JP3595651B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子を用いた平板型画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子放出素子としては大別して熱電子放出素子と冷陰極型電子放出素子を用いた二種類のものが知られている。
【0003】
熱電子放出素子を用いた平板型画像形成装置として例えば特公平7ー99679号公報や実公平6ー8629号公報等に開示されるように線状カソードから放出された電子をグリッドと呼ばれる制御電極群により電子ビームを制御し、画像表示を行うものが実用化されている。
一方、冷陰極電子放出素子を用いた平板型画像形成装置は、複数の冷陰極電子放出素子を配列した電子源基板と、蛍光体等が配されたフェースプレートが、真空を介して、距離D(=1mm〜10mm程度)で対向して配置して構成される。上記画像形成装置は、走査信号及び変調信号を電子源基板に印加することにより各電子放出素子から電子を放出させ、フェースプレートに印加した数kVのアノード電圧Vaにより該電子を加速し、蛍光体に衝突させて発光させることで画像を表示を行なうものである。
【0004】
ここで適用する冷陰極電子放出素子としては、表面伝導型電子放出素子、MIM型電子放出素子やスピント型の電界放出型電子放出素子が挙げられる。
【0005】
まず、冷陰極電子放出素子として、表面伝導型電子放出素子を適用した画像形成装置としては、例えば特開平7−235255号公報に開示されている。上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数素子を配列形成できることから、大面積の画像形成装置に適応可能であるという利点がある。表面伝導型電子放出素子の基本的な構成、製造プロセス、基本的な電子源への構成方法に関しても、特開平7−235255号公報に開示されている。
画像形成装置の中に電位規定板を適用した画像形成装置として、例えば、表面伝導型電子放出素子を用いた特開平03−149728、特開平08−001972があげられる。電位規定板は、電子源から距離dの位置に配置され、電子源から放出される電子が通過する電子通過孔を有し、定電圧Vc=<Vaxd/Dが印加される。上記公報で述べられているように、電位規定板は、絶縁面の帯電による放電を防止、電子軌道ずれの抑制、陽イオンによる電子放出素子の劣化抑制、等の作用を有し、画像形成装置の表示をより安定なものとする作用がある。
【0006】
一方、スピント型の電子放出素子を適用した画像形成装置の例としては特開平4−12436等があげられる。
【0007】
また、MIM型電子放出素子を適用した画像形成装置の例としては特開平3−55738等があげられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の画像形成装置、特に電子放出素子は、長期にわたり安定した動作を保つために、画像形成装置内の特に電子放出素子(電子放出部)近傍を高真空に維持することが必要である。
【0009】
上記を鑑み、本発明の課題は、画像形成装置のとくに電子放出素子(電子放出部)近傍を高真空に維持することにある。
【0010】
従来、このような画像形成装置を高真空に維持する手法として、Baを主成分とする合金を通電あるいは高周波加熱し、真空容器内壁に蒸着膜(ゲッタ膜)を形成することが行われている。
【0011】
このような場合、図22に示すように、上記Baゲッタ膜の位置は、配線や電極間のショートの原因になるため、画像形成装置の端部(表示領域外)に限られていた。また、平板型画像形成装置は、装置内の真空部容積が小さいため、表示領域外のゲッタからの排気コンダクタンスが不十分となる。特に、大面積の平板型画像形成装置においては、装置内の局所的な脱ガスに対して十分な排気が行えないという課題があった。
【0012】
最近、真空容器内の画像表示領域内に、非蒸発型のゲッタを配置することで高真空を維持する手法が提案されている。しかしこれら非蒸発型ゲッタの構成においては、その製造方法が難しかったり、その効果を十分に果しているとは言い難かった。
【0013】
例えば、特開平4−12436号では、電子ビームを引き出すゲート電極を有する電子源において、該ゲート電極をゲッタ材で形成する方法が開示されているが、このような、電子源は陰極チップの製造や半導体の接合などが真空中で煩雑な工程を要し、また大型化するには、製造装置に限界がある。
【0014】
また、米国特許5,453,659号に開示された、ゲッタ材をアノードプレート上に形成する方法は、ゲッタ材と蛍光体の間の電気的絶縁をとることが必要で、精密な微細加工のために、フォトリソグラフィー技術によるパターニングを繰り返し行って作成する。このため、工程が煩雑となり、またフォトリソグラフィーに用いる装置の大きさなどから、製造できる画像形成装置の大きさが制限される。
【0015】
また、特開平7−322021に開示されたメタルバックや配線をゲッタとする手法は簡易な製法で作成でき、大面積にも適応可能である点で好ましいが、メタルバックに適用する際には電子線透過のためにゲッタ膜の厚さや材料(原子番号)等の制限があり、配線に適用する際にはその面積に制限があった。
【0016】
本発明は従来技術の前記の問題点を解決した新規の画像形成装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は以下の事項により達成される。
【0018】
すなわち、
1. 外囲器内に、複数の電子放出素子を有する電子源と、前記電子源と対向して配置される画像形成部材と、前記電子源と前記画像形成部材との間に、前記複数の電子放出素子から放出される電子が通過する電子通過孔を有する金属板と、を具備する画像形成装置において、前記電子通過孔を有する金属板は、前記電子源に対向する面にゲッタ材を備え、且つ前記画像形成部材に対向する面に前記金属板を構成する材料よりも低い二次電子放出特性を有する材料を備えることを特徴とする画像形成装置。
2. 前記ゲッタ材は、Ti、Zr、またはこれらのうち少なくとも一種を主成分とする合金である上記1に記載の画像形成装置。
