JP3598284B2 - 種子加工食品材料及びそれを用いた種子加工食品 - Google Patents

種子加工食品材料及びそれを用いた種子加工食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胡麻や落花生等の種子に特有の風味を有する豆腐状物や葛あん等のゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の種子加工食品を、作業者の熟練や高度の技能なしに即席で再現性良く容易に得ることができる種子加工食品材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゲル状種子加工食品として周知の胡麻豆腐は、作業者により製造手順に多少の相違が見られるものの、概して、葛デンプンや甘藷デンプン等のデンプン、練り胡麻及び水からなるゾル状混合物を、その温度に注意しながら、焦げ付きがなく、デンプンだまのない優れた均一性と適度の粘性、弾力性を有する糊状物が得られるように慎重に加熱、撹拌、混練し、その後、所定の流し缶等に流し込むと共に冷却、凝固させる方法により製造されている。
【0003】
しかしながら、前記従来の製造方法により得られる胡麻豆腐の風味、歯触り、弾力性、柔らかさ、食感等に係る品質は、胡麻豆腐の原料成分であるデンプン、練り胡麻及び水等の配合割合が一定比に設定されていたとしても、作業者による具体的な配合、加熱、撹拌、混練等の手法の相違に影響されて大きく変動するので、作業者の熟練や高度の技能なしに高品質を常時一定に維持することは困難であり、このような品質の維持は一般家庭においてはより困難となる。
【0004】
また、前記のようにして製造された胡麻豆腐は、その製造直後からデンプンの老化による風味や食感の低下が進行し、特に腐敗を防ぐための低温保存下では前記傾向が促進されるので、当初の風味や食感を賞味可能に維持しつつ長時間にわたって作り置きしたり、長時間にわたって高品質を維持しつつ商品として流通過程内に滞留させることが困難であった。
【0005】
一方、前記のような問題を解決するものとして、特開平5‐30947号公報には、胡麻粉末又は練り胡麻と特定の増粘安定剤粉末とからなる即席胡麻豆腐の素に係る発明が提案されている。前記即席胡麻豆腐の素は、これを熱湯に溶解し、或いはこれを水や温水に溶かしてから加熱溶解し、冷却することによりゲル化することができるものであり、これによれば、全ての原料成分は、加熱溶解するまでに品質の劣化を受けることがなく、また葛デンプンを用いていないので製造後も老化現象が起こらないとされる。
【0006】
しかしながら、前記の従来技術に係る即席胡麻豆腐の素は、従来の葛デンプンに代えて増粘安定剤粉末を用いているため、それから得られた胡麻豆腐は、当然ながら、葛デンプンを用いた本来の胡麻豆腐に比べて風味や食感が異なり、異質感を免れない。
【0007】
また、前記の従来技術に係るものでは、胡麻粉末又は練り胡麻及び増粘安定剤粉末等からなる、比重や粒度の異なる種々の粉末や油脂分等を含むペースト状の原料成分を単に配合しただけのものであるから、それら原料成分間の一体性に欠けると共に各原料成分が局所的に偏在した不均一な混合物となり易く、そのため製品化段階での計量、包装、分包等の作業や胡麻豆腐の製造段階における計量等の作業に支障を来し易い。
【0008】
さらに、前記の従来技術に係るものでは、葛デンプン等のデンプンに代えて増粘安定剤を用いているため、該デンプンを用いたものとは異なって熱水中で撹拌した時に冷却するまでは粘稠化せずに高い流動性のゾル状態を維持することから、撹拌時に投入された魚介類や野菜等の具は、それらの比重によっては凝固前に容器の底に沈降してしまうので、具が均一に分散配合された胡麻豆腐が容易に得られないこと、上下二つ割りの成型用容器やラップフィルムによる包装等の手段で所要の形状に凝固させることが困難であること、葛切りのように凝固後に麺状その他の形状に切り出す場合に、冷却して凝固するまで長時間待つ必要があること等の問題があった。
【0009】
なお、前記のような増粘安定剤粉末を用いずに、従来の葛デンプン等のデンプンを練り胡麻と単に混合したものを、胡麻豆腐の即席の製造に供することも可能ではある。
しかしながら、前記の混合物は、既述のような胡麻豆腐の素の場合と同様に不均一になり易い上に、練り胡麻中の胡麻油脂分がデンプン粒子周囲に付着するためか全体として湿潤状態となるため、乾燥感のある良好な粉粒体状に加工することが困難であり、それらに起因して、製品化段階での計量、包装、分包等の作業並びに胡麻豆腐の製造段階における計量及び水中への分散溶解等の作業に支障を来し易くなる。また、前記の場合、デンプンに対する練り胡麻の配合量が多くなると、混合物は粘着性を増して粉粒体状への造粒が困難になると共に水中への分散溶解性が低下する傾向があり、より強い胡麻風味を得るべく練り胡麻を増量することが困難になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記のような従来技術の問題点を解消し、胡麻や落花生等の種子に特有の風味を有する豆腐状物や葛あん等のゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の種子加工食品を、作業者の熟練や高度の技能なしに即席で再現性良く容易に得ることができる種子加工食品材料を提供することにある。
