JP3595513B2 - タンパク質結晶化装置及びタンパク質結晶化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質結晶化装置及びタンパク質結晶化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質結晶を形成する技術は、タンパク質の構造解析を行う上で重要である。結晶化されたタンパク質は、X線回折のような解析法によりその構造を同定することができる。タンパク質の構造の同定は、特に、タンパク質からなる医薬を開発する上で必要不可欠である。
【0003】
タンパク質を結晶化する結晶化方法として、静置条件下でタンパク質を結晶化する方法(静置バッチ法、液−液(自由界面)拡散法、微量透析法等)が知られている。タンパク質の溶解度を減少させて結晶化する方法では、タンパク質溶液と、沈殿剤を含む緩衝液とが同一の容器に封入される。沈殿剤がタンパク質に拡散すると、タンパク質の溶解度を減少させて、タンパク質が結晶化される。
【0004】
しかし、静置条件下でタンパク質の溶解度を減少させて結晶する公知の方法では、タンパク質結晶は等方的に成長し難い。
【0005】
タンパク質結晶が等方的に成長するタンパク質結晶化技術が提供されることが望まれる。
【0006】
更に、タンパク質の結晶化は、結晶の成長速度が遅い。タンパク質結晶を成長するためには、長時間が必要である。これは、タンパク質の構造解析の効率化を阻害する要因になっている。
【0007】
タンパク質結晶の成長を促進するタンパク質結晶化技術が提供されることが望まれる。
【0008】
なお、他のタンパク質結晶化方法が公開特許公報(特開平6−321700)に知られている。公知のそのタンパク質結晶化方法では、図5に示されているように、タンパク質を含有するタンパク質ゲル105と、沈殿剤を含む沈殿剤ゲル106と、緩衝液のみを含む緩衝液ゲル107とが、容器101に入れられる。このように、公知のそのタンパク質結晶化方法では、タンパク質を成長するのに必要な材料を供給するためにゲルが使用されている。これは対流をなるべく小さくするためである旨が当該公開特許公報に記載されている。容器101の内部には、沈殿剤ゲル106、緩衝液ゲル107、タンパク質ゲル105、緩衝液ゲル107、及び沈殿剤ゲル106が順次に積層されたサンドイッチ構造が形成される。結晶化容器101は、タンパク質結晶の成長の間、上下に反転される。
【0009】
公知のそのタンパク質結晶化方法では、沈殿剤ゲル106に含まれる沈殿剤は、緩衝液ゲル107を通過してタンパク質ゲル105に拡散する。下記の本願発明に係る発明は、ゲル化をする必要はなく、根本的に異なる技術が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タンパク質結晶をより等方的に成長可能なタンパク質結晶化技術を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、タンパク質結晶の成長を促進するタンパク質結晶化技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段は、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の複数の実施の形態のうちの、少なくとも1つの実施の形態を構成する技術的事項、特に、その実施の形態に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0013】
本発明によるタンパク質結晶化装置は、回転装置(1)と容器保持部(8)とを備えている。容器保持部(8)は、その内部に、タンパク質の溶解度を減少させて結晶化する機能を有する容器(2)を含む。回転装置(1)は、密閉容器(2)を回転する。沈殿剤がタンパク質溶液に拡散すると、タンパク質の溶解度を減少させて、タンパク質が結晶化される。このとき、容器(2)が回転されていることにより、より等方的なタンパク質結晶が得られる。
【0014】
このとき、回転装置(1)は、容器(2)を第1軸(6a)の回りに回転する第1回転装置(6)と、第1回転装置(6)を第2軸(4a)の回りに回転する第2回転装置(4)とを含むことが望ましい。これにより、密閉容器(2)は、2軸回転され、タンパク質結晶がより等方的に成長する。
【0015】
第1回転装置(6)と第2回転装置(4)とは、容器(2)に重力が等方的に印加されるように、それぞれ容器(2)と第1回転装置(6)とを回転することが好ましい。これにより、タンパク質結晶が一層等方的に成長する。
【0016】
本発明によるタンパク質結晶化方法は、
