JP3593941B2 - レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークの溶接線上の加工点へ向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記ワークの前記加工点付近の部位を押圧しつつ前記溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを具えるレーザ溶接装置および、そのレーザ溶接装置を用いてステッチ溶接を行うのに好適なレーザ溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上述の如きレーザ溶接装置としては従来、例えば特開平8−90264号公報にて開示されたものが知られており、この装置では、溶接線上で、ローラの移動方向に対し前後方向かローラの側方かの何れかに加工点が位置するように、ローラをワーク上に配置し、その加工点にレーザビームを照射しつつ加工ヘッドを溶接線に沿って移動させてレーザ溶接を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の装置では、ローラの前後方向に加工点が位置するようにすると加工点からローラが離間してしまって加工点を充分に押圧することができないという不都合があり、その一方、ローラの側方に加工点が位置するようにすると重ね合わせ部の幅が狭いワークを加工ヘッドを移動させながら溶接する際にローラがワークから外れ易いという不都合がある。
【0004】
そこで、本願出願人は上記問題点を解決するレーザ溶接装置を先に特開平11−320153号公報にて開示しており、この装置は、ワークの加工点へ向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、ワークの加工点付近の部位を押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら加工ヘッドとともに移動するローラとを具え、その加工ヘッドがヘッド本体に固定される一方、上記ローラがローラ支持部材に回転可能に支持され、上記ヘッド本体に、溶接線に対し所定角度ずれた方向に進退移動される移動体が支持され、その移動体に、ワークへのローラの押圧方向へ延在する中心軸線を持つ回転軸が回転可能に設けられ、その回転軸に上記ローラ支持部材が、その回転軸の中心軸線に対して直交する平面上でその回転軸の中心軸線と交差しないオフセット位置にローラの中心軸線が位置する配置、すなわちそのローラ支持部材が車両のサスペンション装置でいういわゆるトレーリングアームを構成するような配置にて固定された構成となっている。
【0005】
かかる装置によれば、ローラの側方に加工点が位置するようにして加工点を充分に押圧しつつ加工ヘッドからのレーザービームでワークを仮止め溶接した後、移動体を溶接線に対し所定角度ずれた方向に前進移動させてローラを略溶接線上で加工点の加工ヘッド移動方向前方に位置させてから加工ヘッドとともにローラを移動させることで、先の仮止め溶接によりワークの重ね合わせ部を充分密着させることができるとともに、重ね合わせ部の幅が狭いワークに対してもローラが外れることなく所定長さの連続溶接を行うことができる。
【0006】
ところで、上記の装置について本願発明者がさらに研究を進めたところ、以下の改良点があることが判明した。すなわち、上記の装置では、ローラの向きが移動体およびヘッド本体の移動に追従して変化するように、ローラ支持部材が、回転軸の中心軸線と交差しないオフセット位置にローラの中心軸線が位置する配置で回転軸に固定されていて、その回転軸自体は自由に回転できるようにされていることからことから、ヘッド本体を移動させる時に慣性でローラ支部材ひいてはローラが予測できない位置に移動してしまうため、ワークの狭い溝内等の重ね合わせ部へも確実にローラを押し付け得るように、実際の溶接作業においては一旦ヘッド本体の姿勢を回転軸が傾斜する向きにして、ローラが自重で回転軸の下側の所定中立位置に移動してそこで安定するのを待ち、その後にヘッド本体の姿勢を回転軸が直立する向きにして溶接を開始するという工程を行っている。
【0007】
