JP3598633B2 - 車両外装部品用樹脂組成物および車両外装部品 - Google Patents

車両外装部品用樹脂組成物および車両外装部品 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は優れた剛性、耐熱性と耐衝撃性、靭性を合わせ持つ車両外装部品用樹脂組成物および車両外装部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両外装部品、とりわけ自動車外装部品に各種のプラスチック材料が使用されるようになったが、プラスチックを使用した、樹脂外板、ホイールキャップ、スポイラー等に代表される自動車外装部品に対する高性能化に対する要求は一層高まりつつある。例えば自動車用樹脂外板についていえば、高いレベルの寸法安定性、塗装耐熱性、耐衝撃性が求められ、ホイールキャップについても、耐衝撃性、低反り、耐熱性が要求されている。それに加えて、車両外装部品に対する軽量化も求められ、軽量化のためには剛性を向上させ、薄肉化する必要がある。それに対応して車両外装部品用の熱可塑性樹脂材料の特性を改良する試みが行なわれているが全ての特性を満足させるのは困難な課題である。
【0003】
例えば、部品の衝撃強度を高める目的でエラストマ成分を配合した材料を成形した場合には、耐熱性や剛性が損なわれたものしか得られず、逆に部品の耐熱性や剛性を高めるために種々の無機充填剤や強化剤を配合した材料を成形した場合にはIzod衝撃強度や、面衝撃強度が損なわれるため、衝撃強度と耐熱性あるいは剛性を同時に改良した車両外装部品を得ることは困難である。
【0004】
また、ガラス繊維などの繊維状強化剤を配合した材料を成形することにより、剛性および耐熱性に優れ、同時にIzod衝撃強度が向上した部品が得られるが、この方法で得られる部品は面衝撃強度は非強化系に比べ逆に低下するうえ、伸度の低下や機械的特性の異方性の発現など車両外装部品にとって必ずしも好ましいものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上述の問題を解消すること即ち、衝撃強度、破断伸びと耐熱性、剛性という相反する特性を同時に改良し、その上、機械的特性の異方性の小さい、寸法安定性に優れた車両外装部品を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、無機質充填剤(B)および−20℃以下のガラス転移温度を有する弾性重合体(C)の3成分からなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)をマトリクス樹脂とし、かつ弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在している分散粒子の割合が30%以上であることを特徴とする車両外装部品用樹脂組成物(ただし上記において弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち無機質充填材(B)と界面を接する形で存在する分散粒子の割合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価するものとする)、それからなる車両外装部品および少なくとも熱可塑性樹脂(A)22〜89.8重量%と、無機質充填剤(B)60〜10重量%および−20℃以下のガラス転移温度を有する弾性重合体(C)18〜0.2重量%の3成分からなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)をマトリクス樹脂とし、かつ前記樹脂組成物中の弾性重合体(C)の分散粒子のうち、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在している分散粒子の割合が30%以上であることを特徴とする樹脂組成物からなる車両外装部品(ただし上記において弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち無機質充填材(B)と界面を接する形で存在する分散粒子の割合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価するものとする)である。
【0008】
本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)とは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂であって、加熱により溶融成形可能な樹脂を意味し、融点を有する樹脂の場合、その融点は、150℃以上のものが好ましく、180℃以上のものが好ましい。融点を有しない樹脂の場合、ガラス転移温度100℃以上であるものを好ましく選択できる。
【0009】
また熱可塑性樹脂(A)はそれ単体で、ASTM D790法に従い、測定した成形品の曲げ弾性率が1.5GPa以上のものが好ましく、2.0GPa以上のものがより好ましい。
【0011】
ここでいうポリエステル樹脂とは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する熱可塑性のポリエステルで、通常芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体であり、液晶性のものであっても非液晶性のものであってもよい。
【0012】
ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、4,4”−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などであり、なかでもテレフタル酸が好ましく使用できる。
【0013】
これらの芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して使用してもよい。なお20モル%以下の少量であれば、これらの芳香族ジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸を一種以上混合使用してもよい。
【0014】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジオールおよびこれらの混合物などが挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを一種以上共重合せしめてもよい。
【0015】
また、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸などが挙げられる。
【0016】
本発明の目的に適したポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレン−4,4’−ジカルボキシレート/テレフタレート、p−オキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p−オキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのような共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的性質、成形性などのバランスの点でポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましく使用できる。
