JP3594133B2 - 積層箔及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層箔及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ノート型パソコンなどといった携帯情報機器の急速な普及に伴い、機器の軽量・小型化ならびに高性能化は急激な進展を遂げており、これを構成する電子部品に対しても高密度化が要求されている。これに対応して、プリント配線板および半導体パッケージ配線板では、配線のファインパターン化、ファインピッチ化が推進されている。現在までのところ、高密度配線板の配線は主にサブトラクティブ法で形成されている。
【0003】
サブトラクティブ法はエッチング技術を用いる工法で、形成される配線のピッチの限界は、用いられるCu層の厚さとエッチング液の種類などのエッチング条件で決定される。特にCu層の厚さは形成される配線ピッチとの間に直線的な関係を有しており、薄い程配線のファインパターン化、ファインピッチ化には有利である。通常サブトラクティブ法では、多層配線の層間接続にレーザビアが用いられるため、エッチングでパターンを形成するCu層の厚さは、積層されるCu箔とその上にビア接続のために施されるCuめっき厚さの合計となる。
また、Cuめっきの厚さは接続信頼性を確保するため、15μm程度は必要とされている。そのため、下地のCu箔の厚さを減少させる必要があり、一部ではキャリアで極薄Cu箔を支持した積層箔が用いられている。
【0004】
積層箔では、金属のエッチング特性の差異に着目した技術として、転写法が提案されている。転写法は、配線となるCu箔をキャリアまたは中間層とキャリアで支持した積層箔を用いて、エッチング法により予め微細配線を形成し、それを絶縁基板に文字通り転写した後、選択エッチングによりキャリアまたはキャリアと中間層を順次除去し、回路を形成する工法である。この方法では予め極薄Cu箔をエッチングし、回路を形成することができるため、ファインパターン化、ファインピッチ化に有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記転写法の技術ではキャリアは配線材を支持できる程度の厚さを必要とするため、キャリアをエッチングするのに時間がかかる。加えて、中間層とキャリアを用いる場合、選択エッチング液をかえて中間層を除去する必要があり、工程が煩雑であるという問題を有している。
一方、キャリアをエッチングしない方法として、キャリアと配線材との中間に引き剥がし可能な樹脂層を形成した積層箔も提案されており、この方法ではキャリアのエッチングを行わないため生産性の面で優れた方法である。
しかしながら従来の引き剥がし可能な積層箔では、配線をエッチングする際に樹脂を通してエッチング液が回り込んでしまい、配線そのものもエッチングしてしまうという欠点がある。
本発明の目的は、転写法において生産性を向上させるため、金属箔のエッチングバリアとなる界面と引きはがす界面が異なる積層箔を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、選択エッチングを利用した技術において、引きはがし可能な金属中間層を有する積層箔について鋭意検討した結果、制御した雰囲気中で真空蒸着することにより金属中間層を形成させることで、適度な強度で引き剥がし可能な積層箔を得ることをみいだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、金属箔と金属キャリアとに挟まれた金属中間層を有する積層箔において、前記金属中間層は金属箔のエッチングに対してバリアとして機能することが可能であって、且つ前記金属中間層内または該金属中間層と前記金属キャリアとの界面には、前記金属箔と前記金属キャリアの間における引きはがし強度が 0.01 〜 0.8N/mm の範囲内にある弱接合層が形成されている積層箔である。
好ましくは、弱接合層が酸素濃化層である積層箔である。
【0008】
そしてさらには、金属箔はCuまたはCuを主成分とする合金でなることが好ましく、金属中間層はTiを主成分としてなることが好ましい。
そして、金属キャリアはCuまたはCuを主成分とする合金でなることが好ましい。
【0009】
本発明の積層箔の製造方法は、真空槽内で、金属箔の被接合面と金属キャリアの被接合面の少なくとも一方の面側に、搬送しながら、乾式成膜法により弱接合層を形成しつつ金属中間層となる金属を付着形成させた後、前記金属箔と金属キャリアとを圧着接合する積層箔の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に詳しく本発明について説明する。
