JP3598175B2 - 木質成形材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材薄片,フレーク,パーティクル,単板,木質繊維等の木質構成要素をイソシアネート系接着剤で接着,成形してなるパーテイクルボード,ファイバーボード,配向ストランドボード,大断面の角材等の木質成形材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、木材業界では、パーティクルボード等の木質成形材を得るため、ポリアルキレンポリオール類と、イソシアネート系接着剤あるいはウレタン系接着剤とを有機溶剤に溶解,混合して得た接着剤を使用していた。
しかしながら、有機溶剤を揮散させる際に環境を汚染するおそれがあるだけでなく、乾燥させるために種々の工夫を要し、手間がかかった。
【0003】
このため、例えば、特公昭51−30576号公報には、ポリビニルアルコールを含む水溶液または水性エマルジョンに、イソシアネート系化合物またはイソシアネート系重合物を混合分散し、さらに、小麦粉,澱粉類等の増量剤および/またはクレー,タルク等の充填剤を配合した耐水性接着剤の使用が開示されている。
しかしながら、前述の耐水性接着剤は、増量剤,充填剤を添加する必要があるだけでなく、2液を予め混合,分散しておかないと、接着不良が生ずるので、使い勝手が悪いという不具合があった。
【0004】
さらに、木質繊維板の製造において、特開平7−304005号公報のように、チップ状またはファイバー状の木質構成要素の形態維持用の充填剤として尿素および尿素ホルマリン系接着剤を含浸しておき、イソシアネート系接着剤で処理することにより、尿素等を水不溶化することも提案されている。
しかしながら、形態維持用充填剤は尿素および尿素ホルマリン系接着剤であるので、靭性が乏しく、所望の強度が得にくいという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、所望の強度を有し、生産が容易で耐水性に優れた木質成形材が得られる木質成形材の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる木質成形材の製造方法は、前記目的を達成するため、木質構成要素を、分子内に2官能価以上のイソシアネート反応成分を有する水溶性または水分散性前処理剤で前処理した後、この前処理した木質構成要素にイソシアネート系接着剤を添加し、ついで、前記木質構成要素をプレス面に対して起立するように配向し、加熱,圧締して一体成形する工程からなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる実施形態を、図1ないし図3の添付図面に従って説明する。
本実施形態にかかる製造方法は、木質構成要素に前処理剤で前処理する工程と、イソシアネート系接着剤を添加する工程と、加熱,圧締して一体成形する工程とからなるものである。
【0008】
木質構成要素としては、樹種は問わず、例えば、木材薄片,フレーク,パーティクル,単板,木質繊維等が挙げられる。
【0009】
前処理剤は、接着剤の接着力を高め、あるいは、接着剤層,木材細胞壁を改質するため、分子内に二官能価以上のイソシアネート反応成分を有するものである。さらに、前記前処理剤は、水で希釈し、あるいは、水性エマルジョンとして使用するため、水溶性または水分散性のものであり、より具体的には、以下の化合物を単体あるいは2種以上混合,分散したものが使用される。
【0010】
すなわち、前処理剤としては、例えば、(1)各分子量のポリエチレングリコール(PEG),ポリエチレントリオール,ポリプロピレングリコール(PPG),ポリプロピレントリオール等のポリアルキレンエーテルポリオール、(2)ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等のポリオールをグリオキザール水溶液と混合したヘミアセタール化ポリオール、(3)各種アミノ酸およびその塩類、(4)モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン等のアミノポリオール類,アミノアルコール類、(5)テトラエチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、(6)ジメチロールプロピオン酸等のヒドロキシアルカン酸、(7)尿素およびノボラック尿素を除く水溶性アミノ樹脂、(8)レゾール系水溶性フェノール樹脂、(9)グルコース等の水溶性多糖類、(10)ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールのグリシジルエーテル等の水溶性多価エポキシ化合物が挙げられる。
