JP3599773B2 - ハイブリッド電源装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ハイブリッド電源装置に係り、例えば、電気自動車のモータ駆動用等に使用されるハイブリッド電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の観点から、有害ガスの発生源となるガソリンエンジン等を駆動源とせず、クリーンな電力によって車両を駆動させる電気自動車が注目されている。
ところで、電気自動車に使用される二次電池は、出力容量は大きいが、エネルギ容量が比較的小さい。そのため、二次電池を電源とする電気自動車では、一回の充電によって走行可能な距離が100Km前後であり、ガソリンエンジンで走行する現行のガソリン車の一回の満タン後の走行距離が400〜500Kmであるのと比較すると、かなりの差がある。
そこで、電気自動車の走行可能距離を延ばすために、出力容量は小さいがエネルギ容量が大きい燃料電池と、二次電池とを組み合わせたハイブリッド電源装置が開発されている。このようなハイブリッド電源装置は、試験的に例えば、バスやゴルフカートに使用されている。
【0003】
図6は、特開平3−276573号公報に開示された従来のハイブリッド電源装置のブロック図である。
図6に示すように、アクセルペダル55の踏み込み量は、ポテンショメータ56を介して演算器61の第1入力端子に入力される。演算器61は、アクセルペダル55の踏み込み量に応じた車両の負荷指令に、バッテリ53の残存容量計60からの信号を加算したうえで、燃料電池51に供給する燃料ガス量を演算して制御器57に供給している。
制御器57では、供給された演算結果に基づいてチョッパ52を制御して、アクセルペダル55の踏み込み量に応じた車両の駆動を行っている。
また、制御器57では、車両の駆動に必要な電力をチョッパ52に供給するために、演算器61の演算結果に基づいて、流量制御サーボ弁62と、空気ブロア59を制御して、燃料電池51の出力を制御している。
なお、従来のハイブリッド電源装置におけるバッテリ53は、車両を急加速走行するなどの負荷急増時に生ずる燃料電池51の出力不足をバックアップするためのもので、軽負荷時には燃料電池51の余剰電力で充電されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハイブリッド電源装置では、アクセルペダル55の踏み込み量に対応して燃料電池51を発電させ、車両の速度制御を行っていた。このため、車両の負荷指令の増減に応じて燃料電池51の出力も変化させていた。
ところで、燃料電池の「燃料電池出力−システム総合効率特性」は、図7に示すような曲線を描く。この図7に示すように、燃料電池は、出力値の増加に伴って、システム総合効率(=燃料の変換効率)が低下するという特性を有している。なお、システム総合効率は、燃料電池積層体の燃料変換効率、燃料ガス供給圧力、改質器熱効率、燃料電池積層効率等の要因が考慮されている。
このため、従来のハイブリッド電源装置では、燃料電池51の出力を車両の負荷指令の増減に応じて変化させているため、加速時や高速走行時のように高い負荷が要求される時には、当然に燃料電池51の出力も高くなり、システム総合効率が30%未満の効率の悪い範囲も含めて燃料電池51を駆動していた。
特に、前記公報記載のハイブリッド電源装置では、アクセル踏み込み量による車両の負荷指令だけでなく、これにバッテリ残存容量計60からの信号を加えたうえで、燃料電池51の出力を決定しているため、さらに効率の悪い範囲で燃料電池を駆動していた。
また、アクセル踏み込み量による車両の負荷指令が燃料電池への供給ガス量に変換されるまでの演算行程が長いため、応答性が悪い。また、燃料電池の出力に対しては供給ガス量を介して間接的にしか制御されていない。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、効率の良いハイブリッド電源装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、モータの駆動用電力を供給する二次電池と、この二次電池に電力を供給する燃料電池と、二次電池の充電残容量の特定の範囲と充電残容量の増減率の特定の範囲毎に、前記燃料電池の総合効率の高い範囲で選択した一定の出力値が規定されたテーブルと、前記二次電池の充電残容量を検出すると共に、前記二次電池の充電残容量の増減率を算出する二次電池残容量検出手段と、前記二次電池の検出された充電残容量と算出された増減率に応じて、前記テーブルで規定された前記燃料電池の一定の出力値を指令する燃料電池出力制御手段と、をハイブリッド電源装置に具備させて前記目的を達成する。
