JP3598024B2 - 積層樹脂成形品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と表皮材とが発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品に関し、特に、互いに溶着した多数の発泡ビーズで発泡層が成形された積層樹脂成形品に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、積層樹脂成形品は、一般に、基材と表皮材とを別々に成形した後、これらを発泡層などの接着層で一体に接合することにより製造されている。本願出願人は、この積層樹脂成形品において発泡層に発泡ビーズを用いることを提案し、これを既に出願している(特願平11−49584号参照)。発泡ビーズは、基材と表皮材との間に充填した状態で加熱することによって、発泡ビーズの粒子同士が溶着するとともに基材及び表皮材とも溶着して、基材と表皮材とを接合するものである。
【0003】
発泡ビーズを加熱するためには、例えば高温の水蒸気や熱風などの加熱流体が用いられる。そして、加熱流体を基材と表皮材の間に供給するために、基材に複数の貫通穴が形成され、この貫通穴から基材と表皮材との間に一斉に蒸気が吹き込まれる。基材に貫通穴が形成されるのは、表皮材が成形品の表面側の部材であり、該表皮材に貫通穴を形成すると成形品の外観上好ましくないためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように基材に貫通穴を設けると、基材の剛性が低下するため、発泡ビーズが溶着した後に固化する際の収縮によって成形品が変形するおそれがあった。
【0005】
また、上述の例では複数の貫通穴から基材と表皮材との間に一斉に蒸気を吹き込んで発泡ビーズを加熱するようにしているが、基材と発泡層とがそれぞれ同一の材質、例えばポリプロピレン(PP)であっても、加熱流体としての蒸気の温度では、発泡層を構成する発泡ビーズが基材に溶着することができず、基材と発泡層との接合が不十分になるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して基材と表皮材とを一体的に積層した積層樹脂成形品において、基材の剛性低下による変形を防止しつつ、基材と発泡層との分離を防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材の貫通穴を加熱流体供給口と加熱流体排出口とに区別し、加熱流体排出口に発泡ビーズが侵入した状態で発泡層を成形するようにしたものである。
【0008】
具体的に、本発明が講じた解決手段は、基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品を前提としている。そして、基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とを形成し、発泡層を、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形している。
【0009】
さらに、基材の流体供給口と流体排出口のうち、少なくとも流体排出口には、その開口部分を横断する横断リブを形成し、この横断リブを、その開口部分内で基材の内面寄りに形成している。
【0010】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口と流体排出口の少なくとも一方に、その開口部分を横断する内側リブを形成し、この内側リブを、上記発泡層の中に位置するように構成することもできる。
【0011】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部分を包囲する包囲リブを形成することが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部を包囲する包囲リブと、包囲リブ同士を連結する連結リブとを立設してもよい。
【0013】
また、上記構成においては、基材に貫通穴を形成し、発泡層には、該貫通穴と連通する凹陥部を形成するようにしてもよい。この場合、基材の貫通穴を流体供給口とし、発泡層の凹陥部を流体供給口と連通して形成することが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の各開口部間で延在する区画リブを突設することが好ましい。
【0015】
また、上記構成においては、流体排出口を、基材の内面側よりも外面側の開口面積が大きいものとして、テーパ状などに形成することが好ましい。
【0016】
−作用−
上記解決手段においては、基材に流体供給口と流体排出口とを別々に設けているので、加熱流体を流体供給口から供給し、流体排出口から排出する際に、加熱流体の排出流動に伴って発泡ビーズが流体供給口側から流体排出口側へ押し込まれた状態で発泡層が成形される。つまり、発泡ビーズが流体排出口に侵入した状態で発泡層が成形され、該流体排出口が発泡層で閉塞される。そして、流体供給口と流体排出口とを区別せずに全ての開口から一斉に加熱流体を供給する場合と比べて加熱流体が基材と表皮材との間を流動しやすくなるために発泡ビーズの溶着が安定して行われ、基材と発泡層との密着性が高められる。
【0017】
また、流体供給口や流体排出口の開口部分を横断する横断リブを、その開口部分の中で基材の内面寄り、つまり発泡層寄りに位置するように構成したり、基材の内側に、流体供給口や流体排出口の開口部分を横断する内側リブを形成すると、基材の開口の数が多くなった場合でも基材の剛性の低下を防止でき、さらに、これらのリブが発泡層の中に埋まった状態となるために、基材と発泡層との接合力を高められる。
【0018】
また、基材の内側に流体供給口や流体排出口を包囲する包囲リブを形成したり、さらに包囲リブを連結リブで連結するように構成しても、基材の剛性の低下を防止できる。
【0019】
また、基材に貫通穴を形成し、発泡層にこの貫通穴と対応する凹陥部を形成すると、基材と表皮材との間で発泡層を成形するのに用いる成形金型に凸部を設けることにより、該凹陥部を形成できる。このことにより、発泡層が固化する際に、成形金型の凸部の間ごとに部分的に収縮するようにできるため、各部分での変形量を小さくできる。また、凹陥部を基材の流体供給口と連通するように形成すれば、貫通穴を別途設けることが不要になり、基材の剛性の低下を防止できる。
【0020】
また、基材の内側に、流体供給口及び流体排出口の開口部間を区画する区画リブを形成すると、基材自体の剛性が上がるとともに、発泡層の収縮が部分的に行われて、その収縮量が小さくなる。
【0021】
また、流体排出口の断面形状を、基材の外面側よりも内面側の開口面積が小さい形状(例えばテーパ形状)に形成すると、発泡層がこの流体排出口の断面形状に合わせた形状になって固化することから、発泡層と基材とが流体排出口において強く係合し、接合力が高められる。
【0022】
【発明の効果】
上記解決手段によれば、発泡層が流体排出口に侵入した状態で成形され、しかも発泡ビーズの溶着が安定して行われて基材と発泡層との密着性が高められることから、基材と発泡層との接合力を高めて分離防止を図ることができる。また、発泡層が基材の流体排出口を閉塞し、基材と一体化することで、基材の剛性を高めることもできる。従って、積層樹脂成形品の変形も防止できる。
【0023】
また、横断リブが発泡層に埋まった状態となるように構成したり、流体排出口の断面形状をテーパ形状などに形成したりすると、発泡層と基材との接合力を高められるので、分離防止をより確実にできる。
【0024】
また、基材に、横断リブ、内側リブ、包囲リブ、連結リブ、区画リブ等を形成すると、基材の剛性を高めることができ、積層樹脂成形品の変形防止に優れた効果が得られる。
【0025】
特に、基材に区画リブを形成した場合には、発泡層の収縮が部分的に行われて収縮量が小さくなることからも、積層樹脂成形品の変形を防止できる。
【0026】
また、基材の貫通穴または流体供給口と対応する凹陥部を発泡層に形成しても、発泡層の収縮量を小さくすることができるので、積層樹脂成形品の変形防止が可能である。さらに、貫通穴を流体供給口にすると、貫通穴を別途設ける必要がなくなるので、基材の強度を高めることができる。
【0027】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態1の積層樹脂成形品の概略構造を示す断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。本実施形態の積層樹脂成形品1は、自動車のインストルメントパネルを構成する部材であり、基材2と表皮材3とが、発泡層4を介して一体的に積層されている。また、図1の仮想線は、上記積層樹脂成形品1の下方に取り付けられた部品(空調用ダクト5など)を示している。
【0029】
図2に示すように、表皮材3は、TPO(サーモプラスチックオレフィン)のパウダー原料によるスラッシュ成形で成形された外皮層6と、この外皮層の裏面に同じくTPOによるスラッシュ成形で成形されたフォーム層7とから二層構造に構成されている。そして、この表皮材3が、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂原料で成形された基材2に、発泡層4を介して接合されている。
【0030】
