JP3594837B2 - 建設機械の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に備えられる油圧ポンプからの作動油の流量を制御弁により制御して、ブームシリンダやバケットシリンダ等の油圧アクチュエータの作動を制御する、建設機械の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、図9に示すように、上部旋回体102と下部走行体100と作業装置118とからなっている。
下部走行体100は、互いに独立して駆動しうる右トラック100R及び左トラック100Lをそなえており、一方、上部旋回体102は、下部走行体100に対して水平面内で旋回可能に設けられている。
【0003】
また、作業装置118は、主にブーム103,スティック104,バケット108等からなっており、ブーム103は、上部旋回体102に対して回動可能に枢着されている。また、ブーム103の先端には、同じく鉛直面内に回動可能にスティック104が接続されている。
また、上部旋回体102とブーム103との間には、ブーム103を駆動するためのブーム駆動用油圧シリンダ(ブームシリンダ,油圧アクチュエータ)105が設けられるとともに、ブーム103とスティック104との間には、スティック104を駆動するためのスティック駆動用油圧シリンダ(スティックシリンダ,油圧アクチュエータ)106が設けられている。また、スティック104とバケット108との間には、バケット108を駆動するためのバケット駆動用油圧シリンダ(バケットシリンダ,油圧アクチュエータ)107が設けられている。
【0004】
また、上述の各シリンダ105〜107には、エンジン(主に、ディーゼルエンジン)により駆動される油圧ポンプ、ブーム用制御弁,スティック用制御弁,バケット用制御弁等の複数の制御弁を備える油圧回路(図示せず)が接続されており、油圧ポンプから各制御弁を介して所定の油圧の作動油が供給され、このようにして供給された作動油圧に応じて駆動されるようになっている。
【0005】
このような構成により、ブーム103は図中矢印a方向及び矢印b方向に、スティック104は図中矢印c方向及び矢印d方向に、バケット108は図中矢印e方向及び矢印f方向に回動可能に構成されている。
なお、ブーム103の図中矢印a方向への回動をブームアップといい、図中矢印b方向への回動をブームダウンという。また、スティック104の図中矢印c方向への回動をスティックアウトといい、図中矢印d方向への回動をスティックインという。また、バケット108の図中矢印e方向への回動をバケットオープンといい、図中矢印f方向への回動をバケットインという。
【0006】
また、運転操作室101には、油圧ショベルの作動(走行,旋回,ブーム回動,スティック回動及びバケット回動)を制御するための操作部材として、左レバー,右レバー,左ペダル及び右ペダル等がそなえられている。また、運転操作室101内には、複数のワークモードスイッチも設けられており、ブーム優先モード, スウィング優先モード, タンピングモード等の各種のモードを運転操作者が作業に応じて最適なものを適宜選択しうるようになっている。なお、このような選択が行われない通常の場合は、建設機械の作業においてはスティック104の動作が重要であり、これを最も優先される必要があるため、スティックの作動を優先する回路構成になっている。
【0007】
そして、例えばオペレータがこれらのレバーやペダル等の操作部材を操作することにより、油圧回路の各制御弁が制御されて、各シリンダ105〜107が駆動され、これにより、ブーム103,スティック104及びバケット108等を回動させうるようになっている。
また、各制御弁を制御するために、パイロット油圧回路が設けられている。これにより、ブーム103やスティック104を作動させるには、運転操作室101内のブーム操作部材やスティック操作部材を操作して、パイロット油圧が、パイロット油路を通じて、ブーム用制御弁やスティック用制御弁に作用させて、ブーム用制御弁やスティック用制御弁を所要の位置に駆動させる。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105やスティック駆動用油圧シリンダ106への作動油が給排調整され、これらのシリンダ105,106が所要の長さに伸縮駆動されることになる。
【0008】
上述のように、油圧ショベルでは、各シリンダ105〜107を伸縮駆動させ、ブーム103,スティック104, バケット108等の作業装置118を駆動させることで、掘削作業等の各種作業を行なうようになっている。
次に、これらのブームアップ, スティックイン及びバケットインの操作が行われた場合のブーム, スティック, バケットのそれぞれの動作について説明する。
【0009】
まず、ブームアップ操作された場合について説明すると、ブームアップ操作された場合、にはブーム103は以下のようにして駆動される。つまり、ブームアップ操作が行なわれ、ブーム103を上昇させるには、ブーム駆動用油圧シリンダ105を伸長させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧をブーム用制御弁に作用させる。これにより、ブーム用制御弁のスプール位置がブーム上げ位置となって、油圧ポンプからの作動油が油路を通じてブーム駆動用油圧シリンダ105の一室へ供給される。この一方で、ブーム駆動用油圧シリンダ105の他室内の作動油が、油路を通じてタンクへ排出される。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105が伸長しながら、ブーム103を図9中、矢印aで示すように上側へ回動させる。
【0010】
また、スティックイン操作された場合にはスティック104は以下のようにして駆動される。つまり、スティックイン操作が行なわれ、スティック104を下降させるには、スティック駆動用油圧シリンダ106を伸長させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧をスティック用制御弁に作用させる。これにより、スティック用制御弁のスプール位置がスティック下げ位置となって、油圧ポンプからの作動油が油路を通じてスティック駆動用油圧シリンダ106の一室へ供給される。この一方で、スティック駆動用油圧シリンダ106の他室内の作動油が、油路を通じてタンクへ排出される。これにより、スティック駆動用油圧シリンダ106が伸長しながら、スティック104を図9中、矢印dで示すように下側へ回動させる。
【0011】
さらに、バケットイン操作された場合にはバケット108は以下のようにして駆動される。つまり、バケットイン操作が行われ、バケット108を閉じるには、バケット駆動用油圧シリンダ107を伸長させれば良い。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧をバケット用制御弁に作用させる。これにより、バケット用制御弁のスプール位置がバケット閉位置となって、油圧ポンプからの作動油が油路を通じてバケット駆動用油圧シリンダ107の一室へ供給される。この一方で、バケット駆動用油圧シリンダ107の他室内の作動油が、油路を通じてタンクへ排出される。これにより、バケット駆動用油圧シリンダ107が伸長しながら、バケット108を図9中、矢印fで示すように閉方向へ動させる。
【0012】
ところで、建設機械では、一般にスティックスピードを確保することが作業効率上有効であるため、スティックスピードを最大とすべくスティック駆動用油圧シリンダ106には全ての油圧ポンプ(一般に2つ)から作動油(圧油)が供給されるようになっている。
同様に、ブームアップスピードを確保することも作業効率上有効であるため、ブームアップスピードを最大とすべくブーム駆動用油圧シリンダ105のアップ側には全ての油圧ポンプから作動油が供給されるようになっている。
【0013】
しかしながら、油圧回路の構成上、スティック駆動用油圧シリンダ106とブーム駆動用油圧シリンダ105は共通の油圧ポンプに接続されている。
このため、例えばスティック操作とブームアップ操作とが同時にフル操作された場合、各油圧ポンプから供給される作動油の供給流量バランスはスティック駆動用油圧シリンダ106及びブーム駆動用油圧シリンダ105に作用する負荷圧力の大小によって決定されるため、負荷圧力の高いシリンダの方には作動油が供給されにくく、ブーム103及びスティック104のいずれか一方は作動しない場合がある。
【0014】
例えば土砂をダンプ,トラック等に積み込む積込作業時にスティックイン操作とブームアップ操作とが同時にフル操作された場合、スティック駆動用油圧シリンダ106の負荷圧力がブーム駆動用油圧シリンダ105の負荷圧力よりも小さくなるため(スティックシリンダ圧力<ブームシンダ圧力)、ブームアップ操作しているにもかかわらず、ブームアップさせることができない場合がある。
【0015】
