JP3599922B2 - 写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状検査方法 - Google Patents

写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回動軸の両端に形成されたキー部をパトローネ本体の側面に露呈させてフイルム通路内に組み込まれる写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状を検査する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在種々の写真フイルムが用いられているが、一般撮影用としては、国際標準規格(ISO1007−1979年版)で規定された135タイプの写真フイルムパトローネが広く利用されている。この写真フイルムパトローネは、円筒状をしたパトローネ本体の内部にスプールを回動自在に設け、このスプールに35mm幅の帯状の写真フイルムの末端を固定して巻きつけたものである。最近では、パトローネ本体を樹脂成形品で組み立てるとともに、未使用状態では写真フイルムの全てをパトローネ本体内に巻き込んでおき、使用時にスプールを回転させることによって写真フイルムの送り出しを行うようにした写真フイルムパトローネが製造,販売されている。
【0003】
図9は、上記の写真フイルムパトローネの構成を示すものである。写真フイルムパトローネ10は、パトローネ本体11の内部に写真フイルム12を巻き付けたスプール15を回動自在に収納し、パトローネ本体11の外周にラベル16を貼り着けて構成されている。パトローネ本体11は、ほぼ半円筒形状をした樹脂製の上ケース13と下ケース14とから構成されている。上・下ケース13,14には、それぞれ突出したポート部13a,14aが形成されており、上ケース13と下ケース14とを組み合わせたときに、ポート部13a,14aの合わせ目に写真フイルム12を出入りさせるためのフイルム通路17が形成される。また、下ケース14のポート部14aの奥には、写真フイルム12の先端部をすくい上げてフイルム通路17に導くための突起18が形成されている。
【0004】
スプール15は、スプール軸21の両端部に一対のフランジ22,23を取り付け、これらフランジ22,23の外側にデータディスク24と使用表示部材25とを取り付けて構成され、スプール軸21の両端面をパトローネ本体11の両側面に露呈させて回動自在に収納される。写真フイルム12は、一対のフランジ22,23の間に巻きつけられる。フランジ22,23の外周には、それぞれ他方のフランジ22,23側に突出したリップ22a,23aが一体に形成されており、これらリップ22a,23aによって写真フイルム12の両側縁部を包み込む。データディスク24の表面にはバーコード26が箔押しされる。このバーコード26は、スプール15の回転軸を中心として放射状に記されており、スプール15が回転したときにパトローネ本体11の側面に形成された窓27を通してカメラ等の内部で光電検出される。これにより、パトローネ本体11内に収納された写真フイルム12の品種,撮影枚数等の各種情報を電気的に検知することができる。使用表示部材25には扇状の表示板25aが一体化されており、パトローネ本体11の側面に形成された表示窓(図示せず)を通して表示板25aの位置を確認することによって、写真フイルムパトローネ10の使用状態が判別できるようになっている。また、使用表示部材25にはギヤ28が一体に形成されており、パトローネ本体11内には、ギヤ28に噛み合うようにスプールロック29が収納される。スプールロック29は、後述する遮光蓋30が閉じ位置にあるときに、ギヤ28に係合してスプール15の回転ロックを行い、不用意な写真フイルム12の送り出しを防止し、また遮光蓋30が開き位置にあるときにはギヤ28との係合を解除してスプール15の回転を許容する。
【0005】
フイルム通路17内には、上ケース13と下ケース14とを嵌合させるときに遮光蓋30が嵌め込まれる。遮光蓋30には、中央部に回転軸を中心とする円筒の上側の半円部分を切り欠いて平坦にした蓋部30aが、また両端部には断面C形状のキー部31,32が形成されている。遮光蓋30は、キー部31,32をパトローネ本体11の両側面から露呈させた状態で組み込まれ、カメラ側の駆動軸をキー部31,32に係合させて回動することにより、蓋部30aでフイルム通路17を塞ぐ閉じ位置(図10(A)参照)と、フイルム通路17を開放して写真フイルム12の出入りを許容する開き位置(図10(B)参照)との間で回動自在となっている。
