JP3591608B2 - 自動変速機の遊星歯車装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の遊星歯車装置、特に、遊星歯車組のギア比をワイド化して自由度を確保するためのサンギアの回転軸設定技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動変速機の遊星歯車装置におけるサンギアの回転軸設定技術としては、例えば、特開平5−231505号公報に記載されているように、回転軸にサンギアを形成した回転軸一体型のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回転軸一体型サンギアにあっては、サンギアとは隣接する位置に配置されるベアリングロックナットを設ける場合、ナット内径部を回転軸の外径を通過させて設けなければならないため、回転軸の外径(=サンギアの外径)を大きくしようとしても制限を受け、この制限によりサンギアの歯数設定が限られることになり、ギア比のワイド化を達成できない。
【0004】
このため、ギア比のワイド化を達成するには、サンギアと回転軸を別体にし、サンギアを回転軸に対してスプライン嵌合することにより設ける手法を採用しなければならない。
【0005】
しかしながら、サンギアをスプライン嵌合すると、サンギアの大径化に伴いスラスト力を受ける面も大径化しなければならないが、特開平5−231505号公報の図面に記載されているように、スナップリングでスラスト力を受けようとすると、大きなスラスト力が生じた場合、支持力の弱いスナップリングが外れてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、例えば、特開昭63−145847号公報に記載されているように、回転軸に一体に突条部を形成し、この突条部によりサンギアで発生するスラスト力を受けるようにする案が考えられる。
【0007】
しかしながら、回転軸とサンギアとの嵌合用のスプラインを形成する場合、スプラインカッターにより切り上がりがあるため、突条部の軸方向位置を予め決めた場合には、突条部を大径にすることができない。
【0008】
すなわち、図8及び図9に示すように、スプラインと近接して突条部を設けると、スプライン加工時のカッターの逃げ部分、いわゆる「切り上がり」を考慮しなければならないため、突条部を大径化することができず、サンギアが大径である場合、確実にスラスト力を受けられない。尚、特開昭63−145847号で小径の突条部を適用できるのはサンギアが小径であることによる。
【0009】
また、「切り上がり」を考慮して、スプラインから軸方向長さを充分とって大径の突条部を設けようとすると、特開平5−231505号公報に記載されているように隣接部材としてその内径が回転軸よりわずかに大きなベアリングロックナットが配置された構造の場合、突条部とベアリングロックナットとが干渉してしまうため、軸方向の長さをとって突条部を設定しても、干渉により突条部を大径化することはできず、却って、自動変速機の軸方向寸法の延長につながる。
【0010】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、第1の目的とするところは、回転軸上に配置された遊星歯車組の軸方向に隣接する位置に軸方向隣接部材が配置された自動変速機の遊星歯車装置において、スプラインの切り上がりや隣接部材との干渉による影響を排除し、サンギアの発生するスラスト力を回転軸にて確実に受ける構造にて、ギア比の設定自由度確保と軸方向寸法の短縮化を図ることにある。
【0011】
第2の目的とするところは、より自動変速機の軸方向寸法の短縮化を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため請求項1記載の自動変速機の遊星歯車装置では、図1(イ) のクレーム対応図に示すように、サンギアaと、該サンギアaと噛み合い、ピニオンシャフトiに軸支されるピニオンギアbと、前記ピニオンシャフトiの一端側と他端側を支持する第1及び第2キャリアプレートc1,c2とを有し、回転軸d上に配置された遊星歯車組eと、前記遊星歯車組eとは軸方向に隣接して配置され、前記回転軸dが貫通し、前記サンギアaの外径より小径の内側円筒状部f1を有する軸方向隣接部材fと、を備えた自動変速機の遊星歯車装置において、前記回転軸dは、前記サンギアaと嵌合するスプライン部d1と、該スプライン部d1の軸方向隣接部材f側に形成された細軸部d2と、該細軸部d2の外径を下端として径方向外側に延びる段付き部d3と、該段付き部d3の上端を外径とする太軸部d4とを有し、前記サンギアaの軸方向隣接部材fとは反対側の側面と前記第1キャリアプレートc1との間には、軸受け部材gが配置され、前記サンギアaの軸方向隣接部材f側には、前記回転軸dの細軸部d2の上に、サンギアaに対向する一方の側面がサンギアaの側面外径と略一致し、他方の側面が回転軸dの段付き部d3と対向する中間部材hが配置されていることを特徴とする。