3. 前記ゲッタ材は、V、Fe、Alまたはこれらのうち少なくとも一種を主成分とする合金である上記1に記載の画像形成装置。
4. 前記電子通過孔の中心は、前記電子放出素子の各々の電子放出部の直上以外の位置に配置する上記1に記載の画像形成装置。
5. 前記画像形成部材は、前記電子源から距離Dに位置し、電子加速用電圧Vaが印加され、前記電子通過孔を有する金属板は、前記電子源から距離dに位置し、定電圧Vc ≦ Va × d/Dが印加される電位規定板である上記1〜4のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
6. 前記電子放出素子が冷陰極電子放出素子である上記1〜5のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
7. 前記冷陰極電子放出素子が表面伝導型電子放出素子である上記6に記載の画像形成装置。
8. 前記金属板を構成する材料よりも低い二次電子放出特性を有する材料が、カーボンまたはグラファイトであることを特徴とする上記1〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
9. テレビジョン放送用表示装置であって、上記1〜8のいずれかに記載の画像形成装置を具備してなることを特徴とするテレビジョン放送用表示装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0020】
(実施態様1)
本発明の好ましい態様の一例を図1を用いて説明する。
【0021】
本態様の画像形成装置は、前述の熱電子放出素子または冷陰極電子放出素子からなる電子源基板と電子源基板から距離Dに位置した電子加速用電圧Vaが印加される画像形成部材と電子源から距離dに位置したゲッタ材を有する電子通過孔を有する金属板により構成される。
【0022】
本態様では、上記電子通過孔を有する金属板は、定電圧Vc=<Vaxd/Dが印加され、電位規定板として、用いられる構成の画像形成装置である。
【0023】
図1は本態様に用いた表示パネル1000の外観斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。図4は図1の表示パネルの一部を拡大して記した断面図である。
【0024】
図1において、110は電子放出素子を複数配した電子源基板、81は電子源基板110を固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等の画像形成部材が形成されたフェースプレート、101は熱電子放出素子を用いた画像形成装置に用いられる制御電極または冷陰極電子放出素子を用いた画像形成装置に適用される前記電位規程板等の電子通過孔を有する金属板、102は電子通過孔、である。
【0025】
82は、支持枠であり該支持枠82には、リアプレート81、フェースプレート86が低融点のフリットガラスなどを用いて、接合され、真空に維持するための気密容器を形成している。
【0026】
また、電子通過孔を有する金属板とフェースプレート間、及び/もしくは、電子通過孔を有する金属板と電子源基板間は、図4に示すように補強用のスペーサ109を配してもよい。更に、電子放出素子を用いた場合には、前記金属板とフェースプレート間に制御電極を設ける場合がある。
【0027】
ここで、Va、Vc、D、dはその画像形成装置の構成により適宜設定されるが、例えば、Vaは数百V〜数十kV、Dは数百μm〜数十mm程度、dは数十μm〜数mm程度で、VcはVc=<Vaxd/Dの範囲で設定される。
【0028】
<電子通過孔を有する金属板>
電子通過孔は、電子源の各電子放出素子あるいは画像形成部材の1画素、カラー表示の場合は各RGB蛍光体に対応して1個ずつ設けることがあげられ、その場合、電子通過孔の形状としては、矩型、円形、楕円形などが可能であり、その大きさは画素サイズにもよるが、数十〜数100um程度である。他にも、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設けることもできる。電子通過孔を有する金属板の厚さaは、0.1〜0.3mmで構成できる。
【0029】
本発明においては、電子通過孔を有する金属板(すなわち電位規定板)101はゲッタ材を有して構成される。
【0030】
ゲッタ材としては、非蒸発型のゲッタ材であるTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,W等の金属及びこれらの合金を用いることができる。また、合金の成分としてAl,Fe,Ni等を含んでもよい。
【0031】
電子通過孔を有する金属板は、図3a)b)のように、それ自体をゲッタ材131で構成してもよいし、図3c)のように適当な金属母材132にゲッタ材よりなる被膜133を設けた構成でもよい。ゲッタ材よりなる被膜の膜厚は、とくに限定しないが数100nm〜数100μmとすることができ、総吸着量の観点からできるだけ表面積の大きいことが望ましい。
特に、図3(a)のような構成においては画像形成材料である蛍光体に対向するようにゲッタ材が配置され、電子ビームが照射されることよる蛍光体からの放出ガスを除去できる。
【0032】
また、図3b)c)のように、更に画像形成部材に対向する面には金属板を構成する材料よりも低二次電子放出材料を主成分とする導電被膜134を設けることが望ましく、特にカーボンやグラフアイトが好ましい。このようにすることで、イオンや画像形成部材側から散乱された電子等の照射がなされた時に生じる、2次電子や反射電子の放出量を少なくすることができる。カーボンの厚さは、数100nm〜数100μmである。
【0033】
通常、非蒸発型ゲッタは、ゲッタの活性化が必要であるが、本発明の画像形成装置において、ゲッタの活性化は外部からの加熱や、電子通過孔を有する金属板を通電加熱することによって行ってもよいし、電子放出素子として表面電導型電子放出素子を用いる場合には例えば、素子電極間に印荷する電圧を変化させるあるいは前記電圧を変化させると共に金属板に印荷する電位を変化させることにより電子放出素子から放出される電子ビームを照射することによって行ってもよい。ゲッタ表面は、動作時にVc程度の電子線が照射されることで、吸着分子のゲッタ材への拡散が促進され、常に清浄な表面を保つことができる。
