JPH09300313A - 木質成形材の製造方法 - Google Patents

木質成形材の製造方法

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JPH09300313A
JPH09300313A JP11746796A JP11746796A JPH09300313A JP H09300313 A JPH09300313 A JP H09300313A JP 11746796 A JP11746796 A JP 11746796A JP 11746796 A JP11746796 A JP 11746796A JP H09300313 A JPH09300313 A JP H09300313A
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wooden
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Shigeru Morishita
滋 森下
Hiroshi Okamoto
広志 岡本
Kanji Imai
勘二 今井
Takahisa Honda
貴久 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の強度を有し、生産が容易で耐水性に優
れた木質成形材が得られる木質成形材の製造方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 木質構成要素10を、分子内に2官能価
以上のイソシアネート反応成分を有する水溶性または水
分散性前処理剤で前処理した後、この前処理した木質構
成要素にイソシアネート系接着剤を添加し、プレス13
のプレス台14に配向し、加熱,圧締して一体成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材薄片,フレー
ク,パーティクル,単板,木質繊維等の木質構成要素を
イソシアネート系接着剤で接着,成形してなるパーテイ
クルボード,ファイバーボード,配向ストランドボー
ド,大断面の角材等の木質成形材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、木
材業界では、パーティクルボード等の木質成形材を得る
ため、ポリアルキレンポリオール類と、イソシアネート
系接着剤あるいはウレタン系接着剤とを有機溶剤に溶
解,混合して得た接着剤を使用していた。しかしなが
ら、有機溶剤を揮散させる際に環境を汚染するおそれが
あるだけでなく、乾燥させるために種々の工夫を要し、
手間がかかった。
【0003】このため、例えば、特公昭51−3057
6号公報には、ポリビニルアルコールを含む水溶液また
は水性エマルジョンに、イソシアネート系化合物または
イソシアネート系重合物を混合分散し、さらに、小麦
粉,澱粉類等の増量剤および/またはクレー,タルク等
の充填剤を配合した耐水性接着剤の使用が開示されてい
る。しかしながら、前述の耐水性接着剤は、増量剤,充
填剤を添加する必要があるだけでなく、2液を予め混
合,分散しておかないと、接着不良が生ずるので、使い
勝手が悪いという不具合があった。
【0004】さらに、木質繊維板の製造において、特開
平7−304005号公報のように、チップ状またはフ
ァイバー状の木質構成要素の形態維持用の充填剤として
尿素および尿素ホルマリン系接着剤を含浸しておき、イ
ソシアネート系接着剤で処理することにより、尿素等を
水不溶化することも提案されている。しかしながら、形
態維持用充填剤は尿素および尿素ホルマリン系接着剤で
あるので、靭性が乏しく、所望の強度が得にくいという
問題点がある。
【0005】本発明は、前記問題点に鑑み、所望の強度
を有し、生産が容易で耐水性に優れた木質成形材が得ら
れる木質成形材の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる木質成形
材の製造方法は、前記目的を達成するため、木質構成要
素を、分子内に2官能価以上のイソシアネート反応成分
を有する水溶性または水分散性前処理剤で前処理した
後、この前処理した木質構成要素にイソシアネート系接
着剤を添加し、加熱,圧締して一体成形する工程からな
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる実施形態
を、図1ないし図3の添付図面に従って説明する。本実
施形態にかかる製造方法は、木質構成要素に前処理剤で
前処理する工程と、イソシアネート系接着剤を添加する
工程と、加熱,圧締して一体成形する工程とからなるも
のである。
【0008】木質構成要素としては、樹種は問わず、例
えば、木材薄片,フレーク,パーティクル,単板,木質
繊維等が挙げられる。
【0009】前処理剤は、接着剤の接着力を高め、ある
