JP3591721B2 - 表面処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送方向に延設されたガイドレールに支持された冶具を介して当該冶具に保持されたワークを搬送可能な搬送手段と、搬送中のワークに当該冶具を介して給電する給電手段とを有し、表面処理槽内でワークを連続搬送かつ給電しつつワークに表面処理を施す表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に示す表面処理装置は、搬送方向(図7で紙面に垂直方向)に延設されたガイドレール37P,このガイドレール37Pに支持された冶具20Pを介して当該冶具20Pに保持されたワークWを搬送可能な搬送手段30Pと,ガイドレール37Pを給電レール51Pとして利用した構成で搬送中のワークWに当該冶具20Pを介して給電する給電手段50Pとを有し、表面処理槽10内の表面処理液Q中でワークWを連続搬送しつつ表面処理を施すことができる。
【0003】
冶具20Pは、ガイドレール37Pに摺動可能に支持された移動体32Pに連結されている。かくして、表面処理槽10が電解処理槽(例えば、めっき処理槽)である場合には、外部電源からガイドレール37P,移動体32Pおよび冶具20Pを通してワークWに給電することができるわけである。
【0004】
一般的に、本装置のレイアウト的設計思想は、表面処理槽群はワークWの搬送方向に沿って列配置し、かつ左右方向は搬送軌跡を中心に図7で左右方向に対称とすることである。
【0005】
すなわち、搬送手段30Pを形成するガイドレール37Pは、各表面処理槽10の左右方向中心に配設されることになる。また、電解処理槽(例えば、めっき処理槽)からなる表面処理槽10の給電手段50Pとして、外部電源に接続されたガイドレール37P上を摺動する移動体32P側の集電子(図示省略)を含む給電手段50Pから冶具20Pを介して給電している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電解処理槽(例えば、めっき処理槽)を含む表面処理槽10では、上記の通り電解処理槽での給電を必須とすることから、電解処理槽内の両側に配設された電極(アノード)とワーク(カソード)との距離を等しくするために電解処理槽の搬送方向で上流側に配設される前処理槽群およびその下流側に配設される後処理槽群においても、左右方向中心として搬送手段30P(ガイドレール37P)および給電手段50P(給電レール51P)を設けている。
【0007】
しかも、ガイドレール37Pを給電レール51Pとして利用した給電手段50Pであるから、ガイドレール37Pを搬送手段30Pのみに利用する場合に比較して、ガイドレール37Pと移動体32P側の集電子(図示省略)との接触圧力を大きくする必要がある。
【0008】
かくして、いずれの表面処理槽10においても、摺動・移動するガイドレール37P(給電レール51P)と移動体32P(冶具20P)との摩擦により構成部品から塵埃が発生しかつその塵埃の殆んどが表面処理槽10の外部開口部10Uから当該表面処理液Q中に混入してしまう。
【0009】
かかる塵埃の発生は、表面処理対象製品によって許される場合と許されない場合とがある。装飾品の如きは許されても、電子部品(例えば、プリント配線基板)の場合は許され難い。換言すれば、電子部品のクリーニングルーム(生産現場)での環境(空気清浄度)が非常に高級になっているに対して、表面処理の場合にはそこまで気配りされていなかったといえる。
【0010】
つまり、従来装置では構成部品から生じかつ表面処理液Q中に混入した塵埃がガサやザラの原因になっていた。このガサやザラのない高品質な表面処理製品が強く求められている。例えば、プリント配線基板の線幅やピン間距離の一段の狭小化には、是非解決しなければならない課題となって来た。
【0011】
本発明の目的は、粉塵の発生の抑制化および給電の確実化を図りつつ表面処理品質を大幅に向上させられる表面処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、搬送方向に延設されたガイドレールに支持された冶具を介して当該冶具に保持されたワークを搬送可能な搬送手段と、搬送中のワークに当該冶具を介して給電する給電手段とを有し、表面処理槽内でワークを連続搬送かつ給電しつつワークに表面処理を施す表面処理装置において、前記冶具を前記ガイドレールに転がり係合機構を介して支持させるとともに、前記給電手段が搬送方向に延設された給電レールと前記冶具側にバネ式接触圧調整手段を介して装着されかつ給電レールと摺接して集電可能な集電子とを含み形成され、給電レールおよび集電子を内包するチャンバーとこのチャンバーに接続された排気ダクトとを有し、給電レールと集電子との摺接により発生した粉塵を排気ダクトを通して吸引しつつ回収廃棄するための粉塵回収廃棄手段を設けた、表面処理装置である。
