JP3598773B2 - ディジタルcatvシステムとその受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブルテレビシステム及びその受信技術に係り、特に異なる種類のディジタル変調された信号が同一ケーブルで周波数多重されるCATVシステムとその受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地上放送とCATV伝送路を使用したケーブルテレビは共にNTSC(National Television System Committee)方式の複合映像信号を残留側波帯振幅変調して送信されていたため、同一の復調手段で受信でき、地上放送をCATVで再送信する場合でもCATV専用の受信端末で受信できた。一方、地上放送の受信を主としたテレビ受信機でも、CATVの使用周波数域まで選局できるチューナを搭載したCATV対応テレビ受信機が製品化され視聴制限のないCATV番組を受信できた。
【0003】
ケーブルテレビと呼ばれるテレビジョン放送や関連する地上放送や衛星放送については、コロナ社より発行された(社)電子機械工業会ケーブルテレビ技術委員会編「ケーブルテレビ技術入門」に記述されている。
【0004】
一方、最近のディジタル伝送技術などの発展に伴い、アナログ信号であるNTSC映像の伝送チャネル1チャネルで複数のディジタル化された映像が伝送されようとしている。ケーブルテレビのディジタル伝送については、1995年9月21日に発表されたテレビジョン学会技術報告(vol.19.No.42)19頁から24頁の「電気通信技術審議会暫定方式ディジタル有線テレビジョン放送伝送実験」に示されている。
【0005】
この報告によれば、MPEG2(エムペグ2)と呼ばれるディジタル画像圧縮技術によって圧縮された画像などのディジタルデータが多重されたトランスポートストリームと呼ばれる形式のデータ列とされ、リードソロモン誤り訂正などの信号処理をされ、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation:64値直交振幅変調)と呼ばれるディジタル変調技術によって変調されてCATV伝送路で伝送される。
【0006】
衛星によるディジタル伝送についても、1995年9月21日に発表されたテレビジョン学会技術報告(vol.19.No.42)25頁から30頁の「CSデジタル放送方式の概要」や、日経エレクトロニクス1996年9月2日号149頁の論文「70近くの多チャネルを実現する日本初のディジタル衛星放送」に記載されている。
【0007】
これらの報告や論文で各伝送方式について、画像圧縮技術などトランスポートストリームと呼ばれる形式のデータ列で構成されるまでは共通であり、変調方式がCATVで64QAMが、衛星でQPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相変調)が採用され、誤り訂正方式も異なっていることが示されている。
【0008】
この背景には、日本の郵政省の電気通信技術審議会や欧州のDVB(Digital Video Broadcasting:ディジタル映像放送)などの標準化機関での検討では、ディジタル画像圧縮技術などの情報源符号化や多重化方式などなるべく共通化できる部分は、CATV、地上波、衛星の各放送とも同一とするメディア横断の思想がある。
【0009】
CATV、地上波、衛星の各放送では、伝送路が異なることによって特有な部分である変調方式などの伝送路符号化は別方式としている。
【0010】
その思想で、地上放送のディジタル化の検討も進んでおり、地上波の変調方式の一つにOFDM(O F D M:直交周波数多重)方式がある。OFDM方式の地上放送への適用に関しては、例えばエス・エム・ピー・ティー・イー・ジャーナル 1995年5月号258頁から265頁(SMPTE Journal, May 1995 pp.258−265) に「Performance Simulation of COFDM for TV Broadcast Application」と題し記載されている。この地上放送とケーブルテレビは伝送路が地上波とCATVの違いはあるが、共に伝送帯域幅は6MHzと同一である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記の技術において、ディジタルCATV放送では64QAM変調方式を用いており、例えば伝送帯域幅の異なるディジタル衛星放送をCATVで再送信する場合には、CATV局でディジタル衛星放送のQPSK変調された信号を復調し、再度CATV伝送路の変調方式である64QAM変調を行って送出する。
【0012】