いは、接着剤層,木材細胞壁を改質するため、分子内に
二官能価以上のイソシアネート反応成分を有するもので
ある。さらに、前記前処理剤は、水で希釈し、あるい
は、水性エマルジョンとして使用するため、水溶性また
は水分散性のものであり、より具体的には、以下の化合
物を単体あるいは2種以上混合,分散したものが使用さ
れる。
【0010】すなわち、前処理剤としては、例えば、
(1)各分子量のポリエチレングリコール(PEG),
ポリエチレントリオール,ポリプロピレングリコール
(PPG),ポリプロピレントリオール等のポリアルキ
レンエーテルポリオール、(2)ポリエチレングリコー
ル,ポリプロピレングリコール等のポリオールをグリオ
キザール水溶液と混合したヘミアセタール化ポリオー
ル、(3)各種アミノ酸およびその塩類、(4)モノエ
タノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノール
アミン等のアミノポリオール類,アミノアルコール類、
(5)テトラエチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、
(6)ジメチロールプロピオン酸等のヒドロキシアルカ
ン酸、(7)尿素およびノボラック尿素を除く水溶性ア
ミノ樹脂、(8)レゾール系水溶性フェノール樹脂、
(9)グルコース等の水溶性多糖類、(10)ポリエチ
レングリコール,ポリプロピレングリコールのグリシジ
ルエーテル等の水溶性多価エポキシ化合物が挙げられ
る。
【0011】前処理剤を添加する際の濃度は、後述する
イソシアネート系接着剤の添加量が木質構成要素重量の
2〜20重量%である場合、前処理剤の水溶液(水分散
液)の濃度は80%以下、好ましくは0.1〜ないし6
0%が適当である。前処理剤の水溶液の濃度が80%を
越えると、接着剤液の粘度が著しく向上し、接着剤の塗
布,噴霧作業等が困難となるからである。
【0012】また、前処理剤の添加量は、木質構成要素
重量の0.1重量%〜30重量%であればよい。0.1
重量%未満であると、イソシアネート系接着剤との反応
生成物が所定の物性を出しにくくなるからであり、30
重量%を越えると、木質成形材の比重が必要以上に大き
くなるうえにコスト高となるからである。
【0013】さらに、接着する際の成形プレスの温度
は、室温ないし250℃以下、特に、80〜180℃が
好適である。成形プレスの温度が250℃を越えると、
木質構成要素に熱劣化が生じる可能性があるからであ
る。
【0014】木質構成要素の表面に前処理剤を付着,浸
透させる方法は、噴霧,浸漬,塗布,撹拌混合などの既
存の方法から任意に選択できる。
【0015】イソシアネート系接着剤としては、例え
ば、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジ
フェニルメタンイソシアネート)、HMDI(ヘキサメ
チレンジイソシアネート)、PMDI(ポリメチレンポ
リフェニルポリイソシアネート、別名ポリメリックMD
I)などを必須成分とする熱硬化性接着剤あるいはこれ
らの2種以上の混合物が挙げられる。なお、これらのイ
ソシアネート類と前述の前処理剤とのプレポリマーも使
用可能である。さらに必要に応じて各種界面活性剤,触
媒を含むこともできる。
【0016】そして、イソシアネート系接着剤の木質構
成要素への添加量は、木質構成要素の重量の0.5重量
%〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満である
と、充分な接着強度が得られないからであり、30重量
%を越えると、これ以上の強度向上が望めず、コスト高
となってしまうからである。
【0017】木質構成要素の表面にイソシアネート系接
着剤を付着,浸透させる方法は、前述の前処理剤と同
様、噴霧,浸漬,塗布,撹拌混合などの既存の方法から
任意に選択できる。特に、木材の解織工程で前処理剤お
よびイソシアネート系接着剤を順次添加して混合すれ
ば、生産工程が連続することになり、生産性が向上する
という利点がある。
【0018】なお、所望の強度,木質構成要素の材質,
形状,含水率等に応じて前処理剤,接着剤の種類,添加
条件等を適宜選択できることは勿論である。
【0019】木質構成要素は、特定の方向に配向せず、
例えば、それをプレス面にランダムに自然落下させて堆
積してもよく、あるいは、図1(a)に示すようにプレ
ス13のプレス台14に起立するように配向してもよ
い。
【0020】起立するように配向する方法としては、例
えば、図2(a)に示すように、表面に接着剤を付着さ
せた木質構成要素10を分解可能な配向ボックス12内
に自然落下させて堆積させる。ついで、この配向ボック
ス12をプレス13のプレス台14に寝かせた後、プレ
ス台14に接する配向ボックス12の側板15をスライ
ドさせて抜き取り、さらに、配向ボックス12の残る構