【0011】
また、本発明の別の課題は、原料成分が均一に一体化されると共に乾燥感のある良好な粉粒体状に加工され、それによって、製品化段階での計量、包装、分包等の作業並びに豆腐状物その他の種子加工食品の製造段階における計量及び水中への分散溶解等の作業が容易に行える種子加工食品材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る種子加工食品材料は、焙煎種子粉末及び油脂分を含む種子ペーストとデンプンとを水分の添加下に撹拌、混練すると共にそれによって種子ペースト中の油脂分を水分中に微粒子乳化させ且つ該水分をデンプンに吸収させて種子デンプンペーストを形成し、これを粉粒体状に乾燥、固化させたことを特徴としている。
前記種子ペーストには、例えば焙煎胡麻粉末と胡麻油を含む公知の練り胡麻や焙煎落花生粉末と落花生油を含む公知のピーナッツクリーム等を好適に使用することができる。
【0013】
前記種子デンプンペーストの形成に際してのデンプンと種子ペーストの配合比は、特に限定されるものではないが、混練性、造粒性及び最終的に得られる種子加工食品の風味や食感等の観点から、概して、デンプン100重量部に対して種子ペースト中の油脂分が5〜70重量部、特に5〜55重量部の範囲にあるように両者を配合することが好ましい。
【0014】
前記において、種子ペーストとデンプンとが水分の添加下に撹拌、混練されることにより、種子ペースト中の油脂分が水分中に微粒子状の油滴となって乳化分散されると同時に前記分散媒としての水分がデンプンに吸収され、さらに、種子ペースト中のタンパク質が前記水分の添加により、疎水性を強くしてデンプン分子と相互作用しながら油滴表面を覆い、安定化させているものと考えられる。従って、前記のようにして形成された種子デンプンペーストは、全体的に均一化され、種子の各油滴がタンパク質とデンプンで囲まれた状態にあるものと推定される。
【0015】
前記のような種子デンプンペーストを粉粒体状に乾燥、固化させてなる種子加工食品材料は、既述のように水の介在なしに種子ペーストとデンプンとを直接混合したものと異なって、全体として油性の湿潤感がなく乾燥感のある、取扱い性及び保存性に優れた良好な粉粒体を呈し、種子加工食品の製造段階において温水や熱水等の水中に容易に分散溶解して均一なゾル状態になることができる。
即ち、前記種子デンプンペーストにおいて種子の各油滴がタンパク質とデンプンで囲まれて安定化された状態にあり、この種子デンプンペーストを粉粒体状に乾燥、固化させてなる種子加工食品材料では、その中の各油滴はタンパク質とデンプンの層を介して接合一体化されて比較的安定した固形形態を維持し、また各油滴を被覆する前記タンパク質とデンプンの存在で各油滴の露出が少なくなるため各粉粒体表面に乾燥感が生じるものと思われる。
【0016】
前記添加すべき水分として、水及び/又はアルコール水溶液を好適に用いることができる。前記アルコール水溶液を単独又は水との併用で使用した場合は、アルコール水溶液中の水分が種子デンプンペースト形成のための前記水分として使用されるのみならず、アルコール水溶液中のアルコール成分が製造工程において殺菌作用を及ぼすことになる。前記種子デンプンペーストの形成に際して使用された水及び/又はアルコール水溶液における水分やアルコール分は、通常、種子デンプンペーストが粉粒体状に乾燥、固化されるまでに、実質的に全て又は大部分が蒸発、消散することになる。
【0017】
さらに、添加すべき水分として、前記水やアルコール水溶液以外に或はそれらと共に、例えば、煎茶や抹茶等の茶類及び緑黄色野菜や果実等の絞り汁、並びに鰹節、昆布、椎茸等の和風出し汁及び洋風、中華風の出し汁等を使用することも可能である。これらの使用により得られた種子加工食品材料からは、本来の種子風味に別の新たな風味を加味すると共にビタミン類その他の栄養素が付加されたゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の種子加工食品を得ることができ、それによって種子加工食品の用途を大幅に広げることができ、料理を多様化し得ると共に流動食や離乳食等にも活用することが可能になる。
【0018】
前記種子デンプンペーストの形成に際して添加すべき水分の量は、特に限定されるものではないが、混練性、造粒性及び乾燥性等の観点から、概して、デンプン100重量部に対して10〜100重量部、特に20〜60重量部の範囲にあることが好ましい。
