JP3594914B2 - コンテナクレーン - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンテナクレーンに関し、特に、吊荷を支持する4本のロープを夫々対応する2つ又は4つの巻取りドラムで駆動可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンテナ等の吊荷を荷役する設備として、コンテナクレーン等の種々の橋形クレーンが広く用いられている。例えば、コンテナクレーンについて簡単に説明すると、コンテナクレーンは、前後方向(陸上と海上を結ぶ方向)に延びる水平なガーダー及び起伏式のブームと、ガーダーとブームを前後方向に移動可能なトロリと、このトロリの下方においてコンテナ(吊荷)を保持するスプレッダ(吊具)などを備えている。コンテナとスプレッダは4本のロープでトロリから下方に支持されている。ガーダーには機械室が設けられ、この機械室には、4本のロープを巻取るコンテナ昇降用の巻上ドラムと、トロリを前後に移動させる為のトロリ駆動ドラムなどが配設されている。また、ブームあるいはガーダー上にはコンテナ傾転用の傾転ドラムやコンテナ旋回用の電動シリンダ等が設けられている。尚、傾転ドラムの代わりに電動シリンダ等によりロープを前後に駆動してスプレッダを傾転させる場合もある。このようなコンテナクレーンは、スプレッダの前後の移動、昇降、水平面内での旋回、前後の傾転、左右の傾転の各動作が可能に構成されている。
【0003】
図16に示すように、コンテナ100を保持するスプレッダ101は4本のロープ102〜105で支持され、4本のロープ102〜105の一端はトロリ106に設けられ夫々対応するシーブ107〜110を介して巻上ドラム111に固定されている。4本のロープ102〜105の他端は夫々対応するシーブ112〜115及びシーブ116〜119を介して傾転ドラム120,121に固定されている。
【0004】
巻上ドラム111を回転させるとスプレッダ101は昇降し、2つの傾転ドラム120,121を同じ方向に回転させるとコンテナ100は左右に傾転し、異なる方向に回転させると前後に傾転する。また、シーブ116,117とシーブ118,119を電動シリンダ等の旋回駆動装置により夫々前後方向において異なる向きに駆動するとスプレッダ101は水平面内で旋回する。さらに、トロリ106を図示外のトロリ駆動ドラムにより前後に移動させると、トロリ106の移動に追従してスプレッダ101も前後に移動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のコンテナクレーンにおいては、スプレッダの前後の移動、昇降、水平面内での旋回、前後及び左右の傾転の各動作はトロリ駆動ドラム、巻上ドラム、旋回駆動装置、傾転ドラムにより4本のロープを駆動して行うことになるため、4本のロープを駆動するロープ駆動装置の構成が複雑になる。
本発明の目的は、コンテナクレーンにおいて、吊具を支持移動させる為の4本のロープを駆動するロープ駆動装置の構成を簡略化することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、前記4本のロープの内、夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりする2つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムと、前記2つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、前記2つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
吊具には4本のロープの端部が吊具に連結され吊具はトロリの下方において支持され、これら4本のロープの他端はトロリに設けられた4つのシーブを経由して夫々対応する走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムに固定されている。2つの巻取りドラムには夫々対応する駆動モータが連結され、これら駆動モータにより巻取りドラムが回転駆動され、2つの巻取りドラムは夫々対応する2本のロープを巻取ったり繰り出したりすることができる。2つの巻取りドラムを夫々巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、吊具とトロリを走行路形成部材に沿って前後に移動させたりすることができる。
【0008】
請求項2のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、前記4本のロープを夫々巻取ったり繰り出したりする4つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムと、前記4つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
吊具には4本のロープの端部が吊具に連結され吊具はトロリの下方において支持され、これら4本のロープの他端はトロリに設けられた4つのシーブを経由して夫々対応する走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムに固定されている。4つの巻取りドラムには夫々対応する駆動モータが連結され、これら駆動モータにより巻取りドラムが回転駆動され、4つの巻取りドラムは夫々対応するロープを巻取ったり繰り出したりすることができる。4つの巻取りドラムを夫々巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、吊具およびトロリを走行路形成部材に沿って前後に移動させたり、吊具を左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。
【0010】
請求項3のコンテナクレーンは、請求項2の発明において、前記4つの巻取りドラムの内、2つの巻取りドラムは走行路形成部材の後端側部分に配設され、また、残りの2つの巻取りドラムは走行路形成部材の前端側部分に配設されたことを特徴とするものである。
【0011】
従って、走行路形成部材の後端側部分に配設された2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、走行路形成部材の前端側部分に配設された残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープを繰り出し又は巻き取る巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも前後方向へ移動する。
【0012】
請求項4のコンテナクレーンは、請求項2の発明において、前記4つの巻取りドラムは、走行路形成部材の所定位置にまとめて配設されたことを特徴とするものである。従って、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部及び後端部に設けられたシーブにより転向するなどして、4つの巻取りドラムの内2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープを繰り出し又は巻き取る巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも前後方向へ移動する。
【0013】
請求項5のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリ上に配設された4つの巻取りドラムと、前記トロリの相互に隔離した4箇所に設けられた4つのシーブと、前記4つの巻取りドラムから夫々延びて吊具の前記4つのシーブとトロリに付設された4つのシーブを経由して走行路形成部材に沿って延び且つ走行路形成部材の端部側部分に連結された4本のロープであって、吊具と吊荷を支持する4本のロープと、前記4つの巻取りドラムを夫々独立に回転駆動する駆動モータとを備え、前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
この場合、2本のロープの一端を走行路形成部材の後端部に固定し、残りの2本のロープの一端を走行路形成部材の前端部に固定し、吊具にはトロリの相互に隔離した4箇所に設けられた4つのシーブと夫々対応する4つのシーブを設けておく。そして、トロリに配設され、回転駆動モータを備えた4つの巻取りドラムの内2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを夫々対応するトロリのシーブと吊具のシーブを介して繰り出し又は巻き取ることで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも走行路形成部材に沿って前後方向へ移動し、吊具を昇降させたり左右に傾転させたり水平面内で旋回させたりすることができる。
【0014】
請求項6のコンテナクレーンは、請求項1〜5の何れかの発明において、前記トロリに、前記走行路形成部材に対するトロリの前後方向の移動を制限可能なトロリ制動機構を設けたことを特徴とするものである。従って、トロリ制動機構によりトロリの前後方向への移動を制限して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、吊具の前後傾転を行うことができる。
【0015】
請求項7のコンテナクレーンは、請求項1〜5の何れかの発明において、前記4本のロープを夫々制動可能な4組のロープ制動装置をトロリに設けたことを特徴とするものである。従って、各ロープ制動装置によりロープのトロリに対する相対移動を規制することができる。
【0016】
請求項8のコンテナクレーンは、請求項7の発明において、前記各ロープ制動装置を、少なくとも、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能に構成したことを特徴とするものである。ロープ制動装置のロック状態においてはロープのトロリに対しての相対移動は規制され、半ロック状態においてはロープに所定以上の張力が作用したときのみその相対移動は許容され、ロック解除状態においてはその相対移動は許容される。
【0017】
前記のように、各ロープ制動装置をロック状態、半ロック状態、ロック解除状態の何れかに設定し、4つの巻取りドラムにより4本のロープを巻取り又は繰り出すことで、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、前後及び左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、吊具の前後傾転を行うことができる。
【0018】
