JP3593047B2 - 減圧弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集合住宅ビル等の戸別給水用の減圧弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の減圧弁は配管施工後、配管の耐圧試験が義務付けられている。
この耐圧試験は、配管全体に試験圧力をかけて漏水などの異常の有無を確認するため、配管路中の減圧弁が機能しない様に、減圧弁にバイパス管を並列配管したり、試験時のみ減圧弁を取外して代用管を取り付け、試験後は、バイパス管を撤去したり、代用管を減圧弁に交換するなどの作業を必要としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の様な耐圧試験前後の作業は、手間、時間を要するので、この作業の簡便化が切望されていた。
本発明は、バイパス管や代用管を使用せず、減圧弁を配管に取り付けた状態で耐圧試験を実施可能にすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑み、減圧弁において、二次側圧力室の圧力変動に応じて弁体の開度を制御する減圧機構部に設けた圧力検出室と二次側圧力室とが連通した圧力検出流路に、一端が外部に開口した外方開口部を設けると共に、一次側圧力室へ通ずる連通口を設けた開通路を連続形成し、耐圧試験に際しては、圧力検出流路において圧力検出室に臨む第一の流通口を閉塞すると共に、二次側圧力室に臨む第二の流通口と前記連通口とを内部を貫通した直通路を介して連通させる迂路構成栓で開通路の外方開口部を密栓することにより、圧力検出室と二次側圧力室との流通を遮断して減圧機能を作用させず、減圧弁の弁体を開弁させて一次側と二次側を通水可能な連通状態と成すと共に、直通路によって一次側圧力室と二次側圧力室との迂路を構成し、例え耐圧試験時に減圧弁の一次側に高圧が作用して弁体が閉弁しても一次側圧力室から二次側圧力室への通水が維持できる様にする。
又、耐圧試験後に際しては、上記連通口のみを閉塞して上記第一の流通口と第二の流通口とを連通させる減圧機能栓で開通路の外方開口部を密栓することにより、圧力検出室と二次側圧力室のみを連通させて減圧機能を作用させる様にして、上記課題を解決する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜6に本発明に係る減圧弁1の内部構造の断面図を示す。この減圧弁1は、一次側圧力室2と二次側圧力室3を設けた弁箱4と、該弁箱4に組み込まれ、二次側圧力室3の圧力変動に応じて弁体5の開度を制御する減圧機構部6と、二次側圧力室3の圧力を検出する減圧機構部6の圧力検出室7と二次側圧力室3とを連通、又は圧力検出室7と二次側圧力室3とを不通とし、一次側圧力室2と二次側圧力室3とを結ぶ迂路Xを構成する様にした流路変更手段8とから構成されている。
【0006】
弁箱4は、その左右側方に流入口9及び流出口10の夫々を開設すると共に、内部に流入口9及び流出口10に通ずる一次側圧力室2と二次側圧力室3を夫々設けている。
弁箱4の中央には、一次側圧力室2と二次側圧力室3を上下に区画した隔壁11を設け、該隔壁11に弁口12を開設して両圧力室2、3を連通している。
流出口9から連続する一次側流路13中には、弁箱4外部から手動操作する止水栓14及び着脱自在なストレナー15を直交配置しており、このため一次側流路13に対応する弁箱4外壁には、ストレナー15の装填口16が開設され、該装填口16にストレナーキャップ17をOリングで以て水密状に螺着している。
止水栓14の弁口18は、一次側流路13との直交部位に設けられ、この弁口18において一次側圧力室2側に止水栓14の弁座19を設けている。
止水栓14を貫通して一次側流路13を直交する弁棒20は、その一端にネジ部21を設け、該ネジ部21を弁箱4において装填口16の反対壁面に螺着しており、弁棒20の他端は、ストレナーキャップ17の中心をOリングで以て水密状に挿通している。
又、ストレナー15は所定メッシュの円筒状に形成され、弁座19周囲の環状凹部とストレナーキャップ17間に介装している。
そして、通常、止水栓14は弁座19より離間した状態が保持され、その弁口18を通して一次側流路13と一次側圧力室2とが連通しており、ストレナー15の清掃又は交換時に、ストレナーキャップ17を挿通している弁棒20の他端を回転させて止水栓で弁口18を閉塞し、ストレナーキャップ17及びストレナー15を外す様に成している。