これがため上記の装置では、例えば図6に示す、ワークとしての車体1のルーフパネルとボディサイドパネルとをルーフサイド部2の10箇所の溶接部位W1〜W10でそれぞれ連続溶接する場合のように、ワークの多数の溶接部位について比較的短い所定長さの連続溶接を間隔をあけて繰り返すステッチ溶接を行って、溶接時間を短縮するとともにワークの熱変形を防止するために、加工ヘッドおよびローラをその多数の溶接部位に順次移動させる際に、図6に示すワークについての図7のタイムチャートに示すように、ローラの位置が安定するのを待つ待ち時間およびその後にローラの位置が変わらないようにゆっくりとワークに対しアプローチ移動させるアプローチ時間が累積されて、ワーク全体についての溶接時間がその部分で延びてしまうことから、その本来の溶接作業以外の理由で延長されている時間をなくすか、少なくとも減少させることができれば、ワーク全体の溶接時間を短縮できるということが判明した。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決した装置および方法を提供することを目的とするものであり、この発明のレーザ溶接装置は、ワークの加工点へ向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記ワークの前記加工点付近の部位を押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを具え、前記加工ヘッドがヘッド本体に固定され、前記ローラがローラ支持部材に回転可能に支持され、前記ヘッド本体に、前記溶接線に対し所定角度ずれた方向に進退移動される移動体が支持され、前記移動体に、前記ワークへの前記ローラの押圧方向へ延在する中心軸線を持つ回転軸が回転可能に設けられ、前記回転軸に前記ローラ支持部材が、その回転軸の中心軸線に対して直交する平面上でその回転軸の中心軸線と交差しない位置に前記ローラの中心軸線が位置する配置にて固定されているレーザ溶接装置において、前記ワークから離間している状態の前記ローラを所定の中立位置ヘ向けて附勢するローラ復帰手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
かかる装置にあっては、ローラがワークから離間している状態になる位置に加工ヘッドが位置している間に、ローラ復帰手段がローラを附勢して所定の中立位置に位置させる。
【0010】
次いで、移動体がヘッド本体に対し後退位置に配置されるとともに、ヘッド本体がロボット等の移動手段によって、加工ヘッドがワークの加工点へレーザビームを照射する位置に移動されて、移動体に回転軸およびローラ支持部材を介して支持されて上記所定中立位置に位置しているローラがワークの加工点に隣接する所定部位を押圧し、その押圧状態で加工ヘッドがワークの加工点へレーザビームを照射してワークを仮溶接し、次いで移動体が溶接線に対し所定角度ずれた方向に前進移動されて、回転軸の中心軸線に対し交差しないオフセット位置に中心軸線が位置しているためローラ支持部材がトレーリングアームとして機能し移動体に引っ張られるローラが、略溶接線上で加工点の加工ヘッド移動方向前方に位置してから、上記移動手段により加工ヘッドとともにローラが溶接線に沿って移動されて、加工ヘッドがレーザビームによりワークに溶接線に沿う所定長さの連続溶接を行う。
【0011】
そしてその後、ヘッド本体が次の加工点に向かうために上記移動手段によってワークから離間する方向へ移動されてローラがワークから離間している状態になると、ローラ復帰手段が再びローラを附勢して所定の中立位置に復帰させる。
【0012】
従ってこの装置によれば、加工点に隣接する部位をローラで押圧することで加工点を充分に押圧しつつ加工ヘッドからのレーザービームでワークを仮止め溶接し得てワークの重ね合わせ部を充分密着させることができるとともに、その後にローラを溶接線に沿って移動させ得て重ね合わせ部の幅が狭いワークに対してもローラが外れることなく所定長さの連続溶接を行うことができる。
【0013】
しかもこの装置によれば、ローラがワークから離間している状態になると、ローラ復帰手段が再びローラを附勢して所定の中立位置に復帰させるので、特に、比較的短い所定長さの連続溶接を間隔をあけて繰り返すステッチ溶接を行うために加工ヘッドおよびローラを多数の溶接部位に順次移動させる際、各溶接部位について、ローラの位置が安定するのを待つ待ち時間を不要とし得るとともにその後のワークに対するアプローチ移動も高速で行い得て、ワーク全体の溶接作業に要する時間を短縮することができる。
【0014】
