JP3595514B2 - 撚線機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の線材を撚り合わせて、通信ケーブル用の撚線を製造するための撚線機に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信ケーブルを製造する場合、まず撚線機において、2つのボビンよりそれぞれ線材を繰り出し、2本の線材を撚り合わせてペア撚線を作る。サプライスタンドには、複数の撚線機が一列に並べられ、それぞれの撚線機から供給された複数のペア撚線が撚合機で撚り合わせられながらドラムに巻き取られて、1本の通信ケーブルができ上がる。
【0003】
この撚線機として、例えば特許第2926327号公報に記載されているような縦型の撚線機が、省スペース化を図れることから用いられている。
【0004】
フライヤの回転により線材に撚りをかけて撚線を形成するとき、同時に線材も撚り回数と同じだけ捻回される。線材に捻りが入ると、所望の電気特性が得られなくなる。通信ケーブルは電気特性が非常に厳しいため、線材の捻れを少なくする必要がある。
【0005】
そこで、線材の捻れを少なくするためには、ボビンから線材が繰り出されるときに撚り方向とは逆方向の撚りを与えれば、線材が捻られても適当な量だけ打ち消される。その方法として、フライヤの回転数に合わせて所定の比率の回転数でボビンを回転させる。ボビンの回転方向は、フライヤで入る捻れ方向とは逆方向にする。また、図4に示すように、ボビン1の回転方向は時計回りのとき、ボビン1から線材Wは矢印の方向に繰り出す。
【0006】
上記撚線機では、図5に示すように、2つのボビン1が平行に配置され、水平な横軸2周りに回転駆動される構造となっている。横軸2は、フライヤ内に静止状態で保持されたクレードル3に回転自在に支持される。この横軸2に円盤4が一体的に取り付けられ、モータからの駆動力がベルトを介して伝達され、横軸2の回転に伴ってボビン1が回転する。
【0007】
線材Wは、ボビン1から軸線方向に引き出され、横軸2の一端に取り付けられたガイド体5によってボビン1のフランジ6に接触することなく横軸2の中心に導かれる。横軸2の中心には、一端から他端に至る貫通孔が形成されており、線材Wがこの貫通孔を通って他端に達し、図示しないブレーキ付ローラ、ガイドローラを経て、張力を付与されながら繰り出される。各ボビン1から繰り出された線材Wは、目板、ダイスを通過して、下ターンローラからフライヤに沿って上ターンローラに達する。このとき、フライヤの回転によって線材Wに2度撚りが与えられ、ペア撚線が得られる。
【0008】
ところで、ボビン1を水平な軸周りに回転させながら線材Wを繰り出す場合、線材Wには遠心力が働くとともに、重力も作用する。2つのボビン1は隣接してクレードル3に配置されているので、ボビン1がフライヤの回転に合わせて回転すると、線材Wの振れが大きくなって、線材Wが隣りのボビン1や線材Wあるいはクレードル3に接触して、断線するおそれがある。
【0009】
これを防ぐために、ボビン1を取り囲むようにフード7が設けられている。筒形のフード7は、ボビン1と平行に配され、クレードル3に固定されている。フード7の内面には、耐磨耗性、低摩擦係数、衝撃吸収性を有するフェルト等の繊維状の被覆材が貼り付けられており、遠心力で線材Wが振られてフード7に接触したとき、線材Wを傷つけないようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、通信ケーブルの高特性化により撚りピッチが小さくなってきており、フライヤの高速化が要求されている。これに伴って線速が増大するとともにボビンも高速回転されることになり、線材がフードに高速で接触する機会が多くなる。線材がフードに高速で接触すると、スリップして、線材にかかる送り出し張力が大きくなって、線材の表面に傷がつきやすくなり、撚線の品質が低下する。
【0011】
本発明は、上記に鑑み、回転するボビンから線材を繰り出すときに、線材に損傷を与えることのない撚線機の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、縦軸周りに回転自在に支持されたフライヤ内に、クレードルが静止状態で保持され、クレードルに、回転駆動される複数のボビンが互いに平行に隣接して設けられ、フードが各ボビンを取り囲むようにそれぞれ設けられたものであり、フードはボビンの回転に同期して回転される。
【0013】
ボビンから線材が繰り出されるときに、線材に撚り方向とは逆方向の撚りを与えることによって線材の捻れを少なくする場合、フライヤの回転数に合わせて所定の比率の回転数でボビンを回転させる。このとき、隣接するボビンに線材が接触しないように設けたフードがボビンに同期して回転するので、フードに対する線材の相対速度が小さくなる。その結果、線材がフードに接触しても、線材のスリップが小さくなり、線材表面の傷付きといった損傷がなくなり、繰り出し張力も低減できる。
