JP3597371B2 - 可撓容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体、特に孔版印刷用インキなどの高粘度液体を収容するに好適な可撓容器に関し、さらに詳しくは、内容物の未充填時には扁平であり、内容物の充填に従い筒状に膨み、内容物が大部分取り出された後は扁平な形状にすることが可能な膨縮自在の容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂フィルム等の可撓性の内袋を段ボールや板紙等の外箱内に収容した所謂バッグインボックス、バッグインカートンと呼ばれる液体用包装用容器は良く知られており、高粘度液体等の収容に用いられている。かかる容器は、内容物である高粘度液体の排出に伴い、内袋は収縮して外形寸法が減少するが、外箱の形状は変わらないため、廃棄処理する場合、スペースを取り、または、廃棄スペースを小さくするには外箱を潰したりする手間を要する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、特願平9―39712において、図1に示すように、柔軟な樹脂フィルムで構成され、扁平な形状から筒状の拡張形状に変形し得る密封袋体1と、該袋体1の上端部に設けられた内容物取出口2と、内容物充填前の該袋体1の扁平な形状においてその対向する両側面に添着された可撓性板状体31及び32とからなる可撓容器が提案されている。かかる可撓容器は、図2に示すように、内容物充填時には、袋体1の拡張に合わせて可撓性板状体31及び32が湾曲し、全体的に筒状の形態をとり、所定のカートリッジに取出口2を突出させた状態で収容して使用される。そして、取出口2にポンプ等を連結して内容物を吸い上げて取り出す際、特に内容物が高粘度液体である場合、これを取り出すに従って、密封袋体1の底部が取出口2の方向へ移動するとともに密封袋体1の下半分が袋体1の内側にまくれかえるように反転しつつ変位し、容積を縮小するとともに扁平な形状に戻る。したがって、この容器は、内容物の充填前は扁平で容積が小さく保管、運搬等にスペースをとらず、内容物充填時には充填量に応じた大きさとなり、内容物を使いきった後は小さな容積に戻る点で好都合である。
【0004】
図1及び図2に示した容器の板状体31及び32は、図3に示されるように、袋体1の対向する各外面に添着された2枚の別個の板状体から構成されてもよく、また、図4に示されるように、一枚の板状体を折り返して袋体1に添着されたものであってもよい。
【0005】
そして、該容器は、図5に示されるように、内容物を充填するに従い、扁平な形状(図5(a)参照)から筒状の形状(図5(b)参照)に膨らむ。しかし、この容器は、内容物を取り出す際、袋体内部の減圧収縮により板状体に筒の内方に引っ張られる力が働く。この時、板状体が袋体のフィルムに強固に貼り付けられていれば問題はない。しかし、実際には両者の接着が剥離することもあり、このような場合は、板状体は筒の周方向に移動して、隣接する縁部の処で相互に重なり合い、内容物充填時の筒形状を保持できないことがある(図5(c)参照)。この現象は、図4に示される容器の場合も同様である。その結果、袋体の途中で内容物の流路が塞がれて内容物の取出が阻害され、内容物の全量をスムーズに取出できなくなることになり、この問題は、特に内容物が高粘度である場合に著しい。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような可撓容器において、内容物取出時の容器形状を筒形状に保つことにより、内容物の全量取り出しをスムーズに行えるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明によれば、柔軟な樹脂フィルムで構成され、扁平な形状から筒状の拡張形状に変形し得る密封袋体と、前記袋体の端部に設けられた内容物取出口と、前記袋体の扁平な形状においてその両側面に添着され、前記袋体の拡張に合わせて変形可能な板状体とからなる可撓容器であって、前記板状体は、その隣接する一対の縁部が互いに向けて移動するのを防止する移動防止手段を備え、前記移動防止手段は、前記隣接する一対の縁部に設けられた相互に咬合するすき歯状の突起からなることを特徴とする可撓容器によって達成される。上記移動防止手段としては、前記縁部間に設けた接着テープやその他の接着又は接合手段、及び前記縁部に形成した係合又は咬合手段などが挙げられる。
【0008】
本発明によれば、容器の内容物取出時の密閉袋体の減圧収縮によって生じる板状体の周方向への移動を防止することができるので、容器の筒形状を保ちつつ内容物の排出が行われ、内容物の全量をスムーズに取り出すことができる。
【0009】
本発明において、板状体は、可撓性を有し、手などによって容易に折り曲げ可能なものであれば、金属板、プラスチック板、板紙等の如何なる材質のものであってもよいが、廃棄物処理上、板紙とすることが好ましい。板状体は、図3に示されるように、密閉袋体の対向する各側面に添着された1対のシートであってもよく、また図4に示されるように、両側面を挟むように折り曲げられた1枚のシートであってもよい。