さらにこの発明の装置においては、前記所定の中立位置は、前記ローラの中心軸線が前記移動体の前記進退移動方向に関して後方側で直角に延在する位置とする。このようにすることで、仮止め後に移動体を前進移動させる際にローラの向きが変わらないので、仮止め時およびその後の連続溶接時のローラの位置を加工ヘッドからのレーザービームに充分近づけることができる。
【0015】
なお、この発明の装置においては、前記ローラ復帰手段は、前記ワークを押圧している状態の前記ローラに前記ワークから加わる拘束力よりも小さい力で前記ローラを附勢するものであっても良く、かかる構成によれば、ローラを常時附勢していても、ローラがワークを押圧している状態になれば移動体や加工ヘッドの移動方向に追従してローラが移動するようにローラの向きが変化するので、ローラ復帰手段の構成を簡易なものとすることができる。
【0016】
ここで、前記ローラ復帰手段は、スプリングやゴム状弾性体等の弾性体によって前記ローラを附勢するものであっても良いが、磁石によって前記ローラを附勢するものであっても良く、かかる磁石を用いた構成によれば、弾性体を用いる場合と異なりローラの向きを被接触で変更し得るので、レーザの熱によるローラ復帰手段の劣化がなく、しかも例えば永久磁石を用いることで、ローラ復帰手段の構成をより簡易なものとすることができる。
【0017】
また、この発明のレーザ溶接方法は、上述したレーザ溶接装置を用いてステッチ溶接を行うに際し、前記ワークの一つの溶接部位についての溶接終了後、前記ローラによる前記ワークの押圧状態を解除し、前記ヘッド本体を移動手段によって次の溶接部位に移動させる間に、前記ローラ復帰手段によって前記ローラを前記中立位置に復帰させ、前記次の溶接部位へのヘッド本体の移動後に、再度前記ワークを前記ローラで押圧して溶接を行う、という工程を繰り返すことによりステッチ溶接を行うことを特徴とするものである。
【0018】
かかる方法によれば、一の溶接部位についての溶接終了後、前記ローラによる前記ワークの押圧状態を解除し、前記ヘッド本体をロボット等の移動手段によって次の溶接位置に移動させる間に、前記ローラ復帰手段によって前記ローラを前記中立位置に復帰させ、前記ヘッド本体の移動完了後に、再度前記ワークを前記ローラで押圧して溶接を行う、という工程を繰り返すことによりステッチ溶接を行うので、加工ヘッドおよびローラを多数の溶接部位に順次移動させる際、各溶接部位について、ローラの位置が安定するのを待つ待ち時間を不要とし得るとともにその後のワークに対するアプローチ移動も高速で行い得て、ワーク全体の溶接作業に要する時間を短縮することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1(a)は、この発明のレーザ溶接装置の一実施例を示す正面図であり、図1(b)および(c)は、その実施例の装置の左側面方向から見た断面図および背面図である。また図2は、その実施例の装置における移動体およびローラの動きを平面図にて示す略線図、図3はその実施例の装置におけるローラ復帰手段としてのスプリングの作用を図1(b)のA矢視方向に見た状態で示す説明図である。
【0020】
この実施例のレーザ溶接装置は、例えば図6に示す、ワークとしての車体1のルーフパネルとボディサイドパネルとをルーフサイド部2の10箇所の溶接部位W1〜W10でそれぞれ連続溶接する場合に用い得るもので、図1および図2に示すように、車体1のルーフサイド部2の上記溶接部位W1〜W10にそれぞれ設定された比較的短い所定長さの溶接線L上の加工点Pへ向けてレーザビームBを照射する加工ヘッド3と、車体1の上記加工点P付近の部位を押圧してその部位付近のルーフパネルとボディサイドパネルとの重ね合わせ部を密着させつつ上記溶接線Lに沿って回転しながら加工ヘッド3とともに移動するローラ4とを具えており、その加工ヘッド3は、図示しない工業用ロボットの手首部5に固定された逆L字状のブラケット6に直線移動を案内する直動ユニット7を介して図1の姿勢では上下方向へ進退移動可能に支持されたヘッド本体8に固定され、そのヘッド本体8は、例えばエアシリンダにより構成されてブラケット6に固設された加圧シリンダ9によって駆動されて進退移動する。
【0021】
