JP3600434B2 - 透明油状組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油状組成物、特に高級脂肪酸石鹸を含有する透明油状組成物、さらには炭化水素油及び/又はシリコーン油も含有する透明油状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メーキャップ化粧料を落とす目的でメーククレンジングオイル等の油状組成物が用いられてきた。メーククレンジングオイルは、通常多量の油分と少量のノニオン界面活性剤をベースとしているため、ファンデーションや口紅等に配合されている油分となじみやすく、容易にメーキャップ化粧料を落とすことができるという特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クレンジングオイルは水で洗い流すと油分が肌上に残り、さっぱり感にかけるという問題点があった。このような問題点を解決するため、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコールやジオレイン酸ポリエチレングリコール等のジアルカロイルポリエチレングリコールの配合が行われているが、さっぱり感において十分満足のいくものではなく、さっぱり感のさらなる改善が望まれている。
【0004】
一方、高級脂肪酸石鹸は水で洗い流した後のさっぱり感には非常に優れているものの、クレンジングオイルに比べてメークに対するなじみや洗浄力の点で不十分である。また、このような石鹸は通常油分に透明に溶解しないため、透明性も一つの重要な付加価値であるクレンジングオイルに配合することができなかった。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑み成されたものであり、その目的は、メークに対する洗浄力が高く、水で洗い流した後は非常にさっぱり感とした感触が得られる透明油状組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定の高級脂肪酸2モルに対し、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン0.8〜1.2モルの割合で中和すると油状の石鹸が得られ、この石鹸は特定の油分に対して高濃度に透明に溶解することを見出した。そして、この透明油状組成物はメークになじみやすく、洗浄性に優れるというクレンジングオイルの特徴と、水洗い後は非常にさっぱりとした感触が得られるという石鹸の特徴の両方を兼ね備えていることが判明し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明にかかる透明油状組成物は、炭素数8〜14の飽和脂肪酸及び/又はイソステアリン酸2モルに対し、N,N,N',N'-テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン0.8〜1.2モルで中和した石鹸と、20℃で液状の長鎖エステル油分を含有することを特徴とする。
なお、本発明の組成物において、石鹸1重量部に対して長鎖エステル油分が1〜100重量部であることが好適である。
【0007】
また、20℃で液状の長鎖エステル油分が低級アルコールの高級脂肪酸エステル、高級アルコールの脂肪酸エステル、高級アルコールのオキシ酸エステル、及び多価アルコールの高級脂肪酸ポリエステルから選ばれ、且つ分子中に炭素数6以上の直鎖炭素鎖を有するエステル油分であることが好適である。
【0008】
また、本発明の組成物において、さらにジアルカロイルポリエチレングリコールと、炭化水素油及び/又はシリコーン油を含有することが好適である。
なお、ジアルカロイルポリエチレングリコールはジイソステアリン酸ポリエチレングリコール及び/又はジオレイン酸ポリエチレングリコールであることが好適である。
また、本発明にかかる透明メーククレンジングオイルは、前記透明油状組成物からなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の石鹸の中和剤であるN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンは下記構造式(1)で示される。
【化1】
本化合物は公知物質であり、例えば、商品名ニュートロールTE(BASF社)として市販されている。
【0010】
本発明にかかる石鹸を構成する脂肪酸は、炭素数8〜14の高級飽和脂肪酸及びイソステアリン酸から選ばれる1種以上を用いる。炭素数が小さい場合には臭いの問題があり、炭素数が大きい場合には油分中で固体を形成することがある。高級脂肪酸の直鎖、分岐は形成される石鹸がエステル油分に溶解するものであれば特に問わないが、特に好ましくはデカン酸、ラウリン酸等の炭素数10〜12の直鎖飽和脂肪酸、及びイソステアリン酸である。
【0011】
本発明において、上記高級脂肪酸の合計2モルに対する構造式(1)のジアミンの割合は0.8〜1.2モル(高級脂肪酸の中和度としては0.8〜1.2)、特に1.0モルであることが好適である。ジアミンが少ないと石鹸を形成している脂肪酸が少ないので十分なさっぱり感が得られず、また、エステル油分に溶けにくい。一方、ジアミンが多すぎてもエステル油分中で固体を形成しやすい。
【0012】
