JP3596795B2 - ガス湯沸器の不完全燃焼防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内胴スカートの上側に設けた熱交換器をバーナにより加熱するようにしたガス湯沸器に使用する不完全燃焼防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のガス湯沸器の不完全燃焼防止装置としては、例えば実開昭56−72054号公報に開示されているように、口火バーナで加熱されることにより熱起電力を発生する正バイアス熱電対によりバーナに燃料ガスを供給する電磁ガス弁を開状態に維持するようにすると共に、燃焼室内の一部に設けた逆バイアス熱電対を正バイアス熱電対回路内に直列に接続し、また燃焼室の一部に形成した燃焼室内圧力の取出口に取り付けた圧力検出管他端の噴出口を正バイアス熱電対に望ませたものがある。
【0003】
ガス湯沸器を室内に設置した場合には、換気不充分な状態で使用し続けて室内の酸素濃度が低下すると不完全燃焼状態となり、これに伴い口火バーナの炎にリフトを生じる。上述の不完全燃焼防止装置では、このリフトにより熱電対の温度が低下して熱起電力が減少する現象を利用して、電磁ガス弁を閉じバーナへの燃料ガスの供給を停止して酸欠による不完全燃焼を防止している。
【0004】
また、内胴スカートの上側に設けた熱交換器などに詰まりが生じて燃焼用空気量が不足すると、設置環境内の酸素濃度が正常でも不完全燃焼を生じるが、この場合にはバーナの炎にリフトを生じないので、上述した正バイアス熱電対だけでは、このような原因による不完全燃焼を防止することはできない。しかしこのような詰まりが生じると内胴スカート内の圧力が上昇すると共に温度が上昇するので、上述の不完全燃焼防止装置では圧力検出管の噴出口から正バイアス熱電対に向けて排ガスが噴出し、正バイアス熱電対は冷却されまた口火から遠ざけられる。これにより正バイアス熱電対の熱起電力は低下し、同時に逆バイアス熱電対の逆起電力が増大して正バイアス熱電対の熱起電力を打ち消すので、電磁ガス弁を閉じて不完全燃焼を防止している。
【0005】
上記技術は一応の機能を満足しているが、熱電対はある程度の熱容量を有しているので加熱及び冷却に遅れを生じ、このため応答に遅れを生じるという問題がある。またこの熱電対は口火バーナへの不着火を検出する機能も兼用させているが、熱電対による不着火の検出にはある程度(例えば10秒)の時間遅れを伴うので、不着火の場合には未燃焼ガスの放出時間が長くなるという問題がある。これを解消するために、バーナへの不着火の検出を熱電対とは別に設けたフレームロッドにより炎電流を検出して行うことも行われているが、熱電対とフレームロッドの両方を用いているのでコスト高になる問題がある。
【0006】
このような各問題を解決するために、出願人は先に特願平8−328522号に係る発明を提案した。これはメインバーナの一部の炎口の上方に炎を検出するフレームロッドを設けると共に、上端部が熱交換器の下側において内胴スカート内に開口され下部にフレームロッドを設けた炎口に向かって開口された戻し管部を備えた還流管を設けたものである。この技術によれば、室内の酸素濃度が低下した場合には不完全燃焼状態となって炎にリフトを生じ、また熱交換器に詰まりを生じた場合には内胴スカート内上部の圧力が上昇して燃焼廃ガスが還流管を通って炎口付近に戻されるので、その炎口に生じる炎にリフトを生じ、何れの場合にもフレームロッドを通る炎電流が減少する現象を利用してガス電磁弁を閉じて不完全燃焼を防止することができる。また時間遅れなしに不着火を検出することができる。
【0007】
