JP3597596B2 - 燃料集合体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、原子力発電プラントで沸騰水型原子炉における燃料集合体に係り、特に高燃焼度化に適した燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、原子力発電プラントにおいては、核燃料経済性の向上と使用済み燃料体数の削減を目的として、燃料集合体の1体から取り出せるエネルギーを増大させる高燃焼度化が進められている。
【0003】
沸騰水型原子炉に使用される従来の高燃焼度用の燃料集合体の一例を図13の断面図に示す。図13(a)は縦断面図で燃料集合体1は、濃縮ウランの酸化物を焼結した燃料ペレットを充填した合計74本の長尺燃料棒2及び短尺燃料棒3と、中央部に配設した2本の太径ウォータロッド4とを、燃料スペーサ5,6で9行9列の格子状に配列して保持する。
【0004】
さらに、上記各要素は、上部タイプレート7及び下部タイプレート8で結束して燃料棒束とし、これをチャンネルボックス9で包囲して構成されている。
なお、図13(b)は(a)のB−B矢視断面図で、図13(c)は(a)のC−C矢視断面図である。
【0005】
全74本の燃料棒2,3は、燃料ペレットが充填されている燃料有効長が通常の長さである66本の長尺燃料棒2と、燃料有効長が長尺燃料棒約 2/3 である8本の短尺燃料棒3とからなっている。
また一部の燃料棒2,3には、余剰反応度を適切な範囲に制御するために、濃縮ウランの酸化物と可燃性毒物であるガドリニウム(以下Gdと略称する)の酸化物(ガドリニア)を混合焼結した燃料ペレットを充填している。
【0006】
前記短尺燃料棒3は、燃料集合体1の上部の冷却材流路を拡大し、圧力損失を低減して炉心の安定性を向上させている。同時に、除熱能力的に劣る位置に配置された燃料棒(9行9列の格子形状では、周囲を全て燃料棒に囲まれた最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部)を短尺燃料棒3にすることにより限界出力を向上させている。
【0007】
一方、燃焼の進行した炉心で、原子炉停止時に軸方向中性子束分布のピークを生じる炉心上部においては、冷却材量が増大したことによって中性子の減速過剰状態を生じることから、炉停止余裕を増大させている。
ここで、原子炉停止時には全ての制御棒が炉心に挿入されていて未臨界状態になっているが、仮に1本の制御棒が挿入されなくても未臨界であることが安全設計上要求されており、したがって、最も反応度価値の高い制御棒が挿入されなかった場合の未臨界度を炉停止余裕と呼んでいる。
【0008】
ところで、沸騰水型原子炉用の燃料集合体1における燃料棒2,3などの配列を示す格子形状については、プラントの発電量規模及び開発の経緯によって各種の形状があり、これらは次のように大別されている。
【0009】
図14乃至図17に、従来の9行9列で4種類の燃料集合体の横断面図を示す。なお、図中でWはウォータロッド4で黒塗りは短尺燃料棒3を示す。また、各図にはチャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、燃料集合体間ピッチb、燃料棒間ピッチh、制御棒挿入側の非沸騰水領域の幅GW、制御棒非挿入側の非沸騰水領域の幅GNを記入している。
【0010】
なお、これらの燃料集合体における4種の格子形状は、通常それぞれC格子、S格子、N格子及びD格子と呼び、詳細は公開文献である(株)東芝トピカルライセンシングレポート、(TLR−056 )「沸騰水型原子力発電所炉心燃料格子形状」(H6年4月発行)にて開示されている。
【0011】
先ず、図14の横断面図はC格子の燃料集合体10を示し、隣り合う燃料集合体15のそれぞれのチャンネルボックス9の外壁の間の非沸騰水領域の幅が、制御棒挿入側GWと非挿入側GNが等しい場合で、通常サイズのチャンネルボックス9と、薄型制御棒11を使用したプラント用の格子形状の例である。
なお、ここで、a= 3.9mm,b= 151mm,h=14.4mm,GW=GNで、(a/b)=2.58%に構成されている。
【0012】
次に図15の横断面図はS格子の燃料集合体12を示していて、前記C格子と同様の燃料棒の配列で、コンパクトチャンネルボックス13(サイズが小さい)と、厚型制御棒14を使用したプラント用の格子形状の例で、a= 3.5mm,b= 151mm,h=14.3mm,GW=GNで、(a/b)=2.33%に構成されている。
【0013】
図16の横断面図はN格子の燃料集合体15を示し、前記C格子と同様の燃料棒の配列で、隣り合う燃料集合体15のそれぞれのチャンネルボックス9の外壁間の幅bを拡大した非沸騰水領域と、厚型制御棒14を使用したプラント用の格子形状の例で、a= 3.9mm,b= 154mm,h=14.4mm,GW=GNで、(a/b)=2.54%に構成されている。
【0014】
