JP3602183B2 - ステータ巻線内の高電流スパイクを回避する回路及び方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ブラシレスDCモータへのパワー即ち電力を制御する電子回路に関するものであって、更に詳細には、ステータコイルがスイッチ動作される場合にブラシレスDCモータのステータ巻線における電流スパイクを最小とさせる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は多相DCモータに関するものであるが、本発明は、一般的には、三相DCモータに関するものであって、特に、例えばハードディスクドライブ、CDROMドライブ、フロッピィディスク等を包含するコンピュータ関連装置において見られるようなデータ媒体を回転するために使用されるブラシレスセンサレスタイプのモータに関するものである。コンピュータにおいては、信頼性、軽量性及び正確性のために、三相ブラシレスセンサレスDCモータがますますポピュラーなものとなっている。
【0003】
このタイプのモータは、実際には、多数のステータコイルが複数個のモータポール(極)と共に使用されるものであるが、通常は、「Y」形態に接続した3つのコイルを有するステータを有するものと考えることが可能である。通常、このような適用場面においては、8ポール(極)モータが使用され、それは12個のステータ巻線とロータ上に4個のN−S磁極組を有しており、従ってロータの回転当たり4つの電気サイクルを有するものである。動作について説明すると、「Y」形態に接続したコイルのうち2つのコイルを介しての電流経路が確立されると共に3番目のコイルはフローティング状態とされるようなシーケンスでコイルの付勢が行なわれる。これらのシーケンスは、電流経路が変更され即ちコミュテーションが行なわれると、電流経路を構成するコイルのうちの1つがフローティング状態へスイッチされ、且つ前にフローティング状態にあったコイルが電流経路内にスイッチ動作されて組込まれるようにこれらのシーケンスが配列されている。更に、このシーケンスは、フローティングコイルが電流経路内にスイッチ動作されて組込まれる場合に、前の電流経路に含まれていたコイルと同じ方向に電流が流れるように画定される。従って、三相モータにおける各電気サイクルに対して6個のコミュテーションシーケンスが画定される。多相DCモータを動作させる方法及び装置は米国特許第5,221,881号により詳細に説明されている。
【0004】
モータの位相コミュテーション期間中に、電流リップルが問題となっており、それはモータによって発生される不所望の音響的雑音を発生したり又モータに不必要な摩耗を発生させるものである。従って、DCモータの性能の重要な目安は、一定でないトルクに起因する回転加速度であり且つ電流の関数であるリップルである。リップルとステータ巻線を介しての電流との間の関係については米国特許第5,191,269号により詳細に説明されている。
【0005】
DCモータの性能の別の重要な目安はホストシステム及びホスト電源に関する電流要求である。システムの設計者にとって、DCモータが必要とする平均電流要求が低く且つ動的要求が低いことが望ましい。熟練のシステム設計者は、システムの全電力条件を低下させるか、又は効率的な(平均的電流要求が低い)DCモータでシステム性能を向上させることが可能である。逆に、効率の悪いDCモータはシステム設計者に対して電源寸法を増大させることを必要とするか又はその他のシステム性能の特徴を諦めることを必要とさせる場合がある。
【0006】
同様に、電源に関するDCモータの動的負荷がシステム設計者によって考慮にいれることが必要とされる場合がある。過剰な動的負荷は電源をして「クローバー」させる場合があり、尚クローバーとは電源がシステム内に短絡回路があるものと考える場合に電源が自分自身を保護する機能である。更に、動的負荷が大きい場合にはシステムへノイズが付加される。動的負荷が大きければ大きい程、システム設計者が動的負荷に関連する一時的な電圧スパイクからシステムを保護することはより一層困難となる。従って、システム設計者にとって動的電流条件の低いDCモータとすることが得策である。
【0007】
