JP3598709B2 - エンジンのトルク制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動力を制御する装置、つまりエンジントルクを制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジン制御装置としては、例えば特開平1−290934号公報に記載されるようなものがある。
また、エンジン制御装置として、いわゆる電制スロットル装置と称されるように、スロットル弁の開度を目標エンジントルクが得られるように電子制御するようにしたものがある。
【0003】
なお、前記電制スロットル装置と自動変速機とを兼ね備えた車両では、車両の走行条件に応じて車両の目標駆動力を設定し、該目標駆動力が得られるように、エンジンの目標トルクと、自動変速機の目標変速比とを設定して、エンジンと自動変速機とを協同して制御することも考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような電制スロットル装置を用いて、エンジンを目標トルクに制御しようとする場合、エンジン制御量とエンジントルクの関係データに基づき、エンジン制御量を決定しているが、一般的にエンジントルク (あるいは吸入空気量やシリンダ吸入空気量に相当する基本燃料噴射量) とエンジン制御量 (スロットル操作量等) の関係は、図15に示すように、高トルク領域では、制御量の変化量に対するトルクの変化量であるトルクゲインが小さくなる傾向がある。
【0005】
このように制御量の変化量に対するトルクゲインの小さい領域では、微小のトルク要求変化 (あるいは、演算処理上の誤差) に対して制御量が大きく変化するため、例えばスロットルアクチュエータに関しては、その動作変化量が大きくなり、耐久負荷が大きくなってしまう。また、スロットル開度を検出するためのスロットル開度センサにおいても、スロットルアクチュエータの動きに連動して、大きな速度で摺動を繰り返すため摩耗が厳しくなる等の問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、エンジン制御量に対するエンジントルクゲインに応じて、要求エンジントルクあるいはエンジン制御量のなまし処理度合いを変更することにより、微小な要求トルク変化での不要なエンジン制御量の変化を抑制することを第1の目的とする。
また、要求トルクの変化速度に応じて、上記なまし度合いを補正することにより、アクチュエータ等の耐久性とエンジントルクの応答性との両立を図ることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、図1に実線で示すように、
エンジンの目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
前記目標トルクが得られるように、エンジン制御量を制御するエンジントルク制御手段と、
を含んで構成されるエンジンのトルク制御装置において、
前記目標トルクまたはエンジン制御量を、所定の度合いでなまし処理するなまし処理手段と、
目標トルクに応じて定まるエンジン制御量付近におけるエンジン制御量変化に対するエンジントルク変化であるトルクゲインに応じて、前記なまし処理の度合いを設定するなまし度合い設定手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0008】
該請求項1の作用・効果を説明する。
目標トルク設定手段は、エンジンの目標トルクを設定し、なまし度合い設定手段によりエンジン制御量に対するエンジントルクのゲインに応じて設定されたなまし度合いを用いて、なまし度合い処理手段が目標トルク又はエンジン制御量をよりなまし処理する。
【0009】
エンジントルク制御手段は、前記目標トルクが得られるようにエンジン制御量を制御する。
ここで、高負荷領域のようにトルクゲインが小さいところでは、なまし度合いを大きくすることにより、微小な目標トルク変化での不要な動きを抑え、スロットルアクチュエータやスロットル開度センサの耐久性を向上できる。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、図1に一点鎖線で示すように、
前記目標トルクの変化状態を検出する目標トルク変化状態検出手段と、
前記検出された目標トルクの変化状態に応じて、前記設定されたなまし処理度合いを補正するなまし度合い補正手段と、
を含んでいることを特徴とする。
【0011】
該請求項2に係る発明によれば、
目標トルクの変化状態に応じて前記なまし度合いを補正するようにしたため、目標トルク変化に伴いなまし度合いが変化することによるエンジントルク制御の応答性の変化を抑制して、適切な応答性が得られるようになまし度合いを補正することで、エンジントルク制御の応答性との両立を図ることができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、