【0011】
前処理剤を添加する際の濃度は、後述するイソシアネート系接着剤の添加量が木質構成要素重量の2〜20重量%である場合、前処理剤の水溶液(水分散液)の濃度は80%以下、好ましくは0.1〜ないし60%が適当である。前処理剤の水溶液の濃度が80%を越えると、接着剤液の粘度が著しく向上し、接着剤の塗布,噴霧作業等が困難となるからである。
【0012】
また、前処理剤の添加量は、木質構成要素重量の0.1重量%〜30重量%であればよい。0.1重量%未満であると、イソシアネート系接着剤との反応生成物が所定の物性を出しにくくなるからであり、30重量%を越えると、木質成形材の比重が必要以上に大きくなるうえにコスト高となるからである。
【0013】
さらに、接着する際の成形プレスの温度は、室温ないし250℃以下、特に、80〜180℃が好適である。成形プレスの温度が250℃を越えると、木質構成要素に熱劣化が生じる可能性があるからである。
【0014】
木質構成要素の表面に前処理剤を付着,浸透させる方法は、噴霧,浸漬,塗布,撹拌混合などの既存の方法から任意に選択できる。
【0015】
イソシアネート系接着剤としては、例えば、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンイソシアネート)、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、PMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、別名ポリメリックMDI)などを必須成分とする熱硬化性接着剤あるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
なお、これらのイソシアネート類と前述の前処理剤とのプレポリマーも使用可能である。さらに必要に応じて各種界面活性剤,触媒を含むこともできる。
【0016】
そして、イソシアネート系接着剤の木質構成要素への添加量は、木質構成要素の重量の0.5重量%〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満であると、充分な接着強度が得られないからであり、30重量%を越えると、これ以上の強度向上が望めず、コスト高となってしまうからである。
【0017】
木質構成要素の表面にイソシアネート系接着剤を付着,浸透させる方法は、前述の前処理剤と同様、噴霧,浸漬,塗布,撹拌混合などの既存の方法から任意に選択できる。
特に、木材の解織工程で前処理剤およびイソシアネート系接着剤を順次添加して混合すれば、生産工程が連続することになり、生産性が向上するという利点がある。
【0018】
なお、所望の強度,木質構成要素の材質,形状,含水率等に応じて前処理剤,接着剤の種類,添加条件等を適宜選択できることは勿論である。
【0019】
木質構成要素は、特定の方向に配向せず、例えば、それをプレス面にランダムに自然落下させて堆積してもよく、あるいは、図1(a)に示すようにプレス13のプレス台14に起立するように配向してもよい。
【0020】
起立するように配向する方法としては、例えば、図2(a)に示すように、表面に接着剤を付着させた木質構成要素10を分解可能な配向ボックス12内に自然落下させて堆積させる。ついで、この配向ボックス12をプレス13のプレス台14に寝かせた後、プレス台14に接する配向ボックス12の側板15をスライドさせて抜き取り、さらに、配向ボックス12の残る構成部材を取り除くことにより、配向する方法がある。
なお、説明の便宜上、図2(a),(b)の配向ボックス12は簡略して図示されている。
【0021】
また、起立するように配向する他の方法としては、例えば、前記配向ボックス12内に袋体(図示せず)を予め収納しておき、この袋体内に前述と同様、木質構成要素10を堆積させる。ついで、プレス13のプレス台14に前記配向ボックス12を寝かせた後、前記袋体を引き出し、この袋体とともに、木質構成要素10を加熱,圧締して一体成形してもよい。
【0022】
加熱,圧締に使用するプレスは、上下方向だけでなく、周辺縁部に位置する木質構成要素の崩れを防止するため、好ましくは横方向からも加熱,圧締できる2軸プレスであってもよく、必要に応じて選択できる。
なお、主プレス方向に直交する方向の圧縮力は起立配向したフレークの起立を概ね保持する程度の圧力でよく、場合によっては、一軸プレスの熱盤に側面板を設置して起立フレークの崩れを防止するだけでもよい。
【0023】