【0017】
本発明において特に好ましく使用できる芳香族ポリエステルの内、ポリブチレンテレフタレートは0.5W/V%のo−クロロフェノール溶液中で25℃において測定した固有粘度が、0.80〜1.9、特に1.0〜1.5の範囲のものが好ましく、また、ポリエチレンテレフタレートの場合は上記と同条件で測定した固有粘度が0.36〜1.60、特に0.52〜1.35の範囲のものが好ましい。
【0018】
ポリアミド樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリアミド樹脂としてはナイロン6、ナイロン6・6が挙げられる。
【0019】
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては架橋タイプ、直鎖タイプのいずれも用いることができる。
【0020】
本発明に使用する無機質充填剤(B)とは通常樹脂の充填剤として使用される繊維状、粒状あるいは板状の無機物をさす。繊維状の無機質充填剤の好ましい例としてはガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、銅繊維、スチール繊維、ボロンウィスカー繊維、炭素繊維などが挙げられる。また、粒状、粉状および板状の無機質充填剤の好ましい例としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、ガラスミルドファイバー、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サロヤンなどが挙げられ、これらは中空であってもよい(例えば、中空ガラス繊維、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーンなど)。
【0021】
本発明に使用する無機質充填剤としては粒状および/または板状のものがとりわけ好ましく、これらのうち特に好ましいものの例として板状のタルク、マイカ、クレー、カオリンが挙げられる。
【0022】
また、粒状および/または板状の無機質充填剤としては沈降法で測定した平均粒子径が2μ以下のものがとりわけ好ましく使用できる。
【0023】
これら無機質充填剤はシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されているものが好ましく、特にシラン系カップリング剤で処理されているものが好ましく使用できる。
【0024】
好ましいシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を例示することができ、特にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0025】
次に、本発明に使用する−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)としては、ガラス転移温度(ここでは示差走査熱量測定法により昇温速度10℃/分で得られる値として定義する)が−20℃以下であるものであり、23℃においてJIS K−6301法に従い測定した100%モジュラスが100MPa以下のものが好ましく、50MPa以下のものがより好ましい。また、弾性重合体(C)の重量平均分子量は5000以上であることが好ましい。
【0026】
弾性重合体(C)の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した値を用いる。
【0028】
ここでいうエチレン系重合体としては、エチレンと他の単量体との共重合体および多元共重合体をさし、エチレンと共重合する他の単量体としては炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などの中から選択することができる。
【0029】
炭素数3以上のα−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、プロピレン、ブテン−1が好ましく使用できる。非共役ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−クロチル−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−ビニルノルボルネンなどのノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン、1,5−シクロオクタジエン、1,4−ヘキサジエン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエンなどであり、好ましくは5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられ、その誘導体としてはアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドを例として挙げることができる。
【0036】
これらの弾性重合体のガラス転移温度は−20℃以下である必要があり、−30℃以下であることがより好ましい。−20℃より高い場合は低温時の耐衝撃性が十分ではなく、本発明の目的を達成することができない。
【0037】
上記−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)は2種以上併用することも可能であり、その一部または全部に、種々の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体をグラフト反応あるいは共重合して得られるエラストマも好ましく使用することができる。この場合、弾性重合体(C)全体に対して、グラフト反応あるいは共重合されている不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体の量は0.01〜20重量%が好ましい。グラフト反応あるいは共重合に用いる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸等が挙げられる。また、それらの誘導体としては、アルキルエステル、グリシジルエステル、ジ−またトリ−アルコキシシリル基を有するエステル、酸無水物またはイミド等が挙げられ、これらの中で、グリシジルエステル、ジ−またトリ−アルコキシシリル基を有する不飽和カルボン酸エステル、酸無水物、イミドがより好ましい。
【0038】
不飽和カルボン酸またはその誘導体の好ましい例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジルエステル、シトラコン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸モノグリシジルエステル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸イミド、イタコン酸イミド、シトラコン酸イミド等であり、特にメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸イミドが好ましく使用できる。また、ビニル単量体の例としてはスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物を例示することができ、これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体は2種以上を併用してもよい。