前記目標トルク変化状態検出手段は、目標トルクの増減方向を検出し、
前記なまし度合い補正手段は、目標トルクが増大するときは、変化後の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいて設定されたなまし度合いを減少補正することを特徴とする。
【0013】
該請求項3に係る発明によれば、
目標トルクが増大するときは、増大した目標トルクに基づいてなまし度合いを設定するとトルクゲインが減少するため、なまし度合い設定手段により設定されるなまし度合いは、微小な目標トルク変化によるエンジン制御量の変動を抑制するべく増大されることとなるが、そのままではエンジントルク増大の応答性が低下する。そこで、変化直後のなまし度合いを、なまし度合い補正手段で減少補正することにより、エンジン制御の応答性を両立することができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、
前記なまし度合い補正手段は、目標トルクが減少するときは、変化前の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいて設定されたなまし度合いを減少補正することを特徴とする。
該請求項4に係る発明によれば、
目標トルク減少前の目標トルクに基づいてなまし度合いを設定すると、なまし度合い設定手段により設定されるなまし度合いが大きく、減速応答性が低下することがあるので、なまし度合い補正手段によりなまし度合いを減少補正することにより、適切な減速応答性で減速制御することができる。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、
前記目標トルク変化状態検出手段は、目標トルクの増減方向を検出し、
前記なまし度合い設定手段は、前記目標トルクが増大するときは、変化前の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを設定し、目標トルクが減少するときは、変化後の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを設定することを特徴とする。
【0016】
該請求項5に係る発明によれば、
目標トルクが増大するときは、増大前の目標トルクに基づいてなまし度合いを設定することにより、なまし度合いの増大が防止されて加速応答性を確保でき、また、目標トルクが減少するときは、変化後の目標トルクに基づいてなまし度合いを設定することにより、なまし度合いが小さく設定されて減速応答性を確保できる。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、
前記なまし処理は、加重平均処理であることを特徴とする。
該請求項6に係る発明によれば、
なまし処理を加重平均処理で行うことにより、簡易で良好ななまし処理を行える。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、
エンジンは、スロットル弁の開度を目標値に制御するスロットル弁制御装置を備え、
前記エンジン制御量は、前記スロットル弁の開度制御量であることを特徴とする特徴とする
該請求項7に係る発明によれば、
スロットル弁の開度を制御することにより、容易でかつ広範囲にエンジントルクを制御することができる。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、
エンジンは、自動変速機と共に車両に搭載され、
車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段を備え、
前記目標トルク設定手段は、設定された車両の目標駆動力が得られるエンジンのトルクと自動変速機の変速比との組み合わせの中で、燃料噴射量が最小となる組み合わせにおけるエンジンのトルクを、目標トルクとして設定することを特徴とする特徴とする。
【0020】
該請求項8に係る発明によれば、
燃料消費量が最小となるように自動変速機の変速比との組み合わせでエンジンの目標トルクが設定されるため、可及的に経済的な走行が行える。
また、請求項9に係る発明は、
前目標駆動力設定手段は、ドライバーのアクセル操作量と車速とに応じて車両の目標駆動力を設定することを特徴とする。
【0021】
該請求項9に係る発明によれば、
ドライバーの意志に応じた加減速レベルを反映するアクセル操作量とその時の走行車速とに応じて車両の目標駆動力が設定されるため、ドライバーの意志に応じた加減速走行性を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るエンジンのトルク制御装置が適用された自動変速機付きの車両搭載エンジンにおけるエンジン−自動変速機の総合制御システムである。
【0023】
図2において、車両のアクセルペダル部分には、ドライバーのアクセル操作量 (アクセルペダルの踏込み量) を検出するアクセル操作量センサ1が設けられる。