そしてこの実施例のレーザ溶接装置では、上記ローラ4がそれ自身の中心軸線C1周りに回転可能にローラ支持部材10に支持される一方、上記ヘッド本体8に移動体11が、図2に示す如く溶接線Lに対し所定角度θだけずれた方向に進退移動可能に直動ユニット12を介して支持されており、その移動体11は、ヘッド本体8に固設された進退駆動モータ13の出力軸に設けられたピニオン13a と移動体11の背面に形成されたラック11a との噛合により、進退駆動モータ13で駆動されて上記溶接線Lに対し所定角度θだけずれた方向に進退移動される。なお、ここでは、直動ユニット12自体はブラケット6の前面に平行に移動するように設けられており、所定角度θは上記ロボットの手首部5の向きで達成される。
【0022】
さらにこの実施例のレーザ溶接装置では、上記移動体11に、車体1のルーフサイド部2へのローラ4の押圧方向すなわち図1の姿勢では上下方向へ延在する中心軸線C2を持つ回転軸14がその中心軸線C2周りに回転可能にベアリングを介して支持され、その回転軸14に上記ローラ支持部材10が、その回転軸14の中心軸線C2に対して直交する平面上でその回転軸14の中心軸線C2と交差しない、移動体11の進退移動方向に関してその中心軸線C2の後方側のオフセット位置にローラ4の中心軸線C1が位置する配置にて固定されており、これによりローラ支持部材10は、いわゆるトレーリングアームを構成し、ローラ4の向きが移動体11およびヘッド本体8の移動に追従して適宜変化するようにしている。
【0023】
そしてこの実施例のレーザ溶接装置では、車体1から離間している状態のローラ4を所定の中立位置ヘ向けて附勢する、ローラ復帰手段としての二本のスプリング、特に図示例では引っ張りスプリング15が、図3に示すように、回転軸14の中心軸線C2を間においた両側の位置にて、上記移動体11の下面に突設されたピン16と上記ローラ支持部材10との間にそれぞれ張り渡されており、この実施例におけるローラ4の上記中立位置は、図2に示す如き、ローラ4の中心軸線C1が移動体11の進退移動方向に関して後方側でその進退移動方向に対し直角に延在する位置(図3中では右側に示す状態)とされ、また上記二本の引っ張りスプリング15は、車体1を押圧している状態のローラ4に車体1から加わる摩擦による拘束力よりも小さい力で、ローラ4の向きを戻すようにローラ4を附勢するものとされている。
【0024】
かかる実施例のレーザ溶接装置によって車体1のルーフサイド部2をステッチ溶接するに際しては、先ず、ローラ4が車体1から離間している状態になる位置に加工ヘッド3が位置している間に、引っ張りスプリング15がローラ支持部材10を介してローラ4を附勢して、ローラ4を上記の中立位置に位置させる。
【0025】
次いで図1に示すように、移動体11が進退駆動モータ13の作動によってヘッド本体8に対し後退位置に配置されるとともに、ヘッド本体8が上記ロボットおよび加圧シリンダ9のピストンロッド進出作動によって、加工ヘッド3がルーフサイド部2の加工点PへレーザビームBを照射する位置に移動されて、移動体11に回転軸14およびローラ支持部材10を介して支持されて上記中立位置に位置しているローラ4が、ルーフサイド部2の加工点Pに隣接する所定部位を押圧することでその部位付近のルーフパネルとボディサイドパネルとの重ね合わせ部を密着させ、その押圧状態で加工ヘッド3が加工点PへレーザビームBを照射してルーフパネルとボディサイドパネルとを仮溶接する。
【0026】
次いで図2中仮想線で示すように、移動体11が進退駆動モータ13の上記と逆方向の作動によって、溶接線Lに対し所定角度θだけずれた矢印D方向に前進移動されて、回転軸14の中心軸線C2に対し交差しない後方側オフセット位置に中心軸線C1が位置しているためローラ支持部材10を介して移動体11に引っ張られるローラ4が、略溶接線L上で加工点Pに対し、矢印Eで示す加工ヘッド移動方向の前方に位置してから、上記ロボットの作動によりローラ4が加工ヘッド3とともに溶接線Lに沿って移動され、これにより、図3中の左側に示すように、引っ張りスプリング15を弾性変形させつつローラ4の向きがヘッド本体8の移動方向に変化し、ローラ4がルーフパネルとボディサイドパネルとの重ね合わせ部を密着させながら、その後方で加工ヘッド3がレーザビームBによりルーフサイド部2に、溶接線Lに沿う所定長さの連続溶接を行う。
【0027】
