JP3592943B2 - 半導体集積回路及び半導体集積回路システム - Google Patents

半導体集積回路及び半導体集積回路システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速にデータ伝送を行ない且つ消費電力が低い半導体集積回路及び半導体集積回路システムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、IEEE1394物理層LSIに代表される半導体集積回路は、マルチメディア等のように高速で大量にデータ処理を行なうシステムを実現するために、機器間データ伝送を高速で行なう技術を搭載しており、現在では200Mbpsのデータ伝送レートを実現し、400Mbpsの半導体集積回路もサンプル出荷されている。また、研究レベルでは1Gbpsを超える高速データ伝送技術も開発されている。
【0003】
前記IEEE1394物理層LSIは、データ伝送を行なう場合、送信側はデータをDC電流の形で差動のツイストペアケーブルに出力する。ツイストペアケーブル間には抵抗素子が接続され、この抵抗素子に流れる電流により現われるツイストペアケーブル間の電位差が受信側の入力となる。また、このIEEE1394物理層LSIは、DSリンク方式というデータ伝送方式を採用し、データ伝送には、一つのポートに付きデータ線ペアとストローブ線ペアとの2ペアの伝送線を用いる。前記IEEE1394の仕様はdraft standard ver8.4の中で示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記IEEE1394物理層LSIでの技術では、上述のように、DC電流をツイストペアケーブルに出力するために、常時電流が流れ、出力部の消費電流が大きいという問題点がある。特に、ポート数が増大すると、消費電流の増大が重大な問題となってくる。更に、DSリンク方式は、データ線ペア又はストローブ線ペアの何れか一方でのみデータの遷移を発生させるが、データ遷移が無い他方においてもDC電流は流し続けており、このDC電流の常時流通も消費電流を大きくする原因となっている。
【0005】
本発明の目的は、前記問題点に鑑み、IEEE1394のような高速データ伝送のための電流駆動型のデータ伝送方式において、消費電流を低減するための最適な構成の半導体集積回路及び半導体集積回路システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明では、データ線ペアやストローブ線ペア等の複数のデータバスペアを用いてデータ伝送する場合、何れかのデータバスペアを電流駆動し、このデータバスペアに流れた電流を他のデータバスペアの電流駆動に利用する。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明の半導体集積回路システムは、第1のチップ及び第2のチップと、抵抗素子で終端された複数の相補型データバスとを備え、前記複数の相補型データバスを用いて前記第1及び第2のチップ間でデータ伝送を行う半導体集積回路システムであって、前記複数の相補型データバスを電流駆動する電流駆動型の駆動回路と、前記複数の相補型のデータバスを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の半導体集積回路システムにおいて、前記複数の相補型データバスは、各々、データ線ペアの一方が前記第1のチップから第2のチップへ電流を流し、他方が前記第2のチップから第1のチップに対し電流を流すことを特徴とする。
【0009】
更に、請求項3記載の発明は、前記請求項1記載の半導体集積回路システムにおいて、各相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差を入力する入力回路を有し、前記入力回路は、前記各相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差の中心電位のレンジを全て含むワイドレンジ型の入力回路で構成されることを特徴とする。
【0010】
加えて、請求項4記載の発明は、前記請求項1記載の半導体集積回路システムにおいて、前記複数の相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差の中心電位は、全体として、電源電位側又はグランド側に偏ることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明の半導体集積回路は、抵抗素子で終端された複数のデータバスペアが接続される半導体集積回路であって、前記複数のデータバスペアを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段を備え、前記経路変更手段は、第1の電源に接続される第1の電流源と、第2の電源に接続される第2の電流源と、前記第1の電流源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかに電流を供給する制御を行う第1及び第2のスイッチ素子と、前記第2の電流源に接続され、前記複数のデータバスペアの他の何れかから電流を引き抜く制御を行う第3及び第4のスイッチ素子と、前記複数のデータバスペア間を接続する第5のスイッチ素子とを備えたことを特徴としている。