このような不具合を解消すべく、従来から建設機械にはワークモードスイッチとしてブーム優先モードスイッチが設けられており、このブーム優先モードスイッチをオンとすることで、少なくとも一つの油圧ポンプからブーム駆動用油圧シリンダ105への作動油の供給が補償されるような油圧回路構成が取られるようになっている。つまり、ブーム優先スイッチがオンされると、少なくとも一つの油圧ポンプとスティック駆動用油圧シリンダ105とを接続する油圧回路に配設されているスティック用制御弁が中立位置になるように制御され、少なくとも一つの油圧ポンプからスティック駆動用油圧シリンダ106への連通が遮断されて、少なくとも一つの油圧ポンプから供給される作動油の全量がブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給されるようになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、積込作業においてはブーム優先モードスイッチをオンとするのが好ましいが、建設機械の実作業としては、このような積込作業のほかにも各種の作業があり、作業によってはブーム優先モードスイッチをオフとした方が良い場合もある。
【0017】
例えば、レベリングオペレーション(地ならし作業)においては、スティック操作は大きいが、ブーム操作は微操作である。この場合、ブーム優先モードスイッチをオフとするのが好ましい。このようにブーム優先モードスイッチをオフとすれば、レベリングオペレーションではブーム駆動用油圧シリンダ105の負荷圧力はスティック駆動用油圧シリンダ106の負荷圧力よりも低いため、スティック駆動用油圧シリンダ106へ多量の作動油が供給され、これにより、スティックスピードが速くなり、作業性が良くなる。
【0018】
しかしながら、このような地ならし作業は、上述の積込作業と一連の作業として行なわれる場合が多く、この場合、各操作部材の一連の操作の中でブーム優先モードスイッチを切り切り換える必要があり、スイッチ切換操作が面倒であり、その操作性が必ずしも良くなかった。
このようにスイッチ切換操作が面倒であるため、地ならし作業及び積込作業の両方の作業を行なえるようにブーム優先モードスイッチをオンとしたままで地ならし作業及び積込作業が一連の作業として行なわれる場合が多く、この場合、スティックスピードが遅くなり、作業効率が悪くなっていた。
【0019】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、積込作業や地ならし作業等におけるブーム優先モードスイッチの操作をなくしてその操作性を改善するとともに、積込作業や地ならし作業等において作業効率の低下を招かないようにした、建設機械の制御装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の建設機械の制御装置(請求項1)は、スティック,ブームを備える建設機械の制御装置において、スティック,ブームを作動させるべくオペレータにより操作される複数の操作レバーと、油圧ポンプからの作動油をスティック駆動用油圧アクチュエータ,ブーム駆動用油圧アクチュエータへ供給する作動油供給通路と、作動油供給通路に介装され、スティック駆動用油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御するスティック用制御弁と、スティック用制御弁の作動を制御するスティック用制御手段と、複数の操作レバーからの電気信号に基づいてブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行なわれたか否かを判定する判定手段とを備える。そして、スティック用制御手段が、複数の操作レバーのうちのスティック用操作レバーの操作量に応じてスティック用制御弁の作動を制御するための基本制御量を設定する基本制御量設定手段と、判定手段によりブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行なわれたと判定された場合に、基本制御量設定手段により設定される基本制御量を、複数の操作レバーのうちのブーム用操作レバーの操作量が大きくなるにしたがって小さくするように補正して補正制御量を設定する補正制御量設定手段とを備えることを特徴としている。
【0021】
好ましくは、スティック用制御手段は、ブーム用操作レバーの操作量に応じて該スティック用制御弁の作動を制御するように構成する(請求項2)。
また、スティック用制御手段は、ブーム用操作レバーの操作量が多くなるにしたがってスティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量が減少するようにスティック用制御弁を制御するように構成するのが好ましい(請求項3)。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態にかかる建設機械について説明する。
本建設機械は、従来技術(図9参照)で既に説明したように、油圧ショベル等の建設機械(作業機械)であって、上部旋回体102と下部走行体100と作業装置118とからなっている。
【0024】
下部走行体100は、互いに独立して駆動しうる右トラック100R及び左トラック100Lをそなえており、一方、上部旋回体102は、下部走行体100に対して水平面内で旋回可能に設けられている。
また、作業装置118は、主にブーム103,スティック104,バケット108等からなっており、ブーム103は、上部旋回体102に対して回動可能に枢着されている。また、ブーム103の先端には、同じく鉛直面内に回動可能にスティック104が接続されている。
【0025】
また、上部旋回体102とブーム103との間には、ブーム103を駆動するためのブーム駆動用油圧シリンダ(ブームシリンダ,ブーム駆動用油圧アクチュエータ)105が設けられるとともに、ブーム103とスティック104との間には、スティック104を駆動するためのスティック駆動用油圧シリンダ(スティックシリンダ,スティック駆動用油圧アクチュエータ)106が設けられている。また、スティック104とバケット108との間には、バケット108を駆動するためのバケット駆動用油圧シリンダ(バケットシリンダ,バケット駆動用油圧アクチュエータ)107が設けられている。
【0026】
そして、このような構成により、ブーム103は図中a方向及びb方向に、スティック104は図中c方向及びd方向に、バケット108は図中e方向及びf方向に回動可能に構成されている。
ここで、図2はこのような油圧ショベルの油圧回路の要部を模式的に示す図である。
【0027】
図2に示すように、上述の左トラック100L及び右トラック100Rには、それぞれ独立した動力源としての走行モータ109L,109Rが設けられ、また、上部旋回体102には、下部走行体100に対して上部旋回体102を旋回駆動させるための旋回モータ110が設けられている。
これらの走行モータ109L,109Rや旋回モータ110は、油圧により作動する油圧モータとして構成されており、後述するようにエンジン(主に、ディーゼルエンジン)50により駆動される複数(ここでは2つ)の油圧ポンプ51,52からの作動油が油圧回路53を介して所定圧力とされて供給され、このようにして供給される作動油圧に応じて各油圧モータ109L,109R,110が駆動されるようになっている。
【0028】
ここで、油圧ポンプ51,52は、リザーバタンク70内の作動油を所定油圧として吐出するもので、ここでは、斜板回転式ピストンポンプ(ピストン型可変容量ポンプ,可変吐出量形ピストンポンプ)として構成されている。これらの油圧ポンプ51,52は、油圧ポンプ内に設けられたピストン(図示略)のストローク量を変更することでポンプ吐出流量を調整しうるようになっている。
【0029】
つまり、これらの油圧ポンプ51,52では、上記ピストンの一端が斜板(クリーププレート:図示略)に当接するように構成されており、この斜板の傾き(傾転角)を後述するコントローラ1からの作動信号に基づいて変更することでピストンのストローク量を変更してポンプ吐出流量を調整しうるようになっている。
【0030】
このようにコントローラ1からの作動信号に基づいて斜板の傾きを変更しうるようになっており、油圧回路を構成する油路内の作動油の圧力のほかに、オペレータによる各操作部材54の操作量をも加味することができるため、従来のように油路内の作動油の圧力を導いて斜板の傾きを変更するものに比べ、オペレータの運転フィーリングを向上させることができることになる。
【0031】
また、エンジン50は、オペレータがエンジン回転数設定ダイヤルを切り替えることでエンジン回転数を設定できるようになっており、ここでは、最大エンジン回転数(例えば約2000rpm)と最小エンジン回転数(例えば約1000rpm)との間で複数段階に切り換えられるようになっている。なお、エンジン回転数はこのように段階的に切り換えるものに限られず、滑らかに変更しうるものであっても良い。また、エンジン50の全馬力はこれらの油圧ポンプ51,52及び後述するパイロットポンプ83を駆動するために消費される。