【0034】
電子通過孔を有する金属板(すなわち電位規定板)101にはVc<=Vaxd/Dなる定電圧Vcを印加する。これにより、電子通過孔の近傍の等電位は、図4に示すように湾曲し、スペーサー109方向に飛んできた電子は電子通過孔近傍で内側の力Fを受け、その軌道は図のように曲げられる。スペーサは絶縁材もしくは、絶縁材に高抵抗膜を被覆したもの等を用いることができる。電位規定板には、このように画像形成部材と補助電極間に電子レンズを形成し、電子ビームのスペーサーへの衝突を防ぎ、チャージアップを低減すると共に、画像形成部材への電子ビームの収束性をも改善する作用がある。他にも、電位規定板には、真空中に発生した陽イオンによる電子源への衝突による損傷を防止する作用を有する。
【0035】
また、本態様において電子放出素子として表面伝導型電子放出素子を採用する場合には、図5にしめす様に表面伝導型電子放出素子74から放出される電子は、水平方向の成分を有するという特徴があるため、電子通過孔102は、電子放出部5直上よりずらして配置することができる。すなわち、電子通過孔の中心は電子放出部5の直上以外の位置に配することができる。このような構成においては、図からみてとれるように電子放出部5の直上(もしくは略直上)108に、ゲッタを配置することができるため、電子放出部近傍を高真空に保つ観点から、より好ましい構成となる。電子通過孔と電子放出部直上とのずらし量は、d,Vc,Vaなどに依存し、適宜設計されるが、1μm〜数100μm程度である。
【0036】
<画像形成部材>
画像形成部材は蛍光膜、メタルバック、ブラックストライプなどから構成される。
【0037】
図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することにある。ブラックストライプの材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光の透過および反射が少ない材料を用いることができる。
【0038】
ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0039】
フェースプレート86には、更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0040】
<電子源>
電子源としてはさまざまなものが採用できるが、電子放出素子として冷陰極電子放出素子を用いる場合には、一例として単純マトリクス配置の電子源があげられる。
【0041】
単純マトリクス配置の電子源基板について、図7を用いて説明する。図7において、171は電子源基板、172はX方向配線、173はY方向配線である。174は電子放出素子、175は結線である。図のように、単純マトリクス配置とは、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するものである。
【0042】
電子放出素子としては、図18、19、20に記される、表面伝導型電子放出素子、スピント型の電子放出素子、MIM型電子放出素子等を採用することができる。先に述べたように、図5に示すように、特に表面伝導型電子放出素子の場合には、電子放出部の直上、もしくは略直上にゲッタを配置することができるため、動作時に生じる脱ガスを効果的に吸着することが可能で、その効果が大きい。
【0043】
図21は、表面伝導型電子放出素子の放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。図21においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニアスケールである。
【0044】
図21からも明らかなように、表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して対する三つの特徴的性質を有する。
【0045】
即ち、
(i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図21中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0046】
(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0047】
(iii)アノード電極に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0048】
X方向配線172には、Dox1,Dox2,…Doxmよりなる容器外端子112を介し、X方向に配列した電子放出素子174の行を選択するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線173には、Doy1,Doy2,…Doynよりなる容器外端子113を介し、Y方向に配列した電子放出素子174の各列を入力信号に応じて、変調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0049】
上記構成においては、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0050】
このような構成をとり得る本画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0051】
ゲッタ材よりなる電子通過孔を有する金属板を配することにより、電子放出素子近傍に十分なゲッタ面積を配することができ、真空部、特に、電子放出部近傍の真空を良好に保つことができる。
【0052】
また、電子通過孔を有する金属板は、定電圧Vc=<Vaxd/Dが印加され、電位規定板として作用する。
【0053】
(実施態様2)
次に、本発明の別の態様の一例を図2を用いて説明する。
【0054】
本態様の画像形成装置は、前記の実施態様1と同様に、電子源と
電子源から距離Dに位置した電子加速用電圧Vaが印加される画像形成部材と電子源から距離dに位置したゲッタ材を有する電子通過孔を有する金属板により構成される。