成部材を取り除くことにより、配向する方法がある。な
お、説明の便宜上、図2(a),(b)の配向ボックス
12は簡略して図示されている。
【0021】また、起立するように配向する他の方法と
しては、例えば、前記配向ボックス12内に袋体(図示
せず)を予め収納しておき、この袋体内に前述と同様、
木質構成要素10を堆積させる。ついで、プレス13の
プレス台14に前記配向ボックス12を寝かせた後、前
記袋体を引き出し、この袋体とともに、木質構成要素1
0を加熱,圧締して一体成形してもよい。
【0022】加熱,圧締に使用するプレスは、上下方向
だけでなく、周辺縁部に位置する木質構成要素の崩れを
防止するため、好ましくは横方向からも加熱,圧締でき
る2軸プレスであってもよく、必要に応じて選択でき
る。なお、主プレス方向に直交する方向の圧縮力は起立
配向したフレークの起立を概ね保持する程度の圧力でよ
く、場合によっては、一軸プレスの熱盤に側面板を設置
して起立フレークの崩れを防止するだけでもよい。
【0023】そして、前述の加熱,圧締により、例え
ば、木質構成要素を起立するように配向した場合、図1
(b)に示すように、木質構成要素が屈曲し、そのまま
の状態で一体成形された木質成形材11が得られる。
【0024】木質構成要素は、前述の配向形態に限ら
ず、例えば、図3(a)に示すように、プレス台14の
プレス面に対して略平行に配向した木質構成要素15,
15の間に、前記プレス面に対して略直交するように木
質構成要素10を配向してもよい。そして、これを加
熱,圧締して一体成形成することにより、図3(b)に
示すような木質成形材16が得られる。本実施形態によ
れば、最大引張応力が生じる最下面には引っ張りに強い
方向に配向した木質構成要素15が存在する一方、大き
な剪断応力が生ずる断面部分には、連続した脆弱面が存
在しにくい木質構成要素10が存在するので、より一層
高強度の木質成形材が得られるという利点がある。
【0025】なお、前述の実施形態の配向方法では、配
向ボックスだけを使用して配向してもよく、あるいは、
配向ボックスおよび袋体を併用してもよい。また、木質
構成要素15は木質構成要素10の片面に配向しておく
だけでもよい。
【0026】
【実施例】
(実施例1)厚さ0.5mmのベイツガスライス単板を
適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維直角方向5c
m以下のランダムな形状を有する木材薄片を得た。この
木材薄片を撹拌しながら、濃度1%のポリプロピレング
リコール(平均分子量400)水溶液を木材薄片の重量
に対して不揮発分換算で1.5重量%となるように噴霧
して均一に付着させた後、温度105℃で12時間乾燥
することにより、水分を十分に除去した前処理済み木材
薄片を得た。この前処理済み木材薄片を撹拌しながら、
アセトンで濃度30%に希釈したMDI(ジフェニルメ
タンジイソシアネート)を木材薄片の重量に対して不揮
発分換算で10重量%となるように噴霧して均一に付着
させた。ついで、この木材薄片をプレス面にランダムに
自然落下させて厚さ40mmに堆積させた後、温度18
0℃で15分間熱圧成形し、厚さ12mm、比重0.6
5のサンプルを得、このサンプルの曲げ強度(MOR)
を測定した。測定の結果、サンプルの曲げ強度は64N
/mm2であった。
【0027】(比較例1)ポリプロピレングリコール水
溶液で前処理しない点を除き、他は前述の実施例1と同
様に処理して得たサンプルにつき、実施例1と同一条件
でサンプルの曲げ強度を測定した。測定の結果、サンプ
ルの曲げ強度は42N/mm2であった。
【0028】実施例1と、比較例1との曲げ強度を比較
したところ、実施例1の曲げ強度が比較例1の約1.5
倍であることから、木質薄片の前処理工程が強度の向上
に有効であることがわかった。
【0029】(実施例2)厚さ0.5mmのベイツガス
ライス単板を適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維
直角方向5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片
を得た。一方、平均分子量200のポリプロピレングリ
コール0.3%と、平均分子量2000のポリプロピレ
ングリコール0.7%とを撹拌混合した水分散液を前処
理液とした。この前処理液を木材薄片に木材薄片の重量
に対して不揮発分換算で2重量%となるように噴霧して
均一に付着させた後、温度105℃で12時間乾燥する
ことにより、水分を十分に除去した前処理済み木材薄片
を得た。ついで、この前処理済み木材薄片を撹拌しなが
ら、アセトンで濃度30%に希釈したMDIを木材薄片
の重量に対して不揮発分換算で10重量%となるように
噴霧して付着させた。ついで、この前処理済み木材薄片
をランダムに自然落下させて厚さ約40mmに堆積させ