請求項9のコンテナクレーンは、請求項2〜5の何れかの発明において、前記4本のロープの内、トロリの左側部分又は右側部分に設けられた2つのシーブを経由する2本のロープに関して、吊具の前側部分に連結されたロープは後方へ延び、吊具の後側部分に連結されたロープは前方へ延びるように配設されたことを特徴とするものである。従って、吊具を前後移動させる場合と前後に傾転させる場合とで、4本のロープの駆動方向が異なることになるため、トロリの前後移動やトロリと4本のロープとの間の相対移動を制限する装置を設けることなく、吊具を前後に傾転させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、橋形クレーンの一種であり、陸上のコンテナヤードと海上のコンテナ船との間でコンテナを荷役するコンテナクレーンに本発明を適用したものである。
図1,図2に示すように、このコンテナクレーン1は、前後方向に延びるガーダー3と、このガーダー3の前端から前方へ延びる起伏式のブーム4(ガーダー3とブーム4が走行路形成部材に相当する)と、ガーダー3とブーム4とに亙って移動可能なトロリ5と、トロリ5の下方においてコンテナ2を保持する為のスプレッダ6と、スプレッダ6(吊具)とコンテナ2(吊荷)を支持可能な4本のロープ14〜17を駆動するロープ駆動装置7などを備えている。ガーダー3の後端側には機械室8が設けられ、この機械室8には、ロープ駆動装置7の巻取りドラム18〜21及び駆動モータ22〜25と、ブーム4を起伏させるための起伏ドラム9等が配設されている。
【0020】
次に、ロープ駆動装置7について説明する。
図2〜図5に示すように、ロープ駆動装置7は、トロリ5の四隅付近に夫々設けられた4つのシーブ10〜13と、これら4つのシーブ10〜13を夫々経由してスプレッダ6まで延びスプレッダ6とコンテナ2とを支持可能な4本のロープ14〜17と、4本のロープ14〜17を夫々巻取ったり繰り出したりする4つの巻取りドラム18〜21と、前記4つの巻取りドラム18〜21を夫々回転駆動する駆動モータ22〜25とを備えている。
【0021】
図4,図5に示すように、4本のロープ14〜17の一端はスプレッダ6の上部に正面視及び側面視で逆ハの字形に配設されて固定され、他端は夫々対応する巻取りドラム18〜21に固定されている。これら4本のロープ14〜17の内、トロリ5の後部の2つのシーブ10,12を夫々経由するロープ14,16は後方へ延びて2つの巻取りドラム18,20に夫々巻き取られ、トロリ5の前部の2つのシーブ11,13を経由するロープ15,17は前方へ延びてブーム4の前端部に設けられた2つのシーブ27,28を夫々経由してから後方へ延びて2つの巻取りドラム19,21に夫々巻き取られるように構成されている。
4つの巻取りドラム18〜21と4つの駆動モータ22〜25はガーダー3の後端側部分に設けられた機械室8に配設され、図2に示すように、4つの巻取りドラム18〜21には夫々対応する駆動モータ22〜25が連結され、駆動モータ22〜25により巻取りドラム18〜21が回転駆動される。
【0022】
次に、スプレッダ6の前後の移動、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作時におけるコンテナクレーン1の作用について説明する。
図2,図3に示すように、スプレッダ6を前後に移動させる場合には、巻取りドラム19,21によりロープ15,17を巻取り、巻取りドラム18,20によりロープ14,16を繰り出すと、スプレッダ6が前方に移動し、それに追従してトロリ5も前方に移動する。逆に巻取りドラム19,21によりロープ15,17を繰り出し、巻取りドラム18,20によりロープ14,16を巻取ると、スプレッダ6が後方に移動し、トロリ5も後方に移動する。
【0023】
図3に示すように、スプレッダ6を昇降させる場合には、全ての巻取ドラム18〜21により4本の全てのロープ14〜17を巻取るとスプレッダ6は上昇し、全てのロープ14〜17を繰り出すとスプレッダ6は下降する。
【0024】
スプレッダ6を水平面内で旋回させる場合には、巻取りドラム18,21によりロープ14,17を巻取り、巻取りドラム19,20によりロープ15,16を繰り出すと、スプレッダ6は水平面内で図3の矢印の方向に旋回し、逆に巻取りドラム18,21によりロープ14,17を繰り出し、巻取りドラム19,20によりロープ15,16を巻取ると、スプレッダ6は矢印の方向と逆方向に旋回する。
【0025】
スプレッダ6を左右に傾転させる場合には、巻取りドラム18,19によりロープ14,15を巻取り、巻取りドラム20,21によりロープ16,17を繰り出すと、スプレッダ6は左下がりに傾転し、逆に巻取りドラム18,19によりロープ14,15を繰り出し、巻取りドラム20,21によりロープ16,17を巻取ると、スプレッダ6は右下がりに傾転する。この際、図5に示すように、ロープ14〜17はスプレッダ6の上部に側面視逆ハの字形に固定されているので、スプレッダ6は所定量左方又は右方に水平移動した後に傾転する。
【0026】
以上のコンテナクレーン1によれば、スプレッダ6を支持する4本のロープ14〜17を夫々対応する巻取ドラム18〜21により巻取り又は繰り出すことができるので、スプレッダ6の前後の移動(トロリ5の前後の移動)、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作を行うことができる。従って、スプレッダ6の各動作の為に多種類の駆動装置が不要になり、ロープ駆動装置7の機器構成を簡素化できる。また、各駆動モータ22〜25の回転方向や回転数などを制御することでスプレッダ6の各動作を簡単に制御することができる。
【0027】
4本のロープ14〜17の内、ロープ14,16は後方へ延びて2つの巻取りドラム18,20に夫々巻き取られ、ロープ15,17は前方へ延びてブーム4の前端部に設けられた2つのシーブ27,28を夫々経由してから後方へ延びて2つの巻取りドラム19,21に夫々巻き取られるように構成したので、ロープ14,16を巻取り又は繰り出し、ロープ15,17をその逆方向に駆動することで、スプレッダ6とコンテナ2とを前後へ移動させると共にトロリ5も前後へ移動させることが可能になり、トロリ5を前後に移動駆動するための駆動装置が不要になる。さらに、スプレッダ6を駆動するための4つの巻取りドラム18〜21が、ガーダー3の後端側部分の機械室8にまとめて配設されるので、ロープ駆動装置7の保守点検が容易になる。
【0028】
次に前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。
1〕変更形態1・・・図6,図7参照
図6,図7に示すように、トロリ5の4つのシーブ10〜13の付近に、4本のロープ14〜17を夫々ロック可能な4組のロープ制動装置26を設けることもできる。これら4組のロープ制動装置26は同様の構造のものである。以下ロープ14をロックするロープ制動装置26について説明する。
ロープ制動装置26は、トロリ5に固定されたベース体30と、ベース体30の上面に設けられロープ14を挟持してロックするロック部材31と、同じくベース体30の上面に設けられロック部材31をロープ14のロック側へ駆動する駆動ブロック32とを備えている。
【0029】
ロック部材31は側面視矩形状の2つの分割体33,34で構成され、これら分割体33,34の内側には夫々縦溝33a,34aが形成され、これら縦溝33a,34aにより形成されるロープ通路35にロープ14が挿通されている。縦溝33aの上端部には、ロープ14が折れ曲がらないようにする為の傾斜部33bが形成されている。駆動ブロック32の内部には2つの電動シリンダ36,37が配設され、これらの電動シリンダ36,37の出力部材としてのロッド36a,37aの先端は分割体34に連結されている。分割体33はベース体30に強固に固定されている。
【0030】
前記のロープ制動装置26は、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能である。即ち、ロープ制動装置26によりロープ14をロックする場合には、2つの電動シリンダ36,37により分割体34を左方へ駆動し、ロープ14を縦溝33a,33bの内面に挟圧してロック状態にする。ロックを解除する場合には、2つの電動シリンダ36,37により分割体34を右方へ駆動し、ロープ14がロープ通路35を摺動可能な状態にしてロープ制動装置26をロック解除状態にする。さらに、2つの電動シリンダ36,37の出力を制御することで、ロープ14をロック位置よりも弱い力で挟圧保持した半ロック状態にすることができる。
【0031】
このロック状態あるいは半ロック状態において、ロープ14〜17を巻取り又は引き出すことにより、スプレッダ6の前後の傾転を行うことができる。図8に示すように、4つのロープ制動装置26がアンロック状態であれば、前側のロープ15,17を巻き込み、後側のロープ14,16を繰り出せば、スプレッダ6が後下がりに傾転する。スプレッダ6の重心位置は、ロープ14〜17のスプレッダ6との連結点よりも低い位置にあるため、後下がりに傾転することにより、重心位置が前側のロープ15,17,のスプレッダ6との連結点に近づく。このため、前側のロープ15,17の張力が後側のロープ14,16の張力よりも大きくなり、この張力によりトロリ5の前側のシーブ11,13に作用する力がトロリ5の後側のシーブ10,12に作用する力よりも大きくなり、トロリ5を前方へ移動させる力が生じ、前後のロープの張力が等しくなるまでトロリ5が前方へ移動する。つまりスプレッダ6の前後傾転が中立になりスプレッダ6が水平になる位置までトロリ5が移動する。
【0032】
トロリ5の前側の2組のロープ制動装置26をロック状態、トロリ5の後側の2組のロープ制動装置26をアンロック状態にすれば、後側のロープ14,16を繰り出せば、スプレッダ6が後下がりに傾転し、前側のロープ15,17の張力が後側のロープ14,16の張力よりも大きくなるが、前側のロープ15,17をトロリ5の前側の2組のロープ制動装置26によりロックしているため、前側のロープ15,17と後側のロープ14,16の張力差はトロリ5の前側の2組のロック制動装置26により保持され、トロリ5は移動せず、スプレッダ6の後下がりの傾転が可能になる。この際、図4に示すように、ロープ14〜17はスプレッダ6の上部に正面視逆ハの字形に配設されて固定されているので、スプレッダ6は所定量前方又は後方に水平移動した後に傾転する。
【0033】
スプレッダ6の前下がりの傾転も同様に、後側の2組のロープ制動装置26をロック状態、前側の2組のロープ制動装置26をアンロック状態にして、前側のロープ15,17を繰り出して行う。さらに、前後傾転時にロック状態のロック制動装置26のロープ保持力を弱めて半ロック状態にすれば、スプレッダ6が前後傾転したまま、スプレッダ6を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。
尚、ロープ14〜17を把持するための駆動装置としては、前記の電動シリンダの代わりに油圧シリンダを用いることも可能である。
【0034】
2〕変更形態2・・・図9参照
