JP3598258B2 - 敷設材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は河川、港湾、歩道、法面などを形成補修するために敷設する鉱物質状の多孔質に焼結させた多孔質構造の敷設材に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでこれら河川等の形成補修は、コンクリート打ち、コンクリートブロック積み、アスファルト打ちなどによる施工手段が一般的であった。
【0003】
これら手段による構築構造は、いずれも生物の棲息、生育を妨げる殺風景な環境を造り出しており、加えて大気、水質汚染が広がりつつある昨今の自然環境をも考慮して、河川等を取りまく自然環境を生物との共存を前提に蘇らせることが叫ばれている。
【0004】
そこで近年、特開2000−95580号公報に記載されているような廃棄材としてのクリンカーアッシュ(石炭灰) 、砕石場から出る水洗廃泥などの粘土材を配合し、これに同じく廃棄材としての剪定屑などの(木炭粉) を加配して成形した後、焼成することによって連通孔を有する多孔質構造の塊に形成する固形材が開発され、この固形材を堤防、河床の形成補修等に用いられることが試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この固形材は、前記廃棄材により構成し焼成させて成るため、全体の比重が極めて軽く、河川等の改修材としては定着性がなく容易に移動する。そのため水流のある河川、港湾などでは少しの増水または波により流失決壊し、歩道などでは路面が凸凹となる等の問題があった。
【0006】
また、焼成形成過程において、1, 200℃前後の高熱で燒結させるため、固形材の厚みが50・程度を超える比較的大きなものになると、中心部が連通孔を形成するまで焼結させるとき、表面部がガラス状に熔解して連通孔は潰れ通気性のない固形材が形成される。逆に表面部分を正常な多孔質構造に焼結させるとき、中心部が未だ多孔質構造に成りきらない生煮えの脆弱状態で固形材が形成される。即ち、固形材の厚みが50mm程度を超える大きなものは、全体を多孔質構造に焼結することが難しいなどの問題も抱えていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するため、クリンカーアッシュ、粘土に水を加え混合成形し焼成して成る敷設材において、それ自体多孔質のクリンカーアッシュを50〜80重量%、繋ぎ材としての粘土20〜50重量%に、比重が1.5以上の重量調整材として粒径を5〜0.6mmとしたスラグ、岩石粒などの不燃性物質から成る調整骨材20〜40重量 %を加え加水混合して肉厚の最大を約50mm程度の大きさに成形し1, 150℃前後の高温で焼成することにより、多数の連通孔を目詰まりなく効率よく形成させた多孔質構造の固形物を形成して敷設材とすることを提案する。
【0008】
各原料を上記のような粒径および混合割合にて加水混合し焼成することにより、多数の連通孔組織を有するクリンカーアッシュにより目詰まりのない多孔質構造を効率よく容易に形成することができ、且つ敷設材の全体比重を、施工個所の条件に応じて岩石粒などの調整骨材の比重および重量比を加減することにより、敷設材の施工個所での定着を確実にして増水などにより流失することを防ぐと共に、多孔質構造の連通孔による水中の汚染物質を吸着濾過する浄化作用および生物の棲息、生育を助長する作用を永く維持する。
【0009】
また、請求項2のようにクリンカーアッシュ、粘土、比重が1.5以上の岩石、スラグなどの不燃性鉱石材から成る調整骨材としての粒体に、さらに連通孔形成材としての10〜20重量%の可燃性物質を加えて加水混合し、この可燃性物質として、請求項3のように剪定屑の木炭粉などの可燃性物質から成る連通孔形成材を加えて成形し焼成して成る敷設材を提案する。
【0010】
焼成過程において焼却する連通孔形成材により、緻密に連通する連通孔が形成され、その表面積がより増大して水質浄化および自然の生態系維持作用が拡大すると共に、比重の大きい安定性のある敷設材に緻密な多孔質構造を簡易に形成することができる。
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を説明すると、火力発電所より大量に排出されるクリンカーアッシュ(石炭灰) のもつ連通孔組織を利用して、廃材として用途の少ない粒径が3mm以下のクリンカーアッシュ50〜80重量%と、各種産業から排出される粘土質材の水洗粘泥から成る繋ぎ材としての粘土20〜50重量%を配合し、これに重量調整骨材として嵩比重が1.5以上の粒径5〜0.6mmの岩石粒を20〜40重量%を加えて加水混合して押出成形機で押し出し、肉厚の最大を約50mm程度の大きさに切断整形し乾燥させた後、1 , 150℃前後の高温で焼成することにより、クリンカーアッシュがもつ連通孔組織を効率よく保持しながら繋ぎ材としての粘土の焼固で成形して、岩石粒による比重の大きい多孔質敷設材を構成する。
【0014】
粘土の配合でクリンカーアッシュの連通孔による通気機能を低下させるため、重量比でクリンカーアッシュ50〜80%、粘土20〜50%が好ましく、粘土の質により焼成された敷設材の強度を勘案してその割合を加減するもので、粘土の割合を可及的少なくして焼成することが望ましい。
【0015】
重量調整骨材により敷設材の重量を大きくすることが重要であるが、前記する所定の重量比および粒径により、全体に目詰まりのない効率の良い多孔質構造が形成されるところに特徴があり、調整骨材としての岩石粒は、焼成された敷設材の重量による安定性を確実にするためには、均一分散が必要であることから粒径を5〜0.6mmとして混合するもので、可及的比重の大きい嵩高い調整骨材であることが望ましい。
【0016】
