JP3598270B2 - 加飾シート成形用金型、成形された加飾シートの製造方法および加飾シート付き樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

加飾シート成形用金型、成形された加飾シートの製造方法および加飾シート付き樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、加飾シートを加熱して平面状から立体的形状に変形させた後、常温に冷却して変形状態が維持されるように加飾シートを成形加工するための加飾シート成形用金型であって、成形加工後において、加飾シートが金型面から剥がれにくくなるのを防止できる加飾シート成形用金型、成形された加飾シートの製造方法および加飾シート付き成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基体シート上に種々の模様を有する加飾層が形成された加飾シートがあった。
加飾シートは通常、立体物の加飾用に用いられるため平面状から所望の立体形状に変形させて使用される。加飾シートを立体形状に変形させる具体的な方法としては次の2例がある。
(1)加飾シートを雌型の凹部の周囲の金型面にクランプ材で押し付け、加熱して軟化状態とした加飾シートを真空吸引して雌型の凹部に吸い付けた後、立体形状となった加飾シートを常温に冷却することにより成形加工する方法。
(2)加熱して軟化状態とした加飾シートを射出成形用金型の雄型と雌型との間に挟み込んで型締めとともに雄型の凸部により雌型の凹部に押し込むか、あるいは、常温のままの加飾シートを射出成形用金型の雄型と雌型との間に挟み込んで射出された溶融樹脂の熱圧により加飾シートを軟化状態として雌型の凹部に押し込み、加飾シートを常温に冷却することにより成形加工する方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、加飾シートが加熱される工程で、熱により加飾シートの基体シート側または加飾層側に付着性が生じ、その付着性が生じた部分が金型面またはクランプ面に接触するときに付着しやすくなり、前記(1)のクランプ材の押し付けや(2)の型締めによる外力がかかると付着はより強固なものとなる。このため、金型面またはこれに対応するクランプ面から加飾シートを引き離す際、加飾シートを構成する基体シートまたは加飾層の一部が凝集破壊または層間剥離して、加飾シートに欠損が生じたり、凝集破壊断片などが雌型に残留したりするという問題点が生じる(図3参照)。
なお、「付着性が生じ」るとは、加飾シートの材質中に含まれている可塑剤が熱によって表面に溶出してべとついたり、熱によって加飾シートがやわらかくなったりして金型表面に付着しやすくなることをいう。また、金型表面に対する付着性の大きさは、基体シート側と加飾層側とでは異なる。その理由は、基体シートと加飾層とでは使用する樹脂の可塑剤の含有量や使用する樹脂の融点(Tm)、軟化温度が異なるからである。
【0004】
したがって、この発明は上記のような問題ができるだけ少ない加飾シート成形用金型、成形された加飾シートの製造方法および加飾シート付き成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以上の目的を達成するために、つぎのようにした。
請求項1に記載したように、基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを金型面にクランプ材で押し付けて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、該加飾シートと接触するクランプ面またはこれに対応する金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成された加飾シート成形用金型とした。
請求項2に記載したように、上記加飾シート成形用金型が樹脂成形品用真空成形金型であってもよい。
請求項3に記載したように、基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを雄型と雌型との間に挟み込み押しつけて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、加飾シートを挟み込んだときに加飾シートと接触する雄型または雌型の少なくとも一方の金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成された加飾シート成形用金型とした。
請求項4に記載したように、上記加飾シート成形用金型が樹脂成形品用射出成形金型であってもよい。
請求項5に記載したように、樹脂成形品用真空成形金の付着防止層の主成分がフッ素系樹脂であってもよい。
請求項6に記載したように、樹脂成形品用射出成形金型の付着防止層の主成分がフッ素系樹脂であってもよい。
