JP3598341B2 - 劇毒物等の保管管理装置及び電子秤量秤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、劇毒物等の保管管理装置及び電子秤量秤に関し、データキャリア(ICカード或はIDタグ)とその自動認識装置(以下、リーダ・ライタと呼ぶ)を取り扱い上厳密な管理が要求される劇毒物や放射性物質等を量る秤量秤、或は管理する収納保管庫に適用することによって、前記薬物及び放射性物質等に対して数値上厳密な管理を同時に実現したものである。
ここで、データキャリア(ICカード或はIDタグ)とリーダ・ライタは、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる技術が基になっており、識別情報を記録したIDカード又はIDタグを移動体(人・物)に取付け、リーダ・ライタからの質問電波により、情報にアクセスするシステムを実現できるものである。尚、データキャリアはトランスポンダとも呼ばれる。
【0002】
【従来の技術】
劇物・毒物・麻薬・放射性物質或は高価で貴重な物質(以下、劇毒物等と呼ぶ)は、悪用されると社会的に重大な事件を引き起こしかねないものであるため、その取り扱い及び収納・保管等の管理は選定された資格者によって管理されている。これらは、通常施錠可能な保管庫に収納され、厳重に管理されることになっているが、実際の管理手段として、例えば、これら薬物の出し入れでは管理ノート等を使って、使用者・使用日時・使用目的・使用量等をその都度記載する程度のことが少なくない。又、試薬ビンからどの程度の劇毒物等を取り出したかは、具体的な数値としてごまかしなく記録する管理機器があるわけではなく、あくまで自己申告に頼らざるを得ないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように現状での劇毒物等の管理は、基本的に人の信頼をベースにした管理にならざるを得ず、管理上の甘さが指摘されており、具体的には次のような問題が考えられる。
1.劇毒物等を収納ビンから取り出すとき、意図的に又は間違って実際に取り出した量とは異なる量を記載される可能性がある。
2.実際の劇毒物等の管理が甘ければ、悪用目的で管理者の目を盗んで劇毒物等の一部が持ち出される可能性がある。
現実社会では、前記劇毒物等の無断持出しによる事件が実際に発生しており、重大問題となっている。
【0004】
本発明は、前記劇毒物等の管理の甘さの問題を解決し、劇毒物等の管理をより厳密に行うことを可能とする装置を実現することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、斯かる課題を鋭意研究したところ、第1に薬物・試薬等を秤量する電子秤量秤であって、秤量する対象物を容れた容器を置く秤量台或はその近辺には質問電波を送信し、応答電波を受信可能とするアンテナが設けられており、該アンテナを駆動するリーダ・ライタと、質問電波を受信し、その受信信号を識別し記憶した情報に基づき応答信号を送信し、受信データを記録可能なデータキャリアを試薬ビン等の容器底部に取付け、該容器を秤量台にて秤量し、前記アンテナと前記リーダ・ライタを介して前記データキャリアから記録データを取り出して処理し、前記データキャリア内部の記録内容を更新し、容器特定と秤量を同時にすることが出来ることを特徴とし、第2に内部の収納棚或はその近辺には質問電波を送信し、応答電波を受信可能な一つ以上のアンテナが設けられており、該アンテナを駆動する一つ或は複数のリーダ・ライタと、質問電波を受信し、その受信信号を内部識別し記憶した情報に基き応答信号を送信可能なデータキャリアを取付けた試薬ビン等の容器を有し、これらデータキャリアとリーダ・ライタとを交信させ、その交信内容を基に前記容器の出し入れの履歴を記録し管理することができる劇毒物等の保管管理装置を有することを特徴とし、第3に棚の内部には、所望数のアンテナが設けられ、これらはアナログマルチプレクサスイッチを介してリーダ・ライタの本体に接続されていることを特徴とし、第4に棚の内部には、所望数のアンテナが設けられ、これらはアナログマルチプレクサスイッチを介してリーダ・ライタの本体に接続されると共に、リーダ・ライタ及びICタグにアンチコリジョンを設けたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明すると、図1は本発明に適用した劇毒物等の収納保管装置1の一例で、扉を締めた状態を描いたものである。