JP3595205B2 - 磁気記録再生装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録モードを有する磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録再生装置は低価格化が進み磁気テープのランニングコストの低下も求められている。しかしながら記録時間の長時間化は標準モードとその2倍、3倍の長時間記録が可能な記録モード(以下標準モードの2倍の長時間記録できるモードを2倍モード、3倍長時間記録を3倍モード、同様に4倍モード、5倍モード、6倍モードと称する。)までしか市場に導入されていなかった。
【0003】
以下に従来の磁気記録再生装置について説明する。
【0004】
従来、5倍以上の長時間記録として6倍モードの記録再生を可能にした磁気記録再生装置は特開平7−73405号公報に記載されたものが知られている。その磁気記録再生装置を図4と図5に示す。図4及び図5は従来の磁気記録再生装置の回転ヘッドの構成を示す概略説明図である。大きな円周にある小さな○は取り付けられたヘッドを示す。図4において、3倍モードにおけるトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅を有する標準モード用シングルヘッド対5(5R,5L)と3倍モードにおけるトラックピッチとほぼ等しいヘッド幅を有する3倍モード用ヘッド対7(7R,7L)、及び6倍モードにおけるトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅を有する6倍モード用ヘッド対6(6R,6L)からなるダブルアジマス方式の4ヘッドと全てのモードに用いられる音声用ヘッド4(4R,4L)を設けているものである。
【0005】
以上のように構成された従来の磁気記録再生装置について、以下その動作については、特開平7−73405号公報に記載されたものに準じて説明する。
【0006】
まず、シングルヘッド対5にて、標準モードの記録・再生、及び3倍モードの互換再生を行う。またヘッド対7にて3倍モードの記録・再生を行い、6倍モードにおける記録トラックピッチの2倍より若干狭いトラック幅を有し、アジマス角を±0度から±20度の間に設定した6倍モード用ヘッド対6にて、6倍モードの記録再生を行う。
【0007】
標準モード、3倍モード、6倍モードの特殊再生についてはフィールドメモリを用いたデジタル回路により補完している。
【0008】
次に図5において示すヘッドの構成について説明する。1R,1L、9R,9Lで構成されているダブルアジマス方式4ヘッドのなかで1Rと1Lは標準モードの記録再生に用いられるヘッド対でヘッド対Eとする。9Rと9Lは3倍モードの記録再生に用いられるヘッド対でヘッド対Fとする。一般的に各ヘッドのヘッド幅は、ヘッド対Eで49μm、ヘッド対Fで26μm程度が選ばれる。また6倍モード用の記録再生用に8Rと8Lを設けており、これをヘッド対Gとする。ヘッド対Gのヘッド幅は6倍のトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅に設定されている。さらに4Rと4Lからなるヘッド対をヘッド対Bとし、ヘッド対BはHiFiオーディオ用のヘッド対で標準、3倍、6倍の3モードの記録再生に共用して用いられる。一般的に互換再生を考え26μm〜30μmのトラック幅が選ばれる。ヘッド対Eとヘッド対Fにて標準モードと3倍モードの互換再生、標準モード記録再生及び両モードの特殊再生を行う。また3倍モードの通常再生時には、隣接トラックからのクロストークが発生しないようにヘッド対Gを用いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図4の構成では、特開平7−73405号公報にも述べられているように全てのモードにおいて特殊再生時には、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路が必要となりコスト的な負担が大きいという問題点を有していた。
【0010】
またアジマス角が従来のものと違うヘッドのついた4ヘッドや標準モード用に従来よりトラックピッチの狭いノーマルヘッドなどを新たに製造せねばならず、工場設備投資と数量のバランスからみてもコスト的な負担が大きいという問題点が予想される。
【0011】
さらに図5の構成時には3倍モード記録再生時にクロストークを防ぐために再生ヘッドとして6倍モード用ヘッド対Gを用いるが反面、フルトラック再生に比べて出力が低下するという問題点がある。
【0012】
また図4、図5に共通する点であるが、6倍のトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅に設定されたヘッドにて6倍モードの記録再生専用を行っている。これは同一のヘッドで記録と再生をするので記録時にはHiFi音声の消し残しを無くすという面でヘッド幅はトラックピッチよりも広くする必要があり、一方再生時には隣接トラックからのクロストークを除くためにはトラックピッチより狭くする必要があるというジレンマを有する。また同時にHiFiオーディオの音質を著しく劣化させるか、あるいは標準モードあるいは3倍モードにおいてHiFiオーディオ信号の互換再生に対する余裕が著しく削られるという問題点も有していた。この点に関しては、特開平7−73405号公報には論じられていない。
【0013】
この点を図6をもって6倍モードで説明する。図6は従来の磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図である。P1、P2、P3、P4は6倍モードのHiFi音声と映像信号のトラックでありそのピッチは9.6μmでP1とP3、P2とP4はそれぞれ同アジマスである。
【0014】
また必ずしもHiFi音声トラックと映像トラックは一致しないがここでは説明を簡略化するため一致していることとする。ヘッドBは標準、3倍、6倍モードの記録再生を行うHiFiヘッド対で図4、図5での4Lと4Rからなるヘッド対Bであり、そのヘッド幅は特開平7−73405号公報に記されているように一般的に互換再生を考え26μm〜30μmが選ばれる。ここでは26μmとして説明する。Gヘッドは6倍モードの記録再生を行う映像ヘッドで図4では7Lと7Rのヘッド対であり、図5では8Lと8Rからなるヘッド対Gである。
【0015】
ヘッド対Gのヘッド幅(Twg)は6倍のトラックピッチの2倍より若干狭い幅(19.2μm未満)に設定されている。
【0016】
