JP3594453B2 - 空調装置の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空調装置に関するものであり、特に詳しくは室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を循環させ、各室内機において冷暖房可能に構成した装置の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置として、例えば図5に示した構成の空調装置が、例えば特開平7−151359号公報に開示されている。図中1は冷水または温水が供給できる室外熱交換器(以下、室外機)、4は室外機1より下層の階に設置された室内機、5は室内機の熱交換器、8は流量調整弁、27は電動ポンプ、28〜31は開閉弁であり、これらを液相管6と気相管7とで図のように配管接続して閉回路3を形成し、閉回路3に封入した冷媒が室外機1と室内機4との間で循環して、室内機4において冷/暖房が行えるようになっている。なお、32は室外機1の側面に設置された液レベルセンサであり、暖房運転時に室外機1に溜った冷媒液が一定となるように電動ポンプ27を制御する。
【0003】
すなわち、上記構成の空調装置においては、室内機4が設置されている室内空気の温度が高いときに、電動ポンプ27を停止した状態で、開閉弁28・29を閉じて開閉弁30・31を開けると共に、流量調整弁8も開け、室外機1において発生させる冷熱によって閉回路3に封入した冷媒を冷却して凝縮させると、室外機1で凝縮した冷媒液は液相管6を自重で流下し、開閉弁30・31および流量調整弁8を介して熱交換器5に流入する。
【0004】
そして、熱交換器5に流入した冷媒液は、熱交換器の管壁を介して室内空気から熱を奪って冷房作用を行うと共に、冷媒自身は蒸発して気相管7に流入し、冷媒が凝縮して低圧となっている室外機1に還流すると云った自然循環が起こるので、電力消費量が年間を通じて最大となる夏期に電動ポンプ27を駆動する電力が不要であり、ランニングコストが削減できると云った利点がある。
【0005】
また、開閉弁28・31を閉じて開閉弁29・30を開けると共に、流量調整弁8も開け、電動ポンプ27を起動して、室外機1において発生させる冷熱によって閉回路3に封入した冷媒を冷却して凝縮させると、室外機1で凝縮した冷媒液は自重と電動ポンプ27の吐出力とで液相管6を流下し、流量調整弁8を通って熱交換器5に入り、冷房作用を行う冷媒の循環が強制的に行われる。
【0006】
このように、電動ポンプ27を起動して冷房を行う場合は、室外機1の直ぐ下に当たる上層階に設置した熱交換器5にも十分な量の冷媒液が供給できると云った利点がある。
【0007】
一方、室内機4が設置されている室内空気の温度が低いときに、開閉弁29・30を閉じて開閉弁28・31を開けると共に、流量調整弁8も開け、電動ポンプ27を起動した状態で、室外機1において発生させる温熱によって閉回路3に封入した冷媒を加熱して蒸発させると、室外機1で蒸発した冷媒蒸気は気相管7を介して熱交換器5に流入する。
【0008】
そして、熱交換器5に流入した冷媒蒸気は、熱交換器の管壁を介して室内空気に放熱して暖房作用を行うと共に、冷媒自身は凝縮して液相管6に流入し、開閉弁31・28を介して電動ポンプ27により室外機1に還流すると云った循環が起こり、室内機4における暖房運転が継続されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平7−151359号公報に開示された上記構成の空調装置においては、冷房運転の起動時には閉回路の室外機部分では圧力が急激に低下するため、閉回路内の冷媒が一斉に沸騰して泡立つ。このため、冷媒の本来のスムースな循環が望めないので、室内機では冷媒の継続した蒸発による冷房作用が速やかには起こり難いと云った問題点があり、この点の解決が課題となっていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するため、室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間を、気相管と、ポンプを備えた液相管とで連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を一度レシーバタンクに溜めた後、前記ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成すると共に、前記ポンプの吐出側と前記レシーバタンクとを、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁を備えたバイパス経路によって連結し、室外機で放熱して凝縮した液体がこのバイパス経路を経由して、主に蒸気との比重差を利用して室内機に搬送され、室内機で吸熱・蒸発して室外機に還流し、各室内機において冷房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記開閉弁の開弁操作と、前記ポンプの駆動とを行い、その後前記ポンプの運転を停止して冷房運転を開始するようにした第1の構成の空調装置の運転方法と、
