JP3596767B2 - 光記録媒体再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク状の光記録媒体から信号を再生するために光記録媒体の種類を判別する機能を有する光記録媒体再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の情報記録再生装置では、光ヘッドのトラッキング制御とフォーカス制御が行われ、記録時及び再生時にデータを正確に書き込み、また読み出すようにしている。かかる制御は所謂サーボ制御回路により光ヘッドを制御することにより行われている。光ヘッドのトラッキング制御に用いるトラッキングエラー信号を生成する方法としては、3ビーム法と位相差法(位相差検出法:DPD法)が一般に実用されている。これらの方法は例えばオーム社発行の「コンパクトディスク読本」pp134−138(昭和57年)や特開昭61−230637号公報などに示されている。ディスク状の光記録媒体としては種々のものが開発されているが、直径12cmのディスクとしては、所謂CD(コンパクトディスク)の他に、CD−ROM、ビデオCD、DVD(デジタルバーサタイルディスク)など複数種類が実用化されている。これらのディスクは記録されている情報のデータフォーマット、圧縮方式、データ記録密度などが様々であるが、いずれも直径が12cmであり、かつ光ヘッド(光ピックアップ)にてデータを読み出すことができることから、複数種類のディスクに兼用可能な再生装置が開発されている。厚さが1.2mmのCDと厚さが0.6mmの層を2枚貼り合わせたDVDとしての1層型、2層型、記録再生用の相変化型の兼用再生装置を構成するために、2焦点型光ヘッドを用いることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような2焦点型光ヘッドを用いた場合、所謂フォーカスサーチによって、適切な焦点位置を見つけ、フォーカスサーボ制御をオンとしなければディスクの種類を判別することができない。兼用再生装置ではディスクの種類に応じて、信号処理回路の各パラメータなどを適宜選択、設定しているので、ディスク種類の判別が終了しないと、ディスクのデータの再生を開始することができず、再生開始までに相当の時間を要していた。
【0004】
したがって、本発明は2焦点型光ヘッドを用いたCDとDVDの兼用再生装置に適するように、短時間でディスク状の光記録媒体の種類を判別することができる光記録媒体再生装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明は次の構成を有する光記録媒体再生装置を提供する。
第1と第2の厚みを有する光記録媒体にそれぞれ対応した第1と第2の光学手段から第1と第2の厚みを有する前記光記録媒体にレーザ光を照射して、前記光記録媒体からの反射光を検出する複数の光センサ部分を有する光ヘッドと、前記光ヘッド又は前記第1と第2の光学手段をフォーカス方向に移動してフォーカスサーチを行うフォーカスサーチ手段と、前記光ヘッドからの出力信号に応答して前記第1と第2の厚みを有する光記録媒体に対応する周波数特性変更手段を備えた信号処理手段とを有して、前記光記録媒体を再生する光記録媒体再生装置において、
前記フォーカスサーチ中に得たフォーカスエラー信号の傾きを測定するための微分手段と、
前記微分手段で得られた前記フォーカスエラー信号の傾きを用いて前記光記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に応じて前記信号処理手段における周波数特性変更手段の特性を変更する変更手段とを、
有することを特徴とする光記録媒体再生装置。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光記録媒体再生装置の実施の形態を好ましい実施例によって説明する。図2は本発明に係る光ディスク再生装置の一例を示すブロック図である。この光ディスク再生装置は再生専用型のCDとDVDから情報を再生するものであり、DVDとしては再生専用の2層型のもの、ライトワンス型のもの、記録再生型のものが含まれる。図1は図2中の光ピックアップ(PU)とその出力信号に応答する演算装置(図2のプリアンプの一部)を示す回路図であり、ディスクの種類の判別結果に応じて2種類のトラッキングエラー信号の一方を選択する回路例を示している。
【0007】
図2において、ディスク1がスピンドル(SP)モータ3によりCLV(線速度一定)で回転されるようモータドライバ/トラッキング・フォーカス制御回路4により制御が行われる。光ピックアップ(光ヘッド)2によりディスク1より読み出された信号はプリアンプ5に供給され、その出力信号はデジタルサーボ制御回路6に与えられる。システムコントローラ7はプリアンプ部5及びデジタルサーボ制御回路6と信号の授受を行い、光ディスク再生装置全体を制御する。デジタルサーボ制御回路(DSV)6の出力信号はモータドライバ/トラッキング・フォーカス制御回路4に供給され、スピンドルモータ3の回転制御と光ピックアップのトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御を行う。なお、DSV6はサーボ制御回路の他に可変速コントローラ/メモリコントローラ/EFM復調回路/エラー訂正回路などを含み、図示省略のメモリを利用して、再生信号を送出する機能をも有する。光ピックアップ2は図示省略のトラバースモータにてディスク1の半径方向に移動可能であり、また図示省略のフォーカスサーボ制御機構により対物レンズがフォーカス方向、すなわち光路に沿った方向に移動可能である。
【0008】
光ピックアップ2はまた、レーザビームをディスク1に照射するレーザダイオードを有し、その反射光に基づいてディスク1に記録された光学的情報を再生した信号を出力したり、図1に示すように非点収差法によるフォーカスエラー信号FE検出用であり、かつ位相差法によるトラッキングエラー信号検出用でもある信号A〜Dと3ビーム法の2種類のトラッキングエラー信号検出用信号E、Fを出力する。これらの信号はプリアンプ5に供給されて必要な演算が行われる。
【0009】
図1は4分割光センサ部分A、B、C、Dと3ビーム法に用いる光センサ部分E、Fとを有する光ピックアップ1を模式的に示し、かつそれらの光センサ部分からの出力信号に応答する演算装置を示している。なお、符号A〜Fはこれらの光センサ部分とその出力信号の双方を示している。加算器10は対角線上にある光センサ部分A、Cの出力信号を互に加算して出力し、加算器12は他の対角線上にある光センサ部分B、Dの出力信号を互に加算して出力するものである。加算器14、22は共に加算器10、12の出力信号同士を加算するものであり、減算器16、20は共に加算器10の出力信号から加算器12の出力信号を減算するものである。また、減算器18は光センサ部分Eの出力信号から光センサ部分Fの出力信号を減算するものである。加算器14の出力信号は遅延回路24を介して乗算器(×)26の一方の入力端子に与えられ、減算器16の出力信号はそのまま乗算器26の他方の入力端子に与えられる。乗算器26の出力信号はLPF28を介してスイッチ30の一方の入力端子(1側)に与えられ、減算器18の出力信号はスイッチ30の他方の入力端子(0側)に与えられる。スイッチ30の出力端子からは選択されたトラッキングエラー信号TEが出力される。