本発明の重要な特徴は図1に示したように金属箔(1)と金属キャリア(2)とに挟まれた金属中間層(3)を有する積層箔(4)において、金属箔のエッチングに対してバリアとして機能することができる界面と、積層箔を引きはがすときの界面が異なることにある。すなわち、図1の如く金属中間層(3)内に弱接合層(5)が形成されているか、図2に示した如く、金属中間層(3)と金属キャリア(2)との界面に弱接合層(5)があることが重要である。
【0011】
本発明の積層箔を転写法用途に用いる場合、金属箔と金属中間層に選択エッチングが可能な適当な金属または合金の組み合わせを用いれば、図3に示す如く、積層箔(4)の金属箔(1)に選択エッチングにより配線(6)を形成した後、絶縁体(7)に埋め込んでプレス成形し、弱接合層から金属キャリア(2)を機械的に引きはがした後、選択エッチングにより金属中間層(3)を除去して配線板を形成することができる。
【0012】
例えば、従来の積層箔で樹脂キャリア単体で金属箔を支持したものがあるが、この積層箔では引きはがす際に容易にはがれるように、接合強度を弱くしておくと、選択エッチングで金属箔に配線を形成するときに、エッチング液が回り込んで、折角形成した配線パターンを破壊してしまうことになる。また、逆にエッチングに耐え得る接合強度設定を行うと、引きはがしの際に、配線がキャリアに付いて浮き上がったり、配線上に部分的に樹脂が残ったりしてしまい、実質的に接合強度の制御が困難であった。
【0013】
これに比して本発明の積層箔(4)では、金属キャリア(2)が機械的に引きはがされる層、即ち弱接合層(5)が図1のように金属中間層(3)内、若しくは図2のように金属中間層(3)と金属キャリア(2)との界面に存在するため、選択エッチングで金属箔に配線を形成する際に、エッチング液が弱接合層を伝って回り込み配線を壊してしまう恐れがない。
また、金属箔と金属キャリアの間の引きはがし強度としては、0.01〜0.8N/mmの範囲内にあることが必要である。0.01N/mm未満であるとエッチング工程や、搬送工程などのハンドリングで金属箔が部分的に剥れる恐れがある。また、0.8N/mmを超えると、絶縁体の組み合わせによっては、引きはがしの際に、形成した配線が金属キャリアについて剥れないことがある。
【0014】
なお、金属箔のエッチングに対してバリアとして機能するとは、金属中間層が金属箔のエッチング速度に対して、著しく遅い場合を示している。具体的には、金属箔がCuまたはCuを主成分とする合金であって、そのエッチング液として塩化第二鉄を用いる場合、金属中間層としては、TiまたはAg、或いは該金属の何れかを主成分とする合金がある。
また、エッチング液としてアルカリエッチャントを用いる場合、金属中間層としてはTiまたはSn、Ni、或いは該金属の何れかを主成分とする合金を使用できる。なお、エッチング液が塩化第二鉄の場合は、金属箔をFe、Fe−Ni系合金、ステンレスなどとしてエッチングすることができる。
【0015】
また、積層箔を引きはがしたときの金属箔側への金属中間層の残存形態は、例えば配線パターンを形成した場合、図4に示したように、金属箔上にのみ残存する場合がある。これは金属中間層と絶縁体との密着性のほうが弱接合層の強度より弱い場合に起こる。勿論弱接合層の強度を最も弱くすれば、絶縁体の上にも金属中間層を残存させることができる。何れの残存形態をとっても良い。
金属箔側へ残存した金属中間層は配線板の一部として用いるか、選択エッチングにより、金属箔をほとんどエッチングしない金属中間層のエッチング液を用いて除去する。或いは、平面研削など物理的手法により除去する方法もある。
配線板に残留させて用いる場合、金属中間層のNiやTiなどは拡散バリアとして使用しても良いし、金属中間層のAgやSnは接合を促進させる作用を有する。また、金属箔がCuまたはCuを主成分とする合金の場合、金属中間層としてのTi、Ag、Sn、Niは市販のめっき剥離剤で金属箔を過度にエッチングすることなく、除去することが可能である。
【0016】
また、弱接合層は酸素濃化層であることが好ましい。酸素濃化層は、脆弱であり、金属中間層内若しくは金属中間層と金属キャリアの界面に酸素濃化層を部分的に形成することができれば、引きはがし強度を制御しやすくなる。ここで、酸素濃化層とは、その他の金属中間層の部分と比べて酸素含有量が高い部分を指し、酸素含有量は光電子分光分析装置(ESCAともXPSとも称される)やオージェ電子分光分析装置(AESとも称される)により積層箔を表面よりドライエッチングによりスパッタして測定すると良い。具体的には、酸素含有量が他より10原子%以上高い酸素濃化層がより効果的に作用する。