容器(2)の中に、タンパク質が溶解されたタンパク質溶液と、沈殿剤が溶解された沈殿剤溶液とを保持することと、
容器(2)を回転することと、
容器(2)が回転されている間に、沈殿剤をタンパク質溶液に拡散し、タンパク質を結晶化すること
とを備えている。容器(2)が回転されていることにより、タンパク質結晶の成長が促進される。
【0017】
このとき、容器(2)は、複数の軸の回りに回転されることが好ましい。
【0018】
このとき更に、容器(2)は、容器(2)に重力が等方的に印加されるように回転されることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による実施の一形態のタンパク質結晶化装置を説明する。
【0020】
図1は、本発明による実施の一形態のタンパク質結晶化装置を示す。当該タンパク質結晶化装置は、三次元クリノスタット1と容器2とを備えている。容器2の内部で、目的とするタンパク質結晶が成長される。
【0021】
三次元クリノスタット1は、本体3、モータ4、外側フレーム5、モータ6、内側フレーム7及び容器保持部8を含む。本体3は、基部3aと脚3b、3cを含む。基部3aには、脚3b、3cが接続されている。脚3bには、モータ4が設けられている。モータ4には、外側フレーム5が接続されている。モータ4は、軸4aを回転軸として外側フレーム5を回転する。外側フレーム5には、モータ6が設けられている。モータ6には、内側フレーム7が接続されている。モータ6は、軸6aを回転軸として、内側フレーム7を回転する。回転軸である軸6aは、軸4aと概ね直交する。内側フレーム7には、容器保持部8が接続されている。容器保持部8は、内側フレーム7と同体に回転する。容器保持部8は、前述の容器2を保持する。外側フレーム5と内側フレーム7とがそれぞれ回転されると、容器2は、2軸回転することになる。このとき、容器2は、回転軸である軸4aと軸6aとの交点の近傍に位置する。
【0022】
図2は、容器2の構成を示す。図2(a)は、容器2の断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A’断面から容器2の下方を見たときの容器2の上面図である。容器2は、容器本体21と、ボタン22と、シール23とを含む。
【0023】
図2(a)に示されているように、ボタン22には、窪み22aが設けられている。窪み22aには、タンパク質が溶解されたタンパク質溶液が、少量入れられる。タンパク質溶液の量は、典型的には約20μlである。タンパク質溶液としては、流動性を有するものが使用される。窪み22aに入れられたタンパク質溶液は、表面張力により窪み22aに保持される。容器2が回転されてモータンパク質溶液は窪み22aからこぼれ出ることはない。このように、タンパク質溶液の保持の機構は、極めて単純化されている。更に、図2(b)に示されているように、ボタン22には、ボタン22の上面から下面に貫通する隙間22bが設けられている。
【0024】
容器本体21の内部には、セルロース繊維24が収納される。セルロース繊維24には、沈殿剤が溶解された沈殿液溶液がしみ込まされる。セルロース繊維24にしみ込まされた沈殿剤のごく一部が蒸発し、前述の隙間22bを通って、窪み22aに入れられたタンパク質溶液に拡散する。沈殿剤がタンパク質溶液に拡散すると、タンパク質溶液に溶解されたタンパク質の溶解度が減少し、タンパク質が結晶化される。
【0025】
セルロース繊維24は、容器2が回転されたときに、沈殿剤溶液が浸出することがないように、沈殿剤溶液を保持する。これは、容器2が回転されたときに、沈殿剤溶液が窪み22aに入れられたタンパク質溶液と接触することを防ぐ。
【0026】
容器本体21には、入口21aが設けられている。入口21aからタンパク質溶液と沈殿剤溶液とが容器2の内部に入れられる。シール23は、入口21aをシールして、容器2の気密を保つ。
【0027】
続いて、タンパク質結晶を成長する手順を説明する。
【0028】
まず、容器2に原料となるタンパク質溶液と沈殿液溶液とが入れられる。タンパク質溶液は、前述の窪み22aに入れられる。更に、沈殿剤溶液がセルロース繊維24にしみ込まされる。続いて、入口21aがシール23によりシールされ、容器2が密閉される。更に続いて、容器2が容器保持部8に取りつけられる。
【0029】
その後、外側フレーム5と内側フレーム7とがそれぞれモータ4、モータ6により回転される。容器2は、2軸回転する。容器2が回転されている間、容器2の内部では、沈殿剤が蒸発する。蒸発した沈殿剤は、ボタン22に設けられた隙間22bを通って窪み22aに入れられたタンパク質溶液に拡散する。沈殿剤がタンパク質溶液に拡散すると、タンパク質溶液の溶解度が減少し、タンパク質が結晶化する。このとき、タンパク質が結晶化されている間に容器2が回転されていることにより、タンパク質結晶は、等方的に成長する。
