JP3593046B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体キャパシタをゲート電位の制御に用いた電界効果型のトランジスタからなるメモリセルとCMOSFETとを備えた半導体装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゲート中に強誘電体薄膜からなる不揮発性の記憶部を含む電界効果型トランジスタであって、例えばMFISFET,MFSFET,MFMISFETなどと呼ばれる電界効果型トランジスタ(以下、この明細書においては、「強誘電体FET」という)を備えた半導体記憶装置が知られている。
【0003】
図6は、従来のMFISFET型の強誘電体FETの断面図である。同図に示すように、従来の強誘電体FETは、シリコン基板101の上に設けられたシリコン酸化膜102と、シリコン酸化膜102の上に設けられたジルコン−チタン酸鉛(PZT)またはタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)などの金属酸化物からなる強誘電体膜103と、Ptなどの導体材料からなるゲート電極104と、シリコン基板101内におけるゲート電極104の両側方にそれぞれ設けられたソース領域105及びドレイン領域106とを備えている。そして、シリコン基板101のうちシリコン酸化膜102の下方に位置する領域がチャネル領域となっている。
【0004】
図6に示す構造において、強誘電体膜103中には、ゲート電極−シリコン基板間に印加される電圧の極性に応じて、上向き(上方が正極となるダイポールモーメントが生じている状態)または下向き(下方が正極となるダイポールモーメントが生じている状態)の分極が生じ、電圧の印加を停止した後も分極が残留するというヒステリシス特性を有している。そして、ゲート電極104に電圧が印加されていない状態では、この相異なる2種類の残留分極の状態に対応して、強誘電体FETのチャネル領域107は、そのポテンシャルの深さが相異なる2つの状態にある。一方、強誘電体FETのソース−ドレイン間の抵抗値は、チャネル領域107のポテンシャルの深さに応じて変化する。したがって、強誘電体膜103の2種類の残留分極状態に応じて、ソース−ドレイン間の抵抗は高い値と低い値とのいずれかに定まり、このソース−ドレイン間の抵抗が相異なる2種類の値のいずれかを示す状態は、強誘電体膜103の残留分極の状態が保持される限り保持(記憶)される。したがって、強誘電体FETを用いて不揮発性メモリデバイスを構成することができる。
【0005】
そして、従来の強誘電体FETを用いた不揮発性メモリデバイスにおいては、たとえば強誘電体膜103中に下向きの残留分極が生じている状態をデータ“1”に、強誘電体膜103中に上向きの残留分極が生じている状態をデータ“0”にそれぞれ対応させている。強誘電体膜103中に下向きの残留分極を生じさせるには、たとえばシリコン基板101の裏面部を接地電位として、ゲート電極104に正の電圧を印加した後、ゲート電極104の電圧を接地電位に戻す。また、強誘電体膜103中に上向きの残留分極を生じさせるには、たとえばシリコン基板101の裏面部を接地電位として、ゲート電極104に負の電圧を印加した後、ゲート電極104の電圧を接地電位に戻す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このような強誘電体FETを集積回路中で動作させるために適した構造について、十分検討されていなかった。そのため、強誘電体FETをメモリセルとして配置したメモリセルアレイ及びこれを動作させるための回路や、プロセッサ等のロジック回路を含めた半導体装置の高集積化やコストの低減を図ることが困難であった。
【0007】
本発明は、強誘電体FETからなるメモリセルを集積回路中で動作させるために適した,メモリとメモリを制御するためのトランジスタとを含む混載型半導体装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、上記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜,ゲート電極及びソース・ドレイン領域を有するMISFETと、上記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜,ゲート電極,ソース・ドレイン領域,上記ゲート電極に電気的に接続される中間電極,該中間電極上に設けられた強誘電体膜,該強誘電体膜上に設けられた制御ゲート電極,上記中間電極に接続される第1の配線,及び上記制御電極に接続される第2の配線を有し、上記第1の配線と第2の配線との間に互いに絶対値の異なる書込み電圧を印加し、その後前記書き込み電圧を解除したときの強誘電体膜に生じる残留分極が、一方の状態はほぼ飽和した状態にあって、もう一方の状態はほぼ0付近にあることが可能に構成されている強誘電体FETと、上記強誘電体FETを複数個配置して構成される記憶回路部と、上記MISFETを複数個配置して構成され、上記記憶回路部を制御するための制御回路部とを備えている。