図6において音声の記録はヘッドBにより行われる。ヘッドBのヘッド幅は6倍モードの記録トラック9.6μmより広いので図6のようなヘッドと記録トラックとの関係になる。同様にトラックピッチより広いヘッド幅を持つヘッドGにより映像信号を記録していくので図6に示すようなヘッドGと記録トラックの位置関係になる。次に再生時には音声用ヘッドBがP2トラックをトレースする際にはP2に対して同アジマスの関係にあるP4のトラックをトレースすると著しい音質劣化を招くので例えばB’の位置に制御される。P2に対し2つ向こうの記録トラックが同アジマス(以下隣々接トラックと称する。図6においてP2の隣々接トラックはP4となる。また隣の記録トラックのことを隣接トラックと称する。P2の隣接トラックはP1とP3)。隣々接トラックをトレースしない最も余裕の取れる位置、つまりP2トラックの中心とヘッドBのセンターの中心が重なるように記録の位置から(26μm−9.6μm)/2=8.2μmだけずらして制御した結果がB’となる。これにより隣々接トラックからの強烈なクロストークの影響を受けずにすむことになる。しかしヘッドBを8.2μmずらすと同じように映像のGヘッドも8.2μmだけずれるので本来P2のトラックをGヘッドはトレースしたいのだから8.2μmだけGヘッドのヘッド幅を広くする必要が生じる。するとGヘッドは9.6μmの正規の信号をP2トラックから再生すると同時に8.2μmもの隣接トラックP1からのクロストークを受けることになる。これはアジマス角を変えたヘッド対7でも画質劣化の影響は受けざるを得ない。逆にヘッドB幅を狭くすることでヘッドBが同アジマストラックP4の影響を受けないようにしようとすると特に標準モードでのFM音声の互換保証が難しくなる。
【0017】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、HiFiヘッドのトラックピッチを狭くすることなく5倍以上の長時間記録モードにおいてHiFiヘッドが隣々接トラックを拾うことを防ぎ良好な音質を提供、また映像についても隣接トラックからのクロストークのない良好な画質を提供し、かつ標準モード、3倍モードの特殊再生も従来通りフィールドメモリを使用せずに成立させる磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の磁気記録再生装置は、標準記録モードと前記標準記録モードに対し2倍あるいは3倍の長時間記録を可能とする2倍あるいは3倍記録モードに対応し、主に映像信号の記録再生および特殊再生に使用する1組以上のヘッド対によって構成されるヘッド群Aと、主に音声信号の記録再生に使用するヘッド対Bとを有し、前記ヘッド群Aは、前記標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録を可能とする5倍以上の長時間記録モードに対応し映像信号の記録に使用するヘッド対Dを含む磁気記録再生装置において、5倍以上の長時間記録モードの映像信号を再生するために使用しヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にあるヘッド対Cを備え、前記ヘッド対DはトラックピッチPxに対してPx<Twd<2×Pxなるヘッド幅Twdを有し、前記ヘッド対BはトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxなるヘッド幅Twbを有し、5倍以上の長時間記録モードの再生時に、前記ヘッド対Cのヘッド幅中心が前記ヘッド対Dにより映像信号が記録された映像トラックの中心をトレースする場合に、前記ヘッド対Bが同アジマスの音声トラックを全てトレースし、且つ、前記ヘッド対Bが余分にトレースする逆アジマスの隣接音声トラック中にある前記ヘッド対Dにより映像信号が1回のみ記録された箇所を、前記ヘッド対Bが2箇所同時にトレースすることのない位置に、前記ヘッド対Bと前記ヘッド対Cを配置した構成を有している。
【0019】
この構成によって、従来のダブルアジマス方式の4ヘッドとHiFiヘッドを使用できる。従って標準モード及び2倍あるいは3倍モードの記録・再生と特殊再生が従来通り可能となるので、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0020】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0021】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0022】
このようにして、5倍以上の長時間記録モードの再生時において隣々接トラックの影響のない良好な音声と隣接トラックからのクロストークのない良好な画質を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、標準記録モードと前記標準記録モードに対し2倍あるいは3倍の長時間記録を可能とする2倍あるいは3倍記録モードに対応し、主に映像信号の記録再生および特殊再生に使用する1組以上のヘッド対によって構成されるヘッド群Aと、主に音声信号の記録再生に使用するヘッド対Bとを有し、前記ヘッド群Aは、前記標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録を可能とする5倍以上の長時間記録モードに対応し映像信号の記録に使用するヘッド対Dを含む磁気記録再生装置において、5倍以上の長時間記録モードの映像信号を再生するために使用しヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にあるヘッド対Cを備え、前記ヘッド対DはトラックピッチPxに対してPx<Twd<2×Pxなるヘッド幅Twdを有し、前記ヘッド対BはトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxなるヘッド幅Twbを有し、5倍以上の長時間記録モードの再生時に、前記ヘッド対Cのヘッド幅中心が前記ヘッド対Dにより映像信号が記録された映像トラックの中心をトレースする場合に、前記ヘッド対Bが同アジマスの音声トラックを全てトレースし、且つ、前記ヘッド対Bが余分にトレースする逆アジマスの隣接音声トラック中にある前記ヘッド対Dにより映像信号が1回のみ記録された箇所を、前記ヘッド対Bが2箇所同時にトレースすることのない位置に、前記ヘッド対Bと前記ヘッド対Cを配置したことを特徴としたものであり、5倍以上の長時間記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッドで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録してFM音声の映像信号による消し残しを防ぎヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となる。また、5倍以上の長時間記録モードの再生時には映像信号の再生専用に設けられたヘッドCのヘッド幅中心がそのヘッド幅に関わらず記録されている映像トラックの中心に一致させてトレースする場合に、前記ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中の前記ヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置したことにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確立が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができるという作用を有する。
【0024】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdを5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより、5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができるという作用を有する。