図9に示すように、ロープ駆動装置7Aにおいて、トロリ5上に4つの巻取りドラム18〜21及びこれら巻取りドラム18〜21を夫々独立に駆動する駆動モータ22〜25を配設し、ロープ14,16の一端をガーダー3の後端部に固定し、ロープ15,17の一端をブーム4の前端部に固定し、ロープ14〜17をシーブ10〜13及びスプレッダ6に設けたシーブ40〜43を経由して巻取りドラム18〜21により巻取るように構成してもよい。さらに、4本のロープ14〜17を全てトロリ5から後方に延びるように配設してもよい。あるいは、4本のロープ14〜17の数本をトロリ5から後方に延びるように配設し、残りをトロリ5に固定してもよい。ただし、この場合には、トロリ5は別の駆動装置により前後方向に駆動する必要がある。
【0035】
3〕変更形態3・・・図10参照
図10に示すように、ガーダー3及びブーム4に対するトロリ5の前後方向の移動を制限可能なトロリ制動装置44(トロリ制動機構)をトロリ5に設けてもよい。このトロリ制動装置44はガーダー3及びブーム4のレール3a,4aを把持してトロリ5の前後方向への移動を制限するもので、把持するための駆動手段としては油圧式又は電動式の何れの方式のものも採用できる。
尚、トロリ制動装置としては、トロリ5の車輪の回転を規制してトロリ5の前後方向の移動を制限するブレーキ機能を有するものでもよい。
【0036】
トロリ制動装置44のロック状態においては、トロリ5の前後方向への移動は規制され、半ロック状態においてはトロリ5に所定以上の前後方向の力が作用したときにトロリ5は前後方向に移動を許容され、ロック解除状態においては、トロリ5は自由に前後に移動することができる。このトロリ制動装置44によれば、前記実施形態のロープ制動装置26とほぼ同様の効果が得られ、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態を選択的に設定して、巻取りドラム18〜21を巻取り又は繰り出すことにより、スプレッダ6の前後移動(トロリ5の前後移動)、旋回、前後又は左右の傾転の各動作を可能にし、さらに、前後に傾転させながらの前後移動及び昇降の各動作も可能になる。
【0037】
4〕変更形態4・・・図11参照
トロリ5にロープ制動装置26を設ける代わりに、図11に示すように、4つのシーブ10〜13にシーブ制動装置45を設けてもよい。このシーブ制動装置45はシーブ10〜13の軸部材10a〜13aに連結され、電気式又は油圧式の駆動手段により軸部材10a〜13aの回転を制限するものである。
【0038】
シーブ制動装置45のロック状態においては、シーブ10〜13の回転は規制され、半ロック状態においてはシーブ10〜13に所定以上の回転力が作用したときにシーブ10〜13は回転を許容され、ロック解除状態では、シーブ10〜13は自由に回転することができる。このシーブ制動装置45によれば前記実施形態のロープ制動装置26とほぼ同様の効果が得られ、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態を選択的に設定して、巻取りドラム18〜21を巻取り又は繰り出すことにより、スプレッダ6の前後移動(トロリ5の前後移動)、旋回、前後又は左右の傾転の各動作を可能にし、さらに、前後に傾転させながらの前後移動及び昇降の各動作も可能になる。
【0039】
5〕前記ロープ制動装置26と、トロリ制動装置44と、シーブ制動装置45は前記変更形態の構造のものに限る訳ではなく、トロリ5又はシーブ10〜13をロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能であれば種々のものを採用できる。また、これらロープ制動装置26と、トロリ制動装置44と、シーブ制動装置45を省略することも可能であるが、その場合には、スプレッダ6を前後に傾転させることはできないので、前後に傾転させるための他の駆動手段が必要になる。
【0040】
6〕変更形態5・・・図12参照
図12に示すように、ロープ駆動装置7Bにおいて、4本のロープ14〜17の内、トロリ5の右側部分に設けられた2つのシーブ10,11を経由する2本のロープ14,15に関して、スプレッダ6の前側部分に連結されたロープ14は後方へ延び、スプレッダ6の後側部分に連結されたロープ15は前方へ延びるように配設してもよい。
【0041】
この場合、スプレッダ6の昇降及び左右の傾転については、前記実施形態と同様にロープ14〜17を駆動して行うことができる。その他のスプレッダ6の動作については、ロープ15,17を巻取り又は繰り出し、ロープ14,16をその逆方向に駆動すると、スプレッダ6を前後に移動させることができる。ロープ14を巻取り、ロープ15〜17を繰り出すと、スプレッダ6を水平面内において矢印方向に旋回させることができる。ロープ16を巻取り、ロープ14,15,17を繰り出すと、スプレッダ6を矢印方向と逆方向に旋回させることができる。さらに、ロープ15,16を巻取り又は繰り出し、ロープ14,17をその逆方向に駆動すると、スプレッダ6を前下り又は後下りに傾転させることができる。
【0042】
従って、このロープ駆動装置7Bにおいては、前記のロープ制動装置26、トロリ制動装置44、シーブ制動装置45等、トロリ5の前後移動や、トロリ5とロープ14〜17との間の相対移動を制限する装置を設けることなくスプレッダ6の各動作を行うことができる。ただし、このロープ駆動装置7Bにおいては、これら3つの動作を同時に行うためには、前記の各種制動装置あるいは前後傾転、左右傾転、旋回の為の駆動装置の内、少なくとも1つが必要になる。
【0043】
また、スプレッダ6の前後移動及び旋回の動作においては、スプレッダ6とコンテナ2のバランスが崩れて振れが大きくなる虞があるので、その振れを小さくするために各駆動モータ22〜25の回転数等を制御しつつスプレッダ6の各動作を行う。尚、ロープ14,15の代わりに、トロリ5の左側部分に設けられたシーブ12,13を経由するロープ16,17に関して前記と同様に配設してもよい。
【0044】
7〕変更形態6・・・図13参照
図13に示すように、ロープ駆動装置7Cにおいて、トロリ5Cにトロリ5Cのレール50を走行可能な左右の台車51,52を設け、台車51,52には夫々シーブ10,11とシーブ12,13とを配設し、トロリ5Cの右側部分において、トロリ5Cから後方へ延びるロープ14はシーブ11を経由してスプレッダ6の前側部分に連結され、トロリ5Cから前方へ延びるロープ15はシーブ10を経由してスプレッダ6の後側部分に連結され、ロープ14,15はトロリからスプレッダ6へ互いに平行に延びている。トロリ5Cの左側部分において、ロープ16はシーブ12を経由し、ロープ17はシーブ13を経由し、ロープ16,17はトロリから平行に下方へ延びてスプレッダ6に連結されている。
【0045】
このロープ駆動装置7Cにおいては、ロープ14,15及びロープ16,17は夫々平行にトロリ5Cから下方に延びてスプレッダ6に連結されているので、4本のロープ14〜17を巻取り又は繰り出してもスプレッダ6を旋回させることはできない。従って、電動シリンダ等の駆動手段(図示略)によりトロリ5Cにおいて台車51,52を前後逆方向に駆動して、4本のロープ14〜17を介してスプレッダ6を旋回させる。前記のように4本のロープ14〜17を配設することにより、トロリ5Cからスプレッダ6の間で4本のロープ14〜17の長さのバラツキが生じにくいため、スプレッダ6の前後移動及び昇降の動作時に旋回方向の振れを抑えることができる。スプレッダ6の旋回動作以外の各動作については、変更形態5と略同様の作用及び効果を有するのでその説明を省略する。また、スプレッダ6を旋回させるための台車51,52は左右いずれか一方のみに設けてもよい。
【0046】
8〕変更形態7・・・図14参照
本発明をコンテナクレーン以外のコンテナ荷役設備、例えば、コンテナヤードとトレーラー等との間で荷役する橋形クレーンなどに適用することもできる。この場合、図14に示すように、ロープ駆動装置7Dにおいて、4つの巻取りドラム18〜21の内、2つの巻取りドラム18,20をガーダー(走行路形成部材に相当する)の後端側部分に配設し、残りの2つの巻取りドラム19,21をガーダーの前端側部分に配設することもできる。この場合には、ロープ15,17を転向するためのシーブ27,28が不要になる。勿論、4つの巻取りドラム18〜21をガーダーの所定の位置にまとめて配設することもできる。この場合には、巻取りドラム18〜21の保守点検が容易になる。
【0047】
9〕変更形態8・・・図15参照
図15に示すように、ロープ駆動装置7Eにおいて、4本のロープ14〜17の内、トロリ5から後方へ延びる2本のロープ14,16と前方へ延びる2本のロープ15,17を夫々巻取ったり繰り出したりする2つの巻取りドラム18E,19Eと、これら2つの巻取りドラム18E,19Eを夫々回転駆動する駆動モータ22E,23Eを設けてもよい。この場合、ロープ14,16及びロープ15,17を巻取ったり繰り出したりすることで、スプレッダ6の前後移動及び昇降の各動作を行うことができる。水平面内の旋回、前後又は左右の傾転の各動作については、夫々別の駆動手段が必要になるが、例えば、前記変更形態6の旋回台車51,52等の旋回駆動手段をトロリ5に設けることで、スプレッダ6の主要動作である前後移動、昇降、旋回の各動作を簡単な構造のロープ駆動装置7Eにより行うことが可能になる。
【0048】
10〕スプレッダ6を支持する4本のロープは、スプレッダ6上の相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブを介してトロリ5に固定することも可能である。この場合、ロープ14〜17の巻取り速度を速くする必要があるが、ロープに加わる張力が小さくなり、ロープ14〜17の断面およびシーブの径を小さくすることができる。さらには、スプレッダ6、トロリ5に複数のシーブを設け、トロリ5とスプレッダ6の間でロープ14〜17を複数掛けし、ロープ14〜17の張力をさらに小さくすることも可能である。
【0049】