【0032】
また、各シリンダ105〜107についても、これらの走行モータ109L,109Rや旋回モータ110と同様に、エンジン50により駆動される複数(ここでは2つ)の油圧ポンプ51,52から供給される作動油の油圧により駆動されるようになっている。
また、運転操作室101には、油圧ショベルの作動(走行,旋回,ブーム回動,スティック回動及びバケット回動)を制御するために左レバー,右レバー,左ペダル及び右ペダル等の複数の操作部材54が備えられている。これらの操作部材54は電気式操作部材(例えば電気式操作レバー)として構成され、その操作量に応じた電気信号を後述するコントローラ(制御手段)1へ出力するようになっている。
【0033】
さらに、運転操作室101内には、複数のワークモードスイッチも設けられており、ブーム優先モード, スウィング優先モード, レベリングモード, タンピングモード等の各種のモードを運転操作者が作業に応じて最適なものを適宜選択しうるようになっている。なお、このような選択が行われない通常の場合は、建設機械の作業においてはスティック104の動作が重要であり、これを最も優先される必要があるため、スティック優先モードとなっている。
【0034】
そして、例えばオペレータがこれらの操作部材54を操作することにより、油圧回路53に介装される各制御弁57〜60,62〜65が制御されて、各シリンダ105〜107や油圧モータ109L,109R,110が駆動される。これにより、上部旋回体102を旋回させたり、ブーム103,スティック104及びバケット108等を回動させたり、油圧ショベルを走行させることができるのである。
【0035】
なお、ブーム103を回動させる場合に操作するものをブーム用操作部材54aといい、スティック104を回動させる場合に操作するものをスティック用操作部材54bといい、バケット108を回動させる場合に操作するものをバケット用操作部材54cという。
次に、これらの各シリンダ等を制御するための油圧回路53について説明する。
【0036】
油圧回路53は、図2に示すように、第1回路部55と、第2回路部56とを備える。
このうち、第1回路部55は、第1油圧ポンプ51に接続される油路61と、油路61に介装される右走行モータ用制御弁57,バケット用制御弁58,第1ブーム用制御弁59,第2スティック用制御弁60等の制御弁とを備えて構成される。
【0037】
そして、第1油圧ポンプ51からの作動油が、油路61,右走行モータ用制御弁57を介して右走行モータ109Rへ供給され、右走行モータ109Rを駆動するようになっている。また、第1油圧ポンプ51からの作動油は、油路61,バケット用制御弁58を介してバケット駆動用油圧シリンダ107へ供給されるとともに、油路61,第1ブーム用制御弁59を介してブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給され、さらに油路61,第2スティック用制御弁60を介してスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給され、これにより、各シリンダ105,106,107が駆動されるようになっている。
【0038】
また、第1回路部55の油路61の下流側には絞り(リリーフ弁付き絞り)81が備えられており、この絞り81を通じて第1油圧ポンプ51からの作動油をリザーバタンク70へ戻すようになっている。
第2回路部56は、第2油圧ポンプ52に接続される油路66と、油路66に介装される左走行モータ用制御弁62,旋回モータ用制御弁63,第1スティック用制御弁64,第2ブーム用制御弁65等の制御弁と、絞り82とを備えて構成される。
【0039】
そして、第2油圧ポンプ52からの作動油が、油路66,左走行モータ用制御弁62を介して左走行モータ109Lへ供給され、これにより、左走行モータ109Lが駆動されるようになっている。また、第2油圧ポンプ52からの作動油は、油路66,旋回モータ用制御弁63を介して旋回モータ110へ供給され、これにより、旋回モータ110が駆動されるようになっている。さらに、第2油圧ポンプ52からの作動油は、油路66,第1スティック用制御弁64を介してスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給されるとともに、油路66,第2ブーム用制御弁65を介してブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給され、これにより、各シリンダ105,106が駆動されるようになっている。
【0040】
また、第2回路部56の油路66の下流側には絞り(リリーフ弁付き絞り)82が備えられており、この絞り82を通じて第2油圧ポンプ52からの作動油をリザーバタンク70へ戻すようになっている。
なお、各制御弁57〜60,62〜65は、図示しないコントロールユニット内に収納されている。
【0041】
このように、本実施形態では、建設機械の作業において重要なスティック104に他の作業機118との同時操作時においても十分な作動油が供給されるように、第2回路部56の第2油圧ポンプ52からの作動油に加え、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油もスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給されるようになっている。
【0042】
このため、第2回路部56の油路66に第1スティック用制御弁64が介装され、第1回路部55の油路61に第2スティック用制御弁60が介装されている。そして、第1スティック用制御弁64を比例制御弁64a,64bにより制御するとともに、第2スティック用制御弁60を比例制御弁60a,60bにより制御することにより、スティック駆動用油圧シリンダ106への作動油の給排を行なえるようになっている。
【0043】
同様に、他の作業機118との同時操作時においてもブーム103に十分な作動油が供給されるように、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油に加え、第2回路部56の第2油圧ポンプ52からの作動油もブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給されるようになっている。
このため、第1回路部55の油路61に第1ブーム用制御弁59が介装され、第2回路部56の油路66に第2ブーム用制御弁65が介装されている。そして、第1ブーム用制御弁59を比例制御弁59a,59bにより制御するとともに、第2ブーム用制御弁65を比例制御弁65a,65bにより制御することにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105への作動油の給排を行なえるようになっている。
【0044】
また、本実施形態では、スティック駆動用油圧シリンダ106への作動油の給排を行なう油路67,68にはスティック用再生弁76が介装されており、作動油排出側油路から作動油供給側油路へ所定量の作動油を再生できるようになっている。
同様に、ブーム駆動用油圧シリンダ105への作動油の給排を行なう油路78,79にもブーム用再生弁77が介装されており、作動油排出側油路から作動油供給側油路へ所定量の作動油を再生できるようになっている。
【0045】
ここで、各制御弁57〜60,62〜65は、図3に示すように、スプール弁として構成され、いずれも複数(ここでは5つ)の絞りを備えて構成される。
つまり、各制御弁57〜60,62〜65は、図3に示すように、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52とスティック駆動用油圧シリンダ106とを連通する油路(作動油供給通路,P−C通路)61a,66aに介装されるP−C絞り8と、スティック駆動用油圧シリンダ106とリザーバタンク70とを連通する油路(作動油排出通路,C−T通路)66b,69に介装されるC−T絞り9と、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52とリザーバタンク70とを連通する油路(バイパス通路)61b,66cに介装されるバイパス通路絞り10とを備えて構成される。
【0046】
なお、図3ではスティック用制御弁60,64はスティック下げ位置になっているが、スティック用制御弁60,64を、図3中、上方向へ移動させて、スティック用制御弁60,64のバイパス通路絞り10をバイパス通路61b,66cに介装させることで、スティック用制御弁60,64を中立位置とすることができ、また、スティック用制御弁60,64を、図3中、最も上方向へ移動させて、スティック用制御弁60,64のP−C絞り8をP−C通路61a,66aに介装させるとともに、スティック用制御弁60,64のC−T絞り9をC−T通路66b,69に介装させることで、スティック用制御弁60,64をスティック上げ位置にすることができる。
