JP3592369B2 - ミシンの針糸供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ミシンの針糸供給装置に関し、特に縫い始め時における針糸供給の制御を行なうミシンの針糸供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ミシンの針糸供給装置として、先に本出願人の出願した特願昭57−54696号に記載されたものがある。この装置は、図16に示すように、主軸201に固定されたカム202に追従して揺動し、それによって針糸Tの経路を変位させて糸を糸供給源(図示せず)から引き出す糸繰出し体203と、糸繰出し体203よりも針(図示せず)側の針糸経路に配置され、糸繰出し体203により針糸経路が屈曲されるとき(このとき、図示しない天秤は針糸Tを弛緩している)に針糸Tを係止する糸制御体(電磁石)204と、糸繰出し体203よりも針糸供給源側の針糸経路に配置され、針糸Tの繰出しにより回転して針糸Tの繰出し量を検出する検出手段205と、糸繰出し体203よりも針糸供給源側の針糸経路に配置されて検出手段205からの検知出力(繰出し糸量)とROM(Read Only Memory)等の記憶手段の記憶データ(一縫い目に要する糸量)とが一致するとき針糸Tを係止する他方の糸制御体(電磁石)206と、それらの構成要素よりも針糸供給源側の針糸経路に配置された糸調子器207とにより構成されており、各縫い目毎に縫い目の結節に要する必要糸量を繰り出すようになっている。
【0003】
上述したような所謂自動糸調子機構を有するミシンでは、縫い始め時に、針糸経路に針糸Tの弛みがある場合に、第一針目から必要糸量が次々繰り出されると、図17に示すように、針糸Tと下糸Uの結節点が布W1 ,W2 の下方に出る、所謂下吊りの状態が数針にわたって続いてしまうという欠点があった。
【0004】
そこで、本出願人は上記欠点を解消すべく改良を加え、先に特公平2−49758号の出願を行なった。この特公平2−49758号によれば、図16に示した装置において、縫い始め時に、先ず糸制御体204,206を解放状態に保持して針糸Tの弛み分のみで縫い目を形成し、その弛み分が消費され、針糸Tの緊張により検出手段205が回転して最初の検知信号が発せられた時点で、通常の糸繰出し動作が行なわれるので、縫い始めにおける縫い目の下吊り状態が速やかに解消されるという効果が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公平2−49758号の技術では、検出手段205が最初の検知信号を発生した時点から通常の糸繰出し動作を行なうため、以下のような問題点があった。
即ち、布W1 ,W2 が厚地である場合や縫い目が長い場合(即ち、針振り量や布送り量が大きい場合)には、図18に示すように、布W1 ,W2 に刺さった針が少し上昇した程度の結節点S1 で針糸Tに緊張が発生して検出手段205から検知信号が発せられてしまい、それ以後、針糸Tの繰出しが行なわれるので、結節点が布W1 ,W2 の境界よりも上側と下側に交互にでき易いというものである。
また、布W1 ,W2 が薄地である場合や縫い目が短い場合(即ち、針振り量や布送り量が小さい場合)には、布と針糸との摩擦抵抗が小さいために針糸Tに緊張が発生し難く、図19に示すように、針が布W1 ,W2 から抜ける直前の結節点S2 で針糸Tに緊張が発生し、検出手段205から検知信号が発せられるので、図18の場合と同様に、結節点が上側と下側に交互にでき易い。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、布厚の大小や、針振り量及び布送り量による縫い目長さの大小にかかわらず、針糸の繰出しを最適なタイミングで開始し、以ってきれいな縫い目を形成することのできるミシンの針糸供給装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
各縫い目毎にその縫い目の結節に要する針糸の必要糸量を演算して求める糸量演算手段と、
該糸量演算手段で求めた必要糸量情報に基づき、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正を行って補正糸量情報を生成し、その補正糸量情報による針糸移動量に相当する緊張継続区間に対して、針糸経路内の針糸の弛み分が実際に移動することによる緊張継続区間を検知して比較する縫い始め制御手段と、該縫い始め制御手段の比較結果に基づいて、前記実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が前記補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致するまで、針糸供給源からの針糸の積極的な供給を禁止するとともに、針糸経路内の針糸を移動自在な状態に保持し、一方、同実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が同補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した後に、各縫い目毎に針糸を前記糸量演算手段で求めた必要糸量だけ前記針糸供給源から繰り出す糸繰出し手段と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明において、前記補正糸量情報は、
請求項2記載の発明のように、
互いに縫い合わされる複数の被縫製物の厚さの合計値に、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正値を乗じた糸量の情報であってもよいし、
請求項3記載の発明のように、
互いに縫い合わされる複数の被縫製物の厚さの合計値と結節する縫い目の長さとを加算した値に、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正値を乗じた糸量の情報であってもよい。