ステータ巻線内の電流の流れは、通常は、図1における回路によって制御される。それはブラシレスDCモータに対する電流ドライバの出力段を示している。この形態において遭遇する問題は、スイッチ30を「0」位置へ移動させることによって出力段がターンオフされる場合に、フィードバックループ60が開放状態となり、エラー増幅器10の内在的なオフセット電圧に起因して、入力Vinが0Vとされたとしても、補償コンデンサ20はエラー増幅器10の出力レベルへ充電される。従って、出力段はスイッチ30によって「1」位置へ戻されると、出力段における電流は、本ループが線形動作モードに入るまで、ステータコイル45及び検知抵抗55によって制限されるに過ぎない。補償コンデンサ20の値に依存して、該コンデンサを放電させるのに必要な時間はかなりのものとなる場合があり、従って出力電流スパイクの期間もかなりのものとなる場合がある。このことは、本システムの電源に関して過剰な電流要求を形成することとなる。システムの電源に関する不所望な負荷に加えて、電流スパイクはコンポーネントをして付加的なパワーを散逸させることによりコンポーネントに対する電気的ストレスを増加させる。これらの装置は多くの場合にラップトップ又はノートブック型のコンピュータにおいて使用され、その場合には冷却のための空気の通気が制限されているので、電力散逸が増加すると動作温度を増加させる場合がある。当該技術分野において周知の如く、半導体装置の信頼性は動作温度に逆比例しており、そのことは、ステータ巻線用の電流ドライバの電力段における電力散逸が増加することは信頼性を減少させる場合があることを意味している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した如き従来技術の欠点を解消し、ブラシレスDCモータのステータ巻線への電流の供給をイネーブル即ち動作可能状態とさせる場合に高電流スパイクを減少させる技術を提供することである。本発明の更に別の目的とするところは、ブラシレスDCモータにおけるステータ巻線への電流をイネーブル即ち動作可能状態とさせることによって発生するシステムの電源への動的負荷を減少させる技術を提供することである。本発明の更に別の目的とするところは、ステータ巻線における電流スパイクを減少させることによってブラシレスDCモータ用の電流ドライバの出力段に対する電気的ストレスを減少させる技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブラシレスDCモータにおけるステータコイルにおいての電流スパイクを減少させる回路を提供している。本回路は、入力電圧とフィードバック電圧とを比較する手段と、該比較する手段の出力を積分する手段と、該積分する手段を選択的に放電させる手段と、前記比較する手段の積分した出力に応答してステータを駆動するステータ駆動回路と、ステータコイル回路を選択的にイネーブル及びディスエーブルさせる手段とを有している。
【0010】
【実施例】
図2は本発明の一実施例に基づいて構成されたブラシレスDCモータ用の電流ドライバの出力段を示している。電圧比較器110が入力電圧Vinを受取り、且つ入力電圧Vinを、コイル145を介しての電流の流れに関連しており且つ比例するフィードバックループ160における検知電圧と比較する。比較器110の出力は、抵抗115とコンデンサ120とから構成される積分器を有する補償回路・放電スイッチ170へ供給される。抵抗115とコンデンサ120との直列接続の一端は接地されている。比較器110からの出力電圧は電流へ変換され、それはコンデンサ120の上側に電荷として格納される。この比較器の出力における変化が検知されると、コンデンサ120は充電されるか又は放電されて補償された電圧が増幅器125へ印加される。増幅器125の出力は、スイッチ130が「オン」位置即ち「1」位置にある場合に、増幅器140へ印加され、増幅器140は電界効果トランジスタ150を駆動し、従ってインダクタ145及び抵抗155を介して電流が接地へ流れることを許容する。コミュテーション即ち「パワーディスエーブル」が発生し、且つインダクタ145を介して電流の流れを取除くことが望まれる場合には、スイッチ130が「0」位置とされ且つスイッチ135が同時的に「0」の位置とされる。これによって、コンデンサ120はスイッチ135及び増幅器140を介して接地へ放電され、トランジスタ150へ0V出力を供給し、トランジスタ150はオフ状態となる。
【0011】
図3は図2と類似しているが、スイッチ130が削除されている。この場合に、スイッチ135が再度「0」位置とされると、抵抗115とコンデンサ120の直列接続を有する補償回路が放電される。補償回路の放電と同時的に、増幅器125が0状態に保持され、且つ増幅器140の出力も0状態に保持されて、FET150をオフ状態に維持する。
【0012】
図4は補償回路170の別の実施例を示しており、この場合には、コンデンサ120を横断して接地への直接的な短絡回路を与えることによってコンデンサ120をより迅速に放電させるためにスイッチ135が設けられており、従ってコンデンサ120をより迅速に放電させることを可能とさせている。図6は図4と同じであるが、スイッチと直列して更にダイオードが設けられている。この実施例においては、ダイオードはコンデンサが完全に放電されることを防止する。この場合にコンデンサに付加される電圧は、ドライバ回路がイネーブル即ち動作可能状態とされる場合に、コンデンサをチャージアップするための必要な電流をより少ないものとさせる利点を与えている。注意すべきことであるが、このダイオードは本発明の実施例のいずれのものに対しても付加させることが可能である。更に注意すべきことであるが、当業者は与えられた適用場面において所望される残留電圧を選択するために、例えばツェナーダイオード及びプログラマブル電圧基準等のその他の装置又は電圧基準を使用することも可能である。
