JP3598569B2 - 自動変速機の変速過渡制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、変速過渡時に、摩擦係合要素に適正な液圧を供給する入力軸回転数(勾配)フィードバック機能を備えた自動変速機の変速過渡制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両用自動変速機では、変速機構の各種摩擦係合要素(クラッチやブレーキ等)を液圧により選択的に油圧作動させて所定変速段を選択し、作動する摩擦係合要素を変更することにより他の変速段への変速を行っている。
【0003】
また、この種の車両用自動変速機において、車種ごとの適合を軽減し自動的に変速初期の液圧を学習する変速過渡制御方法として、特公平5ー26061号公報に記載の技術が知られている。
この技術は、変速初期に摩擦係合要素への初期液圧を決定する手段を持ち、変速中に摩擦係合要素に適正な液圧が送給されるようにフィードバック制御するものである。
【0004】
前記技術では、フィードバック制御は、実際の摩擦係合要素が変速を開始したことを判断して実行される。また、変速初期の液圧の学習は、以下▲1▼〜▲3▼のように実行される。
▲1▼フィードバック制御開始直後の油圧から、次の変速時の初期液圧を演算すること。
【0005】
▲2▼フィードバック制御開始直後の目標回転数変化率と実際の回転数変化率の差とに対応した初期液圧補正率を演算し、次の変速初期液圧を補正すること。
▲3▼フィードバック制御終了時の液圧とフィードバック制御開始時の液圧の値とに基づいて、次回の変速初期液圧の値を演算すること。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した変速過渡制御の例では、温度、電圧など刻々と変わる環境で初期液圧が低い場合、変速時間が異常に長くなり、大きな変速ショックを招くばかりか、クラッチ熱負荷が増加して、クラッチ寿命が低下するという問題が生じる。
【0007】
また、変速初期の回転数変化率を用いて初期液圧を補償するため、ノイズの影響を受けやすく信頼性が低下するという問題がある。
更に、変速に入った時刻と終了した時刻との液圧に対応して学習補正するため、実際に刻々と変わる変速状態からそれらの時刻を正確に検出することが容易ではないという問題もある。
【0008】
つまり、従来の技術では、使用する自動変速機の変速過渡状態に対応して、適切に液圧を設定することが容易ではないという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、自動変速機を変更した場合の適合工数を軽減するとともに、自動変速機のばらつきや経年変化に好適に対応して、最適な液圧に自動的に補正し、変速ショック低減と摩擦係合要素への過大な熱負荷とを低減することができる自動変速機の変速過渡制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、図1に例示する様に、自動変速機の入力軸と出力軸との間の動力伝達経路を、液圧に応じて作動する摩擦係合要素によって切り替える変速機構を有するとともに、前記摩擦係合要素の係合圧を前記液圧により制御する液圧制御要素を備えた自動変速機の変速過渡制御装置において、前記液圧制御要素を駆動して、変速中の入力軸回転数又は入力軸回転勾配を目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配に追従させる、変速過渡制御を行なう追従制御手段と、変速開始指令信号から、変速状態に対応して予め定められた基準時間が経過したことを検出する基準時間検出手段と、該基準時間検出手段によって、前記基準時間が経過したことが検出された場合には、前記追従制御手段を駆動して、自動的に前記変速過渡制御を見込み開始する見込み追従制御開始手段とを備え、さらに、前記入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出手段と、前記出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、前記入力軸回転数検出手段からの出力情報と前記出力軸回転数検出手段からの出力情報とから、実際に変速が開始された変速開始点を検出する変速開始点検出手段と、該変速開始点検出手段によって、前記変速開始点が検出された場合には、前記追従制御手段を駆動して、前記変速過渡制御を開始させる開始点追従制御開始手段と、前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、前記見込み追従制御開始手段の開始時刻を学習補正する見込み制御補正手段と、を備えたことを特徴とする自動変速機の変速過渡制御装置を要旨とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻とのうち、どちらが早いタイミングかを判定するタイミング判定手段と、該タイミング判定手段によって判定された早いタイミングの時刻に対応して、前記見込み追従制御開始手段又は前記開始点追従制御開始手段を選択して駆動して、前記変速過渡制御を開始する早期追従制御開始手段と、を備えたことを特徴とする前記請求項1記載の自動変速機の変速過渡制御装置を要旨とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配を変更する目標値変更手段と、を備えたことを特徴とする前記請求項1又は2記載の自動変速機の変速過渡制御装置を要旨とする。
【0014】
請求項4の発明は、前記変速過渡制御の開始時の摩擦係合要素の初期液圧を設定する初期液圧設定手段と、前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、次回の変速時における前記初期液圧設定手段の初期液圧を学習補正する初期液圧補正手段と、を備えたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載の自動変速機の変速過渡制御装置を要旨とする。
【0015】
請求項5の発明は、前記変速過渡制御の開始時の摩擦係合要素の初期液圧を設定する初期液圧設定手段と、前記目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配と実際の入力軸回転数又は入力軸回転勾配との差に対応する量を、変速の状態に対応して一定期間積分する誤差検出手段と、該誤差検出手段の出力に対応して、次回の変速時における前記初期液圧設定手段の初期液圧を学習補正する初期液圧補正手段と、を備えたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載の自動変速機の変速過渡制御装置を要旨とする。
【0016】
【作用及び発明の効果】
請求項1の発明では、変速機構は、変速開始指令信号に基づいて、例えばソレノイドによって駆動されるバルブである液圧制御要素からの液圧により、例えばクラッチ等の各摩擦係合要素が選択的に液圧作動し、所定変速段を選択する。そして、この変速段で入力軸の供給動力を増減速して出力軸側に伝達する。また、この変速機構は、液圧作動される摩擦係合要素の選択変更により他の変速段へ変速する。
【0017】
特に、本発明では、変速開始指令からの時間を計測し、変速の種類や液温など変速状態に基づき予め定められた基準時間T10に達すると、見込み追従制御開始手段によって、入力軸回転数又は入力軸回転勾配の追従制御(フィードバック制御)を起動制御する。これによって、追従制御手段は、液圧制御要素への液圧を目標入力軸回転数又は目標回転勾配になるようにフィードバック制御する。