N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを中和剤として用いたアニオン性界面活性剤は公知であり、例えば、特表平5−506018号公報にはモノアルキルリン酸エステルのN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン塩及びこれを配合したクレンジング組成物が開示されている。しかしながら、このアニオン性界面活性剤は、モノアルキルリン酸エステルとN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが1:1のモル比で形成された水溶性の界面活性剤であり、本発明の油溶性石鹸とその構造も性質も全く異なっている。また、特表平5−506018号公報には透明油状組成物も開示されていない。よって、本発明の構成、効果は本発明者らによって初めて見出されたものである。
【0013】
本発明において20℃で液状の長鎖エステル油分とは、低級アルコールの高級脂肪酸エステル、高級アルコールの脂肪酸エステル、高級アルコールのオキシ酸エステル、及び多価アルコールの高級脂肪酸ポリエステルのうち、炭素数6以上の直鎖の炭素鎖を有するものを意味する。短鎖のエステル油分は刺激性の問題を生じることがある。なお、これら長鎖エステル油分の定義において、高級脂肪酸、高級アルコールはそれぞれ炭素数6以上の直鎖炭素鎖を有するものを意味し、低級アルコールとは、炭素数1〜4のモノアルコールを意味する。また、長鎖エステル油分の炭素鎖は、直鎖状、分岐状、飽和、不飽和を問わない。
【0014】
低級アルコールの高級脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピル等が挙げられる。
高級アルコールの脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸は特に制限されない。具体例としては、ラウリン酸ヘキシルのような比較的炭素数の少ない直鎖状エステルや、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル等の分岐炭素鎖や不飽和結合を有するエステルなどが挙げられる。
【0015】
高級アルコールのオキシ酸エステルにおいて、オキシ酸は一塩基酸の他、二塩基酸も用いることができる。例えば、リンゴ酸イソステアリル等が挙げられる。
【0016】
多価アルコールの高級脂肪酸ポリエステルとは、多価アルコールに複数の脂肪酸がエステル化したポリエステルを意味し、多価アルコールとしてはグリセリン、プロピレングリコールが好適である。具体例としては、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル等のトリグリセリド、ジ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のジグリセリド、アボガド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、月見草油、ひまし油、ひまわり油、茶実油、コメヌカ油、ホホバ油、ミンク油等の天然油分、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル酸・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールジエステルが挙げられる。
【0017】
これら長鎖エステル油分のうち、使用感や洗浄性、石鹸との相溶性等の点で特に好ましいものとして、イソステアリン酸プロピル、イソノナン酸イソノニル、コハク酸ジオクチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ2−エチルヘキサン酸グリセリル、アボガド油、マカデミアナッツ油が挙げられる。
【0018】
本発明の透明油状組成物は、上記石鹸と上記エステル油分を含有している。このため、この透明油状組成物はメークになじみやすく、洗浄性に優れるというクレンジングオイルの特徴と、水洗い後は非常にさっぱりとした感触が得られるという石鹸の特徴の両方を兼ね備えている。そして、本発明にかかる石鹸は上記長鎖エステル油分に対して高濃度に溶解することができ、広い範囲で透明な油状組成物とすることが可能である。なお、本発明の透明油状組成物においては、石鹸1重量部に対し、20℃で液状の長鎖エステル油1〜100重量部であることが好適である。エステル油分が少なすぎると石鹸が析出することがあり、エステル油分が多すぎる場合には、十分なさっぱり感が得られない。
【0019】
本発明にかかる石鹸の調製方法としては、加温溶解した高級脂肪酸を同じく加温した構造式(1)のジアミンに撹拌しながら添加し、冷却することにより調製することができる。また、本発明の透明油状組成物は、上記のようにして得られた石鹸をエステル油分に溶解することにより調製することができるが、エステル油分に高級脂肪酸を溶解した後、構造式(1)のジアミンを撹拌しながら添加しても調製することが可能である。
【0020】
また、近年のメーキャップ化粧料には、製品の性能や使用感等を高めるためにシリコーン油や炭化水素油を配合することが多く、これらメーキャップ化粧料を落とすクレンジングオイルにもメークとのなじみや使用感を高めるためにシリコーン系油分や炭化水素油を配合することが望まれている。
しかしながら、石鹸を配合した油状組成物にシリコーン油や炭化水素油を多量に配合すると、石鹸が固体となって析出し、透明油状組成物とすることができないことがある。
【0021】
本発明者等がさらに検討を行った結果、このような問題はシリコーン油や炭化水素油ともに非イオン性界面活性剤であるジアルカロイルポリエチレングリコールを配合することで解決されることが判明した。このようなジアルカロイルポリエチレングリコールとしては、常温で液状のものが好適であり、例えば、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0022】
