JP3602171B2 - 自立袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液体洗剤、台所洗剤、シャンプー、リンス等の詰め替え用パウチ、あるいは、レトルト食品等の業務用パウチとして用いられる底ガセット方式の袋状柔軟性包装体に関し、詳しくは、収容量が500ミリリットル〜数リットル程度の大容量の自立袋で、かつ、シール適性に優れ、引き裂き開封性の良い自立袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、消費者の環境意識の高まりに伴い、環境問題を配慮したパッケージが消費者から求められるようになってきた。そして、この環境問題と資源の有効利用の観点からプラスチック製品のリサイクル運動や容器の再利用運動が盛んとなっており、こうした社会情勢を背景に同一の容器本体を何度も繰り返し利用するためのリフィル性の容器(内容物を詰め替え可能な容器)の需要が伸びている。このリフィル性の容器のために別売りされる液体洗剤、台所洗剤等の液体状の詰め替え用内容物の容器として、底ガセット方式の自立袋が多く用いられている。
【0003】
この底ガセット方式の自立袋の大きさは、100ミリリットル程度の小容量のものから数リットル単位の大容量のものまで要求されており、特に大容量の自立袋にあっては、シーラント層が厚くなり、胴部材と底部材のシーラント層同士を熱融着させて自立袋を製袋する際、シール時に、自立袋の外側となる胴部材内面のシーラント層が、内側となる底部材のシーラント層よりも、シール熱により流れやすくなるため、樹脂溜まりが出来やすく、そのため十分なシール強度が得られないという問題があった。
また、層厚があるので、開封時に袋が切れにくいという指摘もあった。
【0004】
上記胴部材と底部材の最内層のシーラント材は、同一の樹脂を用いることが一般的で、種々の目的に応じてその厚みを変えることはあっても、上記十分なシール強度や開封時の引き裂き性を満足させるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大型の底ガセット自立袋に関する上記のような問題点を除去するためになされたもので、製袋時の熱融着が完全で、かつ、開封時のフィルムの引き裂き性も良い自立袋を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、ポリエチレンよりなるシーラント材を内面側にして対向させた積層フィルムによる2枚の胴部材の一端側の対向内面に、ポリエチレンよりなるシーラント材を外面側にして2つ折りした積層フィルムによる底部材を、その折目を他端側に向けて配置して重ね合わせ、熱融着により製袋してなる底ガセット方式の袋状容器の中に、内容物を充填し、開口部を熱融着してなる自立袋であって、2つ折りした底部材の外側に対向させた2枚の胴部材に用いられるシーラント材のメルトフローレート(MFR)よりも、2枚の胴部材の対向内面側に配置した底部材に用いられるシーラント材のメルトフローレート(MFR)の方が大きく、かつ底部材に用いられるシーラント材の密度よりも、胴部材に用いられるシーラント材の密度の方が大きいことを特徴とする自立袋を提供するものである。
【0007】
この自立袋において、底部材に用いられるシーラント材の密度よりも、胴部材に用いられるシーラント材の密度の方が大きいことが好ましい。
【0008】
また、胴部材と底部材に用いられるシーラント材は、ポリエチレン樹脂が最適であるが、ポリプロピレン樹脂やポリエステル樹脂を使用しても良い。
【0009】
【作用】
上記のように本発明によれば、2つ折りした底部材の外側に対向して重ね合わせられる2枚の胴部材に用いられるポリエチレンよりなるシーラント材のMFRよりも、その対向する胴部材の対向内面に配置されて熱融着される底部材に用いられるポリエチレンよりなるシーラント材のMFRの方が大きく、さらにより好ましい構成では、その底部材に用いられるシーラント材の密度よりも、その胴部材に用いられるシーラント材の密度の方が大きいので、熱融着する際に外側となる胴部材シーラント材の樹脂の流れは、底部材シーラント材の樹脂の流れよりも小さく、胴部材と底部材のシール部での樹脂溜まりが少なくなり、十分なシール強度が保持できる。
【0010】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の自立袋は、例えば図2に示すように、最内層13(シーラント材)を容器内層側にして対向する2枚の胴部材(21)と、その胴部材(21)の対向間に、最内層13(シーラント材)を容器内層側にして2つ折りした底部材(22)を、同図に示すように配置して重ね合わせ、その周囲を所定の形状に熱融着して袋状に製袋し、この製袋した袋状の容器(23)の中に内容物を収容し、開口部を熱融着したものであり、例えば図3に示したような形状の自立袋(20)が出来上がる。