【0018】
従って、例えば液圧が異常に低い場合には、適正液圧の変速挙動に対し実際の変速挙動が異常に遅れるが、本発明によれば、予め定められた早いタイミングでフィードバック制御を起動し、実際の摩擦係合要素が変速を開始するまで待つことなく、自動的に摩擦係合要素へ供給する液圧を高く作用するため、摩擦係合要素の滑り時間が長引くことに起因する、クラッチの過大な熱負荷による寿命低下を防止できる。また、滑り期間が長引くことに起因する、周知のアキュムレータストロークエンドでの急激な液圧上昇に起因する変速ショックを防止できる。
【0019】
さらに、変速開始点検出手段によって、入力軸回転数検出手段からの入力軸回転数と出力軸回転数検出手段からの出力軸回転数とから、実際に摩擦係合要素の変速が開始されたことを検出し、この変速開始点のタイミングにて、追従制御手段によるフィードバック制御を確実に開始することができる。
例えば見込み追従制御開始手段によって追従制御手段が起動された場合に、その基準時間T10を記憶し、また、実際の摩擦係合要素が変速を開始した変速開始点時間T20を記憶する様にして、その基準時間T10を示す時刻と変速開始点時間T20を示す時刻との時間差△T1を検出する。そして、その時間差△T1に応じて、見込み追従制御開始手段の基準時間T10を学習補正する。
具体的には、例えば時間差△T1>0の場合には基準時間T10を小さくし、逆に時間差△T1<0の場合には基準時間T10を大きくすることにより、適正な基準時間T10に学習補正して、次回の変速に用いる様にする。これによって、次回の変速に対して、見込み追従制御開始手段の基準時間T10を適切に校正できるので、変速ショックを低減するとともに、クラッチの過大な熱負荷による寿命低下を防止でき、しかも車種変更等による液圧の適合工数を軽減することができる。
【0020】
請求項2の発明では、変速開始指令の時刻から、見込み追従制御開始手段の基準時間T10を示す時刻と実際の変速開始点までの時間(変速開始点時間T20)を示す時刻とを比較して、早い方のタイミングでフィードバック制御を開始する。従って、前記請求項1の効果に加え、例えば初期液圧が高く適正液圧より実際の変速が早く開始される場合には、いち早く追従制御手段を起動して、フィードバック制御により自動的に摩擦係合要素へ供給する液圧を低く制御するため、高い液圧による急激な変速に起因する変速ショックを防止することができる。
【0021】
そのため、本発明によれば、いかなる液圧でもリアルタイムに適正な液圧に制御できるので、車種変更等による液圧の適合工数が軽減するという顕著な効果を奏する。請求項3の発明では、基準時間T10を示す時刻と変速開始点時間T20を示す時刻との時間差△T1を検出し、この時間差△T1に応じて、目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配を変更する。
【0022】
そのため、フィードバック制御により、変速挙動時間を適切に調節できるので、例えば時間差△T1が変速挙動の遅れを示す負の場合に、液圧を高める様に制御することにより、短い時間で変速を終了させることができる。その結果、変速ショックを低減するとともに、クラッチの過大な熱負荷による寿命低下を防止できる。
【0025】
請求項4の発明では、基準時間T10を示す時刻と変速開始点時間T20を示す時刻との時間差△T1に対応する量から、変速開始指令後の液圧制御要素への初期液圧を学習補正する。具体的には、例えば時間差△T1>0の場合には、初期液圧が高いことを意味しているので初期液圧を低くし、逆に時間差△T1<0の場合には、初期液圧が低いことを意味しているので初期液圧を大きくすることにより、変速開始指令時に液圧制御要素に出力する初期液圧を適正な値に学習補正して、次回の変速に用いる様にする。
【0026】
これによって、次回の変速に対して、初期油圧を適切に校正できるので、変速ショックを低減するとともに、クラッチの過大な熱負荷による寿命低下を防止でき、しかも車種変更等による液圧の適合工数を軽減することができる。請求項5の発明では、目標入力軸回転数(勾配)と実際の入力軸回転数(勾配)の差△Ntを誤差入力手段に入力し、この差△Ntを追従制御手段の開始時刻から予め決められた一定時間積分し、この積分値△Ptに対応した量から、変速開始指令後の液圧制御要素への初期液圧を学習補正する。
【0027】
従って、例えば初期液圧が高い場合には変速が早く始まり、且つ実際の入力軸回転数が目標入力軸回転数より早く低下するため、差△Nt>0且つ積分値△Pt>0となり、現在設定されている初期液圧を低く学習補正する。逆に、初期液圧が低い場合には変速が遅く始まり、且つ実際の入力軸回転数が目標入力軸回転数より緩やかに低下するため、差△Nt<0且つ積分値△Pt<0となり、現在設定されている初期液圧を高く学習補正する。この様にして、変速開始指令時に液圧制御要素に出力する初期液圧を適正な値に学習補正して、次回の変速に用いる様にする。
【0028】
これによって、次回の変速に対して、初期油圧を適切に校正できるので、変速ショックを低減するとともに、クラッチの過大な熱負荷による寿命低下を防止でき、しかも車種変更等による液圧の適合工数を軽減することができる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づき説明する。
(実施例1)
[1]図2は、実施例1の変速過渡油圧フィードバック制御を行う制御装置を内蔵した自動変速機制御系の全体構成を示している。
【0030】
図2に示す様に、自動車に搭載されて電子制御されるエンジン1は、自動変速機2とデファレンシャルギア3を介して駆動車輪4に接続されている。
前記エンジン1は、エンジン制御用コンピュータ5を備え、このエンジン制御用コンピュータ5には、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ6、車速(自動変速機2の出力軸回転数)を検出する車速センサ7、エンジン1のスロットル開度を検出するスロットルセンサ8、及び吸入空気量を検出する吸入空気量センサ9の各信号が入力される。
【0031】
エンジン制御用コンピュータ5は、これら入力情報を基に燃料噴射量を決定してエンジン1に指令を出し、また図示しないが点火信号をエンジン1に供給する。そして、この指令に応じて、図示しない燃料供給装置、点火装置が作動し、エンジン1の回転に合わせて燃料の供給と燃焼が行われ、エンジン1の駆動及び制御が行われる。
【0032】
前記自動変速機2は、トルクコンバータ10及び変速歯車機構(以下変速機構と称す)11を備えており、エンジン1から供給される動力は、エンジン出力軸1a(図3参照)やトルクコンバータ10を経て変速機構11の入力軸12に伝達される。そして、入力軸12への変速機入力軸回転は、変速機構11の選択変速段に応じ増減速されて出力軸13にいたり、この出力軸13からデファレンシャルギア3を経て駆動車輪4に達して、自動車を走行させることができる。
【0033】
尚、前記自動変速機2は、図3に示す如く公知のものであるため、その詳細な説明は省略するが、変速機構11は、入力軸12から出力軸13への動力伝達経路(変速段)を決定する各種のクラッチ(R/C,H/C,LO/C,OR/C,F/C,FO/C)やブレーキ(B/B,LR/B)などの各種摩擦係合要素を内蔵している。
【0034】
前記変速機構11には、図2に示す様に、変速制御用コンピュータ14からの指令に基づき駆動される(液圧制御要素である)コントロールバルブ15が接続されており、コントロールバルブ15から適宜油圧が供給され、その油圧を各種摩擦係合要素に作動させることで変速を実現している。