【0039】
ここでマレイン酸などの不飽和カルボン酸をグラフト反応や共重合する意義は、弾性重合体(C)に強化しようとする樹脂との間に親和性をもたせたり、あるいは化学反応を生ぜしめるための官能基を導入することができる点にある。したがって、強化しようとする樹脂に応じて上記不飽和カルボン酸以外のものも適宜用いることにいより好ましい結果が得られる。
【0040】
なお、これら不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体をグラフト反応させる方法については公知の手法を用いることができる。
【0041】
本発明の車両外装部品を得るための組成物を構成する上記(A)熱可塑性樹脂、(B)無機質充填剤および(C)−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体の組成比は、全組成物を100とした場合、(A)熱可塑性樹脂が22〜89.8重量%、(B)無機質充填剤が60〜10重量%および(C)弾性重合体が、18〜0.2重量%が好ましく、特に(A)熱可塑性樹脂が45〜86.5重量%、(B)無機質充填剤が45〜12重量%および(C)弾性重合体が、10〜1.5重量%が好ましい。
【0042】
また、本発明の車両外装部品を得るための組成物においては組成物中の弾性重合体(C)の分散粒子のうち30%以上が該無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在する必要があり、50%以上が好ましい。(A)、(B)、(C)からなる該組成物においては通常、熱可塑性樹脂(A)がマトリクス樹脂となり、(C)弾性重合体は熱可塑性樹脂(A)とは完全には相溶せず、独立した分散相を形成する。ここでは、少なくとも分散粒子の一部分が(B)無機質充填剤と界面を接する形で存在している(C)成分の分散相(分散粒子)の割合が(C)成分全体の30%以上(好ましくは50%以上)存在することを意味する。ただし、評価方法としては透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について観察し、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価したものである。この際に、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在する弾性重合体(C)の分散形態としては図1a〜dに示すような形態を例示することができる。図1a〜dは(B)成分と(C)成分の界面を接する種々の例を示した断面図であり、熱可塑性樹脂1のマトリクス中に無機質充填剤2が弾性重合体3と界面を接するかたちで存在している。逆に、本発明において無機充填剤(B)と全く界面を接することのなく、熱可塑性樹脂中に独立して存在する弾性重合体(C)の分散粒子が70%未満であることが必要であり、50%未満が好ましい。
【0043】
また、本発明の車両外装部品を得るための組成物において得られる車両外装部品の機械的性質の点から無機質充填剤(B)と弾性重合体(C)の合計に対して弾性重合体の占める比率は2〜40重量%が好ましく、5〜35重量%がより好ましい。
【0044】
本発明の車両外装部品の特徴は衝撃強度と剛性が均衡して優れている点であり、本発明の典型的な効果を持つ車両外装部品を与える組成物としては以下に示す特性を満足するものが特に好ましい。
【0045】
室温(23℃)下における衝撃強度(ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みのノッチ付きIzod衝撃強度)Sc と曲げ弾性率(ASTM D790の試験法に従い測定した曲げ弾性率)MC の関係は式1の不等式を満足するものが好ましい。
【0046】
(式1)
Mc >M0
Mc <0.07Sc −1.6
(ただし、M0 は熱可塑性樹脂(A)単体の射出成形品をASTM D790の試験法に従い測定した、23℃における曲げ弾性率を示し、Mc 、M0 の単位はGPa、Sc の単位はJ/mである。)
また、本発明に使用する組成物中の無機質充填剤(B)成分を等重量の熱可塑性樹脂(A)成分に置換した樹脂組成物(実質的に(A)熱可塑性樹脂および(C)弾性重合体の2成分からなる組成物)よりも高い衝撃強度(ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度)、特に200%以上高い衝撃強度を有するものが好ましい。
【0047】
本発明の特徴の一つは上記無機質充填剤の添加により衝撃強度が増大する点にあり、無機質充填剤(B)の添加量XB (重量%)と射出成形品の23℃における同上測定法による1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(SC )とが下記式2の不等式を満足することが望ましく、式3の不等式を満足することがより好ましい。また、さらに好ましくは式4の不等式を満足することである。
【0048】
(式2)
Sc >1.65XB +S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
(式3)
Sc >1.65XB +1.2S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
(式4)
Sc >1.65XB +1.5S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
本発明に使用する組成物は上記弾性重合体(C)の添加により衝撃強度が増大するが、その効果は通常のポリマブレンドによる高衝撃プラスチックよりも大きく、弾性重合体(C)の添加量XC (重量%)と組成物の射出成形品の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みのノッチ付きIzod衝撃強度(SC )とが下記式5の不等式を満足することが望ましく、式6の不等式を満足することがより好ましい。また、さらに好ましくは式7の不等式を満足することであり、式8の不等式を満足するものが最も好ましい。
【0049】
(式5)
Sc >0.86XC +1.3S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
(式6)
Sc >4.5XC +1.3S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
(式7)
Sc >4.5XC +1.8S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
(式8)
Sc >4.5XC +2.2S0
(ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における、ASTM D256の試験法に従い測定した1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
本発明に使用する樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、上述のとおり、本発明の車両外装部品を得るための組成物においては弾性重合体(C)の添加量のうち、30%以上、好ましくは50%以上が該無機充填剤(B)と界面を接する形で存在する必要があり、このような各構成成分の構造の制御を行なうことが可能な方法が好ましく使用できる。