【0006】
図11に示すように、上ケース13の内壁には、キー部31の回転軌跡内に突出したロックポール35が一体に形成されている。このロックポール35は、遮光蓋30が閉じ位置にあるときに、その先端がキー部31の一方の端面31aに当接し、遮光蓋30が開き位置に向けて回転するのを阻止する。なお、このロックは、写真フイルムパトローネ10をカメラやディスプレイ装置等の装置にセットしたときに、これらの装置に設けられた遮光蓋開閉用の駆動軸によってロックポール35がキー部31の回転軌跡外に押し出されることで解除される。
【0007】
上記のように構成された写真フイルムパトローネ10においては、フイルム通路17に僅かでも隙間があると、ここから侵入した外光によって写真フイルム12の写真性を損なうので、フイルム通路17が遮光蓋30の蓋部30aによって確実に遮蔽されていることが重要である。このため、遮光蓋30は、ロックポール35と係合されるキー部31の形状が良好であることはもとより、閉じ位置まで確実に移動した状態で係止されていなくてはならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように遮光蓋30のキー部31は、その形状が断面C形状をしているため、開放した両端部が広がる方向に変形することが危惧される。キー部31の両端部が広がると、ロックポール35との係合が不確実となり、遮光蓋30を閉じ位置で係止することができなくなる。このため、写真フイルムパトローネ10の製造工程内においては、遮光蓋30のキー部31の形状を厳密に管理する必要がある。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、遮光蓋のキー部の形状を精度よく、かつ効率的に検査することができる検査方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の形状検査方法は、断面C形状のキー部の両端部を含む領域内を固体撮像デバイスで撮像して画像情報を取り込み、撮影画面内において基準点を前記パトローネ本体の壁面上に予め設定し、前記両方の端部を各々含む第1および第2のサーチエリア内の画像情報に基づいて両端の各座標を求めるとともに、各々の座標データに基づいて両端間の距離を計測し、この計測距離を予め定められた規格距離と比較してキー部の形状の良否判定を行い、前記基準点を前記壁面上に設定できない場合は形状検査を中止して待機状態にするものである。また、撮影画面内において基準点を前記パトローネ本体の壁面上に予め設定し、前記両方の端部を各々含む第1および第2のサーチエリア内の画像情報に基づいて両端の各座標を求めるとともに、キー部の両端の各座標データに基づいて両端の開き角度を計測し、この計測角度を予め定められた規格角度と比較してキー部の形状の良否判定を行い、前記基準点を前記壁面上に設定できない場合は形状検査を中止して待機状態にしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明の検査装置のシステム構成を示すものである。検査装置40は、写真フイルムパトローネ10を一定な向きに位置決め,保持するための測定台41と、写真フイルムパトローネ10の被検査部に向けて均一な光を照射するリングライト42と、被検査部を撮像し、入射光の明暗の度合いを画像信号として出力するCCDカメラ43と、このCCDカメラ43からの画像信号に基づいて、被検査部の形状および状態の良否判定を行う画像処理装置50と、画像表示回路44およびモニタ45とから構成されている。図3に示すように、写真フイルムパトローネ10はキー部31が露呈された側の側面をCCDカメラ43に向けた状態で測定台41上に保持される。CCDカメラ43は、写真フイルムパトローネ10のキー部31の周辺部を撮像する。
【0012】