【0013】
かかる発明では、ワークを保持した冶具は転がり係合機構を介してガイドレールに支持されているので、ガイドレールと冶具との搬送方向の相対変位があっても直接摩擦係合の場合に比較して粉塵の発生量を極減化できる。
【0014】
しかも、給電手段が搬送方向に延設された給電レールと冶具側にバネ式接触圧調整手段を介して装着された集電子を摺接して集電する構成であるから、従来例の場合のように給電レールを兼用するガイドレールを表面処理槽の左右方向の中心に配設しなくてもよくなる。つまり、確実な給電を担保しつつ摺動に伴う粉塵の処理槽内液への混入を防止することができる。
【0015】
すなわち、粉塵の発生の抑制化および給電の確実化を大幅に改善できるので、表面処理品質を大幅に向上することができる。特に、高実装密度で高品質のプリント配線基板の生産に大きく貢献することができる。
【0017】
しかも、粉塵回収廃棄手段が給電レールと集電子との摺接により発生した粉塵を回収廃棄するので、処理液中に廻り込んで混入する虞を一掃できるとともに、給電手段(給電レールおよび集電子)の構造簡素化および低コスト化を図りつつレイアウトの自由度を一段と拡大できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
表面処理装置は、図1〜図4に示す如く、冶具20をガイドレール37に転がり係合機構90を介して支持させるとともに、給電手段50が搬送(X)方向に延設された給電レール51と,冶具20側にバネ式接触圧調整手段を介して装着されかつ給電レール51と摺接して集電可能な集電子55とから形成され、給電レール51および集電子55を内包するチャンバー61とこのチャンバーに接続された排気ダクト63とを有し、給電レールと集電子との摺接により発生した粉塵を排気ダクトを通して吸引しつつ回収廃棄するための粉塵回収廃棄手段60が設けられている。
【0020】
本表面処理装置の基本的構成・機能は、搬送(X)方向に延設されたガイドレール37に支持された冶具20(ハンガー29)を介して当該冶具20に保持されたワークWを搬送可能な搬送手段30と、搬送中のワークWに当該冶具20を介して給電する給電手段50とを有し、表面処理槽10内でワークWを連続搬送かつ給電しつつ表面処理を施すことができる。
【0021】
この発明では、搬送レール(ガイドレール37)と給電レール51とを兼用しかつ兼用するガイドレール37を表面処理槽10の幅(左右)方向の中心でかつX方向に延設されていた従来例の場合に比較して、ガイドレール37と給電レール51とを別個に設けている。
【0022】
そして、これを前提として、第1に、ガイドレール37と冶具20との直接接触・摺動方式を摩擦抵抗が少なく塵埃の発生を大幅に抑制できる転がり係合方式に改善する。第2に、給電レール51と集電子55との摺動摩擦係合により発生する粉塵が表面処理槽内10に入らないように給電レール51を表面処理槽10の外側に配置する。
【0023】
また、この実施形態では、転がり係合機構90を採用しても、搬送手段30から発生する塵埃の絶無化が至難である機械的事情を考慮して、ガイドレール37および搬送手段30を表面処理槽10の外側に配設してある。
【0024】
さらに、表面処理槽10の外側に配設された給電手段50から発生する塵埃の絶無化が至難である機械的事情を考慮して、給電手段50から発生した粉塵(塵埃)を回収かつ外部へ廃棄するための粉塵回収廃棄手段60を設けている。
【0025】
図1〜図3において、表面処理槽10は、ワークWのX方向に伸びる搬送軌跡(図1で紙面に垂直方向)を中心に左右方向が対称となるように配設してある。したがって、表面処理槽10がこの実施形態の場合のように電解処理槽(めっき処理槽)である場合には、電解処理槽10内の左右両側のいずれも図示しない電極(アノード)とワークWとの極間距離を正確に保てる。
【0026】
搬送手段30は、図1に示すように表面処理槽10の上部開口部10Uの外側(図で右側)に配設されている。搬送手段30および関連機器から発生する粉塵等を含む塵埃が表面処理槽液Q内に混入(侵入)することを防止するためである。