この特願平8−328522号の発明では、バーナへの着火の際に内胴スカート内の圧力が瞬間的に増大して還流管からフレームロッドを設けた炎口に戻される燃焼廃ガスの流れが急激に増大し、炎に一時的なリフトを生じさせてガス電磁弁を閉じるおそれがある。このような問題を解決するために、この技術では、図3に示すように、下方に延びる還流管13の本体部13aの下端を外部に解放し、その途中からフレームロッドを設けた炎口に向かって開口される戻し管部13bを分岐させ、着火直後の瞬間的な圧力増大により還流管13内に生じる燃焼廃ガスの急激な流れを慣性により主として本体部13aの下端の開口から外部に排出させ、戻し管部13bから炎口に向かう燃焼廃ガスの量が少なくなるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
最後に述べた技術では、図5及び図6に示すように、戻し管部13bへの分岐部から本体部13a下端の開口までの距離L(図3参照)がその作用に大きな影響を及ぼす。図5及び図6の(a) は、コールドスタート時(ガス湯沸器を冷却状態から起動した場合)における点火開始からの経過時間に対する炎電流の変化を示し、図5及び図6の(b) は、定常状態における燃焼廃ガス通路(例えば熱交換器のフィン部分)の通路面積の閉塞率に対する炎電流の変化を示すものである。前述の距離Lを大きく(例えば本体部13aの内径が11.5mmに対し距離Lが55mm)すれば、定常状態では図5(b) に示すように、この閉塞率が40%弱のところで炎電流は判定値I0迄低下してガス電磁弁を閉じ、この作動は適切である。しかしコールドスタート時の着火直後に生じる炎電流の極小値は、図5(a) に示すようにこの閉塞率が実用上まだ差し支えない20%程度でも判定値I0に接近し、ガス電磁弁を閉じてガス湯沸器の作動を停止させてしまう。
【0009】
これは戻し管部13bへの分岐部から下側となる本体部13aの抵抗が大きいため、着火直後における戻し管部13b側への燃焼廃ガスの流れが多くなるためと考えられる。そこでこのこの部分の抵抗を減少させるために距離Lを小さく(例えば上述の例で距離Lが15mm)すれば、コールドスタート時の着火直後に生じる炎電流の極小値は、図6(a) に示すように燃焼廃ガス通路の通路面積の閉塞率が40%弱のところで判定値I0迄低下してガス電磁弁を閉じるようになり、この作動は適切である。しかし定常状態では図6(b) に示すように、この閉塞率が40%を遥か越えても炎電流は判定値I0迄低下せず、従ってガス電磁弁は閉じられず、ガス湯沸器は不完全燃焼のまま作動を継続することになる。
【0010】
本発明は、還流管の形状を工夫することにより、定常時には所定の閉塞率で炎電流を所定の判定値迄低下させてガス電磁弁を閉じ、またコールドスタート時に着火直後に生じる炎電流の極小値が低くなり過ぎないようにして、このような問題を解決することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によるガス湯沸器の不完全燃焼防止装置は、内胴スカートと、この内胴スカートの上側に連続して設けた熱交換器と、内胴スカートの下部に設けたバーナを備えてなり、熱交換器内を通る給水をバーナにより加熱するようにしたガス湯沸器に関するものであり、バーナの炎口の一部の上方で正常な燃焼状態において同炎口に生成される炎内に位置するフレームロッドと、このフレームロッドに電圧を印加して同フレームロッドを通る炎電流を検出しこの炎電流が所定の判定値以下であればバーナに燃料ガスを供給するガス電磁弁を閉じるバーナコントローラと、上端部が熱交換器の下側において内胴スカート内に開口され下部にフレームロッドを設けた炎口に向かって開口された燃焼廃ガスの戻し管部を有する還流管を備え、この還流管はその上端部からほゞ真直に下方に延びる本体部と、この本体部の下端部に連続して設けられてその下端が内胴スカートの外側において解放された大径管部と、本体部と大径管部の連結部付近から分岐された戻し管部よりなることを特徴とするものである。
【0012】