図2において画像処理装置50は、外部入出力装置51,A/D変換器52,画像データメモリ53,座標読取り回路54,座標データメモリ55,距離計測回路56,距離データメモリ57,プログラムROM58,モニタ表示信号発生回路59,およびこれらの各種制御を行うマイクロコンピュータ60から構成されている。外部入出力装置51は、被検査部を識別するための基準パターンや、被検査部の形状および状態の良否を判定するための規格値等の検査条件を入力するとともに、得られたデータやその良否判定結果等を出力,管理するためのもので、例えばパーソナルコンピュータが用いられる。CCDカメラ43から得られる画像信号はA/D変換器52でデジタル変換され、明暗データとして画素ごとに画像データメモリ53に格納される。
【0013】
座標読取り回路54は、画像データメモリ53に格納された1画面分の画像情報のうち予め定められているサーチエリア内の画像の濃度分布と、このサーチエリアに対応させて予め定められている基準パターンとを対照することで被検査部を検索するとともに、検索された部位に基準パターン上に決められている計測点を設定する。そして、座標読取り回路54は、設定された計測点の座標を読み取り、その座標データを座標データメモリ55に格納する。座標読取り回路54にはROM61が接続されており、サーチエリアごとに対応させて基準となる画像の濃度分布を表した複数の基準パターンと、それぞれの基準パターンについて決定されている計測点とが格納されている。
【0014】
距離計測回路56は、座標データメモリ55に格納された座標データに基づいて、任意に定められた2つの計測点の相互間距離を計測し、その計測値を距離データメモリ57に格納する。また、距離計測回路56は、得られた計測距離と予め定められている規格距離とを比較することで被検査部の形状および状態の良否を判定する。この距離計測回路56にはROM62とメモリ63とが接続されている。ROM62には、複数の計測点の相互間の規格距離が格納されている。また、メモリ63は被検査部の良否判定結果信号を格納するためのもので、本実施形態においては、判定結果が良好であったときにのみ「OK信号」を格納するようになっている。
【0015】
プログラムROM58内には検査シーケンスが書き込まれており、外部入出力装置51から入力された条件に基づいて、座標読取り回路54および距離計測回路56を作動させる。また、画像処理装置50内で扱われるデジタル画像やデータ処理の状況は、モニタ表示信号発生回路59での信号変換処理によりモニタ45に表示される。
【0016】
図1は、CCDカメラ43の撮影画面A(図3参照)内を拡大して示したもので、検査装置40における写真フイルムパトローネ10の被検査部を表すものである。検査装置40では、パトローネ本体11の前端と断面C形状をしたキー部31の一端とのX距離L1、パトローネ本体11の下端とキー部31の一端とのY距離L2、パトローネ本体11の前端とロックポール35の側縁とのX距離L3、およびキー部31の両端間の開き距離L4の4箇所の距離計測が行われる。撮影画面A内には5つのサーチエリアW1〜W5が設定されている。サーチエリアW1〜W5は、CCDカメラ43の撮影画面Aが写真フイルムパトローネ10の所定の部位に向けて位置決めされたときに、パトローネ本体11の前端部および下端部、キー部31の両方の端部、およびロックポール35の側縁部をそれぞれ囲むように設定されている。これらのサーチエリアW1〜W5内には、前述した座標読取り回路54によって、パトローネ本体11の前端および下端、キー部31の両端、およびロックポール35の側縁のそれぞれと対応する位置に、距離L1〜L4を計測する際の基点となる計測点P1〜P5が設定される。
【0017】
本発明の検査装置40による検査は、図4および図5に示すフローにしたがって行われる。まず、組み立てられた写真フイルムパトローネ10は、キー部31を露呈させている側面をCCDカメラ43に向けた状態で測定台41上に保持される。外部入出力装置51から距離L1〜L4の良否判定を行うための規格距離S1L〜S4L,S1U〜S4Uを入力し、検査の開始を指示すると、リングライト42によって撮影画面A内に均一な照明光が照射され、CCDカメラ43によって撮影画面A内の像が撮像される。そして、CCDカメラ43によって取り込まれた画像信号はA/D変換器52でデジタル変換され、明暗データとして画素ごとに画像データメモリ53に格納される。なお、規格距離S1L〜S4Lは距離L1〜L4の下限値を、規格距離S1U〜S4Uは距離L1〜L4の上限値をそれぞれ表している。