そしてその後、ヘッド本体8が、次の溶接部位の加工点Pに向かうために上記ロボットによって車体1から離間する方向へ移動されるとともに、加圧シリンダ9がピストンロッド後退作動して、ローラ4が、車体1から離間している状態になると、図3中の右側に示すように、引っ張りスプリング15が、上記弾性変形による反発力で再びローラ支持部材10を介してローラ4を附勢して、ローラ4を上記中立位置に復帰させる。
【0028】
従ってこの実施例のレーザ溶接装置によれば、ルーフサイド部2の重ね合わせ部の加工点Pに隣接する部位をローラ4で押圧することで加工点Pを充分に押圧しつつ加工ヘッド3からのレーザービームBでその重ね合わせ部を仮止め溶接し得てその重ね合わせ部を充分密着させることができるとともに、その後にローラ4を溶接線Lに沿って移動させ得て上記の如き重ね合わせ部の幅が狭いルーフサイド部2に対してもローラ4がその重ね合わせ部から外れることなく所定長さの連続溶接を行うことができる。
【0029】
しかもこの実施例のレーザ溶接装置によれば、上記中立位置が、図2に示す如き、ローラ4の中心軸線C1が移動体11の進退移動方向に関して後方側でその進退移動方向に直角に延在する位置とされていることから、仮止め後に移動体11を前進移動させる際にローラ4の向きが変わらないので、仮止め時およびその後の連続溶接時のローラ4の位置を加工ヘッド3からのレーザービームBに充分近づけることができる。
【0030】
さらにこの実施例のレーザ溶接装置によれば、ローラ復帰手段が、車体1を押圧している状態のローラ4に車体1から加わる拘束力よりも小さい力でローラ4を附勢するようにされていることから、ローラ4を常時附勢していても、ローラ4が車体1を押圧している状態になれば移動体11や加工ヘッド3の移動方向に追従してローラ4が移動するようにローラ4の向きが変化するので、ローラ復帰手段を、上記引っ張りスプリング15のような弾性体や、後述する磁石によって簡易に構成することができる。
【0031】
次に、この発明のレーザ溶接方法の一実施例について説明する。この実施例の方法では、上記実施例のレーザ溶接装置を用いてステッチ溶接を行うに際し、車体1のルーフサイド部2の一つの溶接部位、例えばW1についての溶接終了後、加圧シリンダ9のピストンロッド後退作動によってローラ4による車体1の押圧状態を解除し、ヘッド本体8を上記ロボットの作動によって次の溶接部位、例えばW2に移動させる間に、引っ張りスプリング15によってローラ4を上記中立位置に復帰させ、上記次の溶接部位、例えばW2へのヘッド本体8の移動後に、加圧シリンダ9のピストンロッド進出作動によって再度車体1をローラ4で押圧して溶接を行う、という工程を繰り返すことにより、車体1のルーフサイド部2の溶接部位W1〜W10に対してステッチ溶接を行う。
【0032】
かかる実施例の方法によれば、加工ヘッド3およびローラ4を溶接部位W1〜W10に順次移動させる際、図4に示すように、溶接部位W1〜W10の各々について、ローラ4の位置が安定するのを待つ待ち時間を不要とし得るとともにその後のルーフサイド部2に対するアプローチ移動も高速で行い得て、車体1のルーフサイド部2全体の溶接作業に要する時間を、図7に示す従来装置の場合と比較して大幅に、すなわち概ね4割短縮することができる。
【0033】
図5は、この発明のレーザ溶接装置の他の実施例を示す、図3と同様の説明図であり、この実施例のレーザ溶接装置は、ローラ復帰手段が二組の互いに対向して反発しあう永久磁石17,18によって構成されている点以外は、先の実施例と同様に構成されている。なお、鉄鋼製の移動体11に埋設された永久磁石17は、アルミニウム合金製のローラ支持部材10に埋設された永久磁石18よりも大きなものとされるとともに、その永久磁石18よりも若干内側にオフセットされている。
【0034】
かかる永久磁石17,18によってローラ復帰手段が構成された実施例の装置によれば、先の実施例と同様の作用効果が得られるのに加えて、ローラ復帰手段に弾性体を用いる場合と異なりローラ4の向きを被接触で変更し得るので、レーザビームBの熱によるローラ復帰手段の劣化がなく、しかもローラ復帰手段の構成をより簡易なものとすることができる。
【0035】
そしてこの実施例では、ローラ支持部材10が軽量のアルミニウム合金で形成されるとともにそこに埋設された永久磁石18が比較的小型軽量のものとされているので、移動体11や加工ヘッド3の移動方向に追従する際のローラ4の回頭性を良好ならしめることができ、また、その鉄鋼製の移動体11に埋設された永久磁石17が永久磁石18よりも大きなものとされるとともに永久磁石18よりも若干内側にオフセットされているので、図5中左側に示すようにローラ4の向きが変化しても常に永久磁石18を、逆の極性に磁化され易い移動体11でなく永久磁石17に対向させ得て、ローラ4を中立位置へ附勢する反発力を確実に得ることができる。