【0009】
これにより、強誘電体FETとMISFETとが共通の半導体基板上に設けられているので、強誘電体FETをメモリセルとして用い、MISFETをメモリセルを駆動するトランジスタとして用いることが可能になる。つまり、メモリセルとメモリセルを制御するためのトランジスタとを含む集積化された混載型半導体装置の提供を図ることができる。
【0010】
上記強誘電体FETが、上記半導体基板のうち上記ソース・ドレイン領域間に位置する領域の上に設けられたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、該ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、該層間絶縁膜の上に設けられた中間電極と、該中間電極と上記ゲート電極とを接続するコンタクト部材とをさらに備え、上記強誘電体FETの強誘電体膜は上記中間電極の上に設けられていることにより、強誘電体膜と半導体基板との間に層間絶縁膜が介在しているので、強誘電体膜の成分元素が半導体基板に拡散することによる強誘電体FETの動作不良の発生を抑制することができる。
【0011】
上記強誘電体FETのゲート電極と、上記MISFETのゲート電極とが、同じ導体膜から形成されていることにより、製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
上記中間電極に接続される第1の配線と、上記制御ゲート電極に接続される第2の配線とをさらに備え、上記第1の配線と第2の配線との間に印加する電圧により、上記強誘電体膜に分極を生じさせることが可能に構成されていることにより、強誘電体膜に下向きの分極を生じさせるときと上向きの分極を生じさせるときとで印加電圧の絶対値を任意に調整することが可能になるので、強誘電体膜の分極が次第に弱くなるディスターブ現象によってデータの読み出し誤差が生じないようなデータの書き込みが可能になる。
【0013】
上記強誘電体FETを複数個配置して構成される記憶回路部と、上記MISFETを複数個配置して構成され、上記記憶回路部を制御するための制御回路部とをさらに備えていることが好ましい。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法は、強誘電体FETを複数個配置して構成される記憶回路部と、MISFETを複数個配置して構成され、上記記憶回路部を制御するための制御回路部とを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板上に、第1チャネル型MISFETのゲート絶縁膜及びゲート電極と、第2チャネル型MISFETのゲート絶縁膜及びゲート電極と、強誘電体FETのゲート絶縁膜及びゲート電極とを形成する工程(a)と、上記第1又は第2チャネル型MISFETのうちいずれか一方のMISFET及び上記強誘電体FETのゲート電極の上方からソース・ドレイン形成用の不純物のイオン注入を行なう工程(b)と、上記第1又は第2チャネル型MISFETのうち他方のMISFETのゲート電極の上方からソース・ドレイン形成用の不純物のイオン注入を行なう工程(c)と、上記各FETのゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成し、上記強誘電体FETのゲート電極に電気的に接続される中間電極を上記層間絶縁膜の上に形成する工程(d)と、上記中間電極の上面に接する強誘電体膜と、該強誘電体膜を挟んで上記中間電極に対向する制御ゲート電極とを形成する工程(e)とを含んでいる。
【0015】
上記工程(e)の後、上記層間絶縁膜の上に上層の層間絶縁膜を形成する工程(f)と、上記上層の層間絶縁膜を貫通して上記強誘電体FETの中間電極及び制御ゲート電極に到達する接続孔をそれぞれ形成した後、上記各接続孔を導体材料で埋めて上記中間電極及び制御ゲート電極にそれぞれ接触する第1,第2のコンタクト部材を形成する工程(g)と、上記上層の層間絶縁膜の上に、上記第1,第2のコンタクト部材にそれぞれ接続される第1,第2の配線を形成する工程(h)とをさらに含むことが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について説明する。図1(a)〜(d)は、第1の実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0017】