【0009】
【作用】
本発明に係るミシンの針糸供給装置によれば、各縫い目毎にその縫い目の結節に要する針糸の必要糸量を演算して求める糸量演算手段と、該糸量演算手段で求めた必要糸量情報に基づき、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正を行って補正糸量情報を生成し、その補正糸量情報による針糸移動量に相当する緊張継続区間に対して、針糸経路内の針糸の弛み分が実際に移動することによる緊張継続区間を検知して比較する縫い始め制御手段と、該縫い始め制御手段の比較結果に基づいて、前記実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が前記補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致するまで、針糸供給源からの針糸の積極的な供給を禁止するとともに、針糸経路内の針糸を移動自在な状態に保持し、一方、同実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が同補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した後に、各縫い目毎に針糸を前記糸量演算手段で求めた必要糸量だけ前記針糸供給源から繰り出す糸繰出し手段とを備えた構成としたため、縫い始め時に、先ず針糸経路における針糸の弛み分が縫い目の形成に消費され、しかる後に針糸に緊張が生じ、その緊張の継続区間が補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した直後から、初めて通常の糸繰出しが開始される。
従って、布厚の大小や、針振り量及び布送り量による縫い目長さの大小にかかわらず、針糸と下糸とが所定位置で結節された後に次々糸繰出しが行なわれることとなり、きれいな縫い目が形成される。
【0010】
【実施例】
本発明に係るミシンの針糸供給装置の一実施例を、図1乃至図15に基づき、以下に説明する。
この針糸供給装置は、図1〜図4に示すように、針糸供給源である糸巻5から糸調子器7、第一保持手段8、繰出し検出装置9、繰出し装置10、第二保持手段11及び天秤6を経て針3に至る針糸経路において、図8及び図10に示す縫い始め制御手段100により、縫い始め時に第一保持手段8及び第二保持手段11の針糸保持機構をそれぞれ解放状態とし、前記針糸経路内の針糸Tの弛み分の移動による緊張が、針糸Tと下糸との結節を所定位置で行ない得るような補正を行なった分だけ継続した直後から、第一保持手段8及び第二保持手段11に対して通常の糸繰出し動作を行なわせるようにしたものである。
【0011】
先ず、図1乃至図7を参照しながら針糸供給装置の機械部の構成について説明する。
図1〜図4に示すように、ミシンは、ミシンモータ等の駆動源に連動して回転する主軸2と、針糸Tをもつ針3が下端に固定され且つ主軸2に連動して上下動する針棒4と、糸巻5及び針3間の針糸Tを支持し且つ緊張・弛緩させるように主軸2に連動して二位置間を往復動する天秤6と、更には適宜に発生される糸切り信号に関連して作動することにより布に連なる針糸Tをベッド下方において切断する糸切り装置(図示せず)や下糸ボビンへの糸巻装置93等とを備え、且つ針棒4の振り幅や送り歯の送り量及びそれらの方向が予め記憶装置に記憶された情報に基づいて制御される公知のものである。
ここで、針糸Tは図2のように糸巻5より糸調子器7、第一保持手段8、繰出し検出装置9、第二保持手段11及び周知の糸取りばねを経由して上記天秤6に掛け渡されている。
【0012】
繰出し装置10は、図14に示すように、第一保持手段8と第二保持手段11間の針糸経路の長さを、針3がベッド面よりも下方に位置している時期に増大させ、また天秤6による針糸緊張時までに最短にするものであり、繰出し腕12を有している。
繰出し腕12は、図1、図2及び図4に示すように、上下に傾斜した誘導面12aとその下方に位置する略U字状の糸保持溝12bとを有し、垂直に固定配置された二枚の案内板13,14に形成された孔13a(図には、案内板14の孔は表れていない。)に対して貫通配置されている。そして、繰出し腕12の基部は、固定軸15に支持されたリンク16、及び固定軸17に支持されたリンク19の各自由端に軸支されている。
リンク19は、機枠との間に掛け渡されたばね20により、主軸2とともに回転するカム体18のカム面に追従して動くようになっている。
【0013】
繰出し検出装置9は、図2、図3及び図4に示すように、針糸Tが糸巻5から繰出し腕12へ向って移動する長さを検出するもので、針糸Tを巻き掛けるV溝21aを有するプーリー21と、プーリー21が一定角度回転する毎に一個のパルスを発生するエンコーダ22とからなる。
【0014】
糸調子器7は、図1、図2及び図7に示すように、針糸Tを軽く張らせてプーリー21に密着して巻き付かせるために、針糸Tに常に一定の弱い通過抵抗を与えるもので、糸押え23を有している。
糸押え23及びこれと協働する糸抜け防止板24は、機枠に対して垂直に固定された基板25から水平に突出する支軸26,27に、摺動自在に支持されている。糸抜け防止板24は、支軸26に取着されたリング28により摺動範囲が制限されており、その自由端24aは糸押え23及び基板25に形成された孔23a,25aに対して上方から斜め下方に進入されている。
また、支軸26に外嵌されたコイルばね29は、糸押え23を基板25に向けて押圧するものであり、支軸27に外嵌されたコイルばね30は、主に糸抜け防止板24にその自由端24aが孔25aに向かう回転モーメントを付与するものである。
【0015】
第一保持手段8は、図1乃至図3及び図5に示すように、電磁石31の励磁・非励磁によりアーマチュアとしての保持板32を吸引・解放し、それによって保持板32とそれに対向するヨーク33との間に通された針糸Tを通過不可能に挟持しまたは通過可能に解放するものである。