【0025】
さらに、ヘッド対Cのヘッド幅Twcを5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより、5倍以上の長時間記録モードの再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得ることができるという作用を有する。
【0026】
以下、本発明の磁気記録再生装置の実施の形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッド構成を示す図である。大きな円周にある小さな○(1R,1L,2R,2L,3R,3L,4R,4L)はそれぞれヘッドを示す。まず1R,1L,2R,2Lで構成されているのがヘッド群Aでこれはダブルアジマス方式の4ヘッドである。そのヘッド群Aの中の2Rと2Lのヘッド対をヘッド対Dと呼ぶ。ヘッド対Dのヘッド幅(Twd)はTwd<2×Pxの関係に設定されている。ここでPxは5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチである。
【0028】
次に4Lと4Rからなるヘッド対をヘッド対Bと呼ぶ。ヘッド対Bのヘッド幅(Twb)は2×Px<Twb<3×Pxの関係に設定されている。
【0029】
次に3Rと3Lからなるヘッド対をヘッド対Cと呼ぶ。ヘッド対Cのヘッド幅(Twc)はTwc≦Pxに設定されている。
【0030】
以上のように構成されたヘッド構成を持つ磁気記録再生装置についてその動作を説明する。ヘッド群Aは標準モードと2倍あるいは3倍モードの映像の記録再生及び特殊再生に用いられるヘッドであり、ヘッド対Bは標準、2倍、3倍、5倍以上の全てのモードのFM音声の記録再生および特殊再生に用いられるヘッドでありヘッド対Cは5倍以上の長時間モードの映像信号の再生にのみ用いられるヘッドであり、ヘッド対Dは5倍以上の長時間記録時には映像の記録を行う。ここで、標準、2倍、3倍の映像と音声の記録再生と特殊再生については従来公知の技術であるのでここでは論じない。
【0031】
次に図2を用いて5倍以上の長時間記録時の動作について説明を行う。図2は本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッドが5倍以上の長時間モードの記録トラックに対してどのようにトレースするかを概念的に示す図である。オーディオヘッドAL及びARはヘッド対Bであり、図1における4Rと4Lに相当し、FM音声の記録再生を行うものである。ビデオヘッドL及びRはヘッド対Dであり、図1における2Lと2Rに相当し、5倍以上の長時間記録時には映像の記録を行うものである。ビデオヘッドXL及びXRはヘッド対Cであり、図1における3Rと3Lに相当し、5倍以上の長時間記録モードの再生時にのみ用いられる映像の再生専用ヘッドである。図中横方向のALからARへのシフト距離はトラックピッチPxである。また記録テープパターンにアジマス方向を模式化して描いている。隣接トラック間は逆アジマスであり、隣々接トラック間は同アジマスである。この例ではHiFi音声トラックと映像トラックとがずれている場合を示す。
【0032】
図2において音声の記録はヘッドBにより行われる。ヘッドBのヘッド幅Twbは2×Px<Twb<3×Pxであるので図2のようなヘッドと記録トラックとの関係になる。映像の記録はヘッド対Dにより行われる。ヘッド対Dのヘッド幅TwdはTwd<2×Pxであり、またPx<Twdであるので図2に示すように映像信号を後から1回のみ記録された箇所(1回消し部)と映像信号を後から2回記録された箇所(2回消し部)が存在する。記録しているときには同アジマスである隣々接トラックに対しては影響を与えない。つまり同アジマスの重ね書きは行われない。
【0033】
次に5倍以上の長時間記録モードの再生時には例えばヘッド対Cの再生出力が最大となるようにオートトラッキングを働かせる。このヘッドCはヘッド幅Twc≦Pxに設定されているので、映像トラックの信号だけをトレースすることができ、ビデオの隣接トラックの映像からのクロストークを全く受けない再生映像信号を得ることができる。これにより5倍以上の長時間記録モードの再生時にヘッドCの中心と映像トラックの中心が重なるようにすることができる。
【0034】
ここで図3を用いて各ヘッド対の物理的位置関係について説明する。図3は各ヘッド対の取付け高さを示す模式図であり、縦軸にヘッドの取付け高さを、横軸に回転ヘッドシリンダーの外周方向を示す。各ヘッド対は図1に示す様に回転ヘッドシリンダー上に約60度の間隔で取り付けられている。ここで、図1の各ヘッド1L,2R,3R,4R,1R,2L,3L,4Lは、各々図3のL’,R,XR,AR,R’,L,XL,ALに相当する。テープ走行している場合には回転ヘッドシリンダー上の180度の間隔が1トラックピッチのずれに相当する。従って例えば60度の間隔ではトラックピッチの1/3のずれとなる。ヘッド間で任意のずれを生じさせるには、後はヘッドの取付け高さを調整する必要がある。図3ではヘッド対B(AR,AL)はヘッド対D(R,L)に対しAだけ取付け位置が高く、またヘッド対C(XR,XL)はヘッド対B(AR,AL)に対しBだけ取付け位置が低いことを示す。
【0035】
この構成によって、ヘッドCが映像トラックをトレースする場合には音声用ヘッドBは回転ヘッドシリンダー上のヘッド間隔及び図3中のBで示す量で定まる分の位置にずれる。このためにヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置する。尚、映像信号を後から1回のみ記録された箇所(1回消し部)のノイズ成分は映像信号を後から2回記録された箇所(2回消し部)のノイズ成分よりも大きいことが知られている。これにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができる。この結果、ヘッドCをずらすと同じようにヘッドBもヘッドDも同距離だけずれる。尚、ヘッドCは記録には用いられない。
【0036】
また、従来のダブルアジマス方式の4ヘッドとHiFiヘッドを使用できる。従って標準モード及び2倍あるいは3倍モードの記録・再生と特殊再生が従来通り可能となるので、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0037】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0038】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0039】
5倍以上の長時間記録モードとして5倍モードが実際的であるがこれについて説明する。5倍モードが実際的であるのは次の理由による。VHS方式(日本ビクター株式会社の商標)ではNTSC方式の標準モードのトラックピッチは58μmである。ヘッドDは3倍モード及びN倍モードにおいて共に記録時に使用するものである。3倍モードにおけるトラックピッチP3は58μm/3=19.3μmである。従ってヘッドDのヘッド幅Twdは19.3μm以上でなければならない。一方、N倍モードにおけるトラックピッチは58μm/Nである。映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧しN倍モード記録時にヘッド対Dによる同アジマスの重ね書きを避けるためにはヘッドDのヘッド幅TwdはTwd<2×58/Nでなければならない。