エンジン2には、吸気系に図示しないスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ3が介装され、また、該エンジン2の回転速度を検出する回転速度センサ4が設けられる。
【0024】
トルクコンバータ付きの自動変速機5は、油圧回路の各種変速用の弁をシフトソレノイド6,7によって電磁駆動することにより変速動作が行われると共に、走行条件に応じて、ロックアップソレノイド8によりロックアップクラッチの作動を制御することにより、トルクコンバータのロックアップ制御が行われる。また、自動変速機5の出力軸の回転速度を検出することによって、車速を検出する車速センサ9が設けられる。
【0025】
上記各センサからの信号はコントロールユニット10に入力され、該コントロールユニット10は、後述する処理を行って前記スロットルアクチュエータ3を駆動してスロットル弁の開度を目標値に制御すると共に、前記シフトソレノイド6,7を制御して変速比を目標値に制御し、また、ロックアップソレノイド8を制御してロックアップ制御を行う。
【0026】
前記コントロールユニット10で行われる演算処理内容を機能的に分けると、目標駆動力設定部10aと、最適な組み合わせ選択部10bと、エンジン制御部10cと、自動変速機制御部10dと、を有する。
次に、上記システムの作用を項目別に説明する。
(目標駆動力の設定)
まず、車両の目標駆動力の設定について説明する。図3は、前記コントロールユニット10の目標駆動力設定部10aで行われる目標駆動力設定処理動作の流れを示すメインフローチャートである。
【0027】
ステップ20では、前記アクセル操作量センサ1からの信号に基づいて、アクセル操作量accel senが検出される。
このアクセル操作量accel senの検出は、図4のフローチャートに示すように、5ms周期でA/D変換されたアクセルセンサ1からの信号accel adを、全閉時の設定電圧ACCEL MINと、全開の設定電圧ACCEL MAXを用いて算出する。すなわち、accel ad≦ACCEL MINのときには、accel sen=0°に設定され、accel ad≧ACCEL MAXの時には80度に設定され (ステップ20a,20b) 、ACCEL MIN<accel ad≦ACCEL MAXのときには、アクセル操作量accel senが、下記の式を用いて算出される (ステップ20e) 。
【0028】
accel sen=80× (accel ad−ACCEL MIN) / (ACCEL MAX−ACCEL MIN)
図3に戻って、ステップ21では、前記車速センサ9からの信号に基づいて、車速vsp senが検出される。
この車速vsp senは、例えば、図5の車速の算出のフローチャートに示すように、自動変速機5の出力軸に設けられた車速センサ4から所定時間 (100ms) の間に発生するパルス数を計数して、下記の式により出力軸回転速度out revを算出し (ステップ21a,21b) 、この出力軸回転速度out revを用いて下記の式により算出される (ステップ21c) 。最後に、カウント値Cをクリアする (ステップ21d) 。
【0029】
out rev=k・C
vsp sen=V1000×out rev V1000:車両諸元により決まる係数
図3に戻って、ステップ22では、前記検出されたアクセル操作量accel senと、車速vsp senと、に対応した目標駆動力t toを算出する。
【0030】
この目標駆動力t toは、例えば、図6に示すように、アクセル操作量accel senに対応してゲインを算出し、図7に示すように、車速vsp senに対応して、実現可能な最大駆動力MAX TOと、実現可能な最小駆動力MIN TOと、を算出し、これらにより下記の式で算出される。
to=ゲイン× (MAX TO−MIN TO) +MIN TO
つまり、そのときの車速において実現可能な駆動力の範囲で、ドライバーの意志による駆動力のレベルを表すアクセル操作量に応じて、目標駆動力を設定するものである。
【0031】
または、動力性能と、運転のスムーズさと、を両立するため、図8に示すように、車速vsp senに対して実現可能な最大駆動力MAX TOと、車速vsp senとに対して実現可能な最小駆動力MIN TOと、最大駆動力MAX TO内で車速vsp senに対して駆動力のつながりをスムージングした駆動力SM MAX TOを算出し、図6で算出したアクセル操作量accel senが所定値SM ACCEL未満の時には、スムージング駆動力SM MAX TOと、最小駆動力MIN TOにより目標駆動力t toが下記の式で算出され、アクセル操作量accel senが所定値SM ACCEL以上の時には、前記同様に最大駆動力MAX TOと、最小駆動力MIN TOにより目標駆動力t toが下記の式で算出される。