【0047】
ここで、本実施形態では、C−T絞り9は、その径が、最大エンジン回転数でポンプ流量が最大になる場合(操作部材54のフル操作された場合)にC−T開口面積が過剰絞りとならないように十分に大きく形成される。これにより、C−T開口面積が、操作部材54の操作量が最大で、かつエンジン回転数が最大の場合にP−C通路61a,66aを介して供給される作動油と略同量の作動油がC−T通路66b,69から排出されるように設定されることになる。
【0048】
なお、絞り8,9,10の径の設定においては、ブーム103やスティック104等の作業装置118の連動性を確保すべく、各操作部材54がフル操作されている場合に全ての作業装置118が動くように考慮される。
そして、P−C絞り8によって、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52とスティック駆動用油圧シリンダ106とを連通する油路61a,66aの開口面積(作動油供給通路の開口面積,P−C開口面積)が調整される。
【0049】
C−T絞り9によって、スティック駆動用油圧シリンダ106とリザーバタンク70とを連通する油路66b,69の開口面積(作動油排出通路の開口面積,C−T開口面積)が調整される。
バイパス通路絞り10によって、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52とリザーバタンク70とを連通する油路61b,66cの開口面積(バイパス通路の開口面積)が調整される。
【0050】
ところで、本実施形態では、図2に示すように、各制御弁57〜60,62〜65を制御するために、パイロットポンプ83と、比例減圧弁57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bとを備えるパイロット油圧回路が設けられている。なお、図2では、パイロット油圧回路に備えられるパイロットポンプ83及び比例減圧弁57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bのみを図示し、パイロット油路を省略してパイロット油圧を符号Pで示している。
【0051】
ここで、比例減圧弁57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bは、電磁弁であって、後述するコントローラ1からの作動信号により作動されるようになっている。これにより、パイロットポンプ83からのパイロット油圧をコントローラ1からの作動信号に基づいて所定圧として各制御弁57〜60,62〜65に作用させるようになっている。
【0052】
このような構成により、例えばブーム103を作動させるには、運転操作室101内のブーム用操作部材54aを操作して、パイロットポンプ83からのパイロット油圧Pを図示しないパイロット油路を通じて、ブーム用制御弁59,65に作用させて、ブーム用制御弁59,65を所要の位置に移動させる。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105の作動油が給排調整され、これらのシリンダ105が所要の長さに伸縮駆動され、これにより、ブーム103が作動される。
【0053】
例えば、ブーム103を下側へ回動させる(ブームダウン)には、ブーム駆動用油圧シリンダ105を収縮させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧を第1ブーム用制御弁59に作用させる。これにより、第1ブーム用制御弁59のスプール位置がブーム下側回動位置(ブームダウン位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路95,79を経て、ブーム駆動用油圧シリンダ105の一室へ供給され、ブーム駆動用油圧シリンダ105の一室へ供給される。この一方で、ブーム駆動用油圧シリンダ105の他室内の作動油が、油路78,69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105が収縮しながら、ブーム103を図9中、矢印bで示すように下側へ回動させる。
【0054】
逆に、ブーム103を上側へ回動させる(ブームアップ)には、ブーム駆動用油圧シリンダ105を伸長させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧を第1ブーム用制御弁59, 第2ブーム用制御弁65に作用させる。これにより、第1ブーム用制御弁59, 第2ブーム用制御弁65のスプール位置がブーム上側回動位置(ブームアップ位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路95,78を経て、ブーム駆動用油圧シリンダ105の一室へ供給され、さらに、第2回路部56の第2油圧ポンプ52からの作動油が油路66a ,90, 78を経て、ブーム駆動用油圧シリンダ105の他室へ供給される。この一方で、ブーム駆動用油圧シリンダ105の一室内の作動油が、油路79,91, 66b又は、油路79, 69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105が伸長しながら、ブーム103を図9中、矢印aで示すように上側へ回動させる。
【0055】
さらに、ブーム駆動用油圧シリンダ105の現状態を保持するには、パイロット油圧を第1ブーム用制御弁59, 第2ブーム用制御弁65に適宜作用させて、第1ブーム用制御弁59, 第2ブーム用制御弁65の各スプールの位置を中立位置(油圧給排路遮断位置)にすればよい。これにより、ブーム駆動用油圧シリンダ105の各油室における作動油の給排が停止され、ブーム103が現位置に保持される。
【0056】
また、例えばスティック104を作動させるには、運転操作室101内の操作部材54を操作して、パイロットポンプ83からのパイロット油圧Pを図示しないパイロット油路を通じて、スティック用制御弁60,64に作用させて、スティック用制御弁60,64を所要の位置に駆動させるようにする。これにより、スティック駆動用油圧シリンダ106の作動油が給排調整され、これらのシリンダ105,106が所要の長さに伸縮駆動され、これにより、スティック104が作動される。
【0057】
例えば、スティック104を内側へ回動させる(スティックイン)には、スティック駆動用油圧シリンダ106を伸長させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧を第2スティック用制御弁60に作用させる。これにより、第2スティック用制御弁60のスプール位置がスティック内側回動位置(スティックイン位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路61,67を経て、スティック駆動用油圧シリンダ106の一室へ供給される。この一方で、スティック駆動用油圧シリンダ106の他室内の作動油が、油路68,69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、スティック駆動用油圧シリンダ106が伸長しながら、スティック104を図9中、矢印dで示すように内側へ回動させる。
【0058】
逆に、スティック104を外側へ回動させる(スティックアウト)には、スティック駆動用油圧シリンダ106を収縮させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧を第2スティック用制御弁60に作用させる。これにより、第2スティック用制御弁60のスプール位置がスティック外側回動位置(スティックアウト位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路61,68を経て、スティック駆動用油圧シリンダ106の他室へ供給される。この一方で、スティック駆動用油圧シリンダ106の一室内の作動油が、油路67,69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、スティック駆動用油圧シリンダ106が収縮しながら、スティック104を図9中、矢印cで示すように外側へ回動させる。
【0059】
さらに、スティック駆動用油圧シリンダ106の現状態を保持するには、パイロット油圧を第2スティック用制御弁60に適宜作用させて、第2スティック用制御弁60の各スプールの位置を中立位置(油圧給排路遮断位置)にすればよい。これにより、スティック駆動用油圧シリンダ106の各油室における作動油の給排が停止され、スティック104が現位置に保持される。
【0060】