【0040】
従って19.3μm≦Twd<2×58μm/Nを満たす整数Nは6未満となる。機械的バラツキを考慮すれば整数Nの最大値は5となる。すなわち、5倍モードが実際的である。
【0041】
尚、ヘッドDは3倍モードの記録再生にも使用することを条件にしたため整数Nの最大値は5となったが、3倍モードの記録再生との兼用をしない場合はTwdの最小値を更に小さくすることは可能であり、このときNの取りうる値は5より大きくできることは言うまでもない。
【0042】
以上のように本実施の形態1によれば、5倍以上の長時間記録モードの記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録モードの記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッド対Dで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録し、ヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となる。
【0043】
また、ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置することにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができる。
【0044】
また、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0045】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0046】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0047】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができる。
【0048】
また、ヘッド対Bのヘッド幅Twbが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxの関係にあるとしたことにより2倍モードあるいは3倍モードの互換再生を保証しながら、しかも5倍以上の長時間記録モードの再生時には隣々接トラックをトレースしないようにヘッド対Bを制御することが可能となる。
【0049】
また、ヘッド対Cのヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録モード再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得て良好な画質を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明は、5倍以上の長時間記録モードの記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録モードの記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッド対Dで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録し、ヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となるという優れた効果が得られる。
【0051】
また、ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置することにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができるという優れた効果が得られる。
【0052】
また、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ないという優れた効果が得られる。
【0053】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむという優れた効果が得られる。
【0054】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがないという優れた効果が得られる。
【0055】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができるという優れた効果が得られる。
【0056】
また、ヘッド対Bのヘッド幅Twbが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxの関係にあるとしたことにより2倍モードあるいは3倍モードの互換再生を保証しながら、しかも5倍以上の長時間記録モードの再生時には隣々接トラックをトレースしないようにヘッド対Bを制御することが可能となるという優れた効果が得られる。
【0057】
また、ヘッド対Cのヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録モード再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得て良好な画質を提供することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッド構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図
【図3】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置の各ヘッド対の取付け高さを示す模式図
【図4】従来の磁気記録再生装置のヘッド構成を示す概略説明図
【図5】従来の磁気記録再生装置のヘッド構成を示す概略説明図
【図6】従来の磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図
【符号の説明】
1 標準モード用ヘッド
2 2倍あるいは3倍モード用ヘッド
3 5倍以上の長時間記録モードでの再生専用ヘッド
4 全モード用FM音声用ヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録モードを有する磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録再生装置は低価格化が進み磁気テープのランニングコストの低下も求められている。しかしながら記録時間の長時間化は標準モードとその2倍、3倍の長時間記録が可能な記録モード(以下標準モードの2倍の長時間記録できるモードを2倍モード、3倍長時間記録を3倍モード、同様に4倍モード、5倍モード、6倍モードと称する。)までしか市場に導入されていなかった。
【0003】
以下に従来の磁気記録再生装置について説明する。
【0004】