発泡層4は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂を原料とする多数の発泡ビーズ4aにより構成されている。発泡ビーズ4aは、粒子同士が互いに溶着しており、かつ、表皮材3に対しても溶着している。発泡ビーズ4aは、原料の段階で発泡したものであるが、さらに加熱することにより溶着する性質を有している。
【0031】
基材2には、基材2と表皮材3との間に充填された多数の発泡ビーズ4aに、高温蒸気や熱風など、発泡ビーズ4aの加熱用の流体を供給する流体供給口2aと、基材2と表皮材3との間から加熱流体を排出する流体排出口2bとが、それぞれ貫通して形成されている。本実施形態1において、流体供給口2a及び流体排出口2bは、流体排出口2bを拡大して図3に示すようにテーパ状に形成されていて、基材2の内面(図の上側の面)側よりも外面(図の下側の面)側の開口面積が大きくなっている。また、流体排出口2bの開口径は、発泡ビーズ4aより大きく設定されている。なお、流体供給口2aの開口径は、発泡ビーズ4aより大小任意に設定することができる。
【0032】
図2において、矢印A及びBは、積層樹脂成形品1の成形時に後述のキャビティ内に流入及びキャビティから流出する加熱流体の流動方向を示すもので、矢印Aは流入を、矢印Bは流出をそれぞれ示している。
【0033】
次に、この積層樹脂成形品1の製造装置10について、図4及び図5を参照して説明する。11は積層樹脂成形品1の成形用金型であり、固定側の第1金型12と可動側の第2金型13とから構成されている。また、14は表皮材3を第1金型12にセットするロボットであり、第1金型12と第2金型13とが分離した状態で表皮材3を第1金型12の成形面16aに第1金型12で真空吸着した後に両金型12,13の間から退避するように構成されている。
【0034】
第1金型12は、外枠15と第1金型面部材16とから構成されている。第1金型面部材16の成形面16aには、スラッシュ成形によって予め成形された表皮材3をセットするために多数の真空吸着用小孔(図示せず)が形成され、外枠16の上側面には吸引ポート17が設けられている。
【0035】
第2金型13は、外枠18と第2金型面部材19とから構成されている。この第2金型13は、第1金型12と第2金型13の間に形成されるキャビティ内に発泡ビーズ4aを供給するためのビーズ充填装置20(図5参照)と、積層樹脂成形品1を冷却するための冷却水噴霧装置21とを備えている。
【0036】
第2金型13には、キャビティ内の発泡ビーズ4aに加熱流体として蒸気を供給する蒸気供給管22が設けられ、外枠18の底面には、ドレン水排出用のドレンポート23が設けられている。蒸気供給管22は、ヘッダー22aと分岐管22bとから構成されている。また、第2金型面部材19には、基材2と表皮材3との間から蒸気を排出するための蒸気排出口19aが形成されている。そして、蒸気供給管22の分岐管22bは、基材2の流体供給口2aと一致する位置に配置され、第2金型面部材19の蒸気排出口19aは、基材2の流体排出口2bと一致する位置に配置されている。
【0037】
第2金型面部材19は、成形用金型11を閉じた状態での部分拡大断面図である図6に示すように、蒸気排出口19a内に、発泡ビーズ4aがキャビティ内から漏出するのを防止する漏出防止部材34を備えている。この漏出防止部材34には、発泡ビーズ4aよりも小径の複数の小孔34aが形成されている。そして、この小孔34aにより、蒸気排出口19aから発泡ビーズ4aが漏出せずに蒸気のみが通るように構成されている。
【0038】
ビーズ供給装置20は、粒状の発泡ビーズ4aが貯留された原料サイロ24と、発泡ビーズ4aを加圧して圧縮する加圧装置25と、発泡ビーズ4aをキャビティに供給する充填ガン26とから構成され、原料サイロ24と加圧装置25の間、及び加圧装置25と充填ガン26の間が、それぞれ供給管27a,27bで接続されている。
【0039】
充填ガン26は、所定量の発泡ビーズ4aをキャビティへの充填に先立って一旦貯留するように第2金型13内に固定された貯留筒28と、この貯留筒28の後端部に固定された充填用エアーシリンダ29とを備えている。貯留筒28の後端部側には、発泡ビーズ4aを加圧装置25から受け入れるための供給ポート30が設けられ、この供給ポート30に上述の供給管27bが接続されている。なお、供給ポート30には開閉弁(図示せず)が設けられており、この開閉弁により供給ポート30の開閉制御ができるようになっている。
【0040】
貯留筒28の先端側内面はテーパ状に形成されており、先端に向かって小径になっている。そして、充填用エアーシリンダ29のロッドの先端には、この小径部分と嵌合する押し出しブロック31が固定されている。充填用エアーシリンダは、この押し出しブロック31の先端面が第2金型面部材19のキャビティ側の面とほぼ一致する位置と、供給ポート30よりも後退した位置との間で可動に構成されている。
【0041】
冷却水噴霧装置21は、パイプ材により構成されたヘッダー32と、このヘッダー32の複数箇所に、第2金型面部材19側に向かって設けられたノズル33とから構成されている。そして、ヘッダー32に、冷却水供給チューブ(図示せず)が接続されて、冷却水を第2金型面部材19に噴霧できるようになっている。
【0042】
次に、この積層樹脂成形品1の製造方法について説明する。
【0043】
本実施形態1では、まず、基材2と表皮材3とが別々に成形される。基材2と表皮材3のそれぞれについての具体的な成形方法は図示していないが、基材2は、射出成形などの成形方法により、上述したようにポリプロピレン等のオレフィン系樹脂原料から成形され、表皮材3は、サーモプラスチックオレフィンのパウダー原料を用いたスラッシュ成形によって、外皮層6とフォーム層7の二層に予め成形される。
【0044】
なお、基材2には、第2金型13に設けられた充填ガン26のビーズ貯留筒28の内孔と実質同一の位置に、ビーズ供給孔2cが形成される。また、基材2の流体供給口2a及び流体排出口2bは、上述したように、蒸気供給管22の分岐管22b及び第2金型面部材19の蒸気排出口19aと同一の位置に形成されている。
【0045】
次に、図4に示すように第1金型12と第2金型13を開いた状態で、第1金型12に表皮材3(図4では、簡略化して1層のみの部材として示している)をセットし、さらに第2金型13に基材2をセットする。その際、第1金型12への表皮材3の位置決めには上記ロボット14が用いられ、第2金型13への基材2の位置決めにも同様のロボット(図示せず)が用いられる。そして、表皮材3は、ロボット14によって第1金型12上に配置した後、真空吸着によって第1金型12の第1金型面部材16に密着保持される。一方、基材2は、表皮材3よりも硬質であるため、基材2自体の剛性によって第2金型面部材1に密着した状態に保持することが可能であるが、必要に応じて第2金型面部材19に対して真空吸着するようにしてもよいし、他の固定手段を用いるようにしてもよい。なお、表皮材3についても、真空吸着でなく、他の固定手段を用いて固定してもよい。
【0046】
基材2と表皮材3のセットが完了すると、次に、可動型である第2金型13を固定型である第1金型12の方向へ移動させ、図5に示すように型締めを行う。このことにより、基材2と表皮材3の間に、キャビティが区画形成される。このとき、ビーズ供給装置20の充填用エアーシリンダ29のロッドは後退しており、供給ポート30の開閉弁は開かれている。
【0047】
そして、加圧装置25によって加圧された所定量の発泡ビーズ4aを、供給管27bから供給ポート30を通じて貯留筒28内に供給した後、供給ポート30の開閉弁を閉じ、充填用エアーシリンダ29のロッドを前進させて、キャビティ内に押し込む。発泡ビーズ4aは、加圧装置25によって加圧された状態では各粒子が圧縮されて小さくなっているが、キャビティ内では大気圧に戻るため、加圧状態よりも幾分膨張し、表皮材3と基材2とを、第1金型面部材16と第2金型面部材19とに押圧する。
【0048】
次に、蒸気供給管22からキャビティ内へ、加熱流体である蒸気を連続的または間欠的に供給する。そうすると、蒸気はキャビティ内で拡散して発泡ビーズ4aを加熱した後、蒸気排出口19aから第2金型13の内部に排出され、さらにドレンポート23を通って第2金型13から外へ排出される。発泡ビーズ4aは、各粒子が予め発泡したものであるが、各粒子が加熱の際に熱膨張し、互いに密着しながら熱溶着すると共に、表皮材3に対しても熱溶着する。この溶着作用が行われる際には、蒸気の流れに従って発泡ビーズ4aが流動するため、発泡ビーズ4aが基材2の流体排出口2bの中に押し出された状態となる(図2,図3,図6参照)。従って、積層樹脂成形品1は、発泡層4が流体排出口2bに侵入し、該流体排出口2bを閉塞した状態で成形されることになる。
【0049】
一方、流体供給口2a近傍の発泡ビーズ4aは、該流体供給口2aから蒸気が流入するため、蒸気の流れによりキャビティ内方に移動し、その結果図2に示すように流体供給口2aには発泡層4がほとんど成形されない。
【0050】
その後、冷却水噴霧装置21のノズル33から第2金型面部材19に冷却水を吹き付けて、発泡ビーズ4aによる発泡層4を冷却させた後、第1金型12と第2金型13を開いて積層樹脂成形品1を取り出し、1個の成形品の製造が完了する。
【0051】
一方、この実施形態1では、図7(a)及び図7(b)に示すように、横断リブR2を基材2に設けている。横断リブR2は、基材2の流体排出口2bに、その開口部分を横断するように「十」字形状に形成されている。図では、便宜上、流体排出口2bは、基材の厚さ方向に断面形状が一定の貫通孔としている。この横断リブR2は、流体排出口2bの開口部分内で基材2の内面寄り(キャビティ側)に形成されている。このため、基材2と表皮材3との間で発泡層4を成形すると、横断リブR2は、流体排出口2b内に侵入して該流体排出口2bを閉塞している発泡層4の中に埋まった状態となる。