【0011】
室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記両方の開閉弁の開弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作を行って、冷房運転を開始するようにした第2の構成の空調装置の運転方法と、
【0012】
室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、さらに冷房用補助ポンプの吐出側に設けた前記開閉弁の上流側に、前記暖房用ポンプの吐出側を分岐して連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた開閉弁の開弁操作と、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止を行って、冷房運転を開始するようにした第3の構成の空調装置の運転方法と、
【0013】
室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、さらに冷房用補助ポンプの吐出側に設けた前記開閉弁の上流側に、前記暖房用ポンプの吐出側を分岐して連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記両方の開閉弁の開弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作を行って、冷房運転を開始するようにした第4の構成の空調装置の運転方法と、
を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。なお、理解を容易にするため、これらの図においても前記図5において説明した部分と同様の機能を有する部分には、同一の符号を付した。
【0015】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の方法によって制御する空調装置の一構成例を示したものであり、1は冷熱または温熱を選択的に発生させることができる、例えば吸収式冷凍機などからなる室外機であり、建物の例えば屋上にある機械室などに設置され、例えば蒸発器の内部に配管した熱交換器2を介して、閉回路3に封入した相変化が可能な流体、例えば低温度でも圧力が低下すると容易に蒸発し得る、R−134aと熱の授受を行う。
【0016】
なお、蒸発器に配管した熱交換器2から冷熱を供給したり、温熱を供給することができる吸収式冷凍機としては、例えば特開平7−318189号公報などに開示されたものが使用できる。
【0017】
5は、建物の各部屋に設置した室内機4の熱交換器であり、室外機1の熱交換器2とは、図のように液相管6・気相管7および流量調整弁8によって配管・接続されて、前記閉回路3を形成している。
【0018】
そして、液相管6には、室内機4の熱交換器5で暖房作用を行って凝縮し、流れ出た液体のR−134aを溜めるためのレシーバタンク9と、このタンクに溜ったR−134aを室外機1に戻すための電動ポンプ10を備えた下方経路と、この下方経路と並列な開閉弁11を備えたバイパス経路となる上方経路とを設けて、室外機1の熱交換器2と室内機4の熱交換器5とが、下方経路・上方経路の何れか一方、または両方を介して連通できるように構成してある。
【0019】
また、12は室内空気を熱交換器5に吹き付けて室内に還流させるための送風機、13は図示しない吸収液を加熱して冷媒蒸気を蒸発分離するためのバーナ14に接続した燃料管に設けた燃料調整弁、15は閉回路3を循環しているR−134aの流速を検出するための流速センサ、16〜19は閉回路3を循環しているR−134aの温度を検出するための温度センサであり、温度センサ16と17は熱交換器2の出入口部に、温度センサ18と19は熱交換器5の出口部に、それぞれ設けられている。
【0020】