【0013】
上記第2の目的を達成するため請求項2記載の自動変速機の遊星歯車装置では、図1(ロ) のクレーム対応図に示すように、請求項1記載の自動変速機の遊星歯車装置において、前記軸方向隣接部材fを、前記ピニオンシャフトiの他端側を支持する前記第2キャリアプレートc2に対向する側壁f2と内側円筒状部f1とを連結する直交隅部を凹ませた干渉回避連結部f3を有する部材とし、前記中間部材hの少なくとも一部が、前記軸方向隣接部材fの干渉回避連結部f3の内周側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
【作用】
第1の発明の作用を説明する。
【0015】
サンギアaで発生する軸方向隣接部材fとは反対側のスラスト力は、軸受け部材gを介して第1キャリアプレートc1に伝達され、また、軸方向隣接部材f側へのスラスト力は、中間部材hを介して段付き部d3より回転軸dに伝達される。
【0016】
よって、従来のスナップリングにてサンギアで発生するスラスト力を受ける場合には、大きなスラスト力が生じた時にスナップリングが外れるおそれがあるが、段付き部d3にて中間部材hが確実に支えられているため、大きなスラスト力が生じた時にも中間部材hが外れるおそれはない。
【0017】
また、従来のように軸に一体形成された突条部で直接スラスト力を受ける場合は突条部を形成する際にスプラインの切り上がりを考慮する必要があるが、中間部材hが別体であるため、中間部材hの外径を決める際にスプラインの切り上がりを全く考慮する必要がない。
【0018】
さらに、従来のように軸に一体形成された突条部で直接スラスト力を受ける場合であって、突条部を大径にするべく切り上がりを考慮してスプラインより距離を十分にとった場合、隣接部材との干渉により突条部の外径設定に制限を受けるが、中間部材hはスプラインとは無関係に軸方向の位置設定ができるため、軸方向隣接部材fとの干渉を避ける位置に中間部材hを設定する限り、軸方向隣接部材fが中間部材hの外径を制限する要素となることはない。
【0019】
この結果、サンギアaの大径化を図ることができ、サンギアaの歯数設定自由度が増し、サンギアaの歯数により決まる遊星歯車組eのギア比の設定自由度を確保できる。
【0020】
第2の発明の作用を説明する。
【0021】
軸方向隣接部材fを、第2キャリアプレートc2に対向する側壁f2と内側円筒状部f1とを連結する直交隅部を凹ませた干渉回避連結部f3を有する部材とし、中間部材hの少なくとも一部を、軸方向隣接部材fの干渉回避連結部f3の内周側に配置させたため、軸方向隣接部材fと中間部材hとが軸方向にオーバラップし、自動変速機の軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
【0024】
図2は請求項1,2,3記載の発明に対応する第1実施例の遊星歯車装置が適用された自動変速機の動力伝達機構を示すスケルトン図である。
【0025】
この動力伝達機構は、トルクコンバータ10,主変速機構1,副変速機構2及びファイナルドライブ機構3から構成されている。
【0026】
前記トルクコンバータ10は、エンジン出力軸12からの回転力を入力軸13に伝達する。
【0027】
前記主変速機構1は、トルクコンバータ10からの回転力が伝えられる入力軸13、副変速機構2へ駆動力を伝える中間出力軸14、第1遊星歯車組15、第2遊星歯車組16、フロントクラッチ20、リヤクラッチ22、ローアンドリバースブレーキ26、バンドブレーキ28、ローワンウェイクラッチ30を有している。第1遊星歯車組15は、サンギアS1と、リングギアR1と、両ギアS1,R1と同時に噛み合うピニオンギアP1を支持するピニオンキャリアPC1とから構成されており、また、第2遊星歯車組16は、サンギアS2と、リングギアR2と、両ギアS2,R2と同時に噛み合うピニオンギアP2を支持するピニオンキャリアPC2とから構成されている。各構成部材は図示の様に連結されている。バンドブレーキ28は、これを締結させるためのサーボアプライ圧室SAと解放させるためのサーボリリース圧室SRを有している。
【0028】