【0036】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、先の実施例において、引っ張りスプリング15に変えて、圧縮スプリングやゴム状弾性体を用いることもでき、また後の実施例において、永久磁石に変えて電磁石を用い、ローラ4が車体1から離間している間のみ、その電磁石に通電してローラ4を所定中立位置に復帰させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明のレーザ溶接装置の一実施例を示す正面図であり、(b)および(c)はその実施例の装置の左側面方向から見た断面図および背面図である。
【図2】上記実施例の装置における移動体およびローラの動きを平面図にて示す略線図である。
【図3】上記実施例の装置におけるローラ復帰手段としてのスプリングの作用を図1(b)のA矢視方向に見た状態で示す説明図である。
【図4】上記実施例の装置を用いたこの発明のレーザ溶接方法の一実施例における溶接時間を示すタイムチャートである。
【図5】この発明のレーザ溶接装置の他の実施例を示す、図3と同様の説明図である。
【図6】レーザ溶接を行うワークの一例としての車体およびその溶接部位を斜視図にて示す説明図である。
【図7】従来の装置を用いた場合の溶接時間を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 車体
2 ルーフサイド部
3 加工ヘッド
4 ローラ
5 手首部
6 ブラケット
7,12 直動ユニット
8 ヘッド本体
9 加圧シリンダ
10 ローラ支持部材
11 移動体
11a ラック
13 進退駆動モータ
13a ピニオン
14 回転軸
15 引っ張りスプリング
16 ピン
17,18 永久磁石
B レーザビーム
C1 ローラ中心軸線
C2 回転軸中心軸線
L 溶接線
P 加工点
W1〜W10 溶接部位
Claims (4)
- ワークの溶接線上の加工点へ向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記ワークの前記加工点付近の部位を押圧しつつ前記溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを具え、
前記加工ヘッドがヘッド本体に固定され、
前記ローラがローラ支持部材に回転可能に支持され、
前記ヘッド本体に、前記溶接線に対し所定角度ずれた方向に進退移動される移動体が支持され、
前記移動体に、前記ワークへの前記ローラの押圧方向へ延在する中心軸線を持つ回転軸が回転可能に設けられ、
前記回転軸に前記ローラ支持部材が、その回転軸の中心軸線に対して直交する平面上でその回転軸の中心軸線と交差しない位置に前記ローラの中心軸線が位置する配置にて固定されているレーザ溶接装置において、
前記ワークから離間している状態の前記ローラを所定の中立位置ヘ向けて附勢するローラ復帰手段を設け、
前記所定の中立位置は、前記ローラの中心軸線が前記移動体の前記進退移動方向に関して後方側で直角に延在する位置とすることを特徴とする、レーザ溶接装置。 - 前記ローラ復帰手段は、前記ワークを押圧している状態の前記ローラに前記ワークから加わる拘束力よりも小さい力で前記ローラを附勢するものであることを特徴とする、請求項1記載のレーザ溶接装置。
- 前記ローラ復帰手段は、磁石によって前記ローラを附勢するものであることを特徴とする、請求項2記載のレーザ溶接装置。
- 請求項1から請求項3までの何れか記載のレーザ溶接装置を用いてステッチ溶接を行うに際し、
前記ワークの一つの溶接部位についての溶接終了後、前記ローラによる前記ワークの押圧状態を解除し、前記ヘッド本体を移動手段によって次の溶接部位に移動させる間に、前記ローラ復帰手段によって前記ローラを前記中立位置に復帰させ、
前記次の溶接部位へのヘッド本体の移動後に、再度前記ワークを前記ローラで押圧して溶接を行う、
という工程を繰り返すことによりステッチ溶接を行うことを特徴とする、レーザ溶接方法。
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