扉21は電気錠2を設置して作られており、錠開の信号が入ってこない限りロックされて開かないようになっている。該錠開の信号は同じく図1に示されているIDカード挿入箇所3の裏側に固定されているアンテナ41と、それに接続されているリーダ・ライダ4により発せられる。該リーダ・ライタ4は、図1のIDカード挿入箇所3にデータキャリアとしてIDカード7が挿入されると、該IDカード7のメモリに記憶されている認証番号等のセキュリティ情報をリードし、電気錠2のアンロックが要求されていると判断されたときのみ電気錠2に対して錠開の信号を出す。
【0007】
IDカード7は、劇毒物等の収納保管装置1を業務等の理由で開く必要のある者(例えば劇毒物等の管理者)に対して支給されたICカードであり、各自別々のID番号やその他の情報が記録されている。より厳重な管理が必要である場合には、カードの内容が破壊されることの少ない非接触ICカードがより好ましい。従って、該IDカード7を所持したものだけが当該収納保管装置1を開くことができる。
【0008】
図1において、電気錠2、IDカード挿入箇所3、リーダ・ライタ4等は必ずしも図中に示している位置にある必要はなく、目的が達せられる位置と構成になっていればよい。リーダ・ライタ4は、収納保管装置1内部に構成されている必要はなく、該収納保管装置1の外部に有ってもよい。リーダ・ライタ4の近辺に、リーダ・ライタ4用アンテナ8を設けておく。又、IDカード挿入箇所3が必ずしも設けられている必要もない。但しこのときは、IDカード7をリーダ・ライタ4の近辺にかざして使用することになるので、非接触ICカードでなければならない。
【0009】
図2は、収納保管装置1の内部の様子を描いた場合の一例を示すものであって、試薬ビン5を置く棚6の内部には、データキャリアとしてのICタグ、就中非接触ICタグ71にアクセスするためのリーダ・ライタ4からのアンテナ8,8,…が埋め込まれており、各アンテナ8,8,…上に試薬ビン5,5,…等を置くようになされている。これらアンテナ8,8,…の内の一つが、図3に示すように、アナログマルチプレクサ9を介してリーダ・ライタ4の本体に接続され使用される。各アンテナ8,8,…は1つずつ順々に切換(走査)されて使用される。アンテナ8を除くリーダ・ライタ4の本体は、収納保管装置1内部に設置してもよいし、収納保管装置1の外部に設置してもよい。
【0010】
各試薬ビン5の底部には、非接触ICタグ71が埋め込まれており、例えば各試薬ビン5,5,…のID番号、薬品の種類、購入日時、購入量、使用残量等の薬品に関する情報が記録されている。該非接触ICタグ71は、その真下のアンテナ8を介してリーダ・ライタ4から無線によってID番号等の情報がリードされ、認識されるようになっている。このタグ認識機能によって、いつどの試薬ビン5を持ちだし、使用して戻したかが自動的に判明するので、この情報をIDカード7に自動的に記録する。
【0011】
又、同時に前記リーダ・ライタ4にパソコン等の外部コンピュータ11を接続することができるようになっており、前記アクセス情報を劇毒物等の管理者用データとして保存する。IDカード7や外部コンピュータ11に記録された前記アクセス情報によって、劇毒物等の取り扱い履歴が残されるので、必要なら読み出し取り扱い履歴の詳細を調べることができる。
【0012】
尚、複数のアンテナ8,8,…は、必ずしも1つのリーダ・ライタ4から走査される必要はなく、1つのアンテナ8に対して1つのリーダ・ライタ4を使用してもよいし、いくつかのアナテナ8,8,…毎に1つのリーダ・ライタ4を使用するようにしてもよい。又、必ずしも1つのアンテナ8で1つの試薬ビン5のみを認識するような構成である必要はなく、1つのアンテナ8で複数の試薬ビン5,5,…を認識できる構成にしてもよい。これは、例えばリーダ・ライタ4及び非接触ICタグ71にアンチコリジョン(信号の衝突防止)機能を使って実現することもできるし、薬物の種類が決まっているなら、リーダ・ライタ4から順にアクセスしたい薬物名(IDでもよい)を指定して順番にアクセスするようにしてもよい。
【0013】