【0019】
前記種子加工食品材料は、本発明の目的に沿い且つ本発明の作用効果を奏し得る限り、前記以外の成分が添加されていてもよい。また、前記デンプンとして、葛デンプン、甘藷デンプン、コーンスターチ及び片栗粉等を単独に又は併用で使用することができるが、特に葛デンプンや甘藷デンプンを主体とすることが好ましい。また、前記種子デンプンペーストを乾燥、固化させてなる粉粒体の形態や製法等に特別の制限はなく、種々の大きさ、形状の粉体や粒体が含まれるが、計量その他の取扱いを一層容易にするためには、微粉末のものよりも粗粒状のもの、特に直径0.5mm以上の粉粒体が好ましい。前記種子デンプンペーストの粉粒体化手段には公知の製粒機、造粒機、粉砕機等が使用可能であり、またその乾燥手段には、自然乾燥の他、熱風乾燥機、冷風乾燥機、真空凍結乾燥機等の公知の乾燥装置が適宜使用できる。前記種子デンプンペーストは、得られる種子加工食品材料の保存性の観点からは、含水量10%以下、特に8%以下に乾燥されることが好ましい。
【0020】
前記のような種子加工食品材料は、これを水中に分散溶解させてゾル状にすると共にこれを加熱してゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状にし、必要に応じてさらに冷却することにより、容易に、ゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の冷たい或は暖かい種子加工食品とすることができる。冷たい状態の種子加工食品を得る場合は、前記ゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状物を冷却させればよく、また暖かい状態の種子加工食品を得る場合は、前記ゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状物を冷却しないでそのまま使用してもよく、或いは一旦冷却されたものを加熱して使用することもできる。前記種子加工食品材料から得られる種子加工食品としては、胡麻や落花生等の種子からなる豆腐状物、葛あん等の他に、葛切り、わらび餅風の菓子等が挙げられる。
【0021】
また、粉粒体状の前記種子加工食品材料は、必要に応じて所要量の水分等を加えると共に適当な圧力を加えて平板状、直方体状その他の種々の形態に成形されてもよい。さらに、それらの成形物は、前記と同様にしてゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の種子加工食品とされる以外に、必要に応じて砂糖類その他の調味成分やその他の成分が種子加工食品材料の製造工程中やその後の何れかの段階で添加されて、例えば焼き菓子状に焼かれ、或は揚げ菓子状に揚げられてもよい。
【0022】
前記種子加工食品材料には、その製造工程中又は水中への分散溶解等に際して、必要に応じて凍結乾燥法等で乾燥されると共に水や湯との接触で復元され得る野菜、魚介類その他の具が添加されてもよい。前記のような種子加工食品材料及び乾燥された具は、種子加工食品材料と、それを水中に分散溶解するに際して添加すべき乾燥された具とからなる種子加工食品製造セットとして市場に提供されてもよい。
【0023】
前記種子加工食品材料を水中に分散溶解させてゾル状にする場合における分散媒としての水は当初から温水又は熱水であってもよく、その場合のゾルは、デンプン成分の糊化により幾分粘稠化され、加熱によるゲル化又はそれに近い微流動性ゾル化の前に低流動性となる。また、前記分散媒としての水が当初は常温近辺の水であってもよく、その場合のゾルも、その後における温水、熱水等の添加やその他の加熱手段による加熱により、前記と同様に低流動性となり、さらに最終的な加熱段階において非流動性のゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状に変成されることになる。
【0024】
前記加熱によるゲル化又はそれに近い微流動性ゾル化の工程における加熱手段に特別の制限はなく、通常の煮炊き用加熱器具を使用することもできるが、昨今の一般家庭に電子レンジとして広く普及し、加熱操作が手軽で加熱効果にも優れるマイクロ波加熱手段を好適に使用することができ、この場合の加熱は、種子加工食品材料を水中に分散溶解させて幾分粘稠化された低流動性の均一なゾル状にした状態で行われることが好ましい。
【0025】
即ち、前記種子加工食品材料を加熱によるゲル化又はそれに近い微流動性ゾル化の前に前記のような低流動性のゾル状態に一旦保持することにより、原材料の一部や添加配合された具等がゲル化又はそれに近い微流動性ゾル化の前に沈降して不均一になることを防ぐことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例及び比較例並びに分散溶解性試験に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、それらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