【0017】
また、IVa族金属など活性であるため、酸素を吸収しやすく、大気中では表面に酸化数が4価の酸化物被膜をつくり安定化するが、雰囲気を制御し、成膜することで部分的に酸素濃化層を形成することが可能であり、引きはがし強さを調整することが容易となる。なかでも、TiまたはTiを主成分とする合金は、上述の如く様々なエッチング液のバリアとしても優れているため、金属中間層として、特に有効である。
【0018】
一方、金属箔は配線として用いられることが多く、金属箔の材料としては、配線材やリードフレーム材として一般に用いられているCuまたはCuを主成分とする合金やFe−Ni系合金などが好ましく、なかでも導電性の高いCuまたはCuを主成分とする合金が特に好ましい。ここで、Cuを主成分とする合金にはCu−Fe系合金、Cu−Fe−Co系合金、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Cr−Ti系合金、Cu−Cr−Zr系合金、Cu−Zr系合金などが挙げられる。
【0019】
金属キャリアの材料としては、 Cu、Al、Feまたは該金属の何れかを主成分とする合金などが良いが、再利用の観点からは、金属中間層としてTi、Ag、Sn、Niなどを使用すれば、上述のように市販のめっき剥離剤で除去できるため、CuまたはCuを主成分とする合金が好適である。
【0020】
積層箔の製造方法としては、めっき法で金属キャリアに金属中間層、金属箔と順次積み上げていく方法や、金属箔に金属中間層をめっき、または乾式成膜法で成膜したものと金属キャリアとの被接合面を真空漕内でイオンエッチングし、突き当てプレスまたはロール接合しても良いが、本発明の積層箔の製造方法のように、真空度を制御した雰囲気内で、金属箔の被接合面と金属キャリアの被接合面の少なくとも一方の面側に、搬送しながら、乾式成膜法により弱接合層を形成しつつ金属中間層となる金属を付着形成させた後、前記金属箔と金属キャリアとを圧着接合することが望ましい。
ここで、乾式成膜法とは、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法や化学的蒸着法を指す。特に真空蒸着は成膜速度が速く良い。また、スパッタやイオンプレーティングなどは膜質が良いが、成膜速度が遅いので、蒸着装置の設計等に考慮が必要である。
【0021】
本発明の積層箔の製造方法の重要な特徴は金属箔および金属キャリアを搬送しながら成膜することにある。即ち、蒸着源から被接合面までの距離を搬送中に変化させることができるため、同じ金属中間層であっても蒸発粒子が密な雰囲気と疎な雰囲気で成膜することができるため、膜に含まれる不純物量を部分的に変化させることが可能となり、弱接合層を任意の場所に形成可能である。
また、金属箔を帯材とすることでインラインで製造でき、製造上も有利である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明の用途である転写法に適したCu/Ti/Cuの積層箔を以下の工程にて作製した。
まず、金属箔の帯材として厚さ10μm、幅100mm、長さ5mの純Cu製の電解銅箔を用いた。また、金属キャリアの帯材として厚さ35μm、幅100mm、長さ5mの純Cu製の圧延銅箔を用いた。
各銅箔の片側の面にそれぞれ平均厚さ0.5μmとなるように、1×10‐ 2Paの真空度の真空漕内で蒸着材をTiとし、蒸着源より離れていくように搬送しながら、真空蒸着して金属中間層となるTiの金属層を、金属箔の帯材と金属キャリアの帯材との被接合表面に弱接合層を形成しつつ付着形成し、続いて金属箔の帯材と金属キャリアの帯材とのTi蒸着面同士を10m/minの速度で特別な加熱を行わず約1%の圧下率のロール圧延で圧着し、転写法用となる積層箔を得た。
【0023】
得られた転写法用積層箔は、図1のような断面形状を有する帯材である。
この転写法用積層箔について、光電子分光分析装置により表面から1.5nm/minのスパッタ速度でスパッタリングし、3min毎にCu、Ti、Oを定量分析した。その結果、Tiの金属中間層の中央には酸素含有量が他の部分より20原子%程度高い酸素濃化層が認められた。
また、転写法用積層箔をエッチングして、幅10mmの引きはがし試験片を作製し、毎分50mmの速度で180°引きはがし試験を行ったところ、0.5N/mmで弱接合層で剥れた。
【0024】