【0027】
この搬送手段30は、図4に示すX方向に延設されたガイドレール37と,ガイドレール37に沿って一定ストロークだけ往復移動可能な往復移動部材32と,この往復移動部材32に一定ピッチで取り付けられた複数のアンチバック爪33と,往復移動部材32に往復移動力を付与するネジ式往復移動機構31とを含み、複数の冶具20(ワークW)を一定ピッチだけ離隔させた状態でX方向に間欠搬送することができる。
【0028】
アンチバック爪33は、往復移動部材32のX方向への移動中つまり往動時には係合する冶具20に往動力を加えて当該冶具20をX方向へ往動させることができるが、復動時には冶具20に復動力を付与せず無抵抗として通過する。つまり、一方向送りタクト搬送機構から形成されている。
【0029】
各冶具20は、搬送手段30を表面処理槽(この実施形態では、電解処理槽…めっき処理槽)10の横外方に配設しつつ表面処理槽10自体を従来例の場合と比較して大きく改変しなくてもすむように、図1,図2に示す構造とされている。
【0030】
図1において、冶具20は、水平部21と垂直部23をL字形状に連結した構造で、基端部21Kでガイドレール37に相対移動可能に支持させ、先端部23SでワークWを保持することができる。基端部21Kは起立する係止部21Vを介して間接的にガイドレール37に支持され、先端部23Sは図2に示すハンガー29を介してワークWを保持する。
【0031】
すなわち、各冶具20は、転がり係合機構90を介してガイドレール37に支持される。冶具20とガイドレール37との直接接触および摺動による摩擦軽減に基づき塵埃発生量の極減化を企図するのである。
【0032】
この転がり係合機構90は、当該機構の枠体を兼ねる冶具20の一部である係止部21Vに回転自在に装着された複数の車輪92を含み、ガイドレール37に各冶具20を転がり係合させる役目を持つ。
【0033】
車輪92は、冶具20の係止部21Vに装着された図2に示す複数の上下方向規制車輪92Vと,図3に示す水平方向規制車輪92Hと,外れ防止車輪92Gとから形成されている。
【0034】
各上下方向規制車輪92Vは、ガイドレール37の図2に示す上面37Uに係合され冶具20の上下方向の位置を規制する。また、水平方向規制車輪92Hは、ガイドレール37の図3に示す側面37Sに係合され冶具20の水平方向の位置を規制する。
【0035】
そして、外れ防止車輪92Gは、ガイドレール37の側面37Sの高さ方向中間に突出して設けた外れ防止レール37Gにこれを水平方向の両側から挟み込むように係合されている。したがって、各上下方向規制車輪92Vおよび水平方向規制車輪92Hの協働のもとに、冶具20がガイドレール37から外れる心配がない。
【0036】
カソードであるワークWには、図1に示すように、当該冶具20(21,23)を介して給電手段60から、マイナス電源が供給される。アノードである槽10内両側の電極は図示省略してある。
【0037】
給電手段50は、図1に示す表面処理槽10上部で外部側に設けられたX方向に延びる給電レール51と,外部電源装置(図示省略)と給電レール51とを接続する給電バー52と,係止部21Vにバネ式接触圧調整手段56を介して取り付けられた集電子55およびリード線59とからなる。
【0038】
この給電手段50も表面処理槽10の外側に配設されているので、各集電子55と給電レール51との摺動(直接接触)による粉塵(塵埃)が生じても表面処理槽10内には侵入し難いわけである。
【0039】
しかし、更なる慎重を期して給電部(51,55)を内包するチャンバー61と下向き排気管62を含み、発生した粉塵を例えば下方のピット内に回収しつつ外部に排出・廃棄する粉塵回収廃棄手段60を設けてある。また、図5,図6に示す如く、粉塵回収廃棄手段60の排気管62を横向きとするとともに排気ダクト63を接続して粉塵を吸引しつつフィルタ(図示省略)へ導いて一段と確実な回収・破棄を行えるように形成してある。
【0040】
かかる構成の実施形態では、ワークWを保持した冶具20は転がり係合機構90を介してガイドレール37に支持されているので、ガイドレール37と冶具20とのX方向の相対変位があっても、直接摩擦係合の場合に比較して、粉塵の発生量を極減化できる。
【0041】