【0052】
なお、横断リブR2によって4分割された流体排出口2bの各開口の大きさが、発泡ビーズ4aの大きさより大きく設定されていることは勿論である。
【0053】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、発泡ビーズ4aが基材2の流体排出口2bの中に侵入した状態で溶着して発泡層4が形成され、しかも流体排出口2bをテーパ形状に形成して基材2と発泡層4とを係合させているので、基材2と発泡層4とが強固に接合される。
【0054】
また、基材2の流体排出口2bを閉塞するように発泡層4を基材2と一体的に成形しているので、基材2の剛性を高められる。このため、製品の変形を抑えることができる。
【0055】
さらに、流体供給口2aと流体排出口2bとを区別したことによってキャビティ内での蒸気の流れがスムーズになることから、発泡ビーズ4aの溶着をより安定させることができる。なお、キャビティ内での蒸気の流れをよりスムーズにするためには、流体排出口2bの開口総面積を流体供給口2aの開口総面積よりも大きくするとよい。
【0056】
また、本実施形態1では、基材2と表皮材3との間に蒸気を供給するために従来より用いている貫通穴の一部を流体排出口2bとし、この流体排出口2bを利用して基材2と発泡層4の分離を防止している。このため、分離防止専用の穴は不要で、分離防止専用の穴を設ける場合に生じる基材の剛性低下を防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態1によれば、横断リブR2を設けたことによって基材2の強度低下を防止できるうえに、発泡層4の中に横断リブR2が埋まった状態で位置するので、基材2と発泡層4との分離をより確実に防止できる。
【0058】
なお、本実施形態1では、積層樹脂成形品1の構成部分すべて(基材2、表皮材3及び発泡層4)をオレフィン系樹脂にしているため、他の原料を用いる場合と比較して、成形品のリサイクルが容易になる利点がある。
【0059】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1において、基材2の流体排出口2bは、テーパ形状でなく、図8に示すように基材2の厚さ方向に断面形状が一定の貫通穴にしてもよい。この場合、第2金型面部材19の蒸気排出口19a内の漏出防止部材34を基材2との間に僅かに隙間が生じるようにセットしておくと、蒸気の流れによってその隙間に発泡ビーズ4aが侵入し、基材2の流体排出口2bの外周面に発泡層4を形成した状態で溶融し、固化するので、図6の例と同様に基材2と発泡層4とを強固に接合することができる。
【0060】
なお、基材2の流体排出口2bを図8の形状にした場合に、漏出防止部材34を図6のように基材2に密着するようにセットしても、発泡層4は流体排出口2bの中に侵入した状態で成形され、基材2と発泡層4との接触面積が大きくなるため、分離防止を図ることができる。つまり、発泡ビーズ4aが流体排出口2bに侵入した状態で発泡層4を成形することによって、流体排出口2bの形状に関係なく、基材2と発泡層4との分離を防止することが可能となる。
【0061】
また、流体排出口2bは、図6や図8に示した形状以外に、例えば基材2の内面側から外面側に向かって段階的に開口が大きくなる形状にしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態1では、流体排出口2bにのみ横断リブR2を形成しているが、横断リブR2は流体供給口2aにも形成してよい。その場合、流体供給口2aでは発泡ビーズ4aがキャビティ内に押し込まれて成形されるので、流体排出口2bとは違って横断リブR2が発泡層4の中に埋まることによる分離防止効果は殆ど期待できないものの、基材2の強度低下を防止して、積層樹脂成形品1の変形防止を図ることは可能である。
【0063】
さらに、図示の例では横断リブR2を「十」字状に形成しているが、「一」字状や、その他の形状に形成してもよい。
【0064】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2を図9(a)及び図9(b)に示している。この実施形態2では、実施形態1の横断リブR2に代えて、基材2の内側(キャビティ側)の面に、流体供給口2aと流体排出口2bの開口部分を横断する内側リブR3を形成している。
【0065】
図では流体供給口2aのみを示しているが、内側リブR3は流体供給口2aと流体排出口2bのそれぞれについて形成してもよいし、流体供給口2aと流体排出口2bの少なくとも一方に形成してもよいし、あるいは流体供給口2aと流体排出口2bとを区別せず、全ての開口部の内から無作為に選択した任意の開口部に形成してもよい。
【0066】
なお、基材2と表皮材3との間で発泡層4を形成する際の具体的な方法や装置については実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0067】
−実施形態2の効果−
この内側リブR3は、基材2の内側の面に立設され、その開口部分よりも内側に位置しているので、流体供給口2aであっても発泡ビーズ4が図示するように開口部の中に少しでも入った状態で溶着すれば、発泡層4の中に内側リブR3が埋まることによる分離防止効果を期待できる。また、基材2の強度低下を防止できる点は実施形態1と同様である。従って、実施形態1の横断リブR2を設けた場合と比較しても、基材2と発泡層4との分離防止に関して高い効果を奏することができる。
【0068】
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2では、内側リブR3を個々の開口部に別々に形成するものとしているが、隣り合った開口部の内側リブR3同士をつなぎ、連続した長いリブとして形成してもよい。そうすれば、基材2の強度をより高めることができるので、積層樹脂成形品1の変形をより確実に防止することが可能になる。
【0069】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3を図10(a)及び図10(b)に示している。本実施形態3では、基材2の流体供給口2aと流体排出口2bに、その開口部分を横断する横断リブR1が形成されている。また、本実施形態3においても、発泡ビーズ4aが流体排出口2bの中に侵入し、該流体排出口2bを閉塞した状態で発泡層4が成形されている。
【0070】
さらに、この実施形態3では、基材2の内面に、流体供給口2a及び流体排出口2bの周囲でその開口部を包囲する包囲リブR4が形成されている。つまり、流体供給口2a及び流体排出口2bの内部に「十」字状の横断リブR1を形成するとともに、その周囲には包囲リブR4を形成している。なお、図10(a)は流体供給口2aのみを示しているが、本実施形態3では流体排出口2にも横断リブR1と包囲リブR4とが形成されている。
【0071】
−実施形態3の効果−
本実施形態3においても、発泡層4が流体排出口2bに侵入して該流体排出口2bを閉塞しているので、基材2と発泡層4との接触面積を従来よりも大きくして分離防止を図ることができる。また、基材2の強度は、流体供給口2aと流体排出口2bに横断リブR1を設けることによって高めることが可能となる。
【0072】
また、このように包囲リブR4を基材2の内面に形成すると、実施形態1,2の効果に加えて基材の強度低下をより確実に防止できる。したがって、積層樹脂成形品1の変形防止効果を高めることができる。基材2と発泡層4との分離防止に関しては、上記実施形態1,2と同様の効果が得られる。
【0073】
【発明の実施の形態4】
本発明の実施形態4を図11(a)及び図11(b)に示している。図11(a)は積層樹脂成形品1の部分拡大断面図であり、図11(b)は基材2の平面図である。本実施形態4においては、基材2の内面に、流体供給口2a及び流体排出口2bの周囲でその開口部を包囲する包囲リブR4と、包囲リブR4同士を連結する連結リブR5とを立設している。この実施形態4において、流体供給口2aは、基材2の厚さ方向に開口形状が一定の貫通穴としており、流体排出口2bには、基材2の外面側から内面側に向かって開口面積が徐々に小さくなるテーパ部分を設けている。また、包囲リブR4は、真っ直ぐな短い円筒形状に形成されている。
【0074】
−実施形態4の効果−
本実施形態4においても、流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で溶着して発泡層4が形成されているので、基材2と発泡層4との分離を防止できる。また、流体排出口2bにテーパ部分が設けられているので、その分離を確実に防止できる。
【0075】
さらに、基材2の内面に包囲リブR4と連結リブR5とを設けているので、基材2の剛性を高めて積層樹脂成形品1の変形を防止できる。なお、各包囲リブR4同士を連結する連結リブR5を設けたことによって、発泡層4は各連結リブR4で囲まれた部分毎に収縮する。このため、基材2に対する発泡層4の収縮変形の影響が少なくなり、このことからも積層樹脂成形品1の変形防止を図ることができる。
【0076】
−実施形態4の変形例−