【実施例】
その実施例を図1を用いて説明すると、クリンカーアッシュ(石炭灰) 50〜80重量%、粘土およびベントナイト20〜50重量%の配合に対し、比重が1.5以上の重量調整骨材として粒径5〜0.6mmの岩石粒3, 3を20〜40重量%加え、さらに焼成時に高い熱量を発する炭化物を10〜20重量%添加し、最大直径を50mmとしたボール状に成形乾燥させた後、積極的な空気供給で焼成することにより、炭化物が燃焼して形成した連通孔2, 2で、クリンカーアッシュのもつ連通孔組織に加え多孔質構造の敷設材1を構成することができ、この炭化物の高い燃焼エネルギーにより焼成を助け少ない燃料で焼成することができる。
【0017】
焼成過程で連通孔を形成させる有機物質は、前記炭化物のほか、単繊維有機物としてパルプスラッジがあり、焼成によって組織内に微細な連通孔を形成することができる。また細粒有機物として鋸木屑、麸、おから等があり、これら有機物質を前記クリンカーアッシュ等の混合材に加水混合し焼成することにより、燃焼炭化したこれら有機物により互いに連通する通気孔を形成する。
【0018】
この実施例における混合、成形、焼成の工程は、下記の表に示したように粒径5〜0.6mmとした比重2.75のグレー色骨材(松阪興産(株)) または比重3.60の黒色骨材(ES200S) から成る重量調整骨材を加えた各原料を秤量してミキサーにて混合加水攪拌し、この原料を土練機にて径3mmの円柱状に押し出し、3mmの長さに切断し直径約3mm大のボール状に整形乾燥させた後、各々配合別に耐火容器に収容し、これをガス炉内に積み入れて、3時間をかけ1, 150℃まで温度を上げ20分おいた後に焼成を止め、15時間自然冷却して取り出したもので、いずれも茶褐色の中心部までポーラス状の連通孔を形成した強度ある多孔質構造の敷設材を構成することができた。
【0019】
【表1】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
以上の実施例は、図1ではボール状に成形した敷設材1について説明したが、敷設材1の形状はボール状のほか、煉瓦のような立方形、断面楕円形、多角形、三角形、瓢箪形、碁石形、小判形、多脚形など任意の塊状に形成するものである。
【0025】
この敷設材1を用いた河川での施工例を図2〜4に基づいて説明すると、図2に示すように、増水時には浸水する河川敷などのコンクリート打ち敷面の枡枠6, 6内に敷設材1, 1を直接詰め敷き、また敷設材1, 1を充填した蛇篭5を詰め敷いて改修施工し、コンクリート打ち敷面に不動の多孔質構造面を形成する。
【0026】
図3では、敷設材1, 1を充填した蛇篭5, 5を、河川の河床部7に敷き詰めて改修施工し、河床部7に不動の多孔質構造を形成する。
【0027】
また図4に示すように、湿原、公園などの小川の土手を改修補強するため、止め枠9を施した土手の補修個所8に網体10を敷き添わせ、これに敷設材1, 1を積み入れた後、網体10で包む状態に敷設材1, 1を覆い包み止めて改修施工し、生物の棲息、成育並びに透水浄化を促進する多孔質構造の土手面を形成し、永く確保するものである。
【0028】
【発明の効果】
この発明の敷設材は上記で説明した構成から、自然の生態系を維持するのに適した多数の連通孔から成る多孔質構造を有する敷設材を、重量調整用の骨材を加合することにより、施工する状況に応じて敷設材全体に均一な重量を容易に加減して混合焼成するものであるが、各原料の割合に加え、調整骨材の粒径、割合を前記する所定範囲内で調整して焼成実験することにより、安定の良い重量構造に加え、多孔質構造の効率を最良に上げる粒径、割合に到達した点に特徴があり、単に敷設材自体の重量を増大させるための調整骨材の添加構造に止まるものではないため、比較的大きな敷設材にあっても、全体に均一な多孔質構造を確実に焼成形成することが簡易となり、併せて重量を増加して焼成することも容易となる。
【0029】
これによって河川等での施工において、敷設材は組置きまたは積み敷くなどの簡易な敷設施工手段により不動に安定良く敷設することができ、港湾、河川においては、波濤または増水により敷設材が容易に流失して決壊する虞れがないため、再度補修しなければならない等のコストを削減することができると共に、多孔質構造による自然の生態系に調和する環境を永く維持することができる。
【0030】
また遊歩道などでは、重量を付加した多孔質構造の敷設材で安定した敷き詰めが得られ妄りに移動することがないため、凹凸に片寄らなくなり、且つ滑らない歩き易い路面を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施せる敷設材の正面図である。
【図2】この発明に係る敷設材の河川敷での施工例を示す一部の斜視図である。
【図3】この発明に係る敷設材の河床部での施工例を示す一部の斜視図である。
【図4】この発明に係る敷設材の小川の土手での施工例を示す一部の斜視図である。
【符号の説明】
1 敷設材
2 連通孔
3 岩石粒
Claims (3)
- クリンカーアッシュと粘土を加水混合して成形し焼成して成る敷設材において、クリンカーアッシュ50〜80重量%と、粘土20〜50重量%に、粒径を5〜0.6mmとし比重が1.5以上の不燃性の調整骨材20〜40重量%を加え加水混合し、最大肉厚を50mmの大きさに成形焼成して成ることを特徴とする敷設材。
- クリンカーアッシュと粘土と比重が1.5以上の不燃性の調整骨材に、さらに連通孔を形成するための可燃性物質10〜20重量%を加えて加水混合し、成形焼成して成る請求項1の敷設材。
- 前記可燃性物質は、単繊維有機物、粒状有機物、炭化物などの有機物質から成る請求項2の敷設材。
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