【0010】
スイッチ30に与えられる制御信号CONTはスイッチ30を制御して、その2つの入力信号の一方を選択するもので、後述するようにシステムコントローラ7のマイコンで生成される。減算器20の出力信号はフォーカスエラー信号FEとして用いられるべく、周知のフォーカスサーボ制御系に与えられる。加算器22の出力信号は4分割光センサ部分の和信号(サムオール(SA)信号)として出力される。この和信号SAはディスクの記録情報を読み出すための主信号であるとともに、後述のディスク種類判別のための測定対象信号となる。なお、和信号SAに含まれる可能性のある高周波成分を除去するために、図示省略のLPFを介して和信号SAを出力することもできる。また、フォーカスエラー信号FEは周知のフォーカスサーボ制御に用いられる。なお、遅延回路24の遅延時間はDVDの再生周波数における周期の1/4に相当する時間に設定される。
【0011】
システムコントローラ7は、図示省略のマイクロコンピュータ(マイコン)の後述する動作によりディスク種類の判別を行う。なお、本発明によるディスク種類判別の結果により2種類のトラッキングエラー信号を切り換えて、記録密度の低いCDと記録密度の高いディスクとで、3ビーム法と位相差法を使い分けることができるが、システムコントローラ7内のマイコンはディスク1の種類に応じて制御信号CONTを生成する。すなわち、記録密度の低いCDであると判断されると、3ビーム法のトラッキングエラー信号を選択すべく、図1のスイッチ30を0側に接続して減算器18の出力信号を出力する。一方、記録密度が高いディスクであると判断されると、位相差法のトラッキングエラー信号を選択すべく、スイッチ30を1側に接続してLPF28の出力信号を出力する。
【0012】
次に、光ピックアップ2として2焦点型のもの、すなわち特開平7−65407号公報や、特開平7−98431号公報に示されるような、対物レンズに収束点を2つ設けて厚みの異なるディスクに対応可能としたものを用いて、ディスクの種類を判別する手法について説明する。光ピックアップ2はNA=0.38mmとNA=0.6mmのスポットにて、2種類のディスク、すなわち板厚t1=1.2mmのCDとt2=0.6mmのDVDから情報を読み出すものとする。2焦点間の距離は0.3mmとする。ディスク表面と信号面とで同時に結像すると、ディスク表面の影響として低周波での変調やオフセットの影響を受けるので、2焦点間の間隔はディスクの厚みと同様に設定することはできない。
【0013】
図3は、かかる2焦点型光ピックアップでのディスク1へのレーザビームの集光状態を示す図である。1−a はt1=1.2mmのディスク、1−b はt2=0.6mmのディスク、1−c は1層が0.6mmの2層型ディスク(層間距離t3=40μm)への集光状態を示し、先行上側のビームが1.2mm用で、後行下側のビームが0.6mm用である。図3中、α、β、γ、δは光ピックアップ2の対物レンズがフォーカス方向に移動した各々の状態を示している。図4は図3に対応して光ピックアップ2にてフォーカスサーチを行ったときの出力信号から得られる様々な信号波形を示している。すなわち図4の縦軸は電圧であり、横軸が時間であり、pはピークを示している。2焦点型光ピックアップはホログラムレンズにて構成されるため、特開平7−98431号公報のように2焦点の2つのスポット以外にも信号が検出されるが、ここでは2焦点検出信号以外の信号は省略している。
【0014】
図4の 2−a 〜 2−d は図3の 1−a のディスクに、2−e 〜 2−h は図3の 1−bのディスクに、2−i 〜 2−l は図3の 1−c のディスクにそれぞれ対応している。また、図1の和信号SAが図4の 2−a, 2−e, 2−i であり、フォーカスエラー信号FEが図4の 2−b, 2−f, 2−j であり、さらに和信号SAを点線で示すスレショルドと比較した結果得られた信号が図4の 2−c, 2−g, 2−k であり、さらにフォーカスエラー信号FEを点線で示すスレショルドと比較した結果得られた信号が図4の 2−d, 2−h, 2−l である。
【0015】
フォーカスサーチは光ピックアップ2のフォーカスコイルに印加する電圧を増加あるいは減少させることにより、光ピックアップ2の光学系の一部である対物レンズを光路に沿って移動せしめることにより行われる。図4の波形 2−a において、図中左側のピークが図3の 1−a のディスクのαの状態にて得られ、右側のピークが同じくβの状態にて得られる。このように、図4におけるピークは図3のα、βに対応し、また波形 2−i 〜 2−l における4つのピークは図3の 1−cのディスクのα、β、γ、δに対応している。図5は2層ディスクにおけるフォーカスサーチを示す波形図であり、0.6mmのディスクの2層目でサーボ制御をオンとする場合を示している。 3−a はフォーカスコイルに印加する電圧であり、3−b 〜 3−e は図4の例えば 2−i 〜 2−l に相当する波形である。
【0016】
図6は本発明の第1実施例として上記図3及び図4に示すフォーカスサーチによりディスクの種類を判断するためのマイコンの動作手順を示すフローチャートである。なお、ディスクの種類の判断結果を用いて図1のスイッチ30を制御して3ビーム法と位相差法のトラッキングエラー信号の一方を選択するためのマイコンの動作手順は、図8のフローチャートに沿って後述する。図6において、再生装置の電源が投入されたり、ディスクが交換されたり、複数層型ディスクで他の層のデータ再生が求められたときにこのフローがスタートするものとし、まずマイコンに接続されている図示省略のメモリやバッファの所定内容をクリアするなどのイニシャライズをステップS1で行い、次いでステップS15でフォーカスサーチを開始し、ピーク電圧V1、V2、V3をそれぞれ格納するレジスタの内容を0にし、タイマをスタートさせる。次いでステップS16で和信号SAの電圧をA/D変換して得られるデジタル値を順次読み取り、所定のA/D変換レジスタに順次格納し、前回値との比較を順次行う。ステップS17ではステップS16の順次の比較の結果、ピーク値が検出されたか否かを判断する。YESであればステップS18でピーク値をV1レジスタに格納し、NOであればステップS16に戻る。