前記副変速機構2は、第3遊星歯車組31(遊星歯車組e)、ダイレクトクラッチ32及びリダクションブレーキ33から構成されている。第3遊星歯車組31は、サンギアS3(サンギアa)と、リングギアR3と、両ギアS3,R3と同時に噛み合い、ピニオンシャフト55(ピニオンシャフトi)に軸支されるピニオンギアP3(ピニオンb)と、ピニオンシャフト55の両端を支持する第1キャリアプレートPC31(第1キャリアプレートc1)及び第2キャリアプレートPC32(第2キャリアプレートc2)から成るピニオンキャリアPC3とから構成されている。リングギアR3は、中間出力軸14と歯車37及び38を介して回転力伝達可能である。サンギアS3は、ダイレクトクラッチ32を介してピニオンキャリアPC3と連結可能であると共にリダクションブレーキ33によって静止部に固定可能である。このリダクションブレーキ33と並列にワンウェイクラッチ36が設けられている。ピニオンキャリアPC3は出力軸35と常に連結されている。
【0029】
前記ファイナルドライブ機構3は、前記出力軸35に設けられたドライブピニオンギア39と、該ピニオンギア39と噛み合うファイナルドライブギア40を有して構成されている。
【0030】
図3は各締結要素の作動論理表を示す図である。上記動力伝達機構は、クラッチ20,22及び32と、ブレーキ26,28及び33を種々組み合わせて作動させることによって、遊星歯車組15,16及び31の各要素の回転状態を変えることができ、これによって入力軸13の回転速度に対する出力軸35の回転速度を変えることができる。クラッチ20,22及び32と、ブレーキ26,28及び33と、ワンウェイクラッチ30,36を図3に示すような組み合わせで作動させることにより、前進4速後退1速を得ることができる。尚、図3中の○印は作動しているクラッチ及びブレーキを示す。
【0031】
図4は第1実施例の副変速機構の構成を具体的に示す断面図で、図4において、31は第3遊星歯車組、32はダイレクトクラッチ、33はリダクションブレーキ、35は出力軸、36はワンウェイクラッチ、38は歯車、41はリダクション軸(回転軸d)、42はベアリングロックナット(軸方向隣接部材f)、43はスラストベアリング(軸受け部材g)、44はリング部材(中間部材h)、45はサイドカバー、46はケーシング部材、47はギア軸受け、48はトランスミッションケース、49はハブプレートである。
【0032】
前記ベアリングロックナット42は、第3遊星歯車組31に軸方向に隣接して配置され、リダクション軸41を貫通し、サンギアS3の外径より小径の内側円筒状部42a(内側円筒状部f1)と、第2キャリアプレートPC32に対向する側壁42b(側壁f2)と、両者42a,42bとを連結する直交隅部を凹ませた凹部42c(干渉回避連結部f3)を有して構成されている。この凹部42cの内周側には、リング部材44が配置されている。
【0033】
前記リダクション軸41は、サンギアS3と嵌合するスプライン部41a(スプライン部d1)と、該スプライン部41aのベアリングロックナット42側に形成された細軸部41b(細軸部d2)と、該細軸部41bの外径を下端として径方向外側に延びる段付き部41c(段付き部d3)と、該段付き部41cの上端を外径とする太軸部41d(太軸部d4)とを有して構成されている。
【0034】
前記サンギアS3には、ベアリングロックナット42に対向する第2キャリアPC32(第2キャリアc2)よりベアリングロックナット42側に向かって軸方向に突出し、リダクション軸41の細軸部41bの外周に延在する円筒状部S31(円筒状部a1)が形成されている。
【0035】
そして、サンギアS3のベアリングロックナット42とは反対側には、スラストベアリング43を介してサンギアS3の内径近傍まで延びる第1キャリアプレートPC31が配置されている。
【0036】
前記リング部材44は、サンギアS3のベアリングロックナット42側であるリダクション軸41の細軸部41bの上に嵌装されていて、サンギアS3の側面外径と略一致する側面外径を持つサンギア対向側面と、段付き部41cとの接触により部材の軸方向移動を規制する段付き部対向側面とを有する。
【0037】
次に、作用を説明する。
【0038】
[トータルエンドプレー調整]
上記リング部材44は、全体の厚みを複数段階に異ならせた複数個の中から、トータルエンドプレー(エトータルエンド隙間)に関する測定値に適合されて選択される選択部品である。
【0039】
そこで、トータルエンドプレー調整について、図5に基づいて説明する。
【0040】
まず、サイドカバー45に、ワンウェイクラッチ36とリダクションブレーキ33とハブプレート49を有するリダクション軸41とを組み付けた(B部分)ところで、サイドカバー45のケース48との接合面Aと、リダクション軸41の段付き部41cとの距離L1を測定する。