また、例えばバケット108を作動させるには、運転操作室101内のバケット用操作部材54cを操作して、パイロットポンプ83からのパイロット油圧Pを図示しないパイロット油路を通じて、バケット用制御弁58に作用させて、バケット用制御弁58を所要の位置に移動させる。これにより、バケット駆動用油圧シリンダ107の作動油が給排調整され、これらのシリンダ107が所要の長さに伸縮駆動され、これにより、バケット108が作動される。
【0061】
例えば、バケット108を内側へ回動させる(バケットイン)には、バケット駆動用油圧シリンダ107を伸長させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧をバケット用制御弁58に作用させる。これにより、バケット用制御弁58のスプール位置がバケット内側回動位置(バケットイン位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路61,92を経て、バケット駆動用油圧シリンダ107の一室へ供給される。この一方で、バケット駆動用油圧シリンダ107の他室内の作動油が、油路93,69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、バケット駆動用油圧シリンダ107が伸長しながら、バケット108を図9中、矢印fで示すように内側へ回動させる。
【0062】
逆に、バケット108を外側へ回動させる(バケットオープン)には、バケット駆動用油圧シリンダ107を収縮させればよい。この場合には、パイロット油路を通じてパイロット油圧をバケット用制御弁58に作用させる。これにより、バケット用制御弁58のスプール位置がバケット外側回動位置(バケットオープン位置)となって、第1回路部55の第1油圧ポンプ51からの作動油が油路94,93を経て、バケット駆動用油圧シリンダ107の他室へ供給される。この一方で、バケット駆動用油圧シリンダ107の一室内の作動油が、油路92, 69を経てリザーバタンク70へ排出される。これにより、バケット駆動用油圧シリンダ107が収縮しながら、バケット108を図9中、矢印eで示すように外側へ回動させる。
【0063】
さらに、バケット駆動用油圧シリンダ107の現状態を保持するには、パイロット油圧をバケット用制御弁58に適宜作用させて、バケット用制御弁58のスプールの位置を中立位置(油圧給排路遮断位置)にすればよい。これにより、バケット駆動用油圧シリンダ107の油室における作動油の給排が停止され、バケット108が現位置に保持される。
【0064】
ところで、このように構成される建設機械には、種々のセンサが取り付けられており、各センサからの検出信号は後述するコントローラ1へ送られるようになっている。
例えば、油圧ポンプ51,52を駆動するエンジン50にはエンジン回転数センサ71が取り付けられており、このエンジン回転数センサ71からの検出信号は後述するコントローラ1へ送られるようになっている。そして、コントローラ1は、実際のエンジン回転数がオペレータによりエンジン回転数設定ダイヤルで設定された目標エンジン回転数になるようにフィードバック制御するようになっている。
【0065】
また、第1回路部55の第1油圧ポンプ51及び第2回路部56の第2油圧ポンプ52の吐出側には、ポンプ吐出圧を検出すべくそれぞれ圧力センサ(P/S−P1)72,圧力センサ(P/S−P2)73が備えられており、これらの圧力センサ72,73からの検出信号は後述するコントローラ1へ送られるようになっている。
【0066】
また、第1回路部55の油路61の各制御弁57〜60及び第2回路部56の油路66の各制御弁62〜65の下流側には、それぞれ圧力センサ(P/S−N1)74,圧力センサ(P/S−N2)75が備えられており、これらの圧力センサ74,75からの検出信号は後述するコントローラ1へ送られるようになっている。
【0067】
また、ブーム駆動用油圧シリンダ105への作動油の給排を行なう油路には圧力センサ(P/S−BMd)80が設けられており、この圧力センサ80によってブーム駆動用油圧シリンダ105のロッド側圧力(負荷圧力)を検出できるようになっている。そして、この圧力センサ80からの検出信号は後述するコントローラ1へ送られるようになっている。
【0068】
そして、本実施形態では、上述のように構成される建設機械を制御すべく、コントローラ1が備えられている。
コントローラ1は、上述の各センサ71〜75,80からの検出信号や操作部材54からの電気信号に基づいて、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52,各再生弁76,77,各制御弁57〜60,62〜65へ作動信号を出力することにより、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52の傾転角制御,各制御弁57〜60,62〜65の位置制御,各再生弁76,77の位置制御等を行なうようになっている。
【0069】
このうち、コントローラ1による第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52の傾転角制御は、第1回路部55のバイパス通路61bの下流側及び第2回路部56のバイパス通路66cの下流側に設けられたそれぞれの圧力センサ74,75からの検出信号に基づいてネガティブフローコントロールにより行なわれるようになっている。なお、圧力センサ74,75により検出される圧力に基づいてネガティブフローコントロールが行なわれるため、圧力センサ74,75により検出される圧力をネガコン圧ともいう。
【0070】
ここで、ネガティブフローコントロール(電子式ネガティブフローコントローシステム)とは、バイパス通路61b,66cの下流側の圧力が上がったらポンプ吐出流量を減らすようなネガティブな特性のポンプ流量制御をいう。
ここで、ネガティブフローコントロールは、各操作部材54の操作量、即ちネガコン圧に応じてポンプ吐出流量が制御される流量制御と、アクチュエータにかかる負荷圧力、即ちポンプ吐出圧力に応じてポンプ吐出流量が制御される馬力制御とに分けられる。
【0071】
このうち、流量制御は、許容馬力内でアクチュエータ(各シリンダ)のスピードを制御しうるものである。つまり、ポンプ吐出流量を各操作部材54の操作量、即ちネガコン圧に応じて制御でき、これにより、アクチュエータのスピードを制御できるものである。
ところで、各操作部材54がフル操作され、ポンプ吐出流量が最大となり、アクチュエータのスピードが最大となる場合、ポンプ吐出流量(即ち、アクチュエータのスピード)は、次式により決定される。
【0072】
ポンプ吐出流量Q=許容馬力W/ポンプ吐出圧力P
この状態で、アクチュエータにかかる負荷圧力が変動するとポンプ吐出圧力Pも変動し、上式より、ポンプ吐出流量Qも変動することになるため、これにより、アクチュエータのスピードも変動することになる。
このように、ポンプ吐出流量Qが、各操作部材54の操作量に応じて制御されるのではなく、アクチュエータにかかる負荷圧力、即ちポンプ吐出圧力Pに応じて制御され、ポンプ吐出流量Qの多少は第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52を駆動するエンジン50の許容馬力Wに依存するような状態における制御を馬力制御という。
【0073】
このような馬力制御が行なわれる場合には、オペレータが各操作部材54をフル操作し、アクチュエータの最大スピードを要求しても、実際のアクチュエータのスピードは負荷圧力の大きさによって決まることになる。この場合、エンジン50の馬力は許容最大値となる。
また、例えば複数のアクチュエータを同時操作するような場合、各々の操作部材54がフル操作されていない状態であっても、それぞれのアクチュエータへ作動油が供給されてネガコン圧が低下し、要求流量が許容馬力によって決定される許容流量を超えているときは馬力制御における許容流量になるようにポンプ傾転角制御が行なわれる。
【0074】
ところで、操作部材54が中立位置の場合、即ちオペレータが操作部材54を操作していない場合は、作業機118は何ら仕事せず、アクチュエータを駆動させる必要がないため、油圧ポンプ51,52からのポンプ吐出流量は望ましくはゼロにしたい。
このため、本実施形態では、各制御弁57〜60,62〜65はオープンセンタ(スプール中立位置でバイパス通路61b,66cがオープンになるように配設すること)にして、操作部材54が中立位置の場合は、油圧ポンプ51,52から供給される作動油はバイパス通路61b,66cを通じてリザーバタンク70へ戻るようになっている。
【0075】
これにより、操作部材54が中立位置の場合は、バイパス通路61b,66cの下流側に介装された絞り81,82の直上流側の圧力が大きくなり、ネガティブフローコントロールによって、可変容量油圧ポンプ51,52からのポンプ吐出流量が減少するように制御されるようになっている。
一方、操作部材54が操作された場合には、その操作量に応じた量の作動油が各アクチュエータ(シリンダ等)へ供給され、残りの作動油がバイパス通路61b,66cを通じてリザーバタンク70へ戻るようになっている。