転写法用積層箔の金属箔に対して最小配線幅/間隔が50μm/50μmの配線が得られるように感光性レジストをラミネートし、露光・現像してマスクを形成後、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングにより配線を形成したところ、エッチングによる剥れもなく、良好な配線が得られた。そしてさらに、ガラスクロス入りのエポキシ樹脂のプリプレグに押し当てプレス成形した後、金属キャリアを引きはがしたところ、弱接合層で引きはがすことができた。その後、Tiをエッチングし、良好な配線板を得た。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、金属箔のエッチングバリアとなる界面と引きはがす界面が異なる積層箔を提供することで、転写法において生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層箔の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の積層箔の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の積層箔を用いた転写法の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の積層箔を引きはがした後の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1.金属箔、2.キャリア、3.金属中間層、4.積層箔、5.弱接合層、6.配線、7.絶縁体
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層箔及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ノート型パソコンなどといった携帯情報機器の急速な普及に伴い、機器の軽量・小型化ならびに高性能化は急激な進展を遂げており、これを構成する電子部品に対しても高密度化が要求されている。これに対応して、プリント配線板および半導体パッケージ配線板では、配線のファインパターン化、ファインピッチ化が推進されている。現在までのところ、高密度配線板の配線は主にサブトラクティブ法で形成されている。
【0003】
サブトラクティブ法はエッチング技術を用いる工法で、形成される配線のピッチの限界は、用いられるCu層の厚さとエッチング液の種類などのエッチング条件で決定される。特にCu層の厚さは形成される配線ピッチとの間に直線的な関係を有しており、薄い程配線のファインパターン化、ファインピッチ化には有利である。通常サブトラクティブ法では、多層配線の層間接続にレーザビアが用いられるため、エッチングでパターンを形成するCu層の厚さは、積層されるCu箔とその上にビア接続のために施されるCuめっき厚さの合計となる。
また、Cuめっきの厚さは接続信頼性を確保するため、15μm程度は必要とされている。そのため、下地のCu箔の厚さを減少させる必要があり、一部ではキャリアで極薄Cu箔を支持した積層箔が用いられている。
【0004】
積層箔では、金属のエッチング特性の差異に着目した技術として、転写法が提案されている。転写法は、配線となるCu箔をキャリアまたは中間層とキャリアで支持した積層箔を用いて、エッチング法により予め微細配線を形成し、それを絶縁基板に文字通り転写した後、選択エッチングによりキャリアまたはキャリアと中間層を順次除去し、回路を形成する工法である。この方法では予め極薄Cu箔をエッチングし、回路を形成することができるため、ファインパターン化、ファインピッチ化に有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記転写法の技術ではキャリアは配線材を支持できる程度の厚さを必要とするため、キャリアをエッチングするのに時間がかかる。加えて、中間層とキャリアを用いる場合、選択エッチング液をかえて中間層を除去する必要があり、工程が煩雑であるという問題を有している。
一方、キャリアをエッチングしない方法として、キャリアと配線材との中間に引き剥がし可能な樹脂層を形成した積層箔も提案されており、この方法ではキャリアのエッチングを行わないため生産性の面で優れた方法である。
しかしながら従来の引き剥がし可能な積層箔では、配線をエッチングする際に樹脂を通してエッチング液が回り込んでしまい、配線そのものもエッチングしてしまうという欠点がある。