【0012】
更に、請求項6記載の発明は、前記請求項5記載の半導体集積回路において、前記経路変更手段は、更に、前記第1ないし第5のスイッチ素子を制御する制御回路を有し、前記制御回路は、前記経路変更手段の第1ないし第5のスイッチ素子と共に同一チップ上に配置されることを特徴とする。
【0013】
加えて、請求項7記載の発明の半導体集積回路は、抵抗素子で終端された複数のデータバスペアが接続される半導体集積回路であって、前記複数のデータバスペアを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段を備え、前記経路変更手段は、第1の電源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかに電流を供給する第1の電流源と、第2の電源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかから電流を引き抜く第2の電流源と、前記複数のデータバスペアのうち隣接するデータバスペア間でデータ線同志を接続する第1ないし第4のスイッチ素子とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、前記請求項7記載の半導体集積回路において、前記経路変更手段は、更に、前記第1及び第2のスイッチ素子を制御する制御回路を有し、前記制御回路は、前記経路変更手段の第1及び第2のスイッチ素子と共に同一チップ上に配置されることを特徴とする。
【0015】
更に、請求項9記載の発明は、前記請求項5、6、7又は8記載の半導体集積回路において、別途、各データバスペアに対応して設けられ、対応するデータバスペアにデータが伝送されない不活性状態の時、この不活性状態のデータバスペア以外のデータバスペアから見て、前記不活性状態のデータバスペアを擬似的に活性状態と同じ状態にする疑似回路を備えることを特徴とする。
【0016】
前記した構成により、請求項1ないし請求項9記載の発明では、IEEE1394のような高速データ伝送のための電流駆動型のデータ伝送方式において、何れかのデータバスペアを電流駆動した際の電流を他のデータバスペアの電流駆動に利用したので、データ伝送に要する消費電流を効果的に低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の半導体集積回路システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の半導体集積回路システムの原理を示す。
【0019】
同図において、1は第1のチップ、2は第2のチップ、DBA、DBBはデータバスペア(相補型データバス)、RA、RBはデータバスペアDBA、DBBの終端に配置された終端抵抗、VDDは電源、VSSはグランドである。前記第1のチップ1と第2のチップ2間には、前記2対のデータバスペアDBA、DBBが設けられる。第1のチップ1にはデータバス駆動回路4が設けられ、この駆動回路4は、前記データバスペアDBA、DBBをDC電流駆動する。この電流駆動の際、終端抵抗RA、RBに流されるDC電流により第2チップ2の入力部における電圧が決定される。
【0020】
本発明では、DC電流が2対のデータバスペアDBA、DBBに流れることによる消費電流を低減させるために、一方のデータバスペアDBAに流れたDC電流をそのままグランドVSSに流さず、他方のデータバスペアDBBの駆動に用いている。即ち、第1のチップ1の駆動回路4は、電源VDDからデータバスペアDBAに電流を駆動する。データバスペアDBAの一方のデータ線は電流を第1のチップ1から第2のチップ2に送り、他方のデータ線は終端抵抗RAを介して流れてきた電流を第2のチップ2から第1のチップ1に送る。第1のチップ1では、戻ってきた電流を更に駆動回路4がデータバスペアDBBの一方のデータ線に送り、同様にして、他方のデータ線を介して戻ってきた電流は前記駆動回路4によりグランドVSSに流し込まれる。この構成の採用により、2組のデータバスペアDBA、DBBに流れるDC電流は1/2に低減される。
【0021】
図2は、前記動作を模式的に示したタイミングチャートである。2組のデータバスペアDBA、DBBの電位は、同図に示すように、終端抵抗RA,RBや駆動回路4での電圧降下に起因して、異なるレベルになる。
【0022】
ここで、本原理では、2組のデータバスペアDBA、DBBに流れる電流を一本の電流経路で流すように構成しているが、3組以上のデータバスペアを、電源電圧の値よりも電流による電圧降下が小さい範囲で、同様に構成することも可能である。この場合には、DC電流は1/データバスペア本数に低減される。