この際、再送信するチャネル数だけ64QAM変調器が必要になる。ディジタル地上放送をCATVで再送信する場合にも、同様にCATV局でOFDM変調信号を復調し、再度64QAM変調して送出するとなると、さらに再送信するチャネル数分の64QAM変調器が必要になり、CATV局の設備の増大、経済的負担の増加が考えられる。
【0013】
本発明の目的は、ディジタル地上放送をCATV伝送路に再送信する場合に、CATV局の負担を軽減するCATVシステムとその受信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、CATVシステムにおいて、ディジタルCATV信号と伝送帯域幅の等しいディジタル地上放送をCATV局から再送信する場合に、ディジタル地上放送を復調して64QAM変調することはせずに、CATV局で受信したディジタル地上放送をCATV局が再送信を希望するチャネルに周波数変換するだけで送出するCATV局の構成にする。
【0015】
また、その受信装置として、トランスポートストリーム形式のディジタルデータから希望の映像信号データや音声信号データなどを分離する多重分離手段と、該多重分離手段の出力である希望の映像信号データから映像表示するための信号形式に信号変換する映像信号形式変換手段と、前記多重分離手段の出力である希望の音声信号データから音声出力するためのアナログ信号形式に変換する音声信号形式変換手段とを有するディジタル放送の受信装置において、希望のディジタル変調信号を選局復調してトランスポートストリーム形式のディジタルデータを出力するために、2種類の復調方式に対応した復調部を設け、加入者の選択したチャネルの信号の変調方式に合致した復調方式を選択するとともに、それに適した受信構成に切り替えるべく制御する制御手段とを設ける。
【0016】
これらの手段では、CATVシステムにおいて、CATV局の負担を軽減して、ディジタル地上放送の再送信が可能になるとともに、受信装置内の制御手段によって加入者の希望するチャネルのディジタル変調方式に応じた復調方式とそれに適した受信構成に切り替えることができるので、異なった変調方式のディジタル放送を同一の受信装置で受信可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の構成を示す模式図である。同図において、1はCATV伝送路、2は加入者端子、3は放送受信及びデータ通信用装置、4はテレビジョン受像機(TV)等の表示機器、5は衛星放送用受信アンテナ、6は地上放送用受信アンテナ、7はディジタル衛星放送用受信器、8はCATV局で独自に制作する番組(例えば、CATV局内のスタジオからの番組や、映画等のテープやディスクで供給される番組など)の送出源、9は視聴管理用コントローラ、10は周波数変換器、11、12は64QAM変調器、13はデータ用変復調器、14は合成器である。
【0018】
CATV局では、 CATV放送として、CATV局で独自に制作する番組の送出源8からの信号を64QAM変調器12で変調した信号、ディジタル衛星放送を受信アンテナ5で受信し、ディジタル衛星放送用受信器7で復調した信号を64QAM変調器11で変調した信号、ディジタル地上放送を受信するアンテナ6で受信し、周波数変換器10で任意のチャネルに周波数変換した信号を合成器14を通して周波数多重して伝送する。この場合、ディジタル地上放送の1チャネルの伝送帯域幅は、ディジタルCATV放送の1チャネルの伝送帯域幅と等しいので、ディジタル地上放送のチャネルをディジタルCATV放送の空きチャネルに当てることや、ディジタルCATVのチャネルと置換することが容易である。
【0019】
また、視聴管理用コントローラ9からのデータをデータ用変復調器13で変調した信号も合成器14を通して上記CATV放送と周波数多重して伝送する。CATV伝送路1には、下り方向(ここではケーブルテレビ局から加入者宅への方向をいう。)に上記CATV放送の信号及びデータ信号(以下、下りデータ信号という。)が多重されて伝送する。CATV伝送路1と加入者宅は加入者端子2により接続され、この加入者端子から加入者宅の宅内配線を通して放送受信及びデータ通信端末3に接続される。
【0020】
放送受信及びデータ通信端末3では、下りデータ信号を受信し、復調、復号、制御を行うCPUへデータを入力し、加入者の選局情報と照合し、CATV放送の信号を受信する場合の、選局、復調、テレビジョン受像機等の表示機器4へ出力するための信号処理等の機能を有する。
【0021】
特に選局、復調においては、復調部に64QAM方式とOFDM方式に対応した2つの復調器を設け、選局チャネルの変調方式に応じて復調部を切り替えて受信するように制御を行う。この端末3と表示機器4との間は、AVコードや同軸ケーブルで接続する。双方向CATVシステムにおいては、端末3はCATV局側へ視聴情報や契約情報等のデータ信号(以下、上りデータ信号という。)を送信し、CATV局では変復調器13で復調しコントローラ9へ入力する。