図17の断面図はD格子の燃料集合体16を示し、前記C格子と同様の燃料棒の配列で、隣り合う燃料集合体16のそれぞれのチャンネルボックス9の外壁間の非沸騰水領域の幅で、制御棒挿入側GWの方が非挿入側GNより大きくしたもので、中程度の厚さの制御棒17を使用したプラント用の格子形状の例である。
なお、a= 3.9mm,b= 151mm,h=14.4mm、さらにGW>GNで、(a/b)=2.58%に構成されている。
【0015】
ここで、D格子の燃料集合体16は、上記C格子の燃料集合体10と非沸騰水領域を含めた燃料集合体間ピッチbは等しくなっており、また、チャンネルボックス内壁と最外周燃料棒との間隙a(以下ch−rod間隔aと略称する)、及び燃料棒間ピッチhも同じである。なお、N格子の燃料集合体15の場合はC格子、S格子より燃料集合体間ピッチbが大きくなっている。
【0016】
これら4種類の格子形状は、制御棒厚さや、隣り合う燃料集合体のチャンネルボックス外壁間の非沸騰水領域の幅GW,GN、ch−rod間隔a、さらに燃料棒間ピッチhなどの各サイズが異なっているために、燃料集合体の核特性に大きな差が生じる。
【0017】
さらに、原子力発電プラントによって炉心のサイズが異なっている。したがって、現在運転されている各原子力発電プラントに装荷されている8行8列の燃料集合体においては、ほぼ前記分類のC格子、S格子、F格子及びD格子ごとに、燃料集合体の濃縮度分布やGd分布(Gdの濃度、燃料棒本数、位置など)の設計を変えており、これにより良好な炉心特性を得ている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記各C格子乃至D格子による高燃焼度用の燃料集合体は、一般に40〜50GWd/tの取出燃焼度に適するように設計されたものであるが、さらに、取出燃焼度を増大させようとすると、炉停止余裕が低下するという支障が生じる。
これは、取出燃焼度を増大するために燃料集合体の平均濃縮度を高めると、原子炉運転時と停止時との反応度差が拡大して、原子炉停止時の実効増倍率が増大するからである。
【0019】
一方、上記したように、燃料集合体の格子形状及び炉心サイズが異なる原子力発電プラントでは、そのプラントに応じて濃縮度分布及びGd分布を調整して、局所出力ピーキング係数などを適切な値に設計して、最大線出力密度や最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio MCPR)などの熱的特性が運転制限値を満足するようにしている。
【0020】
しかしながら、Gd(特にGd−155 とGd−157 )が燃焼した後の燃料集合体の反応度特性は、ウラン濃縮度が同じである場合は調整できないので、各プラントが有する炉停止余裕は異なった値となる。一般に、上記分類のC格子の燃料集合体10を使用した場合は、S格子の燃料集合体12、N格子の燃料集合体15の場合と比較すると最も炉停止余裕が小さくなる。
【0021】
その主要原因は、薄型制御棒11を用いているために、厚型制御棒14を用いている前記S格子の燃料集合体12、またはN格子の燃料集合体15に比べて、原子炉停止時の制御棒価値が小さくなることによる。
【0022】
一方、D格子の燃料集合体16の場合は、初期に建設された原子力発電プラントが多いので、他のC格子、S格子、N格子燃料集合体を装荷した原子力発電プラントよりも炉心サイズが小さく、原子炉運転時の中性子漏洩量が増加するので、同じ取出燃焼度を実現するためには、C格子、S格子及びN格子の燃料よりもウラン濃縮度を高める必要がある。
【0023】
また、非沸騰水領域の幅で制御棒挿入側GWが、非制御棒挿入側GNより大きいことにより、燃料束横断面の濃縮度分布も対称ではなく、その結果、燃料集合体の平均濃縮度がC格子よりも高くなっている。
しかし、原子炉停止時においては、炉心全体が低温の冷却材に漬かっており、中性子の到達距離が短くなるので、中性子漏洩量は原子炉運転時ほど増加せず、実効増倍率も減少しない。したがって、C格子、S格子及びN格子の燃料集合体よりも集合体平均濃縮度を高めた分だけ炉停止余裕が低下する問題がある。
【0024】
このように炉停止余裕は、原子力発電プラントごとに異なるが、通常はD格子の燃料集合体16で最も炉停止余裕が小さく、次に、C格子燃料10で小さくなる傾向がある。したがって、特にこのC格子及びD格子の2種類の燃料集合体に共通した炉停止余裕の向上が要望されていた。
【0025】
この炉停止余裕を改善する対策としては、(1) 炉心における水素対ウランの原子数比(H/U比)を高める、(2) チャンネルボックス間の非沸騰水領域の幅(GW/GN)を拡張する、(3) 短尺燃料棒3を燃料束最外周位置またはウォータロッド4に隣接して配置する、(4) 短尺燃料棒3の本数を増す、などがある。
【0026】
(1) の方法には、例えば燃料棒径を小さくする、あるいは、燃料棒本数を減らしてウォータロッド4の断面積を増加させて、原子炉運転時と停止時との反応度の差を小さくする方法がある。しかし、これらの場合は、燃料集合体当りの燃料重量を減らすことになり、燃料経済性が低下する。
【0027】