まず、図1(a)に示す工程で、周知の技術を用いて、シリコン基板11上に活性領域(pMOSFET形成領域Rpt,nMOSFET形成領域Rnt及び強誘電体FET形成領域Rftなど)を囲むトレンチ型の素子分離用絶縁膜12を形成する。次に、熱酸化法により、活性領域の上に熱酸化膜からなるシリコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜の上にポリシリコン膜を堆積し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりポリシリコン膜及びシリコン酸化膜をパターニングして、pMOSFET,nMOSFET及び強誘電体FETの各ゲート電極14及び各ゲート絶縁膜13をそれぞれ形成する。
【0018】
次に、図1(b)に示す工程で、pMOSFET形成領域Rptを覆うレジストマスク19を形成し、レジストマスク19の上からn型不純物(例えば砒素(As)のイオン注入を行なうことにより、nMOSFET及び強誘電体FETの各ソース領域15及び各ドレイン領域16を形成する。
【0019】
次に、図1(c)に示す工程で、レジストマスク19を除去した後、nMOSFET形成領域Rnt及び強誘電体FET形成領域Rftを覆うレジストマスク(図示せず)を形成し、このレジストマスクの上方からp型不純物(たとえがフッ化ボロン)のイオン注入を行なうことにより、pMOSFETのソース領域17及びドレイン領域18をそれぞれ形成する。
【0020】
さらに、基板上にシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜20を堆積し、第1の層間絶縁膜20を貫通して強誘電体FETのゲート電極14に到達する接続孔を開口した後、接続孔をポリシリコンで埋めて、コンタクト部材であるポリシリコンプラグ21を形成する。さらに、第1の層間絶縁膜20の上にPt(白金)膜を堆積した後、Pt膜をパターニングして、ポリシリコンプラグ21に接続される中間電極22を形成する。また、中間電極22の上に、ジルコン−チタン酸鉛(PZT)またはタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)などの金属酸化物からなる強誘電体膜23を形成する。このとき、金属酸化物からなる強誘電体膜23とゲート電極14との間は第1の層間絶縁膜20で隔離されているので、高温の酸素雰囲気中での処理によって強誘電体膜23を焼成しても、強誘電体膜23の成分元素がシリコン基板11まで拡散することはない。さらに、強誘電体膜23の上に白金からなる制御ゲート電極24を形成する。この制御ゲート電極24は、強誘電体FETの動作を制御するための電極である。
【0021】
なお、図1(c)においては、強誘電体FETのゲート電極14にコンタクトしているポリシリコンプラグ21は活性領域上で形成されているが、実際には、ゲート電極14のうち素子分離用絶縁膜12の上に存在する部分にポリシリコンプラグ21が形成されることが多い。
【0022】
次に、図1(d)に示す工程で、第1の層間絶縁膜20の上にシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜30を堆積し、第2の層間絶縁膜30を貫通して制御ゲート電極24及び中間電極22にそれぞれ到達する接続孔を形成した後、各接続孔をタングステン(W)で埋めて、コンタクト部材である第1,第2のタングステンプラグ31a,31bを形成する。このとき、第2の層間絶縁膜30及び第1の層間絶縁膜20を貫通して、nMOSFET及びpMOSFETの各ゲート電極14にそれぞれ到達する接続孔を形成した後、各接続孔をタングステンで埋めてタングステンプラグ32を形成する。
【0023】
図1(d)においては、各MOSFETのゲート電極14にコンタクトするタングステンプラグ32は活性領域上で形成されているが、実際には、ゲート電極14のうち素子分離用絶縁膜12の上に存在する部分にタングステンプラグ32が形成されることが多い。
【0024】
さらに、第2の層間絶縁膜30の上に、アルミ合金膜などの金属膜を形成した後、金属膜をパターニングして、各タングステンプラグ31,32に接続される配線層33を形成する。この配線層33のうち第1のタングステンプラグ31aを介して制御ゲート電極24に接続される配線を第1の配線33aとし、配線層33のうち第2のタングステンプラグ31bを介して中間電極22に接続される配線を第2の配線33bとする。
【0025】
なお、図1(d)には図示されていないが、第1の層間絶縁膜の上、あるいは第2の層間絶縁膜30の上にさらに上層の層間絶縁膜形成してその上層の層間絶縁膜の上に、nMOSFETのソース領域15及びドレイン領域16、pMOSFETのソース領域17及びドレイン領域18、並びに強誘電体FETのソース領域15及びドレイン領域16に導体プラグを介して接続される配線層を形成する。そして、強誘電体FETの各部に接続される配線と、nMOSFET,pMOSFETの各部に接続される配線とは、いずれかの部位で互いに接続されている。すなわち、nMOSFET,pMOSFETを含む制御回路により、強誘電体FETからなるメモリセルにデータを書き込み,読み出し,書き換えることが可能に構成されている。
【0026】