【0010】
本発明において、密封袋体を構成する樹脂フィルムは、内容物の種類を考慮して、セロハン、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、EVOHフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリブテンフィルム、アルミ箔、SiあるいはAl等の酸化物薄膜を形成した上記フィルム、PVDC・EVOH・ワックス等をコーティングした上記フィルム等を一層もしくは多層の形態で用いることができる。
【0011】
本発明において、板状体は密封袋体に対して容易に分離しない程度に添着されていればよく、堅固に接着されている必要はない。特に、内容物の取出後に、密封袋体の下半部は板状体から剥離してその上半部内にまくれ上がるため、密封袋体の下半部と板状体とは剥離可能に接着されているか、又は、接着されていなくてもよい。かかる接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、EVA等の各種接着剤が用いられる。また、接着剤の形態は、ドライラミネート型、水性ドライラミネート型、無溶剤型、電子線硬化型、紫外線硬化型、ホットメルト型等から適宜選択することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図6乃至図11を参照して、本発明の可撓容器の具体例を説明する。なお、図示の具体例は例示であり、本発明は以下の具体例のみに限定されるものではない。
【0013】
図6は、本発明の一具体例を示す図5と同様の断面図である。図6の具体例は、図5の容器において、板状体31及び32の互いに隣接する一対の縁部間に接着テープ40a及び40bを貼付して接合した点に特徴を有する。かくして、内容物の取出時に板状体31及び32と袋体1との接着が剥離した場合でも、接着された一対の縁部は互いに向けて移動するのが防止され、容器は筒形状に保持される。
【0014】
図7は、本発明の別の具体例を示す図5と同様の断面図である。図7の具体例は、板状体31及び32の一縁部に張出部41及び42を形成し、該張出部を夫々の隣接する板状体の縁部の上に重ね合わせ、両板状体31及び32を固定して、一対の縁部が互いに向けて移動するのを防止した点に特徴を有する。固定手段としては、接着テープ、接着剤、ステープラー等の接着又は接合手段40c、40dを用いることができる。両板状体の固定は、容器に内容物を充填して筒形状にした後(図7(b)参照)に行うことが好ましい。内容物充填前(図7(a)参照)に固定すると、両板状体の重なり部分の剛性によって容器が筒状になりにくことがある。
【0015】
図8は、本発明の更に他の具体例を示す図7と同様の断面図である。図8の具体例は、板状体31及び32の各縁部に張出部41a、42a、41b、42bを形成し、互いに隣接する一対の張出部同士を重ね合わせて固定し、該一対の縁部が互いに向けて移動するのを防止した点に特徴を有する。固定手段(図示せず)としては、図7と同様の手段を用いることができる。更に、板状体31及び32には、重ね合わされた上記張出部に隣接させてミシン目やハーフカットからなる折曲線51及び52を設けておくことが好ましい。この場合、内容物充填前(図8(a)参照)に張出部41a、42a、41b、42bを固定しても、内容物充填後(図8(b)参照)に容器が筒形状をとりやすくなる。なお、図6〜図8の具体例では、板状体31及び32は袋体1の全体を被う寸法とされている。しかし、袋体1は内容物を取り出すに従い、下半部が上半部の内側にめくり上がって縮むため、板状体31及び32は容器の上半部のみに設ければ足りる。
【0016】
図9は、本発明の更に別の具体例を示す分解側面図である。図9の具体例は、内容物未充填の扁平な密閉袋体1の各側面に添着された一対の板状体31及び32を備えている点で、図3の容器と同様である。しかし、図9の具体例の板状体31及び32の夫々は、対向する両縁部に互い違いに張り出した突起411、412、413及び421、422、423を備えている点で図3の板状体と異なっている。図9の容器は、内容物充填後、筒状の形態をとった時、図10に示されるように、互いに隣接する縁部の突起411、422、423及び421、412、413がすき歯状に咬合する。したがって、内容物を取り出す際に両板状体31及び32が互いに向けて周方向に移動しようとしても、板状体の互いに隣接する縁部同士が当接して、それ以上に板状体が移動することは阻止され、容器の筒形状は保持される。かかるすき歯状の突起を備えることにより、図7及び図8のように板状体の縁部同士を接着又は接合する必要がなくなり、また、内容物充填時にも容器はスムーズに筒形状となる。
【0017】
板状体31及び32の夫々は、各縁部に最低1つの突起を備えていれば本発明の目的を達成し得るが、図9及び図10の具体例のように、板状体31及び32の夫々が、一方の縁部に1つの突起411、421を備え、他方の縁部に2つの突起412、413又は422、423を備えていてもよく、また、それ以上の数の突起を備えてもよいことは言うまでもない。突起間のピッチも袋体1の形状及び寸法や、容器の種類などに応じて適宜選択することができる。