【0007】
減圧機構部6は、弁箱4上部に設けた略円形状の凹部22と、漏斗状のボンネット23とをダイヤフラム24を介して接合固定し、該ダイヤフラム24で区画した上方空間(ボンネット23内部)に調節ばね25を配設し、又下方(凹部22内部)空間を圧力検出室7と成している。
調節ばね25は、ダイヤフラム24上面に接合したダイヤフラム押さえと兼用のばね受け26と、該ばね受け26と上方で対向配置したばね受け27との間に圧縮介装している。
上方のばね受け27は、相互に平行な端面27aを左右に設けて成り、ばね受け27の中心部をボンネット23の上端より挿入した調節ねじ28の下方に螺着しており、該調節ねじ28において、ボンネット23上端より上方突出した突端には、ロックナット29を螺着している。
尚、ボンネット23の上端内側面には、調節ねじ28を螺入した雌ねじリング30を固着し、該リング30の接合面に設けたOリングでボンネット23上端の調節ねじ28挿入口をシールしている。
又、ボンネット23にはその左右壁面を上下に渡って内側へ窪ませて垂直な案内面23aを設けており、該案内面23aにばね受け27の左右端面27aを摺動自在に当接してばね受け27を回転不能と成し、ロックナット29を外した調節ねじ28を回転させることにより、ばね受け27を上下動する様に成し、この上下移動により調節ばね25の弾性力を調整している。
【0008】
圧力検出室7は、その底部中央(弁箱4上部の弁口12との対応部位に相当)に円形状の開口部31を設けて一次側圧力室2に連通し、この開口部31に下方連続して所定長さの筒状部32を設けている。
又、ダイヤフラム24の中心には、筒状部32及び弁口12を挿通した弁棒33を垂下形成し、該弁棒33の下端には、弁口12を開閉する弁体5を設けている。
【0009】
弁体5は一次側圧力を開弁方向に受ける様に、弁口12の周囲に設けた弁座34に着離自在に設けて成り、ダイヤフラム24の変位により、開度が制御される様に成している。
又、弁棒33の中途部位には、筒状部32の内壁を摺動するピストン35を外方突設し、該ピストン35にはOリング36を周設し、一次側圧力室2と圧力検出室7とを水密状に区画している。
ダイヤフラム24の下面に接合したダイヤフラム押さえ37は、開口部31より大径に形成し、ダイヤフラム24が最下限に変位した状態で、このダイヤフラム押さえ37が開口部31を閉塞する様にその周縁に着座し、かかる状態での弁体5のリフトを規制している。
【0010】
そして、圧力検出室7と二次側圧力室3との隔壁(凹部22底部)11aには、圧力検出室7から下方へ延びる竪穴38aと、該竪穴38aに先端が連続して、且つ弁箱4の流入出口(図1の左右)方向に対し直交配置させた横穴38bと、該横穴38bの基端が拡径形成されてその下部が二次側圧力室3へ通ずる拡径部38cとから成る圧力検出流路38を設け、該圧力検出流路38を介して両室3、7を連通させている。
又、上記隔壁11aにあっては、横穴38bと同一軸線上でその基端の拡径部38cに先端が連続すると共に、基端が弁箱4外部に開口した開通路39を形成しており、該開通路39は、その先端を拡径部38cより若干小径に形成すると共に、その内周に雌ねじを螺刻して雌ねじ部39aと成し、該雌ねじ部39aに続きこれより若干大径な中口径部39bを形成し、該中口径部39bより更に大径な大口径部39c、及び大口径部39cより更に大径な外方開口部39dを順次に連続形成して成り、中口径部39bには、一次側圧力室2と二次側圧力室3との隔壁11を貫いて一次側圧力室2へ通ずる連通口40を設けている(図1、4参照)。
そして、圧力検出流路38と、これの横穴38bと同一軸線上で連続する開通路39と、該開通路39の外方開口部39dを密栓する流路変更プラグ41とにより、流路変更手段8を構成している。
【0011】
流路変更プラグ41は、外方開口部39dを閉塞する円柱状の持ち手部41aを共有する迂路構成栓42と減圧機能栓43とを略棒状に一体形成している。