【0050】
例えば、無機質充填剤(B)の表面を弾性重合体(C)成分で被覆処理した後、熱可塑性樹脂(A)に添加する方法、無機質充填剤(B)と弾性重合体(C)成分を予め弾性重合体が溶融状態となる温度で混練した後、該混合物を熱可塑性樹脂(A)と再度混練する方法、無機質充填剤(B)の存在下で弾性重合体(C)成分を構成する単量体成分を重合被覆した後に熱可塑性樹脂(A)混練する方法などが挙げられる。
【0051】
上記の無機質充填剤(B)表面の弾性重合体(C)成分による被覆処理に際しては、弾性重合体(C)成分を溶媒に溶解させた溶液により無機質充填剤(B)の表面を被覆処理することも好ましい。また、無機質充填剤(B)と弾性重合体(C)成分を予め溶融混練する場合には単軸、または二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなど通常公知の溶融混合機を使用することができる。
【0052】
さらに、予め弾性重合体(C)成分により表面被覆処理を行なった無機質充填剤(B)あるいは弾性重合体(C)成分と無機質重合体(B)を予め溶融混練したものを熱可塑性樹脂(A)に混練する際にも同様の公知の方法が使用できる。
【0053】
本発明に使用する組成物においては、弾性重合体(C)の添加量のうち、30重量%以上、好ましくは50重量%以上が該無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在する必要があるため、無機質充填剤(B)表面と弾性重合体(C)の間の接着性、密着性が高い方が好ましい。
【0054】
接着性を高める方法として、無機質充填剤(B)の表面にシランカップリング剤等でカップリング処理を行ない、種々の有機基や反応性基を導入することは有効である。さらに、導入した有機基と親和性、反応性を有する官能基を有する弾性重合体(C)を使用することにより、一層優れた界面での接着性が得られる。
【0055】
また、被覆処理方法として、無機質充填剤(B)の存在下で弾性重合体(C)の原料となる単量体を重合する方法も、界面での優れた接着性が得られる。この際には無機質充填剤(B)はカップリング剤により処理されていてもされていなくてもよい。重合は、例えば乳化重合など、弾性重合体に適した方法で行なうことができる。その際、無機充填剤は反応系で均一に分散された状態で行なうことが好ましい。とりわけ、無機質充填剤の(B)を水系溶媒中で乳化状態とし、弾性重合体(C)成分を乳化重合することにより被覆する方法が好ましい。この重合する方法においては、ラジカル発生剤、界面活性剤などを適宜用いることもできる。
【0056】
弾性重合体で被覆処理した無機質充填剤を熱可塑性樹脂に添加、あるいは両者を溶融混練する際には反応性の相容性改質剤の存在下で行うことが好ましい。
【0057】
上記反応性の相容性改質剤とは、無機質充填剤と界面を接し、好ましくは無機質充填剤と接着した弾性重合体(C)と熱可塑性樹脂(A)の相容性を改善可能なものであり、熱可塑性樹脂(A)と弾性重合体(C)と相互に化学結合を形成可能な官能基を有するものを指す。化学結合としては前記弾性重合体(C)において説明したものと同様である。具体的には、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、酸無水物基、酸塩化物基、エポキシ基、イソシアネート基、エステル基、炭素−炭素不飽和結合等を分子中に含むものである。これらの官能基の反応には触媒を必要とするものも含まれる。この反応性の相溶性改質剤は分子内にさらに炭素−炭素二重結合を有していることが好ましい。
【0058】
このような反応性の相容性改質剤の好ましい例として、分子中に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和カルボン酸またはその誘導体が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などであり、その誘導体としては、グリシジルエステル、酸無水物、酸塩化物を例として挙げることができる。反応性の相容性改質剤としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物などの酸無水物、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステルを特に好ましい例として挙げることができる。
【0059】
弾性重合体で被覆処理された無機質充填剤を熱可塑性樹脂に添加、溶融混練する際に反応性の相溶性改質剤を添加する方法としては溶融混合、あるいは溶融混練を反応性の相容性改質剤の存在下で行えばよい。この工程においては、通常の公知の溶融混練装置、即ち単軸、または二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどを使用することができる。
【0060】
この工程においては反応性の相溶性改質剤とともに、反応性の相溶性改質剤の反応を促進する化合物、触媒を添加するのが好ましい。具体例としては、いわゆるラジカル開始剤が挙げられ、なかでも有機過酸化物が好ましい。この有機過酸化物は、熱可塑性樹脂(A)と弾性重合体で被覆処理された無機質充填剤の溶融混合、溶融混練条件により適宜選択するのが好ましいが、その好ましい具体例として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等を開示できる。
【0061】
使用する反応性の相容性改質剤の添加量は、無機質充填剤(B)と弾性重合体(C)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜3.0重量部がより好ましい。また、特に、この工程において反応性の相溶性改良剤とともにラジカル開始剤を使用する際は、無機質充填剤(B)と弾性重合体(C)の合計100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部が特に好ましい。
【0062】
なお、本発明の車両外装部品に使用する組成物に対して本発明の目的に対してその特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、離型剤、染料および顔料を含む着色剤、核剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
【0063】
本発明の車両外装部品は上記組成物を射出成形、押出成形など通常の方法で成形することにより得られ、高い耐衝撃特性と剛性、優れた耐熱性を併せ持つうえ、異方性が小さく、反りが小さいという特徴を有し、自動車のみならず、オートバイ、自転車、乗用玩具、荷車など、乗用あるいは荷物用の種々の車両外装部品として極めて有効である。自動車外装部品としては、フェンダー、バンパー、バンパーフェイシャー等の樹脂外板、ホイールキャップ、スポイラー、スキーキャリアーなどの車外搭載荷物保持用治具、車外搭載用トランク、トラックなどの風防等およびその部品が挙げられ、オートバイとしてはカウリング、フェンダー等の各種カバー類、ガソリンタンク等、自転車としては泥除け等が挙げられる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0065】
参考例1(無水マレイン酸変性EPRの製造)
