙搬送経路の側方に設けられていたので、搬送され排出される用紙を下方から支持し案内するための用紙ガイドが別途必要であった。また、仮に、廃インクタンクを用紙搬送経路の下方に配置したとしても、そのケース上面が用紙の滑走面を形成しないとしたならば、やはり別途用紙ガイドが必要となるし、この用紙ガイドを設けた分だけ高さサイズが嵩ばることとなる。
【0052】
これに対し、この実施の形態のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンク40のケース上面40aが用紙の滑走面を形成しているので、別途用紙ガイドを設ける必要がなくなり、部品点数の削減を図ることができるとともに、高さサイズの低減も図ることができる。
【0053】
すなわち、この実施の形態のインクジェットプリンタによれば、幅サイズおよび高さサイズの低減を図ることができるとともに、部品点数の削減をも図ることができる。
【0054】
(b)廃インクタンク40のケース下面40bがプリンタの下面を形成しているので、高さサイズが一層低減される。また、結果として、廃インクタンク40がプリンタの底面に露出しているから、廃インクタンク40の交換作業が容易である。
【0055】
(c)廃インクタンク40が交換可能であるので、次のような作用効果が得られる。
【0056】
一般に、用紙搬送経路を形成している用紙ガイドの用紙滑走面は、これに用紙が摺接するので徐々に摩耗する。そして、この摩耗が大きくなると用紙滑走面の平滑度が低下し用紙先端が引っかかるようになるので用紙の円滑な搬送状態が損なわれ、用紙の搬送ピッチに狂いが生じて結果として印字品質が損なわれるおそれがある。特に、ヘッド30よりも用紙搬送方向下流側において用紙先端が引っかかり、搬送ピッチに狂いが生じると、印字品質が著しく損なわれるおそれがある。
【0057】
一方、廃インクタンク40は、これに廃インクが回収されるから、廃インクが溢れ出す前に交換する必要がある。
【0058】
この実施の形態のインクジェットプリンタによれば、廃インクタンク40が交換可能であり、かつ、この廃インクタンク40のケース上面40aが用紙の滑走面を形成しているので、廃インクタンク40が交換されると、用紙の滑走面40aも新品となる。
【0059】
したがって、このインクジェットプリンタによれば、廃インクの溢れ出しを防止することができるとともに、用紙の円滑な搬送状態が損なわれるのを未然に防止することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0061】
【発明の効果】
請求項1記載のいずれのインクジェットプリンタによっても、幅サイズおよび高さサイズの低減を図ることができるとともに、部品点数の削減をも図ることができる。
【0063】
さらに、廃インクの溢れ出しを防止することができるとともに、用紙の円滑な搬送状態が損なわれるのを未然に防止することができる。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの一実施の形態を示す概略的な断面図。
【図2】同じく内部構造を示す部分省略斜視図。
【図3】同じく部分省略分解斜視図。
【図4】同じく廃インクタンクの分解斜視図。
【符号の説明】
40 廃インクタンク
40a ケース上面
40b ケース下面
Claims (1)
- 交換可能な廃インクタンクが用紙搬送経路の下方に配置されており、この廃インクタンクのケース上面が用紙の滑走面を形成しているとともに、ケース下面がプリンタの下面を形成し、かつ、前記廃インクタンクは、プリンタ本体に対して、下方から着脱可能に構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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