(2) の方法は、チャンネルボックスのサイズを小さくして、原子炉停止時において中性子減速過剰領域として働くチャンネルボックス間の非沸騰水領域の幅GW,GNを拡げることにより、原子炉停止時の無限増倍率を下げる方法で、燃料集合体当りの燃料重量を減らさずに炉停止余裕を改善できる。
この場合には、非沸騰水領域の幅GW,GNを拡げた分だけ、制御棒を厚くすれば、さらに炉停止余裕を改善できる。これは、先のC格子からS格子への変更に相当する。
【0028】
しかしながら、C格子においてチャンネルボックスのサイズを小さくすると、チャンネルボックス内の冷却材流路が減少するので、炉心における圧力損失が増加して、安定性(炉心安定性及びチャンネル安定性)が低下する。このためC格子においては、チャンネルボックス9のサイズを変える方法は望ましくない。
【0029】
(3) の方法は、短尺燃料棒3をウォータロッド4の周囲、またはチャンネルボックス9間の非沸騰水領域に隣接する燃料集合体の最外周位置に配置することにより、原子炉停止時における中性子減速過剰領域を形成するもので、原子炉停止時の無限増倍率を下げる効果は大きい。
しかし、短尺燃料棒3の位置を変更して熱除去の条件が厳しい最外周燃料棒から2層目の短尺燃料棒3を減らすと、限界出力が低減する場合がある。
【0030】
(4) の方法は、短尺燃料棒3の本数を増すことで、原子炉停止時の無限増倍率を下げる効果がある。しかしながら、短尺燃料棒の本数を増すと、燃料集合体当りの燃料重量が減ずることになり、燃料経済性を悪化させることになる。
したがって炉停止余裕を改善するために、短尺燃料棒3の配置変更、または短尺燃料棒3の本数増加の方法のみに頼ることはできない。
【0031】
本発明の目的とするところは、燃料集合体の高燃焼度化を目指した場合に、特に炉停止余裕が低下し易いC格子及びD格子の燃料集合体について、燃料集合体当りの燃料重量を減らさず、かつ、限界出力を悪化させずに、炉停止余裕を改善できる燃料集合体を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明に係る燃料集合体は、長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、前記短尺燃料棒8本が最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、前記チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−0.65(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成することを特徴とする。
【0033】
請求項2記載の発明に係る燃料集合体は、長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、前記10本の短尺燃料棒のうち8本を最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置し、残りの2本を中央部に配設したウォータロッドに最も隣接して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、前記チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−1.00(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成することを特徴とする。
【0037】
【作用】
請求項1記載の発明は、長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、短尺燃料棒8本が最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−0.65(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成しているので、従来の燃料集合体に比べてch−rod間隔aを拡大することができる。
【0038】
これにより、原子炉運転時−低温時反応度差が改善されることから、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、限界出力を悪化させずに、炉停止余裕が改善される。
また、S格子、N格子及びD格子の燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチを採用することができるので、燃料集合体における各要素を共通化することができる。
【0039】
請求項2記載の発明は、長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、10本の短尺燃料棒のうち8本を最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置し、残りの2本を中央部に配設したウォータロッドに最も隣接して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−1.00(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成しているので、従来の燃料集合体に比べてch−rod間隔aが拡大される。