【0008】
【作用】
請求項1記載のハイブリッド電源装置では、二次電池の充電残容量の特定の範囲と充電残容量の増減率の特定の範囲毎に、燃料電池の総合効率の高い範囲(例えば、総合効率が30〜40%の範囲)で選択した一定の出力値が規定されたテーブルを備え、二次電池残容量検出手段で検出された充電残容量と算出された増減率に応じて、テーブルで規定された燃料電池の一定の出力値を指令する。
【0009】
【実施例】
以下、本発明のハイブリッド電源装置における実施例を図1ないし図5を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例のハイブリッド電源装置Hを電気自動車に適用した場合のシステム構成を表したものである。
このハイブリッド電源装置Hは、電気自動車のモータMを駆動するための電力を供給するための「二次電池」としてのバッテリ1を備えている。このバッテリ1としては、例えば、鉛酸蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ナトリウム硫黄電池、リチウム二次電池、水素二次電池、レドックス型電池等の各種二次電池が使用される。このバッテリ1は、複数台の二次電池を直列に、又は直並列に接続することによって、例えば240〔V〕の電圧となるように構成されている。本実施例のバッテリ1では、12〔V〕のバッテリセルが20個直列に接続されている。
【0010】
バッテリ1は、直流を交流に変換するインバータ2に接続されると共に、気化部や改質部(図示せず)等を含む燃料電池システム3に接続されている。
この燃料電池システム3としては、例えば、りん酸型、溶融炭酸塩型、固体電界質型、固体高分子電界質膜型等の各種燃料電池システムが使用される。
またバッテリ1は、バッテリ残容量演算装置(State Of Charge)4に接続されている。バッテリ残容量演算装置4は、バッテリ1の充電残容量を検出する「二次電池残容量検出手段」として機能するようになっている。
すなわち、バッテリ残容量演算装置4は、バッテリ1の端子電圧と電流との時間変動に基づいて、インバータ2によってバッテリ1から使用される電力を演算することで使用電力量を求める。また、バッテリ残容量演算装置4には、燃料電池システム3の出力値を示す出力値設定信号Q4が燃料電池制御装置6から供給され、この出力値設定信号Q4からバッテリ1の充電量が演算される。この演算した充電量と、使用電力量とから、バッテリ1の充電残容量を精度良く求めるようになっている。
なお、バッテリ残容量演算装置4は、バッテリ1の充電残容量を、所定残容量にある場合のバッテリ1の電圧を検出し、このバッテリ電圧から求めるようにしてもよい。
また、バッテリ残容量演算装置4は、バッテリ電解液の比重変動を、光学検出器でモニターすることにより電解液の残容量を計測することにより、バッテリ1の充電残容量を求めるようにしてもよい。
また、バッテリ残容量演算装置4は、バッテリの放電量を計測することにより、バッテリ1の充電残容量を求めるようにしてもよい。
また、バッテリ残容量演算装置4は、バッテリ放電時の放電電圧と充電時間より、バッテリ1の充電残容量を求めるようにしてもよい。
【0011】
インバータ2は、バッテリ1と車両11に取り付けられたモータMの間に配置されると共に、モータ制御装置8に接続されている。このモータMとしては、例えば、DCブラシレスモータが使用される。モータ制御装置8は、図示しないアクセルからの走行指令に応じてインバータ2を駆動制御するようになっている。インバータ2は、このモータ制御装置8の制御のもと、バッテリ1からの直流電力を交流電力に変換してモータMに供給することで、電気自動車の走行を制御している。
このモータ制御装置8は、インバータ2によってモータMを駆動することで使用されるバッテリ1の電力に相当する必要駆動電力信号Q2を電気自動車制御装置7に供給するようになっている。
【0012】
電気自動車制御装置7は、例えばCPU(中央処理装置)、各種のプログラムやデータが格納されたROM(リード・オンリ・メモリ)、ワーキングエリアとして使用されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を備えたマイクロコンピュータによって実現される。RAMには、バッテリ1の残容量に応じた第1から第3のフラグをオン、オフさせるためのフラグ領域が確保されている。
【0013】