以上の手順により、強誘電体FETと、CMOSデバイスのnMOSFET及びpMOSFETとを共通の半導体基板上に設けることができる。つまり、強誘電体FETからなるメモリセルをメモリとして利用するための周辺回路をメモリセルアレイと同じ基板上に設けることができる。また、メモリセルアレイと周辺回路とからなるメモリデバイスだけでなく、演算回路などを含むロジック回路(例えばプロセッサ)をメモリデバイスと混載した,いわゆるシステムLSIなどの大規模集積回路を形成することもできる。
【0027】
しかも、強誘電体FETとして、ゲート電極14に接続される中間電極22を形成し、この中間電極22の上に強誘電体膜23及び制御ゲート電極24を設ける構造としているので、後述するように、強誘電体FETからなるメモリセルの情報読み出し精度の向上を図ることができる。そして、図1(a)に示す工程で、強誘電体FET及び各MOSFETのゲート電極14を共通のポリシリコン膜から同時にパターニングすることにより形成することができるので、工程の簡素化を図ることができる。
【0028】
また、図1(b)に示す工程で、強誘電体FETとCMOSデバイスのnMOSFET,pMOSFETとを形成する際に、nMOSFETのソース・ドレイン形成のための不純物イオンの注入と、強誘電体FETのソース・ドレイン形成のための不純物イオンの注入とを同時に行なうことができるので、フォトリソグラフィー工程を低減することにより、工程の簡素化を図ることができる。
【0029】
また、図1(c)に示す工程で、強誘電体膜23の高温焼成工程において、強誘電体膜23の成分元素のシリコン基板11への拡散が第1の層間絶縁膜20によって抑制されるので、強誘電体FETのソース・ドレイン間の伝導特性も良好に保持される。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について説明する。図2(a)〜(d)は、第2の実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0031】
まず、図2(a)に示す工程で、周知の技術を用いて、シリコン基板11上に活性領域(pMOSFET形成領域Rpt,nMOSFET形成領域Rnt及び強誘電体FET形成領域Rftなど)を囲むトレンチ型の素子分離用絶縁膜12を形成する。次に、熱酸化法により、活性領域の上に熱酸化膜からなるシリコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜の上にポリシリコン膜を堆積し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりポリシリコン膜及びシリコン酸化膜をパターニングして、pMOSFET及びnMOSFETの各ゲート電極14及び各ゲート絶縁膜13をそれぞれ形成する。ただし、強誘電体FET形成領域Rft上には、ゲート酸化膜及びゲート電極は形成しない。
【0032】
次に、強誘電体FET形成領域Rft及びpMOSFET形成領域Rptを覆うレジストマスク(図示せず)を形成し、レジストマスクの上からn型不純物(例えば砒素(As))のイオン注入を行なうことにより、nMOSFETのソース領域15及びドレイン領域16を形成する。その後、上記レジストマスクを除去した後、強誘電体FET形成領域Rft及びnMOSFET形成領域Rntを覆うレジストマスク(図示せず)を新たに形成し、レジストマスクの上からp型不純物(例えばフッ化ボロン)のイオン注入を行なうことにより、pMOSFETのソース領域17及びドレイン領域18を形成する。
【0033】
次に、図2(b)に示す工程で、基板上にシリコン酸化膜を堆積した後、シリコン酸化膜をパターニングして、nMOSFET形成領域Rnt及びpMOSFET形成領域Rntを覆い、強誘電体FET形成領域Rftを開口した第1の層間絶縁膜20を形成する。その後、強誘電体FET形成領域Rftにおいて、熱酸化膜と強誘電体膜とPt膜とを形成した後、ゲートパターニング用のレジストマスク45を形成し、レジストマスク45を用いたエッチングにより、ゲート酸化膜41と、強誘電体膜42と、Pt(白金)膜からなる制御ゲート電極43を形成する。強誘電体膜42は、ジルコン−チタン酸鉛(PZT)またはタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)などの金属酸化物により構成されている。このとき、高温の酸素雰囲気中での処理によって強誘電体膜42を焼成する。
【0034】
次に、図2(c)に示す工程で、制御ゲート電極43の上方からn型不純物(例えば砒素(As))のイオン注入を行なって、強誘電体FETのソース領域46及びドレイン領域47を形成する。
【0035】
