JP3593848B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録体ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関し、特に耐水性と記録走行性に優れた感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用し、熱により両発色物質を接触させて記録像を得るようにした感熱記録体は良く知られている。かかる感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで、かつその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種計算機等の記録媒体としてのみならず感熱ラベル等巾広い分野において使用されている。
なかでも、優れた記録画像が要望される医療用、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用あるいは製図用等の用途に使用するためにサーマルヘッドで直接記録することのできる感熱記録体の需要が高まっている。かかる感熱記録体は、記録画質を高めるために高平滑な支持体が使用される。そのため、記録時にサーマルヘッドと記録体表面との間でスティッキングが発生するなどの記録走行性に問題がある。
【0003】
記録走行性を高めるために、保護層中にエポキシ変性シリコーンオイルを含有させた感熱記録体が特開平3−67688号公報に記載され、また記録像の保存性を高めるために、保護層中に成膜性を有する接着剤として(メタ)アクリルアミドをシード重合させて得られた疎水性樹脂または平均分子量が1000万以上のアクリル系樹脂を用いた感熱記録体がそれぞれ特開平5−6965号公報と特開平6−191158号公報に記載されているが、記録走行性および耐水性に充分な効果が得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐水性と記録走行性に優れた感熱記録体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
支持体上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層、および保護層を順次設けた感熱記録体において、上記の課題を解決するための一つの手段として、本発明は、保護層中に単量体として少なくとも(メタ)アクリルアミドをシード重合させて得られた疎水性樹脂または平均分子量が500万以上のアクリル系の疎水性樹脂を含有させ、さらにエポキシ変性シリコーンオイルを保護層の全固形量に対して1〜10重量%含有させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層、および保護層を順次設けた感熱記録体において、保護層中に単量体として少なくとも(メタ)アクリルアミドをシード重合させて得られた疎水性樹脂(以下、特定のシード重合樹脂と称する)または平均分子量が500万以上のアクリル系の疎水性樹脂(以下、特定のアクリル樹脂と称する)を含有させ、さらにエポキシ変性シリコーンオイルを保護層の全固形量に対して1〜10重量%含有させることを特徴とし、エポキシ変性シリコーンオイルが保護層の全固形量に対して1重量%未満になると記録時にサーマルヘッドと保護層との間でスティッキングが発生して記録走行性が低下し、また10重量%を越えると、記録像の耐可塑剤性、耐油性が低下する恐れがあり、特に1〜5重量%程度が好ましい。
【0007】
保護層中に含有される特定のシード重合樹脂は、あらかじめ乳化重合された微小粒子(0.5〜3.0×10−8m)、即ちシード粒子の回りに少なくとも単量体として(メタ)アクリルアミドを重合させたラテックスを乾燥することにより得られる。
【0008】
乳化重合して得られるシード粒子としては、例えば(メタ)アクリルエステル系、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル系、(メタ)アクリロニトリル系、スチレン・ブタジエン系、(メタ)アクリロニトリル・ブタジエン系、(メタ)アクリル酸エステル・ブタジエン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系等疎水性高分子からなる微小粒子等が挙げられる。かかるシード粒子は、単独で或いは二種以上併用することもできる。なかでも、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル系が安価で、しかも安定なシード重合された疎水性樹脂が得られるので好ましい。
【0009】
シード粒子の周りにシード重合される単量体としては少なくとも(メタ)アクリルアミドを使用するものであるが、本発明の所望の効果を損なわないかぎりにおいて、(メタ)アクリルアミドと共重合が可能な他の単量体を併用することもできる。かかる単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−(N−メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有単量体類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体類、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のN−置換不飽和カルボン酸アミド等が挙げられる。なかでも、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロール基、グリシジル基等の官能基を有する不飽和単量体が好ましく用いられる。
【0010】
本発明における(メタ)アクリルアミドの使用量は、シード粒子の固形分100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは10〜100重量部である。アクリルアミドの使用量が5重量部未満では充分な耐熱性及び耐溶剤性が得られず、また500重量部を越えると耐水性の低下する恐れと、特定のシード重合ラテックスの粘度が著しく増大して均一な保護層が得られない恐れがある。
【0011】