【0018】
次に、座標読取り回路54が作動し、計測点P1〜P5の座標の読み取りが開始される。座標読取り回路54は、ROM61に格納されている複数の基準パターンの中から計測点P1が規定されているものを読み出すとともに、この基準パターンと対照しながらCCDカメラ43により取り込まれた画像のサーチエリアW1内をラスター走査して、基準パターンと類似する部位を検索する。この際、座標読取り回路54は、基準パターンをX方向またはY方向に僅かずつ移動させながらサーチエリアW1内の画像の濃度分布と対照し、両者の一致度が所定のレベル以上、例えば50%以上となる部位を検索する。そして、サーチエリアW1内の画像上で基準パターンとの一致度が50%以上となる部位を検出したときに、座標読取り回路54はサーチエリアW1内にパトローネ本体11の前端部が存在するものと判定し、基準パターン上に決められている計測点P1をサーチエリアW1内の最も類似する部位に設定する。これにより、パトローネ本体11の前端に計測点P1が設定される。
【0019】
この際、ラスター走査を行う範囲がパトローネ本体11の前端部周辺に規定されたサーチエリアW1内に限られているので、撮影画面A内を全体的に走査する場合に比較して、パトローネ本体11の前端部の検索を高速に行うことができる。また、走査する範囲を限定することで分解能の高い画像情報を得ることができるので、計測点P1をパトローネ本体11の前端と対応する位置に正確に設定することができる。
【0020】
ところで、計測点P1の設定部位であるパトローネ本体11の前端は、パトローネ本体11を構成している上ケース13の壁面であるので、その形状は安定している。したがって、サーチエリアW1内の画像上で、基準パターンとの一致度が所定のレベル以上となる部位を検出できない場合には、測定台41上に検査対象物である写真フイルムパトローネ10が載置されていないか、あるいは写真フイルムパトローネ10が測定台41上で位置ずれを生じていることになるので、検査の継続を中止して待機状態に戻る。
【0021】
パトローネ本体11の前端に計測点P1が設定されると、この計測点P1が撮影画面A内の基準点上に位置するように、撮影画面Aの範囲が調整され、固定される。そして、撮影画面A内には、計測点P1を基準点として横方向にX軸が、また縦方向にY軸が設定される。これにより、サーチエリアW2〜W5のそれぞれが、パトローネ本体11の下端部、キー部31の両方の端部、およびロックポール35の側縁部を囲む位置に位置決めされる。なお、基準点である計測点P1の座標データは、予め座標データメモリ55に格納されている。
【0022】
次に、座標読取り回路54は、ROM61から計測点P2が規定されている基準パターンを読み出すとともに、この基準パターンと対照しながらCCDカメラ43により取り込まれた画像のサーチエリアW2内をラスター走査し、サーチエリアW2内にパトローネ本体11の下端部が存在するか否かを判別する。そして、サーチエリアW2内にパトローネ本体11の下端部が存在すると判定したときに、座標読取り回路54は、基準パターン上に決められている計測点P2をサーチエリアW2内の最も類似する部位に設定する。これにより、パトローネ本体11の下端に計測点P2が設定される。この後、座標読取り回路54は計測点P2の座標を読み取り、その座標データを座標データメモリ55に格納する。
【0023】
この後、座標読取り回路54は、上記と同じ手順によって、サーチエリアW3〜W5内にキー部31の両端およびロックポール35の側縁のそれぞれと対応した計測点P3〜P5を設定する。そして、設定した計測点P3〜P5の座標を読み取り、各々の座標データを座標データメモリ55に格納する。
【0024】
5つの計測点P1〜P5の座標データが全て座標データメモリ55に格納されると、距離計測回路56が作動し、遮光蓋30の係止位置の適否と、ロックポール35およびキー部31の形状の良否が判定される。まず、遮光蓋30の係止位置の適否判定が行われる。遮光蓋30は、円弧状のキー部31が蓋部30aと同軸に回動するので、遮光蓋30が閉じ位置にあり、蓋部30aがフイルム通路17を遮蔽しているときには、キー部31の端部は常に一定した位置で係止されていることになる。したがって、遮光蓋30の係止位置が適正であれば、キー部31の一端とパトローネ本体11の前端および下端とのX距離L1およびY距離L2のそれぞれが一定値となるので、これらの距離L1,L2を計測することで遮光蓋30の係止位置の適否を判別することができる。