また、室外機1には室外制御装置20を、室内機4には室内制御装置21を設けてある。そして、室外制御装置20は、冷房運転中は温度センサ17が検出するR−134aの温度、すなわち熱交換器2で冷却作用を受けて凝縮し、液相管6に吐出するR−134aの温度が所定温度、例えば7℃になるように、燃料調整弁13の開度を調節する機能を備え、暖房運転中は温度センサ16が検出するR−134aの温度、すなわち熱交換器2で加熱作用を受けて蒸発し、気相管6に吐出するR−134aの温度が所定温度、例えば55℃になるように、燃料調整弁13の開度を調節する機能を備えており、室内制御装置21は、冷房運転中は温度センサ19が検出するR−134aの温度、すなわち熱交換器5を介して冷房作用を行って蒸発し、温度上昇して気相管7に吐出するR−134aの温度が所定温度、例えば12℃になるように流量調整弁8の開度を調節する機能を備え、暖房運転中は温度センサ18が検出するR−134aの温度、すなわち熱交換器5を介して暖房作用を行って凝縮し、温度低下して液相管6に吐出するR−134aの温度が所定温度、例えば50℃になるように流量調整弁8の開度を調節する機能を備えている。
【0021】
また、室内制御装置21と通信可能で、冷暖房の指定、運転の開始と停止、送風の強弱選択、温度設定などが行えるリモコン22を各室内機4に対応して設置してある。
【0022】
そして、室外機1においては、冷房モードでの運転中に燃料調整弁13の開度を大きくし、バーナ14に供給する燃料を増やして火力を増加すると、図示しない吸収液から蒸発分離する冷媒の量が増加する。この増加した冷媒蒸気が、図示しない凝縮器で放熱して凝縮し、液体となって熱交換器2の周囲に供給され、熱交換器2内を流れるR−134aから熱を奪って蒸発するので、熱交換器2内を流れるR−134aを冷却する機能が強化され、流量が同じであればその温度低下幅が拡大する。逆に、燃料調整弁13の開度を小さくしてバーナ14の火力を減じると、熱交換器2内を流れるR−134aを冷却する機能が弱まり、その温度低下幅は縮小する。一方、暖房モードでの運転中に燃料調整弁13の開度を大きくし、バーナ14に供給する燃料を増やして火力を増加すると、図示しない吸収液から蒸発分離する冷媒の量が増加する。この増加した冷媒蒸気と、加熱されて冷媒を蒸発分離した吸収液とが、熱交換器2の周囲に供給され、熱交換器2内を流れるR−134aに放熱するので、熱交換器2内を流れるR−134aを加熱する機能が強化され、流量が同じであればその温度上昇幅が拡大する。逆に、燃料調整弁13の開度を小さくしてバーナ14の火力を減じると、熱交換器2内を流れるR−134aを加熱する機能が弱まり、その温度上昇幅は縮小する。
【0023】
一方、室内機4においては、流量調整弁8の開度が同じであれば、空調負荷が大きいほど温度センサ18と19が検出するR−134aの温度差は拡大し、空調負荷が小さいほど前記温度差は縮小する。
【0024】
次に、閉回路3に封入したR−134aの循環サイクルを説明すると、冷房運転は室外制御装置20が出力する制御信号に基づいて、開閉弁11が開弁し、電動ポンプ10の運転を停止した状態で行われる。そして、室外機1では前記のようにして冷熱が発生しており、この冷熱によってR−134aが熱交換器2の管壁を介して冷却され、凝縮して液相管6に吐出し、開閉弁11・流量調整弁8を介して室内機4に所定温度、例えば7℃で供給される。
【0025】
また、各室内機4においては、送風機12によって温度の高い室内空気が熱交換器5に強制的に供給されているので、室外機1から7℃で供給された液体のR−134aは室内空気から熱を奪って蒸発し、冷房作用を行なう。
【0026】
そして、気体となったR−134aは、冷却されて凝縮・液化し、低圧になっている室外機1の熱交換器2に気相管7を通って流入すると云った循環が自然に起こる。
【0027】
このR−134aの循環において、ある室内機4における冷房負荷が増加(または減少)し、その室内機4の温度センサ19が検出するR−134aの温度が上昇(または低下)すると、その温度上昇(または温度低下)が解消するように、その室内制御装置21からの制御信号を受けて該当する流量調整弁8の開度が増加(または減少)し、冷房負荷が増加した室内機4の熱交換器5に流入するR−134aの量が増加(または減少)するので、その温度センサ19が検出するR−134aの温度上昇(または低下)はその内解消する。
【0028】
そして、冷房負荷の変動に起因する、温度が変化したR−134aが室外機1に流入したり、室外機1に流入するR−134aの流量が変化して、温度センサ17が検出するR−134aの温度に変化が生じると、その変化を解消するように、燃料調整弁13の開度を室外制御装置20により制御する。
【0029】