た後、温度180℃で15分間熱圧成形し、厚さ12m
m、比重0.65のサンプルを得た。このサンプルを温
度20℃の常温水に12時間浸漬し、厚さ方向の膨潤率
と、吸水量を測定した。測定の結果、サンプルの膨潤率
は6.5%、吸水率は7.3%であった。
【0030】(実施例3)前処理液として濃度1%のL
−リジン塩酸塩水溶液を木材薄片に木材薄片の重量に対
して固形分換算で1.5重量%となるように噴霧して均
一に付着させ、温度105℃で12時間乾燥した点を除
き、他は前述の実施例2と同様に処理して得たサンプル
につき、実施例2と同一条件で厚さ方向の膨潤率と、吸
水率とを測定した。測定の結果、膨張率は6.3%、吸
水率は10.3%であった。
【0031】(比較例2)木質薄片を前処理しない点を
除き、他は前述の実施例2と同様に処理して得たサンプ
ルにつき、実施例2と同一条件で厚さ方向の膨潤率と、
吸水率とを測定した。測定の結果、サンプルの膨潤率は
12.9%、吸水率は16.3%であった。
【0032】実施例2,3と、比較例2とを比較したと
ころ、膨潤率については実施例2,3のいずれもが、比
較例2の約半分であり、吸水率については実施例2,3
のいずれもが比較例2よりもよりも小さいことから、木
材薄片に対する前処理工程が耐水性の向上に有効である
ことが判明した。
【0033】(実施例4)厚さ0.5mmのベイツガス
ライス単板を適宜切断して繊維方向の長さ10cm以
下、繊維直角方向の長さ5cm以下のランダムな形状を
有する木材薄片を得た。この木材薄片を撹拌しながら、
濃度1%のポリプロピレングリコール(平均分子量40
0)水溶液を木材薄片の重量に対して不揮発分換算で
1.5重量%となるように噴霧して均一に付着させた
後、温度105℃で12時間乾燥することにより、水分
を十分に除去した前処理済み木材薄片を得た。この前処
理済み木材薄片を撹拌しながら、アセトンで濃度30%
に希釈したMDIを木材薄片の重量に対して不揮発分換
算で10重量%となるように噴霧して付着させた。つい
で、MDIを付着させた木材薄片をプレス面に対して略
直立するように配向した(厚さ約50mm)。そして、
温度180℃で15分間熱圧成形し、厚さ12mm、比
重0.8の配向ボードを得、これをサンプルとした。こ
のサンプルを温度20℃の水中に12時間浸漬し、厚さ
方向の膨潤率と吸水率とを測定した。測定の結果、サン
プルの膨潤率は3.3%、吸水率は12.5%であっ
た。
【0034】(実施例5)前処理液として、濃度1%の
ポリプロピレングリコールの代わりに、濃度1%のL−
リジン塩酸塩水溶液を木材薄片の重量に対して固形分換
算で1.5重量%となるように噴霧して付着させた点を
除き、他は前述の第3実施例と同様に処理することによ
り、厚さ12mm、比重0.8の木質配向ボードを得、
これをサンプルとした。そして、このサンプルの厚さ方
向の膨潤率と吸水率とを実施例4と同一条件で測定し
た。測定の結果、サンプルの膨潤率は2.5%、吸水率
は12.0%であった。
【0035】(比較例3)木材薄片に前処理液を付着さ
せない点を除き、他は前述の第4実施例と同様に処理し
て厚さ12mm、比重0.8の配向ボードを得、これを
サンプルとした。そして、このサンプルの厚さ方向の膨
潤率と吸水率とを実施例4と同一条件で測定した。測定
の結果、サンプルの膨潤率は5.5%、吸水率は12.
1%であった。
【0036】(比較例4)木材薄片に前処理液を付着さ
せない点、および、プレス面に木材薄片を略直立するよ
うに配向せず、ランダムに自然落下させて堆積させた点
を除き、他は前述の第4実施例と同様に処理して厚さ1
2mm、比重0.8の配向ボードを得、これをサンプル
とした。そして、このサンプルの厚さ方向の膨潤率と吸
水率とを実施例4と同一条件で測定した。測定の結果、
サンプルの膨潤率は9.2%、吸水率は13.7%であ
った。
【0037】以上の測定結果から、実施例4,5が実施
例3,4よりも膨潤率および吸水率において優れている
ことから、前処理剤を付着させることにより、耐水膨潤
性がより一層向上していることが判明した。これは、本
発明にかかる木質配向材の製造方法によれば、木質構成
要素に施した前処理により、木質構成要素の表面近傍お
よび内部にイソシアネート反応成分が分布し、このイソ
シアネート反応成分と、イソシアネート系接着剤とが反
応し、そのブライマーとしての効果によって強固な接着
を実現すると考えられる。また、反応生成物質が木質構
成要素間の隙間で成長し、間隙を充填するので、木質構
成要素間の隙間からの水分の侵入を防止する。さらに、
木質構成要素内に侵入したイソシアネート反応成分はイ
ソシアネート系成分の木材細胞壁中への浸透、反応生成
物質の生成を助ける作用をも有すると考えられる。この
ため、木材細胞壁中にイソシアネート反応生成物質が生
成しやすくなるので、木材細胞壁の疎水性がより一層高