上記実施形態4において、包囲リブR4は真っ直ぐな短い円筒状としたが、図11(c)に示すように基材2の流体排出口2bのテーパ形状に沿ってテーパ筒状に形成してもよい。このように形成しても上記実施形態4と同様の効果が得られる。
【0077】
また、上記実施形態4において、流体供給口2aや流体排出口2bの開口部に、実施形態1〜3で説明したように横断リブR1,R2や内側リブR3を設ける構成としてもよい。このようにすると、基材2の強度をさらに高めることができるので、積層樹脂成形品1の変形をより確実に防止できる。
【0078】
【発明の実施の形態5】
本発明の実施形態5を図12に示している。この実施形態5では、基材2に流体供給口2a及び流体排出口2bが形成されるとともに、発泡層4には、基材2の流体供給口2aと連通する凹陥部4bが形成されている。
【0079】
この凹陥部4bは、第2金型面部材19に凸部19bを設け、この凸部19bが基材2の流体供給口2aを貫通して発泡層4の中に突出した状態で発泡ビーズ4aを溶着して固化させることにより形成される。本実施形態5において、蒸気は、この凸部19bを通ってキャビティ内の発泡ビーズ4aに供給される。このため、凸部19bの先端には、蒸気が挿通可能な複数の小孔19cが設けられている。
【0080】
各凸部19bは、例えば図12(b)に示すように平面視長円形状として複数列に配置し、各列において互い違いに位置するように設けることができる。そして、基材の流体供給孔2aは、この凸部19bと嵌合するように、各凸部19bと同一の長円形状で同一の位置に形成される。
【0081】
一方、キャビティ内から蒸気を排出するために、第2金型面部材19には基材2の流体排出口2bと連通する蒸気排出管19dが固定されている。蒸気排出管19dは、各凸部19bの間に配置されている。また、図12には示していないが、蒸気排出管19dの先端部には、図6及び図8に示した漏出防止部材34が組み込まれている。
【0082】
−実施形態5の効果−
本実施形態5では、蒸気は第2金型面部材19の凸部19bの先端部の小孔19cを通って基材2と表皮材3の間の多数の発泡ビーズ4aの中に噴射される。そして、発泡ビーズ4aが溶着して発泡層4が成形され、基材2と表皮材3とが接合される。発泡層4が冷却される際、発泡ビーズ4aは、各凸部19bの間で部分的に収縮するため、各部での収縮量は僅かである。したがって、基材2が発泡層4の収縮の影響を受けて変形するのを防止できる。
【0083】
また、発泡層4は、上記各実施形態と同様に流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で成形される。したがって、基材2と発泡層4との分離を防止できる点については上記各実施形態と同様である。
【0084】
−実施形態5の変形例−
上記実施形態5において、第2金型面部材19の凸部19bの形状は、適宜定めることができる。例えば、円柱状の凸部19bを多数配置して、該凸部19bにより発泡層4の凹陥部4bを形成するようにしてもよい。その場合、例えば実施形態1において図4及び図5を用いて説明した蒸気供給管22の分岐管22bの先端部を基材2から発泡層4の中に突出するように延長して凸部19bとすることも可能である。
【0085】
また、上記実施形態5では、基材2の流体供給口2aに発泡層4の凹陥部4bが連通するように形成したが、基材2に流体供給口2aとは別に貫通穴を設け、凹陥部4bをこの貫通穴と連通するように形成してもよい。その場合でも、発泡層4が部分的に僅かに収縮するだけであるため、積層樹脂成形品1の変形を防止することが可能である。
【0086】
【発明の実施の形態6】
本発明の実施形態6を図13(a)及び図13(b)に示している。この実施形態6では、実施形態5の構成において、流体供給口2aを円形にしており、基材2の内面に、流体供給口2aの周囲に位置する包囲リブR4を形成するとともに、流体供給口2a及び流体排出口2bの各開口部間を区画する区画リブR6を突設している。区画リブR6は、図12(b)に示すように基材2の内面に格子状に配置されている。
【0087】
また、発泡層4には、基材2の流体供給口2aと連通する凹陥部4bが形成されている。この凹陥部4bは流体供給口2aと同一直径の円形であり、第2金型面部材19の凸部19bは、流体供給口2aと嵌合する円柱状に形成されている。なお、その他の構成については実施形態5と同様である。
【0088】
−実施形態6の効果−
本実施形態6では、実施形態5と同様に、蒸気が第2金型面部材19の凸部19bの先端部の小孔19cを通って基材2と表皮材3の間の多数の発泡ビーズ4aの中に噴射されて発泡層4が成形され、基材2と表皮材3とが接合される。本実施形態6において、発泡ビーズ4aは、区画リブR6で囲まれた小さな領域毎に収縮する。したがって、各部での収縮量が僅かであり、基材2が発泡層4の収縮の影響で変形することを防止できる。
【0089】
また、流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で発泡層4を成形しているので、基材2と発泡層4との分離を防止できる点については上記各実施形態と同様である。
【0090】
−実施形態6の変形例−
上記実施形態6は、実施形態5の構成を若干変更して区画リブR6を設けたものであるが、区画リブR6は、上述したいずれの実施形態であっても設けることができる。この区画リブR6を設ければ、各実施形態での発泡層4の収縮が部分的に行われるようになるので、積層樹脂成形品1の変形防止に効果的である。
【0091】
【発明のその他の実施形態】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その他の態様で実施することもできる。例えば、横断リブR1,R2、内側リブR3、包囲リブR4、連結リブR5、区画リブR6の各リブは、これらを適宜組み合わせて基材2に設けても、基材2の剛性を高め、積層樹脂成形品1の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る積層樹脂成形品の概略構造を示す断面図である。
【図2】図1の積層樹脂成形品の部分拡大図である。
【図3】図2のIII部拡大図である。
【図4】図1の積層樹脂成形品の成形用金型を分離した状態で示す断面図である。
【図5】図1の積層樹脂成形品の成形用金型を閉じた状態で示す断面図である。
【図6】図5の部分拡大断面図である。
【図7】(a)は本発明の実施形態1に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体排出口の平面形状を示す図である。
【図8】図6の変形例を示す断面図である。
【図9】(a)は本発明の実施形態2に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口の平面形状を示す図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態3に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口の平面形状を示す図である。
【図11】(a)は本発明の実施形態4に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口と包囲リブ及び連結リブとを示す基材の部分平面図、(c)は基材の変形例を示す断面図である。
【図12】(a)は本発明の実施形態5に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口を示す基材の部分平面図である。
【図13】(a)は本発明の実施形態6に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口と区画リブとを示す基材の部分平面図である。
【符号の説明】
1 積層樹脂成形品
2 基材
2a 流体供給口(貫通穴)
2b 流体排出口
3 表皮材
4 発泡層
4a 発泡ビーズ
4b 凹陥部
R1 横断リブ
R2 横断リブ
R3 内側リブ
R4 包囲リブ
R5 連結リブ
R6 区画リブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と表皮材とが発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品に関し、特に、互いに溶着した多数の発泡ビーズで発泡層が成形された積層樹脂成形品に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、積層樹脂成形品は、一般に、基材と表皮材とを別々に成形した後、これらを発泡層などの接着層で一体に接合することにより製造されている。本願出願人は、この積層樹脂成形品において発泡層に発泡ビーズを用いることを提案し、これを既に出願している(特願平11−49584号参照)。発泡ビーズは、基材と表皮材との間に充填した状態で加熱することによって、発泡ビーズの粒子同士が溶着するとともに基材及び表皮材とも溶着して、基材と表皮材とを接合するものである。
【0003】
発泡ビーズを加熱するためには、例えば高温の水蒸気や熱風などの加熱流体が用いられる。そして、加熱流体を基材と表皮材の間に供給するために、基材に複数の貫通穴が形成され、この貫通穴から基材と表皮材との間に一斉に蒸気が吹き込まれる。基材に貫通穴が形成されるのは、表皮材が成形品の表面側の部材であり、該表皮材に貫通穴を形成すると成形品の外観上好ましくないためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように基材に貫通穴を設けると、基材の剛性が低下するため、発泡ビーズが溶着した後に固化する際の収縮によって成形品が変形するおそれがあった。