11〕4本のロープ14〜17の一端がトロリ5から後方へ延びて巻取りドラム18〜21に固定され、他端がトロリ5上のシーブとスプレッダ6上のシーブを介しトロリ5の前方へ延びてブーム4の前端部に固定されるように構成することもできる。この場合には、4つの巻取りドラム22〜25により、4本のロープ14〜17の巻取ったり、繰り出したりすることで、スプレッダ6の昇降、前後および左右の傾転、水平方向の旋回が可能となる。ただし、トロリ5は別の駆動装置により前後方向に駆動する必要がある。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、コンテナクレーンに、吊具と吊荷とを支持する4本のロープの内、夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりする走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムと、2つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備えたので、駆動モータにより2つの巻取りドラムを夫々回転駆動してトロリから後方と前方に延びる夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりすることで、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに、吊具の前後移動及び昇降の各動作を行うことができ、従来、トロリの前後移動用の駆動装置と吊具の昇降用の駆動装置が必要であったところを、4本のロープを駆動するロープ駆動装置のみで構成できるため、装置構成および構造を簡略化できる。さらには、各駆動モータの回転方向や回転数などを制御することで吊具の前記各動作を簡単に制御することができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、コンテナクレーンに、吊具と吊荷とを支持する4本のロープを夫々巻取ったり繰り出したりする走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムと、これら4つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備えたので、駆動モータにより4つの巻取りドラムを夫々回転駆動して4本のロープを個別に巻取ったり繰り出したりすることで、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに吊具の前後移動、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作を行うことができ、従来、トロリの前後移動用の駆動装置、吊具の昇降用の駆動装置、傾転ドラム、旋回用のシリンダが必要であったところを、4本のロープを駆動するロープ駆動装置のみで構成できるため、装置構成および構造を簡略化できる。さらには、各駆動モータの回転方向や回転数などを制御することで吊具の各動作を簡単に制御することができる。
【0052】
請求項3の発明によれば、4つの巻取りドラムの内、2つの巻取りドラムは走行路形成部材の後端側部分に配設され、また、残りの2つの巻取りドラムは走行路形成部材の前端側部分に配設されたので、走行路形成部材の後端側部分の2つの巻取りドラムを巻取り又繰り出し、前端側部分の2つの巻取りドラムをその逆方向に駆動することで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも前後方向へ移動させることができ、トロリを前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、トロリからはシーブを経由することなく前後逆方向にロープを巻取ることができるため、それらのシーブが不要になり設備コスト的に有利である。さらに、シーブによるロープの折り返しがないため、ロープの長さが短くてすみ、ロープの伸びやたるみによる吊具の振れが小さくなり、吊具の操作性がよくなる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0053】
請求項4の発明によれば、4つの巻取りドラムは走行路形成部材の所定位置にまとめて配設されたので、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部又は後端部に設けられたシーブにより転向することで、2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープをその逆方向に駆動することで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも前後方向へ移動させることができ、トロリを前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、4つの巻取りドラムを1ヵ所に隣接して配設することができるため、巻取りドラムの保守点検が容易になる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0054】
請求項5の発明によれば、4つの巻取りドラムはトロリ上に配設されたので、2本のロープの一端を走行路形成部材の後端部に固定し、残りの2本のロープの一端を走行路形成部材の前端部に固定し、吊具にはトロリに設けられた4つのシーブと夫々対応する4つのシーブを設けることで、回転駆動モータを備えた2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを夫々対応するトロリのシーブと吊具のシーブを介して巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも走行路形成部材に沿って前後方向に移動させることができるため、トロリを走行路形成部材に沿って前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部又は後端部で転向するために設けられるシーブが不要になる。さらには、4つの巻取りドラムをトロリ上に配設することにより、巻取りドラムや駆動モータ等主な装置をトロリに集約できるため、生産管理や保守点検が容易になる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0055】
請求項6の発明によれば、トロリに、走行路形成部材に対するトロリの前後方向の移動を制限可能なトロリ制動機構を設けたので、トロリ制動機構によりトロリの前後方向への移動を制限して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、前後に傾転させることができる。その他、請求項2〜5の何れかと同様の効果を有する。
【0056】
請求項7の発明によれば、4本のロープを夫々制動可能な4組のロープ制動装置をトロリに設けたので、各ロープ制動装置によりロープのトロリに対する相対移動を規制し又はその規制を解除して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、前後に傾転させたりすることができる。その他、請求項2〜5の何れかと同様の効果を有する。
【0057】
請求項8の発明によれば、各ロープ制動装置を、少なくとも、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能に構成したので、各ロープ制動装置を半ロック状態に設定し、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に傾転させたまま、スプレッダを前後に移動させたり、昇降させたり、左右に移動させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。その他、請求項7と同様の効果を有する。
【0058】
請求項9の発明によれば、4本のロープの内、トロリの左側部分又は右側部分に設けられた2つのシーブを経由する2本のロープに関して、吊具の前側部分に連結されたロープは後方へ延び、吊具の後側部分に連結されたロープは前方へ延びるように配設されたので、トロリの前後移動やトロリと4本のロープとの間の相対移動を制限する装置を設けることなく、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、前後及び左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。その他、請求項2〜5と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態のコンテナクレーンの側面図である。
【図2】ロープ駆動装置の斜視図である。
【図3】ロープ駆動装置の作用説明図である。
【図4】スプレッダとロープの接続状態を示す説明図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】変更形態1のトロリのシーブ付近の拡大図である。
【図7】変更形態1のロープ制動装置の平面図である。
【図8】変更形態1のロープ駆動装置(前後傾転状態)の説明図である。
【図9】変更形態2の図2相当図である。
【図10】変更形態3のトロリ制動装置の配置を示す説明図である。
【図11】変更形態4のシーブ制動装置の配置を示す説明図である。
【図12】変更形態5の図2相当図である。
【図13】変更形態6の図2相当図である。
【図14】変更形態7の図2相当図である。
【図15】変更形態8の図2相当図である。
【図16】従来のロープ駆動装置の斜視図である。
1 コンテナクレーン
2 コンテナ
3 ガーダー
4 ブーム
5,5C トロリ
6 スプレッダ
10〜13 シーブ
14〜17 ロープ
18〜21,18E,19E 巻取りドラム
22〜25,22E,23E 駆動モータ
26 ロープ制動装置
44 トロリ制動装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンテナクレーンに関し、特に、吊荷を支持する4本のロープを夫々対応する2つ又は4つの巻取りドラムで駆動可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンテナ等の吊荷を荷役する設備として、コンテナクレーン等の種々の橋形クレーンが広く用いられている。例えば、コンテナクレーンについて簡単に説明すると、コンテナクレーンは、前後方向(陸上と海上を結ぶ方向)に延びる水平なガーダー及び起伏式のブームと、ガーダーとブームを前後方向に移動可能なトロリと、このトロリの下方においてコンテナ(吊荷)を保持するスプレッダ(吊具)などを備えている。コンテナとスプレッダは4本のロープでトロリから下方に支持されている。ガーダーには機械室が設けられ、この機械室には、4本のロープを巻取るコンテナ昇降用の巻上ドラムと、トロリを前後に移動させる為のトロリ駆動ドラムなどが配設されている。また、ブームあるいはガーダー上にはコンテナ傾転用の傾転ドラムやコンテナ旋回用の電動シリンダ等が設けられている。尚、傾転ドラムの代わりに電動シリンダ等によりロープを前後に駆動してスプレッダを傾転させる場合もある。このようなコンテナクレーンは、スプレッダの前後の移動、昇降、水平面内での旋回、前後の傾転、左右の傾転の各動作が可能に構成されている。
【0003】
図16に示すように、コンテナ100を保持するスプレッダ101は4本のロープ102〜105で支持され、4本のロープ102〜105の一端はトロリ106に設けられ夫々対応するシーブ107〜110を介して巻上ドラム111に固定されている。4本のロープ102〜105の他端は夫々対応するシーブ112〜115及びシーブ116〜119を介して傾転ドラム120,121に固定されている。
【0004】