次に、図2(d)に示す工程で、基板上にシリコン酸化膜を堆積した後、CMPにより基板の上面を平坦化する。これにより、第2の層間絶縁膜30を形成する。次に、第2の層間絶縁膜30を貫通して強誘電体FETの制御ゲート電極43に到達する接続孔を形成した後、接続孔をタングステン(W)で埋めて、タングステンプラグ48を形成する。このとき、第2の層間絶縁膜30及び第1の層間絶縁膜20を貫通して、nMOSFET及びpMOSFETのゲート電極14に到達する接続孔を形成し、この接続孔をタングステン(W)で埋めてタングステンプラグ49を形成する。
【0036】
図2(d)においては、各MOSFETのゲート電極14や強誘電体FETの制御ゲート電極43にコンタクトするタングステンプラグ48,49は活性領域上で形成されているが、実際には、ゲート電極14や制御ゲート電極43のうち素子分離用絶縁膜12の上に存在する部分にタングステンプラグ48,49が形成されることが多い。
【0037】
さらに、第2の層間絶縁膜30の上に、アルミ合金膜などの金属膜を形成した後、金属膜をパターニングして、各タングステンプラグ48,49に接続される配線層50を形成する。
【0038】
なお、図2(d)には図示されていないが、第2の層間絶縁膜30の上にさらに第3の層間絶縁膜を形成して第3の層間絶縁膜の上に、nMOSFETのソース領域15及びドレイン領域16、pMOSFETのソース領域17及びドレイン領域18、ならびに強誘電体FETのソース領域47及びドレイン領域48に導体プラグを介して接続される配線層を形成することもできる。
【0039】
以上の手順により、強誘電体FETと、CMOSデバイスのnMOSFET及びpMOSFETとを共通の半導体基板上に設けることができる。つまり、強誘電体FETからなるメモリセルをメモリとして利用するための周辺回路をメモリセルアレイと同じ基板上に設けることができる。また、メモリセルアレイと周辺回路とからなるメモリデバイスだけでなく、演算回路などを含むロジック回路(例えばプロセッサ)をメモリデバイスと混載した,いわゆるシステムLSIなどの大規模集積回路を形成することもできる。
【0040】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態におけるメモリ・ロジック混載型の半導体集積回路装置の平面図である。
【0041】
同図に示すように、本実施形態の半導体集積回路装置は、シリコンチップ61上に設けられた記憶回路部62とCMOS回路部63とを備えている。記憶回路部62は、強誘電体FETからなる複数のメモリセルを配列したメモリセルアレイを有するものである。また、CMOS回路部63は、記憶回路部62を駆動するための制御回路(周辺回路)と、プロセッサ等のロジック回路を含むロジック回路とをまとめてブロック化したものである。
【0042】
図3に示すように、強誘電体FETとCMOSデバイスとを1つの基板上に形成することにより、不揮発性のメモリセルを配置した記憶回路と、これを制御する回路と、プロセッサなどのロジック回路とを集積化してなる大規模の集積回路装置を得ることができる。
【0043】
ここで、記憶回路部62には、第1の実施形態又は第2の実施形態における強誘電体FETのいずれを配置してもよい。これにより、記憶回路部62を構成する強誘電体FETと、CMOS回路部63とを構成するnMOSFET及びpMOSFETを、共通の半導体基板上に形成することができる。
【0044】
−第1の実施形態と第2の実施形態との製造工程の比較−
第2の実施形態の強誘電体FET全体の高さ寸法は、第1の実施形態の強誘電体FETの高さ寸法に比べると、大幅に小さいので、第2の層間絶縁膜30の上面の高さをより低くすることができる。その点では、第2の実施形態の方が有利である。
【0045】
しかし、第1の実施形態においては、図1(b)に示す工程で、nMOSFETのソース・ドレイン形成のための不純物イオンの注入と、強誘電体FETのソース・ドレイン形成のための不純物イオンの注入とを同時に行なうことができることから第1の実施形態の方がフォトリソグラフィー工程が少なくて済む。また、第2の実施形態では、図2(c)に示す工程で、第1の層間絶縁膜20の存在により、強誘電体FETのソース・ドレイン形成のための不純物イオンの注入角度に制限が生じる。さらに、第1の実施形態では、図1(c)に示す工程で、強誘電体膜23の高温焼成工程において、強誘電体膜23の成分元素のシリコン基板11への拡散が第1の層間絶縁膜20によって抑制されるので、強誘電体FETのソース・ドレイン間の伝導特性も良好に保持されるが、第2の実施形態では、図2(b)に示す工程で、強誘電体膜42の高温焼成を行なう際に、強誘電体膜42の成分元素がシリコン基板11に拡散するおそれがある。
【0046】
−第1の実施形態と第2の実施形態との性能の比較−