【0032】
accel sen<SM ACCELのとき、
to=ゲイン× (SM MAX TO−MIN TO) +MIN TO
accel sen≧SM ACCELのとき、
to=ゲイン× (MAX TO−MIN TO) +MIN TO
(パワートレイン系の制御目標の設定)
次に、パワートレイン系の制御目標の設定について説明する。ここでは、エンジン3の制御目標、自動変速機5の制御目標の決定方法について説明する。なお、自動変速機5については、4速変速のものを用いて説明する。
【0033】
基本的には、前記目標駆動力t toを実現可能で、最も燃料消費量の少ないエンジン・自動変速機の状態の組み合わせを選択し、エンジン/自動変速機各々の制御目標とする。
図9は、コントロールユニット9の最適な組み合わせ選択部9bで行われるパワートレイン系の制御目標決定処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0034】
ステップ30では、前記図4で求められた目標駆動力t toと、車速センサ9からの信号による出力軸回転速度out revと、が読み込まれる。
ステップ31では、以下のループ処理の中で、最適な組み合わせを記憶するための変数 (best gear,best le,best ne,best te,best fuel) がクリアされる。
【0035】
ステップ32では、自動変速機の可能な組み合わせ (ギア位置:1〜4速、コンバータ/ロックアップ) を変更設定しつつ、以下のループ処理を行う。
ステップ33では、前記条件を満たすためのトルクコンバータのタービン回転速度Ntと、タービントルクTtとが、下記の式により算出される。なお、GEAR RATIOはギア比データ、GEAR ETAはギア効率データであり、各々ギア位置gpに対応し、予め設定されたデータである。
【0036】
Nt=out rev×GEAR RATIO
Tt=t to/ (GEAR RATIO×GEAR ETA)
ステップ34では、タービン回転速度Ntと、タービントルクTtと、トルクコンバータの特性と、により、必要なエンジン回転速度Neと、エンジントルクTeと、が算出される。トルクコンバータの特性は、図10 (イ) , (ロ) に示すように、予め設定しておく。また、ロックアップ条件の場合には、タービン回転速度Ntと、タービントルクTtとを、そのままエンジン回転速度Neと、エンジントルクTeと、に代入する。
【0037】
ステップ35では、前記エンジン回転速度Neと、エンジントルクTeとが、制御可能な範囲か否かをチェックし (詳細は後述) 、ステップ36では、制御範囲内であるか否かが判断され、範囲外である場合にはステップ32へ戻り、次候補の組み合わせでの演算を行う。範囲内であれば、ステップ37へ進む。
ステップ37では、前記エンジン回転速度Neと、エンジントルクTeと、燃料消費量fuelのデータにより、必要な燃料消費量feulが算出される。なお、燃料消費量データは、図10 (ハ) に示すように、予め設定されている。
【0038】
ステップ38では、best gear=0か否かが判断され、ステップ39では、燃料消費量feulが、最適な組み合わせでの燃料消費量best feul以下か否かが判断され、ステップ40では、上記変数 (best gear,best lu,best ne,best te,best fuel) が更新される。
【0039】
ステップ38でbest gearが0でないと判断され、かつ、ステップ39でfeul≦best fuelと判断されたときは、今回の組み合わせを最適なものとして更新する。
ステップ38でbest gearが0と判断されたときには、今回の組み合わせが初めての制御可能な組み合わせであるので、ステップ40へ進んで上記変数を更新する。即ち、ステップ32で設定されたギア位置,ロックアップの有無の組み合わせと、該組み合わせに応じてステップ34,ステップ37で算出されたエンジン回転数Ne,エンジントルクTe,燃料消費量feulの最新値が、それぞれ変数best gear,best lu,best ne,best te,best fuelとして更新される。
【0040】
ステップ38でbest gearが0でないと判断され、かつ、ステップ39でfeul>best fuelと判断されたときは、次候補での演算を行うために、ステップ32へ戻る。
そして、全ての組み合わせを演算終了した時点で、ステップ32からステップ41へと進み、ステップ41では、最適な組み合わせをエンジン・自動変速機への要求値n **として設定する。
【0041】
te=best te,n ne=best ne : エンジンへの要求値
gear=best gear,n lu=best lu : 自動変速機への要求値
(エンジン制御可能範囲のチェック)
ここで、前記エンジン制御可能範囲のチェック動作について説明する。
【0042】