【0035】
このコントロールバルブ15には、変速制御用コンピュータ14の指令で変速段毎に油圧を供給する経路を切り換える2本の変速制御用ソレノイド15a,bと、油圧の大きさを制御するライン圧制御用ソレノイド16が配置されている。
尚、本実施例においては、2本の変速制御用ソレノイド15a,bを用いる構成としたが、変速段数やコントロールバルブ15内部の構成に応じて、変速制御用ソレノイドの本数を増やしても良い。また、変速過渡時の作動油の急速な充填、排出のためのタイミングを調節するソレノイドを追加しても良い。更に、ライン圧制御用ソレノイド16としては、本実施例では以下デューティソレノイドとして説明するが、油圧を可変にできる機構であればリニアソレノイドなど他の手段を用いても良い。
【0036】
前記変速制御用コンピュータ14は、図示しないがCPU,ROM,RAM,I/O装置からなるマイクロコンピュータで構成され、車速センサ7、スロットルセンサ8に加え、入力軸12の回転数を計測する入力軸回転センサ17の各信号が入力される。
【0037】
[2]次に、この変速制御用コンピュータ14による変速制御について、図4のグラフに基づいて説明する。
変速制御用コンピュータ14は、車速センサ7とスロットルセンサ8からの信号を用いて、図4に示す様に、現在の運転状態が(スロットル開度と車速に応じて予め定めた)変速線図のどの変速段領域にはいるかを判定し、変速段を決定する。尚、変速線図には、変速段決定の際のチャタリング防止のため、第n速(n=1,2,3)から第n+1速への変速(アップシフト)と第m速(m=2,3,4)から第m−1速への変速(ダウンシフト)で、アップシフトの場合は実線、ダウンシフトの場合は破線で示すように異なる判定線を用いている。
【0038】
そして、図4に基づいて得られた判定結果によって、2本の変速制御用ソレノイド15a,bのON/OFFを、例えば下記表1のように選択し、実行する。
【0039】
【表1】
【0040】
この様に変速制御用ソレノイド15a,bのON/OFFを調節して、コントロールバルブ15を駆動することにより、変速機構11内部の各種摩擦係合要素に加えら得る油圧が変化し、必要なクラッチやブレーキが作動して、前記表1に示す様な変速段の維持、あるいは変速が達成される。
【0041】
また、前記変速制御用コンピュータ14は、下記▲1▼,▲2▼の様にして、ライン圧制御用ソレノイド16も制御している。
▲1▼変速段が変化しない通常の場合には、図5(a)に示す様なスロットル開度に対するマップで与えられる油圧(ライン圧)を発生させる。具体的には、まず、スロットルセンサ8からの信号に従って、図5(a)のマップより、必要なライン圧を求め、続いて図5(b)のマップに従って、このライン圧をデューティ値に換算し、ライン圧制御用ソレノイド16をそのデューティ値で駆動し、目標とするライン圧を実現する。この場合、図5(a)と(b)とを一体化して、スロットル開度から直接デューティ値を求める構成としても良いことは言うまでもない。
【0042】
▲2▼一方、前記図4に基づいて行われた変速判定の結果で、変速段を変更する要求があった場合には、変速制御用ソレノイド15a,bのON/OFFと共に、変速ショックを和らげるためにライン圧を変更する制御を行う。
[3]次に、本実施例の制御装置の基本構成を、各機能単位に分けて示す図6のブロック図を参照して説明する。
【0043】
・変速状態判定部A1には、自動変速機2の変速状態を示す信号として、例えば変速位置や入力軸回転数Nt等の信号が入力される。この変速状態判定部A1では、入力軸回転数Ntの反転の状態から、変速開始点を検出する。
・強制追従制御開始部A3には、変速状態判定部A1からの変速開始点を示す信号と、変速開始指令部A2からの変速開始指令信号が入力される。この強制追従制御開始部A3では、後述する基準時間T10における見込みによる追従制御開始、又は変速開始点における追従制御開始を行なうために、基準時間T10の時刻と変速開始点の時刻のうち早いタイミングを検出し、その早いタイミングに該当する追従制御を行なわせる目的で、追従制御部A4に制御信号を出力する。
【0044】
・初期油圧設定部A5は、前記変速状態判定部A1、変速開始指令部A2、強制追従制御開始部A3からの信号を入力し、基本となる初期油圧Pioを設定する。
・目標設定部A6は、前記強制追従制御開始部A3からの制御信号を受けて、現在の変速位置等に応じて、目標入力軸回転数(又は目標入力軸回転勾配)Ntrを算出する。
【0045】
・減算部A7では、前記目標設定部A6によって算出された目標入力軸回転数Ntr等から、実際の入力軸回転数Ntを減じて、偏差△Ntを算出する。
・補償演算部A8は、例えば周知のPID制御やPD制御を行なう様に構成されたものであり、この補償演算部A8では、前記減算部A7からの偏差△Ntを入力し、この偏差△Ntが小さくなる様な制御油圧△Piを算出する。
【0046】
・加算部A9では、前記初期油圧設定部A5からの初期油圧Pioと、前記補償演算部A8からの制御油圧△Piとを加算し、この加算値であるライン圧Piに相当する信号を自動変速機2に出力する。
[4]次に、前記構成を備えた本実施例の制御装置にて行われるライン圧Piを変更する手順を、アップシフトを例にとって説明する。
【0047】
図7に示す様に、変速段やスロットル開度、あるいはエンジン1が発生するトルクや入力軸12に発生するトルクの大きさにより、予め定められた初期油圧Pio(工場出荷時の初期値)から始めて、出力軸13のトルク変化が所定の形になるように設定された入力軸12の回転数変化が得られるように、ライン圧Piがフィードバック制御される。
【0048】
このときのフィードバック制御の結果に基づいて、列えば補償量が油圧を下げる方向にある場合や変速時間が設定値よりも短い場合には、初期油圧Pioの設定値が高いと判断して、次回の変速時には初期油圧Pioをライン圧Piよりも所定値だけ小さい値とする初期油圧Pioの学習制御を行う。この学習制御の様子を、図7のライン圧Piの破線で示す。
【0049】
そして、この様な制御の例において、メカのバラツキ、経年変化、ノイズ等の影響により、低いライン圧入力が加わった場合の代表的挙動を、図8(a)に示す。
つまり、本来、入力軸12の回転数変化は、図8(a)の破線のように進行するはずのところが、上述した原因により、フィードバック制御が間に合わず、同図実線のように非常に遅れることがある。そして、最悪の場合、予め定めてある変速許容時間to以内に変速が終了せず、点8aにて、過大なシフトショックを発生するばかりか、クラッチの熱負荷が過大になり寿命低下を招く。
【0050】
ここで、入力軸回転センサ17の信号にノイズが入った場合の例を、図8(b)に示すが、この場合、フィードバック制御の開始点8bで、ノイズのために誤ってライン圧Piを下げているため、現在のライン圧Piが高いと判断し、次回の変速で、ライン圧Piを下げるように誤差動する。その結果、図8(a)にて記述したのと同様な現象を引き起こす。
【0051】
そこで、本実施例では、変速開始指令信号から、予め定められた基準時間T10が経過した後、自動的に(見込みによって)変速過渡時の追従制御、即ち上述したライン圧Piのフィードバック制御を開始する。それによって、前記図8(a)に示す様な非常に低いライン圧Piが加わった場合でも、予め定められた基準時間T10経過後に、ライン圧Piをフィードバック制御で高めるため、従来の制御の様に、制御が間に合わないことがなく、変速許容時間to内にて変速が終了する。
【0052】