電気自動車制御装置7は、電気自動車システム全体を制御すると共に、燃料電池出力制御手段として機能し、バッテリ残容量演算装置4で演算されるバッテリ残容量Q1に応じて、システム総合効率が例えば30〜40%の範囲で燃料電池3の出力値を変化させるための出力値切替信号Q5を燃料電池制御装置6に供給するようになっている。
また電気自動車制御装置7は、バッテリ1の充電残容量の増減率を算出する二次電池残容量検出手段としても機能し、算出した増減率に応じて出力値切替信号Q5を出力する。バッテリ1の充電残容量の増減率を算出する場合に、電気自動車制御装置7は、燃料電池制御装置6に供給している出力値切替信号Q5およびモータ制御装置8から供給される必要駆動電力信号Q2から算出するようになっている。
【0014】
電気自動車制御装置7から出力される出力値切替信号Q5としては、Q53、Q55、Q510の3種類存在する。これらの出力値切替信号Q53、Q55、Q510は、それぞれ、燃料電池システム3を出力3KW、5KW、10KWで駆動するように燃料電池制御装置6に対して指示する信号である。
このように電気自動車制御装置7は、バッテリ1の残容量に応じて、図7に示すように、システム総合効率の高い範囲、例えば30〜40%の範囲を選択して燃料電池システム3の出力を指示するものである。ここで、燃料電池システム3の出力10KW(図7の符号C1の部分で効率約30%)は、3KW(図7の符号B1の部分で効率約32%)や5KW(図7の符号A1の部分で効率約33%)に比べるとシステム総合効率は多少低いが、高効率な範囲として許容可能な上限の値である。
【0015】
一方、燃料電池システム3は、メタノールを貯えたメタノールタンク5に接続されている。燃料電池システム3とメタノールタンク5とは、燃料電池制御装置6に接続されている。
燃料電池制御装置6は、燃料電池システム3からの出力が、電気自動車制御装置7から供給された出力値切替信号Q5の内容に応じた出力になるように、メタノールタンク5にメタノール投入量調整信号Q3を供給し、燃料電池システム3に出力値設定信号Q4を送出する。
メタノールタンク5からは、メタノール投入量調整信号Q3に応じたメタノールが燃料電池システム3に供給される。燃料電池システム3では、供給されるメタノールを改質すると共に、出力値設定信号Q4に応じた酸素供給等によって、バッテリ1の充電残容量や増減率に応じた出力でバッテリ1を充電するようになっている。
【0016】
次に、このように構成されたハイブリッド電源装置Hの動作について説明する。
(1)実施例の第1動作
この第1動作は、バッテリ残容量演算装置4で検出したバッテリ1の充電残容量に応じて、高効率な範囲で前記燃料電池の出力値を変化させながらバッテリ1を充電するものである。なお、以下の実施例では、バッテリ1の充電残容量について、バッテリの充電量および充電率で表すものとする。
【0017】
▲1▼全体動作
図2は、ハイブリッド電源装置Hの全体動作を示すメインルーチンの動作を表したものである。
図2に示すように、先ず、ステップ1でイグニッションキー(IG)がオンか否かをチェックし、イグニッションキーがオンの場合には(ステップ1;Y)、電気自動車制御装置7が行う各種制御に対して初期設定をおこなう(ステップ2)。次いで本実施例に係わるバッテリ充電ルーチンによる処理を実行し(ステップ3)、このバッテリ充電ルーチンの終了後、その他の処理ルーチンによる処理を実行した後(ステップ4)、ステップ2に移行する。
【0018】
一方、ステップ1でイグニッションキーオフが検出された場合(ステップ1;N)、IGオフバッテリ充電ルーチンによる処理をした後(ステップ5)、処理を終了する。ここで、IGオフバッテリ充電ルーチンによる処理としては、例えば、イグニッションキーがオフによって直ちに燃料電池システム3を停止するのではなく、オフの際における燃料電池システム3の出力をそのまま継続し、バッテリ1が満充電、例えば90%以上になった時点で、燃料電池システム3を停止する。
【0019】
▲2▼バッテリ充電ルーチン
図3は、図2におけるバッテリ充電ルーチン(ステップ3)の処理動作を表したものである。
この図3に示すように、まず、バッテリ1の使用電力量と燃料電池システム3からの充電量とから、バッテリ残容量演算装置4がバッテリ1の充電量(充電率)を検出し、電気自動車制御装置7に供給する(ステップ11)。
電気自動車制御装置7では、検出した充電率が90%以下の場合には(ステップ12;Y)、図示しないRAMに確保されたフラグ領域に第1フラグ(90%以下フラグ)を立て(ステップ13)、更にバッテリ1の充電率が70%以下か否かをチェックし(ステップ14)、70%以下の場合には第2フラグ(70%以下フラグ)を立てる(ステップ15)。次いで、充電率が60%以下か否かをチェックし(ステップ16)、60%以下の場合には第3フラグ(60%以下フラグ)を立てる(ステップ17)。