【0025】
距離計測回路56は、まず座標データメモリ55からパトローネ本体11の前端に設定された計測点P1と、キー部31の一端に設定された計測点P3との各座標データを読み出し、これらの座標データに基づいてX距離L1を計測する。引き続き距離計測回路56は、ROM62からX距離L1に対応させた規格距離S1L,S1Uを読み出し、この規格距離S1L,S1UとX距離L1との比較を行う。そして、X距離L1が規格距離S1L,S1Uによって規定された範囲内の値であるときに、遮光蓋30のX軸方向における係止位置が適正であると判定し、メモリ63にOK信号を格納する。一方、X距離L1が規格距離S1L,S1Uによって規定された範囲から外れているときには、遮光蓋30のX軸方向における係止位置が不適正であることになるので、メモリ63にOK信号を格納しない。この後距離計測回路56は、X距離L1の計測値を距離データメモリ57に格納する。
【0026】
次に、距離計測回路56は、座標データメモリ55から計測点P3とパトローネ本体11の下端に設定された計測点P2との各座標データを読み出し、これらの座標データに基づいてY距離L2を計測する。引き続き距離計測回路56は、ROM62からY距離L2に対応させた規格距離S2L,S2Uを読み出し、これらの規格距離S1L,S1UとY距離L2との比較を行う。そして、Y距離L2が規格距離S2L,S2Uによって規定された範囲内の値であるときに、遮光蓋30のY軸方向における係止位置が適正であると判定し、メモリ63にOK信号を格納する。一方、Y距離L2が規格距離S2L,S2Uによって規定された範囲から外れているときには、遮光蓋30のY軸方向における係止位置が不適正であることになるので、メモリ63にOK信号を格納しない。この後、距離計測回路56がY距離L2の計測値を距離データ距離データメモリ57に格納すると、遮光蓋30の係止位置の適否判定が終了する。
【0027】
次に、ロックポール35の形状の良否判定が行われる。ロックポール35は、図1中Y軸方向に長尺に形成されることから、その形状が変形するとすれば、撓性変形を起こして先端部がX軸方向にずれることが想定される。したがって、このロックポール35の形状が適正であれば、その側縁とパトローネ本体11の前端とのX距離L3は常に一定値となるので、このX距離L3を計測することによって、ロックポール35の形状の良否を判別することができる。
【0028】
距離計測回路56は、座標データメモリ55からパトローネ本体11の前端に設定された計測点P1と、ロックポール35の側縁に設定された計測点P5との各座標データを読み出してX距離L3を計測する。引き続き距離計測回路56は、ROM62からX距離L3に対応させて決められた規格距離S3L,S3Uを読み出し、これらの規格距離S3L,S3Uと得られたX距離L3との比較を行う。そして、X距離L3が規格距離S3L,S3Uにより規定された範囲内の値であるときにロックポール35の形状が良好であると判定し、メモリ63にOK信号を格納する。一方、X距離L3が規格距離S3L,S3Uにより規定された範囲から外れている場合には、メモリ63にOK信号を格納しない。この後、距離計測回路56はX距離L3の計測値を距離データメモリ57に格納する。
【0029】
次に、キー部31の形状の良否判定が行われる。ここで、キー部31が断面C形状に形成されているので、このキー部31が変形するとすれば、開放した両端部が開く方向に変形することが想定される。したがって、このキー部31の形状が良好であれば、両端間の開き距離L4は常に一定値となるので、開き距離L4を計測することによってキー部31の形状の良否を判別することができる。
【0030】
距離計測回路56は、座標データメモリ55からキー部31の両端に設定された2つの計測点P3,P4の座標データを読み出し、これらの座標データに基づいて開き距離L4を計測する。引き続き距離計測回路56は、ROM62から開き距離L4に対応させた規格距離S4L,S4Uを読み出し、これらの規格距離S4L,S4Uと開き距離L4との比較を行う。そして、開き距離L4が規格距離S4L,S4Uによって規定される範囲内の値であるときにキー部31の形状が良好であると判定し、メモリ63にOK信号を格納する。一方、開き距離L4が規格距離S4L,S4Uによって規定された範囲から外れているときには、このキー部31の形状に異常があることになるので、メモリ63にOK信号を格納しない。この後、距離計測回路56は開き距離L4の計測値を距離データメモリ57に格納する。