迂路構成栓42は、持ち手部41a端面から拡径部38cを経て横穴38bの中途部位(圧力検出流路38において圧力検出室7に臨む第一の流通口M1)まで至る長さを有し、先端部42aを横穴38bの口径に対応形成すると共に、先端部42aより続く雌ねじ部39aとの対応部位に雄ねじ部42bを形成し、雄ねじ部42bに続いて中口径部39bから大口径部39cの中途に渡って対応する部位に中口径部39bより小径な括れ部42cを形成し、括れ部42cから持ち手部41a間に大口径部39cと略同径な大径部42dを形成している。
又、迂路構成栓42は、その先端部42aにおける拡径部38cの対応部位と括れ部42cとの間で内部(迂路構成栓42本体)を貫通したトンネル状の直通路44を設け、先端部42aにおいて第一の流通口M1を閉塞する部位と大径部42d適所にはOリング溝を夫々設け、これらの溝の夫々にOリング45を装着している。
そして、雌ねじ部39aに雄ねじ部42bを螺着して外方開口部39dを迂路構成栓42で密栓することにより、第一の流通口M1を先端部42aが閉塞して圧力検出室7と二次側圧力室3との流通を遮断し、減圧機能部6が機能しない様に成すと共に、圧力検出流路38において二次側圧力室3に臨む第二の流通口(二次側圧力室3へ通ずる拡径部38cの下方開口部)M2と、一次側圧力室3に通ずる連通口40とを直通路44を介して連通し、一次側圧力室2から二次側圧力室3への迂路Xを構成している(図2、5参照)。
【0012】
減圧機能栓43は、持ち手部41a端面から雌ねじ部39aまで至る長さを有し、先端に雌ねじ部39aと対応する雄ねじ部43aを形成し、該雄ねじ部43aに続いて中口径部39bから大口径部39cの中途に至る対応部位に中口径部39bと略同径な小径部43bを形成し、該小径部43bから持ち手部41a間に大口径部39cと略同径な大径部43cを形成しており、連通口40の前後に対応した小径部43bと大径部43cの適所にOリング溝を夫々設け、これらの溝の夫々にOリング45を装着している。
そして、雌ねじ部39aに雄ねじ部43aを螺着して外方開口部39dを減圧機能栓43で密栓することにより、一次側圧力室2との連通口40を閉塞すると共に第一及び第二の流通口M1、M2を連通させ、該第一及び第二の連通口M1、M2が通ずる圧力検出流路38を通して圧力検出室7と二次側圧力室3とを連通させて、減圧機構部6を機能させる様に成している(図3、6参照)。
尚、本実施例において、流路変更プラグ41は迂路構成栓42と減圧機能栓43とを一体的に設けたものを示したが、迂路構成栓42と減圧機能栓43の夫々を別体とし設けても良い(図示せず)。
【0013】
次に減圧弁1の作用について説明する。
先ず、耐圧試験に際し、流路変更プラグ41の迂路構成栓42で外方開口部39dを密栓する。
かかる状態では、大径部42dのOリング45によって開通路39は外部と水密状に区画されると共に、中口径部39bとこれに連続する大口径部39cの中途域はその軸線上に存する括れ部42cが中口径部39bより小径なため、雄ねじ部42bと大径部42dとの間に空間を有し、この空間は中口径部39の壁面に開口している連通口40を介して一次側圧力室2と連通しており、迂路構成栓42の内部を貫通した直通路44によって上記空間と拡径部42dとが連通すると共に、拡径部42dはその下部に開口している第二の流通口M2を介して二次側圧力室3と連通しており、かかる経路によって一次側圧力室2から二次側圧力室3への迂路(バイパス)Xを構成している。
又、雄ねじ部42bから突出している先端部42aは、拡径部38cを貫いて横穴38bの第一の流通口M1を閉塞し、圧力検出室7と二次側圧力室3とが連通しないため、圧力検出室7には二次側圧力がかかることがなく、減圧機構部6は機能しない。
これにより、調節ばね25が開弁方向へ押圧しているダイヤフラム24を介して弁体5は全開し、一次側圧力室2と二次側圧力室3は弁口12を介して連通し、弁箱4が一次側圧力室2から二次側圧力室3への通水する通水管として機能する。
一次側圧力室2から二次側圧力室3へは迂路Xによっても通水しており、耐圧試験において一次側圧力室2に高圧が作用し、調節ばね25の弾性力に抗してピストン35が閉弁方向へ押圧され弁体5が閉弁しても一次側圧力室2から二次側圧力室3への通水が迂路Xにより維持される。
【0014】
耐圧試験後、迂路構成栓42を抜き出して流路変更プラグ41を反転させ、減圧機能栓43で外方開口部39dを密栓する。