【0055】
本態様では、上記電子通過孔を有する金属板は、列毎に複数配され、電子放出素子から放出された電子ビームを変調するためにもちいられる構成の画像形成装置である。すなわち、電子通過孔を有する金属板は、制御電極(もしくはグリッド電極と呼ばれる)として用いられる。
【0056】
図2において、120は電子通過孔を有する金属板(すなわちグリッド電極)、121は電子通過孔、122はDox1,Dox2,…Doxmよりなる容器外端子である。123は、グリッド電極120と接続されたG1,G2,…Gnからなる容器外端子、110は電子源基板である。図2においては、図1に示した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符号を付している。
【0057】
Va,D,dはその画像形成装置の構成により異なるが、例えば、
Vaは5〜20kV、Dは1〜10mm程度、dは0.1mm〜数mm程度の範囲で、設定される。
【0058】
本発明においては、電子通過孔を有する金属板120は前記の態様1と同様にゲッタ材を有して構成される。
【0059】
電子通過孔を有する金属板120に接続される容器外端子122およびグリッド容器外端子123は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0060】
電子源としてはさまざまなものが採用できるが、一例として梯子型配置の電子源があげられる。
【0061】
図8は、はしご型配置の電子源の一例を示す模式図である。図8において、180は電子源基板、181は電子放出素子である。182、Dx1〜Dx10は、電子放出素子181を接続するための共通配線である。電子放出素子181は、基板180上に、X方向に並列に複数個配されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成している。すなわち、並列に配置した多数の電子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配し梯子型配置の電子源とする。
【0062】
各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2、Dx3を同一配線とすることもできる。
【0063】
共通配線Dx1〜Dx10は、容器外端子Dox1,Dox2,…Doxmを介し、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0064】
また、その他の画像形成装置の各部材の構成は前記の態様1と同様である。
【0065】
本例の画像形成装置では、素子行を1列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0066】
ゲッタ材よりなる電子通過孔を有する金属板を配することにより、電子放出素子近傍に十分なゲッタ面積を配することができ、特に、電子放出部近傍の真空を良好に保つことができる。尚、本態様においても、前述のように画像形成材料と対向する面上にカーボン、グラフアイト等の金属板よりも低二次電子放出材料を主成分とする導電性被膜を形成する場合もある。
【0067】
本発明の画像形成装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンタ−としての画像形成装置等としても用いることができる。
【0068】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設計変更がなされたものも包含する。
【0069】
(実施例1(参考例)実施例2、実施例(参考例)
図11は本実施例に用いた表示パネル1100の外観斜視図であり、内部構造をしめすためにパネルの一部を切りかいて示している。
【0070】
本実施例の画像形成装置は、実施態様1に準じ
表面伝導型電子放出素子74を単純MTX配置した電子源171と
電子源から距離は約5mmに位置し、電子加速用電圧Va=10kVが印加される画像形成部材87と
電子源から距離は約100μmに位置するゲッタ材を有する電子通過孔102を有する金属板101により構成される例である。
【0071】
本実施例では、上記電子通過孔を有する金属板は、定電圧Vcは約375Vが印加され、電位規定板として、用いられる構成の画像形成装置である。画素サイズは約400μm×600μm、電子通過孔は矩型状で、大きさは約100μm×200μmとした。電子通過孔を有する金属板の厚さaは、約0.1mmとした。
【0072】
電子通過孔は、電子源の各電子放出素子に対応して1個ずつ設けた。
【0073】
図11において、81は電子源基板171を固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等の画像形成部材87が形成されたフェースプレートである。
【0074】
82は、支持枠であり該支持枠には、リアプレート81、フェースプレート86が低融点のフリットガラスなどを用いて、後述の封着工程により、接合され、真空に維持するための気密容器を形成している。
【0075】
本実施例1(参考例)においては、図3a)のように、電子通過孔を有する金属板はゲッタ材であるZr−V−Fe合金により構成した。
【0076】
また、実施例2として、図3b)のように、実施例1(参考例)における電子通過孔を有する金属板にさらに、画像形成部材に対抗する面に、カーボンを主成分とする導電被膜を約5μm配したものを構成した。
【0077】
また、比較例1として、電子通過孔を有する金属板としてNi単体により構成した。
【0078】
また、実施例3(参考例)として図3b)のように比較例1における電子通過孔を有する金属板にさらに、画像形成部材に対向する面に、カーボンを主成分とする導電被膜を約5μm配したものを構成した。
【0079】
画像表示領域外部には、図22の画像形成装置と同様に不図示のBa蒸発型ゲッタを配置した。
【0080】
*製法
本実施例の表示パネルの製造方法の一例を以下に説明する。
【0081】
図10に本実施例の画像形成装置の製造方法のフローチャートを示す。
【0082】
1)電子源基板形成