炭化水素油やシリコーン油としては、通常化粧料に配合され、且つ油状組成物中で透明に溶解してすることができるものであれば特に制限されないが、好ましくは20℃で液状のものを用いる。炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン等が挙げられ、シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等が挙げられる。
【0023】
本発明の油状組成物において、炭化水素油やシリコーン油を配合する場合の配合方法は特に制限されず、例えば、上記石鹸とエステル油分の混合物に、ジアルカロイルポリエチレングリコールと、炭化水素油及び/又はシリコーン油を順次添加して得ることができる。なお、ジアルカロイルポリエチレングリコールの配合量は炭化水素油とシリコーン油の合計量に対して1重量%以上、好ましくは2重量%以上である。ジアルカロイルポリエチレングリコールが少なすぎると石鹸が析出することがある。また、炭化水素油及び/又はシリコーン油の配合量は本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、通常組成物中5〜80重量%である。
【0024】
本発明にかかる透明油状組成物は、メーククレンジングオイルとして非常に有用である。本発明にかかるメーククレンジングオイルは、主として顔に適用され、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー等のメーキャップ化粧料になじませた後、水で洗い流すことが好適である。本発明のメーククレンジングオイルは、メークに対して素早くなじみ、メーク落とし効果が非常に高い。また、水で洗い流した際には自己乳化してきれいに洗い流すことができ、洗い流した後にはクレンジングオイル特有のべたつきがなく、さっぱりとした使用感を得ることができる。これは、油状組成物中に透明に溶解されている石鹸が、肌上に残った油分をきれいに除去するためであると考えられる。また、本発明の油状組成物は、コットン等のシートに含ませたシート状製品とすることも可能である。
【0025】
本発明の透明油状組成物は、上記のようなクレンジングオイルの他、マッサージオイル、バスオイル等としても用いることができる。また、化粧料、医薬品等の油性基剤としても応用可能である。
本発明の透明油状組成物は通常油分1相系であるが、増粘剤を配合したり、少量の水でO/W乳化させることによりゲル化することも可能である。
【0026】
本発明の透明油状組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料や医薬品に通常配合される他の成分を1種又は2種以上配合することができる。例えば、メーククレンジングオイルにおいては、通常洗浄料組成物に配合される成分を配合することができる。下記にその具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
(1)粉末成分:二酸化チタン、マイカ、タルク等。
(2)天然油脂:20℃で半固体〜固体の油脂(いわゆる脂肪)、例えば、カカオ脂、シア脂、モクロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂等の植物性脂及び動物性脂。
(3)ロウ類:ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、キャンデリラロウ、カルナバロウ等。
(4)炭化水素類:ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等。
【0028】
(5)高級アルコール:炭素数8以上のアルコール、例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロール等。
(6)高級脂肪酸:炭素数8以上の脂肪酸、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸等。
【0029】
(7)紫外線吸収剤:パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−7N−アセチルアントラニレート等のアントラニル系紫外線吸収剤、ブチルメトキシベンゾイルメタン等のベンゾイル系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、ジパラメトキシケイヒ酸−モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイヒ酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤等。
【0030】
(8)保湿剤:ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等。
(9)増粘剤:メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコール、モンモリロナイト、ラポナイト等。
(10)有機溶剤:エタノール、1,3−ブチレングリコール等。
【0031】
(11)酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸等。
(12)抗菌防腐剤:安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、ヘキサクロロフェン等。
(13)アミノ酸類:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、タウリン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸及びこれらの塩。