【0041】
一方、ケース48に、サンギアS3まで組み付けた(D部分)ところで、サイドカバー45のケース48との接合面Aと、サンギアS3のスラスト力伝達面との距離L2を測定する。
【0042】
そして、リング部材44の厚みをTとした時、L2−L1−T=所定範囲となるように、リング部材44の厚みTを選択する。
【0043】
その後、リングギアR3と連結する歯車38は、ギア軸受け47を介してベアリングロックナット42によってケーシング部材46に固定され(C部分)、このC部分がサイドカバー45に圧入された後、リダクション軸41の細軸部41bに選択されたリング部材44を配置し、ケース48に組み付ける。
【0044】
このトータルエンドプレー調整において、その基点をリダクション軸41の段付き部41cにて行なっているため、容易にトータルエンドプレーの測定を行なうことができる。
【0045】
[サンギアで発生するスラスト力の伝達作用]
サンギアS3は、リダクション軸41のスプライン部41aにスプライン嵌合されている。このスプライン嵌合には、図6に示すように、大径合わせと歯面合わせとがあるが、いずれの場合にもサンギアS3のスラスト方向の移動を許容する嵌め合いになっている。
【0046】
サンギアS3が図4の左方向にストロークすることで発生するスラスト力は、リング部材44から段付き部41cを介してリダクション軸41へと伝達され、さらに、ハブプレート49及びワンウェイクラッチ36を介してサイドカバー45で受けられる。
【0047】
一方、サンギアS3が図4の右方向にストロークすることで発生するスラスト力は、スラストベアリング43を介して第1キャリアプレートPC31へと伝達され、さらに、ダイレクトクラッチ32→出力軸35→図外のボールベアリングを介してケース48にて受けられる。
【0048】
また、リング部材44は、サンギアS3で発生するスラスト力の伝達に関与するばかりでなく、サンギアS3にスラスト力が作用していない時、上記トータルエンドプレー調整により設定された隙間量を超えるリダクション軸41の軸方向移動(図4の右方向)を規制する。このリダクション軸41の軸方向移動規制作用により、ハブプレート49とケーシング部材46との干渉が防止される。
【0049】
[第3遊星歯車組の軸方向レイアウト]
ベアリングロックナット42は、内側円筒状部42aと側壁42bとを連結する直交隅部を凹ませた凹部42cを形成し、この凹部42cの内周側に、リング部材44を配置したため、ベアリングロックナット42とリング部材44とが軸方向にオーバラップするレイアウトとなり、第3遊星歯車組31の軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0050】
具体的に本実施例では、特開平5−231505号公報に記載されているリダクション軸にサンギアを一体に形成した第3遊星歯車組の軸方向寸法と全く同じ寸法のままで、リダクション軸41に別体のサンギアS3をスプライン嵌合させた第3遊星歯車組31に変更した。これにより、第3遊星歯車組31のギア比の設定自由度を確保しながら、副変速機構2の設計変更や部品変更を最小に抑えることができた。
【0051】
次に、効果を説明する。
【0052】
(1)サンギアS3の外径より小径の内側円筒状部42aを有するベアリングロックナット42がサンギアS3に隣接して配置された自動変速機の遊星歯車装置において、サンギアS3がリダクション軸41にスプライン嵌合され、サンギアS3のベアリングロックナット42とは反対側には、スラストベアリング43を介して第1キャリアプレートPC31が配置され、サンギアS3のベアリングロックナット42側には、リダクション軸41の細軸部41bの上に、サンギアS3に対向する一方の側面がサンギアS3の側面外径と略一致し、他方の側面がリダクション軸41の段付き部41cと対向するリング部材44が配置されている構成としたため、スプラインの切り上がりやベアリングロックナット42との干渉による影響を排除し、サンギアS3の発生するスラスト力をリダクション軸41にて確実に受ける構造にて、ギア比の設定自由度確保と軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0053】
サンギアS3で発生するスラスト力をリング部材44にて受ける構造を採用したことによる特徴を下記に詳しく述べる。
【0054】