【0017】
ステップS17の終了後は、ステップS19でA/D変換レジスタをリセットし、上記ステップS16、S17と同様のステップS20、S21を実行し、ステップS22で次のピーク値をV2レジスタに格納し、A/D変換レジスタをステップS23でリセットする。次のステップS24でタイマによる計測時間が設定値を超えた(オーバーフロー)か否かを判断し、超えていればステップS28へ、超えていなければステップS25へ行く。ステップS25、S26はそれぞれ上記ステップS16、17と同様の内容であり、ステップS27でピーク値をV3レジスタに格納する。ステップS28ではこれまでに得られた各ピーク値V1、V2、V3を用いて比較演算を行う。
【0018】
次のステップS29ではV1が所定値Q1より小さいか、あるいはV2が所定値Q2より小さいかを判断し、YESであればステップS34の異常処理ルーチへ移行する。これらの所定値Q1、Q2は通常のディスクでのフォーカスサーチにて得られるピーク値より十分小さい値である。ステップS29でNOであれば、ステップS30でV1/V2>Q3か否かを判断する(Q3は1.2mmの厚さのディスクで通常得られるV1とV2の比の例えば70%程度の値の所定値:この値は再生装置の設計により変動し、光量差の関係からV1とV2の比が逆となることもあり、他の同様な比較ステップにも言える)。ステップS30でYESなら、現在のディスクは1.2mmの厚さのものと判断し、ステップS40で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS31でフォーカスサーボ制御をオンとする。一方、ステップS30でNOなら、ステップS32でV2/V1>Q4か否かを判断する(Q4は0.6mmの厚さのディスクで通常得られるV2とV1の比の例えば70%程度の値の所定値)。
【0019】
ステップS32でYESなら、現在のディスクは0.6mmの厚さのものと判断し、ステップS41で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS33で所定のフォーカスサーボ制御をオンとする。一方、ステップS32でNOなら、ステップS36でV3>V1(V3が測定される場合)であり、かつV3>V2であるか否かを判断する。ステップS36でYESなら、ステップS42で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS37で図5の 3−C に示す信号がセンター値となった時点SC(波形 3−e 参照)でフォーカスサーボ制御をオンとする。図示しないがステップS31、33のフォーカスサーボ制御をオンとする動作も、1回のフォーカスサーチ中にディスクの種類を検出することができるので、フォーカスサーチ中に例えば、波形 2−e でのピーク電圧V2の検出直後にフォーカスサーボ制御をオンとすることができ、逆方向のフォーカスサーチにてもフォーカスサーボ制御をオンとすることができる。
【0020】
図6のフローチャートではピーク値V4は用いていないが、これはV3の検出と、そのV1、V2との比較により2層ディスクであると判断されれば、V4を検出する前のV3の時点でサーボ制御をオンとすることにより、サーチ時間を短縮することができるからである。上記ステップS40、S41、S42における所定のパラメータの設定は、判別されたディスクの種類に応じて、光ヘッドのレーザパワー、プリアンプ5におけるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する回路のゲイン、オフセット、バランスなどのパラメータや、プリアンプ5又はDSV6における後述するイコライザの特性の切り換え、同じくプリアンプ5又はDSV6におけるトランスバーサルフィルタの単位遅延素子の遅延量、タップゲイン設定などの項目中必要なパラメータを設定するものである。ここで、イコライザやトランスバーサルフィルタはプリアンプ5又はDSV6のいずれかのブロックに含まれているものとする。なお、ここでは和信号SAの振幅を測定したが、ピーク値を測定するに際に、フォーカスエラー信号FEのゼロクロスのタイミングを用いてもよいし、フォーカスエラー信号FEである信号2−b, 2−f, 2−j のSカーブの電圧値(片側又は両側の対称の電圧値)を測定しても同様である。
【0021】
図7はフォーカスサーチによるディスク種類の判断が上記図6の例とは異なる他の手法(第2実施例)を用いた場合の図6と同様なディスク判別のためのマイコンの動作手順を示すフローチャートである。図7の例では図6のピーク電圧V1、V2、V3の代りにピークに相当する部分の所定のしきい値の時間幅を計測し、それらの比較によってディスクの種類を判断している。ステップS1までは図6と同様で、ステップS15Aでフォーカスサーチを開始し、各ピークの時間幅T1、T2、T3をそれぞれ格納するレジスタの内容を0にし、タイマをスタートさせる。次いでステップS16で和信号SAの電圧をA/D変換して得られるデジタル値を順次読み取り、所定のA/D変換レジスタに順次格納し、前回値との比較を順次行う。ステップS17ではステップS16の順次の比較の結果、ピーク値が検出されたか否かを判断する。YESであればステップS18Aで時間幅をT1レジスタに格納し、NOであればステップS16に戻る。
【0022】
ステップS17の終了後は、ステップS19でA/D変換レジスタをリセットし、上記ステップS16、S17と同様のステップS20、S21を実行し、ステップS22Aで次の時間幅をT2レジスタに格納し、A/D変換レジスタをステップS23でリセットする。次のステップS24でタイマによる計測時間が設定値を超えた(オーバーフロー)か否かを判断し、超えていればステップS28Aへ、超えていなければステップS25へ行く。ステップS25、S26はそれぞれ上記ステップS16、17と同様の内容であり、ステップS27Aで時間幅をT3レジスタに格納する。ステップS28Aではこれまでに得られた各時間幅T1、T2、T3を用いて比較演算を行う。
【0023】
次のステップS29AではT1が所定値Q1より小さいか、あるいはT2が所定値Q2より小さいかを判断し、YESであればステップS34の異常処理ルーチンへ移行する。これらの所定値Q1、Q2は通常のディスクでのフォーカスサーチにて得られる時間幅より十分小さい値である。ステップS29AでNOであれば、ステップS30AでT1/T2>Q3か否かを判断する(Q3は1.2mmの厚さのディスクで通常得られるT1とT2の比の例えば70%程度の値の所定値)。ステップS30AでYESなら、現在のディスクは1.2mmの厚さのものと判断し、ステップS40で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS31で所定のフォーカスサーボ制御をオンとする。一方、ステップS30AでNOなら、ステップS32AでT2/T1>Q4か否かを判断する(Q4は0.6mmの厚さのディスクで通常得られるT2とT1の比の例えば70%程度の値の所定値)。