【0023】
図3は、前記原理をIEEE1394のデータ伝送に適応した本実施の形態を示す。
【0024】
図3において、第1のチップ1のデータバス駆動回路4には、出力回路5と制御回路6とが配置される。この両回路5、6により経路変更手段10を構成する。Data−A、Data−XAはデータ線ペア(相補型データバス)、Strobe−B、Strobe−XBはストローブ線ペア(相補型データバス)である。前記出力回路5は、前記データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBに対し、図1の原理と同様の電流駆動を行う。本実施の形態では、例えば、電源VDDからデータ線ペアの一方のデータ線Data−Aに対してDC電流を供給し、終端抵抗RA1、RA2を介して他方のデータ線Data−XAを通じて、DC電流を出力回路5に戻す。次に、出力回路5は、戻ってきたDC電流をストローブ線ペアの一方のストローブ線Strobe−Bに供給する。最後に、終端抵抗RB1、RB2を介して他方のストローブ線Strobe−XBを通って戻ってきた電流は、出力回路5によりグランドVSSに流される。
【0025】
前記制御回路6は、前記出力回路5がデータ線ペアData−A、Data−XAとストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBとを終端抵抗RA1、RA2、RB1、RB2と共に電源VDDからグランドVSSまでを一本の電流経路で流すように制御し、この電流経路を種々変更するように出力回路5を制御する。
【0026】
一方、第2のチップ2には入力回路7が設けられる。この入力回路7は、終端抵抗RA2、RB2の両端に現われる電位差を入力として動作する。終端抵抗RA2、RB2の両端に現われる電位差は、DC電流が流れているために等しいが、電位のレベル自体は電圧降下により大きく異なってしまい、データ線ペアData−A、Data−XAからの入力とストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBからの入力とでは、入力タイミングが異なってしまう。しかし、DSリンク方式を採用するIEEE1394規格のLSIにおいては、上述のタイミングのズレはDSリンク方式の特徴により大きな問題とはならない。即ち、DSリンク方式では、データ線ペアData−A、Data−XAにより伝送されて来るデータが変化した場合には、この変化したデータのエッジを用いてデータを取り込み、データが変化しない場合には、ストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBで伝送されてくるストローブ信号が変化してデータの取り込みを行うからである。即ち、データが変化した場合の厳しいデータ取り込みのタイミングのみ自分自身でデータを取り込み、データが変化せずに同一値が続く場合には、ストローブ信号が多少ずれても同一値のデータは確実に取り込まれる。従って、DSリンク方式を採用するIEEE1394規格のようなLSIにおいては、本方式の原理で説明したように、消費電流の低減効果を十分に生かすことが可能である。
【0027】
前記第2のチップ2の入力回路7は、図4に示すような内部構成を持つもので構成可能である。図4の入力回路は、前記データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBの終端抵抗RA2、RB2に現れる電位差の中心電位(コモンモードレベル)V0A、V0B(図2参照)のレンジを全て含むワイドレンジ型のRail−to−Rail回路である。従って、この両コモンモードレベルV0A、V0Bが相互で異なっても、このRail−to−Rail回路は、データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBのデータを同一タイミングで取り込み可能である。
【0028】
尚、前記入力回路7を前記ワイドレンジ型のRail−to−Rail回路で構成することは必ずしも必要でない。例えば、電源VDDとグランドVSS間に抵抗を配置し、この抵抗の配置位置に応じて、前記データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe−XBのコモンモードレベルV0A、V0Bを共に電源電圧側又はグランド側に偏らせれば、Rail−to−Rail回路は不要である。
【0029】