戻し管部は還流管の本体部と大径管部の連結部付近から分岐されており、この分岐部よりも下側となる還流管の抵抗は小さい。着火直後の瞬間的な圧力増大により還流管内に生じる燃焼廃ガスの流れは急激であり、慣性により本体部の下端から大径管部を通って外部に排出されるが、分岐部より下側では殆ど抵抗を受けることがないので、戻し管部からフレームロッドを設けた炎口に向かって流れる燃焼廃ガスの量は僅かである。従ってこの場合には、その炎口に生じる炎のリフトは僅かであり、検出される炎電流の減少も僅かである。一方、定常状態では、燃焼廃ガス通路の通路面積の閉塞率の増大に伴う内胴スカート内の圧力の増大による還流管の本体部から大径管部に向かう燃焼廃ガスの流れは穏やかであり、大径管部内に高温で密度が小さい燃焼廃ガスが溜まって戻し管部への分岐部付近の圧力を高め、戻し管部を通ってフレームロッドを設けた炎口に向かって流れる燃焼廃ガスの量は、閉塞率の増大に応じて増大する。従ってこの場合には、その炎口に生じる炎のリフトは閉塞率の増大に応じて増大し、検出される炎電流はこれに応じて減少する。
【0013】
【発明の実施の形態】
添付図面は、本発明をガス瞬間湯沸器に適用した場合の実施の形態を示す。
図1に示すように、ガス瞬間湯沸器の燃焼室14を形成する内胴スカート10の上側には、伝熱管12aとフィン12bよりなる熱交換器12が設けられ、下側にはメインバーナ20が設けられている。伝熱管12aの入口側は内胴スカート10の外側に巻き付けられた予熱管11を介して給水管15に接続され、出口側に接続された給湯管16には給湯栓17が設けられている。給水管15には、給水量が所定量を越えればロッド18aを移動させて後述する水圧応動弁28及び水流スイッチ31を作動させるダイアフラムを使用した水側制御器18が設けられている。図示は省略したが、水側制御器18には給水管15から熱交換器12への流量を手動調節して出湯温度を調節する手動弁が設けられている。
【0014】
図1に示すように、メインバーナ20は3個のバーナユニット21を連結したもので、ガス電磁弁26、能力調整弁27及び水圧応動弁28を直列に設けたガス供給管25を介して燃料ガスが供給されている。ガス電磁弁26はバーナコントローラ30から作動コイル26aに与えられる電流により開閉制御されるものであり、能力調整弁27は手動により調整することによりメインバーナ20へのガス供給量を調整して湯沸器の出湯能力を変えるものである。水圧応動弁28は熱交換器12に所定量以上の給水があれば開となるように前述した水側制御器18のロッド18aにより開閉されるものである。水圧応動弁28が開くとほゞ同時に、ロッド18aに設けたカム18bは水流スイッチ31をオンにする。
【0015】
各バーナユニット21は板金製で、図1及び図2に示すように、それぞれ2列に配置された多数の炎口22を有しており、各炎口22は仕切板22aにより仕切られている。熱交換器12の下側において内胴スカート10の側壁に設けた穴を介して上端部が燃焼室14の上部に開口された還流管13の本体部13aは内胴スカート10の側壁の外側に沿って真直に下方に延び、その下端部に連結された大径管部13cの下端の開口を介してガス湯沸器内の大気中に解放されている。大径管部13cに連結される本体部13aの下端部から分岐された戻し管部13bは内胴スカート10の下部に形成した切欠きを通り抜けて、フレームロッド38が挿入される炎を形成する炎口22に向かって斜めに開口されている。このフレームロッド38は、その先端部が正常な燃焼状態において炎口22に生成される炎内に入る高さとなるように絶縁体38aにより支持されている。
【0016】