【0018】
図9及び図10の具体例では、板状体31及び32は袋体1の上半部のみを被う寸法とされている。袋体1は内容物を取り出すに従い、下半部が上半部の内側にめくり上がって縮むため、板状体31及び32は容器の上半部のみに設ければ足りる。
【0019】
図11は、本発明の別の具体例を示す側面図である。図11の具体例は、図3及び図4と同様に、板状体31及び32が袋体1の全体を被う寸法を備えている点で、図10の具体例と異なっている。この場合、板状体31及び32はその上半部で袋体1に添着されていれば足りるので、すき歯状に咬み合う突起411、412、413、421、422、423は板状体31及び32の上半部に設けられていれば足りる。しかし、追加の突起414、415、424、425を容器の底部やその他の箇所に適宜設けてもよいし、また、板状体縁部の全域に設けることも差し支えない。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、内容物取出時の密閉袋体の減圧収縮によって生じる板状体の周方向への移動を防止することができるので、容器の筒形状を保ちつつ内容物の排出が行われ、内容物の全量をスムーズに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は密封袋体の対向する各側面に板状体が添着されてなる膨縮自在な可撓容器を内容物充填前の状態で示す斜視図、(b)は(a)の正面図である。
【図2】図1の容器を内容物充填時の状態で示す図1と同様の図である。
【図3】(a)は図1の容器の一態様を示す側面図であり、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。
【図4】(a)は図1の容器の別の態様を示す側面図であり、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。
【図5】(a)は図3の容器を内容物の充填前の状態で示す図3(b)と同様の図であり、(b)は内容物を充填した状態で示す(a)と同様の図であり、(c)は内容物を取り出した状態で示す(a)と同様の図である。
【図6】(a)は本発明の可撓容器の一具体例を内容物の充填前の状態で示す図3(b)と同様の図であり、(b)は内容物を充填した状態で示す(a)と同様の図である。
【図7】(a)は本発明の可撓容器の別の具体例を内容物の充填前の状態で示す図3(b)と同様の図であり、(b)は内容物を充填した状態で示す(a)と同様の図である。
【図8】(a)は本発明の可撓容器の更に別の具体例を内容物の充填前の状態で示す図3(b)と同様の図であり、(b)は内容物を充填した状態で示す(a)と同様の図である。
【図9】本発明の可撓容器の更に別の具体例を示す分解側面図である。
【図10】図9の容器を内容物を取り出す状態で示す斜視図である。
【図11】図9の容器の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 密封袋体
2 内容物取出口
31、32 板状体
40a、40b 接着テープ
40c、40d 接着又は接合手段
41、42、41a、41b、42a、42b 張出部
51、52 折曲線
411、412、413、421、422、423 突起
414、415、424、425 突起
Claims (1)
- 柔軟な樹脂フィルムで構成され、扁平な形状から筒状の拡張形状に変形し得る密封袋体と、前記袋体の端部に設けられた内容物取出口と、前記袋体の扁平な形状においてその両側面に添着され、前記袋体の拡張に合わせて変形可能な板状体とからなる可撓容器であって、前記板状体は、その隣接する一対の縁部が互いに向けて移動するのを防止する移動防止手段を備え、前記移動防止手段は、前記隣接する一対の縁部に設けられた相互に咬合するすき歯状の突起からなることを特徴とする可撓容器。
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---|---|---|---|
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Family Applications (1)
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JP6066498A Expired - Fee Related JP3597371B2 (ja) | 1998-02-25 | 1998-02-25 | 可撓容器 |
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1998
- 1998-02-25 JP JP6066498A patent/JP3597371B2/ja not_active Expired - Fee Related
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