第2の実施形態の強誘電体FETである強誘電体FETと比較して、第1の実施形態の強誘電体FETにおいては、データの書き込みにおいて、強誘電体膜23に下向きの残留分極(下端が正極で上端が負極となる分極状態)を生じさせるように書き込むときと、強誘電体膜23に上向きの残留分極(上端が正極で下端が負極となる分極状態)を生じさせるように書き込むときとでは、それぞれ強誘電体膜23に印加される電圧の絶対値を異ならせることができる。つまり、第2の実施形態においては、強誘電体膜42の分極を生じさせる際には、制御ゲート電極42−シリコン基板11の間に電圧を印加するために、実際上、強誘電体膜42に下向きの分極を生じさせるときと上向きの分極を生じさせるときとで電圧の絶対値を異ならせることは困難である。それに対し、第1の実施形態においては、データの書き込み時に、制御ゲート電極24−中間電極22間に電圧を印加して、強誘電体膜23の分極を生じさせることができるので、下向きの分極を生じさせるときと上向きの分極を生じさせるときとで、任意に電圧の絶対値を異ならせることができる。以下、第1の実施形態の強誘電体FETのデータの書き込み,読み出しに適した駆動方法について説明する。
【0047】
−ゲートバイアス−
図4は、強誘電体FETにより構成されるメモリセルの読み出し時におけるゲートバイアス(制御ゲート電極24又は43に印加する電圧)ΔVgの設定方法を説明するための図である。図4に示すように、ゲートバイアスVgを制御ゲート電極24又は43に印加せずにデータの読み出しを行なうと、データ“1”の状態とデータ“0”の状態とで読み出し電流の差ΔI1が小さい。そこで、上記各実施形態においては、読み出し時に制御ゲート電極24又は43にバイアスを印加することが好ましい。以下、これを前提として、両者の性能を比較する。つまり、強誘電体FETのソース−ドレイン間電流Idsのゲートバイアス依存特性において、データ“1”の状態とデータ“0”の状態とにおける読み出し電流の差がほぼ最大値ΔI2となるゲートバイアスVgの値をΔVgとする。そして、読み出し時におけるゲート電圧Vgを0からΔVgだけずれた位置に設定する。言い換えると、読み出し信号のS/N比を上げるためにΔVgのオフセット電圧を制御ゲート電極24又は43に印加する。
【0048】
−ディスターブ現象−
この読み出し方法によると、読み出し動作時には、強誘電体FETの制御ゲート電極24又は43に必ずオフセット電圧ΔVgが印加されることになる。たとえば正のオフセット電圧ΔVgを制御ゲート電極に印加すると、残留分極が下向き(データ“1”の状態)である場合は、残留分極の方向がゲートバイアスの電界によって誘起される分極方向に一致するので、その分極状態はゲートバイアスによる影響は受けない。しかし、残留分極が上向き(データ“0”の状態)のときには、残留分極の方向とゲートバイアスの電界によって誘起される分極の方向とが逆になるので、制御ゲート電極へのオフセット電圧ΔVgの印加によって、強誘電体膜中の残留分極は少し弱くなる。さらに、読み出し動作を繰り返すと、制御ゲート電極にオフセット電圧ΔVgを印加する毎に少しづつ強誘電体膜中の残留分極が弱くなり、最終的には、強誘電体膜中の残留分極がほぼゼロになる。このように、残留分極を弱める方向の電界を与える電圧をゲート電圧に繰り返し印加することによってデータが消失していく現象をディスターブ現象という。
【0049】
そして、ディスターブ現象によって分極が消失してゆくと、データ“0”を保持していた強誘電体FETのチャネル領域のポテンシャルは、データ“1”のポテンシャルに近づくように変化するため、データ“0”の状態に対応するソース・ドレイン間電流Idsがその初期値から次第に変化していくという読み出し回路の設計上好ましくない現象を呈する。
【0050】
−好ましいデータの書き込み方法−
図5は、第1の実施形態を利用したデータの書き込み動作の例を電圧−分極座標上で説明するためのヒステリシス特性図である。図5において、横軸は制御ゲート24−中間電極22(ゲート電極14)間に印加する電圧を表し、縦軸は、強誘電体膜23に生じる分極を下向き方向を正として表している。なお、以下の説明においては、シリコン基板11の電位は常に接地電位であるとしている。
【0051】
図5に示すように、データが書き込まれる前の強誘電体膜23の分極はほぼゼロであるので、分極状態は原点Oの近傍にある。この強誘電体膜23にデータ“1”を書き込むには、たとえば中間電極22に接続された第2の配線33bを接地電位とし、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aに3Vの電圧を印加すると、分極状態は原点Oから点a”まで実線に沿って移動する。そののち、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aを接地電位とすると、分極状態は点a”から点aに移動し、強誘電体膜23には電圧ゼロの状態で約10μC/cm2 の電荷(残留分極)がデータ“1”として保持される。
【0052】