葛デンプン(商品名「富多川葛」、株式会社廣八堂製)75gを練り胡麻(商品名「擂り胡麻」、脂質分51.9重量%、アダチ食品株式会社製、)36gに加えて予め混合し、それに水45gを加えて均一に攪拌、混練し、胡麻デンプンペーストを得た。
前記胡麻デンプンペーストを直径1〜1.5mm程度の粗粒状粉粒体に造粒すると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%に乾燥、固化させたところ、全体として油性の湿潤感がなく乾燥感のある胡麻加工食品材料が得られた。
得られた前記粉粒体状の胡麻加工食品材料を重量比で3等分し、各試料を容器内で約40℃のぬるま湯50gに投入すると共に軽く攪拌したところ、何れも容易に分散溶解し、該胡麻加工食品材料の水中への優れた分散溶解性を示した。
得られた各ゾル状物に約95℃の熱湯150gを注ぎ入れてよく攪拌し、幾分粘稠化して低流動性のゾル状態になったところで、容器開口部にラップフィルムをかけ、電子レンジで600Wの電力下に約60秒間のマイクロ波加熱に供したところ、何れの試料についても良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、しかも各試料間に風味及び食感上の差異は認められず、前記胡麻加工食品材料の優れた均一性を示すものであった。
【0028】
一方、前記と全く同様の工程で別途製造した胡麻加工食品材料の1/3の量に水18g、砂糖5gを添加混合して直径約10〜30mm、厚さ約1〜3mmの略円板状体を複数個成形した。前記成形物の幾つかをオーブンで全体が変色するまで焼いたところ、甘い風味のある焼き菓子状のものが得られた。また、前記成形物の残りをフライパンでサラダ油を用いて全体が変色するまで揚げたところ、甘い風味のある揚げ菓子状のものが得られた。
【0029】
[実施例2]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻54g、水15gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約10%の粉粒体状に乾燥、固化させたところ、全体として油性の湿潤感がなく乾燥感のある胡麻加工食品材料が得られた。
粉粒体状の前記胡麻加工食品材料を実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に強く良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0030】
[実施例3]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻54g、水20gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に強く良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0031】
[実施例4]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、にんじん絞り汁36gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。前記にんじん絞り汁には、生のにんじんを磨り潰し、布で絞ったものを使用した。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
なお、前記にんじん絞り汁の代わりに、蒸したにんじん100gを100gの水と共にミキサーにかけて粉砕してなるにんじん汁を使用して、前記と同様にして胡麻加工食品材料及びそれを用いたゲル状胡麻加工食品を製造したところ、前記試験に劣らない良好な結果が得られた。
【0032】
[実施例5]
にんじん絞り汁の代わりに、「デルモンテ・トマトジュース」(トマト100%ジュース、日本デルモンテ製)、「まろやかキャロット」(にんじん100%ジュース、カゴメ製)、「野菜生活100」(野菜100%ジュース、カゴメ製)、「トロピカーナ100%ジュース」(ぶどう100%ジュース、キリンビバレッジ製)、「すっきりプルーン」(プルーン100%ジュース、カゴメ製)、「ブルーベリー&グレープ」(ブルーベリー及びグレープ100%ジュース、明治屋製)を各々使用した以外は実施例4と同様にして各胡麻加工食品材料及びそれを用いたゲル状胡麻加工食品を製造したところ、何れも実施例4と同様の良好な結果が得られた。
【0033】
[実施例6]