巻上ドラム111を回転させるとスプレッダ101は昇降し、2つの傾転ドラム120,121を同じ方向に回転させるとコンテナ100は左右に傾転し、異なる方向に回転させると前後に傾転する。また、シーブ116,117とシーブ118,119を電動シリンダ等の旋回駆動装置により夫々前後方向において異なる向きに駆動するとスプレッダ101は水平面内で旋回する。さらに、トロリ106を図示外のトロリ駆動ドラムにより前後に移動させると、トロリ106の移動に追従してスプレッダ101も前後に移動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のコンテナクレーンにおいては、スプレッダの前後の移動、昇降、水平面内での旋回、前後及び左右の傾転の各動作はトロリ駆動ドラム、巻上ドラム、旋回駆動装置、傾転ドラムにより4本のロープを駆動して行うことになるため、4本のロープを駆動するロープ駆動装置の構成が複雑になる。
本発明の目的は、コンテナクレーンにおいて、吊具を支持移動させる為の4本のロープを駆動するロープ駆動装置の構成を簡略化することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、前記4本のロープの内、夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりする2つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムと、前記2つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、前記2つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
吊具には4本のロープの端部が吊具に連結され吊具はトロリの下方において支持され、これら4本のロープの他端はトロリに設けられた4つのシーブを経由して夫々対応する走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムに固定されている。2つの巻取りドラムには夫々対応する駆動モータが連結され、これら駆動モータにより巻取りドラムが回転駆動され、2つの巻取りドラムは夫々対応する2本のロープを巻取ったり繰り出したりすることができる。2つの巻取りドラムを夫々巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、吊具とトロリを走行路形成部材に沿って前後に移動させたりすることができる。
【0008】
請求項2のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、前記4本のロープを夫々巻取ったり繰り出したりする4つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムと、前記4つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
吊具には4本のロープの端部が吊具に連結され吊具はトロリの下方において支持され、これら4本のロープの他端はトロリに設けられた4つのシーブを経由して夫々対応する走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムに固定されている。4つの巻取りドラムには夫々対応する駆動モータが連結され、これら駆動モータにより巻取りドラムが回転駆動され、4つの巻取りドラムは夫々対応するロープを巻取ったり繰り出したりすることができる。4つの巻取りドラムを夫々巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、吊具およびトロリを走行路形成部材に沿って前後に移動させたり、吊具を左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。
【0010】
請求項3のコンテナクレーンは、請求項2の発明において、前記4つの巻取りドラムの内、2つの巻取りドラムは走行路形成部材の後端側部分に配設され、また、残りの2つの巻取りドラムは走行路形成部材の前端側部分に配設されたことを特徴とするものである。
【0011】
従って、走行路形成部材の後端側部分に配設された2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、走行路形成部材の前端側部分に配設された残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープを繰り出し又は巻き取る巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも前後方向へ移動する。
【0012】
請求項4のコンテナクレーンは、請求項2の発明において、前記4つの巻取りドラムは、走行路形成部材の所定位置にまとめて配設されたことを特徴とするものである。従って、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部及び後端部に設けられたシーブにより転向するなどして、4つの巻取りドラムの内2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープを繰り出し又は巻き取る巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも前後方向へ移動する。
【0013】
請求項5のコンテナクレーンは、前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、前記トロリ上に配設された4つの巻取りドラムと、前記トロリの相互に隔離した4箇所に設けられた4つのシーブと、前記4つの巻取りドラムから夫々延びて吊具の前記4つのシーブとトロリに付設された4つのシーブを経由して走行路形成部材に沿って延び且つ走行路形成部材の端部側部分に連結された4本のロープであって、吊具と吊荷を支持する4本のロープと、前記4つの巻取りドラムを夫々独立に回転駆動する駆動モータとを備え、前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするものである。
この場合、2本のロープの一端を走行路形成部材の後端部に固定し、残りの2本のロープの一端を走行路形成部材の前端部に固定し、吊具にはトロリの相互に隔離した4箇所に設けられた4つのシーブと夫々対応する4つのシーブを設けておく。そして、トロリに配設され、回転駆動モータを備えた4つの巻取りドラムの内2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを夫々対応するトロリのシーブと吊具のシーブを介して繰り出し又は巻き取ることで、吊具と吊荷が前後に移動すると共にトロリも走行路形成部材に沿って前後方向へ移動し、吊具を昇降させたり左右に傾転させたり水平面内で旋回させたりすることができる。
【0014】
請求項6のコンテナクレーンは、請求項1〜5の何れかの発明において、前記トロリに、前記走行路形成部材に対するトロリの前後方向の移動を制限可能なトロリ制動機構を設けたことを特徴とするものである。従って、トロリ制動機構によりトロリの前後方向への移動を制限して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、吊具の前後傾転を行うことができる。
【0015】
請求項7のコンテナクレーンは、請求項1〜5の何れかの発明において、前記4本のロープを夫々制動可能な4組のロープ制動装置をトロリに設けたことを特徴とするものである。従って、各ロープ制動装置によりロープのトロリに対する相対移動を規制することができる。
【0016】
請求項8のコンテナクレーンは、請求項7の発明において、前記各ロープ制動装置を、少なくとも、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能に構成したことを特徴とするものである。ロープ制動装置のロック状態においてはロープのトロリに対しての相対移動は規制され、半ロック状態においてはロープに所定以上の張力が作用したときのみその相対移動は許容され、ロック解除状態においてはその相対移動は許容される。
【0017】
前記のように、各ロープ制動装置をロック状態、半ロック状態、ロック解除状態の何れかに設定し、4つの巻取りドラムにより4本のロープを巻取り又は繰り出すことで、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、前後及び左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、吊具の前後傾転を行うことができる。
【0018】
請求項9のコンテナクレーンは、請求項2〜5の何れかの発明において、前記4本のロープの内、トロリの左側部分又は右側部分に設けられた2つのシーブを経由する2本のロープに関して、吊具の前側部分に連結されたロープは後方へ延び、吊具の後側部分に連結されたロープは前方へ延びるように配設されたことを特徴とするものである。従って、吊具を前後移動させる場合と前後に傾転させる場合とで、4本のロープの駆動方向が異なることになるため、トロリの前後移動やトロリと4本のロープとの間の相対移動を制限する装置を設けることなく、吊具を前後に傾転させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、橋形クレーンの一種であり、陸上のコンテナヤードと海上のコンテナ船との間でコンテナを荷役するコンテナクレーンに本発明を適用したものである。
図1,図2に示すように、このコンテナクレーン1は、前後方向に延びるガーダー3と、このガーダー3の前端から前方へ延びる起伏式のブーム4(ガーダー3とブーム4が走行路形成部材に相当する)と、ガーダー3とブーム4とに亙って移動可能なトロリ5と、トロリ5の下方においてコンテナ2を保持する為のスプレッダ6と、スプレッダ6(吊具)とコンテナ2(吊荷)を支持可能な4本のロープ14〜17を駆動するロープ駆動装置7などを備えている。ガーダー3の後端側には機械室8が設けられ、この機械室8には、ロープ駆動装置7の巻取りドラム18〜21及び駆動モータ22〜25と、ブーム4を起伏させるための起伏ドラム9等が配設されている。
【0020】
次に、ロープ駆動装置7について説明する。
図2〜図5に示すように、ロープ駆動装置7は、トロリ5の四隅付近に夫々設けられた4つのシーブ10〜13と、これら4つのシーブ10〜13を夫々経由してスプレッダ6まで延びスプレッダ6とコンテナ2とを支持可能な4本のロープ14〜17と、4本のロープ14〜17を夫々巻取ったり繰り出したりする4つの巻取りドラム18〜21と、前記4つの巻取りドラム18〜21を夫々回転駆動する駆動モータ22〜25とを備えている。
【0021】