【0032】
(14)有機酸:アシルサルコシン酸(ラウロイルサルコシンナトリウム等)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等。
(15)ビタミン類:ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンB15等のビタミンB及びその誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC及びその誘導体、ビタミンD類、ビタミンH類、パントテン酸、パンテチン等。
【0033】
(16)薬剤:ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等)、パントテニルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキス等。
(17)天然エキス:ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ等の水又は有機溶媒抽出物。
【0034】
(18)界面活性剤:モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエステル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪族エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等の非イオン性界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸トリエタノールアミン、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン塩等のアニオン性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸ヒドロキシプロピルベタイン等の両性界面活性剤。
【0035】
(19)その他成分:色素、香料、精製水等。
なお、本発明の透明油状組成物に本発明の石鹸以外の界面活性剤を配合する場合には、相溶性の点で非イオン性界面活性剤が好ましく、特に組成物中にシリコーン油を配合する場合にはシリコーン系非イオン界面活性剤が好ましい。
【0036】
以下、具体例を挙げて本発明を説明する。
試験例1 石鹸の性状
約50℃に加温したN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン1モルに対し、約50℃で加温溶解した各種脂肪酸2モルを撹拌しながら加えて、石鹸を調製した(A−1〜A−7)。その後、室温及び0℃に保存して状態を肉眼観察した。
【0037】
また、比較例として、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの代わりに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンそれぞれ1モルに対し、各種脂肪酸1モルの割合で石鹸を調製し、同様に観察した(B−1〜B−7、C−1〜C−7、D−1〜D−7)。なお、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムについては、その水溶液を用いて脂肪酸との反応を行い、凍結乾燥によって水分を除去し、石鹸を調製した。
評価は、透明油状を○、結晶が析出したものを△、白色固体状を×とした。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1〜2より、透明油状の石鹸ができるのは炭素数14以下の脂肪酸またはイソステアリン酸と、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの組み合わせ、又はイソステアリン酸とトリエタノールアミンとの組み合わせのみであった。
【0041】
試験例2 石鹸の油溶性
上記試験例1で調製した石鹸を用い、各種油分に対する溶解性を調べた。試験方法は、石鹸10重量部と油分90重量部を混合したものを室温で外観観察し、透明に溶解しているものを○、透明に溶解していない場合を×とした。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3より、炭素数8〜14の高級脂肪酸又はイソステアリン酸と、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンからなる石鹸をエステル油分に溶解した場合にのみ透明な外観を得ることができた。
【0044】
試験例3 モル比
ラウリン酸2モルに対する、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのモル数を変化させて中和し、得られた石鹸の性状及びエステル油に対する溶解性を上記試験例1〜2と同様にして調べた。
【0045】
【表4】
【0046】
表4からわかるように、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのモル数が少ないと石鹸は白色固体状となる。また、モル数が少なすぎても多すぎてもエステル油分に溶けにくくなる傾向がある。よって、高級脂肪酸2モルに対して、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが0.8〜1.2モルの範囲で形成される石鹸が好適である。
【0047】
試験例4 炭化水素油及びシリコーン油との相溶性