特に、本実施例では、後に詳述する様に、基準時間T10より実際に変速が開始される変速開始点までの時間(=変速開始点時間)T20の方が、短い場合には、変速開始点から通常のフィードバック制御を開始するので、基準時間T10が変速開始点時間T20より短い場合でも、適切なタイミングでフィードバック制御が実行される。
【0053】
[5]次に、本実施例の制御装置による代表的な変速挙動を、図9及び図10に基づいて説明する。
▲1▼図9(a)は、理想とする変速挙動に対しライン圧Piが適正の場合であり、変速開始指令から、予め決められた(強制的に追従制御を開始する)見込み追従制御開始時刻A点までの基準時間T10と、実際に変速挙動が起きる変速開始点の時刻(=イナーシャ相開始時刻)B点までの時間(=変速開始点時間)T20とが一致している例である。
【0054】
この場合、A点で、目標入力軸回転数Ntrを出力し、実際の入力軸回転数Ntと目標入力軸回転数Ntrとの偏差△Ntをとり、一般によく知られているフィードバック(例えばPID,PDコントローラ)演算を行ない、液圧制御要素へのライン圧Piを決定する。
【0055】
▲2▼図9(b)は、前記初期ライン圧(初期油圧)Pioが低い(または、バラツキなどの影響で、基準時間T10が短い)場合の変速挙動を表わしている。図中、予め定められた基準時間T10の時刻で、見込みによる追従制御の開始により、目標入力軸回転数Ntrを出力し、フィードバック制御が作動する。
【0056】
これによって、図9(b)A点より、ライン圧Piは、フィードバック制御により変速が早まるように高められる。この結果、実際の入力軸回転数Ntは、ライン圧Piが高められた分、早いタイミング(図B点)で変速挙動(イナーシャ相)に入る。この見込み制御により、従来の制御法によるライン圧Piが低い場合での、変速時間が伸びることによるクラッチの熱負荷の上昇や変速ショックの増大といった問題が解決される。
【0057】
ここで、前記図9(b)のA点からライン圧Piが高められることを、数式で記述する。
A点からのフィードバック制御では、まず、下記式(1)に示す様に、目標入力軸回転数Ntrと入力軸回転数Ntの偏差△Ntを求める。
【0058】
△Nt=Ntr−Nt …(1)
次に、例えばフィードバック制御の補償演算として、PD制御を例にとった場合、補償演算出力△Piは、下記式(2)の様に算出される。
△Pi=Kp・△Nt+KD・d△Nt …(2)
但し、Kp,KDは、予め定められた比例ゲイン,微分ゲインを示す。尚、前記式(2)ではPD制御の例を示したが、制御工学で知られるどのような補償演算でもかまわない。
【0059】
次に、ライン圧Piは、下記式(3)で求められる。
Pi=Pio−△Pi …(3)
ここで、初期油圧Pioは初期油圧設定部A1からの出力であり、この初期油圧Pioは、補償演算出力△Piにより、増減される。
【0060】
そして、強制追従制御開始部A3により、見込み開始によってフィードバック制御が起動されると、前記式(1)による偏差△Ntは負となり、前記式(2)による補償演算出力△Piも負となるので、前記式(3)のPiは増圧される。
▲3▼次に、初期油圧Pioが高く、変速挙動が早く始まる例を、図10(a)に示す。
【0061】
適正ライン圧の場合、入力軸回転数Ntの変速挙動(回転数の低下)は、図のA点から破線のように開始されるが、初期油圧Pioが高い場合には、A点より早いB点から変速挙動が開始される。
この場合、変速開始点であるB点の時刻を、前記変速状態判定部A1が検出すると、強制追従制御開始部A3によりフィードバック制御が起動される。
【0062】
つまり、前記図9(b)と図10(a)の記述をまとめると、強制追従制御開始部A3にて、T10≦T20のとき、基準時間T10である時刻A点でフィードバック演算を開始し、一方、T10>T20では、変速開始点時間T20の時刻B点でフィードバック演算を開始する。
【0063】
このように、本実施例によれば、様々な初期油圧Pioの変動に対し、いち早くフィードバック制御を開始できるため、いつも均一な変速挙動になり、変速ショックを低減できるとともに、クラッチの過大な熱負荷を低減できる。また、初期油圧Pioのバラツキを許した設計であるため、車種展開、自動変速機のバラツキ等の適合工数が大幅に低減する。
【0064】
▲4▼図10(b)の制御の例は、前記図10(a)の制御に対し、目標入力軸回転数Ntrの与え方を変えた例である。
これはB点からA点まで、目標入力軸回転数Ntrを一定に維持することにより、B点からA点までの間のライン圧Piの減圧量を大きくし、図10(a)の制御に対し、フィードバック制御開始時(図中10a部分)でのシフトショックの低減を図ったものである。
【0065】
また、前記図9及び図10において、C点は実際の変速を終了したことを検出した点であり、その後D点まで、目標入力軸回転数Ntrを伸ばしているのは、確実に変速を終了させるためである。そして、変速終了判定C点後、フィードバック演算(前記(1),(2),(3)式)を実行することで、ライン圧Piをゆるやかに上昇させて、確実に終了させている。尚、このC点からD点までの時間は、予め定められた値として例えば50ms〜800msが良い。
【0066】
[6]次に、前記強制追従制御開始部A3にて定める基準時間T10の決定法の一例を示す。
図11(a)に、初期油圧Pioの値と変速開始点時間T20との関係を示す。一般に、初期油圧Pioが低いほど、変速開始点時間T20は長く、初期油圧Pioが高いほど変速開始点時間T20は短い値を示す。そこで、本実施例では、シフトショックが少なく理想の変速挙動になる適正初期油圧PioのE点における時間TEを、基準時間T10に決定している。
【0067】
また、一般に、適正な初期油圧Pioはエンジンの出力トルクに対応した量(たとえばスロットル開度)に関係し、図11(b)の破線で示す様な傾向となるため、図11(a)で示した時間TEは、実線で示すようにスロットル開度の関数になる。そこで、基準時間T10を、スロットル開度からテーブルルックアップして求めれば、更に精度のよい基準時間T10を求めることができる。
【0068】
尚、当然ながら代表する一点で基準時間T10を決定してもよく、更に、油温、電圧など直接計測できる量で補正することも考えられる。
[7]次に、本実施例の制御装置にて行われる制御処理を、図12〜図17のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0069】
▲1▼まず、図12に示す変速制御のメインルーチンの処理について説明する。尚、本処理は、一定周期で起動される。
まず、ステップ100にて、変速開始指令信号を読み込む処理を行なう。
続くステップ110にて、読み込んだ変速開始指令信号に基づいて、変速動作のための制御(変速制御)を開始する否かを判定する。
【0070】
そして、変速制御を開始すると判断された場合は、ステップ120にて、変速制御の開始を示す変速フラグHFをセットする。
続くステップ130では、変速制御の状態を示す状態フラグFSTをクリアする。
【0071】
続くステップ140では、次の変速動作の指令がきた場合に、現在の変速動作が完了するまで次の変速動作を禁止するために、一定時間待機し、その後ステップ100に戻る。
▲2▼次に、前記状態フラグFSTに応じて分岐する処理について、図13に基づいて示す説明する。尚、この処理も、一定周期で起動される。
【0072】
まず、ステップ200にて、前記変速フラグHFがセットされているかを判定する。ここで肯定判断されるとステップ220に進み、一方否定判断されるとステップ210に進む。
ステップ210では、変速制御ではないので、所定の変速外のライン圧を出力し、一旦本処理を終了する。