出発原料としてコーンスターチ75g、練り胡麻36g、水30gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に凍結乾燥法により含水量約7%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0034】
[実施例7]
出発原料として片栗粉75g、練り胡麻36g、水41gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0035】
[実施例8]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、65%エタノール水溶液39gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0036】
[実施例9]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、75%エタノール水溶液9g、水30gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0037】
[実施例10]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、88%エタノール水溶液16g、水30gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0038】
[実施例11]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、67%エタノール水溶液14g、水30gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、それらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0039】
[実施例12]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、59%エタノール水溶液8g、水30gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の胡麻加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られ、またそれらの結果として前記胡麻加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0040】
[実施例13]
出発原料として葛デンプン75g、ピーナッツクリーム(商品名「ピーナッツペースト(無糖)」、脂質分49重量%、株式会社フラワーハネー製)24g、65%エタノール水溶液9g、水50gを用いた以外は実施例1と同様にして落花生デンプンペーストを得ると共に凍結乾燥法により含水量約7%の粉粒体状に乾燥、固化させたところ、全体として油性の湿潤感がなく乾燥感のある落花生加工食品材料が得られた。
前記落花生加工食品材料を実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な落花生風味と滑らかな食感を呈するピーナッツ豆腐としてのゲル状落花生加工食品が得られ、それらの結果として前記落花生加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0041】
[実施例14]
出発原料として葛デンプン75g、ピーナッツクリーム24g、水60gを用いた以外は実施例1と同様にして落花生デンプンペーストを得ると共に熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、落花生加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の落花生加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な落花生風味と滑らかな食感を呈するピーナッツ豆腐としてのゲル状落花生加工食品が得られ、それらの結果として前記落花生加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0042】
[実施例15]
出発原料として葛デンプン75g、ピーナッツクリーム24g、65%エタノール水溶液68gを用いた以外は実施例1と同様にして落花生デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、落花生加工食品材料を得た。
前記粉粒体状の落花生加工食品材料は実施例1と同様に油性の湿潤感がなく乾燥感を有し、またこれを実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1と同様に水中への分散溶解性に優れると共に良好な落花生風味と滑らかな食感を呈するピーナッツ豆腐としてのゲル状落花生加工食品が得られ、それらの結果として前記落花生加工食品材料の優れた均一性が認められた。