【0024】
ステップS32AでYESなら、現在のディスクは0.6mmの厚さのものと判断し、ステップS41で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS33で所定のフォーカスサーボ制御をオンとする。一方、ステップS32でNOなら、ステップS36AでT3>T1(T3が測定されている場合)であり、かつT3>T2であるか否かを判断する。ステップS36AでYESなら、ステップS42で所定のパラメータ設定を行い、次いでステップS37で図5の 3−C に示す波形のピーク中心点(波形 3−e における時点SC)でフォーカスサーボ制御をオンとする。
【0025】
図7のフローチャートでは時間幅T4は用いていないが、これはT3の検出と、そのT1、T2との比較により2層ディスクであると判断されれば、T4を検出する前のT3の時点でサーボ制御をオンとすることにより、サーチ時間を短縮することができるからである。ステップS40、S41、S42は図6同様パラメータの設定を判断されたディスクに応じて行うものである。なお、ここでは和信号SAを整形した信号 2−c, 2−g, 2−k の時間幅を測定したが、フォーカスエラー信号FEである信号 2−b, 2−f, 2−j を整形した信号 2−d, 2−h, 2−l の全時間幅T1、T2、T3又は3値信号の最小値の区間、中値の区間、最大値の区間の合計時間を測定しても同様である。
【0026】
図8は図6又は図7におけるディスク種類判別結果に応じて、トラッキングエラー信号を選択すべく図1のスイッチ30を制御するための手順を示すフローチャートである。ステップS31でフォーカスサーボ制御をオンとしたときは、次のステップS4で3ビーム法によるトラッキングエラー信号を選択する。一方、ステップS33又はステップS37でフォーカスサーボ制御をオンとしたときは、次のステップS5へ行き位相差法を選択する。ステップS4、S5のあとはステップS6で再生処理を実行する。3ビーム法のトラッキングエラー信号を選択するときは、図1のスイッチ30を0側に接続して減算器18の出力信号を出力する。一方、位相差法のトラッキングエラー信号を選択するときは、スイッチ30を1側に接続してLPF28の出力信号を出力する。
【0027】
上記第1及び第2実施例では2つのピークを示す電圧値あるいは2つのピークの持続時間を比較するにあたり、値の差ではなく、比を用いているので2焦点の光量が1:1のときのみならず、2焦点の光スポットの光量が異なる場合にも適した手法である。次に、2焦点の光スポットの光量が異なる場合に特に適した第3実施例及び第4実施例について説明する。図9は2焦点の光スポットの光量が異なる場合を示した波形図である。各波形 6ーa 〜 6−l は図4の各波形 2−a 〜2−l に対応する。第3実施例は、図6に示した第1実施例の変形例であり、第4実施例は、図7に示した第2実施例の変形例である。
【0028】
第3実施例は図6のフローチャート中、ステップS30以下を図10に示すフローチャートのように変更したものである。また第4実施例は、同様に図7のフローチャート中、ステップS30A以下を図11に示すフローチャートのように変更したものである。図10において、ステップS30がYESのときは、ステップS45で先のステップS15でのフォーカスサーチ方向とは逆方向のフォーカスサーチを開始し、ピーク電圧V1、V2、V3をそれぞれ格納するレジスタの内容を0にし、タイマをスタートさせる。次いでステップS46で和信号SAの電圧をA/D変換して得られるデジタル値を順次読み取り、所定のA/D変換レジスタに順次格納し、前回値との比較を順次行う。ステップS47ではステップS46の順次の比較の結果、ピーク値が検出されたか否かを判断する。YESであればステップS48でピーク値をV1レジスタに格納し、NOであればステップS46に戻る。ステップS47の終了後は、ステップS49でA/D変換レジスタをリセットし、上記ステップS46、S47と同様のステップS50、S51を実行し、ステップS51でピーク値のときにステップS52でパラメータを設定し、次いでステップS53でフォーカスサーボ制御をオンとする。
【0029】
第4実施例を示す図11はピークの比較に電圧値ではなく、ピークの持続時間を用いたものであり、図11において、ステップS30AがYESのときは、ステップS55で先のステップS15Aでのフォーカスサーチ方向とは逆方向のフォーカスサーチを開始し、ピークの持続時間T1、T2、T3をそれぞれ格納するレジスタの内容を0にし、タイマをスタートさせる。次いでステップS56で和信号SAの電圧をA/D変換して得られるデジタル値を順次読み取り、所定のA/D変換レジスタに順次格納し、前回値との比較を順次行う。ステップS57ではステップS56の順次の比較の結果、ピーク値が検出されたか否かを判断する。YESであればステップS58でピークの持続時間T1レジスタに格納し、NOであればステップS56に戻る。ステップS57の終了後は、ステップS59でA/D変換レジスタをリセットし、上記ステップS56、S57と同様のステップS60、S61を実行し、ステップS61でピーク値のときにステップS62でパラメータを設定し、次いでステップS63でフォーカスサーボ制御をオンとする。
【0030】
図13は上記第3及び第4実施例の動作を説明する波形図であり、各波形図 7ーa 〜 7−e の信号の種類は図5の各波形 3−a 〜 3−e に対応する。但し、1.2mmのディスクで、両方向のフォーカスサーチを行いサーボ制御をオンとする場合を示している。すなわち、光ヘッドの対物レンズを駆動する電流 7−a が徐々に増加して、対物レンズがディスクに接近(順方向フォーカスサーチ)した後、今度は電流が減少して、逆方向のフォーカスサーチが行われる。波形 7−e におけるタイミングSCはフォーカスサーボ制御をオンとする時点を示している。なお、第3及び第4実施例で0.6mmのディスクの2層目でサーボ制御をオンとする場合は先の第1及び第2実施例における図5と同様の波形となる。
【0031】
第3及び第4実施例におけるステップS52又はステップS62のパラメータ設定では、判別されたディスクの種類に応じて、光ヘッドのレーザパワー、プリアンプ5におけるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する回路のゲイン、オフセット、バランスなどのパラメータや、プリアンプ5又はDSV6における後述するイコライザの特性の切り換え、同じくプリアンプ5又はDSV6におけるトランスバーサルフィルタの単位遅延素子の遅延量、タップゲイン設定などの項目中必要なパラメータを設定するものである。