続いて、データ“1”をデータ“0”に書き換えるには、中間電極22の電位はそのままにして、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aに、分極状態を飽和状態まで反転させるために必要な電圧−3Vを印加するのではなく、約−1Vの電圧を印加する。つまり、分極による電荷が負の飽和状態(約−10μC/cm2 )からほぼ0(約0μC/cm2 )までをデータ“0”と定義して、当初からデータ“0”としての分極をおよそ0μC/cm2 に設定する。そこで、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aに電圧約−1Vを印加すると、図5に示す軌跡のように、分極状態は点aから点b’まで移動する。この動作は、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aを接地電位とし、中間電極22に接続された第2の配線33bに電圧1Vを与えることによっても実現される。そののち、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aを接地電位とすると、分極状態は点b’から点bに移動し、電圧ゼロの状態で強誘電体膜23には約0μC/cm2 の電荷がデータ“0”として保持される。
【0053】
つまり、第1の実施形態においては、正の残留分極が生じている強誘電体膜23に負の電圧を印加した後、負の電圧を解除した時に強誘電体膜23に生じる分極(残留分極)がほぼ0になるとすると、上記負の電圧(抗電圧)にほぼ等しい電圧を印加して、データを“1”から“0”に書き換えることが可能になる。なお、強誘電体膜23にデータが書き込まれていない状態から強誘電体膜23にデータ“0”を書き込む場合にも、図5に示す抗電圧(約−1V)を強誘電体膜23に印加することが好ましい。
【0054】
データを書き込んだ後は、中間電極22に接続された第2の配線33bを接地電位とし、これにつながるゲート電極14の電位を確定する。つづいて、スイッチングトランジスタなどを利用して、中間電極22に接続された第2の配線33bを周辺回路から電気的に遮断する。
【0055】
あるいは、データの読み出しの直前に、まず、中間電極22に接続された第2の配線33bを接地電位とし、これにつながるゲート電極14の電位を確定する。これは、この読み出しまでに実行された書き込みおよび読み出しの動作あるいは静止状態で漏れ電流などとしてゲート電極14に蓄積された不要な電荷を除去するためである。つづいて、スイッチングトランジスタなどを利用して、中間電極22に接続された第2の配線33bを周辺回路から電気的に遮断する。その後、データを読み出すために、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aに、読み出し電圧VRを印加する。この読み出し電圧VRは、強誘電体膜23に印加される電圧とシリコン酸化膜13に印加される電圧とに分割される。このとき、強誘電体膜23の分極が下向き(データ“1”)の場合は、強誘電体膜23に印加される電圧によって生じる分極の方向と、保持されている分極(電荷)の方向とは一致しているので、いわゆるディスターブ現象が生じることがなく、読み出し電圧VRを除去しても分極の向きや大きさは変わらない。
【0056】
一方、第2の実施形態の強誘電体FETからなるメモリセルを利用した場合、強誘電体膜23の分極が上向き(データ“0”)の場合は、データの書き込み時に、強誘電体膜23に印加される電圧によって生じる分極の方向と、保持されている分極(電荷)の方向とが逆なので、読み出し電圧VRの印加によって強誘電体膜23はディスターブを受ける。その結果、ディスターブによって分極が消失してゆき、これにともなってデータ“0”に対するソース−ドレイン間電流Idsが変化する。
【0057】
しかし、第1の実施形態を利用した書き込み方法においては、当初から分極が約0μC/cm2 の状態がデータ“0”として保持されている。さらに、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aに印加される読み出し電圧VRは、強誘電体膜23にかかる電圧が抗電圧を超えないように設定できるので、ディスターブによって分極が消失してゆくことはなく、また、データ“0”の状態がデータ“1”へと反転してしまうこともない。したがって、データ“0”を繰り返して読み出しても、ソース−ドレイン間電流Idsは変化しないことになる。具体的には、強誘電体膜23に印加される電圧とゲート酸化膜13に印加される電圧との比は、中間電極22,強誘電体膜23及び制御ゲート電極24により構成されるキャパシタの容量と、ゲート電極14,ゲート酸化膜13およびシリコン基板11により構成されるキャパシタの容量との比によって決まる。この容量比と読み出し電圧VRとを調整することにより、データ読み出し時に強誘電体膜23に印加される電圧を強誘電体膜23中の分極の抗電圧以下にできる。
【0058】
そして、データの保存状態においては、これに先立つデータ書き込み動作の最後の段階で、制御ゲート電極24に接続された第1の配線33aと中間電極22に接続された第2の配線33bとを共に接地することにより、強誘電体膜23に印加するバイアスをゼロとする。これにより、データ保持中にバイアスの影響を受けて分極が変化することはなくなる。