【0043】
[比較例1]
葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻36gに加えて攪拌、混練したところ、不均一でぽろぽろした状態の混合物になり、造粒可能な胡麻デンプンペーストは得られなかった。前記状態の胡麻デンプン混合物を熱風乾燥させたが、なお湿潤感を有し、サラサラした乾燥状態の粉粒体は得られなかった。
前記乾燥後の胡麻デンプン混合物を、実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても実施例1の場合に比べて水中への分散溶解性に若干劣ると共に各試料間に分散溶解性のばらつきが見られるものの、食感に僅かの違和感がある点を除けば外見上は通常の胡麻豆腐と同様のゲル状胡麻加工食品が得られたが、各試料間に風味及び食感上の差異があり、前記胡麻加工食品材料の不均一性が認められた。
【0044】
[比較例2]
葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻54gに加えて攪拌、混練したところ、全体が一つにまとまった粘土状の胡麻デンプンペーストとなり、粉粒体への造粒が困難であった。
本比較例2では、比較例1のものよりも強い胡麻風味を得るために、比較例1よりも50%多い練り胡麻が使用されたが、粉粒体状の製品化自体に困難を来すことが判明した。なお、本比較例2と同量の練り胡麻が使用された実施例2及び実施例3では、既述のように、良好なゲル状胡麻加工食品を製造し得る優れた粉粒体状の胡麻加工食品材料が得られている。
【0045】
[比較例3]
葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻45gに加えて攪拌、混練したところ、粘着性のある胡麻デンプンペーストが得られた。
前記胡麻デンプンペーストを実施例1と同様にして直径1〜2mm程度の粉粒体に造粒すると共に冷風及び熱風乾燥法による乾燥、固化に供したところ、得られた胡麻加工食品材料は、全体として乾燥感がなく油性の湿潤感を示し、しかも僅かの外力で崩れ易い上に各粉粒体の表面どうしが付着し易く、計量等に際しての取扱い性に劣るものであった。
前記胡麻加工食品材料を、実施例1と同様の製造試験に供したところ、何れの試料についても比較例1の場合に比べて水中への分散溶解性に劣ると共に各試料間に分散溶解性の明らかなばらつきが見られるものの、比較例1のものより強い胡麻風味を有し、外見上は通常の胡麻豆腐と同様のゲル状胡麻加工食品が得られたが、各試料間に風味及び食感上の差異があり、前記胡麻加工食品材料の不均一性が認められた。
本比較例3では、比較例1のものよりも強い胡麻風味を得るために、比較例1よりも25%多い練り胡麻が使用されたが、その造粒性や得られた胡麻加工食品材料の性能は、本比較例3より20%も多い練り胡麻が使用された実施例2及び実施例3に比べても明らかに劣るものであった。
【0046】
[実施例1〜15及び比較例1〜3の要約]
前記実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた各種子デンプン混合物の原料組成及び各種性能試験結果を一覧で示すために下記の表1に要約した。
各種性能試験結果については、下記のように評価した。
1.造粒性の評価
○:良好に造粒できた。
△:辛うじて造粒できた。
×:造粒できなかった。
なお、造粒できなかった種子デンプン混合物については、以下の性能試験を実施していない。
2.粉粒体の状態の評価
○:良好な乾燥感を呈した。
×:表面に油性の湿潤感があった。
3.水中への分散溶解性の評価
○:水中に容易に分散溶解した。
△:水中への分散溶解に若干時間を要した。
×:水中への分散溶解に相当の時間を要した。
4.粉粒体の均一性の評価
○:各試料間に水中への分散溶解性の差異及びゲル状食品としての風味、食感上の差異は認められなかった。
△:各試料間に水中への分散溶解性の差異及びゲル状食品としての風味、食感上の差異が若干認められた。
×:各試料間に水中への分散溶解性の差異及びゲル状食品としての風味、食感上の差異が顕著に認められた。
5.ゲル状食品の風味の評価
○:ゲル状食品にした場合に良好な風味、食感が得られた。
△:ゲル状食品にした場合に風味、食感に若干の問題があった。
×:ゲル状食品にした場合に所要の風味、食感が得られなかった。
【0047】
【表1】
Figure 0003598284
【0048】
[分散溶解性試験1]