図4,図5に示すように、4本のロープ14〜17の一端はスプレッダ6の上部に正面視及び側面視で逆ハの字形に配設されて固定され、他端は夫々対応する巻取りドラム18〜21に固定されている。これら4本のロープ14〜17の内、トロリ5の後部の2つのシーブ10,12を夫々経由するロープ14,16は後方へ延びて2つの巻取りドラム18,20に夫々巻き取られ、トロリ5の前部の2つのシーブ11,13を経由するロープ15,17は前方へ延びてブーム4の前端部に設けられた2つのシーブ27,28を夫々経由してから後方へ延びて2つの巻取りドラム19,21に夫々巻き取られるように構成されている。
4つの巻取りドラム18〜21と4つの駆動モータ22〜25はガーダー3の後端側部分に設けられた機械室8に配設され、図2に示すように、4つの巻取りドラム18〜21には夫々対応する駆動モータ22〜25が連結され、駆動モータ22〜25により巻取りドラム18〜21が回転駆動される。
【0022】
次に、スプレッダ6の前後の移動、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作時におけるコンテナクレーン1の作用について説明する。
図2,図3に示すように、スプレッダ6を前後に移動させる場合には、巻取りドラム19,21によりロープ15,17を巻取り、巻取りドラム18,20によりロープ14,16を繰り出すと、スプレッダ6が前方に移動し、それに追従してトロリ5も前方に移動する。逆に巻取りドラム19,21によりロープ15,17を繰り出し、巻取りドラム18,20によりロープ14,16を巻取ると、スプレッダ6が後方に移動し、トロリ5も後方に移動する。
【0023】
図3に示すように、スプレッダ6を昇降させる場合には、全ての巻取ドラム18〜21により4本の全てのロープ14〜17を巻取るとスプレッダ6は上昇し、全てのロープ14〜17を繰り出すとスプレッダ6は下降する。
【0024】
スプレッダ6を水平面内で旋回させる場合には、巻取りドラム18,21によりロープ14,17を巻取り、巻取りドラム19,20によりロープ15,16を繰り出すと、スプレッダ6は水平面内で図3の矢印の方向に旋回し、逆に巻取りドラム18,21によりロープ14,17を繰り出し、巻取りドラム19,20によりロープ15,16を巻取ると、スプレッダ6は矢印の方向と逆方向に旋回する。
【0025】
スプレッダ6を左右に傾転させる場合には、巻取りドラム18,19によりロープ14,15を巻取り、巻取りドラム20,21によりロープ16,17を繰り出すと、スプレッダ6は左下がりに傾転し、逆に巻取りドラム18,19によりロープ14,15を繰り出し、巻取りドラム20,21によりロープ16,17を巻取ると、スプレッダ6は右下がりに傾転する。この際、図5に示すように、ロープ14〜17はスプレッダ6の上部に側面視逆ハの字形に固定されているので、スプレッダ6は所定量左方又は右方に水平移動した後に傾転する。
【0026】
以上のコンテナクレーン1によれば、スプレッダ6を支持する4本のロープ14〜17を夫々対応する巻取ドラム18〜21により巻取り又は繰り出すことができるので、スプレッダ6の前後の移動(トロリ5の前後の移動)、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作を行うことができる。従って、スプレッダ6の各動作の為に多種類の駆動装置が不要になり、ロープ駆動装置7の機器構成を簡素化できる。また、各駆動モータ22〜25の回転方向や回転数などを制御することでスプレッダ6の各動作を簡単に制御することができる。
【0027】
4本のロープ14〜17の内、ロープ14,16は後方へ延びて2つの巻取りドラム18,20に夫々巻き取られ、ロープ15,17は前方へ延びてブーム4の前端部に設けられた2つのシーブ27,28を夫々経由してから後方へ延びて2つの巻取りドラム19,21に夫々巻き取られるように構成したので、ロープ14,16を巻取り又は繰り出し、ロープ15,17をその逆方向に駆動することで、スプレッダ6とコンテナ2とを前後へ移動させると共にトロリ5も前後へ移動させることが可能になり、トロリ5を前後に移動駆動するための駆動装置が不要になる。さらに、スプレッダ6を駆動するための4つの巻取りドラム18〜21が、ガーダー3の後端側部分の機械室8にまとめて配設されるので、ロープ駆動装置7の保守点検が容易になる。
【0028】
次に前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。
1〕変更形態1・・・図6,図7参照
図6,図7に示すように、トロリ5の4つのシーブ10〜13の付近に、4本のロープ14〜17を夫々ロック可能な4組のロープ制動装置26を設けることもできる。これら4組のロープ制動装置26は同様の構造のものである。以下ロープ14をロックするロープ制動装置26について説明する。
ロープ制動装置26は、トロリ5に固定されたベース体30と、ベース体30の上面に設けられロープ14を挟持してロックするロック部材31と、同じくベース体30の上面に設けられロック部材31をロープ14のロック側へ駆動する駆動ブロック32とを備えている。
【0029】
ロック部材31は側面視矩形状の2つの分割体33,34で構成され、これら分割体33,34の内側には夫々縦溝33a,34aが形成され、これら縦溝33a,34aにより形成されるロープ通路35にロープ14が挿通されている。縦溝33aの上端部には、ロープ14が折れ曲がらないようにする為の傾斜部33bが形成されている。駆動ブロック32の内部には2つの電動シリンダ36,37が配設され、これらの電動シリンダ36,37の出力部材としてのロッド36a,37aの先端は分割体34に連結されている。分割体33はベース体30に強固に固定されている。
【0030】
前記のロープ制動装置26は、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能である。即ち、ロープ制動装置26によりロープ14をロックする場合には、2つの電動シリンダ36,37により分割体34を左方へ駆動し、ロープ14を縦溝33a,33bの内面に挟圧してロック状態にする。ロックを解除する場合には、2つの電動シリンダ36,37により分割体34を右方へ駆動し、ロープ14がロープ通路35を摺動可能な状態にしてロープ制動装置26をロック解除状態にする。さらに、2つの電動シリンダ36,37の出力を制御することで、ロープ14をロック位置よりも弱い力で挟圧保持した半ロック状態にすることができる。
【0031】
このロック状態あるいは半ロック状態において、ロープ14〜17を巻取り又は引き出すことにより、スプレッダ6の前後の傾転を行うことができる。図8に示すように、4つのロープ制動装置26がアンロック状態であれば、前側のロープ15,17を巻き込み、後側のロープ14,16を繰り出せば、スプレッダ6が後下がりに傾転する。スプレッダ6の重心位置は、ロープ14〜17のスプレッダ6との連結点よりも低い位置にあるため、後下がりに傾転することにより、重心位置が前側のロープ15,17,のスプレッダ6との連結点に近づく。このため、前側のロープ15,17の張力が後側のロープ14,16の張力よりも大きくなり、この張力によりトロリ5の前側のシーブ11,13に作用する力がトロリ5の後側のシーブ10,12に作用する力よりも大きくなり、トロリ5を前方へ移動させる力が生じ、前後のロープの張力が等しくなるまでトロリ5が前方へ移動する。つまりスプレッダ6の前後傾転が中立になりスプレッダ6が水平になる位置までトロリ5が移動する。
【0032】
トロリ5の前側の2組のロープ制動装置26をロック状態、トロリ5の後側の2組のロープ制動装置26をアンロック状態にすれば、後側のロープ14,16を繰り出せば、スプレッダ6が後下がりに傾転し、前側のロープ15,17の張力が後側のロープ14,16の張力よりも大きくなるが、前側のロープ15,17をトロリ5の前側の2組のロープ制動装置26によりロックしているため、前側のロープ15,17と後側のロープ14,16の張力差はトロリ5の前側の2組のロック制動装置26により保持され、トロリ5は移動せず、スプレッダ6の後下がりの傾転が可能になる。この際、図4に示すように、ロープ14〜17はスプレッダ6の上部に正面視逆ハの字形に配設されて固定されているので、スプレッダ6は所定量前方又は後方に水平移動した後に傾転する。
【0033】
スプレッダ6の前下がりの傾転も同様に、後側の2組のロープ制動装置26をロック状態、前側の2組のロープ制動装置26をアンロック状態にして、前側のロープ15,17を繰り出して行う。さらに、前後傾転時にロック状態のロック制動装置26のロープ保持力を弱めて半ロック状態にすれば、スプレッダ6が前後傾転したまま、スプレッダ6を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。
尚、ロープ14〜17を把持するための駆動装置としては、前記の電動シリンダの代わりに油圧シリンダを用いることも可能である。
【0034】
2〕変更形態2・・・図9参照
図9に示すように、ロープ駆動装置7Aにおいて、トロリ5上に4つの巻取りドラム18〜21及びこれら巻取りドラム18〜21を夫々独立に駆動する駆動モータ22〜25を配設し、ロープ14,16の一端をガーダー3の後端部に固定し、ロープ15,17の一端をブーム4の前端部に固定し、ロープ14〜17をシーブ10〜13及びスプレッダ6に設けたシーブ40〜43を経由して巻取りドラム18〜21により巻取るように構成してもよい。さらに、4本のロープ14〜17を全てトロリ5から後方に延びるように配設してもよい。あるいは、4本のロープ14〜17の数本をトロリ5から後方に延びるように配設し、残りをトロリ5に固定してもよい。ただし、この場合には、トロリ5は別の駆動装置により前後方向に駆動する必要がある。
【0035】
3〕変更形態3・・・図10参照
図10に示すように、ガーダー3及びブーム4に対するトロリ5の前後方向の移動を制限可能なトロリ制動装置44(トロリ制動機構)をトロリ5に設けてもよい。このトロリ制動装置44はガーダー3及びブーム4のレール3a,4aを把持してトロリ5の前後方向への移動を制限するもので、把持するための駆動手段としては油圧式又は電動式の何れの方式のものも採用できる。
尚、トロリ制動装置としては、トロリ5の車輪の回転を規制してトロリ5の前後方向の移動を制限するブレーキ機能を有するものでもよい。
【0036】
トロリ制動装置44のロック状態においては、トロリ5の前後方向への移動は規制され、半ロック状態においてはトロリ5に所定以上の前後方向の力が作用したときにトロリ5は前後方向に移動を許容され、ロック解除状態においては、トロリ5は自由に前後に移動することができる。このトロリ制動装置44によれば、前記実施形態のロープ制動装置26とほぼ同様の効果が得られ、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態を選択的に設定して、巻取りドラム18〜21を巻取り又は繰り出すことにより、スプレッダ6の前後移動(トロリ5の前後移動)、旋回、前後又は左右の傾転の各動作を可能にし、さらに、前後に傾転させながらの前後移動及び昇降の各動作も可能になる。