保持板32は、ヨーク33に立設された軸34,35により上下動可能に支持されており、常には下方へコイルばね36の弱い弾性力が与えられていて、電磁石31による吸引力の立上りが速められている。
なお、ヨーク33の上面は、繰出し検出装置9におけるプーリー21のV溝21a、糸調子器7における糸抜け防止板24と糸押え23との交点P(図7参照)、及び機枠に軸支されたローラー96のV溝96aを結ぶ直線と同一高さかそれよりも上方に位置するように配置されており、針糸Tの張力により保持板32がコイルばね36に抗して上方に浮き上らないように、即ち保持板32がばね36の弱い弾性力で常にはヨーク33の上面に圧接されるようになっている。
【0016】
第二保持手段11は、上記第一保持手段8と基本的には同様の構成であり、図2及び図6に示すように、電磁石37の励磁・非励磁によりアーマチュアとしての保持板38を吸引・解放し、それによって保持板38とそれに対向するヨーク39との間に通された針糸Tを通過不可能または可能に挟持・解放するものである。
保持板38は、電磁石37の支持枠40の二又突起40aを支点に揺動可能に支持され、且つ常にはヨーク39から離れる方向にコイルばね41の弾性力を受けている。そして、この弾性力による保持板38の揺動位置(弾性復帰位置)を規制する規制部体42が合成樹脂によりヨーク39と一体に形成されており、保持板38と鉄心43との対向面間の距離Sが常に一定に保たれている。また、鉄心43とヨーク39に吸着された時の保持板38との対向面間には一定の隙間Sが設けられており、電磁石37を消磁した時に保持板38の鉄心43からの離れが残留磁気により遅れるのを防止している。
【0017】
操作レバー44は、図1乃至図3に示すように、押上げ、ニュートラル、糸切りの各態様に対応するイ・ロ・ハの三位置に回動可能に支持されている。この操作レバー44には、下端に布押え足(図示せず)をもつ押え棒45を押えばね46に抗して上昇させるための押え上げカム47と、糸調子器7及び第一保持手段8における針糸Tの挟圧力を解放するための糸緩めカム48とが一体に支持されている。
押え上げカム47には、操作レバー44を「イ」の位置に回動した時に押え棒45を上昇させるように、押え棒45と一体の押え棒抱き49の下面が対向配置されている。
また、糸緩めカム48には、操作レバー44を「イ」または「ハ」の位置に回動した時に糸押え23をばね29に抗して図7に二点鎖線で示した位置に移動させるとともに、保持板32をばね36に抗して上方に押し上げるように作用するリンク機構に連結された追従子50に対向配置されている。追従子50は、軸51を中心に揺動自在になっており、その揺動運動は糸押え23に対しては軸52,53に支持されたリンク54,55を介して伝達される。また、リンク54の二又部54aには、上端に保持板32の係止部32aが遊嵌された二又部をもつ連杆56の下方部が垂直に遊嵌配置されるとともに、その連杆56の水平突出部57との間にはばね36よりもばね定数の大きなコイルばね58が配置されている。
【0018】
図1、図2及び図4に示すように、第一保持手段8の保持板32及び繰出し検出装置9のプーリー21は、面部機枠59の上面より突出しているとともに、中空のカバー60により覆われている。
このカバー60の三方の側面60a,60b,60cは、下方が自身の内側に向かうように傾斜されている。それによって、針糸Tをカバー60の側面60a,60b,60cに巻き掛けて引張るだけで、針糸Tが側面60a,60b,60cの各傾斜面に沿って自然に滑り落ち、第一保持手段8及び繰出し検出装置9に対してセットされる。
【0019】
次に、図8乃至図13を参照しながら針糸供給装置の電気回路の構成について説明する。
この針糸供給装置は、図8に示すように、縫い始め時における第一保持手段8及び第二保持手段11のそれぞれの作動制御を行なう縫い始め制御手段100、布厚や予めROM(Read Only Memory)やフロッピィ・ディスク等の記憶媒体に記憶された縫いパターンのデータに基づいて各縫い目毎にその縫い目の形成に要する必要糸量を演算して求める糸量演算手段110、第一保持手段8及び第二保持手段11並びにそれらの駆動手段からなる糸繰出し手段120、及びミシンのその他の駆動等の制御を行なうミシン制御手段130を有している。
【0020】
糸量演算手段110について説明する。
図9は、糸量演算手段110の一電気回路例を示す図であるが、同図において、61は位置検出装置、62は布厚検出装置、66は記憶回路、67は模様制御回路、68,69,70,76はそれぞれラッチ回路、71は針振りステッピングモータ(ST.M)、73は送りステッピングモータ(ST.M)、72,74はそれぞれ駆動回路、75は設定装置、78は比較回路、79はカウンタである。また、糸量演算手段110には、モノマルチバイブレータ(ワンショット)MS、インバータI、A/D変換器及びフリップフロップFFが設けられている。
【0021】
位置検出装置61は、図2のように主軸2に固定された回転板61aと、それぞれを検出する検出器61bとからなり、針3がベッド平面に突刺った直後から針3がベッド平面より抜け上った直後までの主軸2の回転角を検出して低レベル(以下、Lとする。)の位置信号を発生し、これ以外の時期には高レベル(以下、Hとする。)の位置信号を発生して、その位置信号を模様制御回路67、ラッチ回路68,69,70,76、カウンタ79及びフリップフロップFFに出力する。また、位置検出装置61は、位置信号を信号線L,Lを介してそれぞれ縫い始め制御手段100及びミシン制御手段130に出力する。
【0022】
布厚検出装置62は、図3及び図4のように押え棒45の上下動に連動して正逆回転する可動部62aと、その回転位置に対応する電圧(布厚信号D)を発生するボリューム62bとからなり、その布厚信号DをA/D変換器でディジタル変換してラッチ回路76に出力する。
【0023】