実施例8と同じ処方で、出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻36g、65%エタノール水溶液39gを用いて製造した粉粒体状の胡麻加工食品材料の1/3の量を容器内で常温(25℃)の水50gに投入すると共に容器を前記投入時及びその時から30秒毎に5秒間手動で約10回往復揺動させて内容物を振り混ぜたところ、3分後の揺動操作により均一な状態に分散溶解した。また、同量の前記胡麻加工食品材料を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に前記と同様の試験に供したところ、2分後の揺動操作により均一な状態に分散溶解した。
これに対して、比較例1と同じ処方で、葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻36gに加えて製造した胡麻デンプン混合物の1/3の量を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に前記と同様の分散溶解試験に供したところ、5分後の揺動操作によっても均一な状態の分散溶解は得られず、大小の粒が不均一に残留した。
【0049】
[分散溶解性試験2]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻54g、65%エタノール水溶液40gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
得られた前記粉粒体状の胡麻加工食品材料の1/3の量を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に分散溶解性試験1と同様の試験に供したところ、5分後の揺動操作により均一な状態に分散溶解した。このゾル状物を実施例1と同様にしてマイクロ波加熱に供することにより、強く良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られた。
これに対して、比較例2と同じ処方で、葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻54gに加えて製造した、粉粒体への造粒が困難な粘土状の胡麻デンプンペーストをそのまま使用し、その1/3の量を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に分散溶解性試験1と同様の試験に供したところ、5分後の揺動操作によってもなお大きな塊が残り、完全な分散溶解に達成し得なかった。
【0050】
[分散溶解性試験3]
出発原料として葛デンプン75g、練り胡麻45g、65%エタノール水溶液40gを用いた以外は実施例1と同様にして胡麻デンプンペーストを得ると共に冷風及び熱風乾燥法により含水量約8%の粉粒体状に乾燥、固化させ、胡麻加工食品材料を得た。
得られた前記粉粒体状の胡麻加工食品材料の1/3の量を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に分散溶解性試験1と同様の試験に供したところ、5分後の揺動操作により均一な状態に分散溶解した。このゾル状物を実施例1と同様にしてマイクロ波加熱に供することにより、強く良好な胡麻風味と滑らかな食感を呈する胡麻豆腐としてのゲル状胡麻加工食品が得られた。
これに対して、比較例3と同じ処方で、葛デンプン75gを水分の無添加下に練り胡麻45gに加えて製造した胡麻加工食品材料の1/3の量を容器内で40℃のぬるま湯50gに投入すると共に前記と同様の試験に供したところ、5分後の揺動操作によっても均一な状態の分散溶解が得られず、大小の粒が不均一に残留した。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されるので、胡麻や落花生等の種子に特有の風味を有する豆腐状物や葛あん等のゲル状又はそれに近い微流動性ゾル状の種子加工食品を、作業者の熟練や高度の技能なしに、しかも大掛かりな設備を必要とせずに即席で再現性良く容易に得ることができる種子加工食品材料を提供することができる。
【0052】
前記種子加工食品材料では、原料成分が均一に一体化されると共に乾燥感のある良好な粉粒体状に加工され、それによって、製品化段階での計量、包装、分包等の作業並びに種子加工食品の製造段階における計量及び水中への分散溶解等の作業が容易になる。また、前記種子加工食品材料は前記のように水中への分散溶解性に優れることから、特にマイクロ波加熱による短時間で種子加工食品に調理する場合に適している。

Claims (2)

  1. 焙煎種子粉末及び油脂分を含む種子ペーストとデンプンとを水分の添加下に撹拌、混練すると共にそれによって種子ペースト中の油脂分を水分中に微粒子乳化させ且つ該水分をデンプンに吸収させて種子デンプンペーストを形成し、これを粉粒体状に乾燥、固化させたことを特徴とする種子加工食品材料。
  2. 前記水分として水及び/又はアルコール水溶液を用いた請求項1に記載の種子加工食品材料。
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