【0040】
これにより、原子炉運転時−低温時反応度差が改善されることから、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、限界出力を悪化させずに、炉停止余裕が改善できる。
また、S格子、N格子及びD格子の燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチを採用することができるので、燃料集合体における各要素を共通化することができる。
【0046】
【実施例】
本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施例は、図1の横断面図に示すように高燃焼度用の燃料集合体18が、通常サイズのチャンネルボックス9と薄型制御棒11を使用した9行9列のC格子形状で、8本の短尺燃料棒3を最外周燃料棒2から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置した構成とする。なお、平均取出燃焼度は50GWd/tを目指した場合のものである。
【0047】
ここで、チャンネルボックス内壁と最外周燃料棒の間隙であるch−rod間隔aを燃料集合体間ピッチbで割った比率(a/b)を次の式(1) の関係とする。
(a/b)≧0.07×E(GWd/t)−0.65(%)…(1)
【0048】
したがって、上記式(1) において、平均取出燃焼度E(GWd/t)を目標の50GWd/tとすると、比率(a/b)は0.07×50−0.65=2.85%となることから、このC格子の燃料集合体18は、図示しない制御棒挿入側の非沸騰水領域の幅GWと制御棒非挿入側の非沸騰水領域の幅GNが等しい(GW=GN)。
【0049】
さらに、ch−rod間隔a= 4.3mm、燃料集合体間ピッチb= 151mm、燃料棒間ピッチh=14.3mmに構成されている。
これにより、この2.85%を下限値とした比率(a/b)は、前記図14に示した従来のC格子の燃料集合体10から、ch−rod間隔aを 0.4mm程度拡大したことに相当する。
【0050】
次に上記構成による作用について説明する。このC格子の燃料集合体18において、前記比率(a/b)を、0.07×E(GWd/t)−0.65(%)以上に設定すれば、平均取出燃焼度Eが50GWd/t以上では比率が2.85%となり、従来のC格子の集合体燃料10(比率2.58%)に比べて、ch−rod間隔aを拡大することができる。
ただしこの場合に、ch−rod間隔aを拡大したことに伴い、燃料集合体18の外形寸法との関係から、僅かに燃料棒間ピッチhを小さくする必要が生じる。
【0051】
図2の特性図は、平均取出燃焼度50GWd/tにおけるC格子の燃料集合体で、ch−rod間隔aを拡大して比率(a/b)を変えた場合の、従来のC格子の燃料集合体10(比率2.58%)を基準とした、原子炉運転時−低温時反応度差の改善量(低温時の無限増倍率が最大となる燃焼度における値)を直線で、また、式(1) で得られる比率(a/b)の範囲を矢線19で示したものである。
【0052】
これによれば、図1に示すC格子の燃料集合体18で、比率(a/b)を2.85%とすることにより、原子炉運転時−低温時反応度差を従来より 0.4%Δk改善することができる。さらに、この図2に示すように、比率(a/b)を2.85%以上とすることで、改善量を従来より大幅に増すことができる。
なお、D格子の燃料集合体の場合も、前記図17に示した従来のD格子の燃料集合体16を基準(比率2.58%)とすれば、このC格子の直線にほぼ重なることから、上記式(1) を適用することができる。
【0053】
これは、原子炉停止時において、中性子減速過剰領域として働くチャンネルボックス9間の非沸騰水領域の幅GW,GNを拡大した場合と同様の効果によるものである。なお、ch−rod間隔a以外に、燃料棒間ピッチhを拡げて、燃料棒2と燃料棒2の間隙を燃料束内部で局所的に拡げる方法でも同様の効果があるが、ch−rod間隔aを拡げる方法が最も効果が大きい。
【0054】
また、この方法によれば、チャンネルボックス9のサイズが変わらないので、現行の薄型制御棒11をそのまま使用できる。さらに、チャンネルボックス9内の冷却材流路面積も同じなので、炉心圧力損失もほぼ同じであり、安定性(炉心安定性及びチャンネル安定性)が従来より低下することはない。
【0055】
図3の特性図は、平均取出燃焼度50GWd/tのC格子の燃料集合体及びD格子の燃料集合体について、比率(a/b)を種々に変えた場合の、原子炉停止時(低温時)の制御棒価値(低温時の無限増倍率が最大となる燃焼度における値)を示す。