【0005】
また、上述の例では複数の貫通穴から基材と表皮材との間に一斉に蒸気を吹き込んで発泡ビーズを加熱するようにしているが、基材と発泡層とがそれぞれ同一の材質、例えばポリプロピレン(PP)であっても、加熱流体としての蒸気の温度では、発泡層を構成する発泡ビーズが基材に溶着することができず、基材と発泡層との接合が不十分になるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して基材と表皮材とを一体的に積層した積層樹脂成形品において、基材の剛性低下による変形を防止しつつ、基材と発泡層との分離を防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材の貫通穴を加熱流体供給口と加熱流体排出口とに区別し、加熱流体排出口に発泡ビーズが侵入した状態で発泡層を成形するようにしたものである。
【0008】
具体的に、本発明が講じた解決手段は、基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品を前提としている。そして、基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とを形成し、発泡層を、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形している。
【0009】
さらに、基材の流体供給口と流体排出口のうち、少なくとも流体排出口には、その開口部分を横断する横断リブを形成し、この横断リブを、その開口部分内で基材の内面寄りに形成している。
【0010】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口と流体排出口の少なくとも一方に、その開口部分を横断する内側リブを形成し、この内側リブを、上記発泡層の中に位置するように構成することもできる。
【0011】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部分を包囲する包囲リブを形成することが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部を包囲する包囲リブと、包囲リブ同士を連結する連結リブとを立設してもよい。
【0013】
また、上記構成においては、基材に貫通穴を形成し、発泡層には、該貫通穴と連通する凹陥部を形成するようにしてもよい。この場合、基材の貫通穴を流体供給口とし、発泡層の凹陥部を流体供給口と連通して形成することが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の各開口部間で延在する区画リブを突設することが好ましい。
【0015】
また、上記構成においては、流体排出口を、基材の内面側よりも外面側の開口面積が大きいものとして、テーパ状などに形成することが好ましい。
【0016】
−作用−
上記解決手段においては、基材に流体供給口と流体排出口とを別々に設けているので、加熱流体を流体供給口から供給し、流体排出口から排出する際に、加熱流体の排出流動に伴って発泡ビーズが流体供給口側から流体排出口側へ押し込まれた状態で発泡層が成形される。つまり、発泡ビーズが流体排出口に侵入した状態で発泡層が成形され、該流体排出口が発泡層で閉塞される。そして、流体供給口と流体排出口とを区別せずに全ての開口から一斉に加熱流体を供給する場合と比べて加熱流体が基材と表皮材との間を流動しやすくなるために発泡ビーズの溶着が安定して行われ、基材と発泡層との密着性が高められる。
【0017】
また、流体供給口や流体排出口の開口部分を横断する横断リブを、その開口部分の中で基材の内面寄り、つまり発泡層寄りに位置するように構成したり、基材の内側に、流体供給口や流体排出口の開口部分を横断する内側リブを形成すると、基材の開口の数が多くなった場合でも基材の剛性の低下を防止でき、さらに、これらのリブが発泡層の中に埋まった状態となるために、基材と発泡層との接合力を高められる。
【0018】
また、基材の内側に流体供給口や流体排出口を包囲する包囲リブを形成したり、さらに包囲リブを連結リブで連結するように構成しても、基材の剛性の低下を防止できる。
【0019】
また、基材に貫通穴を形成し、発泡層にこの貫通穴と対応する凹陥部を形成すると、基材と表皮材との間で発泡層を成形するのに用いる成形金型に凸部を設けることにより、該凹陥部を形成できる。このことにより、発泡層が固化する際に、成形金型の凸部の間ごとに部分的に収縮するようにできるため、各部分での変形量を小さくできる。また、凹陥部を基材の流体供給口と連通するように形成すれば、貫通穴を別途設けることが不要になり、基材の剛性の低下を防止できる。
【0020】
また、基材の内側に、流体供給口及び流体排出口の開口部間を区画する区画リブを形成すると、基材自体の剛性が上がるとともに、発泡層の収縮が部分的に行われて、その収縮量が小さくなる。
【0021】
また、流体排出口の断面形状を、基材の外面側よりも内面側の開口面積が小さい形状(例えばテーパ形状)に形成すると、発泡層がこの流体排出口の断面形状に合わせた形状になって固化することから、発泡層と基材とが流体排出口において強く係合し、接合力が高められる。
【0022】
【発明の効果】
上記解決手段によれば、発泡層が流体排出口に侵入した状態で成形され、しかも発泡ビーズの溶着が安定して行われて基材と発泡層との密着性が高められることから、基材と発泡層との接合力を高めて分離防止を図ることができる。また、発泡層が基材の流体排出口を閉塞し、基材と一体化することで、基材の剛性を高めることもできる。従って、積層樹脂成形品の変形も防止できる。
【0023】
また、横断リブが発泡層に埋まった状態となるように構成したり、流体排出口の断面形状をテーパ形状などに形成したりすると、発泡層と基材との接合力を高められるので、分離防止をより確実にできる。
【0024】
また、基材に、横断リブ、内側リブ、包囲リブ、連結リブ、区画リブ等を形成すると、基材の剛性を高めることができ、積層樹脂成形品の変形防止に優れた効果が得られる。
【0025】
特に、基材に区画リブを形成した場合には、発泡層の収縮が部分的に行われて収縮量が小さくなることからも、積層樹脂成形品の変形を防止できる。
【0026】
また、基材の貫通穴または流体供給口と対応する凹陥部を発泡層に形成しても、発泡層の収縮量を小さくすることができるので、積層樹脂成形品の変形防止が可能である。さらに、貫通穴を流体供給口にすると、貫通穴を別途設ける必要がなくなるので、基材の強度を高めることができる。
【0027】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態1の積層樹脂成形品の概略構造を示す断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。本実施形態の積層樹脂成形品1は、自動車のインストルメントパネルを構成する部材であり、基材2と表皮材3とが、発泡層4を介して一体的に積層されている。また、図1の仮想線は、上記積層樹脂成形品1の下方に取り付けられた部品(空調用ダクト5など)を示している。
【0029】
図2に示すように、表皮材3は、TPO(サーモプラスチックオレフィン)のパウダー原料によるスラッシュ成形で成形された外皮層6と、この外皮層の裏面に同じくTPOによるスラッシュ成形で成形されたフォーム層7とから二層構造に構成されている。そして、この表皮材3が、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂原料で成形された基材2に、発泡層4を介して接合されている。
【0030】
発泡層4は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂を原料とする多数の発泡ビーズ4aにより構成されている。発泡ビーズ4aは、粒子同士が互いに溶着しており、かつ、表皮材3に対しても溶着している。発泡ビーズ4aは、原料の段階で発泡したものであるが、さらに加熱することにより溶着する性質を有している。
【0031】
基材2には、基材2と表皮材3との間に充填された多数の発泡ビーズ4aに、高温蒸気や熱風など、発泡ビーズ4aの加熱用の流体を供給する流体供給口2aと、基材2と表皮材3との間から加熱流体を排出する流体排出口2bとが、それぞれ貫通して形成されている。本実施形態1において、流体供給口2a及び流体排出口2bは、流体排出口2bを拡大して図3に示すようにテーパ状に形成されていて、基材2の内面(図の上側の面)側よりも外面(図の下側の面)側の開口面積が大きくなっている。また、流体排出口2bの開口径は、発泡ビーズ4aより大きく設定されている。なお、流体供給口2aの開口径は、発泡ビーズ4aより大小任意に設定することができる。
【0032】
図2において、矢印A及びBは、積層樹脂成形品1の成形時に後述のキャビティ内に流入及びキャビティから流出する加熱流体の流動方向を示すもので、矢印Aは流入を、矢印Bは流出をそれぞれ示している。
【0033】
次に、この積層樹脂成形品1の製造装置10について、図4及び図5を参照して説明する。11は積層樹脂成形品1の成形用金型であり、固定側の第1金型12と可動側の第2金型13とから構成されている。また、14は表皮材3を第1金型12にセットするロボットであり、第1金型12と第2金型13とが分離した状態で表皮材3を第1金型12の成形面16aに第1金型12で真空吸着した後に両金型12,13の間から退避するように構成されている。