【0032】
プリアンプ5又はDSV6に内蔵されるトランスバーサルフィルタは図12に示すような構造のものである。トランスバーサルフィルタを構成する単位遅延素子の遅延時間T及びタップゲインG0〜G4はディスクの種類に応じて図示省略のコントローラのプログラムROMに予め記憶しておいたデータを用いて制御可能である。Tの例としては、1.2mmのCDの場合T=440ns、0.6mmのDVDの場合T=80nsの2つを切り換えることができる。G0〜G4の例としては、1.2mmのCDの場合G2=1、G1=G3=0.12、G0=G4=0とし、0.6mmのDVDの場合G0=0.02、G1=0.2、G2=1、G3=0.2、G4=0.02とし、さらにフォーカスサーチ時は周波数特性を除去するためにG2=1とし、他を0としておく。
【0033】
次に本発明の第5実施例について説明する。図16は第5実施例に用いる演算回路(図2のプリアンプの一部)を示すブロック図である。なお、トラッキングエラー信号の生成については、図1の回路を用いることもできる。図16の回路は特開昭57−74837号公報の第4図に示されているものを利用したものであり、図中図1と同参照符号のものは同一のものを示している。図1と異なる点について説明すると、加算器14の出力信号に応答する立下がりパルス発生回路32と立上がりパルス発生回路34の出力信号によりそれぞれ制御されるゲート回路36、40が減算器16の出力信号をゲートして、それぞれホールド回路38、42に与えられている。ホールド回路38、42の出力信号はそれぞれ減算器44の+と−入力端子に与えられ、減算器44の出力信号はスイッチ30の1側端子に与えられている。また、加算器14の出力信号はLPF28とイコライザ(EQ)46をそれぞれ介してそれぞれ和信号(SA)、EFM信号又はEFMプラス信号として出力される。
【0034】
したがって、マイコンからの制御信号CONTによりスイッチ30の0側が選択されたときは、図1同様3ビーム法のトラッキングエラー信号が出力され、1側が選択されたときは、前述の特開昭57−74837号公報の第4図に示されているものと同様のトラッキングエラー信号が選択される。このトラッキングエラー信号は和信号(加算器14の出力信号)の両エッジ(立下がりパルス発生回路32と立上がりパルス発生回路34の出力信号)で差信号(減算器16の出力信号)をサンプリングすることにより、差信号の時々刻々のピーク−ツー−ピーク値にビームスポットのトラックからのずれの方向に応じた符号を付けた値を求めることに相当する(同公報の第5図参照)。
【0035】
図14は図4に対応するものであり、図中細い線が密集している部分は高周波成分HFを示している。図15において、 9ーa はフォーカスコイル印加電圧であり、 9−b は和信号SA、 9−c はフォーカスエラー信号、 9−d は和信号SAをスレショルドと比較して得られた信号、 9−e はフォーカスエラー信号 9−C を所定スレショルドと比較して得られた信号、 9−f はEFM信号を比較器50で基準値Refと比較して得られる信号、 9ーg は図17のHFDET(D−FF56の出力信号)である。波形 9−e におけるタイミングSCはフォーカスサーボ制御をオンとする時点を示している。
【0036】
図17は図16の回路の出力信号中、和信号SAとEFM信号を用いて高周波成分HFを検出する回路の1例を示すブロック図である。EFM信号は比較器50に与えられ、基準信号Refと比較される。和信号SAはD−FF(フリップフロップ)52のD入力に与えられ、そのQ出力は次段のD−FF54のD入力に与えられ、そのQ出力はさらに次段のD−FF56のD入力に与えられ、そのQ出力は検出信号HFDETとして出力される。比較器50の出力信号は各D−FF52〜56のクロックとして与えられる。Resetは各D−FF52〜56のリセット信号である。
【0037】
図17の回路中の比較器50の出力信号、すなわちEFM信号の比較後の信号は図15の 9−f として示されている。D−FF52〜56は和信号SAを波形整形して作られた信号 9−d がH(ハイレベル)のときのみ、比較器50の出力信号のパルスをカウントし、この例では3カウントするとD−FF56の出力信号HFDET 9−g がHになる。この区間内に3カウントできない場合は、D−FF52〜56からなるカウンタは和信号SAなどによってリセットされる。なお、この例では3カウントとしているが、このカウント数は適宜所定の回数にすることができる。
【0038】
図18は図16の回路の出力信号中、EFM信号を用いて高周波成分HFを検出する回路の他の例を示すブロック図である。EFM信号はHPF58を介して比較器60に与えられ、基準信号Refと比較される。比較器60の出力はD−FF62のクロックとして与えられ、そのQ出力は検出信号HFDETとして出力される。D−FF62のD入力には所定値が常時与えられている。ResetはD−FF62のリセット信号である。図18の回路はEFM信号の高周波成分HFを抽出し、これを基準値Refと比較して得られた信号をラッチするものである。なお、図17、図18の回路以外にも高周波成分を検出するものであれば、他の構成を用いることが可能で、例えば、図17のカウンタ部分の入力部にHPFを設けるようにすることもできる。
【0039】
図16のイコライザ46の回路例としては図12に示したトランスバーサルフィルタの構成を用いることができる。このフィルタを構成する単位遅延素子の遅延時間T及びタップゲインG0〜G4はディスクの種類に応じて図示省略のコントローラのプログラムROMに予め記憶しておいたデータを用いて制御可能である。Tの例としては、1.2mmのCDの場合T=440ns、0.6mmのDVDの場合T=80nsの2つを切り換えることができる。G0〜G4の例としては、1.2mmのCDの場合G2=1、G1=G3=0.12、G0=G4=0とし、0.6mmのDVDの場合G0=0.02、G1=0.2、G2=1、G3=0.2、G4=0.02とし、さらにフォーカスサーチ時は周波数特性を除去するためにG2=1とし、他を0としておく。
【0040】
図16と図17を組み合わせた構成の動作について説明する。再生装置の電源投入などの後、スピンドル(SP)モータ3を起動し、フォーカスサーチを開始する。すなわち、フォーカスコイルへの印加電圧を図15の 9−a に示すように少しずつ増加させ、和信号SAをA/D変換してマイコンに取り込み、和信号SA(図15の 9−b )を読み込み、同時に図17の出力信号HFDET(図15の 9−g )を監視する。
【0041】