これによれば、ch−rod間隔aを拡大して比率(a/b)を変えても低温時の制御棒価値はそれほど変わらないので、前記図2に示す原子炉運転時−低温時反応度差 0.4%Δkの改善は、そのまま炉停止余裕 0.4%Δ程度の改善となる。
【0056】
また、従来のC格子の燃料集合体10(比率2.58%)で、取出燃焼度50GWd/tを目指した場合に、集合体平均濃縮度増加に伴う原子炉運転時−低温時反応度差の増加に起因して、取出燃焼度が45GWd/tの場合に比べて炉停止余裕が 0.4%Δk程度悪化する結果が得られている。
仮に、この燃料で比率(a/b)を2.85%に変更すれば、炉停止余裕を 0.4%Δk程度改善できるので、取出燃焼度増加に伴う原子炉運転時−低温時反応度差の低下分を、比率(a/b)の増加でほぼ打ち消すことができる。
【0057】
このように、従来のC格子の燃料集合体10で、取出燃焼度45GWd/tの場合の炉停止余裕と同程度の炉停止余裕を実現できるような平均取出燃焼度Eと比率(a/b)の関係を調べると、図4の特性図に示すようになり、ほぼ直線関係にあることがわかる。
したがって、比率(a/b)が上記式(1) を満たせば、従来のC格子の燃料集合体10以上の炉停止余裕を確保できることになる。
【0058】
さらに、従来のC格子の燃料集合体10、またはD格子の燃料集合体16において、この比率(a/b)を2.85%とすると、従来のS格子の燃料集合体12における燃料棒間ピッチhを共通化できる効果がある。
これにより、従来は互いに形状が異なっていたC,N,D格子とS格子の2種類の燃料集合体において、燃料スペーサの一部分など部品の共通化ができるので、燃料集合体の製造コストが低減できる。
【0059】
また、この場合に例えば、平均取出燃焼度Eを50GWd/t以上を目指してC格子の燃料集合体18において、比率(a/b)をより高めた場合は、これに応じてS格子の燃料集合体における比率(a/b)を増加させることにより、C格子とS格子の燃料集合体で燃料棒間ピッチhを共通化させることができる。
【0060】
なお、図4において斜線で示した部分が式(1) の適用範囲で、従来のC格子の燃料集合体10の炉停止余裕の基準である比率2.58%で45GWd/tの場合を黒丸で示し、本第1実施例のC格子の燃料集合体18を、比率2.85%で50GWd/tの場合を白丸20で、また他の平均取出燃焼度Eの場合も白丸にて示している。
さらに、他の原子力発電プラントで採用されている従来の燃料集合体についても、S格子の燃料集合体を四角、N格子の燃料集合体を三角、及びD格子の燃料集合体を黒四角で示す。
【0061】
これにより、現行のS格子の燃料集合体12とN格子の燃料集合体15は、厚型制御棒14を使用しているので低温時の制御棒価値が大きく、中性子減速過剰領域として働く非沸騰水領域の幅が大きいので、両者ともに従来の格子形状で平均取出燃焼度55GWd/t程度まで実現できることがわかる。
【0062】
一方、D格子の燃料集合体16は、平均取出燃焼度45GWd/tの従来のC格子の燃料集合体10(黒丸)に比べて、炉停止余裕が 0.3乃至 0.5%Δk程度低くなっているが、もともと基準とした従来のC格子の燃料集合体10の炉停止余裕(黒丸)に十分な余裕があるので、C格子の燃料集合体18場合と同じに式(1) を用いても、設計目標( 1.0%Δk) を十分満足できる。
【0063】
したがって、本発明では、D格子の燃料集合体の場合もC格子の燃料集合体の場合と同じ式(1) を用いることとする。
これにより、図2に示すように、原子炉運転時−低温時反応度差が 0.4%Δk程度低減でき、平均取出燃焼度45GWd/tの従来のC格子の燃料集合体10と同程度の炉停止余裕で、平均取出燃焼度50GWd/tを達成することができる。
【0064】
第2実施例は、図5の横断面図に示すように燃料集合体21が、通常サイズのチャンネルボックス9と薄型制御棒11を使用した9行9列のC格子形状で、8本の短尺燃料棒3を最外周燃料棒2から2層目の燃料棒の角部を除いた一部分に分散し、2本を中央部に配設したウォータロッド4に最も隣接して配置した構成とする。なお、平均取出燃焼度は55GWd/tを目指した場合のものである。
【0065】
ここで、ch−rod間隔aを燃料集合体間ピッチbで割った比率(a/b)を次の式(2) の関係とする。
(a/b)≧0.07×E(GWd/t)−1.00(%)…(2)
【0066】
したがって、上記式(2) において、平均取出燃焼度E(GWd/t)を目標の55GWd/tとすると、比率(a/b)は0.07×55−1.00=2.85%となることから、このC格子の燃料集合体21は、ch−rod間隔a= 4.3mm、燃料集合体間ピッチb= 151mm、燃料棒間ピッチh=14.3mmに構成される。
これにより、この2.85%を下限値とした比率(a/b)は、前記図14に示した従来のC格子の燃料集合体10から、ch−rod間隔aを 0.4mm程度拡大したことに相当する。
【0067】
ところで、前記第1実施例と、前記課題において述べた(3) の短尺燃料棒3を燃料束最外周位置、またはウォータロッド4に隣接して配置するものと、(4) の短尺燃料棒3の本数を増すことによる、炉停止余裕の改善方法を併用するのも有効である。