【0022】
この構成により、CATVシステムにおいて、ディジタルCATV信号と伝送帯域幅の等しいディジタル地上放送をCATV局から再送信する場合に、ディジタル地上放送を復調して64QAM変調することはせずに、CATV局で受信したディジタル地上放送をCATV局が再送信を希望するチャネルに周波数変換するだけで送出するため、CATV局の負担を軽減してディジタル地上放送の再送信が可能になるとともに、受信装置内の制御手段によって加入者の希望するチャネルのディジタル変調方式に応じた復調方式とそれに適した受信構成に切り替えることができるので、異なった変調方式のディジタル放送を同一の受信装置で受信可能となる。
【0023】
次に放送受信及びデータ通信端末3の実施の形態を図2で説明する。同図において、図1と同一の部分は同じ番号を付し説明を省略する。20は入出力端子、21は下りデータ信号帯域を通過させるフィルタ、22は下りデータ信号の復調部、23は上りデータ信号帯域を通過させるフィルタ、24は上りデータ信号の変調部、25はチューナ、26はチューナ25の出力信号を通過させるフィルタ、27はダウンコンバータ、28は64QAM復調部、29はOFDM復調部、30はスクランブル解除部、31は多重分離回路、32は映像デコーダ、33は音声デコーダ、34はNTSCエンコーダ、35は音声出力回路、36は切替回路、37はAGC電圧設定回路、40は制御用マイクロコンピュータ、41は映像出力端子、42は音声出力端子、である。
【0024】
加入者端子2から宅内配線を通して端末3の入出力端子20に64QAM信号、OFDM信号、下りデータ信号が周波数多重されて入力する。下りデータ信号については、フィルタ21で選択し復調部22で復調し制御用マイクロコンピュータ40へ入力する。下りデータ信号にはチャネルテーブル(CATV局が放送するチャネルに付与する番号と端末3で実際に受信するチャネル番号の対応表)や加入者の契約状況に基づく視聴許可等の情報があり、本実施の形態ではさらに、放送するチャネル毎に64QAM変調かOFDM変調かの判別情報を含んでいる。これらの情報をもとに制御用マイクロコンピュータ40から加入者の選局状態に応じた受信構成になるよう制御を行う。
【0025】
加入者からの選局情報は制御用マイクロコンピュータ40に入力され、それに応じてチューナ25に受信チャネルの情報が与えられる。チューナ25は受信希望チャネルを中間周波信号に変換し出力する。
【0026】
該中間周波信号のみを通過させるフィルタ26により不要な帯域外信号成分を抑圧し、以降での妨害発生を抑圧する。フィルタ26の出力はダウンコンバータ27で64QAMやOFDMの復調に適した低い周波数に変換する。低い周波数に変換することで、後段の復調部にあるアナログ・ディジタル変換回路に要求される動作速度を遅くできるので、回路構成や素子の選択に自由度が増す効果がある。
【0027】
受信希望チャネルの変調方式により、制御用マイクロコンピュータ40から64QAM復調部28またはOFDM復調部29のいづれかを選択し、同時に切替回路36を切替え、該選択された復調部からダウンコンバータ27やチューナ25にAGC(Automatic Gain Control)信号を加えることができるように制御する。
【0028】
64QAM復調部28、OFDM復調部29は各々、アナログ・ディジタル変換回路で入力したアナログ信号をディジタル信号に変換し、波形等化を含めて各変調方式に応じた復調を行うと共に、ディジタル被変調波のデータ信号処理方式に応じて、誤り訂正符号に応じた誤り訂正およびインターリーブ処理やエネルギー拡散処理などの送信側で施したデータ信号処理の復号処理を行なう。
【0029】
選択された復調部に応じてAGC信号を切替えることで、各変調信号に最適の信号レベル制御を行うことができる。該復調部から出力した信号は、トランスポートストリーム形式のディジタルデータであり、加入者の選局情報に基づいた制御用マイクロコンピュータ40からの制御により、多重分離回路31で所望の圧縮映像データと圧縮音声データを分離し、映像デコーダ32と音声デコーダ33に入力する。
【0030】
圧縮映像データは映像デコーダ32によって映像データに変換し、NTSCエンコーダ34によってNTSC映像信号に変換する。圧縮音声データは音声デコーダ33によってアナログ音声信号に変換し、音声出力回路35により例えばサラウンド等の信号処理を行う。
【0031】
NTSC映像信号は出力端子41から、アナログ音声信号は出力端子42から出力し、図1に示したTV等の表示機器4に入力されて、加入者によって選ばれた放送サービスの映像と音声などを表示できる。