エチレン/プロピレン共重合体(三井石油化学(株)製P0680)100重量部に対し、無水マレイン酸2重量部および2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン(日本油脂(株)製パーヘキサ25B)0.7重量部を添加し、リボンブレンダで均一に混合した後、シリンダ温度210℃に設定した30mmφの二軸押出機に供給し、無水マレイン酸変性EPRペレット(C−1)を得た。(C−1)のガラス転移温度は−42℃、重量平均分子量は1万以上であった。100%モジュラスは3.6MPaであった。
【0066】
実施例1
タルク(富士タルク(株)製LMS300)に対し、1重量%のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、常法によりカップリング処理を行なった。カップリング処理済みのタルク(B−1)70重量部と無水マレイン酸変性EPR(C−1)30重量部をシリンダ温度200℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、タルクと無水マレイン酸変性EPRからなる組成物ペレット(P−1)を得た。
【0067】
次に、乾燥した上記ペレット(P−1)25重量部とナイロン6(濃硫酸中、25℃で測定した相対粘度:2.75、ASTM D790法に従い、測定した曲げ弾性率:2.7GPa、融点:221℃)75重量部をシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRの分散粒子のうち約60%がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0068】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、シリンダ温度250℃、金型温度80℃で1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0069】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率3.0GPa、曲げ強度93MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は105J/mと高い値を示した。
【0070】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、205℃であった。
【0071】
さらに、13インチ径の自動車用フルホイールキャップ金型を用い、上記と同様の温度条件でホイールキャップを成形した。得られたホイールキャップは外観が良好で、反りは認められなかった。ホイールキャップの薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、島津製作所(株)製サーボパルサEHF−U2H−20L型高速面衝撃試験機を用い、23℃で、ポンチ先端径5/8”、衝突速度2.5m/sで試験を行なった。その結果、破壊エネルギーは5.3J、最大撓みは13.0mmであり、試験数10の6個が延性破壊した。ここでいう延性破壊とはポンチの衝突部が塑性変形し、貫通孔が生成するが、試験片全体には亀裂が生成せず、飛散せずに破壊する状態をいう。
【0072】
実施例2
実施例1と同条件でカップリング処理を行なったタルクと無水マレイン酸変性EPRからなる組成物ペレット(P−1)45重量部と実施例1で用いたものと同じナイロン6 55重量部をシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRの分散粒子のうち約55%がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0073】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同じ条件で成形を行ない、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0074】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率2.8GPa、曲げ強度81MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は139J/mと高い値を示した。
【0075】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、199℃であった。
【0076】
さらに、上記実施例1と同様ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、破壊エネルギーは5.4J、最大撓みは14.5mmであり、試験数10のうち5個が延性破壊した。
【0077】
実施例3
タルク(富士タルク(株)製LMS300)70重量部とシラン変性EEA (三井ポリケミカル(株)製HPR AS252、ガラス転移温度−34℃、100%モジュラス4.6MPa)(C−2)30重量部をシリンダ温度150℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、タルクとシラン変性EEAからなる組成物ペレット(P−2)を得た。
【0078】
次に、乾燥した上記ペレット(P−2)25重量部と実施例1で用いたものと同じナイロン6 75重量部をシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRの分散粒子のうち約72%がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0079】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、シリンダ温度250℃、金型温度80℃で1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および、1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0080】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率2.9GPa、曲げ強度90MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は102J/mと高い値を示した。
【0081】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、193℃であった。
【0082】
さらに、上記実施例1と同様ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、破壊エネルギーは4.3J、最大撓みは11.8mmであり、試験数10のうち3個が延性破壊した。
【0083】
実施例4
参考例1で得られた無水マレイン酸変性EPR(C−1)125重量部を60℃に加熱したキシレン2500重量部にガラスフラスコ中で溶解させ、超音波洗浄器を用い、フラスコ全体に超音波を照射しながら実施例1で使用したカップリング処理済みのタルク(B−1)100重量部を徐々に投入し、100℃で1時間撹拌を続けた。
【0084】