しかし、冷房運転の開始時においては、前記したように閉回路3内でR−134aが一斉に蒸発して泡立ち、循環に支障を来すと云った問題点があるため、最初は開閉弁11を開弁した状態で、室外機1の起動と電動ポンプ10の起動とを行う。
【0030】
この起動操作によって、レシーバタンク9および電動ポンプ10の付近に溜っている液体のR−134aと、室外機1の熱交換器2で冷却されて凝縮した液体のR−134aとは混合されながら循環し、その一部が室内機5の熱交換器4に供給され、送風機12が供給する温度の高い室内空気と熱交換してこれを冷却し、自身は吸熱して昇温し、蒸発して気相管7に吐出するので、一斉に沸騰することが回避でき、気相管7に吐出するR−134aの温度、すなわち温度センサ19が検出するR−134aの温度は次第に低下する。そして、例えば図2に示したように、この温度が所定温度、例えば9℃以下になるのを待って、電動ポンプ10の運転を停止し、冷房運転の開始時の制御を終了する(これは設定温度を7℃とした場合のものであり、設定温度が変わればこの限りではない。)
【0031】
電動ポンプ10の運転を停止する時期は、温度センサ19が検出するR−134aの温度低下勾配が所定値以下になるのを待って、停止するようにしても良い。また、温度センサ19に代えて、熱交換器5で熱交換して冷却された室内空気の温度を検出するように設置した温度センサの出力に基づいて制御するように構成することもできるし、気相管7に吐出するR−134aの圧力を検出して制御するように構成しても良い。
【0032】
なお、開閉弁11を閉弁し、電動ポンプ10を起動した状態で行う暖房運転時におけるR−134aの循環サイクルを説明すると、室外機1では前記のようにして温熱が発生しており、この温熱によってR−134aが熱交換器2の管壁を介して加熱され、蒸発して気相管7に吐出し、室内機4の各熱交換器5に所定温度、例えば55℃で供給される。
【0033】
各室内機4においては、送風機12によって温度の低い室内空気が熱交換器5に強制的に供給されているので、室外機1から55℃で供給された気体のR−134aは室内空気に放熱して凝縮し、暖房作用を行なう。
【0034】
そして、凝縮して液体となったR−134aは、レシーバタンク9に溜り、電動ポンプ10によって室外機1の熱交換器2に液相管6を通って送られる。
【0035】
このR−134aの循環において、ある室内機4における暖房負荷が増加(または減少)し、その室内機4の温度センサ18が検出するR−134aの温度が低下(または上昇)すると、その温度低下(または温度上昇)が解消するように、その室内制御装置21からの制御信号を受けて該当する流量調整弁8の開度が増加(または減少)し、暖房負荷が増加した室内機4の熱交換器5に流入するR−134aの量が増加(または減少)するので、その温度センサ19が検出するR−134aの温度低下(または上昇)はその内解消する。
【0036】
そして、暖房負荷の変動に起因する、温度が変化したR−134aが室外機1に流入したり、室外機1に流入するR−134aの流量が変化して、温度センサ17が検出するR−134aの温度に変化が生じると、その変化を解消するように、燃料調整弁13の開度を室外制御装置20により制御する。
【0037】
なお、空調装置としては、図1に破線で示したように、レシーバタンク23と冷房用補助ポンプとしての電動ポンプ24とを液相管6に設置した構成であっても良い。このようの構成の空調装置では、冷房運転ではR−134aの液体と気体の比重差に加えて電動ポンプ24による搬送力が作用するので、室内機4の一部を室外機1より高いフロアや同じフロアに設置することができる。
【0038】
そして、電動ポンプ24を備えた空調装置の冷房運転は、前記したように開閉弁11を開弁した状態で、室外機1の起動と電動ポンプ10の起動のみを行っても良いし、電動ポンプ10と共に電動ポンプ24を起動しても良い。
【0039】
この起動操作によっても、レシーバタンク9および電動ポンプ10の付近に溜っている液体のR−134aと、室外機1の熱交換器2で冷却されて凝縮した液体のR−134aとは混合されながら循環し、その一部が室内機5の熱交換器4に供給され、送風機12が供給する温度の高い室内空気と熱交換してこれを冷却し、自身は吸熱して昇温し、蒸発して気相管7に吐出するので、R−134aが一斉に沸騰することが回避できる。
【0040】
そして、気相管7に吐出するR−134aの温度、すなわち温度センサ19が検出するR−134aの温度は次第に低下するので、この温度が所定温度、例えば9℃以下になるのを待って、電動ポンプ10の運転を停止する。