図5は、本実施の形態の図3に示した出力回路(半導体集積回路)5の内部構成を示す。同図において、VDDは電源(第1の電源)、VSSはグランド(第2の電源)、IS1、IS2は前記電源VDDに接続された第1の電流源、IS3、IS4は前記グランドVSSに接続された第2の電流源である。SW1、SW2は各々前記電流源IS1、IS2に接続された第1及び第2のスイッチ素子、SW8、SW9は各々前記電流源IS3、IS4に接続された第3及び第4のスイッチ素子である。また、SW3〜SW7は、前記第1〜第4のスイッチ素子間に配置された第5のスイッチ素子としての5個のスイッチ素子である。データ線ペアData−A、Data−XAの一方Data−Aは2個のスイッチ素子SW1,SW3間に、データ線ペアの他方Data−XAは2個のスイッチ素子SW2,SW4間に、ストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBの一方Strobe−Bは2個のスイッチ素子SW7,SW9間に、ストローブ線ペアの他方Strobe −XBは2個のスイッチ素子SW6,SW8間に各々接続される。
【0030】
前記電流源IS1〜IS4は等しい電流駆動能力を有して同じ電流を駆動し、2個の電流源IS1、IS2がペア、他の2個の電流源IS3、IS4がペアとなり、電流源IS1、IS2の何れか一方がデータ線ペアData−A、Data−XAに電流を駆動し、電流源IS3、IS4の何れか一方がストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBからの電流を引き抜く。例えば、電流源IS1が電流を駆動する場合には他方の電流源IS2は駆動せず、電流源IS3が電流を引き抜く場合には他方の電流源IS4は電流を引き抜かない。尚、2個の電流源IS1、IS2を共用化し、他の2個の電流源IS3、IS4を共用化して、各々一個の電流源としても良い。
【0031】
各スイッチ素子SW1〜SW9は、図6に示したように、データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBにどのようなデータ(H又はLレベルのデータ)を伝送するかに応じて、図3に示した制御回路6によりON−OFF切り換えされる。各スイッチ素子SW1〜SW9をどの組み合わせで駆動した場合においても、電源VDDからグランドVSSに流れる電流が、データ線ペアData−A、Data−XA及びストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBの全体が一本の電流経路として流れるように制御回路6で制御され、データ線ペアData−A、Data−XAを駆動するDC電流を用いてストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBを駆動することが可能な構成をとっている。
【0032】
(出力回路の変形例)
図7は、本実施の形態の半導体集積回路システムに用いる出力回路5の変形例を示す。
【0033】
同図の出力回路5’において、VDDは電源、VSSはグランド、IS11、IS12は電源VDDに接続された第1の電流源、IS13、IS14はグランドVSSに接続された第2の電流源、SW11,SW12,SW17,SW18はスイッチ素子、SW13〜SW16は各々第1ないし第4のスイッチ素子、Data−A、Data−XAはデータ線ペア、Strobe−B、Strobe −XBはストローブ線ペアである。
【0034】
図7に示す出力回路5’は、基本的には、図5に示した出力回路5と同じ動作を行う。DC電流を流し続ける電流駆動型の出力回路5は、スイッチ素子での電圧降下分も利いてくるため、電流経路におけるスイッチ素子の数を減らすことも重要である。本変形例の出力回路5’では、データ線ペアData−A、Data−XAとストローブ線ペアStrobe−B、Strobe −XBとの間に、4個のスイッチ素子SW13〜SW16が配置される。スイッチ素子SW13は、データ線ペアの他方Data−XAとストローブ線ペアの一方Strobe−Bとを接続し、スイッチ素子SW14は、データ線ペアの一方Data−Aとストローブ線ペアの一方Strobe−Bとを接続し、スイッチ素子SW15は、データ線ペアの他方Data−XAとストローブ線ペアの他方Strobe−XBとを接続し、スイッチ素子SW16は、データ線ペアの一方Data−Aとストローブ線ペアの他方Strobe−XBとを接続する。
【0035】
図5の出力回路5では、2対のデータバスペアを同一電流経路で駆動するのに最大5個のスイッチ素子を用いるのに対し、本変形例では、最大3個のスイッチ素子しか介さない。従って、出力回路5’での電圧降下分が少なくなるので、図5の出力回路5よりも多くのデータバスペアを同一電流経路の形で駆動することが可能になる。
【0036】
本変形例においても、図8に示すように、データバスペアにどのようなデータを伝送するかに応じて、各スイッチ素子SW11〜SW18を制御回路6でON−OFF切り換えする。図5及び図7の出力回路5、5’共に半導体集積回路に組み込む場合には、出力回路5、5’の前段に、図6及び図8に示す切換制御を行う制御回路6が第1のチップ1内に設けられる。
【0037】
(出力回路の他の変形例)
図9は、本実施の形態の半導体集積回路システムに用いる出力回路の他の変形例を示す。
【0038】