従来、5倍以上の長時間記録として6倍モードの記録再生を可能にした磁気記録再生装置は特開平7−73405号公報に記載されたものが知られている。その磁気記録再生装置を図4と図5に示す。図4及び図5は従来の磁気記録再生装置の回転ヘッドの構成を示す概略説明図である。大きな円周にある小さな○は取り付けられたヘッドを示す。図4において、3倍モードにおけるトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅を有する標準モード用シングルヘッド対5(5R,5L)と3倍モードにおけるトラックピッチとほぼ等しいヘッド幅を有する3倍モード用ヘッド対7(7R,7L)、及び6倍モードにおけるトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅を有する6倍モード用ヘッド対6(6R,6L)からなるダブルアジマス方式の4ヘッドと全てのモードに用いられる音声用ヘッド4(4R,4L)を設けているものである。
【0005】
以上のように構成された従来の磁気記録再生装置について、以下その動作については、特開平7−73405号公報に記載されたものに準じて説明する。
【0006】
まず、シングルヘッド対5にて、標準モードの記録・再生、及び3倍モードの互換再生を行う。またヘッド対7にて3倍モードの記録・再生を行い、6倍モードにおける記録トラックピッチの2倍より若干狭いトラック幅を有し、アジマス角を±0度から±20度の間に設定した6倍モード用ヘッド対6にて、6倍モードの記録再生を行う。
【0007】
標準モード、3倍モード、6倍モードの特殊再生についてはフィールドメモリを用いたデジタル回路により補完している。
【0008】
次に図5において示すヘッドの構成について説明する。1R,1L、9R,9Lで構成されているダブルアジマス方式4ヘッドのなかで1Rと1Lは標準モードの記録再生に用いられるヘッド対でヘッド対Eとする。9Rと9Lは3倍モードの記録再生に用いられるヘッド対でヘッド対Fとする。一般的に各ヘッドのヘッド幅は、ヘッド対Eで49μm、ヘッド対Fで26μm程度が選ばれる。また6倍モード用の記録再生用に8Rと8Lを設けており、これをヘッド対Gとする。ヘッド対Gのヘッド幅は6倍のトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅に設定されている。さらに4Rと4Lからなるヘッド対をヘッド対Bとし、ヘッド対BはHiFiオーディオ用のヘッド対で標準、3倍、6倍の3モードの記録再生に共用して用いられる。一般的に互換再生を考え26μm〜30μmのトラック幅が選ばれる。ヘッド対Eとヘッド対Fにて標準モードと3倍モードの互換再生、標準モード記録再生及び両モードの特殊再生を行う。また3倍モードの通常再生時には、隣接トラックからのクロストークが発生しないようにヘッド対Gを用いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図4の構成では、特開平7−73405号公報にも述べられているように全てのモードにおいて特殊再生時には、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路が必要となりコスト的な負担が大きいという問題点を有していた。
【0010】
またアジマス角が従来のものと違うヘッドのついた4ヘッドや標準モード用に従来よりトラックピッチの狭いノーマルヘッドなどを新たに製造せねばならず、工場設備投資と数量のバランスからみてもコスト的な負担が大きいという問題点が予想される。
【0011】
さらに図5の構成時には3倍モード記録再生時にクロストークを防ぐために再生ヘッドとして6倍モード用ヘッド対Gを用いるが反面、フルトラック再生に比べて出力が低下するという問題点がある。
【0012】
また図4、図5に共通する点であるが、6倍のトラックピッチの2倍より若干狭いヘッド幅に設定されたヘッドにて6倍モードの記録再生専用を行っている。これは同一のヘッドで記録と再生をするので記録時にはHiFi音声の消し残しを無くすという面でヘッド幅はトラックピッチよりも広くする必要があり、一方再生時には隣接トラックからのクロストークを除くためにはトラックピッチより狭くする必要があるというジレンマを有する。また同時にHiFiオーディオの音質を著しく劣化させるか、あるいは標準モードあるいは3倍モードにおいてHiFiオーディオ信号の互換再生に対する余裕が著しく削られるという問題点も有していた。この点に関しては、特開平7−73405号公報には論じられていない。
【0013】
この点を図6をもって6倍モードで説明する。図6は従来の磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図である。P1、P2、P3、P4は6倍モードのHiFi音声と映像信号のトラックでありそのピッチは9.6μmでP1とP3、P2とP4はそれぞれ同アジマスである。
【0014】
また必ずしもHiFi音声トラックと映像トラックは一致しないがここでは説明を簡略化するため一致していることとする。ヘッドBは標準、3倍、6倍モードの記録再生を行うHiFiヘッド対で図4、図5での4Lと4Rからなるヘッド対Bであり、そのヘッド幅は特開平7−73405号公報に記されているように一般的に互換再生を考え26μm〜30μmが選ばれる。ここでは26μmとして説明する。Gヘッドは6倍モードの記録再生を行う映像ヘッドで図4では7Lと7Rのヘッド対であり、図5では8Lと8Rからなるヘッド対Gである。
【0015】
ヘッド対Gのヘッド幅(Twg)は6倍のトラックピッチの2倍より若干狭い幅(19.2μm未満)に設定されている。
【0016】
図6において音声の記録はヘッドBにより行われる。ヘッドBのヘッド幅は6倍モードの記録トラック9.6μmより広いので図6のようなヘッドと記録トラックとの関係になる。同様にトラックピッチより広いヘッド幅を持つヘッドGにより映像信号を記録していくので図6に示すようなヘッドGと記録トラックの位置関係になる。次に再生時には音声用ヘッドBがP2トラックをトレースする際にはP2に対して同アジマスの関係にあるP4のトラックをトレースすると著しい音質劣化を招くので例えばB’の位置に制御される。P2に対し2つ向こうの記録トラックが同アジマス(以下隣々接トラックと称する。図6においてP2の隣々接トラックはP4となる。また隣の記録トラックのことを隣接トラックと称する。P2の隣接トラックはP1とP3)。隣々接トラックをトレースしない最も余裕の取れる位置、つまりP2トラックの中心とヘッドBのセンターの中心が重なるように記録の位置から(26μm−9.6μm)/2=8.2μmだけずらして制御した結果がB’となる。これにより隣々接トラックからの強烈なクロストークの影響を受けずにすむことになる。しかしヘッドBを8.2μmずらすと同じように映像のGヘッドも8.2μmだけずれるので本来P2のトラックをGヘッドはトレースしたいのだから8.2μmだけGヘッドのヘッド幅を広くする必要が生じる。するとGヘッドは9.6μmの正規の信号をP2トラックから再生すると同時に8.2μmもの隣接トラックP1からのクロストークを受けることになる。これはアジマス角を変えたヘッド対7でも画質劣化の影響は受けざるを得ない。逆にヘッドB幅を狭くすることでヘッドBが同アジマストラックP4の影響を受けないようにしようとすると特に標準モードでのFM音声の互換保証が難しくなる。