【0073】
一方、ステップ220では、状態フラグFSTが0か否かを判定する。ここで肯定判断されると後に詳述するステップ300の処理を行なってから、一旦本処理を終了し、一方否定判断されるとステップ230に進む。
ステップ230では、状態フラグFSTが1か否かを判定する。ここで肯定判断されると後に詳述するステップ400の処理を行なってから、一旦本処理を終了し、一方否定判断されるとステップ240に進む。
【0074】
ステップ240では、状態フラグFSTが2か否かを判定する。ここで肯定判断されると後に詳述するステップ500の処理を行なってから、一旦本処理を終了し、一方否定判断されるとステップ250に進む。
ステップ250では、状態フラグFSTが3か否かを判定する。ここで肯定判断されると後に詳述するステップ600の処理を行なってから、一旦本処理を終了し、一方否定判断されるとステップ260に進む。
【0075】
ステップ260では、変速制御が終了したので、変速フラグHFをリセットし、前記ステップ210を経由して、一旦本処理を終了する。
▲3▼次に、前記ステップ300における、FST=0の場合の処理について、図14に基づいて説明する。
【0076】
まず、ステップ310にて、現在の変速位置等の変速状態、場合によってはスロットル開度等の運転状態を加味して、マップより初期油圧Pioaを読み込む。続くステップ320にて、現在の変速位置等の変速状態に応じて、マップより基準時間T10を読み込む。
【0077】
続くステップ330にて、変速開始指令から変速開始点までの時間(=変速開始点時間T20)を測定するためのタイマT20をクリアする。
続くステップ340にて、前記ステップ310にて読み込んだ初期油圧Pioaを、ライン圧Piとして出力する。
【0078】
続くステップ350では、状態フラグFSTを1にセットし、一旦本処理を終了する。
▲4▼次に、前記ステップ400における、FST=1の場合の処理について、図15に基づいて説明する。
【0079】
まず、ステップ410にて、タイマT20をインクリメントする。
続くステップ420にて、基準時間T20が、タイマT20のカウンタ値CT20より大であるか否かを判定する。尚、カウンタ値CT20は変速開始点時間T20とは異なり、逐次更新されて増加する変数値である。ここで肯定判断されるとステップ430に進み、一方否定判断されるとステップ480に進む。
【0080】
ステップ430では、タイマT20のカウンタ値CT20が、基準時間T20に達しないので、入力軸回転数Ntが減少に転ずる変速開始点を検出する処理を行なう。
続くステップ440では、前記ステップ430の検出結果に基づいて、変速開始点か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ470に進み、一方否定判断されるとステップ450に進む。
【0081】
ステップ450では、まだ変速開始点に到らないので、初期油圧Pioaをライン圧Piとして出力し、一旦本処理を終了する。
一方、ステップ470では、変速開始点に到ったので、即ち変速過渡時の追従制御を開始する条件が満たされたので、状態フラグFSTを2にセットし、前記ステップ450を経由して、一旦本処理を終了する。
【0082】
また、前記ステップ420にて否定判断されて進むステップ480では、変速開始点に到る前に基準時間T10に達したので、即ち変速過渡時の追従制御を強制的に見込み開始させる条件が満たされたので、強制追従制御フラグKFをセットし、前記ステップ470にて、同様に状態フラグFSTを2にセットした後に、前記ステップ450を経由して、一旦本処理を終了する。
▲5▼次に、前記ステップ500における、FST=2の場合の処理について、図16に基づいて説明する。
【0083】
まず、ステップ510にて、強制追従制御フラグKFがセットされているか否かを判定する。セットされている場合は、ステップ515に進み、強制追従制御フラグKFをクリアし、一方、セットされていない場合は、そのままステップ520に進む。
【0084】
ステップ520では、状態フラグFSTが2であるので、即ち、既に基準時間T10又は変速開始点に達していて、追従制御を開始する条件が満たされているので、目標入力軸回転数Ntrを算出する。
続くステップ530では、変速終了か否かを、入力軸回転数Ntが上昇に反転したか否かによって判定し、変速終了の場合は、ステップ540に進み、状態フラグFSTを3にセットし、一方、変速終了でない場合は、そのままステップ550に進む。
【0085】
ステップ550では、追従制御のためのいわゆるフィードバック処理を行なう。即ち、前記式(1),(2)を用いて、補償演算出力△Piを求める処理を行なう。
続くステップ560では、前記式(3)を用いてライン圧Piを求め、そのライン圧Piの出力を行ない、一旦本処理を終了する。
【0086】
▲6▼次に、前記ステップ600における、FST=3の場合の処理について、図17に基づいて説明する。
まず、ステップ610では、後に詳述する様な各種の学習補正の処理を行なう。
【0087】
続くステップ620にて、変速外ライン圧を出力する。
続くステップ630では、状態フラグFSTを4にセットし、一旦本処理を終了する。
尚、本処理は、学習補正を行なうためのルーチンであるので、特に学習補正を行わない場合には、このルーチンは省略してもよい。
【0088】
この様に、本実施例では、変速開始指令から、基準時間T10が経過したか、又は変速開始点に到ったかを判定し、どちらか早いタイミングにて変速過渡時のライン圧Piの追従制御を強制的に開始している。
そのため、上述した様に、いつも均一な変速挙動になり、変速ショックを低減できるとともに、クラッチの過大な熱負荷を低減できるという顕著な効果を奏する。また、初期油圧のバラツキを許した設計であるため、車種展開、自動変速機のバラツキ等の適合工数が大幅に低減するという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2の制御装置について説明する。
【0089】
本実施例の制御装置は、基準時間T10と変速開始点時間T20との差に応じて、基準時間T10及び初期油圧を学習補正するものである。尚、ここでは、前記実施例1と同様なハード構成及び制御処理については、その説明を省略又は簡略化する。
【0090】
[1]まず、本実施例の制御装置の基本構成を、各機能単位に分けて示す図18のブロック図を参照して説明する。
・T20判定部B4には、変速状態判定部B1から、例えば変速位置や入力軸回転数Nt等の信号が入力するとともに、変速開始指令部B2から、変速開始指令信号が入力する。このT20判定部B4では、これらの信号に基づいて、変速開始点を検出する。
【0091】
・T10計測部B5では、変速開始指令部B2から、変速開始指令信号が入力するとともに、後述する見込み制御補正部B8から、基準時間T10の補正値の信号を入力する。このT10計測部B5では、基準時間T10を計測するとともに、この基準時間T10の補正を行なう。
【0092】
・比較部B6では、T20判定部B4から、変速開始点時間T20の信号を入力するとともに、T10計測部B5から、基準時間T10の信号を入力する。この比較部B6では、基準時間T10と変速開始点時間T20とのうち早いタイミングを求める。
【0093】
・目標設定部B9では、比較部B6にて求めた早いタイミングにて、目標入力軸回転数Ntrを設定する。
・変速遅れ検出部B7では、T20判定部B4から、変速開始点時間T20の信号を入力するとともに、T10計測部B5から、基準時間T10の信号を入力する。この変速遅れ検出部B7では、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1を求める。