記憶回路66は、各縫い目毎の針3の振り幅に関する情報(振り幅信号Y)及び布送り歯(図示せず)の水平移動量に関する情報(送り量信号X)を記憶している。そして、位置検出装置61の出力の立上り時に次の縫い目に対応する記憶情報が模様制御回路67を介して読み出される。読み出された情報は、振り幅信号Y、送り量信号Xとしてラッチ回路68に送られると同時に、振り幅信号Yはラッチ回路69に、また送り量信号Xはラッチ回路70にも送られる。
【0024】
ここで、ラッチ回路69は、位置検出装置61の出力(位置信号)の立上りに関連してモノマルチバイブレータ(ワンショット)MS及びインバータIを介して動作し、一方、ラッチ回路68,70,76は上記位置信号の立下がりに関連して動作する。各ラッチ回路68,69,70,76は、その動作により入力信号をそのまま出力する。
【0025】
針振りステッピングモータ71は、針棒揺動機構を作動するものであり、ラッチ回路69の出力を受けた駆動回路72により駆動される。
【0026】
送りステッピングモータ73は、布送り機構を作動するものであり、ラッチ回路70の出力を受けた駆動回路74により駆動される。
【0027】
設定装置75は、ラッチ回路68及びこれと同様に動作するラッチ回路76を介して入力される上記各信号X,Y,Dに基づいて一縫い目形成毎に必要な針糸繰出し量(必要糸量)を設定するものである。具体的には、例えば図13に示したように、送り量信号Xの2乗値と振り幅信号Yの2乗値を加算した値Pに定数kを乗した値kと、Pの平方根に定数kを乗した値kPとを加算して「k+kP」とし、これに布厚信号Dに定数kを乗した値を加えて「k+kP+kD」とし、更にこれに定数kを加算して求めた値を設定信号Aとして比較回路78に出力する。また、設定装置75は、必要糸量情報として、例えば設定信号Aを信号線Lを介して縫い始め制御手段100に出力する。
【0028】
なお、設定装置75においては、第一保持手段8及び第二保持手段11における各保持板32,38の応答動作の遅れによる繰出し糸量の誤差を修正した値(図15における理論値)を設定信号Aとしている。
【0029】
比較回路78は、設定装置75とカウンタ79との出力の値が一致した時にHの信号を生成してフリップフロップFFに出力する。
【0030】
カウンタ79は、繰出し検出装置9の出力パルスを計数した値を比較回路78に出力するとともに、位置信号の立下りによりリセットされる。
【0031】
フリップフロップFFは、比較回路78のH信号を受けて動作状態となるとともに、位置信号の立下りに関連して非動作状態にリセットされ、Q端子出力を信号線Lを介して糸繰出し手段120に送る。
【0032】
本発明の特徴部分である縫い始め制御手段100について説明する。
図10は、縫い始め制御手段100の一電気回路例を示す図であるが、同図において、82は初期設定回路、97は第二設定装置、98はカウンタ、99は比較回路、101はミシン・ストップ信号回路である。また、縫い始め制御手段100には、ワンショットMS、オアゲートG、インバータI及びフリップフロップFF,FFが設けられている。
【0033】
第二設定装置97は、信号線Lを介して設定装置75から入力する設定信号Aを受け取り、その値に対して針糸と下糸との結節が所定位置、即ち互いに縫い合わされる上側の布と下側の布との境界部またはその近傍に位置するような補正を行って補正信号B(補正糸量情報)を生成し、その補正信号Bを比較回路99に出力する。具体的には、補正信号Bは、設定信号Aの値の2分の1倍や3分の2倍などの値である。
【0034】
比較回路99は、第二設定装置97の出力する補正信号Bの値とカウンタ98の出力値とが一致した時にHの信号を生成してフリップフロップFFに出力する。
【0035】
カウンタ98は、信号線Lを介して入力する繰出し検出装置9の出力パルスを計数した値を比較回路99に出力するとともに、信号線Lを介して入力する位置信号の立下りによりリセットされる。
【0036】
フリップフロップFFは、比較回路99のH信号を受けて動作状態となるとともに、ミシン停止操作時にミシン・ストップ信号回路101の出力するミシン・ストップ信号により動作するワンショットMSの立下がり信号と、電源投入時または模様選択時に初期設定回路82の出力するL信号とに基づいてオアゲートGの出力する立下がり信号に関連して非動作状態にリセットされ、そのQ ̄ (但し、本明細書中ではQ ̄ はQの反転を意味する。)端子出力をフリップフロップFFのリセット端子Rに送る。
【0037】
フリップフロップFFは、信号線Lを介して位置検出装置61から送られてきた立下がり信号をインバータIで反転してなる立上り信号を受けて動作状態となるとともに、フリップフロップFFのQ ̄ 端子出力を受けて非動作状態にリセットされ、そのQ端子出力を信号線Lを介して糸繰出し手段120に送る。
【0038】
糸繰出し手段120について説明する。
図11は、糸繰出し手段120の一電気回路例を示す図であるが、同図において、31は第一保持手段8の電磁石(第一電磁石)、37は第二保持手段11の電磁石(第二電磁石)、80,81はそれぞれ作動回路である。また、糸繰出し手段120には、アンドゲートG,G及びインバータIが設けられている。
【0039】
第一電磁石31は、作動回路80を介して入力するアンドゲートGのH信号により励磁し、L信号により消磁する。
アンドゲートGには、信号線Lを介して糸量演算手段110のフリップフロップFFのQ端子出力と、信号線Lを介して縫い始め制御手段100のフリップフロップFFのQ端子出力と、信号線Lを介して後述するミシン制御手段130の押え上昇スイッチ63の出力と、信号線Lを介してミシン制御手段130のノアゲードGの出力と、が入力される。
【0040】
同様に、第二電磁石37は、作動回路81を介して入力するアンドゲートGのH信号により励磁し、L信号により消磁する。