本発明の目的は、転写法において生産性を向上させるため、金属箔のエッチングバリアとなる界面と引きはがす界面が異なる積層箔を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、選択エッチングを利用した技術において、引きはがし可能な金属中間層を有する積層箔について鋭意検討した結果、制御した雰囲気中で真空蒸着することにより金属中間層を形成させることで、適度な強度で引き剥がし可能な積層箔を得ることをみいだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、金属箔と金属キャリアとに挟まれた金属中間層を有する積層箔において、前記金属中間層は金属箔のエッチングに対してバリアとして機能することが可能であって、且つ前記金属中間層内または該金属中間層と前記金属キャリアとの界面には、前記金属箔と前記金属キャリアの間における引きはがし強度が 0.01 〜 0.8N/mm の範囲内にある弱接合層が形成されている積層箔である。
好ましくは、弱接合層が酸素濃化層である積層箔である。
【0008】
そしてさらには、金属箔はCuまたはCuを主成分とする合金でなることが好ましく、金属中間層はTiを主成分としてなることが好ましい。
そして、金属キャリアはCuまたはCuを主成分とする合金でなることが好ましい。
【0009】
本発明の積層箔の製造方法は、真空槽内で、金属箔の被接合面と金属キャリアの被接合面の少なくとも一方の面側に、搬送しながら、乾式成膜法により弱接合層を形成しつつ金属中間層となる金属を付着形成させた後、前記金属箔と金属キャリアとを圧着接合する積層箔の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に詳しく本発明について説明する。
本発明の重要な特徴は図1に示したように金属箔(1)と金属キャリア(2)とに挟まれた金属中間層(3)を有する積層箔(4)において、金属箔のエッチングに対してバリアとして機能することができる界面と、積層箔を引きはがすときの界面が異なることにある。すなわち、図1の如く金属中間層(3)内に弱接合層(5)が形成されているか、図2に示した如く、金属中間層(3)と金属キャリア(2)との界面に弱接合層(5)があることが重要である。
【0011】
本発明の積層箔を転写法用途に用いる場合、金属箔と金属中間層に選択エッチングが可能な適当な金属または合金の組み合わせを用いれば、図3に示す如く、積層箔(4)の金属箔(1)に選択エッチングにより配線(6)を形成した後、絶縁体(7)に埋め込んでプレス成形し、弱接合層から金属キャリア(2)を機械的に引きはがした後、選択エッチングにより金属中間層(3)を除去して配線板を形成することができる。
【0012】
例えば、従来の積層箔で樹脂キャリア単体で金属箔を支持したものがあるが、この積層箔では引きはがす際に容易にはがれるように、接合強度を弱くしておくと、選択エッチングで金属箔に配線を形成するときに、エッチング液が回り込んで、折角形成した配線パターンを破壊してしまうことになる。また、逆にエッチングに耐え得る接合強度設定を行うと、引きはがしの際に、配線がキャリアに付いて浮き上がったり、配線上に部分的に樹脂が残ったりしてしまい、実質的に接合強度の制御が困難であった。
【0013】
これに比して本発明の積層箔(4)では、金属キャリア(2)が機械的に引きはがされる層、即ち弱接合層(5)が図1のように金属中間層(3)内、若しくは図2のように金属中間層(3)と金属キャリア(2)との界面に存在するため、選択エッチングで金属箔に配線を形成する際に、エッチング液が弱接合層を伝って回り込み配線を壊してしまう恐れがない。
また、金属箔と金属キャリアの間の引きはがし強度としては、0.01〜0.8N/mmの範囲内にあることが必要である。0.01N/mm未満であるとエッチング工程や、搬送工程などのハンドリングで金属箔が部分的に剥れる恐れがある。また、0.8N/mmを超えると、絶縁体の組み合わせによっては、引きはがしの際に、形成した配線が金属キャリアについて剥れないことがある。
【0014】
なお、金属箔のエッチングに対してバリアとして機能するとは、金属中間層が金属箔のエッチング速度に対して、著しく遅い場合を示している。具体的には、金属箔がCuまたはCuを主成分とする合金であって、そのエッチング液として塩化第二鉄を用いる場合、金属中間層としては、TiまたはAg、或いは該金属の何れかを主成分とする合金がある。
また、エッチング液としてアルカリエッチャントを用いる場合、金属中間層としてはTiまたはSn、Ni、或いは該金属の何れかを主成分とする合金を使用できる。なお、エッチング液が塩化第二鉄の場合は、金属箔をFe、Fe−Ni系合金、ステンレスなどとしてエッチングすることができる。