戻し管部13bは、本体部13aに連結される根元部を除き、断面形状が横長の長方形となるように変形され、その中心面の高さは炎口22を形成するバーナユニット21の上端と一致している。還流管13の寸法の1例をあげれば、本体部13aは内径が11.5mm、長さが166mmであり、その下端部には内径が23mmで長さが44mmの大径管部13cが同軸的に連結され、戻し管部13bは本体部13a下端部で大径管部13cの上端から12mmほど上となる位置から分岐されている。
【0017】
バーナコントローラ30は、熱交換器12に所定量以上の給水がなされて水流スイッチ31がオンになれば、予め定められたシーケンスに基づいて作動コイル26aに電流を流してガス電磁弁26を開き、点火装置(図示省略)を作動させてメインバーナ20から噴出する燃料ガスに着火してガス湯沸器を作動させるものである。バーナコントローラ30はまた、フレームロッド38に所定の電圧を印加してフレームロッド38を通る炎電流を検出し、この炎電流が所定の判定値以下であれば作動コイル26aへの電流を停止してガス電磁弁26を閉じ、ガス湯沸器を停止させる。
【0018】
次に上記実施の形態の作動の説明をする。給湯栓17を開き給水管15を通る給水が所定量を越えれば、水圧応動弁28が開くと同時に水流スイッチ31がオンとなってバーナコントローラ30は作動を開始し、ガス電磁弁26を開き、メインバーナ20から噴出する燃料ガスに着火し、燃焼が安定する小時間経過後フレームロッド38を通る炎電流を検出してから点火装置の作動を停止する。検出された炎電流が所定の判定値以下であれば着火ミスあるいは何らかの原因により燃焼状態が不良であると判断し、作動コイル26aに対する電流を停止してガス電磁弁26を閉じ、メインバーナ20への燃料ガスの供給を停止してガス湯沸器の作動を停止させる。
【0019】
メインバーナ20に正常に着火された場合は、フレームロッド38を通る炎電流は所定の判定値以上であるので、ガス電磁弁26は開かれたままでガス湯沸器は作動を継続し、熱交換器12を通る給水はメインバーナ20により加熱されて給湯栓17から出湯される。給湯栓17を閉じれば水圧応動弁28が閉じると同時に水流スイッチ31がオフとなって、ガス湯沸器は作動を停止する。作動状態において、ガス湯沸器が設置された環境の空気中の酸素濃度が低下したり、あるいは燃焼用空気の通路に詰まりを生じて燃焼用空気量が不足したりすると不完全燃焼を生じる。以下にそれぞれの場合の作動につき説明する。
【0020】
先ず、燃焼用空気の通路に詰まりはないが、充分な換気をすることなくガス湯沸器の使用を続けるなどにより、周囲の空気中の酸素濃度が低下した場合における不完全燃焼防止作用の説明をする。周囲の酸素濃度が次第に減少するのに応じてメインバーナ20の炎口22に生成される炎にリフトが生じ、炎の根元部に生じる未燃焼ガス部分の長さが次第に増大する。これにより正常な燃焼状態では燃焼している炎内にあったフレームロッド38の先端部が次第に未燃焼ガス部分内に移るので、炎電流は次第に減少し、その値が所定の判定値I0以下となればバーナコントローラ30は作動コイル26aに対する電流を停止してガス電磁弁26を閉じ、メインバーナ20への燃料ガスの供給を停止してガス湯沸器の作動を停止させる。この判定値I0は例えば1μAであり、そのときの比率CO/CO2 の値は例えば0.035である。空気中の酸素濃度が低下した場合の不完全燃焼の防止はこのようにしてなされる。なおこの場合には、還流管13を通る燃焼廃ガスの流れは実質的に生じない。
【0021】