そして、前述の加熱,圧締により、例えば、木質構成要素を起立するように配向した場合、図1(b)に示すように、木質構成要素が屈曲し、そのままの状態で一体成形された木質成形材11が得られる。
【0024】
木質構成要素は、前述の配向形態に限らず、例えば、図3(a)に示すように、プレス台14のプレス面に対して略平行に配向した木質構成要素15,15の間に、前記プレス面に対して略直交するように木質構成要素10を配向してもよい。そして、これを加熱,圧締して一体成形成することにより、図3(b)に示すような木質成形材16が得られる。
本実施形態によれば、最大引張応力が生じる最下面には引っ張りに強い方向に配向した木質構成要素15が存在する一方、大きな剪断応力が生ずる断面部分には、連続した脆弱面が存在しにくい木質構成要素10が存在するので、より一層高強度の木質成形材が得られるという利点がある。
【0025】
なお、前述の実施形態の配向方法では、配向ボックスだけを使用して配向してもよく、あるいは、配向ボックスおよび袋体を併用してもよい。また、木質構成要素15は木質構成要素10の片面に配向しておくだけでもよい。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
厚さ0.5mmのベイツガスライス単板を適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維直角方向5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片を得た。この木材薄片を撹拌しながら、濃度1%のポリプロピレングリコール(平均分子量400)水溶液を木材薄片の重量に対して不揮発分換算で1.5重量%となるように噴霧して均一に付着させた後、温度105℃で12時間乾燥することにより、水分を十分に除去した前処理済み木材薄片を得た。この前処理済み木材薄片を撹拌しながら、アセトンで濃度30%に希釈したMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を木材薄片の重量に対して不揮発分換算で10重量%となるように噴霧して均一に付着させた。ついで、この木材薄片をプレス面にランダムに自然落下させて厚さ40mmに堆積させた後、温度180℃で15分間熱圧成形し、厚さ12mm、比重0.65のサンプルを得、このサンプルの曲げ強度(MOR)を測定した。
測定の結果、サンプルの曲げ強度は64N/mmであった。
【0027】
(比較例1)
ポリプロピレングリコール水溶液で前処理しない点を除き、他は前述の実施例1と同様に処理して得たサンプルにつき、実施例1と同一条件でサンプルの曲げ強度を測定した。
測定の結果、サンプルの曲げ強度は42N/mmであった。
【0028】
実施例1と、比較例1との曲げ強度を比較したところ、実施例1の曲げ強度が比較例1の約1.5倍であることから、木質薄片の前処理工程が強度の向上に有効であることがわかった。
【0029】
(実施例2)
厚さ0.5mmのベイツガスライス単板を適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維直角方向5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片を得た。一方、平均分子量200のポリプロピレングリコール0.3%と、平均分子量2000のポリプロピレングリコール0.7%とを撹拌混合した水分散液を前処理液とした。この前処理液を木材薄片に木材薄片の重量に対して不揮発分換算で2重量%となるように噴霧して均一に付着させた後、温度105℃で12時間乾燥することにより、水分を十分に除去した前処理済み木材薄片を得た。ついで、この前処理済み木材薄片を撹拌しながら、アセトンで濃度30%に希釈したMDIを木材薄片の重量に対して不揮発分換算で10重量%となるように噴霧して付着させた。ついで、この前処理済み木材薄片をランダムに自然落下させて厚さ約40mmに堆積させた後、温度180℃で15分間熱圧成形し、厚さ12mm、比重0.65のサンプルを得た。このサンプルを温度20℃の常温水に12時間浸漬し、厚さ方向の膨潤率と、吸水量を測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は6.5%、吸水率は7.3%であった。
【0030】
(実施例3)
前処理液として濃度1%のL−リジン塩酸塩水溶液を木材薄片に木材薄片の重量に対して固形分換算で1.5重量%となるように噴霧して均一に付着させ、温度105℃で12時間乾燥した点を除き、他は前述の実施例2と同様に処理して得たサンプルにつき、実施例2と同一条件で厚さ方向の膨潤率と、吸水率とを測定した。