電子源として表面伝導型電子放出素子を単純MTX配置した電子源を作成した。
【0083】
図18は、表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式図である。図18において1は基板、2と3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。その基本的な構成、製造プロセスに関しては、特開平7−235255号公報に開示されている。本実施例においては、基板として青板基板、厚さ30nmのPtによる素子電極、厚さ10nm程度のPdOの導電性薄膜を採用した。
【0084】
2)発光表示板(フェースプレート)形成
ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法はスラリー法等を用いた。また、蛍光膜84の内面側には、メタルバック85が設けられるが、メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作製できる。フェースプレート86には、更に蛍光膜の導伝性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極(不図示)を配置した。
【0085】
3)電子通過孔を有する金属板その他部材形成
電子通過孔を有する金属板はゲッタ材Zr−V−Fe合金(例えばサエスゲッターズ製 St707)を使用した。
【0086】
実施例2のカーボンを主成分とする導電被膜は、日立粉末治金製 HITASOL GA−37を使用した。
【0087】
4)封着
前述した電子源基板、リアプレート、発光表示板、電子通過孔を有する金属板等を支持枠およびスペーサを介し配置する。フェースプレート、支持枠、リアプレート等の接合部にフリットガラスを塗布し、窒素雰囲気中で焼成することで封着し、図11に示すような外囲器を作成した。
【0088】
5)排気
以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気する。
【0089】
図13はこの工程及びそれ以降に用いる装置の概要を示す模式図である。画像形成装置1131は、排気管1132を介して真空チャンバー1133に連結され、さらにゲートバルブ1134を介して排気装置1135に接続されている。真空チャンバー1133には、内部の圧力及び雰囲気中の各成分の分圧を測定するために、圧力計1136、四重極質量分析器1137等が取り付けられている。画像表示装置1131の外囲器1188内部の圧力などを直接測定することは困難であるため、該真空チャンバー1133内の圧力などを測定し、処理条件を制御する。
【0090】
真空チャンバー1133には、さらに必要なガスを真空チャンバー内に導入して雰囲気を制御するため、ガス導入ライン1138が接続されている。該ガス導入ライン1138の他端には導入物質源1140が接続されており、導入物質がアンプルやボンベなどに入れて貯蔵されている。ガス導入ラインの途中には、導入物質を導入するルートを制御するための導入制御手段1139が設けられている。該導入量制御手段としては具体的には、スローリークバルブなど逃す流量を制御可能なバルブや、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種類に応じて、それぞれ使用が可能である。
【0091】
5)フォーミング
つづいて、フォーミング工程を施す。このフォーミング工程の方法の一例として通電処理による方法を説明する。配線を介し、素子電極4、5間に、不図示の電源を用いて、通電を行うと、導電性薄膜3の部位に、構造の変化した電子放出部5が形成される。通電フォーミングによれば導電性薄膜3に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出部5を構成する。
【0092】
この際、例えば図14に示すように、Y方向配線1173を共通電極1141に接続し、X方向配線1172の内の一つに接続された素子に電源1142によって、同時に電圧パルスを印加して、フォーミングを行うことができる。パルスの形状や、処理の終了の判定などの条件は、個別素子のフォーミングについての既述の方法に準じて選択すればよい。また、複数のX方向配線に、位相をずらせたパルスを順次印加(スクロール)することにより、複数のX方向配線に接続された素子をまとめてフォーミングすることも可能である。図中1143は電流測定用抵抗を、1144は、電流測定用のオシロスコープを示す。
【0093】
6)活性化
フォーミングを終えた素子に活性化処理を施し、電子放出部及びその近傍に炭素及び炭素化合物を堆積する。
【0094】
外囲器内は、十分に排気した後有機物質がガス導入ライン1138から導入される。有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げること出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどC2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどC2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、ベンゾニトリル、トリニトリル、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。あるいは、まず油拡散ポンプやロータリーポンプで排気し、これによって真空雰囲気中に残留する有機物質を用いることができる。
【0095】
また、必要に応じて有機物質以外の物質も導入される場合がある。この様にして形成した、有機物質を含む雰囲気中で、各電子放出素子に電圧を印加することにより、炭素あるいは炭素化合物、ないし両者の混合物が電子放出部に堆積し、電子放出量がドラスティックに上昇する。
【0096】
本実施例においては、有機物質をベンゾニトリルを用い、圧力計136の指示値を5×10−6torrとした。
【0097】
このときの電圧の印加方法は、上記フォーミングの場合と同様の結線により、一つの方向配線につながった素子に、同時に10〜16V程度の電圧パルスを印加することで行った。
【0098】