【0037】
4〕変更形態4・・・図11参照
トロリ5にロープ制動装置26を設ける代わりに、図11に示すように、4つのシーブ10〜13にシーブ制動装置45を設けてもよい。このシーブ制動装置45はシーブ10〜13の軸部材10a〜13aに連結され、電気式又は油圧式の駆動手段により軸部材10a〜13aの回転を制限するものである。
【0038】
シーブ制動装置45のロック状態においては、シーブ10〜13の回転は規制され、半ロック状態においてはシーブ10〜13に所定以上の回転力が作用したときにシーブ10〜13は回転を許容され、ロック解除状態では、シーブ10〜13は自由に回転することができる。このシーブ制動装置45によれば前記実施形態のロープ制動装置26とほぼ同様の効果が得られ、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態を選択的に設定して、巻取りドラム18〜21を巻取り又は繰り出すことにより、スプレッダ6の前後移動(トロリ5の前後移動)、旋回、前後又は左右の傾転の各動作を可能にし、さらに、前後に傾転させながらの前後移動及び昇降の各動作も可能になる。
【0039】
5〕前記ロープ制動装置26と、トロリ制動装置44と、シーブ制動装置45は前記変更形態の構造のものに限る訳ではなく、トロリ5又はシーブ10〜13をロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能であれば種々のものを採用できる。また、これらロープ制動装置26と、トロリ制動装置44と、シーブ制動装置45を省略することも可能であるが、その場合には、スプレッダ6を前後に傾転させることはできないので、前後に傾転させるための他の駆動手段が必要になる。
【0040】
6〕変更形態5・・・図12参照
図12に示すように、ロープ駆動装置7Bにおいて、4本のロープ14〜17の内、トロリ5の右側部分に設けられた2つのシーブ10,11を経由する2本のロープ14,15に関して、スプレッダ6の前側部分に連結されたロープ14は後方へ延び、スプレッダ6の後側部分に連結されたロープ15は前方へ延びるように配設してもよい。
【0041】
この場合、スプレッダ6の昇降及び左右の傾転については、前記実施形態と同様にロープ14〜17を駆動して行うことができる。その他のスプレッダ6の動作については、ロープ15,17を巻取り又は繰り出し、ロープ14,16をその逆方向に駆動すると、スプレッダ6を前後に移動させることができる。ロープ14を巻取り、ロープ15〜17を繰り出すと、スプレッダ6を水平面内において矢印方向に旋回させることができる。ロープ16を巻取り、ロープ14,15,17を繰り出すと、スプレッダ6を矢印方向と逆方向に旋回させることができる。さらに、ロープ15,16を巻取り又は繰り出し、ロープ14,17をその逆方向に駆動すると、スプレッダ6を前下り又は後下りに傾転させることができる。
【0042】
従って、このロープ駆動装置7Bにおいては、前記のロープ制動装置26、トロリ制動装置44、シーブ制動装置45等、トロリ5の前後移動や、トロリ5とロープ14〜17との間の相対移動を制限する装置を設けることなくスプレッダ6の各動作を行うことができる。ただし、このロープ駆動装置7Bにおいては、これら3つの動作を同時に行うためには、前記の各種制動装置あるいは前後傾転、左右傾転、旋回の為の駆動装置の内、少なくとも1つが必要になる。
【0043】
また、スプレッダ6の前後移動及び旋回の動作においては、スプレッダ6とコンテナ2のバランスが崩れて振れが大きくなる虞があるので、その振れを小さくするために各駆動モータ22〜25の回転数等を制御しつつスプレッダ6の各動作を行う。尚、ロープ14,15の代わりに、トロリ5の左側部分に設けられたシーブ12,13を経由するロープ16,17に関して前記と同様に配設してもよい。
【0044】
7〕変更形態6・・・図13参照
図13に示すように、ロープ駆動装置7Cにおいて、トロリ5Cにトロリ5Cのレール50を走行可能な左右の台車51,52を設け、台車51,52には夫々シーブ10,11とシーブ12,13とを配設し、トロリ5Cの右側部分において、トロリ5Cから後方へ延びるロープ14はシーブ11を経由してスプレッダ6の前側部分に連結され、トロリ5Cから前方へ延びるロープ15はシーブ10を経由してスプレッダ6の後側部分に連結され、ロープ14,15はトロリからスプレッダ6へ互いに平行に延びている。トロリ5Cの左側部分において、ロープ16はシーブ12を経由し、ロープ17はシーブ13を経由し、ロープ16,17はトロリから平行に下方へ延びてスプレッダ6に連結されている。
【0045】
このロープ駆動装置7Cにおいては、ロープ14,15及びロープ16,17は夫々平行にトロリ5Cから下方に延びてスプレッダ6に連結されているので、4本のロープ14〜17を巻取り又は繰り出してもスプレッダ6を旋回させることはできない。従って、電動シリンダ等の駆動手段(図示略)によりトロリ5Cにおいて台車51,52を前後逆方向に駆動して、4本のロープ14〜17を介してスプレッダ6を旋回させる。前記のように4本のロープ14〜17を配設することにより、トロリ5Cからスプレッダ6の間で4本のロープ14〜17の長さのバラツキが生じにくいため、スプレッダ6の前後移動及び昇降の動作時に旋回方向の振れを抑えることができる。スプレッダ6の旋回動作以外の各動作については、変更形態5と略同様の作用及び効果を有するのでその説明を省略する。また、スプレッダ6を旋回させるための台車51,52は左右いずれか一方のみに設けてもよい。
【0046】
8〕変更形態7・・・図14参照
本発明をコンテナクレーン以外のコンテナ荷役設備、例えば、コンテナヤードとトレーラー等との間で荷役する橋形クレーンなどに適用することもできる。この場合、図14に示すように、ロープ駆動装置7Dにおいて、4つの巻取りドラム18〜21の内、2つの巻取りドラム18,20をガーダー(走行路形成部材に相当する)の後端側部分に配設し、残りの2つの巻取りドラム19,21をガーダーの前端側部分に配設することもできる。この場合には、ロープ15,17を転向するためのシーブ27,28が不要になる。勿論、4つの巻取りドラム18〜21をガーダーの所定の位置にまとめて配設することもできる。この場合には、巻取りドラム18〜21の保守点検が容易になる。
【0047】
9〕変更形態8・・・図15参照
図15に示すように、ロープ駆動装置7Eにおいて、4本のロープ14〜17の内、トロリ5から後方へ延びる2本のロープ14,16と前方へ延びる2本のロープ15,17を夫々巻取ったり繰り出したりする2つの巻取りドラム18E,19Eと、これら2つの巻取りドラム18E,19Eを夫々回転駆動する駆動モータ22E,23Eを設けてもよい。この場合、ロープ14,16及びロープ15,17を巻取ったり繰り出したりすることで、スプレッダ6の前後移動及び昇降の各動作を行うことができる。水平面内の旋回、前後又は左右の傾転の各動作については、夫々別の駆動手段が必要になるが、例えば、前記変更形態6の旋回台車51,52等の旋回駆動手段をトロリ5に設けることで、スプレッダ6の主要動作である前後移動、昇降、旋回の各動作を簡単な構造のロープ駆動装置7Eにより行うことが可能になる。
【0048】
10〕スプレッダ6を支持する4本のロープは、スプレッダ6上の相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブを介してトロリ5に固定することも可能である。この場合、ロープ14〜17の巻取り速度を速くする必要があるが、ロープに加わる張力が小さくなり、ロープ14〜17の断面およびシーブの径を小さくすることができる。さらには、スプレッダ6、トロリ5に複数のシーブを設け、トロリ5とスプレッダ6の間でロープ14〜17を複数掛けし、ロープ14〜17の張力をさらに小さくすることも可能である。
【0049】
11〕4本のロープ14〜17の一端がトロリ5から後方へ延びて巻取りドラム18〜21に固定され、他端がトロリ5上のシーブとスプレッダ6上のシーブを介しトロリ5の前方へ延びてブーム4の前端部に固定されるように構成することもできる。この場合には、4つの巻取りドラム22〜25により、4本のロープ14〜17の巻取ったり、繰り出したりすることで、スプレッダ6の昇降、前後および左右の傾転、水平方向の旋回が可能となる。ただし、トロリ5は別の駆動装置により前後方向に駆動する必要がある。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、コンテナクレーンに、吊具と吊荷とを支持する4本のロープの内、夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりする走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムと、2つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備えたので、駆動モータにより2つの巻取りドラムを夫々回転駆動してトロリから後方と前方に延びる夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりすることで、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに、吊具の前後移動及び昇降の各動作を行うことができ、従来、トロリの前後移動用の駆動装置と吊具の昇降用の駆動装置が必要であったところを、4本のロープを駆動するロープ駆動装置のみで構成できるため、装置構成および構造を簡略化できる。さらには、各駆動モータの回転方向や回転数などを制御することで吊具の前記各動作を簡単に制御することができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、コンテナクレーンに、吊具と吊荷とを支持する4本のロープを夫々巻取ったり繰り出したりする走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムと、これら4つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備えたので、駆動モータにより4つの巻取りドラムを夫々回転駆動して4本のロープを個別に巻取ったり繰り出したりすることで、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに吊具の前後移動、昇降、水平面内での旋回、左右の傾転の各動作を行うことができ、従来、トロリの前後移動用の駆動装置、吊具の昇降用の駆動装置、傾転ドラム、旋回用のシリンダが必要であったところを、4本のロープを駆動するロープ駆動装置のみで構成できるため、装置構成および構造を簡略化できる。さらには、各駆動モータの回転方向や回転数などを制御することで吊具の各動作を簡単に制御することができる。