測定の結果、膨張率は6.3%、吸水率は10.3%であった。
【0031】
(比較例2)
木質薄片を前処理しない点を除き、他は前述の実施例2と同様に処理して得たサンプルにつき、実施例2と同一条件で厚さ方向の膨潤率と、吸水率とを測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は12.9%、吸水率は16.3%であった。
【0032】
実施例2,3と、比較例2とを比較したところ、膨潤率については実施例2,3のいずれもが、比較例2の約半分であり、吸水率については実施例2,3のいずれもが比較例2よりもよりも小さいことから、木材薄片に対する前処理工程が耐水性の向上に有効であることが判明した。
【0033】
(実施例4)
厚さ0.5mmのベイツガスライス単板を適宜切断して繊維方向の長さ10cm以下、繊維直角方向の長さ5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片を得た。この木材薄片を撹拌しながら、濃度1%のポリプロピレングリコール(平均分子量400)水溶液を木材薄片の重量に対して不揮発分換算で1.5重量%となるように噴霧して均一に付着させた後、温度105℃で12時間乾燥することにより、水分を十分に除去した前処理済み木材薄片を得た。この前処理済み木材薄片を撹拌しながら、アセトンで濃度30%に希釈したMDIを木材薄片の重量に対して不揮発分換算で10重量%となるように噴霧して付着させた。ついで、MDIを付着させた木材薄片をプレス面に対して略直立するように配向した(厚さ約50mm)。そして、温度180℃で15分間熱圧成形し、厚さ12mm、比重0.8の配向ボードを得、これをサンプルとした。このサンプルを温度20℃の水中に12時間浸漬し、厚さ方向の膨潤率と吸水率とを測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は3.3%、吸水率は12.5%であった。
【0034】
(実施例5)
前処理液として、濃度1%のポリプロピレングリコールの代わりに、濃度1%のL−リジン塩酸塩水溶液を木材薄片の重量に対して固形分換算で1.5重量%となるように噴霧して付着させた点を除き、他は前述の第3実施例と同様に処理することにより、厚さ12mm、比重0.8の木質配向ボードを得、これをサンプルとした。そして、このサンプルの厚さ方向の膨潤率と吸水率とを実施例4と同一条件で測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は2.5%、吸水率は12.0%であった。
【0035】
(比較例3)
木材薄片に前処理液を付着させない点を除き、他は前述の第4実施例と同様に処理して厚さ12mm、比重0.8の配向ボードを得、これをサンプルとした。そして、このサンプルの厚さ方向の膨潤率と吸水率とを実施例4と同一条件で測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は5.5%、吸水率は12.1%であった。
【0036】
(比較例4)
木材薄片に前処理液を付着させない点、および、プレス面に木材薄片を略直立するように配向せず、ランダムに自然落下させて堆積させた点を除き、他は前述の第4実施例と同様に処理して厚さ12mm、比重0.8の配向ボードを得、これをサンプルとした。そして、このサンプルの厚さ方向の膨潤率と吸水率とを実施例4と同一条件で測定した。
測定の結果、サンプルの膨潤率は9.2%、吸水率は13.7%であった。
【0037】
以上の測定結果から、実施例4,5が実施例3,4よりも膨潤率および吸水率において優れていることから、前処理剤を付着させることにより、耐水膨潤性がより一層向上していることが判明した。
これは、本発明にかかる木質配向材の製造方法によれば、木質構成要素に施した前処理により、木質構成要素の表面近傍および内部にイソシアネート反応成分が分布し、このイソシアネート反応成分と、イソシアネート系接着剤とが反応し、そのブライマーとしての効果によって強固な接着を実現すると考えられる。
また、反応生成物質が木質構成要素間の隙間で成長し、間隙を充填するので、木質構成要素間の隙間からの水分の侵入を防止する。さらに、木質構成要素内に侵入したイソシアネート反応成分はイソシアネート系成分の木材細胞壁中への浸透、反応生成物質の生成を助ける作用をも有すると考えられる。このため、木材細胞壁中にイソシアネート反応生成物質が生成しやすくなるので、木材細胞壁の疎水性がより一層高まると考えられる。
【0038】