【0011】
自立袋を構成する最内層のシーラント材として、密度およびMFRの異なる2種類のポリエチレンフィルムを用意した。すなわち、1種類は、密度 0.917g/cm、MFR 0.8の低密度ポリエチレン樹脂を用いて、インフレーション法により製造したポリエチレンフィルム(PE(A)とする)(厚みは130μm)であり、もう1種類は、密度 0.915g/cm、MFR 2.0の低密度ポリエチレン樹脂を用いて、インフレーション法により製造したポリエチレンフィルム(PE(B)とする)(厚みは150μm)である。
【0012】
胴部材(21)および底部材(22)として、下記構成の積層フィルム(10)を用意した。すなわち、最外層(11)が15μm厚の二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(12)が9μm厚のアルミニウム箔(以下Al箔と略称する)および最内層(13)が上記PE(A)またはPE(B)からなる、各層をドライラミネーション法によって接着して得た積層フィルム(10)である。
【0013】
この、それぞれに用意された胴部材(21)および底部材(22)を用いて自立袋(20)を作製した。
作製した自立袋の大きさは、横150mm×高さ200mmで、底部の折り返しは40mmとし、袋の中には500ミリリットルのボディーソープを充填した。
【0014】
上記胴部材(21)および底部材(22)の最内層(シーラント材)として、以下のフィルムを用いた。
【0015】
実施例1:胴部材 PE(A)、底部材 PE(B)
比較例1:胴部材 PE(B)、底部材 PE(A)
比較例2:胴部材 PE(B)、底部材 PE(B)
比較例3:胴部材 PE(A)、底部材 PE(A)
製造した各自立袋について、開封性(試験1)および落下衝撃強度(試験2)を以下のようにしてテストを行い、その結果を表1に示した。
試験1:袋の上部側面を左から右(又は右から左)に手で引き裂いたときの抵 抗感を官能テストで行い、
○:力を入れなくてもスムーズに切れる。
△:うまく引き裂かないと中の液体がこぼれる。
×:力を入れないと切れないため中の液体がこぼれる。
とした。
試験2:内容物を充填した自立袋を5°Cの雰囲気で、1.2mの高さからコ ンクリート床上に、水平および垂直落下を行い、
○:20回以上破袋しない。
△:7〜8回の落下で破袋する。
×:1〜2回の落下で破袋する。
とした。
【0016】
【表1】
Figure 0003602171
【0017】
表1から考察すると、開封性と落下衝撃強度の両方を満足させる構成は、胴部材のシーラント材と底部材のシーラント材の密度、MFRの関係が、底部材に使用されるシーラント材のMFRの方が、胴部材に使用されるシーラント材のMFRよりも大きく、かつ、胴部材に使用されるシーラント材の密度の方が、底部材に使用されるシーラント材の密度よりも大きい場合(実施例1)であることが分かる。
それ以外の構成では、開封性と落下衝撃強度の両方を満足させる結果にはならなかった(比較例1〜3)。
【0018】
【発明の効果】
上述の実施例に記載したように、本発明の構成の積層フィルムを用いて作製した自立袋は、大容量であっても開封性と落下衝撃強度の両方を満足させる自立袋である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自立袋に用いる積層フィルムの構成例を示す断面図である。
【図2】自立袋の製造方法を説明するための概略構成図である。
【図3】自立袋の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
10‥‥積層フィルム
11‥‥最外層
12‥‥中間層
13‥‥最内層
20‥‥自立袋
21‥‥胴部材
22‥‥底部材
23‥‥袋状容器

Claims (1)

  1. ポリエチレンよりなるシーラント材を内面側にして対向させた積層フィルムによる2枚の胴部材の一端側の対向内面に、ポリエチレンよりなるシーラント材を外面側にして2つ折りした積層フィルムによる底部材を、その折目を他端側に向けて配置して重ね合わせ、熱融着により製袋してなる底ガセット方式の袋状容器の中に、内容物を充填し、開口部を熱融着してなる自立袋であって、
    2つ折りした底部材の外側に対向させた2枚の胴部材に用いられるシーラント材のメルトフローレート(MFR)よりも、2枚の胴部材の対向内面側に配置した底部材に用いられるシーラント材のメルトフローレート(MFR)の方が大きく、かつ底部材に用いられるシーラント材の密度よりも、胴部材に用いられるシーラント材の密度の方が大きいことを特徴とする自立袋。
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