請求項7に記載したように、請求項2、5のいずれかに記載の加飾シート成形用金型を用いて、加飾シートを金型面にクランプ材で押し付けて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面状の加飾シートを立体形状に成形加工する加飾シートの製造方法とした。
請求項8に記載したように、請求項3、4、6のいずれかに記載の加飾シート成形用金型を用いて、雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込み押しつけて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面状の加飾シートを立体形状に成形加工する加飾シートの製造方法とした。
請求項9に記載したように、請求項4、6のいずれかに記載の樹脂成形品用射出成形金型を用いて、雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込み押しつけて固定した状態で、キャビティ内に溶融樹脂を射出し、固化させることにより、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面形状の加飾シートを立体形状に成形加工するとともに加飾シートと樹脂成形品とを一体化させる加飾シート付き成形品の製造方法とした。
【0006】
【発明の実施の形態】
(加飾シート成形用金型について)
この発明の加飾シート成形用金型では、基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを金型面にクランプ材で押し付けて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、該加飾シートと接触するクランプ面またはこれに対応する金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成された構成とした。
また、この発明の加飾シート成形用金型では、基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを雄型と雌型との間に挟み込み押しつけて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、加飾シートを挟み込んだときに加飾シートと接触する雄型または雌型の少なくとも一方の金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成された構成とした。
【0007】
付着防止層1を形成する加飾シート成形用金型としては、図1、図2に示すような直方体形状の凹部2をもつ雌型3、凸部4をもつ雄型5からなりプレスにより加飾シート6を成形するプレス成形用金型がある。または、図4、図5に示すような立方体形状の凹部7をもつ雌型8を有する樹脂成形品用真空成形金型がある。金型面には二の字状のクランプ材9が取付けられている。または、図6に示すような凹部10をもつ雌型11と雄型12とからなる樹脂成形品用射出成形金型がある。雌型11には樹脂射出口13が形成されている。
【0008】
付着防止層1の材質としては、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂や、クロム、ニッケル、アルミニウムなどの金属がある。この中でも、加飾シート6の基体シート14や加飾層15の材質を変えても動摩擦係数が変化しにくく、付着防止効果を奏する範囲でその動摩擦係数の値をできるだけ小さくすることができるフッ素系樹脂が最も好ましい。
付着防止層1の形成方法は、塗布法やメッキ法がある。膜厚としては0.1〜2000×10−3mmの範囲が好ましい。膜厚を0.1×10−3mmより薄くすることは技術的に困難でありピンホールが発生しやすく、2000×10−3mmより厚いと、金型の寿命が極端に短くなりやすくなるからである。
【0009】
付着防止層1の膜厚は、全面均一の膜厚としてもよいし、部分的に異なるような膜厚としてもよい。
加飾シート成形用金型が樹脂成形品用真空成形金型の場合は、後述するように加飾シート6との間の動摩擦係数を比較的大きく設定することができるので、付着防止層1の膜厚を0.1〜100×10−3mmの範囲と比較的小さく抑えることができる。付着防止層1の膜厚が小さいほど動摩擦係数が大きくなるからである。
加飾シート成形用金型が樹脂成形品用射出成形金型の場合は、後述するように加飾シート6との間の動摩擦係数を比較的小さく設定する必要があるので、付着防止層1の膜厚を1〜500×10−3mmの範囲と比較的大きくする必要がある。付着防止層1の膜厚が大きいほど動摩擦係数が小さくなるからである。
加飾シート成形用金型が樹脂成形品用プレス成形金型の場合は、付着防止層1の膜厚を0.5〜200×10−3mmの範囲とすることができる。