図11は、上記ステップ35で行われる制御範囲のチェック処理動作の流れを示すフローチャートである。
ステップ35aでは、ステップ34で算出されたエンジン回転速度Neと、エンジントルクTeと、を入力する。
ステップ35b及びステップ35cでは、エンジン回転速度Neが制御可能な範囲NE MIN (下限回転速度) ≦Ne≦NE MAX (上限回転速度) であるか否かがチェックされる。
【0043】
ステップ35d及びステップ35eでは、エンジントルクTeが制御可能な範囲TE MIN (下限トルク) ≦Te≦TE MAX (上限トルク) であるか否かがチェックされる。
ステップ35b〜ステップ35eのいずれかで、制御可能な範囲外と判断されると、ステップ35gへ進み、NG判定が下される。また、ステップ35b〜ステップ35eの全てで制御可能な範囲内と判断されると、ステップ35fへ進み、OK判定が下される。
【0044】
なお、制御可能なトルク範囲を示すデータ (TE MIN、TE MAX) は、図12に示すように、予めエンジン回転速度Neに対応するデータとして設定されている。
以上のようにして求められたエンジンと自動変速機への要求値に従ってエンジン制御と自動変速機の制御とが行われる。
【0045】
(自動変速機の制御)
自動変速機の制御については、基本的には、従来の自動変速機の制御装置に対して、走行ギア位置、コンバータ状態の選択を変更する。
つまり、従来はスロットル開度と、車速と、予め設定されたスケジュールによって決定していたが、ここでは、前述した最適な組み合わせから選択された自動変速機への要求値 (n gear:ギア位置、n lu:コンバータ/ロックアップ) に従って、コントロールユニット9の自動変速機制御部9dにて変速制御及びロックアップ制御を行う。
【0046】
(エンジン制御)
エンジン制御については、前記要求値に従ったスロットル開度の制御を行い、燃料・点火等の制御については、従来のエンジン制御装置と同様にして行われる。
図13は、コントロールユニット9のエンジン制御部9cで行われるスロットル開度制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
ステップ50では、エンジンへの要求値 (n te:トルク、n ne:回転速度) が読み込まれる。
ステップ51では、要求エンジン回転速度n neと、要求エンジントルクn teとにより、エンジンとしての目標馬力t psが下記の式で算出される。自動変速機の変速が実際には遅れるため、エンジン側は実際のエンジン回転速度eng revで制御する構成とする。
【0048】
ps=k*n ne*n te k:係数
ステップ52では、現在のエンジン回転速度eng revを読み込む。なお、エンジン回転速度eng revは、例えば、図14に示すように、回転速度センサ3からの各気筒の位相行程間隔毎に出力される基準パルスが発生される毎に、タイマー値を読み込んだ後 (ステップ52a) 、リセットし (ステップ52b) 、前記読み込んだタイマー値に基づいて、エンジン回転速度eng revを算出する (ステップ52c) 、という手順に従って、前記基準パルスの発生周期を計測して算出する。
【0049】
ステップ53では、前記目標馬力t psと、現在のエンジン回転速度eng revと、により、エンジンとしての目標トルクt teを算出する。
te=k*t ps/eng rev
ステップ54では、前記目標トルクt teと、現在のエンジン回転速度eng revと、により、エンジン特性データ (TVO MAP) を用いて、スロットル弁開度を算出し、この値をスロットル弁開度の制御値t tvoとする。
【0050】
なお、エンジン特性データ (TVO MAP) は、図15に示すように、回転速度・トルクに対応した形で予め設定しておく。
ステップ55では、前記スロットル弁開度の制御値t tvoに対し、スロットルアクチュエータ3への指令電圧tvo outに変換される。
次に、本発明に係るエンジンの目標トルク、あるいは、エンジン制御量に対するなまし処理について、図16のフローチャートに従って説明する。
【0051】
なお、ここでは、エンジン制御量に対するなまし処理として説明するが、目標トルクに対するなまし処理の場合にも同様に行うことができる。
ステップ60では、前記ステップ53で算出された目標トルクt teを読み込む。
ステップ61では、前記ステップ52cで算出された現在のエンジン回転速度eng revを読み込む。
【0052】
ステップ62では、ステップ54で用いたエンジン特性データ (TVO_MAP)を用いて、前記目標トルクt_te,エンジン回転速度eng rev付近でのスロットル弁開度変化に対するトルクゲインΔteを算出する。
なお、トルクゲインΔteの算出方法は、上記条件を囲むマップの格子点上のデータの差分にて求める。但し、この他の方法を用いても構わないことは勿論である。
【0053】
ステップ63では、ステップ62で算出したトルクゲインΔteに対応したなまし度合いを算出する。