【0034】
第1金型12は、外枠15と第1金型面部材16とから構成されている。第1金型面部材16の成形面16aには、スラッシュ成形によって予め成形された表皮材3をセットするために多数の真空吸着用小孔(図示せず)が形成され、外枠16の上側面には吸引ポート17が設けられている。
【0035】
第2金型13は、外枠18と第2金型面部材19とから構成されている。この第2金型13は、第1金型12と第2金型13の間に形成されるキャビティ内に発泡ビーズ4aを供給するためのビーズ充填装置20(図5参照)と、積層樹脂成形品1を冷却するための冷却水噴霧装置21とを備えている。
【0036】
第2金型13には、キャビティ内の発泡ビーズ4aに加熱流体として蒸気を供給する蒸気供給管22が設けられ、外枠18の底面には、ドレン水排出用のドレンポート23が設けられている。蒸気供給管22は、ヘッダー22aと分岐管22bとから構成されている。また、第2金型面部材19には、基材2と表皮材3との間から蒸気を排出するための蒸気排出口19aが形成されている。そして、蒸気供給管22の分岐管22bは、基材2の流体供給口2aと一致する位置に配置され、第2金型面部材19の蒸気排出口19aは、基材2の流体排出口2bと一致する位置に配置されている。
【0037】
第2金型面部材19は、成形用金型11を閉じた状態での部分拡大断面図である図6に示すように、蒸気排出口19a内に、発泡ビーズ4aがキャビティ内から漏出するのを防止する漏出防止部材34を備えている。この漏出防止部材34には、発泡ビーズ4aよりも小径の複数の小孔34aが形成されている。そして、この小孔34aにより、蒸気排出口19aから発泡ビーズ4aが漏出せずに蒸気のみが通るように構成されている。
【0038】
ビーズ供給装置20は、粒状の発泡ビーズ4aが貯留された原料サイロ24と、発泡ビーズ4aを加圧して圧縮する加圧装置25と、発泡ビーズ4aをキャビティに供給する充填ガン26とから構成され、原料サイロ24と加圧装置25の間、及び加圧装置25と充填ガン26の間が、それぞれ供給管27a,27bで接続されている。
【0039】
充填ガン26は、所定量の発泡ビーズ4aをキャビティへの充填に先立って一旦貯留するように第2金型13内に固定された貯留筒28と、この貯留筒28の後端部に固定された充填用エアーシリンダ29とを備えている。貯留筒28の後端部側には、発泡ビーズ4aを加圧装置25から受け入れるための供給ポート30が設けられ、この供給ポート30に上述の供給管27bが接続されている。なお、供給ポート30には開閉弁(図示せず)が設けられており、この開閉弁により供給ポート30の開閉制御ができるようになっている。
【0040】
貯留筒28の先端側内面はテーパ状に形成されており、先端に向かって小径になっている。そして、充填用エアーシリンダ29のロッドの先端には、この小径部分と嵌合する押し出しブロック31が固定されている。充填用エアーシリンダは、この押し出しブロック31の先端面が第2金型面部材19のキャビティ側の面とほぼ一致する位置と、供給ポート30よりも後退した位置との間で可動に構成されている。
【0041】
冷却水噴霧装置21は、パイプ材により構成されたヘッダー32と、このヘッダー32の複数箇所に、第2金型面部材19側に向かって設けられたノズル33とから構成されている。そして、ヘッダー32に、冷却水供給チューブ(図示せず)が接続されて、冷却水を第2金型面部材19に噴霧できるようになっている。
【0042】
次に、この積層樹脂成形品1の製造方法について説明する。
【0043】
本実施形態1では、まず、基材2と表皮材3とが別々に成形される。基材2と表皮材3のそれぞれについての具体的な成形方法は図示していないが、基材2は、射出成形などの成形方法により、上述したようにポリプロピレン等のオレフィン系樹脂原料から成形され、表皮材3は、サーモプラスチックオレフィンのパウダー原料を用いたスラッシュ成形によって、外皮層6とフォーム層7の二層に予め成形される。
【0044】
なお、基材2には、第2金型13に設けられた充填ガン26のビーズ貯留筒28の内孔と実質同一の位置に、ビーズ供給孔2cが形成される。また、基材2の流体供給口2a及び流体排出口2bは、上述したように、蒸気供給管22の分岐管22b及び第2金型面部材19の蒸気排出口19aと同一の位置に形成されている。
【0045】
次に、図4に示すように第1金型12と第2金型13を開いた状態で、第1金型12に表皮材3(図4では、簡略化して1層のみの部材として示している)をセットし、さらに第2金型13に基材2をセットする。その際、第1金型12への表皮材3の位置決めには上記ロボット14が用いられ、第2金型13への基材2の位置決めにも同様のロボット(図示せず)が用いられる。そして、表皮材3は、ロボット14によって第1金型12上に配置した後、真空吸着によって第1金型12の第1金型面部材16に密着保持される。一方、基材2は、表皮材3よりも硬質であるため、基材2自体の剛性によって第2金型面部材1に密着した状態に保持することが可能であるが、必要に応じて第2金型面部材19に対して真空吸着するようにしてもよいし、他の固定手段を用いるようにしてもよい。なお、表皮材3についても、真空吸着でなく、他の固定手段を用いて固定してもよい。
【0046】
基材2と表皮材3のセットが完了すると、次に、可動型である第2金型13を固定型である第1金型12の方向へ移動させ、図5に示すように型締めを行う。このことにより、基材2と表皮材3の間に、キャビティが区画形成される。このとき、ビーズ供給装置20の充填用エアーシリンダ29のロッドは後退しており、供給ポート30の開閉弁は開かれている。
【0047】
そして、加圧装置25によって加圧された所定量の発泡ビーズ4aを、供給管27bから供給ポート30を通じて貯留筒28内に供給した後、供給ポート30の開閉弁を閉じ、充填用エアーシリンダ29のロッドを前進させて、キャビティ内に押し込む。発泡ビーズ4aは、加圧装置25によって加圧された状態では各粒子が圧縮されて小さくなっているが、キャビティ内では大気圧に戻るため、加圧状態よりも幾分膨張し、表皮材3と基材2とを、第1金型面部材16と第2金型面部材19とに押圧する。
【0048】
次に、蒸気供給管22からキャビティ内へ、加熱流体である蒸気を連続的または間欠的に供給する。そうすると、蒸気はキャビティ内で拡散して発泡ビーズ4aを加熱した後、蒸気排出口19aから第2金型13の内部に排出され、さらにドレンポート23を通って第2金型13から外へ排出される。発泡ビーズ4aは、各粒子が予め発泡したものであるが、各粒子が加熱の際に熱膨張し、互いに密着しながら熱溶着すると共に、表皮材3に対しても熱溶着する。この溶着作用が行われる際には、蒸気の流れに従って発泡ビーズ4aが流動するため、発泡ビーズ4aが基材2の流体排出口2bの中に押し出された状態となる(図2,図3,図6参照)。従って、積層樹脂成形品1は、発泡層4が流体排出口2bに侵入し、該流体排出口2bを閉塞した状態で成形されることになる。
【0049】
一方、流体供給口2a近傍の発泡ビーズ4aは、該流体供給口2aから蒸気が流入するため、蒸気の流れによりキャビティ内方に移動し、その結果図2に示すように流体供給口2aには発泡層4がほとんど成形されない。
【0050】
その後、冷却水噴霧装置21のノズル33から第2金型面部材19に冷却水を吹き付けて、発泡ビーズ4aによる発泡層4を冷却させた後、第1金型12と第2金型13を開いて積層樹脂成形品1を取り出し、1個の成形品の製造が完了する。
【0051】
一方、この実施形態1では、図7(a)及び図7(b)に示すように、横断リブR2を基材2に設けている。横断リブR2は、基材2の流体排出口2bに、その開口部分を横断するように「十」字形状に形成されている。図では、便宜上、流体排出口2bは、基材の厚さ方向に断面形状が一定の貫通孔としている。この横断リブR2は、流体排出口2bの開口部分内で基材2の内面寄り(キャビティ側)に形成されている。このため、基材2と表皮材3との間で発泡層4を成形すると、横断リブR2は、流体排出口2b内に侵入して該流体排出口2bを閉塞している発泡層4の中に埋まった状態となる。
【0052】
なお、横断リブR2によって4分割された流体排出口2bの各開口の大きさが、発泡ビーズ4aの大きさより大きく設定されていることは勿論である。
【0053】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、発泡ビーズ4aが基材2の流体排出口2bの中に侵入した状態で溶着して発泡層4が形成され、しかも流体排出口2bをテーパ形状に形成して基材2と発泡層4とを係合させているので、基材2と発泡層4とが強固に接合される。
【0054】
また、基材2の流体排出口2bを閉塞するように発泡層4を基材2と一体的に成形しているので、基材2の剛性を高められる。このため、製品の変形を抑えることができる。
【0055】
さらに、流体供給口2aと流体排出口2bとを区別したことによってキャビティ内での蒸気の流れがスムーズになることから、発泡ビーズ4aの溶着をより安定させることができる。なお、キャビティ内での蒸気の流れをよりスムーズにするためには、流体排出口2bの開口総面積を流体供給口2aの開口総面積よりも大きくするとよい。
【0056】