和信号SAが所定値を超え、かつ信号HFDETがHになり、フォーカスエラー信号(図15の 9−c )と所定値との比較で得られた信号 9−e を監視し、これがHからL(ローレベル)になった時点t(フォーカスサーチにおける所謂Sカーブのほぼゼロクロス点に相当)でフォーカスサーボ制御をオンとする。また、各ディスクの反射率の違いによる再生装置の諸パラメータ、例えば光ヘッドのレーザパワー、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成する回路のゲイン、オフセット、バランス、単位遅延素子の遅延時間、タップゲインなどを設定し、再生処理を実行する。
【0042】
上記第5実施例についてその動作を図19のフローチャートとともに説明する。ステップS1でイニシャライズをした後、ステップS15Bでフォーカスサーチを開始する。ステップS16Aで和信号SAの電圧を読み取り、レジスタに格納し、所定値との比較を行う。次のステップS63で和信号SAが所定値Q5より大きいか否かを判断するし、YESならステップS64で和信号SAのエッジが検出されたか否かを判断する。ステップS63でNOなら、ステップS16Aへ戻る。ステップS64で和信号SAのエッジが検出されたときは、ステップS65でカウンタのカウントCを1つインクリメントしてステップS16Aへ戻る。一方 、ステップS64で和信号SAのエッジが検出されないときは、ステップS66でHFDETがHであるか否かを判断する。NOのときはステップS16Aへ戻り、YESならステップS67でフォーカスエラー信号FEのエッジが検出されたか否かを判断する。
【0043】
フォーカスエラー信号FEのエッジが検出されると、ステップS68でカウントCが1か否かを判断し、1であれば装填されているディスクはCDであると判断し、CDに適したパラメータをステップS69で設定し、次いでステップS31でフォーカスサーボ制御をオンとする。C=1でないときは、ステップS70でC=2か否かを判断し、2であればDVDの1層のディスクであると判断し、それに適したパラメータをステップS71で設定し、次いでステップS33でフォーカスサーボ制御をオンとする。C=2でないときは、ステップS72でC=3か否かを判断し、3であればDVDの2層のディスクの1層目であると判断し、それに適したパラメータをステップS73で設定し、次いでステップS37でフォーカスサーボ制御をオンとする。カウントCの数によってディスクの種類を判断できるのは、図14に示したようにフォーカスサーチ中に得られる和信号SAのピークの数と、EFM信号中の高周波成分の検出されるタイミングの関係がディスクの種類によって一定の関係にあることによる。
【0044】
上記図16と図17を組み合わせた構成に代えて図16と図18を組み合わせても同様の動作を得ることができる。上記各構成で、和信号SAを2値化する比較器のスレショルドを複数用意しておくことにより、反射率の差異により和信号SAのレベルの異なるライトワンス型や、記録・再生型のディスクの検出も可能となる。上記動作説明は、再生専用のCDと1層型のDVDに適用した場合のものである。
【0045】
次に本発明の第6実施例について説明する。この実施例は、図1又は図16の回路を用いるものである。まず、図20と共に動作原理について説明する。いま、2焦点型光ピックアップでの光ディスク1への集光状態が、先に説明した図3に示す様なものであるとする。この状態に対応して、対物レンズを光ディスクに近づけるよう移動させてフォーカスサーチしたときに検出される信号が、図20に示されている。図20の信号波形中、信号 10−a 〜 10−d は図3の 1−a のディスクに、10−e 〜 10−h は図3の 1−b のディスクにそれぞれ対応している。また、図3の 1−a のαが図20の10−a のva点、βがvc点に対応する。図20のvb点は2焦点ピックアップの疑似焦点による信号である。同様に、図3の 1−b のαが図20の 10−e のva点、βがvc点に対応する。図20のvb点は2焦点ピックアップの疑似焦点による信号である。図1又は図16の和信号SAが図20の 10−a、 10−e、和信号SAを所定基準値とコンパレートして得た信号が 10−b、 10−f であり、さらに、フォーカスエラー信号FEが 10−c、 10−g、これを微分して得た信号が 10−d、10−h である。なおこれらの波形は模式的に示したものでありこの波形に限定されるものではない。
【0046】
ここで、2つの焦点に対して、図20の 10−abcd で、1.2mmディスクでフォーカスサーボ制御をオン(以下単にサーボオンという)とすべき 10−a のp点に対して、 10−a の振幅はvcの方が大きいのに対し、フォーカスエラー信号FEのSカーブの傾きである 10−d の振幅v1が最も大きいことが分る。同時にこの図では明らかにしていないが、 10−c のva点のSカーブの上下の対称性が最も対称であり、vb、vc点はあまり対称ではない。そこで、v1に加えて、v1a、v1bのレベルとv1のレベルをその他のvb、vcと比較することにより、より明らかにディスク種類を判別することができる。
【0047】
図20の 10−efgh では、0.6mmディスクでサーボオンすべき 10−e のp点に対して、 10−e の振幅はvcの方が大きいし、フォーカスエラー信号FEのSカーブの傾きである 10−h の振幅v3も最も大きい。同時にこの図では明らかにしていないが、 10−g のvc点のSカーブの上下の対称性が最も対称であり、va、vb点はあまり対称ではない。そこで、v3に加えて、v3a、v3bのレベルとv3のレベルをその他のva、vbと比較することにより、より明らかにディスク種類を判別することができる。この理由は、本来のスポットに対して、疑似スポットは収差やその他の要因によりスポットがぼけた状態になっていることが分かるからである。
【0048】
図2のプリアンプ5に内蔵されるトランスバーサルフィルター(図16のイコライザ)(単位遅延素子のTは1.2mmのCDの場合440ns、0.6mmのDVDの場合80nsの2つの切り換え可能)において、タップゲインを同様に1.2mmのCDでは、例えばG2のゲインを1とし、G1、G3=0.12、G0、G4を0として、0.6mmのディスクでは例えば、G0=0.02、G1=0.2、G2=1、G3=0.2、G4=0.02、フォーカスサーチ時は周波数特性を除去するためG2=1とし、その他を0としておく、となるように予めコントローラのプログラムROMに記憶しておく。
【0049】