【0032】
本実施の形態では、受信装置内の制御手段によって加入者の希望するチャネルのディジタル変調方式に応じた復調方式とそれに適した受信構成に切り替えることができるので、異なった変調方式のディジタル放送を同一の受信装置で受信可能となる。
【0033】
また、本実施の形態に示した受信装置を用いることで、CATVシステムにおいて、ディジタルCATV信号と伝送帯域幅の等しいディジタル地上放送をCATV局から再送信する場合に、ディジタル地上放送を復調して64QAM変調することはせずに、CATV局で受信したディジタル地上放送をCATV局が再送信を希望するチャネルに周波数変換するだけで送出できるため、CATV局の負担を軽減してディジタル地上放送の再送信が可能になる。
【0034】
本実施の形態では、アナログ・ディジタル変換回路が各復調部の中に含まれていたが、アナログ・ディジタル変換回路を独立に設け、両ディジタル変調信号に対し共通にすることも可能である。その場合にはアナログ・ディジタル変換回路が一つになるので、回路規模の低減が図れる。また、本実施の形態では、受信チャネルのディジタル変調方式が予め情報として制御用マイクロコンピュータ40に与えられていたが、一方の復調部で復調を始め、復調が可能であれば継続し、復調が不可能であれば他方の復調部に切替えるといった自動判別も可能である。この場合、予めチャネル毎のディジタル変調方式の情報を供給する必要がないので、下りデータのデータ量を低減できる。
【0035】
次に、放送受信及びデータ通信端末3内のチューナ25からダウンコンバータ27までの実施の形態について図3、図4で説明する。図3はチューナ25にいわゆるシングルスーパー方式を用いた場合である。同図において、50は入力端子、51は入力同調フィルタ、52、58は可変利得増幅器、37はAGC電圧設定回路、53は段間同調フィルタ、54、59は周波数変換器、55、60は局部発振器、56、62は増幅器、26は帯域通過フィルタ、61は低域通過フィルタ、63は出力端子、64はPLL(Phase Locked Loop)回路である。
【0036】
入力端子50に入力する信号から受信希望チャネルを、入力同調フィルタ51で選択的に通過させ、可変利得増幅器52で以降の信号処理に適した信号レベルとし、段間同調フィルタ53で再度帯域制限を行って周波数変換器54へ入力する。周波数変換器54では局部発振器55からの信号と混合し中間周波数に変換する。日本国内で一般的に用いられる中間周波数は57MHzである。この中間周波信号(以下、第1の中間周波信号という。)を増幅器56で増幅する。ディジタル信号を受信する場合、この中間周波数では以降のアナログ・デジタル変換器の処理速度が高速になる等回路構成上の難易度が増すため、さらに低い第2の中間周波信号に変換する。そこで、帯域通過フィルタ26で1チャネル分の帯域を通過させ可変利得増幅器58で信号レベルを調整し、周波数変換器59で局部発振器60からの信号と混合し、さらに周波数の低い第2の中間周波信号に変換し低域通過フィルタ61で第2の中間周波信号を通過させ局部発振器60からの信号は抑圧し、増幅器62で第2の中間周波信号を増幅して出力する。帯域通過フィルタ26には急峻な帯域外抑圧度特性が必要で弾性表面波フィルタを用いる。可変利得増幅器52、58は復調部からのAGC信号に応じて利得制御を行うが、出力CN比の劣化を少なくするため、利得を下げる場合には後段の可変利得増幅器58から利得を下げ、その後可変利得増幅器52の利得を下げる。利得を上げる場合には逆に可変利得増幅器52の利得を上げ、その後可変利得増幅器58の利得を上げる。この両者の利得配分を設定するのがAGC電圧設定回路37である。例えば両可変利得増幅器が、印加するAGC電圧が高いと利得が大きく、AGC電圧が低いと利得が小さい場合であって、AGC電圧を最大値から低下させ利得を減少させる場合に、可変利得増幅器58が或るAGC電圧から利得を低下させ、可変利得増幅器52が遅れて、より低いAGC電圧から利得を低下させるように、可変利得増幅器52へのAGC電圧のしきい値を設定する。OFDM変調信号と64QAM変調信号にとって、該利得配分の設定が異なる場合には、図2に示した制御用マイクロコンピュータ40からのデータで設定を変更できる構成にすればしきい値の変更が可能になる。局部発振器55の周波数制御は、図2に示した制御用マイクロコンピュータ40からの選局データ(周波数の分周比等の情報)をPLL回路64に与え、 PLL回路64ではそのデータに応じて局部発振器55の発振周波数が所望の周波数になるように同調電圧を出力する。この同調電圧で同時に入力同調フィルタ51及び段間同調フィルタ53の通過帯域を希望チャネルに同調させ、希望チャネルを周波数変換器54に入力する。