また、特定のアクリル樹脂の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定できるが、平均分子量が1000万を越えると、その測定値が不明瞭になる恐れがあり、平均分子量が1000万を越える特定のアクリル樹脂に対してはその平均分子量を1000万以上とする。
【0012】
特定のアクリル樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸を含む単量体を、酸素濃度が0.5%重亜硫酸ソーダ水溶液の酸素濃度より低い条件下にて乳化重合することにより、ラテックス状態の接着剤として得られる。
【0013】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0014】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0015】
その他、特定のアクリル樹脂には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、単量体として、例えばアクリルニトリル、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドを乳化重合中に添加することもできる。なかでも、アクリルニトリルが好ましい。
【0016】
各単量体の使用割合は、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、エチレン性不飽和カルボン酸1〜30重量部程度が好ましい。
【0017】
また、乳化重合する際には、アニオン系またはノニオン系の乳化剤、およびレドックス重合開始剤が使用される。乳化剤の使用量としては、全単量体に対して0.5〜5.0重量%程度である。また、レドックス重合開始剤の使用量としては、全単量体に対して0.01〜0.1重量%程度である。
【0018】
特定のシード重合樹脂または特定のアクリル樹脂と併用されるエポキシ変性シリコーンオイルは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などの低級アルキルシリル基を有するシリコーン化合物の末端、或いは側鎖にエポキシ基が導入されたシリコーンオイルを乳化剤によりエマルジョン化されたものが使用される。
【0019】
保護層中の特定のシード重合樹脂または特定のアクリル樹脂の含有率は特に限定されないが、保護層の全固形量に対し30〜99重量%、好ましくは50〜95重量%程度である。更に、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、各種公知の他の水性樹脂の併用も可能で、かかる他の水性樹脂の具体例としては、例えばデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス等が挙げられる。
【0020】
更に、保護層には必要により、下記の助剤を添加することもできる。かかる助剤の具体例としては、例えば軽質(重質)炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、無定形シリカ等の顔料、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸アミド、カルナバロウ等の滑剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアリキルリン酸エステルの塩(カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩)等の界面活性剤、および消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。なかでも、アリキルリン酸エステルの塩、好ましくは炭素数8〜24のアリキルリン酸エステルの塩を保護層に対して0.1〜5重量%添加することによりバーズアイのない均一の保護層が形成される。
【0021】
保護層は、水を分散媒体として、特定のシード重合樹脂ラテックスまたは特定のアクリル樹脂ラテックスと、エポキシ変性シリコーンオイルエマルジョン、および必要により助剤とを混合攪拌して得られた保護層用塗液を感熱記録層上に塗布乾燥して形成される。
【0022】
支持体上に形成される感熱記録層には、ロイコ染料および呈色剤として、各種公知のものが使用できる。かかるロイコ染料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチル)アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(n−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアニリノ)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等。
【0023】
勿論、これらのロイコ染料に限定されるものではなく、二種以上を併用することもできる。これらのロイコ染料の使用量は、感熱記録層に対して5〜40重量%程度である。
【0024】
呈色剤としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビ〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、N−(p−トリルスルホニル)カルバモイル酸p−べンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トリル)−p−トリルスルホアミド、N−(p−トリルスルホニル)−N’−(p−トリル)尿素、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SO2 NH−結合を有するもの、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛等が例示される。
【0025】
ロイコ染料と呈色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、ロイコ染料1重量部に対して1〜7重量部、好ましくは1〜4重量部程度の呈色剤が使用される。
【0026】
感熱記録層には、更に記録像の保存性を高めのに保存性改良剤、或いは記録感度を高めるのに増感剤を使用することもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0027】