【0010】
付着防止層1の形成箇所は、クランプ面であってもよい。クランプ面とは、クランプ材の表面のうち、加飾シートを介して金型面と接触する部分のことをいう。また、付着防止層1の形成箇所は、加飾シート6が成形される際に加飾シート6が接触する金型面の全面であってもよいし、その金型面のうち加飾シート6が接触する面の一部であってもよい。一部に形成する場合は、金型面のうちの雄型と雌型とが型閉めされたときに両者が接触して圧力が集中する箇所や、加熱されるときに熱の影響を受けて最も温度上昇しやすい箇所などがよい。
付着防止層1を形成するにより、加飾シート6の基体シートや加飾層の剥がれを防止できるのは、表面の摩擦が少なくなり、金型表面の凹凸に加飾シート6が食い込んだりしにくくなるからと考えられる。
【0011】
(加飾シートについて)
加飾シートについては、前記成形用金型に形成された付着防止層1との関係を両者間の動摩擦係数でもって相関を取り、付着防止効果を奏する動摩擦係数の数値範囲を選定した。
なお、この発明で「動摩擦係数」とは、1cm角で厚さ1mmのプラスチック板の片面に、両面テープを介して加飾シートを貼付け、付着防止層1の上に置く。そのプラスチック板の反対面に導線を貼り付け、その上に重さ0.98Nの分銅を載せ、導線を介して加飾シートが貼り付けられているプラスチック板を、付着防止層1上で5cm/sの速度で引張り、その時の荷重を測定する。荷重測定は、上記導線を滑車を通して引張試験機につなげ引張試験機の荷重データをグラフ上に記録し、その5cm移動時の荷重値の平均値を取る。この平均荷重値(N)を分銅重さ0.98Nで割った値を動摩擦係数とする(プラスチック板や導線、両面テープの重さは0.005N未満となるようにする。)。上記において、プラスチック板の大きさを1cm角としたのは、付着防止層1のパターンが小面積でも評価できるようにするためである。また、分銅の重さを0.98Nとしたのは、装置の誤差を取り除くために前記小面積の試験片に載せられる範囲でできる限り重いものにするためである。なお、測定誤差には、プラスチック板などの重さの誤差も含まれる。この定義は、加飾シート6の加飾層と付着防止層1との関係においても、加飾シートの基体シートと付着防止層1との関係においても同様である。
この発明において、動摩擦係数の程度は、金型面の物理的粗さと化学的付着力の両方に依存すると考えられる。
【0012】
加飾シート6に要求される動摩擦係数の値は、その加飾シート6が用いられる成形用金型の種類によって異なってくる。成形用金型の種類によって金型表面への加飾シート6の押し付け力に大きな違いが出てくるからである。
つまり、加飾シート6を樹脂成形品用真空成形金型に用いる場合は、加飾シート6はクランプ材によって数N〜数100N(数Kg重〜数10Kg重)の力で金型表面に押し付けられるため、元来、金型表面に加飾シート6が付着しにくいので、動摩擦係数は比較的大きくてもよい。
加飾シート6を樹脂成形品用射出成形金型やプレス成形用金型に用いる場合は、雄型と雌型との型締め力によって加飾シート6が数百トンの力で金型に挟み込まれるため、金型表面に加飾シート6が付着しやすくなるので、動摩擦係数は比較的小さくする必要がある。
【0013】
表1は、複数種類の加飾シート6を、樹脂成形品用真空成形金型に用いた場合の、加飾シート6の基体シート14と付着防止層1との間の動摩擦係数を測定し、付着防止効果が発揮される範囲を示した表である(表1参照)。
表2は、複数種類の加飾シート6を、射出成形用金型に用いた場合の、加飾シート6の基体シートと付着防止層1との間の動摩擦係数を測定し、付着防止効果が発揮される範囲を示した表である(表2参照)。
なお、この発明に係る加飾シート6は、各種の用途に適用することができる。また、その製品形態としては、立体成形用シート、転写箔、化粧シートなどがある。立体成形用シートとは、立体形状に成形された加飾シート6を完成品として販売するものであったり、または、立体形状に成形された加飾シート6を射出成形用金型内に嵌め込んだ後、射出成形品と一体化接着させたりして用いるものである。転写箔とは、被転写物に転写層を転写し基体シートを剥離して用いるものである。化粧シートとは、平面状の加飾シート6を樹脂成形用射出成形金型の雄型と雌型との間に送込んで雌型の凹部に沿わせた後、挟み込み、キャビティ内に溶融樹脂を射出し、固化させることにより、加飾シートを立体形状に成形加工するとともに、成形品と一体化接着させて用いるものである。
【0014】
【表1】
Figure 0003598270
【0015】
表1によると、加飾シートを樹脂成形品用真空成形金型に用いた場合は、、加飾シート6の基体シートと付着防止層1面との間の動摩擦係数(荷重0.98N/cm、速度5cm/s、移動距離5cm、3点の平均値、温度25℃、相対湿度60%で測定)が3.0以下であれば、試験した全ての加飾シート6で付着防止効果の存在が確認された(表1参照)。