【0076】
また、バイパス通路61b,66cの下流側には、上述したように絞り(オリフィス)81,82が設けられている。そして、これらの絞り81,82の直上流側のバイパス通路61b,66cに圧力センサ74,75が介装され、これらの圧力センサ74,75により検出される絞り81,82の直上流側の圧力に基づいて油圧ポンプ51,52の傾転角制御が行なわれるようになっている。
【0077】
そして、オペレータが操作部材54を操作すると、操作部材54の操作量に応じて制御弁57〜60,62〜65が移動してバイパス通路61b,66cが絞られ、バイパス通路61b,66cを流れる作動油の流量が減少するが、絞り81,82の径は一定であるため、流量が減った分だけ絞り81,82の直上流側の圧力、即ち圧力センサ74,75により検出される圧力が低下し、この低下した圧力に応じてポンプ吐出流量が多くなるように可変容量油圧ポンプ51,52の傾転角制御が行なわれることになる。
【0078】
これは、オペレータの要求、即ちオペレータによる操作部材54の操作量に応じてポンプ吐出流量が多くなるように制御されることを意味し、これはオペレータが操作部材54を操作することで油圧ポンプ51,52からのポンプ吐出流量を制御してアクチュエータ(各シリンダ)のスピードを制御できることを意味する。
【0079】
ところで、本実施形態では、コントローラ1による各制御弁57〜60,62〜65の位置制御として、オペレータによる操作部材54の操作に応じた各制御弁57〜60,62〜65の位置制御に加え、エンジン回転数に応じた各制御弁57〜60,62〜65の位置制御も行なわれるようになっている。
つまり、コントローラ1は、操作部材54からの電気信号に基づいて、各制御弁57〜60,62〜65へ作用させるパイロット油圧を調整する比例減圧弁(パイロット圧力制御弁)57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bの作動を制御すべく作動信号を出力するようになっている。
【0080】
さらに、コントローラ1は、第1油圧ポンプ51,第2油圧ポンプ52を駆動するエンジン50に付設されたエンジン回転数センサ71からの検出信号に基づいて、各制御弁57〜60,62〜65へ作用させるパイロット油圧を調整する比例減圧弁(パイロット圧力制御弁)57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bの作動を制御すべく作動信号を出力するようになっている。
【0081】
そして、このような作動信号に基づいて比例減圧弁57a〜60a,57b〜60b,62a〜65a,62b〜65bが作動され、これにより、パイロットポンプ83から供給されるパイロット油圧の圧力が調整されて各制御弁57〜60,62〜65のスプールストローク量(スプール移動量)が調整されるようになっている。
【0082】
本実施形態にかかる建設機械の制御装置は、上述のように構成され、コントローラ1による各種の制御が行なわれ、本実施形態では、いわゆる地ならし作業やスロープフィッシュオペレーション等から積込作業に移行する一連の作業においてブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行われた場合には、ブームアップスピードを確保するためにスティック用制御弁の制御が行なわれるようになっている。つまり、本実施形態では、ブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給される作動油の流量を確保するために、スティック駆動用油圧シリンダ107へ供給される作動油の流量を規制すべくスティック用制御弁が制御されるようになっている。
【0083】
ここで、図1は本実施形態にかかる建設機械の制御装置によるスティック用制御弁の制御を説明するための制御ブロック図である。
本実施形態では、図1に示すように、コントローラ1は、スティック用比例減圧弁制御手段2と、ブーム用比例減圧弁制御手段3とを備えて構成される。
なお、本実施形態では、スティック用比例減圧弁制御手段2によりスティック用比例減圧弁60a,60bが制御され、これらのスティック用比例減圧弁60a,60bによって第1スティック用制御弁60が制御されるようになっているため、スティック用比例減圧弁制御手段2及びスティック用比例減圧弁60a,60bをまとめてスティック用制御手段という。
【0084】
このうち、スティック用比例減圧弁制御手段2は、基本制御量設定手段4と、ブーム優先判定手段5と、補正制御量設定手段6とを備えて構成される。
基本制御量設定手段4は、スティック用操作部材54bからの操作量に応じた電気信号(電気信号出力値)に基づいて比例減圧弁60a,60bの基本制御量に相当する基本制御信号(基本制御信号出力値)を算出し、この基本制御信号を補正制御量設定手段6へ出力するものである。なお、スティック用操作部材54bは、その操作量に比例した電気信号を基本制御量設定手段4へ出力するようになっている。
【0085】
ここで、基本制御量に相当する基本制御信号は、図4に示すようなスティック用操作部材54bの操作量に応じた電気信号とスティック用比例減圧弁60a,60bの基本制御量に相当する基本制御信号とを関係づけたマップにより求められる。なお、スティック用比例減圧弁60a,60bの基本制御量は、油路61aと油路68(又は油路61aと油路67)の開口面積(P−C開口面積)に対応する。
【0086】
この図4に示すマップでは、スティック用操作部材54bの操作量が大きいほどスティック用比例減圧弁60a,60bの移動量が多くなるように、スティック用操作部材54bの操作量に応じた電気信号が大きくなるほど基本制御量に相当する基本制御信号が大きくなるように設定されている。なお、このマップでは、スティック用操作部材54bの操作量の最小又は最大に近い部分に不感帯を設けている。つまり、スティック用操作部材54bの操作量が所定操作量z以下の場合は基本制御量に相当する基本制御信号をゼロとし、所定操作量z以上の場合は基本制御量に相当する基本制御信号を所定上限値x(この場合、スティック用制御弁60の移動量が最大となる)としている。
【0087】
例えば、スティック用操作部材54bの操作量に基づいてスティック用操作部材54bの電気信号aを求め、この電気信号aが基本制御量設定手段4へ出力される。そして、基本制御量設定手段4では、図4に示すマップにより、電気信号aに基づいて基本制御信号bが求められ、この基本制御信号bが補正制御量設定手段6へ出力される。
【0088】
ブーム優先判定手段5は、ブーム用操作部材54a及びスティック用操作部材54bからの電気信号に基づいてブーム優先とすべきか否かを判定し、その判定結果を補正制御量設定手段6へ出力するものである。
補正制御量設定手段6は、基本制御量設定手段4, ブーム優先判定手段5及びブーム用操作部材54aからの信号に基づいて、ブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行われてブーム優先すべきと判定された場合に基本制御量設定手段4により設定される基本制御量をブーム用操作部材54aからの電気信号に基づいて補正して補正制御量を設定し、この補正制御量に応じた制御信号をスティック用比例減圧弁60a,60bへ出力するようになっている。なお、ブーム用操作部材54aは、その操作量に比例した電気信号を補正制御量設定手段6へ出力するようになっている。
【0089】
なお、スティック用操作部材54bとブーム用操作部材54aとの同時操作でなく、ブーム優先すべきと判定されない場合、即ち、スティック用操作部材54bのみが操作されている場合には、この基本制御量設定手段4によりスティック用操作部材54bの操作量に基づいて設定された基本制御信号に基づいてスティック用比例減圧弁60a,60bが制御されることになる。
【0090】
ここで、補正制御量は、図5に示すようなブーム用操作部材54aの操作量に応じた電気信号(電気信号出力値)とスティック用比例減圧弁60a,60bの制御信号としての補正制御信号(補正制御量に相当する補正制御信号出力値)とを関係づけたマップにより求められる。なお、スティック用比例減圧弁60a,60bの制御信号は、油路61aと油路68(又は油路61aと油路67)の開口面積(P−C開口面積)に対応する。
【0091】
この図5に示すマップでは、ブーム用操作部材54aの操作量に応じた電気信号が大きいほどスティック用比例減圧弁60a,60bの移動量が少なくなるように、ブーム用操作部材54aの操作量に応じた電気信号が大きくなるほど補正制御信号が小さくなるように設定されている。
なお、このマップで、ブーム用操作部材54aの操作量が所定操作量z以下の場合には、基本制御量設定手段4により設定される基本制御信号bをそのまま補正制御信号とするようになっている。また、ブーム用操作部材54aの操作量がフル操作に近い所定値y以上では補正制御信号を所定下限値yとしているのは、ブーム用操作部材54aの操作量がフル操作に近い場合であっても、スティックの最低限の作業性を確保するためにスティック104に最低限必要な流量の作動油が供給されるようにするためである。