【0068】
すなわち、従来の9行9列の燃料集合体において、限界出力を悪化させない範囲内で短尺燃料棒3の配置を変更する。あるいは、短尺燃料棒3の有効長上端が原子炉停止時に生じる軸方向中性子束分布のピーク位置より十分低い範囲内で、短尺燃料棒3の有効長を増加しつつ短尺燃料棒3の本数を増加して燃料集合体の一体当りの燃料重量を保持し、さらに、ch−rod間隔aを拡大しても良い。
【0069】
なお、短尺燃料棒3の有効部上端が、原子炉停止時の軸方向中性子束分布のピーク位置より十分下方にないと、短尺燃料棒3の炉停止余裕改善効果は小さいので、所定の燃料重量を維持して短尺燃料棒3の数を増す方法には自ずと上限がある。
【0070】
この際に前記(3) または(4) の方法により、ある程度炉停止余裕を改善しているので、ch−rod間隔aの拡大量、すなわち、比率(a/b)は、上記第1実施例の場合より少なくて済む。
本第2実施例はこの場合に相当し、図1の第1実施例の燃料棒配列に対して、ウォータロッド4の周囲に短尺燃料棒3を2本追加し、かつ位置を変更している。
【0071】
なお燃料棒の配列は、図5において燃料棒の位置座標(2,2)(2,3)(3,2)及び(2,8)(2,7)(3,8)と、これの対称位置の計12本に、符号Gで示すガドリニア入り燃料棒2aを配置し、原子炉運転時及び停止時の燃料集合体21のコーナー付近の燃料棒2の局所出力を抑えることを行っている。
【0072】
この場合には図6の特性図における直線22で示すように、短尺燃料棒3の本数増加により炉停止余裕が改善されるので、平均取出燃焼度Eと比率(a/b)の関係は、前記式(2) のようになり、定数項部分(−1.00)が第1実施例(−0.65)より小さくできる。なお、図6において直線23は第1実施例のものを示す。
【0073】
このように、第1実施例の燃料集合体18と同じch−rod間隔aで、平均取出燃焼度55GWd/tを達成できるのは、短尺燃料棒3の本数増加による原子炉運転時−低温時反応度差が改善されたことによる。
これにより、上記第1実施例と第2実施例におけるC格子の燃料集合体18,21は、いずれも、図15に示した従来のS格子の燃料集合体12(コンパクトチャンネルボックス13と厚型制御棒14を使用したもの)と燃料棒間ピッチhが14.3mmとして共通化することができる。
【0074】
第3実施例は、図7の横断面図に示すように燃料集合体24が、通常サイズのチャンネルボックス9と、薄型制御棒11を使用した10行10列のC格子形状で、ch−rod間隔a= 4.3mm、燃料集合体間ピッチb= 151mmとし、ch−rod間隔aを燃料集合体間ピッチbで割った比率(a/b)を2.85%とする。
また、12本の短尺燃料棒3を最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置し、さらに2本をウォータロッド4に隣設して配置した構成としている。なお、平均取出燃焼度50GWd/tを目指した場合のものである。
【0075】
これは、上記第1実施例と同じ比率(a/b)で、同程度の原子炉運転時−低温時反応度差を有するように、短尺燃料棒3の本数や位置を設定しているので、第1実施例と同じ関係の式(1) を適用できる。
これにより、第1実施例と同じ比率(a/b)2.85%であることから、同程度の平均取出燃焼度50GWd/tを達成することができる。
【0076】
第4実施例は、図8の横断面図に示すように燃料集合体25が、通常サイズのチャンネルボックス9と薄型制御棒11を使用した10行10列のC格子形状で、8本の短尺燃料棒3を最外周燃料棒2から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置し、さらに6本をウォータロッド4に隣接して配置している。
【0077】
また、最外周燃料棒2から2層目の燃料棒の一部については、上記第2実施例と同様に、位置座標(2,2)(2,3)(3,2)及び(2,9)(2,8)(3,9)と、これと対称位置の計12本の位置にガドリニア入り燃料棒2aを配置した構成としている。なお、平均取出燃焼度55GWd/tを目指した場合のものである。
【0078】
また、短尺燃料棒3の配置は原子炉運転時−低温時反応度差をより改善するもので、ガドリニア入り燃料棒2aの配置は、原子炉運転時及び停止時の集合体コーナー付近の燃料棒の局所出力を抑えるためである。
【0079】
ここで、ch−rod間隔aを燃料集合体間ピッチbで割った比率(a/b)を次の式(3) の関係とする。
(a/b)≧0.07×E(GWd/t)−1.15(%)…(3)
【0080】
したがって、上記式(3) において、平均取出燃焼度E(GWd/t)を目標の55GWd/tとすると、比率(a/b)は0.07×55−1.15=2.70%となることから、このC格子の燃料集合体25は、ch−rod間隔a= 4.3mm、燃料集合体間ピッチb= 151mmに構成している。
【0081】