とくに、動摩擦係数(荷重0.98N/cm、速度5cm/s、移動距離5cm、3点の平均値、温度25℃、相対湿度60%で測定)が1.8以下であれば試験した全ての加飾シート6の全ての範囲で成形用金型への付着がなくなった。
【0016】
【表2】
Figure 0003598270
【0017】
表2によると、加飾シートを樹脂成形品用射出成形金型に用いた場合は、加飾シート6の基体シートと付着防止層1面との間の動摩擦係数(荷重0.98N/cm、速度5cm/s、移動距離5cm、3点の平均値、温度25℃、相対湿度60%で測定)が1.5以下であれば、試験した全ての加飾シート6で付着防止効果の存在が確認された(表2参照)。
とくに、動摩擦係数(荷重0.98N/cm、速度5cm/s、移動距離5cm、3点の平均値、温度25℃、相対湿度60%で測定)が0.5以下であれば試験した全ての加飾シート6の全ての範囲で成形用金型への付着がなくなった。
【0018】
上記の測定において、基体シートの材質としては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂と塩化ビニル樹脂との共重合物を用いた。付着防止層1の材質としては、熱硬化ウレタン樹脂、熱硬化アクリル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂を用いた。 なお、試験の結果、加飾シートの動摩擦係数は、加飾シート6の基体シートの材質によって変動することがわかった(表3参照)。その動摩擦係数値ができる限り小さく、かつ、基体シート1の材質による変動の小さい付着防止層の材質を検討したところ、「フッ素樹脂」を材質とする付着防止層1が、最も好ましいことがわかった(表3参照)。
【0019】
【表3】
Figure 0003598270
【0020】
加飾シート6の構成は、基体シート上に少なくとも加飾層が形成されたものであれば、転写箔(基体シートを剥離するもの)、インサートシート(基体シートを剥離しないもの)のいずれであってもよい。単なる化粧シートとは、基体シート上に少なくとも加飾層が形成されたものであって、接着層を有しないものをいう。
【0021】
基体シートの材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなど、通常の加飾シートの基体シートとして用いられるものを用いることができる。
【0022】
加飾層は、基体シート上に、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。印刷層は、表現したい図柄に応じて、全面的に形成する場合や部分的に形成する場合もある。
【0023】
加飾層は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、加飾層として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。表現したい金属光沢の色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を用いるとよい。金属薄膜層は部分的に形成してもよい。また、金属薄膜層を形成する際の他の層との密着性を向上させるために、アンカー層を形成してもよい。
【0024】
また、必要に応じて接着層を形成してもよい。接着層は、成形樹脂などの上に加飾シート6を接着するものである。接着層としては、成形樹脂などの素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜用いる。たとえば、成形樹脂の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、材質がポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いるとよい。さらに、材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂などを用いるとよい。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。また上記材質よりなる接着性を持つシートをラミネート法などにより貼り合せて接着層とすることもできる。
【0025】
また、必要に応じてオーバーコート層を形成してもよい。オーバーコート層は、加飾層を保護するための層である。オーバーコート層としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いるとよい。
【0026】