▲1▼ 従来のスナップリングにてサンギアで発生するスラスト力を受ける場合には、大きなスラスト力が生じた時にスナップリングが外れるおそれがあるが、段付き部41cにてリング部材44が確実に支えられているため、大きなスラスト力が生じた時にもリング部材44が外れるおそれはない。
【0055】
▲2▼ 従来のように軸に一体形成された突条部で直接スラスト力を受ける場合は突条部を形成する際にスプラインの切り上がりを考慮する必要があるが、リング部材44が別体であるため、リング部材44の外径を決める際にスプラインの切り上がりを全く考慮する必要がない。
【0056】
▲3▼ 従来のように軸に一体形成された突条部で直接スラスト力を受ける場合であって、突条部を大径にするべく切り上がりを考慮してスプラインより距離を十分にとった場合、隣接部材との干渉により突条部の外径設定に制限を受けるが、リング部材44はスプラインとは無関係に軸方向の位置設定ができるため、ベアリングロックナット42との干渉を避ける位置にリング部材44を設定する限り、ベアリングロックナット42がリング部材44の外径を制限する要素となることはない。
【0057】
この結果、サンギアS3の大径化を図ることができ、サンギアS3の歯数設定自由度が増し、サンギアS3の歯数とリングギアR3との歯数により決まる第3遊星歯車組31のギア比の設定自由度を確保できる。
【0058】
(2)ベアリングロックナット42を、リング部材44との干渉を回避する凹部42cを有する部材とし、リング部材44を、ベアリングロックナット42の凹部42cの内周側に配置したため、副変速機構2の軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0059】
(第2実施例)
図7は第2実施例の副変速機構の構成を具体的に示す断面図である。
【0060】
この第2実施例の副変速機構には、リダクション軸41に設けられた軸方向油路50と、サンギアS3の内側円筒状部S31とリダクション軸41の細軸部41bとの間に設けられた油溜り51と、油溜り51と軸方向油路50とを連通する径方向油路52とが設けられている。さらに、サンギアS3の内側円筒状部S31には、ピニオンギアP3と第2キャリアプレートPC32との間のワッシャ53に油溜り51の油を放出する貫通孔54が設けられている。
【0061】
加えて、サンギアS3は、ドライブ走行時にはリング部材44側へスラスト力を伝達し、コースティング走行時にはスラストベアリング43側へスラスト力を伝達する歯軸方向を持つはす歯が設定されている。
【0062】
尚、他の構成は第1実施例(図4)と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
次に、作用を説明する。
【0064】
[潤滑作用]
リダクション軸41の軸方向油路50から供給された油は、径方向油路52を介して油溜り51に排出される。
【0065】
コースティング走行時には、サンギアS3はスラストベアリング43にスラスト力を伝達しており、スラストベアリング43側に移動している(図8の状態)ため、油溜り51の油は多少サンギアS3とリング部材44との間の隙間から漏れるけれど、残りの油は貫通孔54からワッシャ53に向けて放出され、ワッシャ53を潤滑する。
【0066】
一方、ドライブ走行時には、サンギアS3はリング部材44にスラスト力を伝達しており、リング部材44側に移動しているため、サンギアS3とリング部材44との間の隙間はなく、より多くの油がワッシャ53に向けて放出され、ワッシャ53を潤滑する。
【0067】
尚、他の作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0068】
次に、効果を説明する。
【0069】
第1実施例装置の効果に加え、下記の効果が達成される。
【0070】
(3)軸方向油路50と油溜り51と径方向油路52と貫通孔54とを有するワッシャ潤滑構造とし、サンギアS3は、ドライブ走行時にはリング部材44側へスラスト力を伝達し、コースティング走行時にはスラストベアリング43側へスラスト力を伝達するようにはす歯を設定したため、サンギアS3の内側円筒状部S31の内周に放出された油をキャッチする堰等を設けることなく、特に使用頻度の高いドライブ走行時により多くの油をワッシャ53に供給することができ、冷却効果が高まる。
【0071】
以上、実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
【0072】
例えば、実施例では、副変速機構2の第3遊星歯車組31に適用し、ベアリングロックナット42を軸方向隣接部材とする例を示したが、遊星歯車装置が用いられ軸方向に隣接する位置に何らかの部材が配置される自動変速機であればその適用範囲は実施例に限られない。