【0092】
例えば、ブーム用操作部材54aの操作量に基づいてブーム用操作部材54aの電気信号dを求め、この電気信号dが補正制御量設定手段6へ出力される。そして、補正制御量設定手段6では、基本制御信号bに基づいて図5に示すような制御特性(上限値は基本制御信号b、下限値は所定下限値y)のマップが選択され、このマップにより、ブーム用操作部材54aからの電気信号dに基づいて補正制御信号cが求められ、この補正制御信号cがスティック用比例減圧弁60a,60bの制御信号としてスティック用比例減圧弁60a,60bへ出力される。
【0093】
このように制御されるスティック用比例減圧弁60a,60bによって第1スティック用制御弁60の移動量が制御され、これにより、P−C開口面積がブーム用操作部材54aの操作量が多くなるにしたがって徐々に小さくなるように調整される。
この開口面積の調整は、上述のように、第1スティック用制御弁60を構成するスプールの移動量(即ち、スプールの移動量を調整するスティック用比例減圧弁60a,60bへの制御信号としての補正制御量)をブーム用操作部材54aの操作量が多くなるにしたがって徐々に小さくなるように設定することにより行なわれる。
【0094】
この結果、ブーム優先判定手段5によりブーム優先すべきと判定されたら、第1油圧ポンプ51から油路(作動油供給通路)61aを介してスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量は、補正制御量設定手段6からの補正制御量に応じて減少することになる。
なお、このように第1油圧ポンプ51から供給される作動油の流量を必要最小限の流量としても、第2スティック用制御弁64は通常通りスティック用操作部材54bの操作量に応じて制御され、スティック駆動用油圧シリンダ106には油路66aを介して第2油圧ポンプ52からの作動油も供給されるため、スティック104を駆動する流量の作動油が確保されることになる。
【0095】
なお、図5に示すマップでは、ブーム用操作部材54aの操作量に応じた電気信号とスティック用比例減圧弁60a,60bの制御信号としての補正制御信号との相互の関係を直線式の特性としているが、これらの関係は各種係数を考慮した各種の関数式の特性、例えば曲線,双曲線の特性や曲線,双曲線と直線との組み合わせの特性等としても良い。
【0096】
例えば、図6に示すように、スティック用比例減圧弁60a,60bの制御信号としての補正制御信号(補正制御量に相当する補正制御信号出力値)とブーム用操作部材54aの操作量に応じた電気信号(電気信号出力値)との関係を曲線と直線との組み合わせの特性のマップとしても良い。
一方、ブーム103は、ブーム用操作部材54aから操作量に応じた電気信号が求められ、この電気信号がブーム用比例減圧弁制御手段3へ入力されて、ブーム用比例減圧弁制御手段3によりブーム用操作部材54aからの電気信号に基づいてブーム用比例減圧弁59a,59bの制御量が設定され、この制御量に基づいてブーム用比例減圧弁59a,59bが制御されてブーム用制御弁59が移動量が調整され、これにより、油路61aと油路78との開口面積(P−C開口面積)が調整される。
【0097】
これにより、ブーム用操作部材54aとスティック用操作部材54bとが同時操作時には、ブーム用操作部材54aの操作量を増加させていくと、その操作量に応じて第1油圧ポンプ51からスティック駆動用油圧シリンダ106への作動油の供給流量が徐々に減少していき、その分だけ、第1油圧ポンプ51からブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給される作動油の流量が増加するので、スティック作動スピードを滑らかに減少させつつ、ブームアップスピードを滑らかに増加させることができ、バランスのとれた作動機の作動が可能になる。
【0098】
一方、ブーム用操作部材54aの操作量を減少させていくと、その操作量に応じて第1油圧ポンプ51からスティック駆動用油圧シリンダ106への作動油の供給流量が徐々に増加していき、その分だけ、第1油圧ポンプ51からブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給される作動油の流量が減少するので、スティック作動スピードを滑らかに増加させつつ、ブームアップスピードを滑らかに減少させることができる。なお、スティックスピードの上限は、基本制御量設定手段4により設定されるスティック用操作部材54bの基本制御信号により決まる。
【0099】
本実施形態にかかる建設機械の制御装置は、上述のように構成され、スティック用制御弁の制御を行なうべく図7のフローチャートに示すように動作する。
つまり、ステップS10で、スティック用操作部材54b及びブーム用操作部材54aからの電気信号を読み込んで、ステップS20へ進む。
ステップS20では、ブーム優先判定手段5によりブームアップ操作が行なわれたか否かを判定し、この判定の結果、ブームアップ操作が行なわれたと判定された場合はステップS30へ進み、さらにブーム優先判定手段5によりスティックイン操作が行なわれたか否かを判定する。
【0100】
この判定の結果、スティックイン操作が行なわれたと判定された場合(この場合、ブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行なわれたことになる)はステップS40へ進み、補正制御量設定手段6によってブーム用操作部材54aからの操作信号に応じて第1スティック用制御弁60の制御が行なわれる。
つまり、スティック用比例減圧弁制御手段2の補正制御量設定手段6は、基本制御量設定手段4により設定された基本制御量を補正して補正制御量を設定し、このようにして設定された補正制御量に応じた制御信号を比例減圧弁60a,60bへ出力して、リターンする。
【0101】
これにより、補正制御量設定手段6からの制御信号に基づいて比例減圧弁60a,60bが作動され、パイロットポンプ83からのパイロット油圧が比例減圧弁60a,60bによって所定圧力に減圧されて第1スティック用制御弁60に作用し、ブーム用操作部材54aの操作量が多くなるにしたがって油路61aを介してスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量が滑らかに減少するように第1スティック用制御弁60を構成するスプールが移動する。
【0102】
ところで、ステップS20でブームアップ操作が行なわれていないと判定された場合及びステップS30でスティックイン操作が行なわれていないと判定された場合にはいずれも本実施形態によるスティック用制御弁の制御を行なわずにリターンする。
したがって、本実施形態にかかる建設機械の制御装置によれば、例えばレベリングオペレーションから積込作業へ移行する一連の作業のようにスティック用操作部材54bの操作量が大きい状態からブーム用操作部材54aの操作量も大きくしていく場合(即ちブーム操作とスティック操作とが同時に行われてブーム優先すべきと判定された場合)、自動的にスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量を減少させてスティックスピードを減少させつつ、スティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量を減少させることでブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給される作動油の流量を増加させてブームアップスピードを増加させることができ、これにより、スティック104及びブーム103をショックなく作動させることができ、滑らかでバランスの取れた作動スピードを確保することができるとともに、いわゆる積込作業時にブームアップスピードを十分速くすることができるいう利点がある。
【0103】
一方、例えば積込作業からレベリングオペレーションへ移行する一連の作業のようにブーム用操作部材54aの操作量を微小にしていきながら、スティック用操作部材54bの操作量を大きくしていく場合に、自動的にスティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量を増加させてスティックスピードを増加させつつ、スティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量を増加させることでブーム駆動用油圧シリンダ105へ供給される作動油の流量を減少させてブームアップスピードを減少させることができ、これにより、スティック104及びブーム103をショックなく作動させることができ、滑らかでバランスの取れた作動スピードを確保することができるとともに、いわゆるレベリングオペレーション時にスティックスピードを十分速くすることができるという利点がある。