次に、空気中の酸素濃度は正常であるが、内胴スカート10の上側に設けた熱交換器12のフィン12bに燃焼生成物などによる詰まりが生じ、空気の流れが悪くなって燃焼用空気量が不足した場合の不完全燃焼防止作用の説明をする。このような詰まりなどによる燃焼廃ガス通路の通路面積の閉塞率が増大するにつれて内胴スカート10と熱交換器12とメインバーナ20の間に形成される燃焼室14内の上部の圧力が次第に上昇するが、還流管13を設けていない従来のものでは、熱交換器12などの詰まりにより不完全燃焼が生じても、炎口22に生じる炎は殆どリフトしない。しかし図1に示すような還流管13を設けた上記実施の形態では、このような閉塞率が増大して燃焼室14内上部の圧力が上昇するにつれて、実線の矢印に示すように還流管13の本体部13aから戻し管部13bを通ってフレームロッド38を設けた炎口22付近に戻される燃焼室14内上部の燃焼廃ガスは、この閉塞率が増大するにつれて次第に増加する。これによりその炎口22付近の燃焼用空気の酸素濃度が減少するので、その炎口22に生成される炎は次第にリフトし、炎の根元部に生じる未燃焼ガス部分の長さが次第に増大する。これにより、前述の場合と同様、正常な燃焼状態では燃焼している炎内にあったフレームロッド38の先端部が次第に未燃焼ガス部分内に移るので、図4(b) に示すように、フレームロッド38を通る炎電流は次第に減少する。バーナコントローラ30はこの炎電流の値が所定の判定値I0以下となれば作動コイル26aに対する電流を停止し、メインバーナ20への燃料ガスの供給を停止してガス湯沸器の作動を停止させる。
【0022】
この作用を更に詳しく説明すれば、このような定常状態においては、閉塞率の増大に伴う内胴スカート10内の圧力の増大による還流管13の本体部13aから大径管部13cに向かう燃焼廃ガスの流れは穏やかであり、大径管部13c内には周囲の外気よりも高温で密度が小さい燃焼廃ガスが溜まる。これにより、外気に開口される大径管部13cの下端から上に進むつれて大径管部13c及び本体部13a内と外気との圧力差は増大する。この圧力差により、燃焼室から還流管13の本体部13aに流れる燃焼廃ガスは、相当量が戻し管部13bを通ってフレームロッド38を設けた炎口22に向かって流れ、残りが大径管部13cの下端から外部に排出される。この戻し管部13bを通る燃焼廃ガスの量は閉塞率の増大に応じて増大し、検出される炎電流はこれに応じて減少し、これが所定の判定値I0以下となればバーナコントローラ30がガス湯沸器の作動を停止させるものである。この判定値I0は本実施例では1μAであるが、還流管13の形状寸法、特に戻し管部13bへの分岐部から大径管部13cの下端までの寸法を調整することにより、ガス湯沸器の作動を停止させる熱交換器12のフィン12bの閉塞率を適当に選択することができる。熱交換器12に詰まりを生じた場合の不完全燃焼の防止はこのようにしてなされる。
【0023】
次に、バーナへの着火により内胴スカート10内の圧力が瞬間的に増大することにより還流管13に戻される燃焼廃ガスによる炎電流の変化の説明する。図4(a) は、燃焼廃ガス通路の通路面積の閉塞率がそれぞれ異なる場合における、コールドスタート時の炎電流の時間的変化を示す図であり、ガス湯沸器の作動開始時に燃料ガスに着火されれば急激に増加してから、閉塞率が0%の場合を除き一旦減少し、再び増加して定常状態の値に収れんする。図3の場合における同様な変化を示す図5(a) に比して、図4(a) では一旦減少する際の極小値が大きくなっており、閉塞率が30%近くになるまでは、この極小値が判定値I0に達してバーナコントローラ30がガス湯沸器の作動を停止させることはない。
【0024】
このように炎電流の極小値が大きくなるのは、戻し管部13bは還流管13の本体部13a下端部の大径管部13cへの連結部付近から分岐されており、この分岐部から下側となる還流管13の抵抗は小さいためと考えられる。着火直後の瞬間的な圧力増大により還流管13内に生じる燃焼廃ガスの流れは急激であり、慣性により本体部13aの下端から大径管部13cを通って外部に排出されるが、分岐部より下側では殆ど抵抗を受けることがないので、戻し管部13bからフレームロッド38を設けた炎口22に向かって流れる燃焼廃ガスの量は僅かである。従って、フレームロッド38を設けた炎口22に生じる炎の一時的リフトは少なくなり、炎電流が一時的に減少する際の極小値が大きくなるためと考えられる。