7)安定化/ベーキング
この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。
【0099】
真空容器全体を加熱/ベーキングして真空容器内を排気し、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、100〜300℃でより長い時間行うことが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
【0100】
この工程により、外囲器内の真空部の圧力は1×10−8Torr程度まで排気される。
【0101】
外囲器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
【0102】
本実施例では300℃10hのベーキングを行った。
【0103】
本実施例の電子通過孔を有する金属板として適用したゲッタ材はこのベーキング工程により加熱、活性化され吸着能を有するようになる。
【0104】
8)Baゲッタフラッシュ
外囲器1188内の所定の位置(不図示)に配置されたBaゲッタを高周波加熱し、蒸着膜を形成する。
【0105】
9)封止
不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器の封止を行う。
【0106】
*駆動回路接続
上記構成の表示パネルに以下のような駆動回路を接続し、テレビジョン表示を行った。
【0107】
テレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例について、図15を用いて説明する。図15において、1101は画像表示パネル、1102は走査回路、1103は制御回路、1104はシフトレジスタである。1105はラインメモリ、1106は同期信号分離回路、1107は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0108】
表示パネル1101は、端子Dox1乃至Doxm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃至Doxmには、表示パネル内の設けられている電子源、即ちM行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
【0109】
端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0110】
走査回路1102について説明する。同回路は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル1101の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路1103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することができる。
【0111】
直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
【0112】
制御回路1103は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路1103は、同期信号分離回路1106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよびTmryの各制御信号を発生する。
【0113】
同期信号分離回路1106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回路1106により分離された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号はシフトレジスタ1104に入力される。
【0114】
シフトレジスタ1104は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御回路1103より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ1104のシフトクロックであるということもできる)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1乃至Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ1104より出力される。
【0115】
ラインメモリ1105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、制御回路1103より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I’d1乃至I’dnとして出力され、変調信号発生器1107に入力される。
【0116】
変調信号発生器1107は、画像データI’d1乃至I’dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル1101内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0117】
前述したように、本発明を適用可能な電子放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる事により出力電子ビームの強度を制御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0118】
従って、入力信号に応じて、電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器1107として、一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることができる。
【0119】
パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器1107として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることができる。
【0120】