また、本実施形態1では、基材2と表皮材3との間に蒸気を供給するために従来より用いている貫通穴の一部を流体排出口2bとし、この流体排出口2bを利用して基材2と発泡層4の分離を防止している。このため、分離防止専用の穴は不要で、分離防止専用の穴を設ける場合に生じる基材の剛性低下を防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態1によれば、横断リブR2を設けたことによって基材2の強度低下を防止できるうえに、発泡層4の中に横断リブR2が埋まった状態で位置するので、基材2と発泡層4との分離をより確実に防止できる。
【0058】
なお、本実施形態1では、積層樹脂成形品1の構成部分すべて(基材2、表皮材3及び発泡層4)をオレフィン系樹脂にしているため、他の原料を用いる場合と比較して、成形品のリサイクルが容易になる利点がある。
【0059】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1において、基材2の流体排出口2bは、テーパ形状でなく、図8に示すように基材2の厚さ方向に断面形状が一定の貫通穴にしてもよい。この場合、第2金型面部材19の蒸気排出口19a内の漏出防止部材34を基材2との間に僅かに隙間が生じるようにセットしておくと、蒸気の流れによってその隙間に発泡ビーズ4aが侵入し、基材2の流体排出口2bの外周面に発泡層4を形成した状態で溶融し、固化するので、図6の例と同様に基材2と発泡層4とを強固に接合することができる。
【0060】
なお、基材2の流体排出口2bを図8の形状にした場合に、漏出防止部材34を図6のように基材2に密着するようにセットしても、発泡層4は流体排出口2bの中に侵入した状態で成形され、基材2と発泡層4との接触面積が大きくなるため、分離防止を図ることができる。つまり、発泡ビーズ4aが流体排出口2bに侵入した状態で発泡層4を成形することによって、流体排出口2bの形状に関係なく、基材2と発泡層4との分離を防止することが可能となる。
【0061】
また、流体排出口2bは、図6や図8に示した形状以外に、例えば基材2の内面側から外面側に向かって段階的に開口が大きくなる形状にしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態1では、流体排出口2bにのみ横断リブR2を形成しているが、横断リブR2は流体供給口2aにも形成してよい。その場合、流体供給口2aでは発泡ビーズ4aがキャビティ内に押し込まれて成形されるので、流体排出口2bとは違って横断リブR2が発泡層4の中に埋まることによる分離防止効果は殆ど期待できないものの、基材2の強度低下を防止して、積層樹脂成形品1の変形防止を図ることは可能である。
【0063】
さらに、図示の例では横断リブR2を「十」字状に形成しているが、「一」字状や、その他の形状に形成してもよい。
【0064】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2を図9(a)及び図9(b)に示している。この実施形態2では、実施形態1の横断リブR2に代えて、基材2の内側(キャビティ側)の面に、流体供給口2aと流体排出口2bの開口部分を横断する内側リブR3を形成している。
【0065】
図では流体供給口2aのみを示しているが、内側リブR3は流体供給口2aと流体排出口2bのそれぞれについて形成してもよいし、流体供給口2aと流体排出口2bの少なくとも一方に形成してもよいし、あるいは流体供給口2aと流体排出口2bとを区別せず、全ての開口部の内から無作為に選択した任意の開口部に形成してもよい。
【0066】
なお、基材2と表皮材3との間で発泡層4を形成する際の具体的な方法や装置については実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0067】
−実施形態2の効果−
この内側リブR3は、基材2の内側の面に立設され、その開口部分よりも内側に位置しているので、流体供給口2aであっても発泡ビーズ4が図示するように開口部の中に少しでも入った状態で溶着すれば、発泡層4の中に内側リブR3が埋まることによる分離防止効果を期待できる。また、基材2の強度低下を防止できる点は実施形態1と同様である。従って、実施形態1の横断リブR2を設けた場合と比較しても、基材2と発泡層4との分離防止に関して高い効果を奏することができる。
【0068】
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2では、内側リブR3を個々の開口部に別々に形成するものとしているが、隣り合った開口部の内側リブR3同士をつなぎ、連続した長いリブとして形成してもよい。そうすれば、基材2の強度をより高めることができるので、積層樹脂成形品1の変形をより確実に防止することが可能になる。
【0069】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3を図10(a)及び図10(b)に示している。本実施形態3では、基材2の流体供給口2aと流体排出口2bに、その開口部分を横断する横断リブR1が形成されている。また、本実施形態3においても、発泡ビーズ4aが流体排出口2bの中に侵入し、該流体排出口2bを閉塞した状態で発泡層4が成形されている。
【0070】
さらに、この実施形態3では、基材2の内面に、流体供給口2a及び流体排出口2bの周囲でその開口部を包囲する包囲リブR4が形成されている。つまり、流体供給口2a及び流体排出口2bの内部に「十」字状の横断リブR1を形成するとともに、その周囲には包囲リブR4を形成している。なお、図10(a)は流体供給口2aのみを示しているが、本実施形態3では流体排出口2にも横断リブR1と包囲リブR4とが形成されている。
【0071】
−実施形態3の効果−
本実施形態3においても、発泡層4が流体排出口2bに侵入して該流体排出口2bを閉塞しているので、基材2と発泡層4との接触面積を従来よりも大きくして分離防止を図ることができる。また、基材2の強度は、流体供給口2aと流体排出口2bに横断リブR1を設けることによって高めることが可能となる。
【0072】
また、このように包囲リブR4を基材2の内面に形成すると、実施形態1,2の効果に加えて基材の強度低下をより確実に防止できる。したがって、積層樹脂成形品1の変形防止効果を高めることができる。基材2と発泡層4との分離防止に関しては、上記実施形態1,2と同様の効果が得られる。
【0073】
【発明の実施の形態4】
本発明の実施形態4を図11(a)及び図11(b)に示している。図11(a)は積層樹脂成形品1の部分拡大断面図であり、図11(b)は基材2の平面図である。本実施形態4においては、基材2の内面に、流体供給口2a及び流体排出口2bの周囲でその開口部を包囲する包囲リブR4と、包囲リブR4同士を連結する連結リブR5とを立設している。この実施形態4において、流体供給口2aは、基材2の厚さ方向に開口形状が一定の貫通穴としており、流体排出口2bには、基材2の外面側から内面側に向かって開口面積が徐々に小さくなるテーパ部分を設けている。また、包囲リブR4は、真っ直ぐな短い円筒形状に形成されている。
【0074】
−実施形態4の効果−
本実施形態4においても、流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で溶着して発泡層4が形成されているので、基材2と発泡層4との分離を防止できる。また、流体排出口2bにテーパ部分が設けられているので、その分離を確実に防止できる。
【0075】
さらに、基材2の内面に包囲リブR4と連結リブR5とを設けているので、基材2の剛性を高めて積層樹脂成形品1の変形を防止できる。なお、各包囲リブR4同士を連結する連結リブR5を設けたことによって、発泡層4は各連結リブR4で囲まれた部分毎に収縮する。このため、基材2に対する発泡層4の収縮変形の影響が少なくなり、このことからも積層樹脂成形品1の変形防止を図ることができる。
【0076】
−実施形態4の変形例−
上記実施形態4において、包囲リブR4は真っ直ぐな短い円筒状としたが、図11(c)に示すように基材2の流体排出口2bのテーパ形状に沿ってテーパ筒状に形成してもよい。このように形成しても上記実施形態4と同様の効果が得られる。
【0077】
また、上記実施形態4において、流体供給口2aや流体排出口2bの開口部に、実施形態1〜3で説明したように横断リブR1,R2や内側リブR3を設ける構成としてもよい。このようにすると、基材2の強度をさらに高めることができるので、積層樹脂成形品1の変形をより確実に防止できる。
【0078】
【発明の実施の形態5】
本発明の実施形態5を図12に示している。この実施形態5では、基材2に流体供給口2a及び流体排出口2bが形成されるとともに、発泡層4には、基材2の流体供給口2aと連通する凹陥部4bが形成されている。
【0079】
この凹陥部4bは、第2金型面部材19に凸部19bを設け、この凸部19bが基材2の流体供給口2aを貫通して発泡層4の中に突出した状態で発泡ビーズ4aを溶着して固化させることにより形成される。本実施形態5において、蒸気は、この凸部19bを通ってキャビティ内の発泡ビーズ4aに供給される。このため、凸部19bの先端には、蒸気が挿通可能な複数の小孔19cが設けられている。
【0080】
各凸部19bは、例えば図12(b)に示すように平面視長円形状として複数列に配置し、各列において互い違いに位置するように設けることができる。そして、基材の流体供給孔2aは、この凸部19bと嵌合するように、各凸部19bと同一の長円形状で同一の位置に形成される。
【0081】