【0052】
請求項3の発明によれば、4つの巻取りドラムの内、2つの巻取りドラムは走行路形成部材の後端側部分に配設され、また、残りの2つの巻取りドラムは走行路形成部材の前端側部分に配設されたので、走行路形成部材の後端側部分の2つの巻取りドラムを巻取り又繰り出し、前端側部分の2つの巻取りドラムをその逆方向に駆動することで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも前後方向へ移動させることができ、トロリを前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、トロリからはシーブを経由することなく前後逆方向にロープを巻取ることができるため、それらのシーブが不要になり設備コスト的に有利である。さらに、シーブによるロープの折り返しがないため、ロープの長さが短くてすみ、ロープの伸びやたるみによる吊具の振れが小さくなり、吊具の操作性がよくなる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0053】
請求項4の発明によれば、4つの巻取りドラムは走行路形成部材の所定位置にまとめて配設されたので、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部又は後端部に設けられたシーブにより転向することで、2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを巻取り又は繰り出し、残りの2つの巻取りドラムによりトロリから前方へ延びる2本のロープをその逆方向に駆動することで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも前後方向へ移動させることができ、トロリを前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、4つの巻取りドラムを1ヵ所に隣接して配設することができるため、巻取りドラムの保守点検が容易になる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0054】
請求項5の発明によれば、4つの巻取りドラムはトロリ上に配設されたので、2本のロープの一端を走行路形成部材の後端部に固定し、残りの2本のロープの一端を走行路形成部材の前端部に固定し、吊具にはトロリに設けられた4つのシーブと夫々対応する4つのシーブを設けることで、回転駆動モータを備えた2つの巻取りドラムによりトロリから後方へ延びる2本のロープを夫々対応するトロリのシーブと吊具のシーブを介して巻取り又は繰り出すことで、吊具と吊荷を前後に移動させると共にトロリも走行路形成部材に沿って前後方向に移動させることができるため、トロリを走行路形成部材に沿って前後方向に駆動する駆動手段が不要になる。また、吊具を支持する4本のロープを走行路形成部材の前端部又は後端部で転向するために設けられるシーブが不要になる。さらには、4つの巻取りドラムをトロリ上に配設することにより、巻取りドラムや駆動モータ等主な装置をトロリに集約できるため、生産管理や保守点検が容易になる。その他、請求項2と同様の効果を有する。
【0055】
請求項6の発明によれば、トロリに、走行路形成部材に対するトロリの前後方向の移動を制限可能なトロリ制動機構を設けたので、トロリ制動機構によりトロリの前後方向への移動を制限して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、前後に傾転させることができる。その他、請求項2〜5の何れかと同様の効果を有する。
【0056】
請求項7の発明によれば、4本のロープを夫々制動可能な4組のロープ制動装置をトロリに設けたので、各ロープ制動装置によりロープのトロリに対する相対移動を規制し又はその規制を解除して、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることに加え、前後に傾転させたりすることができる。その他、請求項2〜5の何れかと同様の効果を有する。
【0057】
請求項8の発明によれば、各ロープ制動装置を、少なくとも、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能に構成したので、各ロープ制動装置を半ロック状態に設定し、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に傾転させたまま、スプレッダを前後に移動させたり、昇降させたり、左右に移動させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。その他、請求項7と同様の効果を有する。
【0058】
請求項9の発明によれば、4本のロープの内、トロリの左側部分又は右側部分に設けられた2つのシーブを経由する2本のロープに関して、吊具の前側部分に連結されたロープは後方へ延び、吊具の後側部分に連結されたロープは前方へ延びるように配設されたので、トロリの前後移動やトロリと4本のロープとの間の相対移動を制限する装置を設けることなく、4つの巻取りドラムを巻取り又は繰り出すことにより、吊具を前後に移動させたり、昇降させたり、前後及び左右に傾転させたり、水平面内で旋回させたりすることができる。その他、請求項2〜5と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態のコンテナクレーンの側面図である。
【図2】ロープ駆動装置の斜視図である。
【図3】ロープ駆動装置の作用説明図である。
【図4】スプレッダとロープの接続状態を示す説明図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】変更形態1のトロリのシーブ付近の拡大図である。
【図7】変更形態1のロープ制動装置の平面図である。
【図8】変更形態1のロープ駆動装置(前後傾転状態)の説明図である。
【図9】変更形態2の図2相当図である。
【図10】変更形態3のトロリ制動装置の配置を示す説明図である。
【図11】変更形態4のシーブ制動装置の配置を示す説明図である。
【図12】変更形態5の図2相当図である。
【図13】変更形態6の図2相当図である。
【図14】変更形態7の図2相当図である。
【図15】変更形態8の図2相当図である。
【図16】従来のロープ駆動装置の斜視図である。
1 コンテナクレーン
2 コンテナ
3 ガーダー
4 ブーム
5,5C トロリ
6 スプレッダ
10〜13 シーブ
14〜17 ロープ
18〜21,18E,19E 巻取りドラム
22〜25,22E,23E 駆動モータ
26 ロープ制動装置
44 トロリ制動装置
Claims (9)
- 前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、 前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、
これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、
前記4本のロープの内、夫々2本のロープを巻取ったり繰り出したりする2つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された2つの巻取りドラムと、
前記2つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、
前記2つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能にするとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたりし得るように構成したことを特徴とするコンテナクレーン - 前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、 前記トロリの相互に離隔した4個所に設けられた4つのシーブと、
これら4つのシーブを夫々経由して吊具まで延びて端部が吊具に連結され吊具と吊荷とを支持可能な4本のロープと、
前記4本のロープを夫々巻取ったり繰り出したりする4つの巻取りドラムであって走行路形成部材の端部側部分に配設された4つの巻取りドラムと、
前記4つの巻取りドラムを夫々回転駆動する駆動モータとを備え、
前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするコンテナクレーン。 - 前記4つの巻取りドラムの内、2つの巻取りドラムは走行路形成部材の後端側部分に配設され、また、残りの2つの巻取りドラムは走行路形成部材の前端側部分に配設されたことを特徴とする請求項2に記載のコンテナクレーン。
- 前記4つの巻取りドラムは、走行路形成部材の所定位置にまとめて配設されたことを特徴とする請求項2に記載のコンテナクレーン。
- 前後方向に水平に延びる走行路形成部材に沿って移動可能なトロリと、トロリの下方において吊荷を保持する為の吊具とを備えたコンテナクレーンにおいて、 前記トロリ上に配設された4つの巻取りドラムと、
前記トロリの相互に隔離した4箇所に設けられた4つのシーブと、
前記4つの巻取りドラムから夫々延びて吊具の前記4つのシーブとトロリに付設された4つのシーブを経由して走行路形成部材に沿って延び且つ走行路形成部材の端部側部分に連結された4本のロープであって、吊具と吊荷を支持する4本のロープと、
前記4つの巻取りドラムを夫々独立に回転駆動する駆動モータとを備え、
前記4つの巻取りドラムにより、トロリを走行路形成部材に沿って移動可能に構成するとともに、吊具を前後に移動させたり昇降させたり水平面内で旋回させたり左右に傾転させたりし得るように構成したことを特徴とするコンテナクレーン。 - 前記トロリに、前記走行路形成部材に対するトロリの前後方向の移動を制限可能なトロリ制動機構を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコンテナクレーン。
- 前記4本のロープを夫々制動可能な4組のロープ制動装置をトロリに設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコンテナクレーン。
- 前記各ロープ制動装置を、少なくとも、ロック状態、半ロック状態、ロック解除状態に選択的に設定可能に構成したことを特徴とする請求項7に記載のコンテナクレーン。
- 前記4本のロープの内、トロリの左側部分又は右側部分に
設けられた2つのシーブを経由する2本のロープに関して、スプレッダの前側部分に連結されたロープは後方へ延び、吊具の後側部分に連結されたロープは前方へ延びるように配設されたことを特徴とする請求項2〜5に記載のコンテナクレーン。
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