JP3595764B2 - 取付け装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体の天井部に表示装置を固定するための取付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、旅客機など移動体の客室には乗客に音楽や映像などを提供するエンターテイメントシステムが設けられており、そのための映像表示用にモニターが設置されている。ここでは特に旅客機のエンターテイメントシステムのモニターを例にとって説明する。
【0003】
図5は旅客機の客室の荷物棚5の下部に設けたLCDモニター等の表示部6を有する表示装置本体4の斜視図である。図5の(a)は表示装置本体4の表示部6の収納状態(不使用時の状態)を示し、同(b)は使用時の状態を示す。図5において、表示装置本体4は、旅客機の荷物棚5の下部に配置されており、表示部6と開閉部7から構成されている。表示部6はLCDのような平面パネルの表示体8を有する。表示体8は開閉部7により、乗客に対して最適な角度となるように保持されている。表示部6の使用中にゴミやホコリなどが侵入しないように、表示装置本体4の開口部はカバー9により覆われている。
表示装置本体4は以下に説明する取付け装置により荷物棚5の下部の天井部3内に固定されている。
【0004】
図6は荷物棚5とその下部の天井部3の、機体後部から機首に向かう方向(以下、機首方向という)に垂直な断面図である。図6において、機首方向は紙面に垂直な方向である。天井部3の天井面3Aには機首方向に並行する2つのレール取付台12、13が固定されている。レール取付台12の下面にはレール14が固定され、レール取付台13の下面にはレール15が固定されている。レール14に左側ブロック16が取付けられ、レール15に右側ブロック17が取付けられる。図10に示すように、矢印68で示す機首方向に所定距離離れて取付けた2つの左側ブロック16によって表示装置本体4の左端部4Aがレール14(図示省略)によって支持されている。同様にして機首方向に所定距離離れて設けた2つの右側ブロック17によって表示装置本体4の右端部4Bがレール15(図示省略)によって支持されている。すなわち表示装置本体4は、2つの左側ブロック16と2つの右側ブロック17を介して天井面3Aに取付けられる。本実施例における取付け装置とは、前記の、左側ブロック16、右側ブロック17及び後で説明する固定ブロック25である。
【0005】
表示装置本体4は、故障したときなどに敏速に交換するため、簡単な操作でレール14、15に着脱できる必要がある。図7は、着脱が簡単にできるように構成した従来の左側ブロック16を示す斜視図である。図7の(a)から(c)は、一部を破断して示したレール14に左側ブロック16を取付ける工程を示す。図7の(a)において、左側ブロック16をレール14の開部14Aからレール14の内部に挿入する。次に図7の(b)に示すように、六角断面の棒レンチ20を左側ブロック16の六角穴付ボルト18の六角穴に挿入して、同図(c)に示すように、矢印20A方向に約90°回す。その結果六角穴付ボルト18の先端に固定されているナットプレート22が約90°回転して、その両先端部22Aがレール14の折曲げ部14Bに引っ掛かる。1つの左側ブロック16は2つの六角穴付ボルト18を有するので、2つの左側ブロック16で合計4つの六角穴付ボルト18を約90°回すことにより、2つの左側ブロック16はレール14に取付けられる。この状態では、左側ブロック16をレール14に沿って移動させることができる。
【0006】
表示装置本体4の左端部4Aには、図8に示すように左側ブロック16に結合するための固定ブロック25が設けられている。図8の(a)は、左側ブロック16に設けられている取付窓24に固定ブロック25を結合する前の斜視図である。固定ブロック25は、ベースプレート26及びベースプレート26に軸27で回転可能に支持されたアーム28を有する。アーム28は軽量化のためにくし歯状に肉抜きされている。アーム28の端部には突出板29が設けられている。ベースプレート26は3組のボルト・ナット30により、表示装置本体4の左端部4Aに固定されている。固定ブロック25は、前記左側ブロック16の数と同じ2つのものが左端部4Aに固定されている。図8の(b)は後で詳しく説明するように、突出板29を左ブロック16の取付窓24に挿入した状態を示す。