一方、キャビティ内から蒸気を排出するために、第2金型面部材19には基材2の流体排出口2bと連通する蒸気排出管19dが固定されている。蒸気排出管19dは、各凸部19bの間に配置されている。また、図12には示していないが、蒸気排出管19dの先端部には、図6及び図8に示した漏出防止部材34が組み込まれている。
【0082】
−実施形態5の効果−
本実施形態5では、蒸気は第2金型面部材19の凸部19bの先端部の小孔19cを通って基材2と表皮材3の間の多数の発泡ビーズ4aの中に噴射される。そして、発泡ビーズ4aが溶着して発泡層4が成形され、基材2と表皮材3とが接合される。発泡層4が冷却される際、発泡ビーズ4aは、各凸部19bの間で部分的に収縮するため、各部での収縮量は僅かである。したがって、基材2が発泡層4の収縮の影響を受けて変形するのを防止できる。
【0083】
また、発泡層4は、上記各実施形態と同様に流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で成形される。したがって、基材2と発泡層4との分離を防止できる点については上記各実施形態と同様である。
【0084】
−実施形態5の変形例−
上記実施形態5において、第2金型面部材19の凸部19bの形状は、適宜定めることができる。例えば、円柱状の凸部19bを多数配置して、該凸部19bにより発泡層4の凹陥部4bを形成するようにしてもよい。その場合、例えば実施形態1において図4及び図5を用いて説明した蒸気供給管22の分岐管22bの先端部を基材2から発泡層4の中に突出するように延長して凸部19bとすることも可能である。
【0085】
また、上記実施形態5では、基材2の流体供給口2aに発泡層4の凹陥部4bが連通するように形成したが、基材2に流体供給口2aとは別に貫通穴を設け、凹陥部4bをこの貫通穴と連通するように形成してもよい。その場合でも、発泡層4が部分的に僅かに収縮するだけであるため、積層樹脂成形品1の変形を防止することが可能である。
【0086】
【発明の実施の形態6】
本発明の実施形態6を図13(a)及び図13(b)に示している。この実施形態6では、実施形態5の構成において、流体供給口2aを円形にしており、基材2の内面に、流体供給口2aの周囲に位置する包囲リブR4を形成するとともに、流体供給口2a及び流体排出口2bの各開口部間を区画する区画リブR6を突設している。区画リブR6は、図12(b)に示すように基材2の内面に格子状に配置されている。
【0087】
また、発泡層4には、基材2の流体供給口2aと連通する凹陥部4bが形成されている。この凹陥部4bは流体供給口2aと同一直径の円形であり、第2金型面部材19の凸部19bは、流体供給口2aと嵌合する円柱状に形成されている。なお、その他の構成については実施形態5と同様である。
【0088】
−実施形態6の効果−
本実施形態6では、実施形態5と同様に、蒸気が第2金型面部材19の凸部19bの先端部の小孔19cを通って基材2と表皮材3の間の多数の発泡ビーズ4aの中に噴射されて発泡層4が成形され、基材2と表皮材3とが接合される。本実施形態6において、発泡ビーズ4aは、区画リブR6で囲まれた小さな領域毎に収縮する。したがって、各部での収縮量が僅かであり、基材2が発泡層4の収縮の影響で変形することを防止できる。
【0089】
また、流体排出口2bに発泡ビーズ4aが侵入した状態で発泡層4を成形しているので、基材2と発泡層4との分離を防止できる点については上記各実施形態と同様である。
【0090】
−実施形態6の変形例−
上記実施形態6は、実施形態5の構成を若干変更して区画リブR6を設けたものであるが、区画リブR6は、上述したいずれの実施形態であっても設けることができる。この区画リブR6を設ければ、各実施形態での発泡層4の収縮が部分的に行われるようになるので、積層樹脂成形品1の変形防止に効果的である。
【0091】
【発明のその他の実施形態】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その他の態様で実施することもできる。例えば、横断リブR1,R2、内側リブR3、包囲リブR4、連結リブR5、区画リブR6の各リブは、これらを適宜組み合わせて基材2に設けても、基材2の剛性を高め、積層樹脂成形品1の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る積層樹脂成形品の概略構造を示す断面図である。
【図2】図1の積層樹脂成形品の部分拡大図である。
【図3】図2のIII部拡大図である。
【図4】図1の積層樹脂成形品の成形用金型を分離した状態で示す断面図である。
【図5】図1の積層樹脂成形品の成形用金型を閉じた状態で示す断面図である。
【図6】図5の部分拡大断面図である。
【図7】(a)は本発明の実施形態1に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体排出口の平面形状を示す図である。
【図8】図6の変形例を示す断面図である。
【図9】(a)は本発明の実施形態2に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口の平面形状を示す図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態3に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口の平面形状を示す図である。
【図11】(a)は本発明の実施形態4に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口と包囲リブ及び連結リブとを示す基材の部分平面図、(c)は基材の変形例を示す断面図である。
【図12】(a)は本発明の実施形態5に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口を示す基材の部分平面図である。
【図13】(a)は本発明の実施形態6に係る積層樹脂成形品の部分拡大断面図、(b)は流体供給口及び流体排出口と区画リブとを示す基材の部分平面図である。
【符号の説明】
1 積層樹脂成形品
2 基材
2a 流体供給口(貫通穴)
2b 流体排出口
3 表皮材
4 発泡層
4a 発泡ビーズ
4b 凹陥部
R1 横断リブ
R2 横断リブ
R3 内側リブ
R4 包囲リブ
R5 連結リブ
R6 区画リブ
Claims (8)
- 基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品であって、
上記基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とが形成され、
上記発泡層は、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形され、
基材の流体供給口と流体排出口のうち、少なくとも流体排出口に、その開口部分を横断する横断リブが形成され、
該横断リブは、その開口部分内で基材の内面寄りに形成されている積層樹脂成形品。 - 基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品であって、
上記基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とが形成され、
上記発泡層は、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形され、
基材の内面には、流体供給口と流体排出口の少なくとも一方に、その開口部分を横断する内側リブが形成され、該内側リブは、上記発泡層の中に位置するように構成されている積層樹脂成形品。 - 基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部分を包囲する包囲リブが形成されている請求項1または2記載の積層樹脂成形品。
- 基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品であって、
上記基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とが形成され、
上記発泡層は、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形され、
基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の周囲でその開口部を包囲する包囲リブと、包囲リブ同士を連結する連結リブとが立設されている積層樹脂成形品。 - 基材と表皮材とが、互いに溶着した多数の発泡ビーズからなる発泡層を介して一体的に積層された積層樹脂成形品であって、
上記基材には、発泡層の成形時に基材と表皮材との間に充填された発泡ビーズに加熱流体を供給する流体供給口と、基材と表皮材との間から加熱流体を排出する流体排出口とが形成され、
上記発泡層は、流体排出口に侵入して該流体排出口を閉塞した状態で成形され、
基材に貫通穴が形成され、発泡層には、該貫通穴と連通する凹陥部が形成されている積層樹脂成形品。 - 基材の貫通穴が流体供給口であり、発泡層の凹陥部が該流体供給口と連通して形成されている請求項5記載の積層樹脂成形品。
- 基材の内面には、流体供給口及び流体排出口の各開口部間で延在する区画リブが突設されている請求項1乃至6の何れか1記載の積層樹脂成形品。
- 流体排出口は、基材の内面側よりも外面側の開口面積が大きく形成されている請求項1乃至7の何れか1記載の積層樹脂成形品。
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