同図の出力回路5’’において、IS21〜IS24は電流源、SW21〜SW40はスイッチ素子、Data−A、Data−XA、Data−B、Data−XB、Data−C、Data−XCは各々各ポートのデータバスペア、RD35〜RD40は疑似終端抵抗、VDDは電源、VSSはグランドである。図9に示す出力回路5’’は、3対のデータバスペアと接続されているが、基本的には図5の出力回路5’と同じ動作を行う。
【0039】
本変形例では、出力回路5’’の特徴は、各ポートを不活性にした場合にそのポートが動作しているかのように振る舞う疑似回路を設けた点である。例えば、データバスペアData−A、Data−XAのポートを不活性にした場合に、単に出力を切り離すだけでは、同一電流経路の形で駆動を行っている他のデータバスペアData−B,Data−XB、Data−C,Data−XCのポートの系のインピーダンスが変化して、これ等2つのポートの電圧レベルが大きく変化してしまう。その結果、この2つのポートに接続される受信側の受信能力を大きく変化させてしまい、高速で動作する際のタイミング調整が適切でなくなる。本変形例では、この問題を解決するために不活性にしたポートがある場合でも、全ポートが動作しているようにするために、抵抗とスイッチ素子で構成した疑似回路が設けられる。
【0040】
即ち、抵抗RD35及びスイッチ素子SW35で構成される疑似回路11及び抵抗RD36及びスイッチ素子SW36で構成される疑似回路12はデータバスペアData−A、Data−XA用、抵抗RD37及びスイッチ素子SW37で構成される疑似回路13及び抵抗RD38及びスイッチ素子SW38で構成される疑似回路14はデータバスペアData−B、Data−XB用、抵抗RD39及びスイッチ素子SW39で構成される疑似回路15及び抵抗RD40及びスイッチ素子SW40で構成される疑似回路16はデータバスペアData−C、Data−XC用である。
【0041】
例えば、データバスペアData−A、Data−XAのポートが不活性の場合には、スイッチ素子SW35、SW36をオンさせて、疑似終端素子RD35、RD36に電流を流し、あたかもデータバスペアData−A、Data−XAに電流が流れたように、他の2つのポートに対して電圧レベルを与える。以上の構成により、不活性のポートが存在する場合においても、受信側の回路は、全ポートが動作している時と同じ条件で動作することができる。
【0042】
本変形例においても、図10に示すように、各データバスペアにどのようなデータを伝送するかに応じて、各スイッチ素子SW21〜SW40を制御回路6でON−OFF切り換えする。図9の出力回路5’’も、半導体集積回路に組み込む場合には、図10の制御を行う制御回路6を出力回路5’’の前段に設けることが必要である。
【0043】
本変形例では、電源VDDの電圧を3vに設定した場合、3つのデータバスペア(Data−A,Data−XA)、(Data−B,Data−XB)、(Data−C,Data−XC)で各々、200mvの振幅が得られることがシミュレーションにより確認できた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項9記載の発明によれば、IEEE1394のような高速データ伝送のための電流駆動型のデータ伝送方式において、何れかのデータバスペアを電流駆動した際の電流を他のデータバスペアの電流駆動に利用したので、データ伝送に要する消費電流を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体集積回路システムの原理図である。
【図2】本発明の半導体集積回路システムの原理における模式的なタイミングチャートを示す図である。
【図3】本発明の原理をIEEE1394に適応した半導体集積回路システムの実施の形態を示す図である。
【図4】同実施の形態の半導体集積回路システムに備える入力回路の具体的構成を示す図である。
【図5】同実施の形態の半導体集積回路システムに備える出力回路の具体的構成を示す図である。
【図6】同出力回路を制御する制御回路の動作説明図である。
【図7】本発明の実施の形態の半導体集積回路システに備える出力回路の変形例を示す図である。
【図8】同出力回路を制御する制御回路の動作説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の半導体集積回路システに備える出力回路の他の変形例を示す図である。
【図10】同出力回路を制御する制御回路の動作説明図である。
【符号の説明】
1 第1のチップ
2 第2のチップ
DBA、DBB データバスペア(相補型データバス)
RA,RB,RA1,RA2,RB1,RB2 終端抵抗
VDD 電源(第1の電源)
VSS グランド(第2の電源)
4 駆動回路
5、5’、5’’ 出力回路
6 制御回路
Data−A、Data−XA データ線ペア
(相補型データバス)、(データバスペア)
Strobe−B、Strobe−XB ストローブ線ペア
(相補型データバス)、(データバスペア)
7 入力回路
IS1,IS2,IS11,IS12 第1の電流源
