JP3598871B2 - 単独運転検出機能を有する系統連系用電力変換システム - Google Patents

単独運転検出機能を有する系統連系用電力変換システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力変換器システムに関し、特に単独運転検出機能を有する系統連系用電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−247863号公報に記載の変換器の制御装置では、連系点の周波数変化を検出し、該周波数変化を助長させるように無効電力基準を制御し、周波数をハンチング状態にさせて単独運転状態を検出している。
また、特開平10−248168号公報には、電力系統の基本波に同期し、この基本波の非整数倍の周波数の中間次数調波電流を需要家設備の引込み線から電力系統に注入し、受電点からみた電力系統の中間次数調波についてのインピーダンス又はアドミタンスの変化から電力系統の停止を検出して分散電源を解列する、分散電源の単独運転防止装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来技術では、単独運転時の周波数変化をとらえ、それを基に単独運転を検出しているため、たとえば、電力変換器と負荷の間で有効電力と無効電力がバランスしている場合、周波数変化が生じず、単独運転状態を検出できないおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、電力変換器の単独運転を検出するに好適な電力変換システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、電力変換器の電圧指令値に特定次数の周波数成分を加算する構成とし、システムの出力している電流から特定次数の周波数成分の振幅値を検出する。そして、特定次数の周波数成分の振幅値の変化から単独運転を検出する構成とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下本発明の一実施例について図1を用いて説明する。
【0007】
図1は、本発明による電力変換システムを実現するための一実施例を示している。
【0008】
図1において、電力変換器1aは、連系用トランス3aに接続されており、連系用トランス3aは電力系統に接続されている。電力変換器1aの直流部分には2次電池4aを設置してあり、制御装置18aにより有効電力P,無効電力Qを連系用トランス3aを介して電力系統に供給する。
【0009】
電力変換器1aの制御装置18aは系統に出力する有効電力P及び無効電力Qを電流検出器2bの出力と電圧検出器5aの出力から電力検出器6aにより演算する。こうして得られた有効電力P,無効電力Qは有効電力調整器9a,無効電力調整器8aにそれぞれ入力され、該有効電力調整器9a及び無効電力調整器8aにより電力を指令値Pref,Qrefに一致させるように電流指令値Id,Iqを演算し電流調整器10aに出力する。
【0010】
位相検出器7aは系統電圧の位相に追従した位相信号Vcos及びVsinを出力する。前記位相信号Vcos及びVsinは座標変換器16a,17aに入力される。電流検出値Icnv は座標変換器17aにより座標変換され、変換結果である2軸の電流検出値Id,Iqを電流調整器10aに入力する。電流調整器10aは電力変換器1aの電流を前記指令値Id及びIqに一致するように制御する。電流調整器10aの出力Vd及びVqは座標変換器16aに入力され、座標変換器16aは電圧指令値Vuo,Vvo,Vwoを加算器15a,15b,15cに出力する。
【0011】
検出された連系点電圧Vacはフィードフォワード電圧演算器12aに入力され、大きさを調整し、フィードフォワード電圧指令値Vuf,Vvf,Vwfを加算器15a,15b,15cに出力する。
【0012】
加算器15a,15b,15cは前記電圧指令値Vuo,Vvo,Vwoと前記フィードフォワード電圧指令値Vuf,Vvf,Vwfの加算結果である電力変換器の電圧指令値Vu,Vv,Vwを加算器15d,15e,15fに出力する。
【0013】
n次高調波電圧演算器13は、n次の三相電圧指令値Vun,Vvn,Vwnを演算し、加算器15d,15e,15fに出力する。
【0014】
加算器15d,15e,15fは前記電圧指令値Vu,Vv,Vwと前記n次の三相電圧指令値の加算結果である電力変換器の電圧指令値Vu1,Vv1,Vw1をPWM演算器11aに出力し、PWM演算器11aは前記電力変換器の電圧指令値Vu1,Vv1,Vw1に基づいたゲートパルスGPを電力変換器1aに出力する。また、連系点電流検出器2bの出力は、n次高調波電流検出器14aに入力され、n次電流検出器14aにより電流振幅を演算し、振幅の急変または増減により単独運転を検出し、電力変換装置を系統から切り離すため遮断器19aを動作させる信号Saを出力する。
【0015】
図2は、n次高調波電流検出器14aの構成を詳細に示している。検出された連系点の電流検出値Iacを3相2相変換器28に入力し、3相2相変換器28は対称座標法により正相分と逆相分の電流成分を演算しIa,Ibを出力する。
【0016】