シフトレジスタ1104やラインメモリ1105は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のものをも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0121】
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路1106の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これには1106の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ1105の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器1107に用いられる回路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1107には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器1107には、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0122】
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1107には、例えばオペアンプなどを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0123】
このような構成をとり得る本発明の画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0124】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号については、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方式など他、これよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0125】
*評価
図16は、本実施例1、2及び比較例の画像形成装置を長時間動作させたときの、輝度変化を示した図である。
【0126】
図より見て取れるように、本実施例1、2の画像形成装置は、比較例に比べ結果的に長時間動作させた場合の輝度低下を抑制することができた。
【0127】
また、本実施例2の、電子通過孔を有する金属板の画像形成部材側の面を2次電子、反射電子の少ない材料であるカーボンで構成することにより、実施例1(参考例)に比しさらに、放電が少なく、また表示画像品位に優れた。また、同様な効果として本実施例3(参考例)は比較例1に比し放電が少なく表示画像に優れた。
【0128】
(実施例4)
図12は本実施例に用いた表示パネル2100の外観斜視図である、内部構造をしめすためにパネルの一部を切りかいて示している。
【0129】
本実施例の画像形成装置は、実施態様2に準じ
表面伝導型電子放出素子74を梯子型配置した電子源180と
電子源から距離は約5mmに位置し、電子加速用電圧Va=10kVが印加されう画像形成部材87と
電子源から距離は約100μmに位置するゲッタ材を有する電子通過孔121を有する金属板120により構成される例である。
【0130】
122はDox1,Dox2,…Doxmよるなる容器外端子である。123は、グリッド電極120と接続されたG1,G2,…Gnからなる容器外端子、図12においては、図11に示した部位と同じ部位には、これらの図に示したと同一の符号を付している。電子通過孔を有する金属板120に接続される容器外端子122およびグリッド容器外端子123は容器外端子を介し、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0131】
本実施例では、上記電子通過孔を有する金属板は、列毎に複数配され、電子放出素子から放出された電子ビームを変調するためにもちいられる構成の画像形成装置である。すなわち、電子通過孔を有する金属板は、制御電極(もしくはグリッド電極と呼ばれる)として用いられる。
【0132】
画素サイズは約400μm×600μm、電子通過孔は円形状で、大きさは150μm径とし、その中心は電子放出部の直上より80μmずらして配置した。電子通過孔を有する金属板の厚さaは、約0.2mmとした。電子通過孔は、電子源の各電子放出素子に対応して1個ずつ設けた。
【0133】
本実施例の電子通過孔を有する金属板は、図3c)のように、Niよりなる金属母材に、電子源側の面にゲッタ材としてZr−Al(例えばサエスゲッターズ製ST121)の被膜を100μm程度施した。また、画像形成部材側にグラファイトからなる被膜を約5μm施した。
【0134】
また、比較例2として、電子通過孔を有する金属板としてFe単体により構成した。
【0135】
画像表示領域外部には、図22の画像形成装置を同様に不図示のBa蒸着型ゲッタを配置した。
【0136】
本実施例の画像形成装置の製法は実施例1の製法に準じた。
【0137】
但し、ベーキング工程後、電子通過孔を有する金属板のゲッタ材の活性化として、電子通過孔を有する金属板の端子両端に電圧印加、通電し、600℃程度間で加熱することでゲッタ材の活性化を行った。
【0138】
本例の画像形成装置では、梯子型電子源素子行を1列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0139】
*評価
図17は、本実施例4及び比較例の画像形成装置を長時間動作させたときの、輝度変化を示した図である。
【0140】
図より見て取れるように、本実施例の画像形成装置は、比較例2に比べ結果的に長時間動作させた場合の輝度低下を抑制することができた。また、本実施例の、電子通過孔を有する金属板の画像形成部材側の面を2次電子、反射電子の少ない材料であるカーボンで構成することにより放電頻度が少なく、また表示画像品位に優れた。
【0141】
【発明の効果】
本発明は、