ディジタル地上放送のOFDM変調信号とディジタルCATVの64QAM変調信号の伝送帯域幅が等しい場合には、フィルタ51、53、26の通過帯域幅も共通であるので、本実施の形態のチューナ及びダウンコンバータは両変調信号に共用できる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、放送受信及びデータ通信端末3内のチューナ及びダウンコンバータ部において、アナログ放送の受信で通常用いられている中間周波信号より低い周波数の第2の中間周波信号に変換するためデジタル信号の復調部の信号処理、特にアナログ・デジタル変換部の処理速度が低速になり、回路構成の容易さ、変換の精度が増す効果がある。また、伝送帯域幅の等しいOFDM変調信号と64QAM変調信号の受信に共用できるので、放送受信及びデータ通信端末3の構成が簡略化され、回路規模が低減できる。
【0038】
図4はチューナ25にいわゆるダブルスーパー方式を用いた場合である。同図において、図3と同一の部分には同じ番号を付し説明を略す。71は入力フィルタ、72は可変利得増幅器、73、77は周波数変換器、74、78は局部発振器、76、80は増幅器、75、79は帯域通過フィルタ、81、82はPLL回路である。
【0039】
入力端子50に入力する信号から受信希望チャネルを含む信号帯域を入力フィルタ71で選択的に通過させ、可変利得増幅器72で以降の信号処理に適した信号レベルとし、周波数変換器73へ入力する。周波数変換器73では局部発振器74からの信号と混合し、受信希望チャネルを入力端子50へ入力する信号帯域より高い周波数の中間周波信号に変換する。
【0040】
これにより入力信号同士の干渉によって発生する妨害を低減することや、周波数変換器73に対するイメージ妨害を排除することができる。また、局部発振信号も、入力端子50へ入力する信号帯域より高い周波数になるため、該局部発振信号が入力端子50から漏洩して他の受信装置に入力しても、他の受信装置で妨害になることはない。
【0041】
該中間周波信号から帯域通過フィルタ75で希望信号帯域を選択的に通過させ、増幅器76で増幅した後、周波数変換器77へ入力し、局部発振器78からの信号と混合し図3で示した第1の中間周波数に変換する。この第1の中間周波信号を帯域通過フィルタ79で選択的に通過させて、増幅器80で増幅する。
【0042】
局部発振器74、78の周波数制御は、図2に示した制御用マイクロコンピュータ40からの選局データ(周波数の分周比等の情報)をPLL回路81、82にそれぞれ与え、PLL回路81、82ではそのデータに応じて局部発振器74、78の発振周波数が所望の周波数になるように同調電圧を出力する。図3の場合と異なり、この同調電圧を用いて同調フィルタの通過帯域を変化させることはなく、どの受信チャネルも帯域通過フィルタ75で決まる均質な周波数特性を有し、受信チャネル間で復調特性に差がない良好なディジタル復調が可能である。
【0043】
帯域通過フィルタ26以降のブロックは図3での説明と同様に、さらに低い周波数の第2の中間周波信号に変換する。可変利得増幅器72、58は復調部からのAGC信号に応じて利得制御を行うが、図3での説明と同様にAGC電圧設定回路37で、両可変利得増幅器の利得配分を設定する。
【0044】
ディジタル地上放送のOFDM変調信号とディジタルCATVの64QAM変調信号の伝送帯域幅が等しい場合には、フィルタ75、79、26の通過帯域幅も共通であるので、本実施の形態のチューナ及びダウンコンバータは両変調信号に共用できる。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、放送受信及びデータ通信端末3内のチューナ及びダウンコンバータ部において、チューナにダブルスーパー方式を用いることで、入力信号同士の干渉によって発生する妨害を低減することや、周波数変換器73に対するイメージ妨害を排除することができると共に、どの受信チャネルも帯域通過フィルタ75で決まる均質な周波数特性を有し、受信チャネル間で復調特性に差がない良好なディジタル復調が可能となる。また、局部発振信号も、入力端子50へ入力する信号帯域より高い周波数になるため、該局部発振信号が入力端子50から漏洩して他の受信装置に入力しても、他の受信装置で妨害になることはない。
【0046】
また、図3の場合と同様、アナログ放送の受信で通常用いられている中間周波信号より低い周波数の第2の中間周波信号に変換するためデジタル信号の復調部の信号処理、特にアナログ・デジタル変換部の処理速度が低速になり、回路構成の容易さ、変換の精度が増す効果がある。さらに、伝送帯域幅の等しいOFDM変調信号と64QAM変調信号の受信に共用できるので、放送受信及びデータ通信端末3の構成が簡略化され、回路規模が低減できる。