【0007】
次に図6に示す表示装置本体4の右端部4Bを支持する右側ブロック17について説明する。図10に示すように、表示装置本体4の右端部4Bには所定の距離を隔てて2つの右側ブロック17があらかじめ固定されている。
図9の(a)から(c)は、表示装置本体4の右側ブロック17を右側のレール15に取付ける工程を示す。この工程に先立って少なくとも2人の作業員で表示装置本体4を持ち上げて、図8の(a)に示すように固定ブロック25のアーム28の突出板29を、左側ブロック16の取付窓24に挿入する。突出板29が取付窓24から抜けないように一方の作業員が表示装置本体4を保持しつつ、他方の作業員が両手を使って表示装置本体4に電力や電気信号を供給する接続線のコネクタ(図示省略)を表示装置本体4に結合する。次に表示装置本体4の右端部4Bに固定されている右側ブロック17を、図9の(a)に示すようにレール15の開部15Aからレール15の内部に挿入する。この挿入時に、右側ブロック17の三角形のガイド板33が右側ブロック17の開部15Aへの挿入を容易にする。左右のレール14、15間の間隔は常に一定とは限らず、機体の各部でばらつきがあるが、このばらつきに応じてアーム28の突出板29が取付窓24を出入りするので、多少のばらつきがあっても右側ブロック17の取付けに支障をきたすことはない。
【0008】
次に図9の(b)に示すように、レンチ20を用いて六角穴付ボルト18を、同図(c)に示すように、矢印20A方向に約90°回す。その結果、六角穴付ボルト18の先端に固定されているナットプレート22が約90°回転してその両先端部22Aがレール15の折曲げ部15Bに引っ掛かる。1つの右側ブロック17には2つのナットプレート22が設けられているので、2つの右側ブロック17で合計4つの六角穴付ボルト18を約90°回すことにより、2つの右側ブロック17はレール15に取付けられる。4つのボルト18をさらに複数回回して、ナットプレート22の先端部22Aと右側ブロック17で折曲げ部15Bをはさむことにより、表示装置本体4はレール15に強固に固定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の取付け装置によると、表示装置本体4を左右のレール14、15に取付けるとき、少なくとも2人の作業員を必要とする。そのため取付けに要する人件費が高く、これの削減が課題であった。
本発明は、1人の作業員で取付けることのできる表示装置本体の取付け装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の取付け装置は、表示装置を取付けるために移動体の天井部に設けたレールに固定されるもので、側部に取付窓を備えるとともに、取付窓内にラッチ穴を備える取付け用のブロック、及び前記取付窓に挿入される突出部と前記突出部が取付窓に挿入されたとき、取付窓内の前記ラッチ穴に入り込み前記突出部が取付窓から離脱するのを防止するラッチとなる切起し部を備えた解除レバーを含み、前記表示装置本体に取付けられた固定ブロックを有する。
突出部を取付窓に挿入すると、解除レバーの切起し部がラッチ穴に入り込んで突出部はブロックから離脱しない。従って表示装置を取付ける作業員が表示装置から手を離しても表示装置はブロックに支持されて脱落せず、作業員は両手を用いて結線作業を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例の取付け装置を図1から図4を参照して説明する。本発明の取付け装置は、従来技術の図8において、表示装置本体4の左端部4Aを支持するための左側ブロック16及び固定ブロック25から成る従来の取付け装置を改良したものである。左側ブロック及び固定ブロックを除く他の構成は前記従来の技術の項で説明したものと同じであるので、同じ符号を付して簡単に説明する。
【0012】
図1は、本発明の取付け装置の斜視図であり、(a)は左側ブロック36の取付窓44に固定ブロック45の突出板49を挿入して両者を結合する前の状態を示し、(b)は挿入して両者を結合した後の状態を示す。左側ブロック36は、図7に示す従来技術と同様の工程で図示を省略したレール14に取付けられている。固定ブロック45のベースプレート46は3組のボルト・ナット30により表示装置本体4に固定されている。