電子源と前記画像形成部材との間に、電子が通過する電子通過孔を有し、ゲッタ材を有する金属板を配置することによって、装置内の局所的なガス放出部である電子放出素子近傍及び電子放出素子から放出される電子が照射される画像形成部材特に、蛍光体からの放出ガスに対して十分な排気能力を有し、電子放出素子の特性劣化を抑制でき、結果的に長時間動作させた場合の輝度の低下を抑制することができる。
【0142】
また、電子通過孔を有する金属板の画像形成部材側の面を特に、2次電子、反射電子の少ない材料であるカーボン、グラファイト等で構成することにより放電が少なく、表示画像品位に優れる画像形成装置とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用可能な画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の適用可能な画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明のゲッタ材を有する電子通過孔を有す金属板を示す模式図である。
【図4】本発明の画像形成装置の表示パネルの一断面模式図である。
【図5】電子放出部の直上にゲッタ材を配する構成を示す図である。
【図6】電子通過孔を有する金属板の画像形成部材側の面から生じる2次電子を説明する図である。
【図7】単純マトリクス配置した電子源の一例を示す模式図である。
【図8】梯子配置の電子源の一例を示す模式図である。
【図9】図9(a)、(b)は、蛍光膜の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施例1、2の画像形成装置の表示パネルを示す模式図である。
【図12】実施例3の画像形成装置の表示パネルを示す模式図である。
【図13】本発明の画像表示装置の排気、フォーミング、活性化、ベーキング工程を行うための真空排気装置の模式図である。
【図14】本発明の画像形成装置の、フォーミング、活性化工程のための結線方法を示す模式図である。
【図15】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図16】実施例1、2の画像形成装置の輝度変化を示すグラフである。
【図17】実施例4の画像形成装置の輝度変化を示すグラフである。
【図18】図18(a)、(b)は、表面伝導型電子放出素子を示す模式図である。
【図19】スピント型電子放出素子を示す模式図である。
【図20】MIM型電子放出素子を示す模式図である。
【図21】表面伝導型電子放出素子について放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一例を示すグラフである。
【図22】従来の画像形成装置、特に蒸発型Baゲッタの配置を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2、3 素子電極
4 導電性薄膜
5 電子放出部
74 表面伝導型電子放出素子
81 リアプレート
82 支持枠
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 フェースプレート
87 画像形成部材
91 黒色導電材
92 蛍光体
101 電子通過孔を有する金属板
102 電子通過孔
109 スペーサ
110 電子源基板
111 電子放出素子
112 Dox1,Dox2,…Doxmよりなる容器外端子
113 Doy1,Doy2,…Doynよりなる容器外端子
120 電子通過孔を有する金属板
121 電子通過孔
122 Dox1,Dox2,…Doxmよりなる容器外端子
123 グリッド電極と接続されたG1、G2
131 ゲッタ材
132 金属母材
133 ゲッタ材よりなる被膜
134 カーボンを主成分とする導電被膜
171 電子源基板
172 X方向配線
173 Y方向配線
174 電子放出素子
180 電子源基板
182 電子放出素子
182 共通配線

Claims (9)

  1. 外囲器内に、複数の電子放出素子を有する電子源と、前記電子源と対向して配置される画像形成部材と、前記電子源と前記画像形成部材との間に、前記複数の電子放出素子から放出される電子が通過する電子通過孔を有する金属板と、具備する画像形成装置において、前記電子通過孔を有する金属板は、前記電子源に対向する面にゲッタ材を備え、且つ前記画像形成部材に対向する面に前記金属板を構成する材料よりも低い二次電子放出特性を有する材料を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ゲッタ材は、Ti、Zr、またはこれらのうち少なくとも一種を主成分とする合金である請求項に記載の画像形成装置。
  3. 前記ゲッタ材は、V、Fe、Alまたはこれらのうち少なくとも一種を主成分とする合金である請求項に記載の画像形成装置。
  4. 前記電子通過孔の中心は、前記電子放出素子の各々の電子放出部の直上以外の位置に配置する請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 記画像形成部材は、前記電子源から距離Dに位置し、電子加速用電圧Vaが印加され、前記電子通過孔を有する金属板は、前記電子源から距離dに位置し、定電圧Vc Va × d/Dが印加される電位規定板である請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記電子放出素子が冷陰極電子放出素子である請求項1〜のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記冷陰極電子放出素子が表面伝導型電子放出素子である請求項に記載の画像形成装置。
  8. 前記金属板を構成する材料よりも低い二次電子放出特性を有する材料が、カーボンまたはグラファイトであることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. テレビジョン放送用表示装置であって、請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置を具備してなることを特徴とするテレビジョン放送用表示装置。
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