【0017】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、HiFiヘッドのトラックピッチを狭くすることなく5倍以上の長時間記録モードにおいてHiFiヘッドが隣々接トラックを拾うことを防ぎ良好な音質を提供、また映像についても隣接トラックからのクロストークのない良好な画質を提供し、かつ標準モード、3倍モードの特殊再生も従来通りフィールドメモリを使用せずに成立させる磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の磁気記録再生装置は、標準記録モードと前記標準記録モードに対し2倍あるいは3倍の長時間記録を可能とする2倍あるいは3倍記録モードに対応し、主に映像信号の記録再生および特殊再生に使用する1組以上のヘッド対によって構成されるヘッド群Aと、主に音声信号の記録再生に使用するヘッド対Bとを有し、前記ヘッド群Aは、前記標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録を可能とする5倍以上の長時間記録モードに対応し映像信号の記録に使用するヘッド対Dを含む磁気記録再生装置において、5倍以上の長時間記録モードの映像信号を再生するために使用しヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にあるヘッド対Cを備え、前記ヘッド対DはトラックピッチPxに対してPx<Twd<2×Pxなるヘッド幅Twdを有し、前記ヘッド対BはトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxなるヘッド幅Twbを有し、5倍以上の長時間記録モードの再生時に、前記ヘッド対Cのヘッド幅中心が前記ヘッド対Dにより映像信号が記録された映像トラックの中心をトレースする場合に、前記ヘッド対Bが同アジマスの音声トラックを全てトレースし、且つ、前記ヘッド対Bが余分にトレースする逆アジマスの隣接音声トラック中にある前記ヘッド対Dにより映像信号が1回のみ記録された箇所を、前記ヘッド対Bが2箇所同時にトレースすることのない位置に、前記ヘッド対Bと前記ヘッド対Cを配置した構成を有している。
【0019】
この構成によって、従来のダブルアジマス方式の4ヘッドとHiFiヘッドを使用できる。従って標準モード及び2倍あるいは3倍モードの記録・再生と特殊再生が従来通り可能となるので、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0020】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0021】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0022】
このようにして、5倍以上の長時間記録モードの再生時において隣々接トラックの影響のない良好な音声と隣接トラックからのクロストークのない良好な画質を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、標準記録モードと前記標準記録モードに対し2倍あるいは3倍の長時間記録を可能とする2倍あるいは3倍記録モードに対応し、主に映像信号の記録再生および特殊再生に使用する1組以上のヘッド対によって構成されるヘッド群Aと、主に音声信号の記録再生に使用するヘッド対Bとを有し、前記ヘッド群Aは、前記標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録を可能とする5倍以上の長時間記録モードに対応し映像信号の記録に使用するヘッド対Dを含む磁気記録再生装置において、5倍以上の長時間記録モードの映像信号を再生するために使用しヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にあるヘッド対Cを備え、前記ヘッド対DはトラックピッチPxに対してPx<Twd<2×Pxなるヘッド幅Twdを有し、前記ヘッド対BはトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxなるヘッド幅Twbを有し、5倍以上の長時間記録モードの再生時に、前記ヘッド対Cのヘッド幅中心が前記ヘッド対Dにより映像信号が記録された映像トラックの中心をトレースする場合に、前記ヘッド対Bが同アジマスの音声トラックを全てトレースし、且つ、前記ヘッド対Bが余分にトレースする逆アジマスの隣接音声トラック中にある前記ヘッド対Dにより映像信号が1回のみ記録された箇所を、前記ヘッド対Bが2箇所同時にトレースすることのない位置に、前記ヘッド対Bと前記ヘッド対Cを配置したことを特徴としたものであり、5倍以上の長時間記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッドで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録してFM音声の映像信号による消し残しを防ぎヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となる。また、5倍以上の長時間記録モードの再生時には映像信号の再生専用に設けられたヘッドCのヘッド幅中心がそのヘッド幅に関わらず記録されている映像トラックの中心に一致させてトレースする場合に、前記ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中の前記ヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置したことにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確立が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができるという作用を有する。
【0024】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdを5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより、5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができるという作用を有する。
【0025】
さらに、ヘッド対Cのヘッド幅Twcを5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより、5倍以上の長時間記録モードの再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得ることができるという作用を有する。
【0026】
以下、本発明の磁気記録再生装置の実施の形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッド構成を示す図である。大きな円周にある小さな○(1R,1L,2R,2L,3R,3L,4R,4L)はそれぞれヘッドを示す。まず1R,1L,2R,2Lで構成されているのがヘッド群Aでこれはダブルアジマス方式の4ヘッドである。そのヘッド群Aの中の2Rと2Lのヘッド対をヘッド対Dと呼ぶ。ヘッド対Dのヘッド幅(Twd)はTwd<2×Pxの関係に設定されている。ここでPxは5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチである。
【0028】