前記電流成分Ia及びIbは基本波演算手段20aと加算器15g,15hのそれぞれに入力される。該基本波演算手段20aは、入力された信号Ia,Ibの基本波成分IaR,IbR(電源周波数成分)をフーリエ変換により検出して加算器に出力する。
【0017】
加算器15g,15hは、該3相2相変換器28の出力Ia及びIbから、基本波演算手段20aの出力IaR,IbRを減算した結果であるIaS,IbSをn次高調波成分検出器21aに出力する。n次高調波成分検出器21aは、入力された信号Ias,Ibsにn次成分を基準とするフーリエ変換を行い、n次の成分 IaN,IbN のみを振幅演算器22aに出力する。該振幅演算器22aはIaNとIbN の二乗和ルートを演算してn次の電流振幅値Inをレベル判定器23aに出力する。レベル判定器23aは該n次の電流振幅Inが所定の値以上になった場合または以下になった場合に単独運転と判定し、システムを系統から切り離し停止させる。
【0018】
レベル判定器23aの設定レベルは運転開始時の値を基準として上下数%に設定する。
【0019】
また、レベルではなくIn の変化率により単独運転を検出しても良い。
【0020】
また、前記IaS,IbSの二乗和ルートにより求まる全ての高調波電流の歪みの大きさの値から単独運転を検出しても良い。
【0021】
電力変換器の電圧指令に重畳させるn次の周波数成分としては変換器が出力しないような偶数次を用いるとより精度が向上する。
【0022】
また、連系トランスのデルタ巻線により3の倍数調波は系統に流出しないので、電圧指令値に重畳させるn次成分として3の倍数調波以外を用いる。
【0023】
本実施例によれば、変換器の出力電圧にn次の高調波電圧成分を重畳させ、システムが出力しているn次の電流成分の大きさを検出しているため、単独運転状態になった際の系統インピーダンスの変化をn次電流から判定して単独運転状態を検出でき、システムを停止させることができる。
【0024】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、各図を通して同等の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明は省略することにする。
【0025】
(実施例2)
図3は、本発明による電力変換システムを実現するための他の実施例である。この実施例では、実施例1のn次電圧指令値の加算をなくした構成としている。
【0026】
本実施例によれば、実施例1と同様のn次電流検出方法により電力変換器が出す高調波成分(たとえば5次や7次)を利用して単独運転を検出できるので制御の構成を簡略化できる。
【0027】
(実施例3)
図4は、実施例1の2次電池4aを用いた電力貯蔵用変換器1aに、無効電力補償装置(SVC)を適用した場合の実施例である。無効電力補償装置の電力変換器1fの直流部分にはコンデンサ27が設置されており、該無効電力補償装置は制御装置18fからの指令により無効電力を系統とやりとりする。
【0028】
本実施例では、SVCの単独運転を防止することが可能になる。
【0029】
また、無効電力補償装置の他に図5に示すような、太陽光発電装置も適用できる。太陽光発電装置の、電力変換器1cの直流部分には太陽電池パネル24が設置されており、制御装置18cからの指令により電力を系統へ放出する。
【0030】
また、無効電力補償装置の他に図6に示すような、超伝導電力貯蔵装置も適用できる。超電導電力貯蔵装置の電力変換器1dの直流部分には超伝導コイル25が設置されており、制御装置18dからの指令により電力を系統から吸収あるいは放出する。
【0031】
また、無効電力補償装置の他に図7に示すような、風力発電装置も適用できる。風力発電装置の出力は、電力変換器1eにより一旦直流に変換され、電力変換器1gにより系統へ電力を供給する。
【0032】
ここでは主に実施例2の制御装置及び方法に適用した場合について説明したが、他の実施例で説明した制御装置及び方法を用いてもよい。
【0033】
【発明の効果】
変換器の出力電圧にn次の高調波電圧成分を重畳させ、システムが出力しているn次の電流成分の大きさを検出しているため、単独運転状態になった際の系統インピーダンスの変化をn次電流から検出して、単独運転を検出しシステムを停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による、電力変換器の制御装置。
【図2】図1の構成を説明する図。
【図3】本発明の他の実施例を説明する図。
【図4】本発明の他の実施例を説明する図。
【図5】本発明の他の実施例を説明する図。
【図6】本発明の他の実施例を説明する図。
【図7】本発明の他の実施例を説明する図。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g…電力変換器、2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2j,2k,2l…電流検出器、3a,3b,3c,3d,3e,3f…連系用トランス、4a,4b…2次電池、
5a,5b,5c,5d,5e,5f…電圧検出器、6a,6b,6c,6d,6e,6f…電力検出器、7a,7b,7c,7d,7e,7f…位相検出器、