【0020】
そして、第1フラグ、第2フラグ、第3フラグがそれぞれ「オン、オフ、オフ」の場合(ステップ18)、バッテリ1の充電率は70%より多く90%以下の比較的高い状態にある。このため、バッテリ1を急速に充電する必要がないので、電気自動車制御装置7は、燃料電池システム3の効率が最も高く、出力が最も低い3KWとなるように、出力値切替信号Q53を燃料電池制御装置6に供給する。
これによって、燃料電池システム3には、燃料電池制御装置6から3KWに相当する出力値設定信号Q4が供給され、最も効率の良い3KW(図7の符号A1の部分で効率約33%)の出力でバッテリ1が充電される(ステップ19)。
【0021】
また、ステップ18で第1フラグ、第2フラグ、第3フラグがそれぞれ「オン、オフ、オフ」でない場合には(ステップ18;N)、各フラグがそれぞれ「オン、オン、オフ」であるか否かをチェックする(ステップ20)。「オン、オン、オフ」である場合(ステップ20;Y)、バッテリ1の充電率は60%より多く70%以下の状態にあり、これは、急速に充電する必要はないが、ある程度バッテリ充電量が減ってきている状態である。このため電気自動車制御装置7は、多少高い出力であるが、システム総合効率が30〜40%の範囲の中間値に対応する出力5KWとなるように、出力値切替信号Q55を燃料電池制御装置6に供給する。
これによって、燃料電池システム3は、前記システム総合効率範囲の中間値に対応する出力5KW(図7の符号B1の部分で効率約32%)の出力でバッテリ1を充電する(ステップ21)。
【0022】
また、ステップ20で第1フラグ、第2フラグ、第3フラグがそれぞれ「オン、オン、オフ」でない場合には(ステップ20;N)、各フラグがそれぞれ「オン、オン、オン」であるか否かをチェックする(ステップ22)。「オン、オン、オン」である場合(ステップ22;Y)、バッテリ1の充電率は60%以下であり、バッテリ1の充電量がある程度減ってきているので、過放電状態になる前にある程度の充電を行う必要がある。このため、高効率範囲のうち、最も効率は低いが、許容範囲内にある10KWの出力が選択され、対応する出力値切替信号Q510が電気自動車制御装置7から燃料電池制御装置6に供給される。
これによって、燃料電池システム3は、高効率範囲の低効率となる10KW(図7の符号C1 の部分で効率約30%)の出力でバッテリ1を充電する(ステップ23)。
【0023】
また、ステップ22において第1フラグ、第2フラグ、第3フラグがそれぞれ「オン、オン、オン」でない場合には(ステップ22;N)、充電率が90%より多いので、メインルーチンにリターンする。
この状態で再びバッテリ充電ルーチンが実行されると、再度バッテリ充電量を検出し(ステップ11)、ステップ12においては充電率が90%以下ではないので(ステップ12;N)、第1フラグ、第2フラグ、第3フラグを順次オフにする(ステップ24〜ステップ26)。この場合は、バッテリ充電量が90%より多いので、燃料電池システム3を停止して(ステップ27)、メインルーチンにリターンする。
【0024】
図4は、電気自動車の走行状態と、これに対応する燃料電池出力とバッテリ残容量の関係を表したものである。
この図(a)に示すように、電気自動車は、アクセルやブレーキの踏み込み量や、シフトポジションに応じて、停止状態から高速状態、加速状態といった各種状態で走行するものとする。
そして本実施例では、(b)に示すように、車両のアクセルの踏み込み量に応じて燃料電池システム3の出力を制御するものではなく、車両の走行に応じて増減するバッテリ1の充電量(充電残容量)に応じて、燃料電池システム3の出力が3KW(Aで示す)、5KW(Bで示す)、10KW(Cで示す)と切り換られる。
以上のように処理すれば、燃料電池システム3を効率の良い部分(30〜33%)で発電することができ、効率良くバッテリ1を充電することができる。
【0025】
なお、図3におけるステップ12からステップ17の処理では、フラグをオフする処理が含まれていないため、燃料電池システム3の出力は、3KWから5KW、5KWから10KWへと高出力側に変化はするが、低出力側に変化することはない。