なお、比較例3と比較例4とを比較すると、吸水率がほぼ等しいにもかかわらず、比較例3の膨潤率が比較例4の約半分であることが判明した。これは、木材薄片が一方向に揃っていないので、吸水膨潤による膨潤回復(いわゆるスプリングバック)が分散するためであると考えられる。
【0039】
(実施例6)
厚さ0.5mmのベイツガスライス単板を適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維直角方向5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片を得た。この木材薄片を撹拌しながら、分子量200のポリプロピレングリコール1%水溶液を木材薄片の重量に対して不揮発分換算で1.5重量%となるように噴霧して均一に付着させた後、105℃で12時間乾燥して水を十分に除去した。この前処理済の木材薄片を撹拌しながらアセトンで30%濃度に希釈したMDIを木材薄片の重量に対して不揮発分換算で10重量%になるように噴霧添加した。この木材薄片を図1に示すようにプレス上で起立配向させた後、温度180℃で15分熱圧成形して、図2に示す特徴的な断面を有する厚さ12mm、比重0.7の木質板を形成した。この木質板のMORと曲げヤング率を測定したところ、MORは120N/mm、曲げヤング率は14.8KN/mmの値を得た。
【0040】
(比較例5)
木材薄片に前処理をしない点を除き、他は前述の実施例6と同様に処理して得た図2に示す特徴的な断面を有する厚さ12mm、比重0.7の木質板について、実施例6と同一条件でMORと曲げヤング率を測定した。測定の結果、サンプルのMORは76.5N/mm、曲げヤング率は12.2KN/mmの値を得た。
以上の結果から、木材薄片を前処理することによってMORは約1.5倍、曲げヤング率は1.2倍の強度を得られることが判った。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる木質成形材の製造方法によれば、木質構成要素に施した前処理により、木質構成要素の表面近傍および内部にイソシアネート反応成分が分布し、このイソシアネート反応成分と、イソシアネート系接着剤とが反応し、そのブライマーとしての効果によって強固な接着を実現できるので、所望の強度を有する木質成形材が得られる。
また、反応生成物質が木質構成要素間の隙間で成長し、間隙を充填するので、木質構成要素間の隙間からの水分の侵入を防止する。さらに、木質構成要素内に侵入したイソシアネート反応成分はイソシアネート系成分の木材細胞壁中への浸透、反応生成物質の生成を助ける作用をも有すると考えられる。このため、木材細胞壁中にイソシアネート反応生成物質が生成しやすくなり、木材細胞壁の疎水性がより一層高まると考えられる。この結果、吸水しにくくなり、吸水しても膨潤しにくくなるので、吸水率が低く、耐水膨潤性に優れた木質成形材が得られる。
さらに、本願発明によれば、前処理剤とイソシアネート系接着剤とを順次添加すればよいので、2液を予め混合しておく必要がなく、混合液の使用時間の制限が無くなるため、使い勝手がよくなり、生産が容易な木質成形材が得られる。
そして、前処理剤は水溶性または水分散性であるので、前処理工程における乾燥に特別な工夫を必要とせず、より一層生産性が高まる。
ついで、プレス面に対して起立させた木質構成要素が屈曲し、そのままの状態で一体成形された木質成形材が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態にかかる製造方法を示し、図(a)は加熱,圧締作業を説明するための断面図、図(b)は木質成形材の断面図である。
【図2】図1に示した木質成形材の配向方法を示し、図(a)は木質構成要素を堆積させる配向ボックスの部分破断斜視図、図(b)は前記配向ボックスを寝かせた状態を示す斜視図である。
【図3】本願発明の実施形態にかかる他の製造方法を示し、図(a)は加熱,圧締作業を説明するための断面図、図(b)は木質成形材の断面図である。
【符号の説明】
10,15…木質構成要素、11,16…木質成形材、12…配向ボックス、13…プレス、14…プレス台。

Claims (1)

  1. 木質構成要素を、分子内に2官能価以上のイソシアネート反応成分を有する水溶性または水分散性前処理剤で前処理した後、この前処理した木質構成要素にイソシアネート系接着剤を添加し、ついで、前記木質構成要素をプレス面に対して起立するように配向し、加熱,圧締して一体成形することを特徴とする木質成形材の製造方法。
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