まると考えられる。
【0038】なお、比較例3と比較例4とを比較する
と、吸水率がほぼ等しいにもかかわらず、比較例3の膨
潤率が比較例4の約半分であることが判明した。これ
は、木材薄片が一方向に揃っていないので、吸水膨潤に
よる膨潤回復(いわゆるスプリングバック)が分散する
ためであると考えられる。
【0039】(実施例6)厚さ0.5mmのベイツガス
ライス単板を適宜切断して繊維方向10cm以下、繊維
直角方向5cm以下のランダムな形状を有する木材薄片
を得た。この木材薄片を撹拌しながら、分子量200の
ポリプロピレングリコール1%水溶液を木材薄片の重量
に対して不揮発分換算で1.5重量%となるように噴霧
して均一に付着させた後、105℃で12時間乾燥して
水を十分に除去した。この前処理済の木材薄片を撹拌し
ながらアセトンで30%濃度に希釈したMDIを木材薄
片の重量に対して不揮発分換算で10重量%になるよう
に噴霧添加した。この木材薄片を図1に示すようにプレ
ス上で起立配向させた後、温度180℃で15分熱圧成
形して、図2に示す特徴的な断面を有する厚さ12m
m、比重0.7の木質板を形成した。この木質板のMO
Rと曲げヤング率を測定したところ、MORは120N
/mm2、曲げヤング率は14.8KN/mm2の値を得た。
【0040】(比較例5)木材薄片に前処理をしない点
を除き、他は前述の実施例6と同様に処理して得た図2
に示す特徴的な断面を有する厚さ12mm、比重0.7
の木質板について、実施例6と同一条件でMORと曲げ
ヤング率を測定した。測定の結果、サンプルのMORは
76.5N/mm2、曲げヤング率は12.2KN/mm2の値
を得た。以上の結果から、木材薄片を前処理することに
よってMORは約1.5倍、曲げヤング率は1.2倍の
強度を得られることが判った。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる木質成形材の製造方法によれば、木質構成要素
に施した前処理により、木質構成要素の表面近傍および
内部にイソシアネート反応成分が分布し、このイソシア
ネート反応成分と、イソシアネート系接着剤とが反応
し、そのブライマーとしての効果によって強固な接着を
実現できるので、所望の強度を有する木質成形材が得ら
れる。また、反応生成物質が木質構成要素間の隙間で成
長し、間隙を充填するので、木質構成要素間の隙間から
の水分の侵入を防止する。さらに、木質構成要素内に侵
入したイソシアネート反応成分はイソシアネート系成分
の木材細胞壁中への浸透、反応生成物質の生成を助ける
作用をも有すると考えられる。このため、木材細胞壁中
にイソシアネート反応生成物質が生成しやすくなり、木
材細胞壁の疎水性がより一層高まると考えられる。この
結果、吸水しにくくなり、吸水しても膨潤しにくくなる
ので、吸水率が低く、耐水膨潤性に優れた木質成形材が
得られる。さらに、本願発明によれば、前処理剤とイソ
シアネート系接着剤とを順次添加すればよいので、2液
を予め混合しておく必要がなく、混合液の使用時間の制
限が無くなるため、使い勝手がよくなり、生産が容易な
木質成形材が得られる。そして、前処理剤は水溶性また
は水分散性であるので、前処理工程における乾燥に特別
な工夫を必要とせず、より一層生産性が高まるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施形態にかかる製造方法を示
し、図(a)は加熱,圧締作業を説明するための断面
図、図(b)は木質成形材の断面図である。
【図2】 図1に示した木質成形材の配向方法を示し、
図(a)は木質構成要素を堆積させる配向ボックスの部
分破断斜視図、図(b)は前記配向ボックスを寝かせた
状態を示す斜視図である。
【図3】 本願発明の実施形態にかかる他の製造方法を
示し、図(a)は加熱,圧締作業を説明するための断面
図、図(b)は木質成形材の断面図である。
【符号の説明】
10,15…木質構成要素、11,16…木質成形材、
12…配向ボックス、13…プレス、14…プレス台。
フロントページの続き (72)発明者 本田 貴久 富山県東砺波郡井波町井波1番地の1 大 建工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質構成要素を、分子内に2官能価以上
    のイソシアネート反応成分を有する水溶性または水分散
    性前処理剤で前処理した後、この前処理した木質構成要
    素にイソシアネート系接着剤を添加し、加熱,圧締して
    一体成形することを特徴とする木質成形材の製造方法。
JP11746796A 1996-05-13 1996-05-13 木質成形材の製造方法 Expired - Fee Related JP3598175B2 (ja)

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