【0041】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の方法を、図3に基づいて説明する。図3に示した構成の空調装置は、前記図1に破線で示したレシーバタンク23と電動ポンプ24とを備えると共に、電動ポンプ10の吐出側を開閉弁25を介してレシーバタンク23の流入側に連結したものであり、冷房は開閉弁11を開弁、開閉弁25を閉弁し、電動ポンプ24を起動、電動ポンプ10を停止して行われ、暖房は開閉弁11を閉弁、開閉弁25を開弁し、電動ポンプ24を停止、電動ポンプ10を起動して行われるので、冷房運転においても暖房運転においても、閉回路3内のR−134aは前記第1の実施形態の場合と同じように循環する。
【0042】
なお、この構成の空調装置は、暖房運転時に電動ポンプ10が室外機1に向けて搬送するR−134aが電動ポンプ24を経由しないので、図1に示した構成の空調装置に比べて搬送抵抗が小さいと云った利点がある。
【0043】
そして、この構成の空調装置においては、冷房運転の開始にあたっては、開閉弁11・26の両方を開弁し、電動ポンプ10・26の両方を起動する。このため、レシーバタンク9および電動ポンプ10の付近に溜っている液体のR−134aと、室外機1の熱交換器2で冷却されて凝縮した液体のR−134aとは混合されながら循環し、その一部が室内機5の熱交換器4に供給され、送風機12が供給する温度の高い室内空気と熱交換してこれを冷却し、自身は吸熱して昇温し、蒸発して気相管7に吐出するので、一斉に沸騰することが回避できる。
【0044】
そして、気相管7に吐出するR−134aの温度、すなわち温度センサ19が検出するR−134aの温度は次第に低下するので、例えば図4に示したようにこの温度が所定温度、例えば9℃以下になるのを待って、開閉弁25の閉弁と電動ポンプ10の運転を停止する。
【0045】
開閉弁25の閉弁と電動ポンプ10の運転を停止する時期は、前記第1の実施形態と同様にして行うことができる。
【0046】
また、この第2の実施形態の制御方法は、図3に破線で示したように電動ポンプ10の吐出側を二手に分岐し、一方は開閉弁25を介してレシーバタンク23の吸入側に連結し、他方は電動ポンプ24と開閉弁11の間に連結するように構成した空調装置の制御としても、同様に有効である。
【0047】
また、電動ポンプ10の吐出側を、電動ポンプ24と開閉弁11との間にも連結するようにしたこの構成の空調装置では、開閉弁25を閉弁すると装置の構成が前記第1の実施形態と同じになるので、前記第1の実施形態と同じように、すなわち開閉弁25を閉弁し、開閉弁11を開弁した状態で、室外機1と電動ポンプ10のみの起動を行う、あるいは電動ポンプ24も起動し、その後電動ポンプ10の運転を停止して冷房運転を開始することもできる。
【0048】
なお、電動ポンプ10の吐出側を、電動ポンプ24と開閉弁11との間にも連結する場合は、電動ポンプ10が吐出するR−134aを開閉弁11にスムースに流入させるため、破線で示したように案内することが好ましい。
【0049】
このように液相管6を配管することによって、電動ポンプ10が吐出するR−134aが開閉弁11にスムースに流入するだけでなく、室外機1の熱交換器2で凝縮して液相管6に吐出したR−134aには、電動ポンプ10が開閉弁11に向けて搬送しているR−134aによる吸引力が作用するので、電動ポンプ24を小さな力で運転してもR−134aを開閉弁11の側に送ることができるし、電動ポンプ24を起動しなくても開閉弁11の側に送ることができる。
【0050】
なお、図1における電動ポンプ10の吐出側配管も、冷房運転の開始時は図3の破線で示したように開閉弁11に向いて接続し、暖房運転時は室外機1側に向いて接続するように、適宜の弁機構などを利用して連結することが好ましい。
【0051】
また、閉回路3に封入する相変化可能な流体としては、R−134aの他にも、温度と圧力の制御によって容易に相変化するR−407c、R−404A、R−410cなどであっても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、暖房用ポンプの付近に凝縮して溜っている相変化が可能な流体と、室外機で冷却されて凝縮した流体とは混合されながら循環し、その一部が室内機に供給され、温度の高い室内空気と熱交換してこれを冷却し、自身は吸熱して昇温し、蒸発して気相管に吐出するので、一斉に沸騰して循環を妨げると云った事態は回避できる。そして、気相管に吐出する流体の温度が所定温度になるのを待って、暖房用ポンプの運転を停止して冷房運転に入るので、冷房運転の起動時間が短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における装置構成の説明図である。