【0013】
図2は固定ブロック45の分解斜視図である。図において、くし歯状に肉抜きしたアーム48は、図1の(a)に示す左側ブロック36の取付窓44に挿入される突出板49を有する。突出板49は、図3の断面図(図1のIII−III断面)に示すように、下面に開口を持つ中空部57を有する。図2のアーム48の中央部には突出板49の前記中空部57に連通するガイド孔58が設けられている。ガイド孔58にL字形の解除レバー52が挿入される。解除レバー52に矢印60に示す方向に回転力を与える板ばね53及びホルダ54を解除レバー52のレバー部52Bに重ねて、2本のおねじ55でアーム48のめねじ56に固定する。これにより解除レバー52は図3の(a)に矢印60で示す方向に付勢される。解除レバー52の先端部には切起し部52Aが設けられている。切起し部52Aは図3の(a)に示すように、解除レバー52の下面から下方に突出する舌状の部分である。突出板49を図1の(a)に示す左側ブロック36の取付窓44に挿入すると、図3の(a)に示すように、切起し部52Aが取付窓44のラッチ穴44Aに落込んで、突出板49は取付窓44から抜けなくなる。
【0014】
突出板49を取付窓44から抜くときは、図3の(b)に示すように、解除レバー52の屈曲部52Bを矢印66の方向に押す。その結果、解除レバー52は図3の(a)に示す矢印60の逆方向に回転して、切起し部52Aがラッチ穴44Aから脱出する。この状態でアーム48を図の右方に引くと、突出板49は取付窓44から抜ける。ラッチ穴44Aの左右方向の寸法は切起し部52Aの左右方向の寸法より大きくなされているので、図3の(a)の状態で突出板49は左側ブロック36に対して左右にいくらか動くことができる。
図2において、ベースプレート46の孔61、63、64及びアーム48の孔62に軸47を通すことによってアーム48はベースプレート46に回転可能に取付けられる。軸47の右端に設けられた止め穴59に割りピン62を挿入して、軸47が抜けないようにする。
【0015】
本実施例の取付け装置を備えた表示装置本体4を、1人の作業員が図6に示す左右のレール14及び15に取付ける工程について図1、図3、図4、図7、図9を参照して説明する。作業員は左側ブロック36を、図7に示す従来の左側ブロック16と同様の工程でレール14に取付ける。表示装置本体4の左端部4Aには本実施例の固定ブロック45があらかじめボルト・ナット30により取付けられている。表示装置本体4の右端部4Bには、図9に示す従来の右側ブロック17と同じものがあらかじめ取付けられている。作業員は上記のように構成された表示装置本体4を持ち上げて、固定ブロック45の突出板49を左側ブロック36の取付窓44に挿入する。図3の(a)に示すように、解除レバー52の切起し部52Aが取付窓44のラッチ穴44Aに落込み、突出板49は取付窓44から抜けなくなる。この状態でその作業員が表示装置本体4から手を放すと、表示装置本体4は図4に示すように左側ブロック36にぶら下がった状態になる。その作業員は自由になった両手を使って表示装置本体4に電力や電気信号を供給する接続線のコネクタを結合することができる。
【0016】
コネクタの結合が完了すると、その作業員は表示装置本体4の右端部4Bを持ち上げて図9に示すように、右側ブロック17をレール15の開部15Aに挿入し、従来と同様の方法でレンチ20を用いて右側ブロック17をレール15に取付ける。前述のように穴44Aを切起し部52Aより幅広く作ってあるため、突出板49が左側ブロック36に対していくらか動くことができるので、レール15と右側ブロック17との間に多少の位置ずれがあっても、右側ブロック17をレール15の開部15Aに容易に挿入することができる。レンチ20を用いて六角穴付ボルト18を約90°回転することにより、右側ブロック17はレール15に取付けられる。
【0017】