得られた混合溶液を遠心分離し、沈降したタルク−EPR複合物を分離乾燥した。得られたタルク−EPR複合物中のEPR含有率を熱重量分析により求めたところ6.5重量%であった。この乾燥したタルク−EPR複合物20重量部と実施例1で用いたものと同じナイロン6 80重量部をシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。
【0085】
次に、得られた組成物ペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRの分散粒子のうち約82%がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0086】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同じ条件で成形を行ない、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0087】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率3.7GPa、曲げ強度108MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は146J/mと高い値を示した。
【0088】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、202℃であった。
【0089】
さらに、上記実施例1と同様ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、破壊エネルギーは3.8J、最大撓みは12.5mmであり、試験数10のうち3個が延性破壊した。
【0090】
比較例1
実施例1と同条件でカップリング処理を行なったタルク(B−1)31.5重量部、参考例1で得た無水マレイン酸変性EPR(C−1)13.5重量部および実施例1で用いたものと同じナイロン6 55重量部を同時にシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。ペレット中の各構成成分の組成比は実質的に実施例2と同じである。得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRはナイロン6中に単独の粒子として分散しており、タルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在しているものは面積で10%以下であった。
【0091】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同条件で射出成形し、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および、1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0092】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率4.1GPa、曲げ強度82MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は60J/mと実施例2に比べ低いことが分かった。
【0093】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、199℃で実施例2と等しかった。
【0094】
さらに、上記実施例1と同様にホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、破壊エネルギーは2.0J、最大撓みは6.8mmであり、試験数10のうち全数が脆性に破壊し、試験片は飛散した。実施例2と比較して脆いことが分かった。
【0095】
比較例2
実施例1と同条件でカップリング処理を行なったタルク(B−1)18.7重量部、参考例1で得た無水マレイン酸変性EPR(C−1)1.3重量部および実施例1で用いたものと同じナイロン6 80重量部を同時にシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。ペレット中の各構成成分の組成比は実質的に実施例4と同じである。得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体成分として使用した無水マレイン酸変性EPRはナイロン6中に単独の粒子として分散しており、タルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在しているものは殆ど皆無であった。
【0096】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同条件で射出成形し、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0097】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率4.2GPa、曲げ強度113MPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は40J/mと実施例4に比べ低いことが分かった。
【0098】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、202℃で実施例4と等しかった。
【0099】
さらに、上記実施例1と同様ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、破壊エネルギーは1.6J、最大撓みは6.7mmであり、試験数10のうち全数が脆性に破壊し、試験片は飛散した。実施例4と比較して脆いことが分かった。
【0100】
実施例5〜10、比較例3〜9
表1に示す各種のタルク、ガラス繊維、弾性重合体および熱可塑性樹脂を第1表に記載の方法で複合化することにより組成物を製造した。用いたナイロン6およびポリブチレンテレフタレート(PBT)の曲げ弾性率はそれぞれ2.7GPa、2.5GPaであった。またPBTの融点は225℃であった。これら組成物を実施例1と同様の条件で成形し、成形品の物性評価を行なった。結果を表2に示す。
【0101】
比較例10
実施例10で用いたPBT樹脂(A−2)を射出成形機に供し、実施例1と同条件で射出成形し、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片、1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0102】
棒状試験片を用い曲げ試験を行ったところ、曲げ弾性率2.5GPa,曲げ強度90MPaであった。さらに衝撃試験片にカットノッチをつけIzod衝撃試験を行ったところ衝撃値は45J/mであった。
【0103】
また棒状試験片を用い、低荷重(455KPa)の荷重撓み温度の測定を行ったところ172℃であった。
【0104】
【表1】
Figure 0003598633
【0105】
【表2】
Figure 0003598633
【0106】
実施例11
平均粒径1.4μmのタルク(富士タルク(株)製LMS300)1kgに対し、14.25gのγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製SZ−6030)および触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)0.75gを100gのメタノールで希釈した処理溶液を均一に噴霧し、ヘンシェルミキサーを用い、30分間撹拌後、得られた混合物を130℃で12h熱処理することによりカップリング処理済タルクを得た。