【図2】第1の実施形態における制御の説明図である。
【図3】第2の実施形態における装置構成の説明図である。
【図4】第2の実施形態における制御の説明図である。
【図5】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 室外機
2 熱交換器
3 閉回路
4 室内機
5 熱交換器
6 液相管
7 気相管
8 流量調整弁
9 レシーバタンク
10 電動ポンプ
11 開閉弁
12 送風機
13 燃料調整弁
14 バーナ
15 流速センサ
16〜19 温度センサ
20 室外制御装置
21 室内制御装置
22 リモコン
23 レシーバタンク
24 電動ポンプ
25 開閉弁
Claims (4)
- 室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間を、気相管と、ポンプを備えた液相管とで連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を一度レシーバタンクに溜めた後、前記ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成すると共に、前記ポンプの吐出側と前記レシーバタンクとを、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁を備えたバイパス経路によって連結し、室外機で放熱して凝縮した液体がこのバイパス経路を経由して、主に蒸気との比重差を利用して室内機に搬送され、室内機で吸熱・蒸発して室外機に還流し、各室内機において冷房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記開閉弁の開弁操作と、前記ポンプの駆動とを行い、その後前記ポンプの運転を停止して冷房運転を開始することを特徴とする空調装置の運転方法。
- 室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記両方の開閉弁の開弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作を行って、冷房運転を開始することを特徴とする空調装置の運転方法。
- 室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、さらに冷房用補助ポンプの吐出側に設けた前記開閉弁の上流側に、前記暖房用ポンプの吐出側を分岐して連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた開閉弁の開弁操作と、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止を行って、冷房運転を開始することを特徴とする空調装置の運転方法。
- 室外機と、全数もしくは過半数が室外機より下方に設置された複数の室内機との間で、相変化可能な流体を液相と気相との比重差と、液相管に設置した冷房用補助ポンプの吐出力とを利用して循環させ、各室内機において冷房可能に構成すると共に、前記冷房用補助ポンプの吸入側に、暖房運転時に開弁し、冷房運転時に閉弁する開閉弁を介して暖房用ポンプの吐出側を連結し、且つ、この暖房用ポンプの吸入側を、前記冷房用補助ポンプの吐出側に設けた、冷房運転時に開弁し、暖房運転時に閉弁する開閉弁と室内機との間に連結し、さらに冷房用補助ポンプの吐出側に設けた前記開閉弁の上流側に、前記暖房用ポンプの吐出側を分岐して連結し、室外機で吸熱して蒸発した気体を室内機に導入して放熱・凝縮させ、この凝縮した液体を前記暖房用ポンプの吐出力によって室外機に戻し、各室内機において暖房可能に構成した装置において、冷房運転開始時には、前記室外機の運転開始と、前記両方の開閉弁の開弁操作と、前記両方のポンプの駆動とを行い、その後前記暖房用ポンプの運転停止、前記暖房用ポンプの吐出側に設けた開閉弁の閉弁操作を行って、冷房運転を開始することを特徴とする空調装置の運転方法。
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1997
- 1997-06-11 JP JP15390697A patent/JP3594453B2/ja not_active Expired - Fee Related
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