アンドゲートGには、信号線Lを介しインバータIで反転された糸量演算手段110のフリップフロップFFのQ端子出力と、信号線Lを介して縫い始め制御手段100のフリップフロップFFのQ端子出力と、信号線Lを介して後述するミシン制御手段130の押え上昇スイッチ63の出力と、信号線Lを介してミシン制御手段130のノアゲードGの出力と、が入力される。
【0041】
ミシン制御手段130について説明する。
図12は、ミシン制御手段130の一電気回路例を示す図であるが、同図において、63は押え上昇スイッチ、84,85,86,87はそれぞれカウンタ、88,91はそれぞれ比較回路、89は糸巻量設定装置、90は記憶回路、92は警報装置、95はモータ停止回路である。また、ミシン制御手段130には、ワンショットMS,MS,MS、アンドゲートG,G,G、ノアゲードG、インバータI,I及びフリップフロップFF,FFが設けられている。
【0042】
押え上昇スイッチ63は、布押え足を上昇させることに関連してその時針3がベッド面から抜け上っている上停止区間であれば両保持手段8,11から針糸Tを解放させるものであり、図3のようにリンク54の揺動経路内に配置され、操作レバー44を「イ」または「ハ」の位置に移動操作することに関連してHの信号を発生し、その発生信号をアンドゲートG及びインバータIを介して上記糸繰出し手段120のアンドゲートG,Gに出力する。
【0043】
フリップフロップFFは、縫い始めから繰出し検出装置9の出力がない場合に針糸Tの消費または切断と判断するもので、信号線Lを介して繰出し検出装置9の出力パルスを受けて動作状態となり、ミシン・スタート信号を受けて動作するワンショットMSの出力の立上りに関連して非動作状態にリセットされるようになっているとともに、そのQ端子出力をアンドゲートGに、またQ ̄ 端子出力をアンドゲートGにそれぞれ送る。
【0044】
フリップフロップFFは、縫製中に繰出し検出装置9からの出力が発生しなくなった場合に針糸Tの消費または切断と判断するもので、信号線Lを介して繰出し検出装置9の出力パルスを受けて動作状態となり、信号線Lを介して入力する位置検出装置61の出力の立下りに関連してリセットされるとともに、そのQ端子出力をインバータIを介してアンドゲートGに送る。
【0045】
カウンタ84,85は、信号線Lを介して入力する位置検出装置61の信号の立上りを計数し、その値が予め設定した値に達することに関連してその出力をLからHに反転する。カウンタ84は、ワンショットMSの立上りによりリセットされ、またカウンタ85はフリップフロップFFの出力の立上りによりリセットされる。
【0046】
カウンタ86,87は、共に信号線Lを介して入力する繰出し検出装置9の出力パルスを計数してその値を出力する。カウンタ86は、公知の下糸巻装置93を作用状態にセットすることに関連して発生する糸巻モード・オン信号を受けて動作するワンショットMSの出力の立上りによりリセットされ、またカウンタ87は、下糸巻装置93を不作用状態に解除することに関連して発生する糸巻モード・オフ信号を受けて動作するワンショットMSの出力の立上りによりリセットされる。
【0047】
比較回路88は、上記糸巻装置93によって下糸ボビン94に所望糸量を自動的に巻き取らせるものであり、適宜に設定される糸巻量設定装置89の出力値とカウンタ86の出力値とが一致することに関連してその出力を反転し、この時の出力によりモータ停止回路95を介してミシンモータを停止させるようになっているが、これに代えてソレノイドを励磁しその電磁力により糸巻装置93を不作用位置に移動させるようにしてもよい。
【0048】
記憶回路90は、糸巻装置93によって下糸ボビン94に巻き取られた糸量を記憶しておくものであり、カウンタ86の計数値を記憶し且つ常にはその記憶値を出力するとともに、ワンショットMSの出力の立上りにより記憶内容がクリアーされるようになっている。
【0049】
比較回路91は、下糸ボビン94に巻かれた糸量と同等の上糸量が消費されるのを検出するものであり、記憶回路90の出力とカウンタ87の出力とを比較し、双方が一致することに関連して一定時間H信号を出力する。比較回路91の出力は、ノアゲードG及びモータ停止回路95に送られる。
ノアゲードGにはブザー、ランプ等の警報装置92が接続されており、その警報装置92は、ノアゲードGの出力がLになったときに一定時間動作する。
【0050】
なお、一縫い目形成に必要な糸量は、後述するように繰出し腕12の繰出し運動と、両保持手段8,11の作動タイミングを制御することによって得られるものであるが、特に保持手段8の保持板32の動作の遅れは繰出し誤差の原因となる。そこで、実際の繰出し量が図15に示すように許容できる上限以上にはならないように、即ち図14に示す如く、繰出し腕12の繰出し運動が始めはゆっくりとしてその後半から次第に速くなるように前記カム体18のカム面は形成されている。
【0051】
次に、上記構成の針糸供給装置の作用を説明する。
第一保持手段8の第一電磁石31及び第二保持手段11の第二電磁石37は、何れも対応するゲートG,Gの4つの入力が全部Hになったとき励磁し、そのうちの1つがLになったときには消磁するが、正常の場合には後述するようにゲートG,Gに入力するゲートG,Gの出力がいずれもHになっているから、フリップフロップFF及びフリップフロップFFの出力状態によって励磁・非励磁するかが決まる。なお、縫い始め時を除く正規の糸繰出し時には、後述するようにフリップフロップFFの出力はHになっている。
【0052】
先ず、通常の縫製時における正規の糸繰出し動作について説明するが、その時には、針棒4、天秤6、繰出し腕12は図14のタイミング曲線に沿って往復動する。繰出し腕12の図2右方への往動は両保持手段8,11間の針糸経路を増大するものであるが、繰出し腕12が往動する直前までにフリップフロップFFが位置検出装置61のL出力によりリセットされており、ゲートGの出力はL、ゲートGの出力はHとなり、電磁石31が消磁すると同時に電磁石37が励磁する。つまり、一方の保持手段8では針糸Tを解放し他方の保持手段11では針糸Tを保持しているので、繰出し腕12の上記往動によって増大する針糸経路に相当する針糸Tが糸巻5から両保持手段8,11間に繰り込まれる。