前記試験例2の結果からもわかるように、本発明の石鹸は炭化水素油等の非極性油やシリコーン油に対して相溶性が極めて低い。そこで、炭化水素油やシリコーン油に対する相溶性を改善するためにさらに検討を行った。
すなわち、下記処方で各成分を混合し、室温にて外観観察を行った。
【0048】
【0049】
【表5】
【0050】
表5に示すように、本発明の石鹸とエステル油分からなる透明油状組成物にアルカロイルポリエチレングリコールを添加することによって、炭化水素油やシリコーン油を配合した場合にも透明な油状組成物となることが明らかとなった。
【0051】
【表6】
【0052】
表6は石鹸A−3を用い、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコールの組成物中の配合量を変化させて上記と同様に試験した結果である。なお、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコールの変化量は炭化水素油又はシリコーン油で調整した。
この結果から、ジアルカロイルポリエチレングリコールは炭化水素油及びシリコーン油の合計量に対して1重量%以上、好ましくは2重量%以上であることが理解される。
【0053】
試験例5 さっぱり感
下記表7の処方でメーククレンジングオイルをそれぞれ調製し、これをメークしたパネラー10名の顔に塗布し、その後水道水で洗い流した。使用後の感触について、下記表8の基準に従って官能評価してもらい、その評点の平均点から表9に従ってさっぱり感を評価した。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
表9のクレンジングオイルは何れも透明油状であるが、一般的なメーククレンジングオイル(試料1)にジアルカロイルポリエチレングリコールを配合した場合(試料2)にはさっぱり感はやや向上するが、十分ではない。
これに対して、本発明の石鹸を配合したメーククレンジングオイル(試料3、4)ではさっぱり感が非常に高いものであった。また、洗浄性も試料1、2に比して優れていた。
【0058】
以上のように、本発明の油状組成物は石鹸を油分中に溶解していながら透明な外観を有しており、メーククレンジングオイルとして用いた場合には洗浄力とさっぱり感の両方に非常に優れるものである。
【0059】
【実施例】
以下、本発明にかかる実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各成分の配合量は特に指定のない限り重量%である。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
上記実施例1〜3を常法により調製した。これらは何れも透明油状であり、メークにすばやくなじみ、しかも水で洗い流した後はさっぱりとした使用感で、メークの落ちが非常によく、皮膚に対する刺激性も特に認められなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明においては、特定の高級脂肪酸2モルに対し、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン0.8〜1.2モルの割合で中和して得られる石鹸と、長鎖エステル油分を混合することにより、透明油状の組成物を得ることができる。さらに、この組成物にジアルカロイルポリエチレングリコールを配合すれば、炭化水素油やシリコーン油を多量に溶解することができる。本発明の透明油状組成物をメーククレンジングオイルとして用いた場合には、高い洗浄力とさっぱりした使用感が得られ、特に有用である。
Claims (6)
- 炭素数8〜14の飽和脂肪酸及び/又はイソステアリン酸2モルに対し、N,N,N',N'-テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン0.8〜1.2モルで中和した石鹸と、20℃で液状の長鎖エステル油分を含有することを特徴とする透明油状組成物。
- 請求項1記載の組成物において、石鹸1重量部に対して長鎖エステル油分が1〜100重量部であることを特徴とする透明油状組成物。
- 請求項1又は2記載の組成物において、20℃で液状の長鎖エステル油分が低級アルコールの高級脂肪酸エステル、高級アルコールの脂肪酸エステル、高級アルコールのオキシ酸エステル、及び多価アルコールの高級脂肪酸ポリエステルから選ばれ、且つ分子中に炭素数6以上の直鎖炭素鎖を有するエステル油分であることを特徴とする透明油状組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の組成物において、さらにジアルカロイルポリエチレングリコールと、炭化水素油及び/又はシリコーン油を含有することを特徴とする透明油状組成物。
- 請求項4記載の組成物において、ジアルカロイルポリエチレングリコールがジイソステアリン酸ポリエチレングリコール及び/又はジオレイン酸ポリエチレングリコールであることを特徴とする透明油状組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の透明油状組成物からなる透明メーククレンジングオイル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09271998A JP3600434B2 (ja) | 1998-03-20 | 1998-03-20 | 透明油状組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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