第6実施例の具体的動作について図21を参照して説明する。図21中の信号波形 11−bcde は図20の 10−abcd に、図21の 11−ghij は図20の 10−efghにそれぞれ対応している。また、図21中 11−a、 11−f はフォーカスコイルへの供給電圧の変化を示している。図2の全体ブロックにおいて、プリアンプ5で生成された、図21の 11−b、 11−g で示される和信号SAと、プリアンプ5で生成された、図21の 11−d、 11−i で示されるフォーカスエラー信号FEをDSV6のA/D変換器にてサンプリングしてデジタル信号としてシステムコントローラ7のCPUに取り込む。フォーカスコイルへの供給電圧を増加してフォーカスサーチを開始( 11−a、 11−f 参照)した時点から、和信号SAが所定閾値を超えているとき(図21の 11−c、 11−h のHレベル区間)に、図21の 11−d、 11−i をサンプリングして、前回サンプリングした値との差を示す信号、すなわち微分信号である、 11−e、 11−j 信号の振幅を記憶する。なお、実際は和信号 11−b、 11−g をA/D変換してデジタル信号として処理するので、上記信号 11−c、 11−h は信号としては出力されない模式的なタイミング信号であり、また信号11−e、 11−jもA/D変換値を微分するもので信号としては出力されない模式的な信号である。
【0050】
信号 11−e、 11−j の振幅を記憶した後、サーチ中に3つのピークva、vb、vc、のHレベル区間中のv1、v2、v3(又はv1v1av1b、v2v2av2b、v3v3av3bの関係で)のどの信号が最大かを判定し、結果がv1であれば、CD、v3であれば、DVDと判定して、逆方向のフォーカスサーチを行い目的のva又はvcにて 11−d、 11−i のフォーカスエラー信号FEが基準電圧に達した時点でサーボオン処理を行う。なお、サーボオン処理とともに、あるいはサーボオン処理に先立って、判別されたディスク種類に応じて、各パラメータ(プリアンプにおけるゲイン、レーザーパワー、オフセット、バランス、トランスバーサルフィルターの単位遅延素子の遅延量、タップゲイン値など)を図示しないサーボブロックに設定し、フォーカスサーボオン以降の再生処理を行う。
【0051】
次に図22のフローチャートに従って第6実施例の動作の実際を説明する。まずイニシャライズにて所定レジスタ他をリセットし(ステップS1)、順方向フォーカスサーチを開始すべく、フォーカスコイルへの供給電圧を増加させる(ステップS82)。フォーカスサーチが開始されると和信号SAとフォーカスエラー信号FEのA/D変換のためのサンプリングが行われる(ステップS83)。次に和信号SAが所定値と比較してH(ハイ)になったかを判断し(ステップS84)、Hであればフォーカスエラー信号FEの前回値から今回値を減じた値の最小値=FEDをv1としてメモリに記憶する(ステップS85)。Hでないときは、ステップS83に戻る。
【0052】
続くステップS86〜S88と、さらにステップS88に続くステップS89〜S91は上記ステップS83〜S85と同様の動作であり、各FED=FEの前回値−FEの今回値の最小値をv2、v3としてそれぞれ記憶する。こうして、3つの最小値v1、v2、v3が記憶された後、ステップS92にて、これら3つの最小値v1、v2、v3の中の最小値を決定する。最小値は、例えば図21の 11−abcde ではv1、図21の 11−fghij ではv3となる。この決定の後、フォーカスコイルへの供給電圧を減少せしめて、逆方向のフォーカスサーチを開始する(ステップS93)。ステップS94で和信号SAがHとなった回数nのカウントを開始する。ここで、最小値がv1ならn=3のとき、また最小値がv3ならn=1のとき、ステップS96へ行き、これらの条件に合致しないときは、ステップS94へ戻る。
【0053】
ステップS96ではフォーカスエラー信号FEを測定し、下側のピークを過ぎて基準電圧(センター値)になったらフォカースサーボ制御をオンとする。次のステップS97では、SA=Hの回数をカウントするSAカウンタのカウントをチェックし、n=3であれば、v1が最小値であり、装填されたディスクはCDであると判定し、一方、n=1であれば、v3が最小値であり、装填されたディスクはDVDであると判定し、この判定結果に応じて、パラメータ(プリアンプのゲイン、レーザーパワー、オフセット、バランス、トランスバーサルフィルターの単位遅延素子の遅延量、タップゲイン値など)を図示しないサーボブロックに設定する。
【0054】
図21の波形 11−abcde の例ではカウントが3であるから、トランスバーサルフィルター(単位遅延素子のTは0.6mmのDVDの80nS)とし、タップゲインを0.6mmディスク用の値、例えば、G0=0.02、G1=0.2、G2=1、 G3=0.2、G4=0.02となるように設定する。ステップS97でパラメータを設定した後は、フォーカスのサーボオン以降の通常の再生処理を行う。
【0055】
上記第6実施例では、微分信号 11−e、 11−j をフォーカスエラー信号FEのA/D変換後のデジタル信号の差として得たが、A/D変換する前のフォーカスエラー信号FE信号をアナログ微分回路を通して微分し、微分後の信号をA/D変換するよう構成する実施例(第7実施例)とすることもできる。
【0056】
また第6実施例では電圧v1、v2、v3のみ、すなわち0レベルより下側のピーク値(負の値のピーク値)のみを相互比較したが、正の電圧であるv1a、v1b、すなわち0レベルより上側ピークをも比較対象に含めることにより、Sカーブの対称性の良否が判断できる。かかる手法により検出精度を向上させることができる。一つの例としての第8実施例ではv1+v1a+v1b、v2+v2a+v2b、v3+v3a+v3bを相互に比較する。この場合、例えばv1aとv1bが両方ともある閾値レベルを超えたときのみv1のレベルを確定し、例えばv3a、v3bでどちらかがある閾値を超えない場合は本来のスポットとは違うので、v3=0とする。これにより、誤検出を防止することができる。
【0057】
上記第6〜第8実施例では各ピークの傾きを示す電圧v1、v2、v3を検出していたが、波形 3−e、 3−j の上下又は下側の所定電圧閾値を用い、その所定電圧閾値を超えた時間を測定するようにすることもできる。かかる変化態様を第9実施例とする。すなわち、本来のスポットのフォーカスエラー信号FEは疑似信号と比べて傾きがより急峻であるので、閾値を超える時間が疑似信号における対応する時間より短いという性質がある。この性質を利用して本来の光スポットを正確かつ、安定に測定することができる。
【0058】