【0094】
・見込み制御補正部B8では、変速遅れ検出部B7からの時間差△T1の信号を入力し、この時間差△T1に対応して、基準時間T10の補正値及び初期油圧の補正値を算出する。
・初期油圧設定部B10では、変速状態判定部B1から、例えば変速位置や入力軸回転数Nt等の信号が入力し、変速開始指令部B2から、変速開始指令信号が入力し、且つ見込み制御補正部B8から、初期油圧の補正値の信号が入力する。この初期油圧設定部B10では、変速状態等から基本となる初期油圧Pioを算出するとともに、この基本の初期油圧Pioを補正値を用いて補正する。
【0095】
[2]以下、上述した構成の制御装置にて行われる学習補正制御の詳細を記述する。
▲1▼図19(a)は、メカバラツキ、経年変化で、初期油圧Pioに対する実際に変速が始まるまでの時間が、本来実線aに対し、破線b(時間が長くなる)・破線c(時間が短くなる)に示すようにずれた場合を示している。
【0096】
例えば、破線bの特性の場合は、T20判定部B4は、T20b時間を検出し、変速終了後、変速遅れ検出部B7は、下記式(4)により、時間差△T1を出力する。
△T1=T10−T20b<O …(4)
見込み制御補正部B8は、T10計測部B5に対し、下記式(5),(6)の演算を行なって、次回の基準時間(強制追従制御開始時間)T10゜を決定する。
【0097】
△T10=△T1×α …(5)
T10゜=T10−△T10 …(6)
但し、T10は現在の値、T10゜は次の値である。また、αは、予め決められた1以下の定数で、数回の補償でT10が適正に収束する値に選ばれる。
【0098】
この場合、△T10は負であり、前記式(6)の結果、T10゜>T10になり、バラツキを補正する方向に、基準時間T10を長くなる様に補償している。
また、図19(a)の破線cの場合も、前記式(4)〜(6)により、同様にT10をT20cに一致させる方向に補償を実行する。
【0099】
▲2▼次に、初期油圧Pioがバラツイている場合の初期油圧Pioの補償方法を記述する。図19(b)にその様子を示す。
例えば適正初期油圧Pioaのつもりが、メカのバラツキにより実際の初期油圧Pioが、△Piod低く、同図のPiodの場合、基準時間T10で強制追従制御開始部B3により追従制御を開始するが、実際の変速挙動はT20dで始まる。
【0100】
ここで、前記と同様に下記式(4)を用い、見込み制御補正部B8は、変速遅れ検出部B7からの時間差△T1を入力し、
△T1=T10−T20d …(4)
変速終了後、次の変速への補償量として、下記式(7)により、初期油圧Pioの補償量△Pioを算出する
△Pio=−△T1×β …(7)
この例では、△T1<Oであり、式(7)より△Pio>Oとなり、初期油圧Pioを高める補償量を算出している。
【0101】
次の変速で、初期油圧設定手部B10は、現在の初期油圧設定値Pioaに対し、下記式(8)の演算を行ない、変速開始指令部B2の出力に基づいて、初期油圧Pioを出力する。
Pio=Pioa+△Pio …(8)
また、図19(b)において、初期油圧Pioが、バラツキ等により△Pioeが低く、同図のPioeの場合、時間差△T1(=T10−T20e>O)は正であり、前記式(7)により、初期油圧Pioの補償量△Pioは負となる。よって、前記式(8)により、次回の変速で、初期油圧Pioを低くする方向に補償する。
【0102】
このように、本実施例では、いかなるバラツキ等が存在しても、いつも適正な基準時間T10と初期油圧Pioを学習補正することを実現している。
また、前記式(7)のβは、前記α同様に予め定められた値で、初期油圧Pioの変化量△Piに対し、変速開始点時間T20の変化量△T20を求め、下記式(9)のKβに対し小さなβを選び、数回の変速挙動で適正な初期油圧Pioに収束するように決定する。
【0103】
Kβ=△Pi/△T20 …(9)
尚、前記補正係数α.βについて、前記実施例では単一の係数で記述したが、さらに収束を良くする目的で、式(5)に代えて図20(a)を、式(7)に代えて図20(b)を用い、△T1から直接に補償量△T10,△Pioを、テーブルルックアップにより求める様にしてもよい。
【0104】
[3]次に、本実施例の制御装置にて行われる制御処理を、図21〜図23のフローチャートに基づいて詳細に説明する。尚、ここでは、前記実施例1と異なる状態フラグFST=1,2,3の処理のみについて説明する。
▲1▼図21に示す状態フラグFST=1の処理では、ステップ760の処理のみが異なる。
【0105】
つまり、ステップ740にて、変速開始点が検出された場合には、ステップ760にて、後述する基準時間T10との時間差△T1の算出に用いるために、変速開始指令から変速開始点までの時間(変速開始点時間)T20を記憶する。
▲2▼図22に示す状態フラグFST=2の処理では、ステップ840〜865の処理のみが異なる。
【0106】
つまり、ステップ800にて、強制追従制御KFがセットされている場合には、ステップ840に進み、タイマT20をインクリメントする。
続くステップ845では、変速開始点を検出する処理を行なう。
続くステップ850では、変速開始点か否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ855に進み、一方否定判断されるとステップ865に進む。
【0107】
ステップ855では、前記ステップ760と同様に、変速開始点時間T20を記憶する。
続くステップ860では、強制追従制御フラグKFをクリアする。
続くステップ865では、目標入力軸回転数Ntrを算出し、ステップ815以降の処理を行なう。
【0108】
▲3▼図23に示す状態フラグFST=3の処理では、ステップ900〜910の処理のみが異なる。
まず、ステップ900にて、前記式(5),(6)を用いて、基準時間T10の学習補正を行なう。つまり、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、基準時間T10を補正する処理を行なう。
【0109】
続くステップ910では、前記式(7),(8)を用いて、初期油圧Pioの学習補正を行なう。つまり、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、初期油圧Pioを補正する処理を行なう。その後、ステップ920以降の処理を行なう。
【0110】
この様に、本実施例では、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、基準時間T10を補正する処理を行ない、更に、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、初期油圧Pioを補正する処理を行なうので、いかなるバラツキ等が存在しても、いつも適正な基準時間T10と初期油圧Pioを学習補正して、前記実施例1より、一層好適にライン圧Piをフィードバック制御できる。つまり、この学習補正制御により、車種展開、自動変速機のバラツキ経年変化に対し、適合することなく、より均一な性能を出すことができるという効果を奏する。
(実施例3)
次に、実施例3の制御装置について説明する。
【0111】
本実施例の制御装置は、目標入力軸回転数Ntrと実際の入力軸回転数Ntとの偏差△Ntの積分値△Ptに応じて、初期油圧Pioを学習補正するものである。尚、ここでは、前記実施例2と同様なハード構成及び制御処理については、その説明を省略又は簡略化する。
【0112】