【0014】
ここで、フードをボビンの駆動軸に一体化された円盤に取り付けると、ボビンの回転駆動力が円盤を介してフードに伝達され、フードはボビンと一体的に回転することになる。これによって、フードを回転駆動するための機構を新たに設ける必要がなく、撚線機の構造が複雑にならない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の撚線機を図1、2に示す。撚線機の基本的な構造は従来と同じであり、上下一対の縦軸10、11に取り付けられたフライヤ12と、フライヤ12内に回転自在に設けられたクレードル3と、線材Wが巻き付けられた複数、ここでは2つのボビン1と、張力を与えながら線材Wを繰り出す繰出部13と、各ボビン1から繰り出された線材Wを集める集合部14とから構成される。
【0016】
各縦軸10、11は、フレーム15に回転自在に支持されている。フライヤ12は、一対の弓を上下の支持体16に取り付けたもので、支持体16に上、下ターンローラ17、18がそれぞれ回転自在に支持されている。支持体16は縦軸10、11に嵌合され、下側の縦軸11がモータにより回転駆動されることにより、フライヤ12は回転する。そして、下側の縦軸11には、上端の線材入口から下ターンローラ18に通じる中心孔が形成されている。上側の縦軸10には、上ターンローラ17から上端の出口に通じる中心孔が形成されている。上側の縦軸10の上方に、撚線を撚合機へと案内するガイドローラ19が設けられている。
【0017】
クレードル3は、上下の縦軸10、11に軸受を介して支持され、回転するフライヤ12に対して公知の遊星歯車機構によって静止状態に保持される。クレードル3には、2つのボビン1が互いに平行かつ水平に並置されている。
【0018】
ボビン1は、図3に示すように、水平な横軸2に着脱可能に嵌め込まれる。それぞれの横軸2は、クレードル3に鉛直方向に設けられた支柱20に回転自在に片持ち支持されている。横軸2のボビン1よりも他端側に、円盤4が一体的に取り付けられ、円盤4にケリー21が設けられ、ケリー21をボビン1のフランジ6に形成された孔に挿入することにより、円盤4とボビン1とが一体回転可能となる。この円盤4とボビン駆動用モータとの間にベルトが掛け巻きされ、1つのモータにより2つのボビン1を同期させて回転駆動できる。
【0019】
横軸2の中心には、一端から他端に至る線材通過用の貫通孔が形成されている。横軸2の一端には、ボビン1から引き出された線材Wを貫通孔の入口まで導くガイド体5が取り付けられている。
【0020】
繰出部13は、ボビン1の他端側に配置されており、複数のガイドローラと、ブレーキ付ローラとから構成される。各ローラは、それぞれクレードル3に回転自在に支持されている。集合部14は、目板およびダイスからなり、縦軸10、11の軸線上で両ボビン1の間に配置される。
【0021】
各ボビン1に対して遠心力による線材Wの飛び出しを防止するためのフード7が設けられている。フード7は、一端が開放された円筒状のものであり、ボビン1のフランジ6よりも大径とされ、ボビン1を取り囲むように平行に配置されている。フード7の他端が円盤4に固定されており、フード7はボビン1と同方向、同速度で一体的に回転する。なお、フード7は、アルミニウム等の軽金属、あるいはFRP等の強化プラスチックから製造され、肉厚を薄くして軽量化を図っており、慣性力を小さくすることによって、回転時の安定性を高めるとともに、モータへの負荷も小さくしている。また、フード7の内面には、従来のものと同様に被覆材が設けられている。
【0022】
上記構成において、所定のピッチで線材Wを撚るようにフライヤ12の回転速度が設定され、フライヤ12が回転される。また、それに応じてブレーキ付ローラによって線材Wの張力が制御され、線材Wの繰り出し張力が決まる。ボビン1はフライヤ1の回転数に対して設定された比率の回転数で回転駆動される。
【0023】
線材Wは、各ボビン1から引き出され、横軸2の貫通孔を通り抜け、ブレーキ付ローラによって所定の張力が付与される。そして、各ボビン1から繰り出された2本の線材Wが集合部14によって集合され、下側の縦軸11の中心孔から下ターンローラ18を通過して、フライヤ12に達するときに撚りが与えられる。線材Wは、フライヤ1の内面に沿って上方に向かい、上ターンローラ17を通過するときに2度目の撚りが与えられる。このように対撚された撚線は、上側の縦軸10の中心孔を通り抜けて、撚合機へと向かう。
【0024】
撚線機が複数並べられたタンデム型の場合、各撚線機からは撚りピッチの異なる撚線が供給され、各撚線はダイスによって集合され、撚合機で撚り合わされてドラムに巻き取られる。撚線機が1つの場合、撚線は引き取りローラによって引っ張られ、ドラムに巻き取られる。