【0025】
この極小値は、大径管部13cの内径を大きくすることにより、あるいは大径管部13cの上部から戻し管部13bを分岐することにより更に大きくすることができる。一方、戻し管部13bに流れる燃焼廃ガスの比率は、外気に開口される大径管部13cの下端から戻し管部13bへの分岐部までの距離が大きくなるほど多くなる。従ってこれらの寸法を変えることにより、定常状態及び着火直後のそれぞれにおいてガス湯沸器が作動を停止する際の閉塞率を調整することができる。
【0026】
以上の実施の形態は、点火栓によりメインバーナに直接着火する方式のガス湯沸器に本発明を適用した例につき説明したが、本発明はパイロットバーナによりメインバーナに着火する方式のガス湯沸器に適用することも可能であり、その場合にはフレームロッドをパイロットバーナに設け、還流管13の戻し管部13bはこのパイロットバーナに向けるようにしてもよい。また本発明は、上記実施の形態のように先止め式のガス湯沸器にかぎらず、元止め式のガス湯沸器に適用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、定常状態では、検出される炎電流は燃焼廃ガス通路の通路面積の閉塞率の増大に応じて減少し、これが所定の判定値以下となればガス電磁弁を閉じてバーナへの燃料ガスの供給を停止するので、ガス湯沸器の不完全燃焼を防止することができる。また着火直後には、内胴スカート内の瞬間的な圧力増大により生じる炎電流の減少は僅かであるので、着火直後の一時的な炎電流の減少によりガス電磁弁を閉じてガス湯沸器の作動を停止させることはなくなる。なおバーナへの着火がなされなかった場合には、直ちにこれに応答してバーナへの燃料ガスの供給を停止するので、不着火の場合の未燃焼ガスの放出時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス湯沸器の不完全燃焼防止装置の一実施形態の全体構造を示す図である。
【図2】図1の2−2線に示す部分拡大上面図である。
【図3】先願技術における還流管の下部構造の1例を示す図である。
【図4】図1に示す実施形態の、作動開始からの炎電流の時間的変化特性及び閉塞率に対する炎電流の変化特性を示すである。
【図5】図3に示す先願技術のある数値例における図4に対応する特性図である。
【図6】図3に示す先願技術の別の数値例における図4に対応する特性図である。
【符号の説明】
10…内胴スカート、12…熱交換器、13…還流管、13a…本体部、13b…戻し管部、13c…大径管部、20…バーナ(メインバーナ)、22…炎口、26…ガス電磁弁26、30…バーナコントローラ、38…フレームロッド。
Claims (1)
- 内胴スカートと、この内胴スカートの上側に連続して設けた熱交換器と、前記内胴スカートの下部に設けたバーナを備えてなり、前記熱交換器内を通る給水を前記バーナにより加熱するようにしたガス湯沸器において、前記バーナの炎口の一部の上方で正常な燃焼状態において同炎口に生成される炎内に位置するフレームロッドと、このフレームロッドに電圧を印加して同フレームロッドを通る炎電流を検出しこの炎電流が所定の判定値以下であれば前記バーナに燃料ガスを供給するガス電磁弁を閉じるバーナコントローラと、上端部が前記熱交換器の下側において前記内胴スカート内に開口され下部に前記フレームロッドを設けた前記炎口に向かって開口された燃焼廃ガスの戻し管部を有する還流管を備え、この還流管は前記上端部からほゞ真直に下方に延びる本体部と、この本体部の下端部に連続して設けられてその下端が内胴スカートの外側において解放された大径管部と、前記本体部と大径管部の連結部付近から分岐された前記戻し管部よりなることを特徴とするガス湯沸器の不完全燃焼防止装置。
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