この結果から2.70%を下限値とした比率(a/b)は、前記図14に示した従来のC格子の燃料集合体10から、ch−rod間隔aを 0.4mm程度拡大したことに相当し、第3実施例の比率(a/b)2.85%より小さい比率(a/b)2.70%で平均取出燃焼度55GWd/tを達成できる。
なお、この場合の平均取出燃焼度Eと比率(a/b)の関係は、式(3) のようになり図6の直線26で示すように改善される。
【0082】
第5実施例は、図9の横断面図に示すように燃料集合体27が、通常サイズのチャンネルボックス9と薄型制御棒11を使用した9行9列のC格子形状で、制御棒挿入側の非沸騰水領域の幅GWと制御棒非挿入側の非沸騰水領域の幅GNが等しく(GW=GN)、ch−rod間隔a= 5.9mm、燃料集合体間ピッチb= 151mmに構成している。
【0083】
さらに、8本の短尺燃料棒3を、最外周燃料棒から2層目の燃料棒2の一部分に分散して配置して、平均取出燃焼度65GWd/tを目指した場合のものである。
また、比率(a/b)については、上記式(1) を適用して目標とする平均取出燃焼度65GWd/tでは、比率(a/b)3.90%(=0.07×65−0.65)を下限値としている。
【0084】
第6実施例は、図10の横断面図に示すように燃料集合体28が、通常サイズのチャンネルボックス9と中程度の厚さの制御棒17を使用した9行9列のD格子形状で、制御棒挿入側の非沸騰水領域の幅GWが制御棒非挿入側の非沸騰水領域の幅GNより大きく(GW>GN)、ch−rod間隔a= 5.9mm、燃料集合体間ピッチb= 151mmに構成している。
【0085】
さらに、8本の短尺燃料棒3を最外周燃料棒2から2層目の燃料棒の一部分に分散配置して、平均取出燃焼度65GWd/tを目指した場合のものである。
このD格子の燃料集合体29においても比率(a/b)については、上記式(1) を適用して目標とする平均取出燃焼度65GWd/tでは、3.90%(=0.07×65−0.65)を下限値としている。
【0086】
なお、以上の一実施例では比率(a/b)を下限値として、それぞれの式(1) 〜(3) の適用について説明したが、いずれも図6に示すように、これ以上の値に設定しても良く、その場合に炉停止余裕がより改善される。
ただし、この比率(a/b)を必要以上に増加させ過ぎると、原子炉運転時の反応度の損失量が増加し、また、運転時の局所出力ピーキング係数も増して、線出力密度が悪化することになる。
【0087】
また、燃料棒間ピッチhが過度に小さくなると、燃料棒1本当りの冷却材供給量が減少して限界出力が低下する。したがって、この比率(a/b)は炉停止余裕の目標値を満足する範囲で適切に設定しなければならない。
例えば、図1に示した第1実施例の燃料集合体18において、燃料棒ピッチhを小さくしてch−rod間隔aを増加させて、比率(a/b)を2.85%から 4.5%に増加させた場合には、図2に示したように原子炉運転時−低温時反応度差が大きく改善されて炉停止余裕は大幅に改善される傾向となる。
【0088】
しかしながら、図11の特性図に示すボイド率40%の履歴で燃料計算を行った例では、燃料集合体の設計(濃縮度分布、Gd本数、濃度位置など)を従来の比率(a/b)2.58%の基準燃料と同じとした場合は、原子炉運転時反応度の損失が増し、また、図12の特性図に示すように局所出力ピーキング係数が増加する。
【0089】
この量は、第1実施例に示した比率(a/b)2.85%の場合はわずかであるが、比率(a/b) 4.5%の場合には、運転特性上無視できない。したがって、炉停止余裕を大幅に改善する必要がない場合には、比率(a/b)は、それぞれの関係する式(1) 〜(3) の下限値に近い値とするのが良い。
【0090】
一方、炉停止余裕を従来より若干悪化させても支障ない場合には、比率(a/b)を、それぞれの式(1) 〜(3) の下限値より若干小さく設定できる。例えば、従来の燃料より炉停止余裕が 0.2%Δk下がっても許せる場合は、原子炉運転時−低温時反応度差を 0.2%Δk小さくでき、その場合に、図2より比率(a/b)を0.14程度下げても良くなる。
【0091】
このことは、上記第1実施例に示した比率(a/b)2.85%の高燃焼度型の燃料集合体18では、比率(a/b)を2.71%とすることができ、これにより、燃料棒間ピッチhを若干大きくすることができる。したがって、比率(a/b)の下限値を僅かに下回る程度ならば、実用上で支障は生じない範囲に入る。
【0092】
なお、本発明については以上の一実施例に限らず、2層目の短尺燃料棒3の位置を種々変更した場合にも適用できる。また、一実施例はC格子の燃料集合体について説明したが、D格子は勿論のことS格子やN格子の各種条件の異なる燃料集合体についても、C格子の燃料集合体の場合と同じ燃料棒間ピッチhとして、ch−rod間隔aをそれぞれの格子に適合させることができる。
【0093】
すなわち、チャンネルボックス内の燃料束の最外周燃料棒の外面で決まる燃料束外幅を同じとして関連要素を共通化しても、図4に示す炉停止余裕の改善効果から十分高燃焼度化に対応することができる。