【0053】
このときプーリー21が針糸Tの移動に伴って回動し、その回転角度に比例した数のクロックパルスが繰出し検出装置9から発生する。このクロックパルスはカウンタ79により計数されて比較回路78の一方の入力部に送られる。また、比較回路78の他方の入力部には、記憶回路66から読み出された送り量信号X、振り幅信号Y及び布厚検出装置62からの布厚信号Dに基づいて設定装置75で演算して求められた設定信号Aが入力されており、比較回路78はカウンタ79の計数値が設定信号Aの値と一致するとH信号を出力する。これによりフリップフロップFFの出力がLからHに反転するので、電磁石31は励磁し電磁石37は消磁する。
【0054】
従って、予定長さの針糸Tが両保持手段8,11間に繰り込まれた後には第一保持手段8が針糸Tを通過不可能に挟持して糸巻5からさらに繰り出されるのを阻止するとともに、第二保持手段11が針糸Tを通過自在に解放する。なお繰出し腕12の往動の途中で予定長さの針糸Tが繰り出されれば、その後の繰出し腕12の往動中は第二保持手段11と針3との間に弛んでいる針糸Tが両保持手段8,11間に一時的に引き戻される。
【0055】
また、繰出し腕12は次に針糸Tが天秤6によって緊張されるまでの間に復帰するので、その後の天秤6の上昇に伴って第一保持手段8と縫い目との間の針糸Tが次第に強く張られ、これにより縫い目が適切な強さで締められて結節される。以下同様の作用が一縫い目形成毎に繰返される。
【0056】
以上のように、正規の糸繰出し動作においては、送り量信号X、振り幅信号Y及び布厚信号Dに基づいて演算された必要糸量が一縫い目形成毎に繰り出されるが、縫い始めの数針間は正規の糸量を必要としない。
【0057】
そこで、縫製が開始されると、縫い始め時には、電源投入と同時に初期設定回路82から発せられるL信号と、ミシンの停止時にミシン・ストップ信号回路101からワンショットMSを介して発せられる立下がり信号とによりオアゲートGは立下がり信号を出力し、その立下がり信号によって、フリップフロップFFはリセット状態となる。このリセット状態においては、フリップフロップFFのQ ̄ 端子出力はHであり、フリップフロップFFのQ端子出力はLである。このフリップフロップFFのL出力によって、フリップフロップFFの出力にかかわらず、ゲートG,Gが閉じて第一電磁石31及び第二電磁石37は消磁したまま作動しない。従って、第一保持手段8及び第二保持手段11は、ともに針糸Tを解放する状態となるので、正規の糸繰出しが行なわれず、糸調子器7と針3との間の針糸経路における針糸Tの弛み分により縫い目が形成される。
【0058】
一方、縫製が開始されると、設定装置75の出力する設定信号Aは上記比較回路78に送られるとともに、第二設定装置97にも送られる。その設定信号Aは、第二設定装置97により設定信号Aの値を3分の2倍するという内容の補正がなされて補正信号Bに変換され、比較回路99に出力される。
【0059】
この時、カウンタ98は、位置検出装置61の出力信号によってリセットされていて、繰出し検出装置9が出力するパルスの計数を開始する状態にあるが、針糸経路に針糸Tの弛みがある場合には、繰出し検出装置9のプーリー21が回転しないので、カウンタ98での計数は行なわれない。針糸Tの弛み分が縫い始め時の縫い目の形成により消費されると、針糸Tの緊張即ち移動によりプーリー21が回転し、それによって繰出し検出装置9はクロックパルスを発生してカウンタ98に出力する。カウンタ98は、計数したクロックパルス数を比較回路99に出力する。カウンタ98の出力値と第二設定装置97の出力値とが一致する、即ち縫い始めにおける針糸Tの弛み分が縫い目の形成により消費されてしまって針糸Tの緊張が補正信号Bに基づく緊張継続区間に相当する区間だけ継続すると、比較回路99はフリップフロップFFに一致信号を出力する。
【0060】
フリップフロップFFは、その一致信号の入力により、Q ̄ 端子出力をHからLに変えてフリップフロップFFのリセット端子Rに出力し、それによってフリップフロップFFがリセットされる。この時、フリップフロップFFに、位置検出装置61の立下がりを受けてインバータIを介してH信号が入力されると、フリップフロップFFのQ端子出力はLからHに変わってゲートG,Gに入力される。従って、第一電磁石31及び第二電磁石37は、何れもフリップフロップFFの出力状態によってのみ励磁・非励磁が決まる正規の糸繰出し動作状態となり、以後その状態が継続される。
【0061】
布を針3を中心に旋回すべくミシンを針棒最下点付近で停止した場合には、布押え足を上昇させてもゲートGの出力がLのまま変化しないので、両保持手段8,11の状態はミシン停止前とは変らず、再びミシンを始動すれば引続き予定の縫い目が形成されるが、布を縫合部から取り出すべく針棒最上点付近でミシンを停止した場合には、布押え足を上昇させるとゲートGの出力がHになり、これによりゲートG,Gが閉じるので、電磁石31,37は消磁し両保持手段8,11とも針糸Tを解放する。
【0062】
なお、保持手段8について、前者の場合には保持板32が電磁力により吸引されているから、糸緩めカム48に連動してリンク54が図2時計方向に回動し連杆56が押し上げられても、ばね58が圧縮されるだけであるが、後者の場合には上記電磁力は発生しないから、保持板32がばね58を介して連杆56に連動し軸34を支点に上動する。
【0063】