【0073】
実施例では、中間部材として方形断面のリング部材44の例を示したが、図1(イ) に示すように、L字断面の中間部材であっても良いし、また、その他の断面形状を有する中間部材であっても良い。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の第1の発明にあっては、回転軸上に配置された遊星歯車組の軸方向に隣接する位置に軸方向隣接部材が配置された自動変速機の遊星歯車装置において、サンギアが回転軸にスプライン嵌合され、サンギアの軸方向隣接部材とは反対側の側面と第1キャリアプレートとの間には、軸受け部材が配置され、サンギアの軸方向隣接部材側には、回転軸の細軸部の上に、サンギアに対向する一方の側面がサンギアの側面外径と略一致し、他方の側面が回転軸の段付き部と対向する中間部材が配置されている構成としたため、スプラインの切り上がりや隣接部材との干渉による影響を排除し、サンギアの発生するスラスト力を回転軸にて確実に受ける構造にて、ギア比の設定自由度確保と軸方向寸法の短縮化を図ることができるという効果が得られる。
【0075】
請求項2記載の第2の発明にあっては、請求項1記載の自動変速機の遊星歯車装置において、軸方向隣接部材を、ピニオンシャフトの他端側を支持する第2キャリアプレートに対向する側壁と内側円筒状部とを連結する直交隅部を凹ませた干渉回避連結部を有する部材とし、中間部材の少なくとも一部が、軸方向隣接部材の干渉回避連結部の内周側に配置されている装置としたため、第1の発明の効果に加え、より自動変速機の軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機の遊星歯車装置を示すクレーム対応図である。
【図2】第1実施例の遊星歯車装置が適用された自動変速機の動力伝達機構を示すスケルトン図である。
【図3】第1実施例の自動変速機で前進4速後退1速の変速を得る締結論理表を示す図である。
【図4】第1実施例の副変速機構の構成を具体的に示す断面図である。
【図5】第1実施例の自動変速機の副変速機構でリング部材を選択するトータルエンドプレー調整を説明する図である。
【図6】ギアをスプライン嵌合する場合の2つの態様を表す図である。
【図7】第2実施例の副変速機構の構成を具体的に示す断面図である。
【図8】従来のサンギアで発生するスラスト力を受ける構造を示す図である。
【図9】従来の回転軸に一体形成の突条部の外径を設定する際にスプラインのカッター切り上がりにより制限を受ける様子を説明する図である。
【符号の説明】
a サンギア
a1 円筒状部
b ピニオンギア
c1 第1キャリアプレート
c2 第2キャリアプレート
d 回転軸
d1 スプライン部
d2 細軸部
d3 段付き部
d4 太軸部
e 遊星歯車組
f 軸方向隣接部材
f1 内側円筒状部
f2 側壁
f3 干渉回避連結部
g 軸受け部材
h 中間部材
i ピニオンシャフト

Claims (2)

  1. サンギアと、該サンギアと噛み合い、ピニオンシャフトに軸支されるピニオンギアと、前記ピニオンシャフトの一端側と他端側を支持する第1及び第2キャリアプレートとを有し、回転軸上に配置された遊星歯車組と、
    前記遊星歯車組とは軸方向に隣接して配置され、前記回転軸が貫通し、前記サンギアの外径より小径の内側円筒状部を有する軸方向隣接部材と、
    を備えた自動変速機の遊星歯車装置において、
    前記回転軸は、前記サンギアと嵌合するスプライン部と、該スプライン部の軸方向隣接部材側に形成された細軸部と、該細軸部の外径を下端として径方向外側に延びる段付き部と、該段付き部の上端を外径とする太軸部とを有し、
    前記サンギアの軸方向隣接部材とは反対側の側面と前記第1キャリアプレートとの間には、軸受け部材が配置され、
    前記サンギアの軸方向隣接部材側には、前記回転軸の細軸部の上に、サンギアに対向する一方の側面がサンギアの側面外径と略一致し、他方の側面が回転軸の段付き部と対向する中間部材が配置されていることを特徴とする自動変速機の遊星歯車装置。
  2. 請求項1記載の自動変速機の遊星歯車装置において、
    前記軸方向隣接部材を、前記ピニオンシャフトの他端側を支持する前記第2キャリアプレートに対向する側壁と内側円筒状部とを連結する直交隅部を凹ませた干渉回避連結部を有する部材とし、
    前記中間部材の少なくとも一部が、前記軸方向隣接部材の干渉回避連結部の内周側に配置されていることを特徴とする自動変速機の遊星歯車装置。
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