【0030】
容器2が回転されていることにより、タンパク質結晶が等方的に成長するのは、以下の2つの理由によると推定される。第1の理由は、タンパク質溶液が緩やかに移動され、タンパク質濃度が均一になることであると推定される。タンパク質結晶が等方的に成長するためには、タンパク質溶液中のタンパク質濃度が、均一であることが必要である。容器2が回転されることにより、タンパク質溶液が緩やかに移動され、タンパク質濃度が均一になる。これにより、タンパク質結晶がより等方的に成長すると推定される。第2の理由は、成長しつつあるタンパク質結晶が、タンパク質溶液を収容する容器の底部に沈殿したり、壁面に付着することがないためであると推定される。タンパク質結晶が容器に沈殿し、又は壁面に付着すると、接触面における結晶成長が阻害され、これによりタンパク質結晶の等方的な成長が阻害される。容器2が回転されることにより、タンパク質結晶の沈殿と壁面への付着とが防止され、タンパク質結晶の等方的な成長が実現されたと推定される。
【0031】
更に、容器2が回転されていることにより、より大きなタンパク質結晶が得られる。この理由は、必ずしも明らかではない。しかし、容器2の回転がなされると、タンパク質結晶の一部の結晶核のみが選択的に成長し、その一部の結晶核が大きなタンパク質結晶に成長することが理由であると推定される。
【0032】
モータ4とモータ6は、回転する容器2に重力が等方的に印加されるように、それぞれ外側フレーム5と内側フレーム7とを回転することが好ましい。即ち、容器2が充分に長時間観察されたときに、容器2は、全方向から均一に重力が印加されることが好ましい。これにより、タンパク質結晶がより等方的に成長する。
【0033】
モータ4とモータ6とは、以下に述べられているように外側フレーム5と内側フレーム7とを回転することが好ましい。軸4aに垂直な任意の一の方向と外側フレーム5がなす角をφとする。更に、軸6aに垂直な任意の一の方向と内側フレーム5がなす角をθとする。このとき、φとθとが下記微分方程式を満足するように外側フレーム5と内側フレーム7とは回転される。
【数1】
但し、φとθの初期値は任意である。更に、AとBとは、A:B=n:mとなる最小のn、mに対して2m/nが整数にならないように選ばれる。
【0034】
微分方程式(1)を満足するようにφとθとが定められると、容器2には重力が等方的に印加される。その理由は、同一出願人に係る特許出願の公開特許公報(特開2000−79900)に記載されている。
【0035】
続いて、本実施の形態のタンパク質結晶化装置によってタンパク質結晶が成長された実施例を示す。
【0036】
【実施例】
タンパク質溶液として、リゾチームが溶解されたリゾチーム溶解緩衝溶液が使用された。リゾチーム溶解緩衝溶液のリゾチーム濃度は、80mg/mlであった。そのリゾチーム溶解緩衝溶液には、緩衝剤として酢酸と酢酸ナトリウムとが溶解された。酢酸と酢酸ナトリウムとの濃度は、それぞれ50mMであった。リゾチーム溶解緩衝溶液はpH4.7に調製された。
【0037】
沈殿剤溶液として、塩化ナトリウムが溶解された塩化ナトリウム溶解緩衝溶液が使用された。塩化ナトリウムの濃度は、1.0Mであった。塩化ナトリウム溶解緩衝溶液には、緩衝剤として酢酸と酢酸ナトリウムとが溶解された。酢酸と酢酸ナトリウムとの濃度は、それぞれ50mMであった。塩化ナトリウム溶解緩衝溶液はpH4.7に調製された。
【0038】
リゾチーム溶解緩衝溶液が、ボタン22の窪み22aに、20μlだけ注入された。更に、塩化ナトリウム溶解緩衝溶液が、セルロース繊維24に300μlだけしみ込まされた。シール23により容器2が密封され、更に、容器保持部8に装着された。
【0039】
三次元クリノスタット1の動作が開始され、リゾチーム結晶の成長が開始された。外側フレーム5は、軸4aの回りに、平均で約1.5rpmの回転速度で回転された。内側フレーム7は、軸6aの回りに、平均で約1.7rpmの回転速度で回転された。これにより、容器2は2軸回転を行い、容器2には重力が等方的に印加された。容器2が回転されている間、容器2は約20℃に一定に保たれた。回転は90時間継続された。その後、成長されたリゾチーム結晶が、取り出された。
【0040】
対比実験として、容器2を回転しない条件で同様の実験が行われた。
【0041】
得られたリゾチーム結晶に対して、結晶の大きさの測定、外観観察、密度測定、及び、X線回折による結晶構造解析が行われた。
【0042】