【0031】
距離L1〜L4の計測および良否判定が終了すると、メモリ63に格納されている「OK信号」が読み出され、例えばモニタ45に表示される。この際、距離L1〜L4の各計測値が全て各々の規格範囲内の値であった場合には、距離L1〜L4のそれぞれに対応した4つの「OK信号」がモニタ45に表示される。これにより、写真フイルムパトローネ10のフイルム通路17が遮光蓋30の蓋部30aによって確実に遮蔽され、写真フイルム12がパトローネ本体11の内部に光密に収納されていることが確認される。一方、距離L1〜L4の計測値のうち1つでも規格範囲から外れているものがある場合には、モニタ45に表示される「OK信号」の数は4個に満たない。これにより、遮光蓋30の係止位置、ロックポール35の形状、あるいはキー部31の形状のいずれかに異常が発生しており、フイルム通路17の遮光性が不確実であることを検知できるので、この写真フイルムパトローネ10を不良品として製造工程から取り除くことができる。
【0032】
外部入出力装置51から各距離L1〜L4の計測値の出力を指示すれば、距離データメモリ57に格納されている各計測値がモニタ45に表示される。
【0033】
図6は、キー部の形状の別の検査方法を示すものである。この実施形態は、キー部の両端の開き角度に基づいて、キー部の形状の良否を判別するものである。キー部31の一方の端部61の根元部には計測点P10が設定され、この計測点P10を中心として3つの計測点P3,P10,P4からなる開き角度θが計測される。前述したように、キー部31の形状が断面C形状となっているので、このキー部31が適正な形状をしていれば、両端の開き角度θは常に一定値となる。したがって、この開き角度θを計測することによってキー部31の形状の良否を判別することができるものである。
【0034】
【実施例】
次に、遮光蓋の開閉機能の良否とキー部の両端間の開き距離との相関性を確認するために、写真フイルムパトローネの製造工程内から遮光蓋の開閉機能が良好な良品サンプル10個と、開閉が良好に行えない不良品サンプル7個とを無作為に抽出し、各サンプル品のキー部の開き距離L4を計測し、結果を図7のグラフに示した。図7を見てみると、良品サンプルC1〜C10の計測値が2.8mm前後の値であるのに対して、不良品サンプルD1〜D7の計測値は3.1〜3.2mmの範囲内の値となっており、良品サンプルC1〜C10と不良品サンプルD1〜D7とで明らかにグループ分けされていることがわかる。したがって、キー部の両端間の開き距離L4は遮光蓋の開閉機能の良否を反映したものであり、キー部の開き距離を計測することが遮光蓋の開閉機能の良否を判定する上で有効な方法であることが確認された。
【0035】
次に、遮光蓋の開閉機能の良否とキー部の両端の開き角度との相関性を確認するために、上記の良品サンプルC1〜C10および不良品サンプルD1〜D7に対して開き角度θの計測を行い、結果を図8のグラフに示した。図8を見てみると、良品サンプルC1〜C10の計測角度は62°〜64°の範囲内、また不良品サンプルD1〜D7の計測角度は68°〜71°の範囲内の値となっている。この結果から、上記の開き距離L4の計測値に比較して多少バラツキが大きくなってはいるものの、開き角度θの計測値が良品サンプルC1〜C10と不良品サンプルD1〜D7とで明確にグループ分けされることがわかる。したがって、キー部の両端の開き角度θも遮光蓋の開閉機能の良否を反映するものであり、この開き角度θを計測することが、遮光蓋の開閉機能の良否を判定する上で有効な方法であることが確認された。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の形状検査方法によれば、パトローネ本体の側面に露呈した断面C形状のキー部を固体撮像素子で撮像し、得られた画像情報に基づいてキー部の両端の各座標を求めるとともに、各々の座標データに基づいて両端間の相互間距離または開き角度を計測し、この計測値に基づいてキー部の形状の良否判定を行うので、キー部の形状検査を自動的に行うことができる。