【0094】
【発明の効果】
以上本発明によれば、平均取出燃焼度が50GWd/t以上とする高燃焼度用の燃料集合体に対して、ch−rod間隔aを燃料集合体間ピッチbで割った比率(a/b)を平均取出燃焼度の関数で制限し、目標とする平均取出燃焼度に応じてこの比率(a/b)を拡大していくことができる。
【0095】
これにより、原子炉停止時のチャンネルボックス間の非沸騰水領域である中性子の減速過剰状態の幅を実効的に拡大し、原子炉停止時の実効増倍率を下げて、高燃焼度化に際して支障となる炉停止余裕の低下を抑制することができる。
さらに、従来原子力発電プラントによって種類の異なる燃料集合体で、燃料棒間隔を統一することにより燃料スペーサの一部分などを共通化して、燃料集合体を含む炉心のコスト低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の燃料集合体の横断面図。
【図2】本発明に係る第1実施例でch−rod間隔を拡大して比率(a/b)を変えた場合の従来のC格子の燃料集合体を基準とした原子炉運転時−低温時反応度差の改善量特性図。
【図3】本発明に係る第1実施例で比率(a/b)を変えた場合の原子炉停止時の制御棒価値特性図。
【図4】本発明に係る第1実施例と従来の燃料集合体の平均取出燃焼度と比率(a/b)の特性図。
【図5】本発明に係る第2実施例の燃料集合体の横断面図。
【図6】本発明に係る一実施例の燃料集合体における平均取出燃焼度と比率(a/b)の特性図。
【図7】本発明に係る第3実施例の燃料集合体の横断面図。
【図8】本発明に係る第4実施例の燃料集合体の横断面図。
【図9】本発明に係る第5実施例の燃料集合体の横断面図。
【図10】本発明に係る第6実施例の燃料集合体の横断面図。
【図11】本発明に係り第1実施例の燃料集合体における比率(a/b)変更に対する運転時反応度損失量の特性図。
【図12】本発明に係り第1実施例の燃料集合体における比率(a/b)変更に対する運転時局所ピーキング係数増加量の特性図。
【図13】燃料集合体で、(a)は縦断面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図、(c)は(a)のC−C矢視断面図。
【図14】従来の9行9列C格子の燃料集合体の横断面図。
【図15】従来の9行9列S格子の燃料集合体の横断面図。
【図16】従来の9行9列N格子の燃料集合体の横断面図。
【図17】従来の9行9列D格子の燃料集合体の横断面図。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2…長尺燃料棒、2a…ガドリニア入り燃料棒、3…短尺燃料棒、4…ウォータロッド(W)、5,6…燃料スペーサ、7…上部タイプレート、8…下部タイプレート、9…チャンネルボックス、13…コンパクトチャンネルボックス、10,18,21,24,25,27…C格子の燃料集合体、11…薄型制御棒、12…S格子の燃料集合体、14…厚型制御棒、15…N格子の燃料集合体、16,28…D格子の燃料集合体、17…中程度厚さの制御棒、19…矢線、20…白丸、22…式(2) による直線、23…式(1) による直線、26…式(3) による直線、a…チャンネルボックス内壁と最外周燃料棒との間隙(ch−rod間隔)、b…燃料集合体間ピッチ、E…平均取出燃焼度、GN…制御棒非挿入側の非沸騰水領域の幅、GW…制御棒挿入側の非沸騰水領域の幅、h…燃料棒間ピッチ。
Claims (2)
- 長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、前記短尺燃料棒8本が最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、前記チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−0.65(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成することを特徴とする燃料集合体。
- 長尺燃料棒とこの長尺燃料棒よりも燃料有効部分が短い短尺燃料棒とを9行9列の格子状に束ねた燃料束をチャンネルボックスで包囲して構成したS格子、N格子及びD格子の燃料集合体において、前記10本の短尺燃料棒のうち8本を最外周燃料棒から2層目の燃料棒の一部分に分散して配置し、残りの2本を中央部に配設したウォータロッドに最も隣接して配置すると共に、平均取出燃焼度が50GWd/t以上の燃焼度で使用する場合に、平均取出燃焼度E(GWd/t)、前記チャンネルボックスの内壁と最外周燃料棒との間隙a、及び燃料集合体間ピッチbの関係が、(a/b)≧0.07×E−1.00(%)として設定され、S格子、N格子及びD格子の各燃料集合体に対して、C格子の燃料集合体における燃料棒ピッチである14.3 mmを採用して燃料束を構成することを特徴とする燃料集合体。
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