【0059】
よって、第1の実施形態を利用した場合、データ“1”を残留分極が下向きにある状態に対応させ、データ“0”を残留分極が上向きの飽和状態に達しない範囲に対応させて、データの書き込み,書き換え,保存及び読み出しを行なうことが可能になり、データ“0”のときのディスターブに起因する読み出し電流の変化を小さくすることができ、読み出し精度の向上を図ることができる。
【0060】
なお、上記各実施形態においては、CMOSデバイスにおいて、ゲート絶縁膜をシリコン酸化膜により構成したMOSFETについて説明したが、ゲート絶縁膜をシリコン酸窒化膜やシリコン窒化膜などによって構成してもよい。つまり、本発明は、MISFET全般について適用することができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の半導体装置又はその製造方法によると、強誘電体膜,該強誘電体膜上に設けられた制御ゲート電極,及びソース・ドレイン領域を有する強誘電体FETと、ゲート絶縁膜,ゲート電極及びソース・ドレイン領域を有するMISFETとを共通の半導体基板上に設けるようにしたので、強誘電体FETをメモリセルとして用い、MISFETをメモリセルを駆動するトランジスタとして用いることが可能になり、メモリとメモリを制御するためのトランジスタとを含む集積化された混載型半導体装置の提供を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、第1の実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、第2の実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】第3の実施形態におけるメモリ・ロジック混載型の半導体集積回路装置の平面図である。
【図4】強誘電体FETにより構成されるメモリセルの読み出し時におけるゲートバイアスΔVgの設定方法を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態を利用したデータの書き込み動作の例を電圧−分極座標上で説明するためのヒステリシス特性図である。
【図6】従来のMFISFET型の強誘電体FETの断面図である。
【符号の説明】
11 シリコン基板
12 素子分離用絶縁膜
13,41 ゲート酸化膜
14 ゲート電極
15,17 ソース領域
16,18 ドレイン領域
19,45 レジストマスク
20 第1の層間絶縁膜
21 ポリシリコンプラグ
22 中間電極
23,42 強誘電体膜
24,43 制御ゲート電極
30 第2の層間絶縁膜
31,32 タングステンプラグ
33 配線層
33a,33b 配線
48,49 タングステンプラグ
50 配線層
Claims (4)
- 半導体基板と、
上記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜,ゲート電極及びソース・ドレイン領域を有するMISFETと、
上記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜,ゲート電極,ソース・ドレイン領域,上記ゲート電極に電気的に接続される中間電極,該中間電極上に設けられた強誘電体膜,該強誘電体膜上に設けられた制御ゲート電極,上記中間電極に接続される第1の配線,及び上記制御電極に接続される第2の配線を有し、上記第1の配線と第2の配線との間に互いに絶対値の異なる書込み電圧を印加し、その後前記書き込み電圧を解除したときの強誘電体膜に生じる残留分極が、一方の状態はほぼ飽和した状態にあって、もう一方の状態はほぼ0付近にあることが可能に構成されている強誘電体FETと、
上記強誘電体FETを複数個配置して構成される記憶回路部と、
上記MISFETを複数個配置して構成され、上記記憶回路部を制御するための制御回路部と
を備えている半導体装置。 - 請求項1記載の半導体装置において、
上記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
上記層間絶縁膜を貫通して上記ゲート電極に接続されるコンタクト部材とをさらに備え、
上記中間電極は、上記層間絶縁膜の上に設けられ、かつ、上記コンタクト部材に接続されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1又は2記載の半導体装置において、
上記強誘電体FETのゲート電極と、上記MISFETのゲート電極とは、同じ導体膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
上記第2の配線に印可される読み出し電圧は坑電圧を超えないように設定されていることを特徴とする半導体装置。
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