図2に示した非接触ICタグ71は、必ずしも試薬ビン5の底面に配置する必要はなく、例えば試薬ビン5の側面であってもよいが、リーダ・ライタ4がアクセス可能な配置にアンテナがあるようにする必要がある。又、劇毒物等を収納する試薬ビン5は、ビン以外の容器であってもよい。又、前記IDカード7及び非接触ICタグ71は、必要とする機能さえ有ればそれに類するものでもよい。非接触ICタグ71を認識するリーダ・ライタ4とIDカード7を認識するリーダ・ライタ4を同じものにしたときは、IDカード7用のアンテナ8もアナログマルチプレク9を介して走査して使用する必要がある。前記2つのリーダ・ライタ4,4を別々のものにした場合は、これらの複数のリーダ・ライタ4又は4を統括する制御機器(例えば外部コンピュータ等)を介して必要な情報を転送するようにすればよい。
【0014】
収納保管装置1から試薬ビン5を取り出し、図4に示すリーダ・ライタ内蔵電子秤量秤10に乗せ計量する。該電子秤量秤10には、RFID機能を可能とするリーダ・ライタ4とそのアンテナ8が内蔵されており、該電子秤量秤10に乗せられた試薬ビン5に取り付けられた非接触ICタグ71にアクセスできるようになっている。RFID(Radio Frequency Identification)とは、識別情報を記録したトランスポンダ(IDカード、IDタグ)を移動体(人・物)に取付け、リーダ・ライタ4からの質問電波により、非接触で情報にアクセスする技術。又、該電子秤量秤10にはIDカード挿入箇所3が設けられており、収納保管装置1で使用したものと同じIDカード7を挿入するようになっている。
【0015】
【実施例】
次に、リーダ・ライタ4を内蔵する電子秤量秤10の操作手順の一例を示す。先ず、前記試薬ビン5を電子秤量秤10に乗せると同時に収納保管装置1で使用したものと同じIDカード7を取り出してIDカード挿入箇所3に挿入する。これによって電子秤量秤10は管理モードとなる。電子秤量秤10に内蔵されたリーダ・ライタ4はアンテナ41を介して、試薬ビン5に埋め込まれたIDタグ71から前回での使用残量を読み取り表示させると同時に現在の実測定量値をも表示する。この時、両表示値に差が生じた場合には、何らかの不正使用或は手違いがあったと判断し、その旨を知らせる何らかのアクションを起こす。これは、例えば、警報を鳴らすとかランプや文字による警報表示等が考えられる。
【0016】
更に、この異常情報を記録する作業も行う。これは、リーダ・ライタ4内部の不揮発メモリにセーブしてもよいし、IDカード7に異常マークと共に記録してもよい。又、電子秤量秤10を制御する電子回路内の不揮発メモリ等に記録されてもよい。或は又、電子秤量秤10が外部のコンピュータ11と接続されている場合は、そのコンピュータ11にデータを転送し記録してもよい。
【0017】
試薬ビン5から劇毒物等を取り出した後は、電子秤量秤10をボタン等を使って収納モードにし、秤量後の測定値を測定日時と共に非接触IDタグ71及びIDカード7に記録する。秤の分解能以下の極微量使用時には、当然その秤量がもっと高精度の秤で量られているので、そのようなときにはテンキーのようなもので自己申告も可能とするようにしてもよい。
【0018】
電子秤量秤10がパソコン等の外部コンピュータ11に接続されていれば、各種測定データ及びアクセスデータは外部コンピュータ11へ転送され、そこで処理・保存される。以上の作業が全て終了した後に、取り出した試薬ビン5を劇毒物等の収納保管装置1に収納する。この時も収納保管装置1のIDカード挿入箇所3にIDカード7を挿入することによって扉21を開けて収納するようにすると、取り出したときに既に試薬が特定されているので、戻す時、容易にチェックすることができる。その後、扉21を閉じると、自動的に電気錠2がロックされ、先に取り出された試薬ビン5が確かに元の保管庫1に保管された旨の情報がIDカード7に記録される。これらの一連の操作は、電子秤量秤10や劇毒物等の収納保管装置1に付加されたボタン又はスイッチ等を併用してより使いやすく構成してもよい。
【0019】
以上述べた装置と方法によって、従来技術で述べた管理上の甘さの問題が解決される。但し、具体的には上記実施例で述べた方法と手順そのままである必要はなく、無数のバリエーションが考えられる。例えば、前述したように、IDカード7及び非接触IDタグ71は、必要とする機能さえ有ればそれに類するものでもよい。即ち、データキャリアとしてバーコード又は磁気カードを用い、これに対応するリーダライタ4としてバーコードリーダ又は磁気カードリーダを用いて、これらの間で情報交信させるように構成してもよい。
【0020】