なまし度合いは、 17に示すように、トルクゲインΔteに対応したデータとして予め設定される。ここでのなまし処理は、加重平均により行うため、なまし度合いに対応するデータαは新値に対する重みであり、αが小さいほどなまし度合いは大きくなる。
【0054】
なお、前記重みαは、下記式のように、トルクゲインΔteに係数を乗じる形で求めても構わない。
α=k×Δte
ステップ64では、今回の目標トルクt teと、前回の目標トルクt te’より目標トルクの変化速度Δt teを算出する。
【0055】
Δt te=(t te) −(t te’)
ステップ65では、目標トルク変化速度Δt teに応じて、前記重みαの補正を行い、最終的な重みα1を決定する。
α1=β×α
なお、α1は1以下とする。また、βは目標トルク変化速度Δt teに応じた重みの補正係数であり、変化速度Δt teに応じて、以下のような範囲に設定する。
【0056】
Δt te>0のときβ>1(なまし度合い減少補正)
Δt te=0のときβ=1
Δt te<0のとき0<β<1(なまし度合い増大補正)
ステップ66では、ステップ54で算出されたスロットル弁開度t tvoと、前回のスロットル弁開度制御量t tvo’と、上記重みα1と、により、今回のスロットル指令値t tvo (最終) を算出する。
【0057】
tvo (最終) =α1×t tvo+ (1−α1) ×t tvo’
なお、ここまで、なまし度合いの基本値を算出する上で、今回の目標トルク近傍のトルクゲインを用いてきたが、前回のスロットル弁開度制御量、前回の目標トルク近傍のトルクゲインを用いても構わない。
トルクゲインを今回の目標トルクを基に求める場合は、目標トルクが増大する方向に変化した場合、なまし度合いが大きくなるため、応答性が悪化するが、前回の状態を基に算出した場合には、そのような遅れが発生しなくなる。但し、トルクを小さくする場合は、逆の方向となる。この場合は、目標トルク変化速度Δt teに応じたなまし度合いの補正係数β’を変化速度Δt teに応じて、以下のような範囲に設定する。
【0058】
Δt te>0のとき0<β’<1
Δt te=0のときβ’=1
Δt te<0のときβ’>1
また、目標トルクの変化方向により、なまし度合いを決定するためのトルクゲインを前回の値を用いるか、今回の値を用いるかを、以下のように選択する方式としてもよい。
【0059】
Δt te≧0のときは、トルク増大の応答性を確保すべく前回(目標トルク変化前) の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを求める。
Δt te<0のときは、トルク減少の応答性を確保すべく今回(目標トルク変化後) の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを求める。
なお、この場合には、前記βによるなまし度合いαの補正は不要である。
【0060】
以上説明したきた実施形態にあっては、まず、エンジン制御量に対するエンジントルクゲインに応じて、目標トルクあるいはエンジン制御量のなまし度合いを変更することにより、高負荷領域での微小な要求トルク変化での不要な動きを抑え、スロットルアクチュエータやスロットル開度センサの耐久性を向上できると共に、目標トルク変化に応じて前記なまし度合いを補正し、あるいは目標トルク変化前後のいずれかのトルクゲインに基づくなまし度合いを選択することにより、エンジントルク制御の応答性との両立を図ることができる。
【0061】
また、実施形態を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は以上の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態では、エンジンと有段変速機との組み合わせによるパワートレインへの適用例を示したが、エンジンと無段変速機との組み合わせによるパワートレインが搭載された車両にも適用することができる。
【0062】
また、実施形態では、エンジントルク制御手段として、スロットルアクチュエータを用いたが、点火時期で制御するものでも適用でき、この場合は耐久性よりも、不要な点火時期変化によりコイルへの十分な蓄電のための通電時間が確保できず、燃焼不安定な状態になることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジントルク制御装置のクレーム対応図。
【図2】本発明の実施形態に係るエンジントルク制御装置が搭載されたエンジン−自動変速機の総合制御システム図。
【図3】同上実施形態の目標駆動力設定処理を示すフローチャート。
【図4】同じくアクセル操作量算出のフローチャート。
【図5】同じく車速算出のフローチャート。
【図6】アクセル操作量に対するゲイン特性図。
【図7】車速に対する駆動力特性図。
【図8】車速に対する別の駆動力特性図。