[1]まず、本実施例の制御装置の基本構成を、各機能単位に分けて示す図24のブロック図を参照して説明する。
・T20判定部C4には、変速状態判定部C1から、例えば変速位置や入力軸回転数Nt等の信号が入力するとともに、変速開始指令部C2から、変速開始指令信号が入力する。このT20判定部C4では、これらの信号に基づいて、変速開始点を検出する。
【0113】
・T10計測部C5では、変速開始指令部C2から、変速開始指令信号が入力する。このT10計測部C5では、基準時間T10を計測する。
・比較部B6では、T20判定部C4から、変速開始点時間T20の信号を入力するとともに、T10計測部C5から、基準時間T10の信号を入力する。この比較部C6では、基準時間T10と変速開始点時間T20とのうち早いタイミングを求める。
【0114】
・目標設定部C9では、比較部C6にて求めた早いタイミングにて、目標入力軸回転数Ntrを設定する。
・誤差検出部C7では、比較部C6が作動した時刻T30を入力し、目標設定部C9から目標入力軸回転数Ntrを入力するとともに、実際の入力軸回転数Ntを入力し、その差△Ntを積分する。
【0115】
この積分は、変速状態判定部C1によって予め定められた値、又は変速状態に対応した値T40まで実行される。従って、誤差検出部C7の出力PNtは、下記式(10)で得られる。
【0116】
【数1】
【0117】
・初期油圧補正部C8は、誤差検出部C7からの出力PNtを入力し、初期油圧設定部C11で定める初期油圧Pioを補正する出力△PNtを出力する。
・初期油圧設定部C10では、変速状態判定部C1及び変速開始指令部C2からの信号に基づいて、基本となる初期油圧Pioを算出するとともに、この基本の初期油圧Pioを、誤差検出部C7からの補正値△PNtを用いて補正する。
【0118】
[2]以下、上述した構成の制御装置にて行われる学習補正制御の詳細を記述する。
図25に示すグラフは、前記実施例2の制御を行なった場合における、アップシフトの入力軸回転数Nt、目標入力軸回転数Ntr、出力軸トルクToを、適正ライン圧に対し、以下の関係でずらした結果である。
【0119】
(a)>(b)>(c)適正ライン圧>(d)>(e)
尚、図中A,B,T10,T20は、図9に示した説明と同じ意味である。また、図25のNtとNtrとの囲まれた斜線部分の面積は、誤差検出部C7の前記式(10)によって算出される積分値PNtである。
【0120】
つまり、図25から、積分値PNtに応じて補正することにより、好適な初期油圧Pioが得られることが分かる。
次に、図26(a)に、前記式(10)の積分値PNtと初期油圧Pioとの関係を示す。この図から明らかな様に、積分値PNtは初期油圧Pioのずれに対応した量になる。
【0121】
初期油圧補正部C8では、下記式(11)より、
△PNt=γPNt …(11)
又は、図26(b)に示す様に、直接テーブルルックアップ等により△PNtを求める。但し、前記γ又は図26(b)の補正量は、一般に数回の学習で、初期油圧Pioが適正になるように選ばれる。
【0122】
そして、初期油圧設定部C10では、前記△PNtを入力し、下記式(12)を用いて、現在の初期油圧Pioaから△PNtを減算し、次回の変速に用いる初期油圧Pioを設定する。
Pio=Pioa−△PNt …(12)
[3]次に、本実施例の制御装置にて行われる制御処理を、図27〜図30のフローチャートに基づいて詳細に説明する。尚、ここでは、前記実施例2と異なる状態フラグFST=1,2,3の処理について説明する。
【0123】
▲1▼図27に示す状態フラグFST=1の処理では、ステップ1075の処理のみが異なる。
つまり、ステップ1040にて、変速開始点が検出された場合には、前記目標入力軸回転数Ntrと実際の入力軸回転数Ntとの偏差△Ntの積分を行なうための期間の算出に使用するタイマT4をクリアする。
【0124】
▲2▼図28に示す状態フラグFST=2の処理では、ステップ1064の積分処理のみが異なる。この積分処理を、図29に示す。
まず、ステップ1110にて、タイマT4をインクリメントする。
続くステップ1120では、タイマT4の値が、積分終了の時間T40に到ったか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ1140に進み、一方否定判断されるとステップ1130に進む。
【0125】
ステップ1130では、まだ積分終了時間T40に到らないので、前記式(10)の積分を行ない、一旦本処理を終了する。
一方、ステップ1140では、タイマT4の値と積分終了時間T40とが一致したか否かを判定する。ここで、一致したと判定されるとステップ1150にて、その時点の積分値をPNtの値として記憶し、一致しない場合は、そのまま本処理を終了する。
【0126】
▲3▼図30に示す状態フラグFST=3の処理では、ステップ1220の処理のみが異なる。
つまり、ステップ1220では、前記式(11),(12)を用いて、積分値PNtに応じた初期油圧Pioの学習補正を行なう。
【0127】
この様に、本実施例では、前記実施例2と同様に、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、基準時間T10を補正する処理を行なうとともに、積分値PNtの大きさに応じて、初期油圧Pioを補正する処理を行なうので、いかなるバラツキ等が存在しても、いつも適正な基準時間T10と初期油圧Pioを学習補正して、前記実施例1より、一層好適にライン圧Piをフィードバック制御できる。つまり、この学習補正制御により、車種展開、自動変速機のバラツキ経年変化に対し、適合することなく、より均一な性能を出すことができるという効果を奏する。
(実施例4)
次に、実施例4の制御装置について説明する。
【0128】
本実施例の制御装置は、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、目標入力軸回転数Ntr(又は勾配)を補正するものである。
ここでは、前記実施例1と同様なハード構成及び制御処理については、その説明を省略又は簡略化し、前記実施例1のステップ520に代えて行われる処理について、図31のフローチャートに基づいて説明する。
【0129】
まず、ステップ1310にて、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1を算出する。
続くステップ1320では、下記式(13)を用いて、図32に示す様に、目標入力軸回転数Ntrの勾配をどの程度急にするかを示す勾配の補正値d△Ntrを算出する。
【0130】
d△Ntr=△T1×δ …(13)
ここで、δは、予め定められた係数、又は図33に示す様に、変速の状態、例えば目標入力軸回転数Ntrによってテーブルルックアップされた値である。
続くステップ1330では、下記式(14)を用いて、目標入力軸回転数Ntrの勾配dNtrを算出する。
【0131】
dNtr=dNtro+d△Ntr …(14)
尚、Ntroは、T10=T20のときの目標入力軸回転数である。
続くステップ1340では、下記式(15)を用いて、目標入力軸回転数Ntrを算出し、一旦本処理を終了する。
【0132】
Ntr=Ntr1+(dNtro+d△Ntr)t …(15)
尚、Ntr1は、現在の目標入力軸回転数である。
つまり、本実施例では、図32に示す様に、変速開始点Bにおいて、基準時間T10と変速開始点時間T20との時間差△T1に応じて、目標入力軸回転数Ntrを変更している。即ち目標入力軸回転数Ntrの勾配dNtrをd△Ntrだけ急にしている。そのため、フィードバック制御は変速時間を短かくするようにライン圧を高めるので、結果として短い時間で変速を終了することができる。従って、変速ショック,クラッチ熱負荷増大といった問題は生じない。