尚、バーコード又は磁気カード等の読み出し専用のデータキャリアを用いる場合には、対応のリーダライタ4で読み取った情報の管理(利用者履歴、使用履歴等)を管理装置において記憶保存しておき、必要時にこれら記憶情報の読み出し可能にしておく必要がある。又、得られたデータの記録は、IDカード7或は非接触IDタグ71のメモリが少ない場合には、データの一部又は全部をリーダ・ライタ4内のメモリ乃至接続されている外部コンピュータ11に保存し、一括管理するようにしてもよい。どちらにしろ、管理に必要な全ての操作履歴とデータが確実に記録保存されるようにする。これによって、劇毒物等の管理者は、いつでも劇毒物等の使用状況を正確に確認することができる。
【0021】
【発明の効果】
上述した如く本発明装置によれば、請求項1記載の構成によれば、劇毒物等をその容器から取り出した残量が正確に記録され、再び劇毒物等を容器から取り出すときに実際の測定量と記録地とを比較することができるので、薬物などの記録されないない不正取り出し等チェックができ、更に庫内保管の劇毒物等の使用量並びに使用者(取り出し人)及びその日時等を正確に管理することが可能であると共に、これらの構成で管理目的応じたより正確な保管管理を自動的に行うことが出来る。
【0022】
又、請求項2記載の構成に於いて、保管庫と庫内に敷設した庫内物質情報検知システムとを一体化させることで、該システムによる設置リーダ・ライタとここの庫内部に取り付けたデータキャリアとの間で、その庫内物の特定情報並びに位置(出し入れ)情報等を交信させ、2つの交信信号を記録するようにしたので、庫内物の出し入れ等を自動的に管理することができる。更に、保管庫に扉錠を設け、設置リーダ又はリーダ・ライタと使用者が携帯するデータキャリアとの間で確定更新を行うようにしたので、庫内出入りの使用者の特定と共に、保管庫からの試薬便の出し入れされた日時等に関する管理を厳重に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例を示す斜視図
【図2】同上の棚内配置状態の一例を示す開扉状態の正面図
【図3】本発明装置における装置構成の一例を示す図
【図4】電子秤量秤の一例を示す一部切欠き正面図
【図5】データキャリアの原理を示すダイヤグラム
【符号の説明】
1 収納保管装置
2 電気錠
3 IDカード挿入箇所
4 リーダ・ライタ
5 試薬ビン
6 棚
7 データキャリア
8 アンテナ
9 アナログマルチプレクサ
10 電子秤量秤
11 外部コンピュータ
71 非接触IDタグ
Claims (4)
- 薬物・試薬等を秤量する電子秤量秤であって、秤量する対象物を容れた容器を置く秤量台或はその近辺には質問電波を送信し、応答電波を受信可能とするアンテナが設けられており、該アンテナを駆動するリーダ・ライタと、質問電波を受信し、その受信信号を識別し記憶した情報に基づき応答信号を送信し、受信データを記録可能なデータキャリアを試薬ビン等の容器底部に取付け、該容器を秤量台にて秤量し、前記アンテナと前記リーダ・ライタを介して前記データキャリアから記録データを取り出して処理し、前記データキャリア内部の記録内容を更新し、容器特定と秤量を同時にすることが出来ることを特徴とする電子秤量秤。
- 内部の収納棚或はその近辺には質問電波を送信し、応答電波を受信可能な一つ以上のアンテナが設けられており、該アンテナを駆動する一つ或は複数のリーダ・ライタと、質問電波を受信し、その受信信号を内部識別し記憶した情報に基き応答信号を送信可能なデータキャリアを取付けた試薬ビン等の容器を有し、これらデータキャリアとリーダ・ライタとを交信させ、その交信内容を基に前記容器の出し入れの履歴を記録し管理することができる劇毒物等の保管管理装置を有する請求項1に記載の電子秤量秤。
- 棚の内部には、所望数のアンテナが設けられ、これらはアナログマルチプレクサスイッチを介してリーダ・ライタの本体に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電子秤量秤。
- 棚の内部には、所望数のアンテナが設けられ、これらはアナログマルチプレクサスイッチを介してリーダ・ライタの本体に接続されると共に、リーダ・ライタ及びICタグにアンチコリジョンを設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子秤量秤。
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