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
これらの増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に呈色剤1重量部に対して4重量部以下で調節するのが望ましい。
【0028】
感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの撹件・粉砕機によりロイコ染料、呈色剤、および必要により増感剤、保存性改良剤等とをー緒にまたは別々に微分散した後、接着剤などを添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体上に塗布乾燥して形成される。
【0029】
接着剤の具体例としては、例えば上記の特定の疎水性樹脂、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン系ラテックス、ポリエステルポリウレタン系ラテックス、アクリル系ラテックス等が挙げられる。
接着剤の使用量としては、感熱記録層の全固形分に対して5〜30重量%程度が好ましい。
【0030】
また、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばカオリン、炭酸カルシウム、無定形シリカ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の滑剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、グリオキサール、ホウ酸、ホウ砂、エピクロヒドリン−ポリアミド樹脂等の耐水化剤、その他消泡剤、着色染料等が挙げられる。
【0031】
感熱記録層および保護層の形成方法については特に限定されず、例えばバーコーティング、グラビアコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により感熱記録層用塗液を支持体上に塗布・乾燥した後、更に保護層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥して感熱記録層および保護層が形成される。なお、支持体としては、上質紙、プラスチックフィルム、合成紙、不織布、金属蒸着物等のうちから適宜選択して使用される。また、感熱記録層用塗液の塗布量は乾燥重量で2〜12g/m2 、好ましくは3〜10g/m2 程度、保護層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.5〜10g/m2 、好ましくは1.0〜6g/m2 程度である。
【0032】
また、必要に応じて感熱記録層および保護層の形成後スーパーキャレンダーなどで平滑化処理をしたり、感熱記録体の裏面に導電処理を施したり、感熱記録体裏面に粘着剤処理を施し粘着ラベルに加工するなど、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が付加され得るものである。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお例中の「部」及び「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0034】
実施例1
▲1▼ A液調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30部、、メチルセルロースの5%水溶液10部および水60部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで粉砕した。
【0035】
▲2▼ B液調製
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン30部、メチルセルロースの5%水溶液10部および水60部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで粉砕した。
【0036】
▲3▼ 感熱記録層塗液の調製
A液60部、B液100部、固形濃度20%のコロイダルシリカ(平均粒子径10nm)25部、固形濃度50%のスチレン・ブタジエン系ラテックス60部、ステアリン酸アミドの20%分散液50部、ジオクチルスルホコハク酸ソーダの5%水溶液5部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を調製した。
【0037】
▲4▼ 保護層用塗液の調製
スチレン60部、アクリル酸−2−エチルヘキシル38部およびアクリル酸2部とからなる単量体を乳化共重合させたシード粒子(粒子径、約2×10−8m)に、アクリルアミド10部、メタクリルアミド10部とをシード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部、カオリン(商品名:UW90、エンゲルハード社製)の60%分散液15部、固形濃度30%のエポキシ変性シリコーンオイルエマルジョン10部、ステアリルリン酸カリウムの10%水溶液30部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液15部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの5%水溶液10部および水20部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を調製した。
【0038】
▲5▼ 感熱記録体の作製
60W・分/m2 のエネルギーでコロナ処理した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上にグラビアコーティング方法により、乾燥後の塗被量が8g/m2 となるように感熱記録層用塗液を塗布乾燥して感熱記録層を設けた。次に、感熱記録層上にバーコティング方法により、乾燥後の塗被量が4g/m2 となるように保護層用塗液を塗布乾燥して保護層を設けた後、スーパーキャレンダー処理して感熱記録体を得た。
【0039】
実施例1の保護層用塗液の調製において、アクリル酸−2−エチルヘキシル38部の代わりにブチルアクリレート38部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0040】