かかる状態では、外方開口部39dから開通路39の先端である雌ねじ部39aまで減圧機能栓43が装填されており、小径部43bと大径部43c夫々のOリング45の間に存する連通口40は圧力検出流路38及び外部と水密状に区画されることにより水密状に閉塞されている。
一方、圧力検出流路38は、圧力検出室7と二次側圧力室3とを連通させ、調節ばね25により閉弁方向に押圧されているダイヤフラム24が二次側圧力の変動に応じて変位することで弁体5の開度を制御し、二次側圧力が一次側圧力より低いある一定の圧力に保持する様に通常の減圧弁として減圧機構部6が機能する。
【0015】
【発明の効果】
要するに本発明は、圧力検出室7と二次側圧力室3とが連通した圧力検出流路38に、一端に外方開口部 39 を設ける共に、一次側圧力室2との連通口40を設けた開通路39を連続形成し、該開通路39の外方開口部 39 を迂路構成栓42で密栓することにより、圧力検出流路38において圧力検出室7に臨む第一の流通口M1を閉塞したので、圧力検出室7と二次側圧力室3とが連通せず、減圧機能が働かないため、弁体5が全開して弁口12を介した一次側圧力室2から二次側圧力室3への流路中を通水させることができる。
更に、迂路構成栓42により、二次側圧力室3に臨む第二の流通口M2と連通口40とを迂路構成栓42の内部を貫通した直通路44で連通させたので、該直通路44を経由する一次側圧力室2から二次側圧力室3への迂路Xを構成でき、耐圧試験で一次側に高圧が作用して弁体5が閉弁しても、迂路X中を通水できるため耐圧試験を支障なく続行できる。
耐圧試験後、連通口40を閉塞すると共に第一及び第二の流通口M1、M2を連通させる減圧機能栓43で開通路39の外方開口部 39 を密栓することにより、圧力検出流路38を介して圧力検出室7と二次側圧力室3とを連通させて減圧弁1に通常の減圧機能を働かせることができる。
従って、耐圧試験時において、従来の様にバイパス管や代用管を使用せず、減圧弁を配管に取り付けた状態で耐圧試験を支障なく実施でき、従来耐圧試験前後に必要であった作業の手間を省くことができる。
【0016】
迂路構成栓42と減圧機能栓43を一体形成して流路変更プラグ41と成したので、目的に応じ流路変更プラグ41における迂路構成栓42又は減圧機能栓43で開通路39の外方開口部39dを密栓することにより、上記の様に圧力検出流路38を不通にして迂路Xを構成するか、又は連通口40を閉塞して圧力検出流路38を連通させることができ、迂路構成栓42と減圧機能栓43が別体であるものに比し、作業効率が良く、又迂路構成栓42と減圧機能栓43の一方を無くすこともない等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】流路変更プラグを取り除いた状態の減圧弁の縦断面図である。
【図2】迂路構成栓で密栓した状態を示す底面方向から見た断面図である。
【図3】減圧機能栓で密栓した状態を示す底面方向から見た断面図である。
【図4】流路変更プラグを取り除いた状態の圧力検出流路及び開通路を示す断面図である。
【図5】迂路構成栓で密栓した状態の圧力検出流路及び開通路を示す断面図である。
【図6】減圧機能栓で密栓した状態の圧力検出流路及び開通路を示す断面図である。
【符号の説明】
1 減圧弁
2 一次側圧力室
3 二次側圧力室
5 弁体
6 減圧機構部
7 圧力検出室
38 圧力検出流路
39 開通路
39 d 外方開口部
40 連通口
42 迂路構成栓
43 減圧機能栓
44 直通路
M1 第一の流通口
M2 第二の流通口

Claims (2)

  1. 減圧弁において、二次側圧力室の圧力変動に応じて弁体の開度を制御する減圧機構部に設けた圧力検出室と二次側圧力室とが連通した圧力検出流路に、一端が外部に開口した外方開口部を設けると共に、一次側圧力室との連通口を設けた開通路を連続形成し、圧力検出流路において圧力検出室に臨む第一の流通口を閉塞すると共に、二次側圧力室に臨む第二の流通口と前記連通口とを内部を貫通した直通路を介して連通させる迂路構成栓で開通路の外方開口部を着脱自在に密栓、又は前記連通口を閉塞すると共に前記第一の流通口と第二の流通口とを連通させる減圧機能栓開通路の外方開口部を着脱自在に密栓したことを特徴とする減圧弁。
  2. 迂路構成栓と減圧機能栓とを一体形成したことを特徴とする請求項1記載の減圧弁。
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