【0015】
また、積層箔を引きはがしたときの金属箔側への金属中間層の残存形態は、例えば配線パターンを形成した場合、図4に示したように、金属箔上にのみ残存する場合がある。これは金属中間層と絶縁体との密着性のほうが弱接合層の強度より弱い場合に起こる。勿論弱接合層の強度を最も弱くすれば、絶縁体の上にも金属中間層を残存させることができる。何れの残存形態をとっても良い。
金属箔側へ残存した金属中間層は配線板の一部として用いるか、選択エッチングにより、金属箔をほとんどエッチングしない金属中間層のエッチング液を用いて除去する。或いは、平面研削など物理的手法により除去する方法もある。
配線板に残留させて用いる場合、金属中間層のNiやTiなどは拡散バリアとして使用しても良いし、金属中間層のAgやSnは接合を促進させる作用を有する。また、金属箔がCuまたはCuを主成分とする合金の場合、金属中間層としてのTi、Ag、Sn、Niは市販のめっき剥離剤で金属箔を過度にエッチングすることなく、除去することが可能である。
【0016】
また、弱接合層は酸素濃化層であることが好ましい。酸素濃化層は、脆弱であり、金属中間層内若しくは金属中間層と金属キャリアの界面に酸素濃化層を部分的に形成することができれば、引きはがし強度を制御しやすくなる。ここで、酸素濃化層とは、その他の金属中間層の部分と比べて酸素含有量が高い部分を指し、酸素含有量は光電子分光分析装置(ESCAともXPSとも称される)やオージェ電子分光分析装置(AESとも称される)により積層箔を表面よりドライエッチングによりスパッタして測定すると良い。具体的には、酸素含有量が他より10原子%以上高い酸素濃化層がより効果的に作用する。
【0017】
また、IVa族金属など活性であるため、酸素を吸収しやすく、大気中では表面に酸化数が4価の酸化物被膜をつくり安定化するが、雰囲気を制御し、成膜することで部分的に酸素濃化層を形成することが可能であり、引きはがし強さを調整することが容易となる。なかでも、TiまたはTiを主成分とする合金は、上述の如く様々なエッチング液のバリアとしても優れているため、金属中間層として、特に有効である。
【0018】
一方、金属箔は配線として用いられることが多く、金属箔の材料としては、配線材やリードフレーム材として一般に用いられているCuまたはCuを主成分とする合金やFe−Ni系合金などが好ましく、なかでも導電性の高いCuまたはCuを主成分とする合金が特に好ましい。ここで、Cuを主成分とする合金にはCu−Fe系合金、Cu−Fe−Co系合金、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Cr−Ti系合金、Cu−Cr−Zr系合金、Cu−Zr系合金などが挙げられる。
【0019】
金属キャリアの材料としては、 Cu、Al、Feまたは該金属の何れかを主成分とする合金などが良いが、再利用の観点からは、金属中間層としてTi、Ag、Sn、Niなどを使用すれば、上述のように市販のめっき剥離剤で除去できるため、CuまたはCuを主成分とする合金が好適である。
【0020】
積層箔の製造方法としては、めっき法で金属キャリアに金属中間層、金属箔と順次積み上げていく方法や、金属箔に金属中間層をめっき、または乾式成膜法で成膜したものと金属キャリアとの被接合面を真空漕内でイオンエッチングし、突き当てプレスまたはロール接合しても良いが、本発明の積層箔の製造方法のように、真空度を制御した雰囲気内で、金属箔の被接合面と金属キャリアの被接合面の少なくとも一方の面側に、搬送しながら、乾式成膜法により弱接合層を形成しつつ金属中間層となる金属を付着形成させた後、前記金属箔と金属キャリアとを圧着接合することが望ましい。
ここで、乾式成膜法とは、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法や化学的蒸着法を指す。特に真空蒸着は成膜速度が速く良い。また、スパッタやイオンプレーティングなどは膜質が良いが、成膜速度が遅いので、蒸着装置の設計等に考慮が必要である。
【0021】
本発明の積層箔の製造方法の重要な特徴は金属箔および金属キャリアを搬送しながら成膜することにある。即ち、蒸着源から被接合面までの距離を搬送中に変化させることができるため、同じ金属中間層であっても蒸発粒子が密な雰囲気と疎な雰囲気で成膜することができるため、膜に含まれる不純物量を部分的に変化させることが可能となり、弱接合層を任意の場所に形成可能である。
また、金属箔を帯材とすることでインラインで製造でき、製造上も有利である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明の用途である転写法に適したCu/Ti/Cuの積層箔を以下の工程にて作製した。