例えば、燃料電池システム3の出力が5KWの場合に、バッテリ充電量が70%以下になると(ステップ14;Y)第2フラグがオンされ、それ以後5KWの充電が継続されるが、60%以下にならなければ充電率が90%を超えるまで(ステップ12;N)5KWの出力を継続することになる。また、一度出力が10KWになると、以後は充電率が90%になるまで10KWの出力を継続することになる。例えば図4(b)では、充電率が60%以下の範囲Eから増加し、60%や70%の点P1やP2を通過しても、燃料電池システム3の出力は変化することなく、10KWの出力が矢印Cで示すように継続される。
このように、燃料電池システム3の出力を高出力側にのみ変化させて、低出力側に変化させないのは次の理由による。すなわち、バッテリ1の充電率が低下した場合に電解液の枯渇によるバッテリ寿命の低下を防止する必要があるために、高出力側に変化させている。一方、バッテリ充電率の増加に伴って低出力側にも変化させると、バッテリ充電率の変化に応じて頻繁に燃料電池システム3の出力を変更する必要が生じ、燃料電池自体が劣化し易くなると共に、充放電の繰り返しによってバッテリが劣化し易くなるので、これらを防止するために充電率が増加しても低出力側に変化させないようにしている。
【0026】
なお、燃料電池システム3の劣化よりも燃料電池システム3の効率を重視する場合には、図9に示すように、バッテリ残容量の増加に伴って、充電率が60%と70%の点P1、P2において、燃料電池システム3の出力を矢印Cの10KWから、矢印Bの5KW、矢印Aの3KWというように、低出力側にも変化させる構成としてもよい。
ただし、この場合、90%、70%、60%の各充電率を境に出力が頻繁に変化する現象を防止するため、バッテリ充電ルーチンの実行を一定時間が経過した毎に行うようにしてもよい。
また、90%、70%、60%の範囲を、バッテリ1の充電率の増減状態に応じて一定の幅を持たせてもよい。例えば、それぞれ±1%の幅を持たせ、バッテリ充電率が低下している場合には89%を採用し、増加している場合には91%を採用するようにしてもよい。なお、この場合には、増減状態を決定するために、一定時間内でバッテリ1の充電率の履歴を残す必要があり、そのための領域が電気自動車制御装置7の図示しないRAMに確保される。
【0027】
(2)実施例の第2動作
この第2動作は、電気自動車制御装置7で算出したバッテリ1の充電残容量の増減率に応じて、高効率な範囲で前記燃料電池の出力値を変化させながらバッテリ1を充電するものである。なお、全体動作のメインルーチンは、図2と同一であるので、説明を省略する。
【0028】
図5は、第2動作による増減率に基づくバッテリ充電ルーチンの処理動作を表したものである。
この図5に示すように、バッテリ1の使用電力量と燃料電池システム3からの充電量とから、バッテリ残容量演算装置4でバッテリ1の充電量(充電率)を検出し、電気自動車制御装置7に供給する(ステップ31)。
電気自動車制御装置7は、燃料電池システム3によるバッテリ1の増加量を燃料電池制御装置6に供給している出力値切替信号Q5から求めると共に、モータ制御装置8から供給される必要駆動電力信号Q2からバッテリ1の増減量を求め、これらからバッテリ充電量の増減率を演算する(ステップ32)。
【0029】
次いで、電気自動車制御装置7は、所定時間経過した後(ステップ33;Y)、演算した増減率と、ステップ31で供給されたバッテリ1の充電率とから、燃料電池の出力値を設定して対応する出力値切替信号Q5を燃料電池制御装置6に供給する(ステップ34)。
この出力値切替信号Q5の内容(Q53、Q55、Q510)に応じて、燃料電池制御装置6は、出力値設定信号Q4およびメタノール投入量調整信号Q3を出力することで(ステップ35、36)、燃料電池システム3は設定値に基づいた出力でバッテリ1を充電し(ステップ37)、メインルーチンにリターンする。
【0030】
図8は、バッテリ1の充電率と増減率に応じて燃料電池制御装置6に供給される出力切替値信号Q5の内容を表したものである。この図8において(a)はバッテリ充電量が減少している場合を表し、(b)はバッテリ充電量が増加している場合を表している。バッテリ充電量が増加している場合は、図4(b)の下段に示すEの範囲が該当し、減少している場合はDの範囲が該当する。
電気自動車制御装置7は、この図8に示す各表に従って、出力値切替信号Q5を燃料電池制御装置6に供給する。例えば、バッテリ1の充電量が減少している場合、充電率が小さくて減少率が高ければ、過放電を防止するために、出力値切替信号Q5としてQ510が燃料電池制御装置6に供給される。これによって、燃料電池システム3からは、10KWの出力でバッテリ1が充電される。
このように、充電量が減少している場合には減少率が高い程大きな出力でバッテリ1が充電され、逆に充電量が増加している場合には増加率が高い程小さな出力でバッテリ1が充電される。