【0047】
本発明によれば、 CATVシステムにおいて、ディジタルCATV信号と伝送帯域幅の等しいディジタル地上放送をCATV局から再送信する場合に、ディジタル地上放送を復調して64QAM変調することはせずに、CATV局で受信したディジタル地上放送をCATV局が再送信を希望するチャネルに周波数変換するだけで送出するCATV局の構成にする。
【0048】
また、その受信装置として、トランスポートストリーム形式のディジタルデータから希望の映像信号データや音声信号データなどを分離する多重分離手段と、該多重分離手段の出力である希望の映像信号データから映像表示するための信号形式に信号変換する映像信号形式変換手段と、前記多重分離手段の出力である希望の音声信号データから音声出力するためのアナログ信号形式に変換する音声信号形式変換手段とを有するディジタル放送の受信装置において、希望のディジタル変調信号を選局復調してトランスポートストリーム形式のディジタルデータを出力するために、2種類の復調方式に対応した復調部を設け、加入者の選択したチャネルの信号の変調方式に合致した復調方式を選択するとともに、それに適した受信構成に切り替えるべく制御する制御手段とを設ける。
【0049】
【発明の効果】
ディジタル CATV において、 CATV 局の負担を軽減して、ディジタル放送の再送信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す端末のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態を補足するブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態を補足するブロック図である。
【符号の説明】
1…CATV伝送路、2…加入者端子、3……放送受信及びデータ通信用装置、4…テレビジョン受像機等の表示機器、5…衛星放送用受信アンテナ、6…地上放送用受信アンテナ、7…ディジタル衛星放送用受信器、8…番組の送出源、9…視聴管理用コントローラ、10…周波数変換器、11、12…64QAM変調器、13…データ用変復調器、14…合成器、21、23…フィルタ、22…下りデータ信号の復調部、24…上りデータ信号の変調部、25…チューナ、26…フィルタ、27…ダウンコンバータ、28…64QAM復調部、29…OFDM復調部、30…スクランブル解除部、31…多重分離回路、32…映像デコーダ、33…音声デコーダ、34…NTSCエンコーダ、35…音声出力回路、36…切替回路、37…AGC電圧設定回路、40…制御用マイクロコンピュータ、51…入力同調フィルタ、52、58…可変利得増幅器、37…AGC電圧設定回路、53…段間同調フィルタ、54、59…周波数変換器、55、60…局部発振器、56、62…増幅器、61…フィルタ、63…出力端子、64…PLL回路、71…入力フィルタ、72…可変利得増幅器、73、77…周波数変換器、74、78…局部発振器、76、80…増幅器、75、79…帯域通過フィルタ、81、82…PLL回路。

Claims (4)

  1. ディジタル放送信号を受信し、再送信するディジタルCATV再送信装置であって、
    第1の変調方式により変調された第1の伝送帯域幅を有するディジタル放送信号を受信する第1の受信手段と、
    第2の変調方式により変調された前記第1の伝送帯域幅と異なる第2の伝送帯域幅を有するディジタル放送信号を受信する第2の受信手段と、
    前記第1の受信手段により受信された第1の変調方式により変調されたディジタル放送信号を変調方式を変えずに第1の変調方式の信号として周波数多重し、前記第2の受信手段により受信された第2の変調方式により変調されたディジタル放送信号は、変調方式を変換し、前記第1の伝送帯域幅と同等の伝送帯域幅を有する第3の変調方式のディジタル放送信号として周波数多重する周波数多重手段と、
    を備えてなることを特徴とするディジタルCATV再送信装置。
  2. 前記第1の変調方式は、地上波放送におけるOFDM方式であることを特徴とする請求項1に記載のディジタルCATV再送信装置。
  3. 前記第2の変調方式は、QPSK方式であり、前記第3の変調方式は64QAM方式であることを特徴とする請求項1に記載のディジタルCATV再送信装置。
  4. 前記第1の受信手段により受信された信号の周波数変換を行なう周波数変換手段を備え、前記周波数多重手段は、前記周波数変換手段において周波数変換された信号を多重することを特徴とするディジタルCATV再送信装置。
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