【0104】
また、従来のようにブーム優先のままで地ならし作業及び積込作業の一連の作業が行なわれることがないため、地ならし作業時にスティックスピードが遅くなって作業効率が悪化するのを防止することができる。また、ブーム優先のままで地ならし作業時にブーム用操作部材54aの微操作が行なわれた場合に、ブーム駆動用油圧シリンダ105へ多く流量の作動油が供給されてしまうことがなく、ブーム103がブーム用操作部材54aの操作量以上に作動してしまうのを防止することができる。
【0105】
ここで、図8はブーム優先とする場合のブームアップスピードの変化を示すものである。なお、図8中、実線Aは本発明を適用した場合のブームアップスピードの変化を示すものであり、図8中、破線Bで示すように、従来のようにブーム優先モードスイッチを備えるものにおいて、ブーム優先モードスイッチをオンにした場合のブームアップスピードの変化を示すものである。
【0106】
従来、地ならし作業から積込作業へ移行する際にブームアップスピードが上がらないため、その作業中にブーム優先モードスイッチがオンとされると、図8中、破線Bで示すように、ブームアップスピードが一時的に変動(図中、C点;ブームジャンピング)してしまい好ましくなかったのに対し、本発明を適用した場合には、地ならし作業から積込作業へ移行する際にブームアップスピードを滑らかに上昇されることができることになる。
【0107】
また、ブーム優先すべきか否かをブーム用操作部材54a及びスティック用操作部材54bからの電気信号により判定しているため、従来のブーム優先モードスイッチの操作をなくすことができ、これにより、操作性を改善することができるという利点がある。
なお、上述の実施形態では、スティック用制御手段比例減圧弁制御手段2が、ブーム用操作部材54aの操作量に応じて第1スティック用制御弁60を制御するようになっているが、これに限られるものではなく、ブーム優先判定手段5によってブーム優先すべきと判定されたら、スティック駆動用油圧シリンダ106へ供給される作動油の流量が滑らかに減少するようにスティック用制御弁を制御するようにすれば良い。
【0108】
また、上述の実施形態では、本発明をネガティブフローコントロールを行なう建設機械の制御装置に適用する場合について説明しているが、本発明をポジティブフローコントロールを行なう建設機械の制御装置に適用しても良い。
【0109】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の建設機械の制御装置(請求項1〜)によれば、ブーム優先すべきか否かを複数の操作レバーからの電気信号により判定しているため、従来のようにブーム優先モードスイッチを操作する必要がなく、操作性を改善することができるという利点がある。
【0110】
また、例えばレベリングオペレーションから積込作業へ移行する一連の作業においてブーム優先すべきと判定された場合にも、自動的にスティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を減少させてスティックスピードを減少させつつ、スティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を減少させることでブーム駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を増加させてブームアップスピードを増加させることができ、これにより、スティック及びブームをショックなく作動させることができ、滑らかでバランスの取れた作動スピードを確保することができるとともに、いわゆる積込作業時にブームアップスピードを十分速くすることができるいう利点がある。
【0111】
一方、例えば積込作業からレベリングオペレーションへ移行する一連の作業の場合にも、自動的にスティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を増加させてスティックスピードを増加させつつ、スティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を増加させることでブーム駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を減少させてブームアップスピードを減少させることができ、これにより、スティック及びブームをショックなく作動させることができ、滑らかでバランスの取れた作動スピードを確保することができるとともに、いわゆるレベリングオペレーション時にスティックスピードを十分速くすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるスティック制御弁の制御を説明するための制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置の制御弁を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるスティック用操作部材の操作量に応じた電気信号とスティック用比例減圧弁の基本制御信号とを関係づけたマップを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるスティック用比例減圧弁の補正制御信号とブーム用操作部材の操作量に応じた電気信号とを関係づけたマップを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるスティック用比例減圧弁の補正制御信号とブーム用操作部材の操作量に応じた電気信号とを関係づけたマップの他の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるスティック用制御弁の制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態にかかる建設機械の制御装置におけるブームアップスピードとブーム用操作部材の操作量との関係を示す図である。
【図9】従来の建設機械を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 コントローラ(制御手段)
2 スティック用比例減圧弁制御手段(スティック用制御手段)
3 ブーム用比例減圧弁制御手段
4 基本制御量設定手段
5 ブーム優先判定手段
6 補正制御量設定手段
51 第1油圧ポンプ
52 第2油圧ポンプ
54 操作部材
54a ブーム用操作部材
54b スティック用操作部材
60 第1スティック用制御弁
60a,60b スティック用比例減圧弁
61a 油路(作動油供給通路)
103 ブーム
104 スティック
105 ブーム駆動用油圧シリンダ(ブーム駆動用油圧アクチュエータ)
106 スティック駆動用油圧シリンダ(スティック駆動用油圧アクチュエータ)

Claims (3)

  1. スティック,ブームを備える建設機械の制御装置において、
    該スティック,該ブームを作動させるべくオペレータにより操作される複数の操作レバーと、
    油圧ポンプからの作動油をスティック駆動用油圧アクチュエータ,ブーム駆動用油圧アクチュエータへ供給する作動油供給通路と、
    該作動油供給通路に介装され、該スティック駆動用油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御するスティック用制御弁と、
    該スティック用制御弁の作動を制御するスティック用制御手段と、
    上記の複数の操作レバーからの電気信号に基づいてブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行なわれたか否かを判定する判定手段とを備え、
    該スティック用制御手段が、
    上記の複数の操作レバーのうちのスティック用操作レバーの操作量に応じてスティック用制御弁の作動を制御するための基本制御量を設定する基本制御量設定手段と、
    該判定手段によりブームアップ操作とスティックイン操作とが同時に行なわれたと判定された場合に、該基本制御量設定手段により設定される基本制御量を、上記の複数の操作レバーのうちのブーム用操作レバーの操作量が大きくなるにしたがって小さくするように補正して補正制御量を設定する補正制御量設定手段とを備えることを特徴とする、建設機械の制御装置。
  2. 該スティック用制御手段は、該ブーム用操作レバーの操作量に応じて該スティック用制御弁の作動を制御することを特徴とする、請求項1記載の建設機械の制御装置。
  3. 該スティック用制御手段は、該ブーム用操作レバーの操作量が多くなるにしたがって該スティック駆動用油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量が減少するように該スティック用制御弁を制御することを特徴とする、請求項1記載の建設機械の制御装置
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