加飾シート6の構成は、上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、加飾層の材質として成形樹脂との接着性に優れたものを用いる場合には、接着層を省略することができる。また、加飾層に隠蔽が必要な場合は、隠蔽層を形成してもよい。隠蔽層は、酸化チタン等の顔料含有インキ層や、膜厚0.01×10−3mm以上の金属蒸着層などで構成するとよい。
【0027】
(成形された加飾シートの製造方法について)
この発明の成形された加飾シートの製造方法は、例えば、上記した樹脂成形品用真空成形金型および加飾シート6を用いて金型面にクランプ材9で押付けて平面状の加飾シート6を立体形状に成形加工することよりなる。
なお、金型面にクランプ材9で加飾シート6を押付けて加工する成形方法であれば、たとえば圧空成形(超高圧成形含む)、ブロー成形、ハイドロフォーミングなどを適用することが可能である。
【0028】
また、この発明の成形された加飾シートの製造方法は、例えば、上記説明した樹脂成形品用射出成形金型を用いて、雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込んだ状態で平面状の加飾シートを立体形状に成形加工することよりなる。
なお、金型に雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込んで成形加工する方法であれば、たとえば圧縮成形やプレス成形などを適用することが可能である。前記樹脂成形品用真空成形金型と樹脂成形用射出成形金型とを組合せたものを用いることも可能である。
【0029】
【実施例】
(実施例1)図1に示すような直方体形状の凹部をもつ雌型、直方体の凸部をもつ雄型からなりプレスにより加飾シートを成形加工するプレス成形用金型の雌型の凹部内部の全面に、フッ素系樹脂70%、熱硬化性アクリル樹脂30%よりなる塗布液をスプレーにより吹きつけ、膜厚を200×10−3mmとし、ドライヤーで熱風を当て強制乾燥させることにより付着防止層を形成した。
【0030】
次に、厚さ2mmのポリプロピレン樹脂からなるフィルムを基体シートとし、その上にウレタン樹脂系インキを使用しグラビア印刷によって木目模様の加飾層を形成した。さらに、この上にオーバーコート層として透明ウレタン樹脂系インキ層とイソシアネート樹脂系インキ層との積層物を形成し建材用の加飾シートを作成した。
【0031】
この建材用の加飾シートを、前記プレス成形用金型に載置しプレスしたところ、何の問題もなく成形加工できた(図2)。このときの加飾シートの加熱温度は50℃であり、雄型と雌型との型締め力は500Nであった。なお、付着防止層を形成する前の上記プレス成形用金型では、雌型の凹形状の角部と凹部外周部に、オーバーコート層の凝集破壊断片の一部が付着し、雌型を汚していた(図3)。
【0032】
上記、付着防止層を形成する前のプレス成形用金型表面または付着防止層表面と、上記建材用の加飾シートのオーバーコート層との間の動摩擦係数を測定したところ前者が3.4、後者が0.4であった。
【0033】
(実施例2)図4に示すような立方体形状の凹部をもつ樹脂成形品用真空成形金型の凹部外周のクランプ面に、フッ素系樹脂30%、シリコン樹脂70%よりなる塗布液を刷毛により約1mmの膜厚となるように塗布し、ドライヤーで熱風を当て強制乾燥させることにより付着防止層を形成した。
【0034】
次に、無色透明のアクリル樹脂フィルムからなる基体シート上にビニル系インキを印刷して加飾層を形成し、次いでその上に着色された軟質の塩化ビニル樹脂フィルムを貼り合せ加飾シートを作成した。
【0035】
この加飾シートを、上記樹脂成形用真空成形金型のクランプ面にクランプ材で押し付けて固定し、真空成形加工したところ、何の問題もなく成形加工できた。なお、付着防止層を形成する前の上記樹脂成形用真空成形金型を用いたところ、成形後、クランプ面に、塩化ビニル樹脂フィルム層の可塑剤と思われる溶出物が付着してクランプ材を汚染していた。
【0036】
上記、付着防止層を形成する前の真空成形用金型表面または付着防止層表面と、上記加飾シートの基体シート(塩化ビニル樹脂フィルム層)との間の動摩擦係数を測定したところ前者が2.2、後者が0.6であった。
【0037】
(実施例3)図6に示すような凹部をもつ樹脂成形品用射出成形金型の凹部外周(パーティング面全面)に、フッ素加工(付着防止層に相当)を施した。
【0038】
次に、ポリエステルフィルムからなる基体シート上にアクリル系インキを使用して絵柄層を形成し、さらに、この上にビニル系インキを使用して接着層を形成し、木目模様の転写箔となる加飾シートを作成した。
【0039】
この加飾シートを、上記樹脂成形品用射出成形金型の雄型と雌型との間に載置し、型締めし、射出成形加工したところ、何の問題もなく成形加工できた。なお、フッ素加工する前の上記樹脂成形品用射出成形型では、成形後、雄型表面に転写箔の絵柄層、接着層の一部が凝集破壊断片として付着して雄型を汚染していた。