次に4Lと4Rからなるヘッド対をヘッド対Bと呼ぶ。ヘッド対Bのヘッド幅(Twb)は2×Px<Twb<3×Pxの関係に設定されている。
【0029】
次に3Rと3Lからなるヘッド対をヘッド対Cと呼ぶ。ヘッド対Cのヘッド幅(Twc)はTwc≦Pxに設定されている。
【0030】
以上のように構成されたヘッド構成を持つ磁気記録再生装置についてその動作を説明する。ヘッド群Aは標準モードと2倍あるいは3倍モードの映像の記録再生及び特殊再生に用いられるヘッドであり、ヘッド対Bは標準、2倍、3倍、5倍以上の全てのモードのFM音声の記録再生および特殊再生に用いられるヘッドでありヘッド対Cは5倍以上の長時間モードの映像信号の再生にのみ用いられるヘッドであり、ヘッド対Dは5倍以上の長時間記録時には映像の記録を行う。ここで、標準、2倍、3倍の映像と音声の記録再生と特殊再生については従来公知の技術であるのでここでは論じない。
【0031】
次に図2を用いて5倍以上の長時間記録時の動作について説明を行う。図2は本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッドが5倍以上の長時間モードの記録トラックに対してどのようにトレースするかを概念的に示す図である。オーディオヘッドAL及びARはヘッド対Bであり、図1における4Rと4Lに相当し、FM音声の記録再生を行うものである。ビデオヘッドL及びRはヘッド対Dであり、図1における2Lと2Rに相当し、5倍以上の長時間記録時には映像の記録を行うものである。ビデオヘッドXL及びXRはヘッド対Cであり、図1における3Rと3Lに相当し、5倍以上の長時間記録モードの再生時にのみ用いられる映像の再生専用ヘッドである。図中横方向のALからARへのシフト距離はトラックピッチPxである。また記録テープパターンにアジマス方向を模式化して描いている。隣接トラック間は逆アジマスであり、隣々接トラック間は同アジマスである。この例ではHiFi音声トラックと映像トラックとがずれている場合を示す。
【0032】
図2において音声の記録はヘッドBにより行われる。ヘッドBのヘッド幅Twbは2×Px<Twb<3×Pxであるので図2のようなヘッドと記録トラックとの関係になる。映像の記録はヘッド対Dにより行われる。ヘッド対Dのヘッド幅TwdはTwd<2×Pxであり、またPx<Twdであるので図2に示すように映像信号を後から1回のみ記録された箇所(1回消し部)と映像信号を後から2回記録された箇所(2回消し部)が存在する。記録しているときには同アジマスである隣々接トラックに対しては影響を与えない。つまり同アジマスの重ね書きは行われない。
【0033】
次に5倍以上の長時間記録モードの再生時には例えばヘッド対Cの再生出力が最大となるようにオートトラッキングを働かせる。このヘッドCはヘッド幅Twc≦Pxに設定されているので、映像トラックの信号だけをトレースすることができ、ビデオの隣接トラックの映像からのクロストークを全く受けない再生映像信号を得ることができる。これにより5倍以上の長時間記録モードの再生時にヘッドCの中心と映像トラックの中心が重なるようにすることができる。
【0034】
ここで図3を用いて各ヘッド対の物理的位置関係について説明する。図3は各ヘッド対の取付け高さを示す模式図であり、縦軸にヘッドの取付け高さを、横軸に回転ヘッドシリンダーの外周方向を示す。各ヘッド対は図1に示す様に回転ヘッドシリンダー上に約60度の間隔で取り付けられている。ここで、図1の各ヘッド1L,2R,3R,4R,1R,2L,3L,4Lは、各々図3のL’,R,XR,AR,R’,L,XL,ALに相当する。テープ走行している場合には回転ヘッドシリンダー上の180度の間隔が1トラックピッチのずれに相当する。従って例えば60度の間隔ではトラックピッチの1/3のずれとなる。ヘッド間で任意のずれを生じさせるには、後はヘッドの取付け高さを調整する必要がある。図3ではヘッド対B(AR,AL)はヘッド対D(R,L)に対しAだけ取付け位置が高く、またヘッド対C(XR,XL)はヘッド対B(AR,AL)に対しBだけ取付け位置が低いことを示す。
【0035】
この構成によって、ヘッドCが映像トラックをトレースする場合には音声用ヘッドBは回転ヘッドシリンダー上のヘッド間隔及び図3中のBで示す量で定まる分の位置にずれる。このためにヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置する。尚、映像信号を後から1回のみ記録された箇所(1回消し部)のノイズ成分は映像信号を後から2回記録された箇所(2回消し部)のノイズ成分よりも大きいことが知られている。これにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができる。この結果、ヘッドCをずらすと同じようにヘッドBもヘッドDも同距離だけずれる。尚、ヘッドCは記録には用いられない。
【0036】
また、従来のダブルアジマス方式の4ヘッドとHiFiヘッドを使用できる。従って標準モード及び2倍あるいは3倍モードの記録・再生と特殊再生が従来通り可能となるので、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0037】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0038】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0039】
5倍以上の長時間記録モードとして5倍モードが実際的であるがこれについて説明する。5倍モードが実際的であるのは次の理由による。VHS方式(日本ビクター株式会社の商標)ではNTSC方式の標準モードのトラックピッチは58μmである。ヘッドDは3倍モード及びN倍モードにおいて共に記録時に使用するものである。3倍モードにおけるトラックピッチP3は58μm/3=19.3μmである。従ってヘッドDのヘッド幅Twdは19.3μm以上でなければならない。一方、N倍モードにおけるトラックピッチは58μm/Nである。映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧しN倍モード記録時にヘッド対Dによる同アジマスの重ね書きを避けるためにはヘッドDのヘッド幅TwdはTwd<2×58/Nでなければならない。
【0040】
従って19.3μm≦Twd<2×58μm/Nを満たす整数Nは6未満となる。機械的バラツキを考慮すれば整数Nの最大値は5となる。すなわち、5倍モードが実際的である。
【0041】
尚、ヘッドDは3倍モードの記録再生にも使用することを条件にしたため整数Nの最大値は5となったが、3倍モードの記録再生との兼用をしない場合はTwdの最小値を更に小さくすることは可能であり、このときNの取りうる値は5より大きくできることは言うまでもない。
【0042】
以上のように本実施の形態1によれば、5倍以上の長時間記録モードの記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録モードの記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッド対Dで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録し、ヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となる。