【0013】
図5は図2の実施例において使用することを意図した補償回路の更に別の実施例を示しており、この場合には、スイッチ135がオン位置にあり、抵抗115の上端を増幅器125の入力及び増幅器110の出力へ接続させている。放電モードにある場合に、スイッチ135は抵抗115とコンデンサ120とを包含する補償回路を放電させる。スイッチ135は、例えばバイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、又はその他の電子装置の組合わせ等のトランジスタを使用することによって実現させることが可能である。
【0014】
図7は本発明の実施例を使用することの可能なブラシレス多相DCモータシステムのブロック図を示している。このブロック図において、電源300はシステム電源であり、それはモータシステム200を動作させるのに必要な電圧及び電流を供給する。該モータシステムは、ロータ260とホール効果検知器270と、コミュテータ280と、ステータ巻線ドライバ回路290と、ステータ巻線230,240,250を具備するステータ220とを有している。通常、電源300によってパワー即ち電力が供給され且つロータ260の位置を表わすホール効果検知器270に応答するコミュテータ280に応答してステータ巻線ドライバ回路290によってパワーが制御される。米国特許第5,191,269号は、ブラシレス多相DCモータシステムを詳細に説明している。
【0015】
注意すべきことであるが、本発明回路は単一の集積回路として実現することが可能である。従って、本発明はコストの点で著しく有利であり且つ信頼性も従来技術と比較して著しく向上されている。
【0016】
以上、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、本発明は、これら具体例にのみ限定されるべきものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱することなしに種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術におけるブラシレスDCモータ用の電流ドライバの出力段を示した概略図。
【図2】本発明の一実施例に基づいて構成したブラシレスDCモータ用の電流ドライバの出力段を示した概略図。
【図3】本発明の第二実施例に基づいて構成したブラシレスDCモータ用の電流ドライバの出力段を示した概略図。
【図4】本発明の第三実施例を示した概略図。
【図5】本発明の第四実施例を示した概略図。
【図6】本発明の第五実施例を示した概略図。
【図7】本発明の実施例を使用することの可能なブラシレス多相DCモータシステムを示したブロック図。
【符号の説明】
110 電圧比較器
115 抵抗
120 コンデンサ
125,140 増幅器
130 スイッチ
145 コイル(インダクタ)
160 フィードバックループ
170 補償回路・放電スイッチ
Claims (2)
- ブラシレスDCモータにおけるステータコイルを介しての電流を駆動する電流駆動回路において、
出力端を具備しており且つ入力電圧をフィードバック電圧と比較する比較器手段、
前記比較器手段の出力端に接続されており前記比較器手段の出力を積分する積分手段、
前記比較器手段の積分した出力に応答して前記ステータコイルを駆動するステータコイル駆動回路、
前記比較器手段の出力端と前記ステータコイル駆動回路との間に接続されており前記ステータコイル駆動回路を選択的にイネーブル及びディスエーブルさせるスイッチング手段、
前記スイッチング手段が前記ステータコイル駆動回路をディスエーブルさせる場合に前記積分手段を放電させる放電手段、
を有していることを特徴とする電流駆動回路。 - ステータコイルがスイッチされる場合のブラシレスDCモータのステータコイル内の電流スパイクを最小とさせる方法において、
入力電圧とフィードバック電圧とを比較し、
前記比較による出力を積分回路で積分し、
前記積分した出力に応答してステータコイルを駆動し、
ステータコイル駆動回路をイネーブル及びディスエーブルさせ、
前記ステータコイル駆動回路がディスエーブルされる場合に前記積分回路を放電させる、
上記各ステップを有することを特徴とする方法。
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