【0040】
上記、フッ素加工する前の樹脂成形品用射出成形金型表面およびフッ素加工表面と、上記転写箔の接着層の間の動摩擦係数を測定したところ前者が1.6、後者が0.05であった。
【0041】
【発明の効果】
この発明では、加飾シート成形用金型の加飾シートが接触する面に付着防止層が形成されているので、加飾シートが加熱される工程で、熱により加飾シートの基体シート側表面または加飾層側表面に付着性が生じ、かつ、クランプ材や型締めによる外力がかかっても、金型表面に加飾シートが付着しない。したがって、金型表面から加飾シートを引き離す際、加飾シートを構成する基体シートまたは加飾層の一部が凝集破壊や層間剥離して、加飾シートが欠損したり、凝集破壊断片が成形用金型に残留したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の成形用金型の斜視図である。
【図2】この発明の成形用金型と加飾シートとを用いて成形された加飾シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図3】従来の成形された加飾シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】この発明の成形用金型の斜視図である。
【図5】この発明の成形用金型と加飾シートとを用いた、成形された加飾シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】この発明の成形用金型と加飾シートとを用いた、成形された加飾シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 付着防止層
2 凹部
3 雌型
4 凸部
5 雄型
6 加飾シート
7 凹部
8 雌型
9 クランプ材
10 凹部
11 雌型
12 雄型
13 樹脂射出口
14 基体シート
15 加飾層

Claims (9)

  1. 基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを金型面にクランプ材で押し付けて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、該加飾シートと接触するクランプ面またはこれに対応する金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成されたことを特徴とする加飾シート成形用金型。
  2. 上記加飾シート成形用金型が樹脂成形品用真空成形金型である請求項1に記載の加飾シート成形用金型。
  3. 基体シート上に少なくとも加飾層が形成された加飾シートを雄型と雌型との間に挟み込み押しつけて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って成形加工するための加飾シート成形用金型であって、加飾シートを挟み込んだときに加飾シートと接触する雄型または雌型の少なくとも一方の金型面に加飾シートが付着するのを防止する付着防止層が形成されたことを特徴とする加飾シート成形用金型。
  4. 上記加飾シート成形用金型が樹脂成形品用射出成形金型である請求項3に記載の加飾シート成形用金型。
  5. 付着防止層の主成分がフッ素系樹脂である請求項1〜2のいずれか記載の加飾シート成形用金型。
  6. 付着防止層の主成分がフッ素系樹脂である請求項3〜4のいずれか記載の加飾シート成形用金型。
  7. 請求項2、5のいずれかに記載の加飾シート成形用金型を用いて、加飾シートを金型面にクランプ材で押し付けて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面状の加飾シートを立体形状に成形加工することを特徴とする成形された加飾シートの製造方法。
  8. 請求項3、4、6のいずれかに記載の加飾シート成形用金型を用いて、雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込み押しつけて固定した状態で、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面状の加飾シートを立体形状に成形加工することを特徴とする成形された加飾シートの製造方法。
  9. 請求項4、6のいずれかに記載の樹脂成形品用射出成形金型を用いて、雄型と雌型との間に加飾シートを挟み込み押しつけて固定した状態で、キャビティ内に溶融樹脂を射出し、固化させることにより、加飾シートに形成された加飾層と金型形状との位置精度を保って平面形状の加飾シートを立体形状に成形加工するとともに加飾シートと樹脂成形品とを一体化させることを特徴とする加飾シート付き成形品の製造方法。
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