まず、金属箔の帯材として厚さ10μm、幅100mm、長さ5mの純Cu製の電解銅箔を用いた。また、金属キャリアの帯材として厚さ35μm、幅100mm、長さ5mの純Cu製の圧延銅箔を用いた。
各銅箔の片側の面にそれぞれ平均厚さ0.5μmとなるように、1×10‐ 2Paの真空度の真空漕内で蒸着材をTiとし、蒸着源より離れていくように搬送しながら、真空蒸着して金属中間層となるTiの金属層を、金属箔の帯材と金属キャリアの帯材との被接合表面に弱接合層を形成しつつ付着形成し、続いて金属箔の帯材と金属キャリアの帯材とのTi蒸着面同士を10m/minの速度で特別な加熱を行わず約1%の圧下率のロール圧延で圧着し、転写法用となる積層箔を得た。
【0023】
得られた転写法用積層箔は、図1のような断面形状を有する帯材である。
この転写法用積層箔について、光電子分光分析装置により表面から1.5nm/minのスパッタ速度でスパッタリングし、3min毎にCu、Ti、Oを定量分析した。その結果、Tiの金属中間層の中央には酸素含有量が他の部分より20原子%程度高い酸素濃化層が認められた。
また、転写法用積層箔をエッチングして、幅10mmの引きはがし試験片を作製し、毎分50mmの速度で180°引きはがし試験を行ったところ、0.5N/mmで弱接合層で剥れた。
【0024】
転写法用積層箔の金属箔に対して最小配線幅/間隔が50μm/50μmの配線が得られるように感光性レジストをラミネートし、露光・現像してマスクを形成後、塩化第二鉄を用いてスプレーエッチングにより配線を形成したところ、エッチングによる剥れもなく、良好な配線が得られた。そしてさらに、ガラスクロス入りのエポキシ樹脂のプリプレグに押し当てプレス成形した後、金属キャリアを引きはがしたところ、弱接合層で引きはがすことができた。その後、Tiをエッチングし、良好な配線板を得た。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、金属箔のエッチングバリアとなる界面と引きはがす界面が異なる積層箔を提供することで、転写法において生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層箔の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の積層箔の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の積層箔を用いた転写法の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の積層箔を引きはがした後の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1.金属箔、2.キャリア、3.金属中間層、4.積層箔、5.弱接合層、6.配線、7.絶縁体
Claims (6)
- 金属箔と金属キャリアとに挟まれた金属中間層を有する積層箔において、前記金属中間層は金属箔のエッチングに対してバリアとして機能することが可能であって、且つ前記金属中間層内または該金属中間層と前記金属キャリアとの界面には、前記金属箔と前記金属キャリアの間における引きはがし強度が 0.01 〜 0.8N/mm の範囲内にある弱接合層が形成されていることを特徴とする積層箔。
- 弱接合層が酸素濃化層であることを特徴とする請求項1に記載の積層箔。
- 金属箔がCuまたはCuを主成分とする合金でなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層箔。
- 金属中間層がTiを主成分としてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の積層箔。
- 金属キャリアがCuまたはCuを主成分とする合金でなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の積層箔。
- 真空槽内で、金属箔の被接合面と金属キャリアの被接合面の少なくとも一方の面側に、搬送しながら、乾式成膜法により、前記金属箔と前記金属キャリアの間における引きはがし強度が 0.01 〜 0.8N/mm の範囲内にある弱接合層を形成しつつ金属中間層となる金属を付着形成させた後、前記金属箔と金属キャリアとを圧着接合することを特徴とする積層箔の製造方法。
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