この状態では、左側ブロック16及び右側ブロック17は、それぞれのレール14、15にナットプレート22の先端部22Aで支持されているにすぎない。従って、レール14、15内で左側ブロック36と右側ブロック17を滑らせて表示装置本体4を所望の位置に移動し位置決めをすることができる。表示装置本体4の位置決めが完了した後、2個の左側ブロック36の合計4つの六角穴付ボルト18と、2個の右側ブロック17の合計4つの六角穴付ボルト18を、図7、図9に矢印20Aで示す方向に複数回回す。これにより、ナットプレート22の先端部22Aと左側ブロック36の上面でレール14の折曲げ部14Bがはさまれ左側ブロック36はレール14に固定される。同様にして、ナットプレート22の先端部22Aと右側ブロック17の上面でレール15の折曲げ部15Bがはさまれ、右側ブロック17はレール15に固定される。
【0018】
【発明の効果】
以上の実施例で詳細に説明したように、本発明によればレールに取付けられた左側ブロックの取付窓に表示装置本体の左端部の固定ブロックの突出板を挿入することにより、固定ブロックは左側ブロックに固定される。従って作業員が表示装置本体から手を放しても表示装置本体は落下しない。従って自由な両手を使って必要な結線作業を行うことができる。結線作業終了後、作業員は表示装置本体の右端部を持ち上げて右側ブロックをレールに固定する。これらの作業は1人の作業員でできるので取付け作業が省力化され、人件費が節減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例の左側ブロック36と固定ブロック45の連結前の斜視図
(b)は同左側ブロック36と固定ブロック45の連結後の斜視図
【図2】本発明の実施例の固定ブロックの分解斜視図
【図3】本発明の実施例の左側ブロック36と固定ブロック45の連結状態を示す図1のIII−III断面図であり、(a)は解除レバー52の切起し部52Aがラッチ穴44Aに落込んだ状態を示し、(b)は切起し部52Aがラッチ穴44Aから抜けた状態を示す。
【図4】表示装置本体が左側ブロックによってぶら下がった状態を示す横断面図
【図5】(a)は旅客機の客室の天井部に設けた従来の表示装置本体4の表示部6の不使用時の状態を示す斜視図
(b)は同表示部6の使用時の状態を示す斜視図
【図6】従来の表示装置本体を備えた旅客機の客室を後部から機首方向に見た横断面図
【図7】(a)から(c)は左側のレール14に従来の左側ブロック16を取付ける工程を示す斜視図
【図8】(a)は従来の左側ブロック16と固定ブロック25の連結前の斜視図
(b)は同連結後の斜視図
【図9】(a)から(c)は、右側のレール15に従来の右側ブロック17を取付ける工程を示す斜視図
【図10】旅客機の客室の天井部の表示装置本体4を下方から見た底面図
【符号の説明】
3 天井部
4 表示装置本体
4A 左端部
4B 右端部
5 荷物棚
6 表示部
7 開閉部
8 表示体
9 カバー
12、13 レール取付台
14、15 レール
16 左側ブロック
17 右側ブロック
18 六角穴付ボルト
20 レンチ
22 ナットプレート
22A 先端部
24 取付窓
25 固定ブロック
26 ベースプレート
27 軸
28 アーム
29 突出板
30 ボルト・ナット
36 左側ブロック
44 取付窓
44A ラッチ穴
45 固定ブロック
46 ベースプレート
47 軸
48 アーム
49 突出板
52 解除レバー
52A 切起し部
58 ガイド孔

Claims (4)

  1. 表示装置を取付けるために移動体の天井部に設けたレールに固定されるもので、側部に取付窓を備えるとともに、取付窓内にラッチ穴を備える取付け用のブロック、及び
    前記取付窓に挿入される突出部、及び前記突出部が取付窓に挿入されたとき、取付窓内の前記ラッチ穴に入り込み前記突出部が取付窓から離脱するのを防止するラッチとなる切起し部を備えた解除レバーを含み、前記表示装置本体に取付けられた固定ブロック
    を有する取付け装置。
  2. 前記固定ブロックは、前記突出部を備えたアームと、前記表示装置に固定され、前記アームに回転可能に連結されたベースプレートを有する請求項1記載の取付け装置。
  3. 前記解除レバーは、前記ラッチ穴に入り込んだ切起し部をラッチ穴から離脱させるための操作力を与えられる屈曲部を有する請求項1記載の取付け装置。
  4. 前記ラッチ穴は、ラッチ穴に入り込んだ切起し部が移動可能であるように切起し部より幅を大きくなされていることを特徴とする請求項1記載の取付け装置。
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