【0025】
ここで、横軸2周りに回転するボビン1から線材Wが引き出されるとき、線材Wに遠心力および重力が作用して、線材Wが半径方向に振れると、ボビン1は一体的に回転するフード7によって囲まれているので、線材Wはフード7に接触する。しかし、フード7は回転しているので、フード7が停止している場合に比べて線速とフード7の回転速度の差は小さく、相対的に見て線材Wはフード7に対してゆっくりと動くことになる。そのため、フード7に線材Wが接触しても、線材Wのスリップは極端に少なくなり、線材Wにかかる送り出し張力が低減する。したがって、スリップによる線材Wの表面の傷付きをなくすことができ、通信ケーブルの電気特性が向上する。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。フードをボビンに対して独立して回転させてもよく、フードが横軸に回転自在に支持され、フード駆動用のモータを設ける。そして、ボビンに同期させて同方向にフードを回転させるが、回転速度はボビン回転数に対して比率制御する。これによって、フードと線材との速度差がより一層少なくなり、線材がフードに接触してもスリップは非常に少なくなる。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、ボビンを回転させて、撚り合わせによって生じる捻れとは逆方向の撚りを与えて線材の捻れを少なくするとき、ボビンを囲むフードがボビンとともに回転するので、フードに線材が接触しても、線材の損傷を防止でき、高品質な撚線を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の撚線機の正面図
【図2】撚線機の側面図
【図3】ボビンおよびフードの断面図
【図4】ボビンの回転方向と線材の繰り出し方向の関係を示す図
【図5】従来のボビンおよびフードの断面図
【符号の説明】
1 ボビン
2 横軸
6 クレードル
4 円盤
7 フード
10、11 縦軸
12 フライヤ
Claims (2)
- 縦軸周りに回転自在に支持されたフライヤ内に、クレードルが静止状態で保持され、該クレードルに、回転駆動される複数のボビンが互いに平行に隣接して設けられ、所定の張力で繰り出された線材の遠心力による飛び出しを防ぐため各ボビンを取り囲むようにフードが回転自在にそれぞれ設けられ、前記フードは、前記ボビンの回転数に対して比率制御された回転速度でボビンに同期して同方向に回転されることを特徴とする撚線機。
- 縦軸周りに回転自在に支持されたフライヤ内に、クレードルが静止状態で保持され、該クレードルに、回転駆動される複数のボビンが互いに平行に隣接して設けられ、張力を与えながら線材を前記ボビンから繰り出す操出部を備え、該操出部は、線材の張力を制御するためのブレーキ付ローラを有し、前記フライヤの回転に応じて線材の張力が制御され、前記ボビンが前記フライヤの回転数に対して設定された比率の回転数で回転駆動され、所定の張力で繰り出された線材の遠心力による飛び出しを防ぐため各ボビンを取り囲むようにフードが回転自在にそれぞれ設けられ、前記フードは、前記ボビンに同期して同方向に回転され、前記フードの回転速度は前記ボビンの回転数に対して比率制御されることを特徴とする撚線機。
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JP2001192176A JP3595514B2 (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 撚線機 |
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JP2001192176A JP3595514B2 (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 撚線機 |
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JP2001192176A Expired - Lifetime JP3595514B2 (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 撚線機 |
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2001
- 2001-06-26 JP JP2001192176A patent/JP3595514B2/ja not_active Expired - Lifetime
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