【0107】
さらに、このカップリング処理済みタルク240g、純水(イオン交換水)900gおよび下記式の構造式を有する非イオン型界面活性剤(東邦化学(株)製“ホスファノール”RS−610)の10重量%水溶液30gを添加し、機械式ホモジナイザ(IKA社製、“ウルトラタラックス”T−50型)を用い、6,000 回転で5分間、さらに、10,000回転で5分間乳化分散させ、低粘度の均一な粒子分散状態の乳化混合物を得た。この混合物のpHは23℃において6.39であった。
【0108】
【化1】
Figure 0003598633
【0109】
この混合物を撹拌装置、滴下装置を備えた重合反応容器中で70℃に保ちながら、約300rpmで撹拌し、単量体成分として54gのアクリル酸ブチルに、6gの無水マレイン酸を溶解させた単量体混合物および、重合開始剤として過硫酸カリウムの10重量%水溶液15gをどちらも約2時間かけて供給し、供給終了後、温度を保ったまま、約1時間撹拌を続けた。
【0110】
得られた重合反応混合物を、硫酸アルミニウムの0.75重量%水溶液2000g中へ撹拌しながら投入し、凝固を行ない、漉過、洗浄を繰り返し行なった後、70℃で12時間真空乾燥を行ない、弾性重合体により被覆された無機質充填剤を得た。
【0111】
得られた弾性重合体被覆無機質充填剤の熱重量分析により、固形分中16.5%の弾性共重合体成分が存在することが分かり、これから求めた弾性重合体(C)成分の反応率は約79%であることが分かった。さらに、得られた複合粒子をソックスレー抽出装置を用い、トルエンを溶媒として抽出を行なった。10時間抽出後の試料を再度、熱重量分析で測定したところ固形分中の弾性重合体のうち、約75%が抽出されずに無機質粒子上に担持固定されていることが分かった。また、示差走査熱量分析の結果、弾性重合体(C)成分のガラス転移温度は−47℃であった。
【0112】
この弾性共重合体被覆無機質充填剤20重量部およびナイロン6(ηr=2.70)80重量部をシリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。
【0113】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同条件で射出成形し、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0114】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率は3.7GPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は140J/mと高い値を示した。
【0115】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、203℃であった。
【0116】
さらに、上記実施例1と同様、ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、平均破壊エネルギーは4.2J、平均最大撓みは14.0mmであり、試験数10のうち3個が延性破壊した。
【0117】
また、得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体(C)成分のうち独立した粒子として存在しているのは約10%未満であり、言い換えると弾性重合体(C)成分の約90%以上がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0118】
実施例12
平均粒径1.4μmのタルク(富士タルク(株)製LMS300)1kgに対し、14.25gのγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製SZ−6030)および触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)0.75gを100gのメタノールで希釈した処理溶液を均一に噴霧し、ヘンシェルミキサーを用い、30分間撹拌後、得られた混合物を130℃で12h熱処理することによりカップリング処理済タルクを得た。
【0119】
さらに、このカップリング処理済みタルク240g、純水(イオン交換水)900gおよび陰イオン型界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製“エマール10”)の10重量%水溶液36gを添加し、機械式ホモジナイザ(IKA社製、“ウルトラタラックス”T−50型)を用い、6,000 回転で5分間、さらに、10,000回転で5分間乳化分散させ、低粘度の均一な粒子分散状態の乳化混合物を得た。この混合物のpHは23℃において6.39であった。
【0120】
この混合物を撹拌装置、滴下装置を備えた重合反応容器中で70℃に保ちながら、約300rpmで撹拌し、単量体成分として54gのアクリル酸ブチルに、6gの無水マレイン酸を溶解させた単量体混合物および、重合開始剤として過硫酸カリウムの10重量%水溶液15gをどちらも約2時間かけて供給し、供給終了後、温度を保ったまま、約1時間撹拌を続けた。
【0121】
得られた重合反応混合物を、硫酸アルミニウムの0.75重量%水溶液2000g中へ撹拌しながら投入し、凝固を行ない、漉過、洗浄を繰り返し行なった後、70℃で12時間真空乾燥を行ない、弾性重合体により被覆された無機質充填剤を得た。
【0122】
得られた弾性重合体被覆無機質充填剤の熱重量分析により、固形分中16.9%の弾性重合体成分が存在することが分かり、これから求めた弾性重合体(C)成分の反応率は約85%であることが分かった。さらに、得られた弾性重合体で被覆された無機質充填剤をソックスレー抽出装置を用い、トルエンを溶媒として抽出を行なった。10時間抽出後の試料を再度、熱重量分析で測定したところ固形分中の弾性重合体のうち、約86%が抽出されずに無機質粒子上に担持固定されていることが分かった。示差走査熱量分析の結果、弾性重合体(C)成分のガラス転移温度は−45℃であった。
【0123】
上記により製造した弾性重合体で被覆した無機質充填剤20重量部およびナイロン6(ηr=2.70、曲げ弾性率2.7GPa)80重量部に対し、無水マレイン酸を0.3重量部およびラジカル開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン0.03重量部を混合後、シリンダ温度250℃に設定した二軸押出機に供給し、ダイから押出し、組成物ペレットを得た。
【0124】
得られたペレットを乾燥後、射出成形機に供し、実施例1と同条件で射出成形し、1/2”×5”×1/8”厚の棒状試験片および1/8”厚みのIzod衝撃試験片を成形した。
【0125】
棒状試験片を用い、曲げ試験を行なったところ、曲げ弾性率は3.8GPaであった。さらに、衝撃試験片にカットノッチを付け、Izod衝撃試験を行なったところ衝撃値は148J/mと高い値を示した。
【0126】
また、棒状試験片を用い、低荷重(455kPa)の荷重撓み温度の測定を行なったところ、203℃であった。
【0127】