実施例3
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりにシード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス200部およびアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの10%水溶液100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0041】
実施例4
実施例1の保護層用塗液の調製において、ステアリルリン酸カリウムの10%水溶液30部の代わりにステアリン酸カリウムの5%水溶液60部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0042】
実施例5
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりに平均分子量が1000万以上の疎水性アクリル樹脂(商品名:ポリゾールAM2250、固形濃度30%、昭和高分子社製)ラテックス170部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0043】
実施例6
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりに平均分子量が570万の疎水性アクリル樹脂ラテックス(固形濃度30%)250部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0044】
比較例1
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりに固形濃度48%のスチレン・ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭化成工業社製)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0045】
比較例2
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりにポリビニルアルコールとポリアクリルアミドとのグラフト重合体の15%水溶液330部を以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0046】
比較例3
実施例1の保護層用塗液の調製において、固形濃度30%のエポキシ変性シリコーンオイルエマルジョン10部の代わりにステアリン酸亜鉛の30%分散液10部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0047】
比較例4
実施例1の保護層用塗液の調製において、固形濃度30%のエポキシ変性シリコーンオイルエマルジョン10部を2部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0048】
比較例5
実施例1の保護層用塗液の調製において、固形濃度30%のエポキシ変性シリコーンオイルエマルジョン10部を27部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0049】
比較例6
実施例1の保護層用塗液の調製において、シード重合させて得られた固形濃度20%のラテックス250部の代わりに平均分子量が38万の疎水性アクリル樹脂ラテックス(固形濃度30%)250部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0050】
かくして得られた各感熱記録体について以下の評価試験を行い、その結果を表1に示した。
〔記録濃度〕
感熱プリンター(商品名:SCT−P−65、三菱電機社製)で記録を行い、得られた記録像の透過濃度をマクベス濃度計(商品名:TD904、マクベス社製)にて測定した。
【0051】
〔感熱記録体の透明性(ヘイズ値)〕
ヘイズメーター(商品名:TC−H IV型、東京電色社製)を用い測定した。
【0052】
〔耐スティッキング性(記録時の走行性)〕
感熱プリンター(商品名:SCT−P−65、三菱電機社製)で記録する際に記録画像の長さ(mm)と発生するスティッキング音の強さを判定した。
〔評価基準〕
◎:スティッキングの音が静かで滑り性も良い。
○:スティッキングの音がかなり静かで滑り性も良い。
△:スティッキングの音が少しうるさく滑り性も少し悪い。
×:スティッキングの音がうるさく滑り性も悪い。
【0053】
〔耐水ブロッキング性〕
感熱記録体上に水を1滴滴下し、1分後拭き取った際の記録体表面を観察した。
〔評価基準〕
◎:変化なし。
○:少し保護層の白化現象が見られる。
△:保護層が少し膨潤し記録体から一部脱離した。
×:保護層が膨潤し記録体から完全に脱離した。
【0054】
〔耐可塑剤性〕
ポリプロピレンパイプ(40mmφ)上に塩化ビニリデンラップフィルム〔商品名:KMA−W、三井東圧化学社製〕を3重に巻き付け、その上に上記の〔記録感度〕の評価試験で記録された感熱記録体の記録面が外側になるように置いて、更にその上からラップフィルムを3重に巻き付け、室温で1日放置した後、記録像の透過濃度をマクベス濃度計(商品名:TD904、マクベス社製)にて測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
表1の結果から明らかなように、本発明の感熱記録体は耐水ブロッキング性と記録時の走行性に優れた感熱記録体であった。
Claims (2)
- 支持体上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層、および保護層を順次設けた感熱記録体において、保護層中に、単量体として少なくとも(メタ)アクリルアミドをシード重合させて得られた疎水性樹脂または平均分子量が500万以上のアクリル系の疎水性樹脂を含有させ、さらにエポキシ変性シリコーンオイルを保護層の全固形量に対して1〜10重量%含有させたことを特徴とする感熱記録体。
- 更に、保護層中にアルキルリン酸エステル塩を含有させた請求項1記載の感熱記録体。
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