8a,8b,8c,8d,8e,8f…無効電力調整器、9a,9b,9c,9d,9e…有効電力調整器、10a,10b,10c,10d,10e,10f…電流調整器、11a,11b,11c,11d,11e,11f…PWM演算器、12a,12b,12c,12d,12e,12f…フィードフォワード電圧演算器、13…n次電圧指令発振器、14a,14b,14c,14d,14e,14f…n次電流検出器、15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,15h,15i,15j,15k,15l,15m,15n,15o,15p,15q,15r,15s,15t,15u,15v,15w…加算器、16a,16b,16c,16d,16e,16f,17a,17b,17c,17d,17e,17f…座標変換器、18a,18b,18c,18d,18e,18f…電力変換器制御装置、19a,19b,19c,19d,19e,19f…遮断器、20a…基本波演算器、21a…n次成分演算器、22a…振幅演算器、23a…レベル判定器、24…太陽電池、25…超伝導コイル、
26…風力発電機、27…コンデンサ、28…3相2相変換器、29…直流電圧調節器、Iac…連系点電流検出値、Vac…連系点電圧検出値、Icnv …変換器電流検出値、Pref…有効電力指令値、Qref …無効電力指令値、P…有効電力、
Q…無効電力、Id…有効分電流指令値、Iq…無効分電流指令値、Id…有効分電流検出値、Iq …無効分電流検出値、Vcos,Vsin…位相信号、Vd…有効分電流指令値、Vq*…無効分電流指令値、Vuo,Vvo,Vwo…電圧指令値、
Vuf,Vvf,Vwf…フィードフォワード電圧指令値、Vun,Vvn,Vwn…n次電圧指令値、Vu,Vv,Vw,Vu1,Vv1,Vw1…変換器出力電圧指令値、
GP…ゲートパルス、Vdc…直流電圧検出値、Vdcref…直流電圧指令値、Sa…遮断器動作信号。

Claims (8)

  1. 連系用トランスを介して系統と連系された電力変換器と、システムの交流電流を検出する手段と、該電力変換器の出力電圧指令値を演算する制御手段とを備えた電力変換システムにおいて、
    前記システムの交流電流を検出する手段が、前記連系トランスと系統との間に配置され、
    前記制御手段が、
    系統電圧の周波数のn倍の周波数(但しnは2より大きな整数であって、3の倍数を除く)の交流電圧指令値を演算する手段を有し、前記電力変換器の出力電圧指令値に該n倍の周波数の交流電圧指令値を加算して前記電力変換器を制御し、システムの電流検出値から電圧指令値に加えた周波数成分と同一の周波数成分の電流振幅を演算し、演算した電流振幅値の定常値からの変化分から電力変換器の単独運転を検出する手段を備えたことを特徴とする電力変換システム。
  2. 連系用トランスを介して系統と連系された電力変換器と、システムの交流電流を検出する手段と、該電力変換器の出力電圧指令値を演算する制御手段とを備えた電力変換システムにおいて、
    前記システムの交流電流を検出する手段が、前記連系トランスと系統との間に配置され、
    前記制御手段が、
    前記電力変換器に電圧指令を受けてゲートパルスを出力するPWM演算器と、
    システムの電流検出値から前記電力変換器が系統に出力する系統周波数の5倍の周波数の成分あるいは7倍の周波数の成分の電流振幅を検出し、該検出した電流振幅値の定常値からの変化分から電力変換器の単独運転を検出して前記電力変換器の交流出力を系統から切り離す手段を備えたことを特徴とする電力変換システム。
  3. 請求項1または2の何れかにおいて、前記制御手段が、システムの電流検出値から対称座標法により正相成分を演算する手段と、該正相成分から基本波検出手段により正相成分の基本波成分を抽出する手段を有し、該正相成分と該抽出した正相基本波成分との差を演算して基本波成分を取り除き、該正相成分から基本波成分を除去した成分を用いて前記基本波のn倍の周波数成分(但しnは2より大きな整数であって、3の倍数を除く)の変化を検出し単独運転を検出する手段を備えたことを特徴とする電力変換システム。
  4. 請求項1または2または3の何れか1項において、前記電力変換器の直流部分に接続した2次電池を備えることを特徴とする電力変換システム。
  5. 請求項1または2または3の何れか1項において、前記電力変換器の直流部分に接続したコンデンサを備えることを特徴とする電力変換システム。
  6. 請求項1または2または3の何れか1項において、前記電力変換器の直流部分に太陽光発電システムが接続していることを特徴とする電力変換システム。
  7. 請求項1または2または3の何れか1項において、前記電力変換器の直流部分に超電導電力貯蔵システムが接続していることを特徴とする電力変換システム。
  8. 請求項1または2または3の何れか1項において、前記電力変換器の直流部分に接続した別の電力変換器を介して風力発電システムが接続していることを特徴とする電力変換システム。
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