しかも、給電手段50がX方向に延設された給電レール51と冶具20側に装着された集電子55とを摺接して集電する構成であるから、従来例の場合のように給電レール51を兼用するガイドレール37を表面処理槽10の左右方向の中心に配設しなくてもよくなる。つまり、確実な給電を担保しつつ摺動に伴う粉塵の処理槽内液Qへの混入を防止することができる。
【0042】
すなわち、搬送手段30からの粉塵の発生の抑制化および給電手段50による給電の確実化を大幅に改善できるので、表面処理品質を大幅に向上することができる。特に、高実装密度で高品質のプリント配線基板(ワーク)の生産に大きく貢献することができる。
【0043】
しかも、粉塵回収廃棄手段60は、給電レール51と集電子55との摺接により発生した粉塵を排気ダクト63を通して吸引しつつ回収廃棄するので、表面処理槽10内への侵入を完璧に防止できる。給電手段50から発生した粉塵が処理液Q中に廻り込んで混入する虞を一掃できるとともに、給電手段60(給電レール51および集電子55)の構造簡素化および低コスト化を図りつつレイアウトの自由度を一段と拡大できる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、冶具をガイドレールに転がり係合機構を介して支持させ、給電手段が搬送方向に延設された給電レールと冶具側にバネ式接触圧調整手段を介して装着されかつ給電レールと摺接して集電可能な集電子とを含み形成され、給電部を内包するチャンバーと排気ダクトとを有し、給電レールと集電子との摺接により発生した粉塵を排気ダクトを通して吸引しつつ回収廃棄するための粉塵回収廃棄手段を設けた表面処理装置であるから、ガイドレールと冶具との搬送方向の相対変位があっても直接摩擦係合の場合に比較して粉塵の発生量を極減化できる。また、従来例の場合に比較して給電レールを兼用するガイドレールを表面処理槽の左右方向の中心に配設しなくてもよくなる。つまり、確実な給電を担保しつつ摺動に伴う粉塵の処理槽内液への混入を防止することができる。よって、粉塵の発生の抑制化および給電の確実化を大幅に改善できるので、表面処理品質を大幅に向上することができる。特に、高実装密度で高品質のプリント配線基板の生産に大きく貢献することができる。さらに粉塵が処理液中に廻り込んで混入する虞を一掃できるので、表面処理品質を一段と大幅に向上することができる。しかも、給電手段(給電レールおよび集電子)の構造簡素化および低コスト化を図りつつレイアウトの自由度を一段と拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る全体的構成を説明するための正面図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】同じく、転がり係合機構を説明するための正面図である。
【図4】同じく、搬送手段を説明するための側面図である。
【図5】同じく、給電手段および粉塵回収破棄手段を説明するための正面図である。
【図6】同じく、粉塵回収破棄手段の拡大図である。
【図7】従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 表面処理槽(電解処理槽)
10U 上部開口部
20 冶具
21 水平部
23 垂直部
30 搬送手段
31 ネジ式往復移動機構
37 ガイドレール
50 給電手段
51 給電レール
55 集電子
60 粉塵回収廃棄手段
61 チャンバー
62 排気管
63 排気ダクト
90 転がり係合機構
92V 上下方向規制車輪
92G 外れ防止車輪
92H 水平方向規制車輪

Claims (1)

  1. 搬送方向に延設されたガイドレールに支持された冶具を介して当該冶具に保持されたワークを搬送可能な搬送手段と、搬送中のワークに当該冶具を介して給電する給電手段とを有し、表面処理槽内でワークを連続搬送かつ給電しつつワークに表面処理を施す表面処理装置において、
    前記冶具を前記ガイドレールに転がり係合機構を介して支持させるとともに、
    前記給電手段が搬送方向に延設された給電レールと前記冶具側にバネ式接触圧調整手段を介して装着されかつ給電レールと摺接して集電可能な集電子とを含み形成され、
    給電レールおよび集電子を内包するチャンバーとこのチャンバーに接続された排気ダクトとを有し、給電レールと集電子との摺接により発生した粉塵を排気ダクトを通して吸引しつつ回収廃棄するための粉塵回収廃棄手段を設けた、表面処理装置。
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