糸巻装置93を作用状態にセットすると、カウンタ86及び記憶回路90がリセットされる。そこで糸巻量設定装置89を適宜に設定操作してからミシンを始動すると、針糸Tが糸巻5から下糸ボビン94に巻き取られ、その糸量は繰出し検出装置9及びカウンタ86を介して記憶回路90に記憶されるとともに、上記巻き量が設定量に達すると比較回路88の出力によりモータ停止回路95を介してミシンモータは停止する。また、縫製により消費される糸量は、繰出し検出装置9及びカウンタ87により検出され、その糸量が先に下糸ボビン94に巻き取られた糸量に達すると、比較回路91の出力に関連して警報装置92は一定時間動作するとともに、モータ停止回路95を介してミシンモータは停止する。
【0064】
縫製の途中で針糸Tが全部消費されたり切れたりして繰出し検出装置9の出力が止まった場合には、フリップフロップFFがセットされないので、位置検出装置61の立上り出力がカウンタ85により計数されることとなり、その設定値に対応する間に一度も繰出し検出装置9の出力が発生しない場合には、その時ゲートGの出力がHとなるから、モータ停止回路95を介してミシンが停止するとともに、警報装置92が一定時間作動し、またゲートG,Gが閉じて電磁石31,37も消磁する。
【0065】
上記実施例によれば、糸量演算手段110で各縫い目毎にその縫い目の結節に要する針糸の必要糸量を演算して求め、その必要糸量を設定信号Aとして糸繰出し手段120及び縫い始め制御手段100に出力し、縫い始め時には、縫い始め制御手段100で、設定信号Aに対して針糸Tと下糸との結節位置が所定位置になるような補正を行って補正信号Bを生成し、その補正信号Bに基づいて糸繰出し手段120の電磁石31,37を先ず非励磁状態にして針糸Tを解放状態とした後、針糸Tの緊張が補正信号Bに基づく緊張継続区間に相当する区間だけ継続した直後から、糸繰出し手段120の電磁石31,37に設定信号Aに基づいた正規の糸繰出し動作を行なわせるようにしたため、縫い始め時に、先ず針糸経路における針糸Tの弛み分が縫い目の形成に消費される。そして、その後に、針糸Tに緊張が生じ、その緊張の継続区間が針糸Tの必要糸量に対して補正した量の糸が移動するのに相当した糸量を検出した後に、初めて通常の糸繰出しが開始されるので、布厚の大小や、針振り量及び布送り量による縫い目長さの大小にかかわらず、針糸Tと下糸とが所定位置で結節された後に次々糸繰出しが行なわれることとなり、きれいな縫い目が形成される。
【0066】
なお、上記実施例においては、設定装置75は、第二設定装置97に送り量信号X、振り幅信号Y及び布厚信号Dに基づいて生成された設定信号Aを送り、第二設定装置97は設定信号Aの値に3分の2を補正値として乗じて補正信号Bを生成するとしたが、これに限らず、第二設定装置97は設定装置75から布厚信号Dを受け取り、布厚信号Dにのみ基づいて補正信号Bを生成するようになっていてもよい。
【0067】
また、設定信号Aの値に乗ずる補正値は3分の2に限らず、2分の1や3分の1など、針糸Tと下糸との結節位置を所定位置にし得るような値であれば如何なる値でもよく、さらには設定信号Aの値に補正値として定数を乗ずるだけでなく、実験等により針糸Tと下糸との結節位置が所定位置になるような実験式を求め、その実験式に基づいて設定信号Aの値を補正してもよい。
【0068】
さらにまた、縫い始め制御手段100は上記実施例の構成に限らず、縫い始め時に電磁石31,37を非励磁状態にして針糸経路における針糸Tの弛み分のみで縫い目を形成し、針糸Tの弛み分が消費された後、針糸Tの緊張が、一縫い目の形成に要する必要糸量に対して補正した量の糸の移動に相当する区間継続した時点で、正規の糸繰り出しを以後継続して行なうようになっていれば、種々変更可能であるのはいうまでもない。
【0069】
また、上記実施例においては、記憶回路66に予め記憶された送り量信号X及び振り幅信号Yを主軸2の一回転毎に読み出し、これら信号により送り機構及び針棒揺動機構の運動を一縫い目毎に制御して所定の模様を縫製可能とした型式のミシンにおいて、記憶回路66から読み出された上記各信号X,Yまたはこれら信号X,Yと布厚検出装置62から布押え足の上下位置の変化に対応して出力される布厚信号Dとに基づいて設定信号Aを一縫い目形成毎に演算して求めたが、送り量及び針振り量またはこれらと布厚の異なる条件ごとに予め実験的に求めて記憶装置に記憶しておいた糸量データ群から前記送り量信号X及び振り幅信号Yまたはこれらと布厚信号Dに基づいて対応する糸量データを読み出すようにしてもよい。
【0070】
さらに、上記実施例においては、記憶回路66に記憶した送り量信号X及び振り幅信号Yに基づいて送り機構及び針棒揺動機構を制御するミシンについて示したが、上記の記憶信号によらず作業者の手動操作によって送り量及び針振り量を制御するミシンに適用してもよい。そしてこの場合には、送り量及び針振り量の各設定態様に対応する検出信号またはこれらと布厚の検出信号とから、前述と同様に設定信号Aを演算して求めてもよいし、予め実験的に求めて記憶してある糸量データ群から対応する糸量データを読み出すようにしてもよい。
【0071】
さらにまた、上記実施例では針棒を布送り方向との交叉方向に揺動させる千鳥縫いミシンに適用したものを示したが、定位置で上下動する針棒に対して布をX−Y座標軸方向に移動して千鳥縫い目模様を縫製できるようにしたミシンに適用してもよい。この場合のミシンは、周知のごとく布をX座標軸方向とY座標軸方向に移動するための二個の独立した動力源、例えばモータを備えている。そして、一縫い目の形成に必要な針糸量は、布厚を無視すればX座標軸方向の布移動量の二乗値と、Y座標軸方向の布移動量の二乗値との和の平方根で表されるから、従って本実施例の送り量信号X及び振り幅信号Yに代えて、上記各モータの回動方向と角度を制御するための信号を用いればよい。