さらに、上記実施例1と同様、ホイールキャップを成形し、その薄肉平坦部(2mm厚)を切出し、23℃で高速面衝撃試験を行なった結果、平均破壊エネルギーは5.3J、平均最大撓みは17.5mmであり、試験数10のうち9個が延性破壊した。
【0128】
また、得られたペレットから超薄切片を切削し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、弾性重合体(C)成分のうち独立した粒子として存在しているのは約10%未満であり、言い換えると弾性重合体(C)成分の約90%以上がタルク粒子を取り囲むか又はタルク粒子に接する形で存在することが分かった。
【0129】
【発明の効果】
本発明の車両外装部品は、耐熱性、剛性と耐衝撃性のバランスに優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1a〜dは本発明に使用する組成物における(B)成分と(C)成分の界面を接する種々の例を示した断面図である。
【符号の説明】
1.熱可塑性樹脂
2.無機質充填剤
3.弾性重合体

Claims (9)

  1. 少なくとも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、無機質充填剤(B)および−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)の3成分からなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)をマトリクス樹脂とし、かつ前記樹脂組成物中の弾性重合体(C)の分散粒子のうち、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在している分散粒子の割合が30%以上であることを特徴とする車両外装部品用樹脂組成物(ただし上記において弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち無機質充填材(B)と界面を接する形で存在する分散粒子の割合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価するものとする)
  2. 少なくとも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、無機質充填剤(B)および−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)の3成分からなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)をマトリクス樹脂とし、かつ前記樹脂組成物中の弾性重合体(C)の分散粒子のうち、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在している分散粒子の割合が30%以上であることを特徴とする樹脂組成物からなる車両外装部品(ただし上記において弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち無機質充填材(B)と界面を接する形で存在する分散粒子の割合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価するものとする)
  3. 少なくとも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂(A)22〜89.8重量%と、無機質充填剤(B)60〜10重量%および−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)18〜0.2重量%の3成分からなる樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂(A)をマトリクス樹脂とし、かつ前記樹脂組成物中の弾性重合体(C)の分散粒子のうち、無機質充填剤(B)と界面を接する形で存在している分散粒子の割合が30%以上であることを特徴とする樹脂組成物からなる車両外装部品(ただし上記において弾性重合体(C)の前記樹脂組成物中における分散粒子のうち無機質充填材(B)と界面を接する形で存在する分散粒子の割合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、組成物の超薄切片を観察し、弾性重合体(C)の分散粒子数が最低10観察される視野について、弾性重合体(C)の全分散粒子面積とそのうち無機質充填剤(B)と界面を接している分散粒子の面積によって評価するものとする)
  4. 熱可塑性樹脂(A)が、ASTM D790法に従い測定した熱可塑性樹脂(A)単体の曲げ弾性率が1.5GPa以上の熱可塑性樹脂である請求項2または3記載の車両外装部品。
  5. 請求項2または3記載の樹脂組成物が、さらに23℃における曲げ弾性率Mc および23℃における1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度Sc の間に下記の不等式を同時に満足する射出成形品を与える樹脂組成物であり、それを成形してなる請求項2または3記載の車両外装部品。
    Mc >M0
    Mc <0.07Sc −1.6
    (ただし、M0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における曲げ弾性率を示し、 Mc 、M0 の単位はGPa、Sc の単位はJ/mである。)
  6. 請求項2または3記載の樹脂組成物中の無機質充填剤(B)成分を等重量の熱可塑性樹脂(A)成分に置換した樹脂組成物(実質的に熱可塑性樹脂(A)および−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)の2成分からなる)よりも高い1/8”厚みノッチ付Izod衝撃強度を有する樹脂組成物であり、それ 成形してなる請求項2または3記載の車両外装部品。
  7. 請求項2または3に記載の樹脂組成物が、さらに無機質充填剤(B)成分の添加量XB (重量%)と23℃における1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度Sc (J/m)とが下記の不等式を満足する射出成形品を与える樹脂組成物であり、それを成形してなる請求項2または3記載の車両外装部品。
    Sc >1.65XB +S0
    (ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
  8. 請求項2または3に記載の樹脂組成物が、さらに−20℃以下のガラス転移温度を有するエチレン系重合体である弾性重合体(C)成分の添加量XC (重量%)と23℃における1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度Sc (J/m)とが下記の不等式を満足する射出成形品を与える樹脂組成物であり、それを成形してなる請求項2記載の車両外装部品。
    Sc >0.86Xc +1.3S0
    (ただし、S0 は熱可塑性樹脂(A)単体の23℃における1/8”厚みノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)を示す。)
  9. 無機質充填剤(B)が板状および/または粒状である請求項2または3記載の車両外装部品。
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