外観観察の結果、容器2を回転することにより、より等方的なリゾチーム結晶が得られることが分かった。図3(a)は、容器2の回転がなされた条件で成長されたリゾチーム結晶の表面観察写真であり、図3(b)は、容器2の回転がなされない条件で成長されたリゾチーム結晶との表面観察写真である。リゾチーム結晶の表面は、容器2を回転して成長されたリゾチーム結晶の方がより平滑であった。これは、容器2を回転することにより、リゾチーム結晶がより等方的に成長することを示している。
【0043】
更に、結晶の大きさの測定の結果、容器2の回転の有無は、成長されたリゾチーム結晶の大きさに影響を与えることが分かった。容器2の回転がなされた条件では、一辺が20μmよりも小さいリゾチーム結晶と一辺が200μmよりも大きいリゾチーム結晶とが得られた。一方、容器2の回転がなされない条件では、一辺が50μm〜100μmの範囲の大きさのリゾチーム結晶が得られた。これは、容器2の回転がなされると、リゾチーム結晶の一部の結晶核のみが選択的に成長し、その一部の結晶核が大きなリゾチーム結晶に成長することを示している。
【0044】
密度測定及び結晶構造解析の結果、容器2の回転の有無は、得られたリゾチーム結晶の密度、結晶格子の構造、結晶性には、影響がないことが分かった。図4は、得られたリゾチーム結晶の諸特性を示す。リゾチーム結晶の密度は、容器2の回転の有無に関わらず、約1.25g/mlであった。X線解析の結果、得られたリゾチーム結晶は、容器2の回転の有無に関わらず、いずれもテトラゴナルで、点群P43212に属していることが分かった。更に、X線解析の結果、単位格子の大きさは、容器2の回転の有無に関わらず、ほぼ同等であることが分かった。更に、モザイク拡散の観測の結果、モザイクインデックスは、いずれも、0.2であり、同等であることが分かった。更に、得られたリゾチーム結晶に対してX線を入射してブラッグ反射を起こしたところ、いずれのリゾチーム結晶の最高分解能も、約1.4Å以上であり、ほぼ同等であることが分かった。このように、容器2の回転は、得られるリゾチーム結晶の結晶性に悪影響がないことが分かった。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、タンパク質結晶の成長を促進するタンパク質結晶化技術が提供される。
【0046】
また、本発明により、タンパク質結晶をより等方的に成長可能なタンパク質結晶化技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の一形態のタンパク質結晶化装置を示す。
【図2】図2は、容器2の構造を示す。
【図3】図3(a)は、容器2が回転された条件で成長されたリゾチーム結晶の表面観察写真であり、図3(b)は、容器2が回転されない条件で成長されたリゾチーム結晶の表面観察写真である。
【図4】図4は、容器2の回転の有無によるリゾチーム結晶の諸特性の差を示す表である。
【図5】図5は、従来のタンパク質結晶化方法を示す。
【符号の説明】
1:三次元クリノスタット
2:容器
3:本体
4:モータ
5:外側フレーム
6:モータ
7:内側フレーム
8:容器保持部
21:容器本体
22:ボタン
23:シール
24:セルロース繊維
Claims (6)
- ゲルではない、流動性を有するタンパク質溶液を保持し、且つ、前記タンパク質溶液に含まれるタンパク質の溶解度を減少させて結晶化する機能を有する容器と、
前記容器を回転する回転装置
とを備える
タンパク質結晶化装置。 - 請求項1に記載のタンパク質結晶化装置において、
前記回転装置は、
前記容器を第1軸の回りに回転する第1回転装置と、
前記第1回転装置を第2軸の回りに回転する第2回転装置
とを含む
タンパク質結晶化装置。 - 請求項2に記載のタンパク質結晶化装置において、
前記第1回転装置と前記第2回転装置とは、前記容器に重力が等方的に印加されるように、それぞれ前記容器と前記第1回転装置とを回転する
タンパク質結晶化装置。 - ゲルではない、流動性を有するタンパク質溶液を、前記タンパク質溶液のタンパク質の溶解度を減少させて結晶化する機能を有する容器に保持させることと、
前記容器を回転することと、
前記容器が回転されている間に、前記タンパク質を結晶化すること
とを備える
タンパク質結晶化方法。 - 請求項4に記載のタンパク質結晶化方法において、
前記容器は、複数の軸の回りに回転される
タンパク質結晶化方法。 - 請求項5に記載のタンパク質結晶化方法において、
前記容器は、前記容器に重力が等方的に印加されるように回転される
タンパク質結晶化方法。
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