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係るミシンの針糸供給装置によれば、各縫い目毎にその縫い目の結節に要する針糸の必要糸量を演算して求める糸量演算手段と、該糸量演算手段で求めた必要糸量情報に基づき、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正を行って補正糸量情報を生成し、その補正糸量情報による針糸移動量に相当する緊張継続区間に対して、針糸経路内の針糸の弛み分が実際に移動することによる緊張継続区間を検知して比較する縫い始め制御手段と、該縫い始め制御手段の比較結果に基づいて、前記実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が前記補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致するまで、針糸供給源からの針糸の積極的な供給を禁止するとともに、針糸経路内の針糸を移動自在な状態に保持し、一方、同実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が同補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した後に、各縫い目毎に針糸を前記糸量演算手段で求めた必要糸量だけ前記針糸供給源から繰り出す糸繰出し手段とを備えた構成としたため、縫い始め時に、先ず針糸経路における針糸の弛み分が縫い目の形成に消費され、しかる後に針糸に緊張が生じ、その緊張の継続区間が補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した直後に、初めて通常の糸繰出しが開始されるので、布厚の大小や、針振り量及び布送り量による縫い目長さの大小にかかわらず、針糸と下糸とが所定位置で結節された後に次々糸繰出しが行なわれることとなり、きれいな縫い目が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る針糸供給装置を適用したミシン頭部の部分斜視図である。
【図2】本発明に係る針糸供給装置の一例の斜視図である。
【図3】本発明に係る針糸供給装置の一例の部分正面図である。
【図4】本発明に係る針糸供給装置の一例の左側面図である。
【図5】本発明に係る針糸供給装置の第一保持手段の縦断面図である。
【図6】本発明に係る針糸供給装置の第二保持手段の縦断面図である。
【図7】本発明に係る針糸供給装置の糸調子器の縦断面図である。
【図8】本発明に係る針糸供給装置の電気回路の一例のブロック図である。
【図9】本発明に係る針糸供給装置の糸量演算手段の一電気回路例を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る針糸供給装置の縫い始め制御手段の一電気回路例を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る針糸供給装置の糸繰出し手段の一電気回路例を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る針糸供給装置のミシン制御手段の一電気回路例を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る針糸供給装置の設定装置の一例を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る針糸供給装置のタイムチャートである。
【図15】本発明に係る針糸供給装置に関し、理論的に求めた針糸の必要繰出し長さと、実際に繰り出される針糸長さとの関係を示す特性図である。
【図16】従来の針糸供給装置の斜視図である。
【図17】従来の針糸供給装置を有するミシンによる縫い目形状の説明図である。
【図18】従来の針糸供給装置を有するミシンによる縫い目形状の説明図である。
【図19】従来の針糸供給装置を有するミシンによる縫い目形状の説明図である。
【符号の説明】
A 設定信号(必要糸量情報)
B 補正信号(補正糸量情報)
T 針糸
5 糸巻(針糸供給源)
8 第一保持手段(糸繰出し手段)
10 繰出し装置(糸繰出し手段)
11 第二保持手段(糸繰出し手段)
75 設定装置(糸量演算手段)
97 第二設定装置(縫い始め制御手段)
100 縫い始め制御手段
110 糸量演算手段
120 糸繰出し手段

Claims (3)

  1. 各縫い目毎にその縫い目の結節に要する針糸の必要糸量を演算して求める糸量演算手段と、
    該糸量演算手段で求めた必要糸量情報に基づき、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正を行って補正糸量情報を生成し、その補正糸量情報による針糸移動量に相当する緊張継続区間に対して、針糸経路内の針糸の弛み分が実際に移動することによる緊張継続区間を検知して比較する縫い始め制御手段と、
    該縫い始め制御手段の比較結果に基づいて、前記実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が前記補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致するまで、針糸供給源からの針糸の積極的な供給を禁止するとともに、針糸経路内の針糸を移動自在な状態に保持し、一方、同実際に移動した針糸の弛み分による緊張継続区間が同補正糸量情報に基づく緊張継続区間に一致した後に、各縫い目毎に針糸を前記糸量演算手段で求めた必要糸量だけ前記針糸供給源から繰り出す糸繰出し手段と
    を備えたことを特徴とするミシンの針糸供給装置。
  2. 前記補正糸量情報は、互いに縫い合わされる複数の被縫製物の厚さの合計値に、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正値を乗じた糸量の情報であることを特徴とする請求項1記載のミシンの針糸供給装置。
  3. 前記補正糸量情報は、互いに縫い合わされる複数の被縫製物の厚さの合計値と結節する縫い目の長さとを加算した値に、針糸と下糸との結節位置が所定位置になるような補正値を乗じた糸量の情報であることを特徴とする請求項1記載のミシンの針糸供給装置。
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