しかも、キー部の両方の端部を各々囲むようにサーチエリアを設定し、このサーチエリア内の画像情報のみを観察して両端の各座標を求めるので、固体撮像デバイスにより取り込まれた画像全体を観察する場合に比較して検査速度が速くなる。また、観察する範囲を限定することで、分解能の高い画像情報を得ることができるので、キー部の両端の座標を高精度で求めることができる。さらに、キー部の周辺部に組み付けられた部材の形状や状態についても、同一の画像情報を用いて同時に検査することが可能となるので、検査を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査方法における被検査部を示す説明図である。
【図2】本発明を実施した検査装置のシステム構成図である。
【図3】図2に示した写真フイルムパトローネの保持状態を示す説明図である。
【図4】本発明の検査装置による検査手順を示すフロー図である。
【図5】図4を補足するフロー図である。
【図6】キー部の形状の別の検査方法を示す説明図である。
【図7】遮光蓋の開閉機能の良否とキー部の両端間の開き距離との相関を表すグラフである。
【図8】遮光蓋の開閉機能の良否とキー部の両端間の開き角度との相関を表すグラフである。
【図9】写真フイルムパトローネの分解斜視図である。
【図10】図9に示した遮光蓋の係止状態を示すもので、(A)は閉じ位置に、(B)は開き位置に係止されている状態を表している。
【図11】図9に示した写真フイルムパトローネの要部断面図である。
【符号の説明】
10 写真フイルムパトローネ
11 パトローネ本体
12 写真フイルム
17 フイルム通路
30 遮光蓋
30a 蓋部
31,32 キー部
35 ロックポール
40 検査装置
43 CCDカメラ
50 画像処理装置
L4 開き距離
P1〜P5 計測点
1L〜S4L,S1U〜S4U 規格距離
W1〜W5 サーチエリア
θ 開き角度

Claims (2)

  1. パトローネ本体に形成されたフイルム通路内に、前記フイルム通路を遮蔽する閉じ位置と、フイルム通路を開放して写真フイルムの出入りを許容する開き位置との間で回動自在に組み込まれ、回動軸の両端に形成された断面C形状のキー部をパトローネ本体の側面に露呈させた写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状を検査する方法であって、
    前記断面C形状のキー部の開放した両端部を含む領域内を固体撮像デバイスで撮像して画像情報を取り込み、撮影画面内において基準点を前記パトローネ本体の壁面上に予め設定し、前記両方の端部を各々含む第1および第2のサーチエリア内の画像情報に基づいて両端の各座標を求めるとともに、各々の座標データに基づいて両端間の距離を計測し、この計測距離を予め定められた規格距離と比較してキー部の形状の良否判定を行い、前記基準点を前記壁面上に設定できない場合は形状検査を中止して待機状態にすることを特徴とする写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状検査方法。
  2. パトローネ本体に形成されたフイルム通路内に、前記フイルム通路を遮蔽する閉じ位置と、フイルム通路を開放して写真フイルムの出入りを許容する開き位置との間で回動自在に組み込まれ、回動軸の両端に形成された断面C形状のキー部をパトローネ本体の側面に露呈させた写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状を検査する方法であって、
    前記断面C形状のキー部の開放した両端部を含む領域内を固体撮像デバイスで撮像して画像情報を取り込み、撮影画面内において基準点を前記パトローネ本体の壁面上に予め設定し、前記両方の端部を各々含む第1および第2のサーチエリア内の画像情報に基づいて両端の各座標を求めるとともに、各々の座標データに基づいて両端の開き角度を計測し、この計測角度を予め定められた規格角度と比較してキー部の形状の良否判定を行い、前記基準点を前記壁面上に設定できない場合は形状検査を中止して待機状態にすることを特徴とする写真フイルムパトローネ用遮光蓋の形状検査方法。
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