【図9】目標駆動力に対するパワートレイン系への要求設定処理のフローチャート。
【図10】パワートレイン系への要求設定処理で用いられるデータマップ。
【図11】エンジン制御可能範囲チェック処理のフローチャート。
【図12】エンジントルク及びエンジン回転速度の制御可能範囲マップ。
【図13】スロットル開度制御動作のフローチャート。
【図14】エンジン回転速度計測処理のフローチャート。
【図15】エンジン回転速度−スロットル開度−エンジントルクの関係を示すマップ。
【図16】スロットル開度なまし処理のフローチャート。
【図17】トルクゲイン−なまし度合いの関係を示すマップ。
【符号の説明】
1 アクセル操作量センサ
2 エンジン
3 スロットルアクチュエータ
4 回転速度センサ
5 自動変速機
8 ロックアップソレノイド
9 車速センサ
10 コントロールユニット
10a 目標駆動力設定部
10b 組み合わせ選択部
10c エンジン制御部
10d 自動変速機制御部

Claims (9)

  1. エンジンの目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記目標トルクが得られるように、エンジン制御量を制御するエンジントルク制御手段と、
    を含んで構成されるエンジンのトルク制御装置において、
    前記目標トルクまたはエンジン制御量を、所定の度合いでなまし処理するなまし処理手段と、
    目標トルクに応じて定まるエンジン制御量付近におけるエンジン制御量変化に対するエンジントルク変化であるトルクゲインに応じて、前記なまし処理の度合いを設定するなまし度合い設定手段と、を含んで構成されることを特徴とするエンジンのトルク制御装置。
  2. 前記目標トルクの変化状態を検出する目標トルク変化状態検出手段と、
    前記検出された目標トルクの変化状態に応じて、前記設定されたなまし処理度合いを補正するなまし度合い補正手段と、
    を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのトルク制御装置。
  3. 前記目標トルク変化状態検出手段は、目標トルクの増減方向を検出し、
    前記なまし度合い補正手段は、目標トルクが増大するときは、変化後の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいて設定されたなまし度合いを減少補正することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのトルク制御装置。
  4. 前記なまし度合い補正手段は、目標トルクが減少するときは、変化前の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいて設定されたなまし度合いを減少補正することを特徴とする請求項3に記載のエンジンのトルク制御装置。
  5. 前記目標トルク変化状態検出手段は、目標トルクの増減方向を検出し、
    前記なまし度合い設定手段は、前記目標トルクが増大するときは、変化前の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを設定し、目標トルクが減少するときは、変化後の目標トルク近傍のトルクゲインに基づいてなまし度合いを設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのトルク制御装置。
  6. 前記なまし処理は、加重平均処理であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のエンジンのトルク制御装置。
  7. エンジンは、スロットル弁の開度を目標値に制御するスロットル弁制御装置を備え、
    前記エンジン制御量は、前記スロットル弁の開度制御量であることを特徴とする特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエンジンのトルク制御装置。
  8. エンジンは、自動変速機と共に車両に搭載され、
    車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段を備え、
    前記目標トルク設定手段は、設定された車両の目標駆動力が得られるエンジンのトルクと自動変速機の変速比との組み合わせの中で、燃料噴射量が最小となる組み合わせにおけるエンジンのトルクを、目標トルクとして設定することを特徴とする特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のエンジンのトルク制御装置。
  9. 前目標駆動力設定手段は、ドライバーのアクセル操作量と車速とに応じて車両の目標駆動力を設定することを特徴とする請求項8に記載のエンジンのトルク制御装置。
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