【0133】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。例えば前記各実施例の補正制御を、単独で行なうのではなく、組み合せて用いるとさらに効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一部の構成を例示するブロック図である。
【図2】実施例1の制御装置を内蔵した自動変速機制御系の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】自動変速機の構成を示す概略構成図である。
【図4】シフトアップ及びシフトダウンの変速線を示すグラフである。
【図5】各種のマップを示し、(a)はスロットル開度からライン圧を求めるためのマップであり、(b)はライン圧からデューティ値を求めるためのマップである。
【図6】実施例1の制御装置を機能別に示したブロック図である。
【図7】従来の変速状態を示すタイミングチャートである。
【図8】各種の変速状態を示すタイミングチャートである。
【図9】実施例1の変速状態を示すタイミングチャートである。
【図10】実施例1の他の状況における変速状態を示すタイミングチャートである。
【図11】各種のマップを示し、(a)は基準時間T10を設定するためのマップであり、(b)はスロットル開度に応じて更に精密に基準時間を設定するためのマップである。
【図12】実施例1の制御処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図13】状態フラグに応じて分岐する処理を示すフローチャートである。
【図14】FST=0の場合の処理を示すフローチャートである。
【図15】FST=1の場合の処理を示すフローチャートである。
【図16】FST=2の場合の処理を示すフローチャートである。
【図17】FST=3の場合の処理を示すフローチャートである。
【図18】実施例2の制御装置を機能別に示したブロック図である。
【図19】実施例2の原理を説明するためのグラフである。
【図20】各種のマップを示し、(a)は△T10を設定するためのマップであり、(b)は△Pioを設定するためのマップである。
【図21】FST=1の場合の処理を示すフローチャートである。
【図22】FST=2の場合の処理を示すフローチャートである。
【図23】FST=3の場合の処理を示すフローチャートである。
【図24】実施例3の制御装置を機能別に示したブロック図である。
【図25】実施例3の原理を説明するためのグラフである。
【図26】各種のマップを示し、(a)はPNtを設定するためのマップであり、(b)は△PNtを設定するためのマップである。
【図27】FST=1の場合の処理を示すフローチャートである。
【図28】FST=2の場合の処理を示すフローチャートである。
【図29】積分処理を示すフローチャートである。
【図30】FST=3の場合の処理を示すフローチャートである。
【図31】実施例4の制御処理を示すフローチャートである。
【図32】実施例4の変速状態を示すタイミングチャートである。
【図33】δを設定するためのマップである。
【符号の説明】
1…エンジン
2…自動変速機
5…エンジン制御用コンピュータ
11…変速歯車機構(変速機構)
12…入力軸
13…出力軸
14…変速制御用コンピュータ
15…コントロールバルブ
16…ライン圧制御用ソレノイド
17…入力軸回転センサ
Claims (5)
- 自動変速機の入力軸と出力軸との間の動力伝達経路を、液圧に応じて作動する摩擦係合要素によって切り替える変速機構を有するとともに、
前記摩擦係合要素の係合圧を前記液圧により制御する液圧制御要素を備えた自動変速機の変速過渡制御装置において、
前記液圧制御要素を駆動して、変速中の入力軸回転数又は入力軸回転勾配を目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配に追従させる、変速過渡制御を行なう追従制御手段と、
変速開始指令信号から、変速状態に対応して予め定められた基準時間が経過したことを検出する基準時間検出手段と、
該基準時間検出手段によって、前記基準時間が経過したことが検出された場合には、前記追従制御手段を駆動して、自動的に前記変速過渡制御を見込み開始する見込み追従制御開始手段と、
前記入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出手段と、
前記出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
前記入力軸回転数検出手段からの出力情報と前記出力軸回転数検出手段からの出力情報とから、実際に変速が開始された変速開始点を検出する変速開始点検出手段と、
該変速開始点検出手段によって、前記変速開始点が検出された場合には、前記追従制御手段を駆動して、前記変速過渡制御を開始させる開始点追従制御開始手段と、
前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、
該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、前記見込み追従制御開始手段の開始時刻を学習補正する見込み制御補正手段と、
を備えたことを特徴とする自動変速機の変速過渡制御装置。 - 前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻とのうち、どちらが早いタイミングかを判定するタイミング判定手段と、
該タイミング判定手段によって判定された早いタイミングの時刻に対応して、前記見込み追従制御開始手段又は前記開始点追従制御開始手段を選択して駆動して、前記変速過渡制御を開始する早期追従制御開始手段と、を備えたことを特徴とする前記請求項1記載の自動変速機の変速過渡制御装置。 - 前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、
該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配を変更する目標値変更手段と、
を備えたことを特徴とする前記請求項1又は2記載の自動変速機の変速過渡制御装置。 - 前記変速過渡制御の開始時の摩擦係合要素の初期液圧を設定する初期液圧設定手段と、
前記基準時間を示す時刻と前記変速開始点を示す時刻との時間差を検出する変速遅れ時間検出手段と、
該変速遅れ時間検出手段によって検出された前記時間差に応じて、次回の変速時における前記初期液圧設定手段の初期液圧を学習補正する初期液圧補正手段と、
を備えたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載の自動変速機の変速過渡制御装置。 - 前記変速過渡制御の開始時の摩擦係合要素の初期液圧を設定する初期液圧設定手段と、
前記目標入力軸回転数又は目標入力軸回転勾配と実際の入力軸回転数又は入力軸回転勾配との差に対応する量を、変速の状態に対応して一定期間積分する誤差検出手段と、
該誤差検出手段の出力に対応して、次回の変速時における前記初期液圧設定手段の初期液圧を学習補正する初期液圧補正手段と、
を備えたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載の自動変速機の変速過渡制御装置。
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