IS3,IS4,IS13,IS14 第2の電流源
SW1,SW13 第1のスイッチ素子
SW2 第2のスイッチ素子
SW3〜SW7 第5のスイッチ素子
SW8 第3のスイッチ素子
SW9 第4のスイッチ素子
SW13 第1のスイッチ素子
SW14 第2のスイッチ素子
SW15 第3のスイッチ素子
SW16 第4のスイッチ素子
10 経路変更手段
11〜16 疑似回路

Claims (9)

  1. 第1のチップ及び第2のチップと、
    抵抗素子で終端された複数の相補型データバスとを備え、
    前記複数の相補型データバスを用いて前記第1及び第2のチップ間でデータ伝送を行う半導体集積回路システムであって、
    前記複数の相補型データバスを電流駆動する電流駆動型の駆動回路と、
    前記複数の相補型のデータバスを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段と
    を備えたことを特徴とする半導体集積回路システム。
  2. 前記複数の相補型データバスは、各々、
    データ線ペアの一方が前記第1のチップから第2のチップへ電流を流し、他方が前記第2のチップから第1のチップに対し電流を流す
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路システム。
  3. 各相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差を入力する入力回路を有し、
    前記入力回路は、前記各相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差の中心電位のレンジを全て含むワイドレンジ型の入力回路で構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路システム。
  4. 前記複数の相補型データバスの終端抵抗に現れる電位差の中心電位は、全体として、電源電位側又はグランド側に偏る
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路システム。
  5. 抵抗素子で終端された複数のデータバスペアが接続される半導体集積回路であって、
    前記複数のデータバスペアを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段を備え、
    前記経路変更手段は、
    第1の電源に接続される第1の電流源と、
    第2の電源に接続される第2の電流源と、
    前記第1の電流源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかに電流を供給する制御を行う第1及び第2のスイッチ素子と、
    前記第2の電流源に接続され、前記複数のデータバスペアの他の何れかから電流を引き抜く制御を行う第3及び第4のスイッチ素子と、
    前記複数のデータバスペア間を接続する第5のスイッチ素子と
    を備えたことを特徴とする半導体集積回路。
  6. 前記経路変更手段は、更に、前記第1ないし第5のスイッチ素子を制御する制御回路を有し、
    前記制御回路は、前記経路変更手段の第1ないし第5のスイッチ素子と共に同一チップ上に配置される
    ことを特徴とする請求項5記載の半導体集積回路。
  7. 抵抗素子で終端された複数のデータバスペアが接続される半導体集積回路であって、
    前記複数のデータバスペアを電源及びグランド間で一本の電流経路とし、且つこの電流経路を変更する経路変更手段を備え、
    前記経路変更手段は、
    第1の電源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかに電流を供給する第1の電流源と、
    第2の電源に接続され、前記複数のデータバスペアの何れかから電流を引き抜く第2の電流源と、
    前記複数のデータバスペアのうち隣接するデータバスペア間でデータ線同志を接続する第1ないし第4のスイッチ素子と
    を備えたことを特徴とする半導体集積回路。
  8. 前記経路変更手段は、更に、前記第1及び第2のスイッチ素子を制御する制御回路を有し、
    前記制御回路は、前記経路変更手段の第1及び第2のスイッチ素子と共に同一チップ上に配置される
    ことを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路。
  9. 別途、各データバスペアに対応して設けられ、対応するデータバスペアにデータが伝送されない不活性状態の時、この不活性状態のデータバスペア以外のデータバスペアから見て、前記不活性状態のデータバスペアを擬似的に活性状態と同じ状態にする疑似回路を備える
    ことを特徴とする請求項5、6、7又は8記載の半導体集積回路。
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