【0043】
また、ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置することにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができる。
【0044】
また、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ない。
【0045】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむ。
【0046】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがない。
【0047】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができる。
【0048】
また、ヘッド対Bのヘッド幅Twbが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxの関係にあるとしたことにより2倍モードあるいは3倍モードの互換再生を保証しながら、しかも5倍以上の長時間記録モードの再生時には隣々接トラックをトレースしないようにヘッド対Bを制御することが可能となる。
【0049】
また、ヘッド対Cのヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録モード再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得て良好な画質を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明は、5倍以上の長時間記録モードの記録時にはヘッド幅が確実に5倍以上の長時間記録モードの記録時のトラックピッチよりも広いヘッド幅をもつヘッド群Aの1対のヘッド対Dで映像を、またヘッド対BでFM音声を記録し、ヘッド対Cを5倍以上の長時間記録モードでの映像信号の再生専用ヘッドとして使用することにより、5倍以上の長時間記録モードを持たない従来磁気記録再生装置と同じヘッド群Aの構成をもつことが可能になり、標準、2倍あるいは3倍の特殊再生が可能となるという優れた効果が得られる。
【0051】
また、ヘッド対Bにより記録された音声信号の同アジマス記録トラックは全てトレースし、余分にトレースする逆アジマスの隣接トラックの中のヘッド群Aにより映像信号を後から1回のみ記録された箇所について2箇所同時にトレースすることのないように前記ヘッド対Cを配置することにより、ヘッド対BはHiFi音声トラックをトレースする場合に隣々接トラックをトレースする確率が少なく、また隣接トラックをトレースする際にはノイズ成分が大きい前記箇所を1箇所はトレースしても2箇所はトレースしないため、隣々接トラックの影響が少ないだけでなく、隣接トラックからの影響も少ない良好な音声を得ることができるという優れた効果が得られる。
【0052】
また、再生信号出力をFM復調した後のビデオ信号と低域変換色信号とを1フィールド記憶するフィールドメモリを持つデジタル回路は不要でありコスト的な負担が少ないという優れた効果が得られる。
【0053】
また、新たに追加するヘッド対Cも従来と同じアジマス角で構成しているため、工場設備投資も少なくてすむという優れた効果が得られる。
【0054】
さらに、5倍以上の長時間記録モードの再生時には専用のヘッド対Cを設けており、3倍モード記録再生時には従来と同じフルトラック再生を行うので出力が低下することがないという優れた効果が得られる。
【0055】
また、ヘッド群Aの中で5倍以上の長時間記録モードでの記録に使用するヘッド対Dのヘッド幅Twdが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対してTwd<2×Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録時にヘッドDによる同アジマスの重ね書きをしないことになるため映像信号の重ね書きによる画質劣化を抑圧することができるという優れた効果が得られる。
【0056】
また、ヘッド対Bのヘッド幅Twbが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxの関係にあるとしたことにより2倍モードあるいは3倍モードの互換再生を保証しながら、しかも5倍以上の長時間記録モードの再生時には隣々接トラックをトレースしないようにヘッド対Bを制御することが可能となるという優れた効果が得られる。
【0057】
また、ヘッド対Cのヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にしたことにより5倍以上の長時間記録モード再生時に隣接トラックからのクロストーク影響の少ない映像信号を得て良好な画質を提供することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッド構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図
【図3】本発明の実施の形態1における磁気記録再生装置の各ヘッド対の取付け高さを示す模式図
【図4】従来の磁気記録再生装置のヘッド構成を示す概略説明図
【図5】従来の磁気記録再生装置のヘッド構成を示す概略説明図
【図6】従来の磁気記録再生装置のヘッドがどのように記録トラックをトレースするかを概念的に示す図
【符号の説明】
1 標準モード用ヘッド
2 2倍あるいは3倍モード用ヘッド
3 5倍以上の長時間記録モードでの再生専用ヘッド
4 全モード用FM音声用ヘッド
Claims (1)
- 標準記録モードと前記標準記録モードに対し2倍あるいは3倍の長時間記録を可能とする2倍あるいは3倍記録モードに対応し、主に映像信号の記録再生および特殊再生に使用する1組以上のヘッド対によって構成されるヘッド群Aと、主に音声信号の記録再生に使用するヘッド対Bとを有し、前記ヘッド群Aは、前記標準記録モードに対し5倍以上の長時間記録を可能とする5倍以上の長時間記録モードに対応し映像信号の記録に使用するヘッド対Dを含む磁気記録再生装置において、5倍以上の長時間記録モードの映像信号を再生するために使用しヘッド幅Twcが5倍以上の長時間記録モードのトラックピッチPxに対しTwc≦Pxの関係にあるヘッド対Cを備え、前記ヘッド対DはトラックピッチPxに対してPx<Twd<2×Pxなるヘッド幅Twdを有し、前記ヘッド対BはトラックピッチPxに対して2×Px<Twb<3×Pxなるヘッド幅Twbを有し、5倍以上の長時間記録モードの再生時に、前記ヘッド対Cのヘッド幅中心が前記ヘッド対Dにより映像信号が記録された映像トラックの中心をトレースする場合に、前記ヘッド対Bが同アジマスの音声トラックを全てトレースし、且つ、前記ヘッド対Bが余分にトレースする逆アジマスの隣接音声トラック中にある前記ヘッド対Dにより映像信号が1回のみ記録された箇所を、前記ヘッド対Bが2箇所同時にトレースすることのない位置に、前記ヘッド対Bと前記ヘッド対Cを配置したことを特徴とする磁気記録再生装置。
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