上記各実施例では特開平7−98431号公報に記載のように2焦点の2つの光スポット以外にて検出される疑似信号の処理は省略している。しかし、例えば図4の波形 2−a, 2−e, 図9の波形 6−a, 6−e, 図13の波形 7−a, 図14の波形8−a, 8−e おけるピーク値V1とV2の間にV1とV2の中間のレベルの信号が存在する場合、あるいは図4の波形 2−i, 図5の波形 3−b, 図9の波形 6−i, 図13の波形 7−a, 図14の波形 8−i, 図15の波形 9−b おけるピーク値V2とV3の間にV2とV3の中間のレベルの信号が存在する場合、第1乃至第4実施例では2乃至4のピークのピークレベル又は時間幅を測定しているが、同様に疑似信号を測定して、この測定値をも含めてレベル比や時間幅比を比較することも可能である。この場合、演算はやや複雑になるが、ディスク判別の精度を向上させることができる場合がある。また、第5実施例では信号ピークの数と高周波成分の検出タイミングを用いてディスク種類を判別していたが、疑似信号の場合はピークレベルの検出は可能でも、高周波成分を含んでいないので図19のフローチャートを適宜変更してカウント値の判別基準を変更すればよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、CDとDVDの兼用再生装置に適するように、フォーカスサーチ中にディスクの種類及び層の種類を判別することができ、またこの判別結果を用いて再生に必要なパラメータなどを適切に設定した後フォーカスサーボ制御をオンとすることができる。また、判別結果により3ビーム法で生成されたトラッキングエラー信号と位相差法で生成されたトラッキングエラー信号とを適宜切り換えて選択することもでき、さらにディスクの種類判別を迅速に行うことのできるので再生開始までの時間が短い光記録媒体再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連する光ピックアップとその出力信号に応答する演算装置(図2のプリアンプの一部)を示す回路図である。
【図2】本発明の1実施例を示すブロック図である。
【図3】2焦点型光ピックアップでのディスクへのレーザビームの集光状態を示す図である。
【図4】図3に対応して光ピックアップにてフォーカスサーチを行ったときの出力信号から得られる様々な信号波形を示す波形図である。
【図5】2層ディスクにおけるフォーカスサーチを示す波形図である。
【図6】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第1実施例)を示すフローチャートである。
【図7】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第2実施例)を示すフローチャートである。
【図8】フォーカスサーチによりディスクの種類を判断し、さらにその判断結果を用いて図1のスイッチ30を制御して3ビーム法と位相差法のトラッキングエラー信号の一方を選択するためのマイコンの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図9】2焦点の光スポットの光量が異なる場合を示した波形図である。
【図10】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第3実施例)の一部を示すフローチャートである。
【図11】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第4実施例)の一部を示すフローチャートである。
【図12】図2のプリアンプ又はDSVに含まれるトランスバーサルフィルタの構成を示すブロック図であり、かつ図16のイコライザの回路例としてのトランスバーサルフィルタの構成を示すブロック図でもある。
【図13】第3実施例及び第4実施例でフォーカスサーチを順方向と逆方向で行った場合の波形図である。
【図14】図3に対応して光ピックアップにてフォーカスサーチを行ったときの出力信号から得られる様々な信号波形を示す波形図である。
【図15】本発明の第5実施例にてフォーカスサーチを行ったときの出力信号から得られる様々な信号波形を示す波形図である。
【図16】本発明の第5実施例で図1に代えて使用する演算回路(図2のプリアンプの一部)を示すブロック図である。
【図17】図16の回路の出力信号中、和信号SAとEFM信号を用いて高周波成分HFを検出する回路の1例を示すブロック図である。
【図18】図16の回路の出力信号中、EFM信号を用いて高周波成分HFを検出する回路の他の例を示すブロック図である。
【図19】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第5実施例)の一部を示すフローチャートである。
【図20】図3に対応して光ピックアップにてフォーカスサーチを行ったときの出力信号から得られる様々な信号波形を示す波形図である。
【図21】2種類のディスクにおけるフォーカスサーチをそれぞれ示す波形図である。
【図22】図2中のシステムコントローラに用いられているマイクロコンピュータ(マイコン)の動作の中で、ディスク種類の判別を行うための処理手順(第6実施例)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 光ピックアップ(光ヘッド)
3 スピンドルモータ
4 モータドライバ/トラッキング・フォーカス制御回路
5 プリアンプ
6 デジタルサーボ(DSV)制御回路
7 システムコントローラ
10、12、14、22 加算器
16、18、20、44 減算器
24 遅延回路
26 乗算器
28 LPF(ローパスフィルタ)
30 スイッチ
32、34 パルス発生回路
36、40 ゲート回路
38、42 ホールド回路
46 イコライザ
50、60 比較器
52、54、56、62 D−FF
58 HPF(ハイパスフィルタ)
A、B、C、D 位相差法に用いる4分割光センサ部分
E、F 3ビーム法に用いる2つのセンサ部分
Claims (1)
- 第1と第2の厚みを有する光記録媒体にそれぞれ対応した第1と第2の光学手段から第1と第2の厚みを有する前記光記録媒体にレーザ光を照射して、前記光記録媒体からの反射光を検出する複数の光センサ部分を有する光ヘッドと、前記光ヘッド又は前記第1と第2の光学手段をフォーカス方向に移動してフォーカスサーチを行うフォーカスサーチ手段と、前記光ヘッドからの出力信号に応答して前記第1と第2の厚みを有する光記録媒体に対応する周波数特性変更手段を備えた信号処理手段とを有して、前記光記録媒体を再生する光記録媒体再生装置において、
前記フォーカスサーチ中に得たフォーカスエラー信号の傾きを測定するための微分手段と、
前記微分手段で得られた前記フォーカスエラー信号の傾きを用いて前記光記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に応じて前記信号処理手段における周波数特性変更手段の特性を変更する変更手段とを、
有することを特徴とする光記録媒体再生装置。
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