なお、本実施例において充電量は、90%よりも多い場合に高、90%以下で70%より多い場合に中、60%以下の場合に小とするが、他の範囲を自由に選定することが可能である。また、増減率の高、中、小についても任意に設定することが可能であり、さらに、バッテリ1の充電量と増減率に対応する出力値切替信号Q5の内容も自由に設定することが可能である。
【0031】
なお、本実施例では、アクセルのモータ回転指令に対応してバッテリ1の電力によって直接モータMを駆動しているので、レスポンス良く反応することができる。
以上説明した実施例では、バッテリ1の状態に応じて、3KW、5KW、10KWのいずれかが選択されて燃料電池システム3から出力されたが、システム総合効率が30〜40%の高効率な範囲としては12KWを上限として12KW以下の他の値を選択するようにしてもよく、また、出力値の選択枝として4以上の値を設定してもよい。
また、バッテリ充電残容量についても90%、70%、60%に応じて、燃料電池システム3の出力を変化させたが、バッテリ充電残容量として他の値を選択してもよく、バッテリ充電残容量の選択枝として4以上の値を設定してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、二次電池の充電残容量の特定の範囲と充電残容量の増減率の特定の範囲毎に、前記燃料電池の総合効率の高い範囲で選択した一定の出力値が規定されたテーブルを備え、二次電池残容量検出手段で検出された充電残容量と算出された増減率に応じて、テーブルで規定された燃料電池の一定の出力値を指令するので、効率の良いハイブリッド電源装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるハイブリッド電源装置が適用された電気自動車のシステム構成図である。
【図2】同上、ハイブリッド電源装置のメインルーチンの処理動作を示すフローチャートである。
【図3】同上、メインルーチンにおけるバッテリ充電ルーチンの第1動作を示すフローチャートである。
【図4】同上、ハイブリッド電源装置を適用した電気自動車の走行状態におけるデータを示す図であって、(a)は時間経過に対する車速の変化を示す図、(b)は時間経過に対するバッテリ残容量と燃料電池出力の関係を示す図である。
【図5】同上、メインルーチンにおけるバッテリ充電ルーチンの第2動作を示すフローチャートである。
【図6】従来のハイブリッド電源装置の一例を示すブロック図である。
【図7】燃料電池における出力−効率特性を示す図である。
【図8】同上、第2動作において電気自動車制御装置から出力される出力切替値信号Q5の内容を表した説明図である。
【図9】同上、ハイブリッド電源装置を適用した電気自動車の走行状態におけるデータを示す図であって、図4(a)に対する図4(b)の別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
M 車両モータ
1 バッテリ
2 インバータ
3 燃料電池システム
4 バッテリ残容量演算装置
5 メタノールタンク
6 燃料電池制御装置
7 電気自動車制御装置
8 モータ制御装置
Claims (1)
- モータの駆動用電力を供給する二次電池と、
この二次電池に電力を供給する燃料電池と、
二次電池の充電残容量の特定の範囲と充電残容量の増減率の特定の範囲毎に、前記燃料電池の総合効率の高い範囲で選択した一定の出力値が規定されたテーブルと、
前記二次電池の充電残容量を検出すると共に、前記二次電池の充電残容量の増減率を算出する二次電池残容量検出手段と、
前記二次電池の検出された充電残容量と算出された増減率に応じて、前記テーブルで規定された前記燃料電池の一定の出力値を指令する燃料電池出力制御手段と、
を具備することを特徴とするハイブリッド電源装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5332694A JP3599773B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | ハイブリッド電源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5332694A JP3599773B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | ハイブリッド電源装置 |
Publications (2)
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